結論
オープンワークは、社員の率直な評価を集めた情報基盤から、企業の採用成功報酬を生み出す会社だ。筆者の結論は「やや割高」である。口コミの蓄積には他社が一夜で追いつけない価値があるが、将来の採用単価と利用者の入り口まで守られているわけではない。10年の確率加重価値は約147億円で、2026年10月22日の時価総額約195億円を約25%下回る。
2025年末の登録者は775万人、社員口コミと評価スコアは2,060万件に達した。2026年6月にはそれぞれ820万人、2,190万件へ増え、採用支援の上期売上も前年同期比39.3%増だった。この規模と成長は軽視できず、求職者が企業の実態を知りたいという需要自体は2035年にも残るだろう。
ただし稼ぎの約7割は企業の採用予算に頼る。企業が採用を絞れば成功報酬が減り、AIエージェントが候補者探索と比較を引き受ければ、企業が払える手数料も変わる。会社の2030年売上150億円・営業利益30億円という目標には伸びしろがあるが、達成を中立の確約とは扱わない。
現預金の見方も肝心だ。2025年の現金同等物約46億円に別途定期預金30億円があり、貸借対照表上の現預金は約76億円だった。ただし契約負債、税金、運転資金に加え、2030年まで最大100億円の投資構想がある。現金の額面をすべて少数株主のものとするより、使われ方と将来の稼ぐ力を一緒に評価すべきだ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、ここで売っているのは求人広告の枠ではなく「職場の内側を知るための信頼」だと考える。実際の社員による評価が積もれば、後発企業が多額の広告を使っても同じ厚みの情報をすぐには作れない。就職先を選ぶ前に評判を確かめたい人は10年後にも存在するため、サービスが突然不要になるとは考えない。
しかし、立派な情報資産がそのまま高い株主利益になるわけではない。口コミを読む人が増えても採用企業が契約せず、AIが情報の入り口を握り、成功報酬が競争で下がるなら、資産の魅力と現金の流入は切り離される。2025年の稼ぎは成功報酬への依存が高く、企業の採用決定が減ったときに売上を固定料金だけで支える構造ではない。
オーナー利益を評価するには、人件費、口コミ審査、広告宣伝、情報セキュリティへの継続投資を忘れてはならない。これらは工場の設備投資ほど貸借対照表に現れなくても、事業を続けるための実質的な再投資である。現金を積み上げてきた点と2026年に還元を始めた点は評価するが、最大100億円を投じる計画の利回りは未証明だ。
筆者なら、口コミと採用成立という二つの経済活動が今後も結び付いているかを毎年確かめる。成立件数と料金が伸びても、口コミ閲覧からの自然な応募が減って顧客獲得費ばかり上がるなら、堀は静かに削られている。現時点の株価には成長の余地が相応に織り込まれており、長期保有の安全域は十分とは言いにくい。
何で稼ぐ会社か
出発点は社員口コミサイト「OpenWork」である。従業員が書く職場の評価を蓄積し、個人には口コミの有料閲覧や提携先への送客を提供する。口コミの充実はユーザーを呼び、ユーザーの増加はWeb履歴書の蓄積を促し、採用企業を呼び込む。2025年のOpenWork本体の営業収益は12.44億円で、これが広告では買い切れない基盤を支えている。
主力の「OpenWorkリクルーティング」は2025年に32.48億円を稼いだ。企業は求人を掲載し、2026年6月に累計183万人に達したWeb履歴書登録者などに直接働きかける。2026年の公表料金は基本利用料が年120万円から、採用成功報酬が中途1人70万円、新卒1人30万円で、契約条件により中途80万円、新卒35万円の型もある。基本料と成功報酬の内訳は非開示だが、会社の説明では後者が大部分を占める。
残る2025年のオルタナティブデータサービスは1.62億円である。資産運用会社向けのFISは口コミを加工したデータを売り、企業向けDAPは職場の課題を分析する。上場企業の9割以上に関する評価データがある点は貴重だが、顧客数と実際の契約単価は公開されていない。
2026年4月からはBNGパートナーズの人材紹介事業が加わった。経営人材の紹介を人の面談と助言で支えるため、口コミ媒体とは違い、人件費と担当者の力量に利益が左右される。2026年上期に連結した同社の売上は0.92億円で、2025年の46.54億円には含まれない。2025年末に取得を決めたPM Clubはスキル情報の補強を狙った事業であり、2026年4月に吸収合併した。会計上は単一事業セグメントだが、経済的な稼ぎ方は五つに分けて見る必要がある。
優良さと弱いところ
最大の堀、つまり競合が短期間ではまねできない強みは、2007年から集め続けた働く人自身の一次情報だ。2026年6月時点で口コミと評価スコアは2,190万件に達し、その多くは閲覧を制限して保護されている。転職希望者が待遇だけでなく組織文化を比較するとき、こうした情報は履歴書の検索技術だけでは代替しにくい。働く人と採用企業が集まる相互作用も、新規参入者にとって壁となる。
ただし同社は給与や会計の正本を保持する法定インフラではない。個人は転職会議、企業サイト、SNS、生成AIの回答にも容易に移れ、企業もビズリーチやリクルート系媒体を同時に使える。解約率が年5%未満という開示も、移行に数年を要する実績もない。独自データという強い証拠はあるが、制度的な切り替え障壁まで備わると評価するには材料が足りない。
2025年の営業利益率は25.8%、自己資本利益率は約12%で、成長に必要な設備は比較的少ない。2020年から2025年に売上は約15億円から46億円へ増え、営業利益は約2億円から12億円になった。一方、2026年は人員増強と広告費の投資を続けるため、会社予想の営業利益率は約23%に下がる。上期利益の高進捗も広告投資の後ろ倒しによる部分があり、持続的な値決め力の証明にはならない。
口コミ収集、審査、Web履歴書と採用企業の組み合わせは再投資の魅力があるが、将来の増分ROICは厳密に計算できない。なぜならサービスごとの利益や獲得費用が開示されず、研究開発や顧客獲得費が損益計算書に直接表れるからだ。経営が100億円規模の投資枠を掲げる今こそ、新しい買収先も資本コストを超える利益を実際に生むかを確かめたい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
採用市場には人手不足と労働移動の増加という追い風がある。矢野経済研究所が示したダイレクトリクルーティング市場は2024年度見込1,275億円で、会社はその後の対象市場を約1,500億円と説明する。2025年の採用支援売上32.48億円は後者の約2.2%に相当する。ただし決算期と市場範囲が違うため、厳密な統計上のシェアではなく規模感を示す試算だ。
競争相手の筆頭は「ビズリーチ」で、運営会社ビジョナルが開示した同事業の2026年7月期売上は約801億円、年間利用企業は2.31万社以上に上る。売上の定義が完全には一致しないものの、同社だけで1,500億円市場のおよそ半分に相当する規模であり、オープンワークはまだ挑戦者である。リクルートダイレクトスカウト、doda X、Indeed、求人検索サイトや人材紹介各社も、企業の採用予算を取り合う。企業口コミでは転職会議やGlassdoorが代替の入り口になる。
もう一つの市場は、口コミや就業データを外部に売る情報サービスだ。独立した国内市場規模は開示資料から把握できず、オープンワークの1.62億円を何%のシェアとみなす根拠もない。BNGが属する専門職人材紹介は市場が大きい一方、担当者の紹介力や採用景気に左右される競争的な業種であり、高い継続倍率を与えにくい。採用市場と人材紹介市場は重なるため、単純に合計して参入余地を膨らませてはいけない。
筆者が最も重く見る構造変化はAIエージェント代替である。求職者が転職情報をAIに相談し、企業側も候補者探索、スカウト文章、選考調整を自動化すれば、サイト来訪と画面利用料は減る。人材紹介の面談工数はさらに置き換わりやすい。一方、実際に勤務した人の評価は生成だけでは手に入らず、口コミを自社で集め続けられれば防御力となる。人口減少のため採用件数は無限に増えないが、企業の獲得シェアを上げる余地はある。中立では2035年の直接採用関連市場を名目約2,000億円、同社の取り分を約4.1%と見込み、物価上昇分を単価側に織り込む。
資本政策と M&A
会社は2026年8月の説明資料で、2030年に営業収益150億円以上、営業利益30億円以上を掲げた。営業利益率に直すと20%以上で、経営陣はM&Aなしでも目指す有機成長の目標と説明する。株主還元では2026年から年2回の配当を始め、配当性向20%を目標とする。DOE、ROE、自社株買い金額、総還元性向について中期計画に数字の約束はない。
自社株買いは2025年に約4億円強の実行実績がある。加えて2026年の株主優待はデジタルギフトで、費用は会社予想では年約1,200万円である。2030年まで最大100億円の投資枠を設け、独自データやAIサービスとM&Aに投じる方針だ。これは現預金の厚さを超えうる規模であり、単なる現金保有の安心感より、投資先の利益率と買収価格の規律が重要になる。
2026年にはPM Clubを取り込み、BNGパートナーズを完全子会社化した。買収価格は公表されておらず、2026年6月の貸借対照表にはのれん約2.63億円が計上されている。事業同士のつながりは理解できるが、買収後の顧客獲得費や離職まで含む実績はまだ短い。親会社リンクアンドモチベーションの持株比率は約53%で、少数株主には資金の使途を左右しにくい面も残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の本当の資産は、採用担当者が売れる求人枠ではなく、実際の働き手が残した膨大な一次体験である。2026年6月末の口コミ・評価スコア2,190万件は長年の蓄積で、企業の組織文化や職場の風土を判断する際に代わりの利きにくい情報だ。会社の掲げるAI求人検索はこの情報と求職者の希望を結び付け、一般的な求人検索サービスよりも納得感のある選択を生み出せる。AIに一般情報の検索を任せる時代ほど、自社しか持たない一次情報の価値が高まる可能性もある。
2025年末の採用契約社数はエージェントを含めて約4,400社、Web履歴書登録は165万人だった。半年後には累計導入社数6,510社、履歴書登録183万人、求人13.4万件になり、企業と求職者の双方で規模が大きくなっている。採用市場約1,500億円に対して2025年の同社採用売上は約32億円にすぎず、ビズリーチという巨人がいても、評価データで差別化した挑戦者がシェアを広げる余地はある。
2030年の売上150億円、利益30億円という会社計画は、採用手数料の量が増えれば手の届く数字だ。紹介事業BNGと既存の求職者データが結び付けば、候補者の専門性が高い案件にも手を伸ばせる。強い貸借対照表が営業投資と長期的な新製品づくりを支え、現金を還元しながら成長できる可能性を高く評価すべきだ。
慎重な見方
求人企業の支払いは、情報資産の質ではなく採用が何件成立したかに強く左右される。2026年の料金体系は、企業の直接採用が成功したときに費用が発生する成果報酬が収益の柱だ。人口減少が進み、企業がAIエージェントを使って採用の母集団形成から候補者比較まで直接進めれば、媒体が今の手数料を取り続けられる根拠は弱くなる。人材紹介のBNGも担当者の面談工数を販売する性質があり、技術代替への抵抗力は口コミ媒体より低い。
データにも限界はある。転職を考える人は複数のサイトを使え、生成AIが口コミを要約して比較するようになれば、OpenWorkという画面に入る頻度自体が減る。ペイウォールで守られた口コミは確かに強みだが、過去に集めた情報が古くなれば新たな投稿が必要であり、その収集には継続的な認知拡大費用がかかる。会社は解約率や職種別の採用成立件数を十分開示していないため、自然成長と広告費による購入成長を外部から分けにくい。
加えてビズリーチは2026年7月期に同事業だけで約801億円を売り上げた。規模の差は企業への営業力と求職者への宣伝力の差として現れる。最大100億円のM&A・新規投資枠は自己資金の有効利用にもなりうるが、買収価格と投資回収の規律が甘ければ、手元の現金という防波堤を削る。2030年の数字を約束どおりに達成できると考えるのは早い。
どちらに重みを置いたか
口コミを自ら集める能力と現金の厚みは肯定する。一方、現在の成長率を10年間延長するより、手数料単価が物価より伸びにくくなる影響を重く見る。確率は上側32%、中立30%、下側38%とした。中立の数量にAI代替を織り込んだので、下側へ寄せた理由は主に買収投資の失敗、採用景気の悪化、競合へのシェア流出であり、同じAIリスクを二重計上していない。現金を評価しても確率加重価値は時価総額を下回り、結論はやや割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,238 円257 億円(+ 還元の換算額還元の合計 130 円27 億円)。 今の値に割り戻すと 706 円147 億円、今との差 −21.5%、 期待の年率 +4.5%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 3,212 円667 億円 | 289 円60 億円 | +289.0% | +15.5% | 420 円87 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,826 円379 億円 | 173 円36 億円 | +122.1% | +8.8% | 400 円83 億円 |
| 中立 | 30% | 1,131 円235 億円 | 125 円26 億円 | +39.6% | +3.6% | 377 円78 億円 |
| やや悲観 | 24% | 426 円89 億円 | 77 円16 億円 | −44.1% | −6.0% | 121 円25 億円 |
| 悲観 | 14% | 325 円68 億円 | 34 円7 億円 | −60.1% | −9.1% | 50 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,238 円257 億円 | 130 円27 億円 | +52.0% | +4.5% | 1,368 円284 億円 |
今の株価時価総額 900 円187 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 口コミが採用の入り口を守り、ニッチシェアが大きく上がる 利益 43 億円 · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,212 円667 億円
社員の働きがいに関する情報が2035年にも求職者の第一の参照先であり続ける。実際の勤務経験に根ざす一次情報が増え、AIによる外部要約よりも独自サイト内で企業を比較する価値が保たれる。会員数は1,900万人規模に達し、企業口コミから応募へつながる導線も改善する。
採用成立数は年17,500件へ広がる。直接採用市場の名目総額が約2,600億円まで成長する中で、リクルーティング売上のシェアは7%前後に上がる。ビズリーチやリクルートとの競争は続くが、風土や働きがいを重視する採用領域で選ばれる。年額契約企業も増え、BNGの専門性を口コミデータと結び付けた高付加価値の紹介が残る。
AI求人検索は単独の新しい売上としては見込まず、既存会員の維持と獲得費の抑制に役立つものとして扱う。営業利益率は25%台で、将来のROEは資本コストを大きく超える。大型買収での損失を避け、配当と機動的な自社株買いが続く最もよい筋書きだ。
- 採用成立の成功報酬:数量 17,500(転職・新卒を企業が採用した成果1件)× 価格 0.01(採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均))→ 売上 149 億円・営業利益 39 億円。採用件数とシェアが大きく伸びるが、成功報酬単価の上昇は10年間の物価上昇以下
- 企業向け年額基本利用料:数量 2,350(年間課金を受ける採用企業の数(社、概算))× 価格 0.01(年額基本料(億円/社))→ 売上 33 億円・営業利益 15 億円。口コミと履歴書を利用できる企業の拡大で、画面利用料も伸びる
- OpenWork口コミ・閲覧・送客:数量 1,900(期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標))× 価格 0.02(登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人))→ 売上 40 億円・営業利益 11 億円。独自情報の需要が残り、登録者数と媒体収益が拡大する
- オルタナティブデータFIS・DAP:数量 28.0(年間の顧客契約数(件、概算))× 価格 0.07(法人1契約当たり年間利用料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。独自データへの需要が残るが、AIによる情報分析の代替で契約数は増やさない
- BNGハイクラス人材紹介:数量 145(四半期の成約件数相当(件、概算))× 価格 0.03(1件当たり平均紹介収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。人による面談業務の数量は買収時の年換算並みとし、AIによる生産性向上を売上増として二重計上しない
倍率:資本コスト7.25%、長期名目成長率g=1.0%。2035年の余剰現金55億円の税後利息1.4%相当を純利益から除いた本業利益は42.11億円、本業ROEは20.9%、新規再投資のRONIC=7.25%+残る割合1/2×(ROE−7.25%)=14.1%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.865倍という上限そのもので本業を評価し、余剰現金の帳簿額×0.75を別に加える。過去や同業の市場PERは根拠に使わない。
確率:上場以降に蓄積した口コミ、採用企業、履歴書が同時に増え、2030年目標を超える展開。ただし2,190万件の一次情報を守ることと既存大手からのシェア獲得の双方が必要なので12%にとどめる。
やや楽観 20% 採用媒体としてシェアを伸ばし、中計に近い規模で成熟 利益 24 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,826 円379 億円
口コミと評価スコアの蓄積は順調に続き、就職・転職の検討段階で参考にされる地位を守る。2035年の登録会員は1,450万人規模となり、自社サービスを通じた採用も着実に増える。ただし外部AIによる要約と他サイト併用が広がるため、1人当たりの媒体収益は物価ほど高まらない。
ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトには量で及ばないが、仕事内容だけでは分からない企業文化に基づくマッチングで選ばれる。採用成立は年11,500件となり、年額基本料を払う企業も増える。直接採用市場が名目約2,300億円となる中で採用事業の売上シェアは約4.8%へ上がる。事業は2030年に掲げた成長目標に近い売上規模へ進み、広告投資と人件費を吸収しても20%台の営業利益率が残る。
BNGの人手に依存する紹介数は大幅に増やさず、経営人材の面談や候補者の支援が必要な一部の仕事を残す。買収と独自データへの投資で現金の一部を使いつつ、利益に応じた20%配当を続け、資本効率は良好な範囲にとどまる。
- 採用成立の成功報酬:数量 11,500(転職・新卒を企業が採用した成果1件)× 価格 0.01(採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均))→ 売上 92 億円・営業利益 23 億円。採用成功報酬はシェア増で伸びるが、価格にはAI競争による抑制が残る
- 企業向け年額基本利用料:数量 1,400(年間課金を受ける採用企業の数(社、概算))× 価格 0.01(年額基本料(億円/社))→ 売上 19 億円・営業利益 8 億円。既存契約のAI代替を、新規採用企業の獲得が上回る
- OpenWork口コミ・閲覧・送客:数量 1,450(期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標))× 価格 0.02(登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人))→ 売上 27 億円・営業利益 6 億円。登録会員は増えるが、1人当たり媒体収益は物価ほど増えない
- オルタナティブデータFIS・DAP:数量 26.0(年間の顧客契約数(件、概算))× 価格 0.07(法人1契約当たり年間利用料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。法人向けの独自データ需要は残るが、AIにより契約数は微減
- BNGハイクラス人材紹介:数量 125(四半期の成約件数相当(件、概算))× 価格 0.03(1件当たり平均紹介収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人による高難度の採用支援は残るが、件数は2026年年換算を下回る
倍率:資本コスト7.25%、長期名目成長率g=1.0%。2035年の余剰現金50億円の税後利息1.4%相当を純利益から除いた本業利益は23.27億円、本業ROEは17.1%、新規再投資のRONIC=7.25%+残る割合1/2×(ROE−7.25%)=12.2%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.686倍という上限そのもので本業を評価し、余剰現金の帳簿額×0.75を別に加える。過去や同業の市場PERは根拠に使わない。
確率:登録者と求人企業の双方が伸びている足元の実績を反映するが、2030年目標をほぼ達成するには競合への優位を維持する必要がある。単価にAI競争の割引を入れたうえで20%とする。
中立 30% 採用シェアは伸びるが、画面と報酬単価はAIに圧迫される 利益 15 億円 · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,131 円235 億円
2035年にも、転職を決める前に社員の声を調べる需要は残る。新しい口コミと評価スコアが積み上がり、会員数は約1,100万人へ増えるものの、AIの要約を経由する利用が増え、利用者当たりの媒体収益は名目で微減する。過去の会員成長率をそのまま延長できない成熟段階に入る。
直接採用市場は現在の約1,500億円から名目約2,000億円となるが、物価の上昇を除けば大幅な市場拡大ではない。リクルーティング売上は約82億円、シェアは約4.1%になる。年間の成約件数は9,500件へ伸びる一方、採用成功単価は物価上昇率に追い付かない。2025年に導入した企業向け基本料も成長するが、既存画面の一部がAIエージェントで代替される。
情報分析サービスの契約数は約2割減る。BNGの面談型紹介件数は買収時の年換算から約36%減り、利益率は低いまま残る。会社が示した2030年の売上150億円には届かないが、適切な経費管理で営業利益率約19%を守る。保有現金は必要資金と成長投資に使われ、一部が配当と優待で株主に戻る。
- 採用成立の成功報酬:数量 9,500(転職・新卒を企業が採用した成果1件)× 価格 0.01(採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均))→ 売上 71 億円・営業利益 17 億円。採用市場の実質数量は成熟するが、シェアを約2.2%から4.1%へ広げる。成功報酬単価は2025年比約1.15倍で物価上昇を下回る
- 企業向け年額基本利用料:数量 850(年間課金を受ける採用企業の数(社、概算))× 価格 0.01(年額基本料(億円/社))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。操作画面型の契約。既存契約がAIで減る影響を、新規採用企業の獲得で一部相殺する。価格は2025年比約1.04倍
- OpenWork口コミ・閲覧・送客:数量 1,100(期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標))× 価格 0.02(登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。累計会員は775万人から1,100万人へ増えるが、AI要約による直接閲覧・送客の減少で登録者当たり収益は低下
- オルタナティブデータFIS・DAP:数量 23.0(年間の顧客契約数(件、概算))× 価格 0.07(法人1契約当たり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。情報・調査サービス型のAI代替で契約数は28件相当から23件へ0.82倍、単価は1.12倍
- BNGハイクラス人材紹介:数量 95.0(四半期の成約件数相当(件、概算))× 価格 0.03(1件当たり平均紹介収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2026年四半期の成約換算37件を年間148件に直した母数から、面談工数のAI代替で95件へ0.64倍、単価は1.21倍
倍率:資本コスト7.25%、長期名目成長率g=1.0%。2035年の余剰現金42億円の税後利息1.4%相当を純利益から除いた本業利益は14.17億円、本業ROEは12.2%、新規再投資のRONIC=7.25%+残る割合1/2×(ROE−7.25%)=9.7%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.356倍という上限そのもので本業を評価し、余剰現金の帳簿額×0.75を別に加える。過去や同業の市場PERは根拠に使わない。
確率:口コミの蓄積と2026年上期の採用売上の伸びは成長余地を示すが、2030年目標の急拡大はそのまま延長しない。成熟した国内求人市場とAIの効率化圧力を合わせた中心シナリオなので30%。
やや悲観 24% AIと大手媒体の圧力で採用の取り分が縮む 利益 5 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 426 円89 億円
候補者の探索やスカウトの作成がAIエージェントに移り、採用のために人が求人サイトへ通う頻度が下がる。口コミの閲覧は残るものの、企業のマッチング予算は縮小し、利用者からの送客単価も下がる。新規の口コミ投稿が減り、比較情報の新鮮さがやや失われる。
直接採用市場は名目約1,500億円に停滞し、同社の採用売上の取り分は約3.0%になる。年間の採用成立は6,000件へとどまり、企業向けの固定利用料も価格を上げられない。ビズリーチやIndeedなど資金力の大きい媒体がAI機能を改善し続けることで、OpenWorkは一定の利用者を保ちながらも、主要企業との契約に苦戦する。人件費と販促費を削って支えるが、規模が縮んだ事業では利益率が約10%まで落ち込む。
BNGではアドバイザーの工数が置き換わり、紹介件数は買収直後の年換算の半分程度になる。新しいM&Aを控え、余剰現金を毀損しないよう配当を縮小する。会社の存在価値は残るが、追加投資のROICは資本コストに届かず、かつての高成長プラットフォームという優良さは弱まる。
- 採用成立の成功報酬:数量 6,000(転職・新卒を企業が採用した成果1件)× 価格 0.01(採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均))→ 売上 39 億円・営業利益 7 億円。AIと採用大手との競争で、成功報酬単価は2025年の推計額をわずかに下回る
- 企業向け年額基本利用料:数量 520(年間課金を受ける採用企業の数(社、概算))× 価格 0.01(年額基本料(億円/社))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。既存契約の解約と新規顧客の獲得が相殺し、画面利用料には値上げ力がない
- OpenWork口コミ・閲覧・送客:数量 900(期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標))× 価格 0.01(登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。口コミの価値は残るが、AI要約による流入減少と紹介料低下で媒体収益が縮む
- オルタナティブデータFIS・DAP:数量 18.0(年間の顧客契約数(件、概算))× 価格 0.06(法人1契約当たり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。分析レポートのAI内製化が進み、法人契約数が減る
- BNGハイクラス人材紹介:数量 75.0(四半期の成約件数相当(件、概算))× 価格 0.03(1件当たり平均紹介収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人による紹介工数が置き換わり、事業規模が縮み営業赤字に転じる
倍率:資本コスト7.25%に対し、2035年の本業利益は約4.36億円、現金分を除く自己資本92億円に対する事業ROEは4.7%で下回る。長期の再投資に超過価値を認めず、稼ぐ力の上限1÷7.25%=13.79倍で評価する。本業約4.36億円×PERに、余剰現金38億円×戻り方0.75を別に加算した。
確率:企業がAIで採用業務を効率化し、成功報酬を値切る変化に加え、ビズリーチ等への大口顧客の集中が重なる。口コミ基盤は残るため全面崩壊でなく収益性の低下とし24%。
悲観 14% マッチングの中抜きと投資失敗で事業の稼ぐ力を失う 利益 −3 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 325 円68 億円
採用企業は社内AIと外部の汎用プラットフォームで候補者に直接連絡し、専用の求人サイトを経由する成約は大きく減る。口コミは蓄積されていても更新が鈍り、AIの要約だけで済ませる利用者が増える。情報を持つ強みが、継続して取れる収益に結び付かなくなる。
直接採用市場が名目約1,100億円へ縮み、同社の採用売上シェアも約1.6%に下がる。採用成立は2,500件に落ち、報酬単価も採用企業からの圧力で引き下げられる。成長を狙った買収先でも人材流出や値下げが進み、BNGの相談業務は自動化でさらに縮む。情報分析の契約も減り、固定費や口コミ審査費を削り切れず、本業は営業赤字となる。
この状況では利益を基準に高い評価を与えられない。過去の口コミデータやのれんに売却額を期待せず、定期預金を含む換金しやすい金融資産から負債を支払った残余を重視する。2026年時点の資産を手掛かりに約67億円を床とし、追加的な買収失敗でさらに多くの資金が失われる可能性は監視すべき項目として残す。
- 採用成立の成功報酬:数量 2,500(転職・新卒を企業が採用した成果1件)× 価格 0.01(採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。企業がAIで採用を直接実行し、成果報酬型媒体を経由する件数と単価がともに減る
- 企業向け年額基本利用料:数量 300(年間課金を受ける採用企業の数(社、概算))× 価格 0.01(年額基本料(億円/社))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。画面利用契約の解約が増え、残る顧客にも値引きが必要になる
- OpenWork口コミ・閲覧・送客:数量 800(期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標))× 価格 0.01(登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。古い会員数は残っても実際の訪問と送客が減り、口コミ審査などの固定費が重くなる
- オルタナティブデータFIS・DAP:数量 12.0(年間の顧客契約数(件、概算))× 価格 0.05(法人1契約当たり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。情報サービスの顧客がAIで分析を内製化し、契約数と単価が下がる
- BNGハイクラス人材紹介:数量 40.0(四半期の成約件数相当(件、概算))× 価格 0.03(1件当たり平均紹介収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。アドバイザーによる紹介業務の代替と顧客流出が進む
倍率:営業赤字の悲観では継続的な稼ぎにPERを掛けない。2025年末の現在自己資本68.68億円を基準に、2026年6月の現預金80.55億円+売掛金6.08億円の8割−総負債18.61億円による清算可能額約66.8億円を床として、約67.5億円の時価総額に相当するPBR約0.983倍とする。のれん2.63億円とソフトウェア約0.89億円は実物換金価値なしと扱う。
確率:AIによる候補者探索の中抜き、大手へのシェア流出、買収事業の赤字化が重なる複合事象。高い手元流動性は残るため倒産は前提としないが、相当の確率があるとして14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
採用成立の成功報酬
OpenWorkの評価データとWeb履歴書を使い、採用が成立したときに企業から報酬を受け取る成果型。
| 数量転職・新卒を企業が採用した成果1件 | 価格採用1件当たり受取手数料(億円、企業・エージェント経由の加重平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,250 | 0.01 | 28 | 10 |
| 10 年後 中立 | 9,500 | 0.01 | 71 | 17 |
取り方:2025年有報の採用サービス計32.47887億円は確認できるが、成功報酬と基本料の内訳・採用決定人数は非開示。2026年資料の中途70万円、新卒30万円、別プラン中途80万円・新卒35万円の幅を根拠に、仮の加重単価65万円とし、総売上の約85%に相当する27.625億円を割り当てた結果、4,250件の成約相当と逆算した。会社の実際の件数ではない。残りは基本料に割り当てた。AI代替対象は採用検索画面だが、成約時の成果報酬は純粋な工数課金ではない。2025年のサービス別営業利益は非開示のため、事業別利益率は概算し、BNGを除く推定営業利益の合計15.80億円から本社・共通費3.81億円を引いて、実績営業利益11.99億円に合わせている。実際の事業別営業利益を示すものではない。
企業向け年額基本利用料
採用企業が求人掲載・スカウト画面を使うための年額基本利用料。
| 数量年間課金を受ける採用企業の数(社、概算) | 価格年額基本料(億円/社) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 405 | 0.01 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 850 | 0.01 | 11 | 4 |
取り方:2025年リクルーティング売上32.47887億円から推定成功報酬27.625億円を引いた4.85387億円を年額基本料に割り当てる。2026年公表価格120万円/年からを参考に、405社×約119.85万円で再現する。2025年契約社数4,400社はエージェントを含み課金企業数を示さないので405社は推定にすぎない。操作画面・契約課金のAI代替対象で、2025年導入の新プランは若い。
OpenWork口コミ・閲覧・送客
求職者向けの口コミ閲覧料や提携先への送客収益を受け取る自社情報媒体。
| 数量期末登録ユーザー数(万人、会員規模の代理指標) | 価格登録者1万人当たり年換算の媒体収入(億円/万人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 775 | 0.02 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,100 | 0.02 | 17 | 3 |
取り方:2025年有報のOpenWork収益12.43587億円と期末登録者775万人を対応させ、登録ユーザー1人当たり年約160円を媒体収益の近似値とした。2026年登録者820万人、口コミと評価スコア2,190万件は実績である。一人一契約の課金ではなく、口コミ閲覧料と提携先送客料等を登録者数で按分した代用単価で、実利用者数・送客件数は非開示。自社媒体の来訪減少を2035年の単価に織り込む。
オルタナティブデータFIS・DAP
社員の評価データを金融機関向けデータや人事組織分析レポートとして販売する情報サービス。
| 数量年間の顧客契約数(件、概算) | 価格法人1契約当たり年間利用料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 28.0 | 0.06 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 23.0 | 0.07 | 1 | 0 |
取り方:2025年有報のオルタナティブデータ収益1.62264億円が実績。FISとDAPを合わせた契約件数と平均単価は非開示なので、分析上28件×約579.5万円の法人契約に換算する。個別の契約額や件数の事実として扱わない。情報・調査型のAI代替として中立2035年23件、当初の0.82倍、価格は約1.12倍で、長期gは0%に近づく。
BNGハイクラス人材紹介
2026年に買収したBNGパートナーズの、アドバイザーが介在する経営人材紹介。
| 数量四半期の成約件数相当(件、概算) | 価格1件当たり平均紹介収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04-06 | 37.0 | 0.02 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 0.03 | 3 | 0 |
取り方:2026年4月買収のBNGは2025年通期には存在しない追加事業。2026年4~6月を含む半期連結のBNG売上0.92億円を、仮の1件250万円前後の紹介料で約37件/四半期と換算した。年間相当は37件×4=148件だが、開示された実件数ではない。従って2025年の三サービス計46.54億円との合計には混ぜない。人月に近いアドバイザー業務の中立数量は148件の約0.64倍、単価は名目1.21倍とし、AIエージェント代替を重く見る。
リスクと懸念
AIエージェント代替と採用報酬の下落
求職者向けの口コミ閲覧と求人検索、企業向けの候補者探索・スカウト、アドバイザー型人材紹介には異なる代替経路がある。独自データがあっても検索画面を通る必要が薄れれば来訪が減り、企業側では成功報酬を低くする交渉が進む。基本料金、情報サービス、BNGの数量・単価を分けて悲観する必要がある。
口コミの信頼性と鮮度
蓄積された口コミ・評価スコアは参入障壁だが、古い評価は離職率や経営方針の変化を表さない。虚偽投稿、削除請求、個人情報や生成AIによる加工物への対応で審査費が増えれば、手元のデータ件数が増えるだけでは価値を維持できない。現役社員の新しい投稿の比率と、利用者が応募まで進む率を追う必要がある。
強大な採用媒体とのシェア競争
ビズリーチ単独事業の売上は2026年7月期801億円で、同社の2025年の採用サービス売上32億円とは規模が違う。リクルート、Indeed、doda系サービスもAI求人提案を改善しており、企業が複数媒体を使うことで乗り換えの費用は低い。シェア拡大のために広告費を増やしても採用成立の増加が追い付かない事態を想定する。
最大100億円投資の資本配分
2025年末の現預金約76億円に対し、会社は2030年まで最大100億円の成長投資構想を掲げる。買収価格は非開示で、2026年のBNGとPM Clubの統合効果もまだ検証期間が短い。人材の離職や高値買いによるのれん減損が重なれば、これまで蓄積した現金を利益の薄い資産に変えてしまう。
採用景気と高付加価値求人の循環
求人企業は採用が難しいほど媒体に費用を払うが、景気後退や企業の採用凍結が起これば成果報酬はすぐ減る。リクルーティングは2025年の売上の約7割を占めるので、口コミ媒体の会員増加だけでは業績の落ち込みを防げない。BNGの経営人材紹介もスタートアップの資金調達や採用意欲に左右される。
親子上場・少数株主と潜在的希薄化
リンクアンドモチベーションが過半数を保有し、大型買収や余剰現金の配分で少数株主の議決権は弱い。自社株買いの実績と配当開始は前進だが、配当性向20%は現金の全額還元を保証しない。従業員向け新株予約権の行使や将来の買収対価としての新株発行が増えれば、既存株主の取り分が薄まる可能性がある。
今後の分かれ目
- 採用成立件数と企業当たり実効単価が同時に伸び、広告費率を増やさずに売上が増えたら
- 口コミを起点とするマッチングに強い収益性があると認め、やや楽観以上の確率を増やす。特に採用成立数が開示されれば数量の推定誤差を大きく減らせる。
- 2028年時点で2030年の営業収益150億円への道筋がなお遠く、採用基本料の継続利用も弱ければ
- 中立の成立件数と年額契約社数を下げ、やや悲観の重みを増やす。単なる予算未達より、採用企業の維持率が重要だ。
- 外部AI検索からOpenWorkの口コミが引用される一方、サイト内応募や送客収益が落ち始めたら
- 独自データの価値と自社が収益化できる割合を切り分ける。媒体の1人当たり収益と長期gを下方修正し、AIエージェント代替を確認する。
- BNGの成約件数と粗利が2026年年換算を下回り、紹介員の増員でも回復しなければ
- 人の工数で売る紹介業務のAI代替と競争を深刻化と見て、買収シナジーを外す。のれん減損と配当余力の縮小も検討する。
- 定期預金を含む現預金が減る一方、買収先の増分利益やROICが7.25%に届かなければ
- 余剰現金を帳簿額に近く戻るとは評価せず、0.75の戻り方と成長投資の採算を厳しく見直す。取得対価と事後業績の開示を要求したい。
- 採用大手との差を縮め、ダイレクトリクルーティング市場で売上シェア5%超が定着したら
- 会社固有の販売力と口コミを使った差別化が証明され、数量面の上振れを認める。ただし広告依存でシェアを購入していないか営業利益率を同時に確認する。
見ておくもの
- 四半期の採用成功報酬売上、年間の採用成立件数、成功時の実効単価(現時点では内訳非開示)
- OpenWorkリクルーティングの継続有料契約社数・解約率と年額基本料の売上比率
- 会員数・Web履歴書登録者数・新規口コミと評価スコア数・サイトからの応募率
- 広告宣伝費と人件費を通期で支払った後の営業利益率、会社の2030年目標の進捗
- AI求人検索の利用が応募・採用成立とどう結び付いたか、利用者の自然流入比率
- BNGの紹介件数・人員当たり粗利、PM Club統合効果、買収価格と事後ROIC
- 現金と定期預金、契約負債、M&A投資額、配当・優待・自社株買いの実行状況
倍率と資本コストの決め方
2025年の実績サービス売上46.54億円を採用成功報酬、年額契約、口コミ媒体、法人データに分け、BNGだけは2026年取得後の四半期実績を基準にした。未開示の成約数や有料企業数は公表料金から逆算した推定値であり、精度の弱さを数量の幅に残した。物価3%は名目単価の側にのみ反映し、AIエージェント代替は各サービスの10年の数量・価格とg_long=1%で扱い、kの寿命や確率には重ねていない。資本コスト7.25%、通常の堀を前提にRONICから正当化PERを算出し、現在・過去・同業の株価倍率は使わなかった。50億円の余剰現金には戻り方0.75を掛け、定期預金を二重計上していない。賃借事務所の費用は営業利益に入れ、新リース会計基準の表示変更による帳簿上の負債増と事業の実質価値を混同しない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の国債3%と株式リスクプレミアム4.5%を足した7.5%から、純現金による0.25ポイントを差し引く。買収・競争・AIの個別リスクは数量、利益率、長期成長率と確率で扱う。