結論
セキュアは、監視カメラと入退室管理の機器を選び、顧客の施設に組み込んで動かす会社である。筆者の評価は「やや割高」だ。防犯や顔認証の需要は十年後も残るが、現時点の収益は薄く、買収した売上を高いオーナー利益に変えられるか、まだ確かめる必要がある。
2025年の売上高は約68億円、営業利益は約3億円だった。2026年上期は大口案件で伸び、顔認証の累計導入件数は1万件を大きく超えた。設計、施工、保守をまとめる現場の対応力には価値がある。しかし2025年はALSOK向けが売上の約3分の1を占めており、最終顧客が増えても販売価格を一方的に決める立場ではない。
2026年には無人決済のTOUCH TO GO、監視カメラ製造のテスコムジャパンを傘下に迎えた。さらに日東通信を14億円強で取得する予定だ。施工網や自社機器がそろう好機だが、買収先の単価の低い工事売上と、のれん、借入金も一緒に増える。売上の大きさだけで価値を判断できない。
十年後の中立像では、既存システムの導入件数が増え、買収先の事業も定着する一方、収益性は段階的な改善にとどまる。楽観なら無人店舗と顔認証の利用が大きく広がる。しかし、過去の増資や新株予約権の発行まで含めると、今の株主の取り分には慎重であるべきだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見れば、十年後にも監視カメラや入退室管理は必要である。守るべき場所がある限り、物理的なカメラと扉の制御を文章生成AIだけで置き換えることはできない。この需要の持続性と、導入後の保守を任せてもらえる可能性は評価できる。
しかし、顧客がその必要性を認めることと、セキュアだけに高い値段を払うことは違う。扱う機器は競合が仕入れられ、販路はALSOKなどの大口代理店に集中する。販売先から見れば、セキュアが工事、機器、保守をまとめる便利な供給者であっても、替えのきかない独占者ではない。営業利益率が低いまま受注件数だけが伸びても、株主に残るお金は小さい。
余った現金にも自由度は限られる。2026年上期の現預金は32億円を超えるが、借入金もあり、商品在庫と売掛金に大きな資金が必要だ。買収先の技術を統合し、次の施工拠点や研究開発に回す資金は、直ちに配れる資金ではない。十年間の稼ぎから更新投資、買収費用、運転資金を引いた後のオーナー利益を重視したい。
経営には、自社機器と施工網を手に入れて原価率を下げる道がある。一方、相次ぐ買収ののれんを償却してもなお高い増分利益が得られるかは、まだ実績で証明されていない。将来の無人店舗の普及を過大に買わず、値上げの実績、既存顧客の再購入率、投下資本の利回りを確認して初めて評価を高めたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は二つの物理セキュリティ製品群である。SECURE ACは、顔認証やカード認証を使った入退室管理をオフィス、工場、店舗に設置する。SECURE VSは、小さな店舗からデータセンターまで監視カメラと録画・運用ソフトを組み合わせる。2025年の売上の約88%はこの二つであり、実物の機器や現地施工が欠かせない。
顧客は施設ごとに必要なカメラ、録画期間、入退室権限、配線やネットワークを選ぶ。セキュアは海外機器の調達、設計、組み合わせ、据え付け、運用支援で対価を得る。約9割が販売パートナー経由で、ALSOKとCBCが重要な取引先だ。製品を何台も売ること以上に、既存の設備を止めずに更新できることが顧客への約束になる。
SECURE Analyticsは、人流計測や画像解析、クラウド運用などの比較的小さい領域である。一部は画面や利用契約の価値が中心なので、AIエージェントが作業を肩代わりする可能性を別に考える。SECURE ESは電気通信工事、システム構築、保守を担い、現場作業が中心だ。事務的な設計書作成は自動化できても、配線と機器の設置はその場の人手が要る。
2026年に取り込んだTOUCH TO GOは、重量センサーとカメラなどを用いる無人決済店舗やセルフレジを販売する。テスコムジャパンは機器を設計するファブレス企業だ。12月に取得予定の日東通信は東北の公共・民間向け施工網を持つ。ここから先は単なる機器商社ではなく、店舗の運営から設備工事まで収益を広げられるかが問われる。
優良さと弱いところ
この会社の強みは現場の擦り合わせである。監視映像と出入口の認証情報を既存施設に合わせるには、顧客の運用を理解し、工事会社と機器メーカーを動かす必要がある。導入後の不具合対応や機器更新でも窓口になれるため、何の履歴もない新規参入者より受注しやすい。顔認証関連の累計導入が増えた事実は、実装経験の厚みを裏付ける。
ただし、独占的な堀とは言えない。会社の機器調達は海外メーカーに依存し、顔認証のアルゴリズムも汎用化が進む。国内の監視カメラにはi-PRO、アクシス、セーフィー、ハンファジャパンなどがいる。大きな販売先のALSOKも、機器と施工業者を比較できる立場だ。値上げを広く継続して通した実績や解約率の数値は確認できず、強い価格決定権は認めない。
資本効率の見かけにも注意が要る。2022年には営業赤字となり、2025年は増収でも利益率が5%に届かなかった。翌年のリコージャパン向け第三者割当増資は自己資本を厚くしたが、株数も増やした。2026年上期には買収でのれんと非支配株主持分が増え、親会社株主の利益と連結全体の規模は一致しなくなった。
現場の強さが十年先も通用するためには、販売代理店に依存した機器売りから、顧客が更新時にも同社を指名する保守・運用へ収益を移す必要がある。施工一件を増やすための営業人員と運転資金まで考えると、増分の投下資本利益率が資本コストを常に上回るとは言い切れない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の物理セキュリティ需要は、防犯に加えて人手不足対策と設備の遠隔管理が支える。富士経済は2029年の監視カメラ分野を約1,772億円、入退室管理分野を約1,593億円と予測する。市場が一夜に消える領域ではない。オフィスの建て替え、工場の入構管理、データセンターの警備高度化が需要の柱である。
ただし成長率を直近の受注から引き延ばせない。矢野経済研究所の2025年度監視カメラ・システム市場2,529億円は、クラウドや画像解析を含むベンダー出荷額であり、富士経済の分類とは範囲が違う。同社のSECURE VSの売上をそのまま割った数字を公認の市場シェアとは扱えない。参考に富士経済の2029年区分に対する現在の売上規模を比べると、入退室管理が1%台、カメラが2%台に相当する程度で、なお大手企業に対抗する余地はある。
競争相手は機器メーカーのi-PRO、アクシス、ハンファに加え、クラウド型のセーフィー、警備一体型のALSOKやセコム、建物の設備インテグレーターである。低価格の海外機器は機能が底上げされ、AIによる人物識別も特別な商品ではなくなる。顔認証と記録保存には個人情報保護法、設置場所には利用者の同意やプライバシーへの配慮がつきまとう。運用上の事故が一度起きれば受注への影響は長い。
無人決済ではTOUCH TO GOと組み、店舗の機器や決済を一体化する。導入先の広がりは店舗の省人化需要で決まるが、競合するセルフレジやRFID、スマートカートも進化する。会社が目指す早期1,000店舗は目標であって受注済み数量ではない。事業の数量成長は、セキュリティ市場全体の拡大とシェア獲得を分けて慎重に考える。
2029年市場の名目規模を物価3%だけで2036年に延長すれば、入退室管理は約1,959億円、カメラは約2,179億円となる。これを超過需要成長がない基準の参考分母とし、シェアが増える筋書きは同社の案件数量と売上比率に反映する。ただしメーカー出荷と設置工事を含む売上の違いから、各筋書きの比率は公式の市場シェアではない。
資本政策と M&A
資本配分で最大の論点は買収の速さである。2024年にジェイ・ティー・エヌ、2025年にメディアシステムを買い、2026年にはTOUCH TO GOの56.2%、テスコムジャパンの全株を取得した。さらに日東通信の買収を10月に決議し、取得関連費用を含む約14.23億円に対して、みずほ銀行から約14.05億円を借り入れる計画だ。日東通信の直近期の売上高は約27.18億円だが、営業利益は約0.64億円しかない。売上を買うことと良い利回りで再投資することは別である。
2025年のバッファローとの提携で約14.55億円、2026年のリコージャパンとの提携で約9.59億円の資本増強が行われた。販路を広げる利益は期待できるが、持ち分の希薄化という代価も払った。2026年9月には、調整後連結営業利益が2027〜2029年のいずれかで15億円を超えることなどを条件とする新株予約権も確定した。達成しなければ権利行使に伴う希薄化は発生しない。
2026年12月期の会社計画は売上82.06億円、営業利益6.20億円、親会社純利益4.10億円であり、これは単年度の予想である。中期経営計画として何年何月までにROE何%、売上何億円を達成するという数値の約束は確認できない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの額も数字の約束なしで、2025年の配当と2026年の予想配当はゼロだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
セキュアは、単に防犯カメラを仕入れて売る段階を抜け出そうとしている。顔認証関連の累計導入が1万件を超え、物流施設やデータセンターなど複雑な現場で大型案件が増えた。これらは、数台の機器を取り付ける安売り競争とは違う。事故を起こせない施設では設計の知見と保守の確かさが選定条件になる。
テスコムジャパンを取り込むことで、従来は外部に頼っていたハードウェアの設計・調達を自社で最適化できる。日東通信の東北拠点と有資格者が加われば、遠隔地の営業提案から施工・保守までを一括受注しやすくなる。バッファローとリコージャパンの販路を使えば、これまで接点の薄かった企業や工場へも広がる。
無人店舗は、店舗の人件費高騰という現実の問題に答える。TOUCH TO GOがすでに持つ店舗システムと、セキュアの映像解析を組み合わせれば、機器販売だけでなく運営支援、保守、データ分析から継続収入を得られる。1,000店舗という会社の目標が実現し、その後に直販と共通基盤が育つなら、低かった利益率が二桁に近づく余地はある。
2026年の提携増資で自己資本は大きく増えた。成長投資のための借入が重くなっても、施設の安全という長期需要は消えない。追加の増資をせずに取得した施工会社の現金創出力を高められれば、既存株主の持分にも十分な利益が残る。
慎重な見方
事業が大きくなるほど、むしろ利益率の薄さが目立つ。2025年の営業利益率は5%未満だった。約27億円を売る日東通信の営業利益はわずか約0.64億円である。規模が大きい工事会社を追加しても、それだけでは高収益企業にならない。買収対価は借入で賄われ、金利負担と返済が先に確定する。
監視カメラや顔認証の需要が伸びること自体は否定しない。しかしi-PRO、アクシス、ハンファなどの機器性能は上がり、セーフィーなどのクラウド運用も競争を変える。顧客はAIが搭載されたことだけでは値上げを受け入れない。実際、2026年上期の売上成長は導入件数の増加だけでなく大型案件による単価上昇が大きく、継続的な価格決定権の証明ではない。
2025年はALSOKとCBCの2社で売上の四割強を占めた。販売先が調達先を替えたり、自前の製品開発や保守を強めたりすれば、セキュアの取り分は減る。さらに、映像解析の管理画面と報告業務はAIエージェントによる自動化の対象になる。独自データの排他権や長期解約率の開示がないサービスを、強い継続課金の堀として評価できない。
株主も痛みを受ける。2025年、2026年と提携のたびに増資し、2026年には新株予約権も発行した。今後も買収が続けば、営業利益が増えても既存株主一人あたりの取り分が追いつかないことがあり得る。景気後退や個人情報の事故が重なると、薄い利益と借入の組み合わせが急速に厳しくなる。
どちらに重みを置いたか
需要の持続性では強い見方に分があるが、株主の利益率と値決め力では慎重な見方が優勢だ。2026年の買収で業容は大きくなる一方、日東通信の低収益と追加借入が残る。AIエージェントの代替は小さな画像解析サービスに集中し、物理的な施工や機器そのものには広げない。確率は楽観側より下側をやや厚くした。ただし市場の成長を否定して二重に悲観へ寄せたわけではなく、買収統合と代理店への依存という会社固有の不確実性を反映した。十年の確率価値は基準時価総額に届かず、安全域が足りない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,978 円123 億円(+ 還元の換算額還元の合計 97 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 960 円60 億円、今との差 −19.6%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,533 円344 億円 | 394 円24 億円 | +396.0% | +18.4% | 593 円37 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,207 円199 億円 | 189 円12 億円 | +184.2% | +11.4% | 611 円38 億円 |
| 中立 | 36% | 2,011 円125 億円 | 64 円4 億円 | +73.7% | +5.8% | 747 円46 億円 |
| やや悲観 | 25% | 353 円22 億円 | 0 円0 億円 | −70.4% | −11.5% | 88 円5 億円 |
| 悲観 | 11% | 322 円20 億円 | 0 円0 億円 | −73.1% | −12.3% | 35 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,978 円123 億円 | 97 円6 億円 | +73.6% | +5.8% | 2,075 円129 億円 |
今の株価時価総額 1,195 円74 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 顔認証と無人決済が大きく普及 利益 26 億円 · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,533 円344 億円
導入件数の伸びに製造・施工の内製化が追い付く。入退室管理ではデータセンター、工場、複数拠点チェーンの需要をつかみ、単価の高い顔認証を導入する。監視カメラでも物流施設や公共施設など大規模案件を継続して獲得し、メーカーと共同開発した機器を売る比率が高まる。
日東通信と既存施工会社の顧客を相互に開拓でき、工事の稼働率が上がる。TOUCH TO GOとの無人決済は1,000店舗の当初目標を超え、保守と運用料を積み上げる。実店舗で機器が稼働する商品はAIエージェントが画面を操作するだけでは代替できない。会社は買収を当面止め、のれん負担より大きい利益を生む。
販売パートナーと自社販路を併用し、価格ではなく事故の少なさと導入時間の短さで選ばれる。高付加価値案件の比率が上がって二桁の営業利益率に達する。後半は小幅な配当と自社株買いも始め、増資の追加発行なしで事業を伸ばす。新株予約権の行使は利益の成功と引き換えに受け入れる。
- SECURE AC/入退室管理:数量 3,700(導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件))× 価格 0.02(1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 76 億円・営業利益 25 億円。案件数量と案件単価を分け、2036年国内市場約1959億円と比較した参考売上比率3.87%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長したモデル値で、シェア実測値ではない。
- SECURE VS/監視カメラ:数量 9,000(監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 135 億円・営業利益 43 億円。システム案件数量と単価を分け、2036年国内市場約2179億円と比較した参考売上比率6.19%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長し、機器と工事の混在で市場定義がずれるため公式シェアではない。
- SECURE Analytics/画像解析・その他:数量 200(画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.01(契約・案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の画面・席課金類似型。2025年モデル換算200契約から200件、単価0.0138億円。独自DBの正本・継続値上げ・低解約率の二証拠がなく強い堀は認めない。
- SECURE ES/施工・エンジニアリング:数量 980(施工・保守案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.08(案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 81 億円・営業利益 8 億円。現場工事はAI代替対象外。取得予定の日東通信2025年売上約27.18億円を含む施工能力を数量へ反映。事務作業のみ工数代替を織り込んだ。市場全体の契約件数とシェアは非開示。
- AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分:数量 1,200(導入店舗・決済端末換算(年、推定))× 価格 0.04(1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定))→ 売上 48 億円・営業利益 8 億円。2026年買収したTOUCH TO GOの取得後の追加売上。導入店舗・端末換算の数と名目単価は未開示のため仮定。店舗実績と総市場のシェアを断定しない。
倍率:2036年純利益26.15億円、親会社自己資本156.94億円でROE16.7%。k8.25%、堀の残存率1/2からRONIC12.46%を算定する。10年より先の名目成長gは2%(機器・設置需要の成熟とAnalyticsのAIエージェント代替)。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.431倍を上限そのもので使い、独立した余剰現金は計上しない。株主希薄化係数はmcapに手掛けせず別適用とする。
確率:顔認証と無人決済の両方で大型案件の継続獲得、製造原価の削減、買収各社の利益改善まで成功する必要がある。会社の1千店舗目標を十年で超えるが、高い条件が重なるため上側の確率は小さくする。
やや楽観 18% 既存顧客の拡大と買収の整合 利益 16 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,207 円199 億円
顔認証の入退室管理は、中規模拠点に加えて物流・データセンターの受注を広げる。販売パートナーの提案数が増え、案件単価は物価上昇をやや上回る。監視カメラもクラウド型と大規模な録画設備が並存し、競合との価格競争を受けながら件数を伸ばす。
TOUCH TO GOは小売チェーンの無人化を少しずつ取り込み、採算を見ながら導入先を広げる。日東通信は東北の保守網を提供し、工事の重複を減らす。テスコムの機器設計力が生き、仕入原価率を抑えられる。買収のれんは残るが、統合費用が一巡し利益率は上がる。
既存の販売代理店と良好な関係を維持することで大口先の売上は保てる。ただし値上げの力は限定的で、海外ハードメーカーやクラウドカメラ会社には高い水準の競争が続く。終盤に株主還元は始まるが、資金の多くは現場の採用とシステム更新に残る。
- SECURE AC/入退室管理:数量 3,000(導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件))× 価格 0.02(1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 55 億円・営業利益 18 億円。案件数量と案件単価を分け、2036年国内市場約1959億円と比較した参考売上比率2.79%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長したモデル値で、シェア実測値ではない。
- SECURE VS/監視カメラ:数量 7,500(監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 99 億円・営業利益 33 億円。システム案件数量と単価を分け、2036年国内市場約2179億円と比較した参考売上比率4.54%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長し、機器と工事の混在で市場定義がずれるため公式シェアではない。
- SECURE Analytics/画像解析・その他:数量 185(画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.01(契約・案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の画面・席課金類似型。2025年モデル換算200契約から185件、単価0.0136億円。独自DBの正本・継続値上げ・低解約率の二証拠がなく強い堀は認めない。
- SECURE ES/施工・エンジニアリング:数量 780(施工・保守案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.08(案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 61 億円・営業利益 6 億円。現場工事はAI代替対象外。取得予定の日東通信2025年売上約27.18億円を含む施工能力を数量へ反映。事務作業のみ工数代替を織り込んだ。市場全体の契約件数とシェアは非開示。
- AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分:数量 800(導入店舗・決済端末換算(年、推定))× 価格 0.04(1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定))→ 売上 28 億円・営業利益 4 億円。2026年買収したTOUCH TO GOの取得後の追加売上。導入店舗・端末換算の数と名目単価は未開示のため仮定。店舗実績と総市場のシェアを断定しない。
倍率:2036年純利益15.62億円、親会社自己資本117.29億円でROE13.3%。k8.25%、堀の残存率1/2からRONIC10.78%を算定する。10年より先の名目成長gは2%(機器・設置需要の成熟とAnalyticsのAIエージェント代替)。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.033倍を上限そのもので使い、独立した余剰現金は計上しない。株主希薄化係数はmcapに手掛けせず別適用とする。
確率:新旧事業の統合が順調で、販路提携が数量増加に結び付く筋書き。売上の伸びは強いが、無人店舗の普及と工事会社の利益率改善にはなお時間が必要とみる。
中立 36% 機器と施工が伸びるが薄利を脱し切れない 利益 10 億円 · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,011 円125 億円
現実の施設でカメラと扉の認証が必要なことは変わらない。入退室管理は2025年の約1,500案件から増え、監視カメラは物流、商業施設、工場で更新需要を獲得する。値段には十年間の物価上昇を反映するが、競合製品の汎用化が進むため、物価を超える一方的な値上げは続かない。
日東通信が持つ年間約27億円の工事売上は業容を押し上げる。ただし同社の買収前の利益率が低いことを踏まえ、拡張した工事部門の採算も慎重に見る。テスコムの設計・調達統合は原価改善に効き、TOUCH TO GOの無人決済も数百店舗へ広がるが、会社の1,000店舗目標には届かない。
画像解析の画面や定型報告の価値はAIエージェントに奪われ、契約換算数量は現状の約8割、単価の伸びも物価以下となる。それでも実機の設置や電気通信工事は残る。営業利益率は過去より改善するが、自己資本も増資と利益留保で厚くなり、ROEの高止まりまでは期待しない。利益条件付きの新株予約権は未行使となり、既存株主の取り分は維持される。
- SECURE AC/入退室管理:数量 2,400(導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件))× 価格 0.02(1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 40 億円・営業利益 13 億円。案件数量と案件単価を分け、2036年国内市場約1959億円と比較した参考売上比率2.02%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長したモデル値で、シェア実測値ではない。
- SECURE VS/監視カメラ:数量 6,200(監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 75 億円・営業利益 26 億円。システム案件数量と単価を分け、2036年国内市場約2179億円と比較した参考売上比率3.44%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長し、機器と工事の混在で市場定義がずれるため公式シェアではない。
- SECURE Analytics/画像解析・その他:数量 160(画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.01(契約・案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の画面・席課金類似型。2025年モデル換算200契約から160件、単価0.0132億円。独自DBの正本・継続値上げ・低解約率の二証拠がなく強い堀は認めない。
- SECURE ES/施工・エンジニアリング:数量 680(施工・保守案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.07(案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。現場工事はAI代替対象外。取得予定の日東通信2025年売上約27.18億円を含む施工能力を数量へ反映。事務作業のみ工数代替を織り込んだ。市場全体の契約件数とシェアは非開示。
- AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分:数量 400(導入店舗・決済端末換算(年、推定))× 価格 0.03(1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。2026年買収したTOUCH TO GOの取得後の追加売上。導入店舗・端末換算の数と名目単価は未開示のため仮定。店舗実績と総市場のシェアを断定しない。
倍率:2036年純利益9.94億円、親会社自己資本95.06億円でROE10.46%。k8.25%、普通の堀の超過利回り残存率1/2からRONIC9.35%となる。10年より先の名目成長g2%から、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.5787倍を式の上限どおり適用。条件未達の新株予約権は行使・払込とも計上せず、未確認の自由現金も別に足さない。
確率:既存の入退室管理・監視カメラの案件数と2026年買収の売上を組み入れる一方、代理店主導の価格交渉と低収益の施工会社が残るため、利益率の上振れは限定する中心像。
やや悲観 25% 設備需要は残っても調達競争で収益縮小 利益 3 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 353 円22 億円
監視カメラと認証機器はなお売れるが、AI機能が標準化し差別化の根拠が弱くなる。ALSOKなどの大手取引先が機器メーカーから直接仕入れたり、導入先ごとに複数業者を競争させたりするため、セキュアの受注は小規模な案件に偏る。大型案件が減ると、現地施工と保守を束ねる強みも利益につながりにくい。
2026年に買収した工事会社は人材を補うが、賃金上昇で収益性が伸びない。日東通信の借入返済に現金を充て、研究開発や自社製造への追加投資を抑える。TOUCH TO GOの導入先は数百に届かず、現金を使う店舗実証が先行する。
画像解析サービスはAIエージェントに定型処理を代替されるため、契約数が縮小し、値上げも通らない。経営は拠点統合と採用抑制で共通費を下げ、ようやく小幅な黒字を維持する。買収のれんに資産価値を認めず、株主還元も見送る。業績目標付き新株予約権も行使されず、希薄化よりも収益力の低下が株主価値を圧迫する。
- SECURE AC/入退室管理:数量 1,750(導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件))× 価格 0.01(1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 25 億円・営業利益 8 億円。案件数量と案件単価を分け、2036年国内市場約1959億円と比較した参考売上比率1.25%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長したモデル値で、シェア実測値ではない。
- SECURE VS/監視カメラ:数量 4,600(監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 48 億円・営業利益 16 億円。システム案件数量と単価を分け、2036年国内市場約2179億円と比較した参考売上比率2.22%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長し、機器と工事の混在で市場定義がずれるため公式シェアではない。
- SECURE Analytics/画像解析・その他:数量 130(画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.01(契約・案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の画面・席課金類似型。2025年モデル換算200契約から130件、単価0.0125億円。独自DBの正本・継続値上げ・低解約率の二証拠がなく強い堀は認めない。
- SECURE ES/施工・エンジニアリング:数量 435(施工・保守案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.07(案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。現場工事はAI代替対象外。取得予定の日東通信2025年売上約27.18億円を含む施工能力を数量へ反映。事務作業のみ工数代替を織り込んだ。市場全体の契約件数とシェアは非開示。
- AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分:数量 140(導入店舗・決済端末換算(年、推定))× 価格 0.02(1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2026年買収したTOUCH TO GOの取得後の追加売上。導入店舗・端末換算の数と名目単価は未開示のため仮定。店舗実績と総市場のシェアを断定しない。
倍率:床の資産倍率の分母は2025年12月期の直近確定自己資本29.3億円とし、2026年6月末の増資後自己資本39.86億円や2036年の推計自己資本には掛けない。PBR0.75倍で時価総額21.975億円となる。2036年純利益2.61億円、推計自己資本39.86億円に対するROE約6.5%は資本コスト8.25%を下回るため、長期の超過利潤を認めない。稼ぐ力の上限は2.61÷0.0825=約31.64億円で、純現金と売却可能資産を慎重に評価した床20億円を超えるが、この二つの上限・床の範囲で、大口代理店との価格競争と買収資産の回収不確実性を考慮した評価である。
確率:大口代理店の仕入先の多様化、低価格機器の浸透、施工会社の採用費上昇が重なると、売上成長だけでは株主利益を増やせない。最も起こりやすい失敗として厚めにみる。
悲観 11% 代理店離反と買収失敗で再建 利益 −9 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 322 円20 億円
機器のAI機能は一般化し、低価格の海外メーカーやクラウド系の競合が監視カメラの取り換え需要を押さえる。入退室管理でも大口顧客が取引先を替え、受注件数と案件単価が同時に下がる。新規拠点を開いた販売体制は仕事量に比べて重くなり、顧客の設備更新があっても採算は戻らない。
2026年に買った工事会社は技能者の離職と低採算案件に苦しみ、のれんを減損する。日東通信の借入返済を優先するため、次の成長投資に回る現金が細る。無人決済は代替技術に押され、店舗導入が僅かにとどまる。AIエージェントが定型的な画像解析・報告処理を標準機能として提供し、専用サービスの売上は大きく縮む。
後半には本社費と支店を削減しても営業赤字が続く。10年間の利益は通算で損失となり、配当も自社株買いもない。会社は縮小しながら売掛金や在庫を処分し、残る価値は利益でなく実際に売れる資産が中心になる。業績連動型の新株予約権は行使されないため、追加の希薄化は起こらない。
- SECURE AC/入退室管理:数量 1,300(導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件))× 価格 0.01(1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。案件数量と案件単価を分け、2036年国内市場約1959億円と比較した参考売上比率0.83%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長したモデル値で、シェア実測値ではない。
- SECURE VS/監視カメラ:数量 3,300(監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 7 億円。システム案件数量と単価を分け、2036年国内市場約2179億円と比較した参考売上比率1.36%。富士経済2029年市場を年3%の名目価格上昇のみで延長し、機器と工事の混在で市場定義がずれるため公式シェアではない。
- SECURE Analytics/画像解析・その他:数量 80.0(画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.01(契約・案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の画面・席課金類似型。2025年モデル換算200契約から80件、単価0.0103億円。独自DBの正本・継続値上げ・低解約率の二証拠がなく強い堀は認めない。
- SECURE ES/施工・エンジニアリング:数量 250(施工・保守案件数(年、モデル上の仮定))× 価格 0.06(案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。現場工事はAI代替対象外。取得予定の日東通信2025年売上約27.18億円を含む施工能力を数量へ反映。事務作業のみ工数代替を織り込んだ。市場全体の契約件数とシェアは非開示。
- AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分:数量 35.0(導入店舗・決済端末換算(年、推定))× 価格 0.02(1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2026年買収したTOUCH TO GOの取得後の追加売上。導入店舗・端末換算の数と名目単価は未開示のため仮定。店舗実績と総市場のシェアを断定しない。
倍率:営業赤字が続く想定のため継続利益の現在価値をプラスに評価せず、純現金、回収可能な売掛金、在庫の処分価値から、のれん・無形資産、換金損失と清算費用を差し引いた売却可能資産の税後床20億円を価値の根拠とする。JSONのPBR0.682593857倍は床20億円を2025年12月期の確定自己資本29.3億円に対応させる表示上の換算値であり、2026年6月末の自己資本39.86億円や2036年の推計自己資本に適用する資産倍率ではない。当初の0.50倍を増資後自己資本に掛ける評価は取り消す。
確率:大口販売チャネルの喪失、機器価格の下落、無人店舗の不採算と買収のれんの減損が重なる尾部事象。確率は高くないが、現場の固定費が残るため株主損失は深い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
SECURE AC/入退室管理
カード認証・顔認証・入退室権限管理をオフィス、工場、店舗などに設置する。
| 数量導入システム案件(年間件数、単価20万円以上の案件) | 価格1件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,532 | 0.01 | 19 | 7 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 0.02 | 40 | 13 |
取り方:2025年有報のサービス売上18.57832億円、導入案件1,532件。単価は売上÷件数で約121万円。大口案件、保守・小型取引が含まれ単純な全件請求価格ではない。2026年上期は売上11.36億円、導入件数微減にもかかわらず大型案件で単価が上昇。案件数の範囲は有報の基準による。当該区分の営業利益は単一報告セグメントのため非開示。now.op_okuは機器・案件の貢献利益の推定であり、共通の営業・本社費を別途控除するため開示されたセグメント利益と解釈しない。国内市場の参考値は富士経済の2029年入退室管理1,593億円。現在売上を2029年市場で割る異時点比率1.17%は参考のみで、公式シェアではない。
SECURE VS/監視カメラ
監視カメラ、録画装置、映像管理ソフト、設計と現地導入を組み合わせる。
| 数量監視カメラ・システム案件(年間件数、単価10万円以上) | 価格1案件当たり売上(億円/件、機器・導入を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,668 | 0.01 | 42 | 17 |
| 10 年後 中立 | 6,200 | 0.01 | 75 | 26 |
取り方:2025年有報のサービス売上41.78202億円、導入案件4,668件から案件単価約89.5万円を計算。数万台を扱う大型案件から小型店舗まで混在する。2026年上期24.16億円は物流・データセンター案件の大型化が寄与し、件数と単価が逆方向に動く。当該区分の営業利益は単一報告セグメントのため非開示。now.op_okuは機器・案件の貢献利益の推定であり、共通の営業・本社費を別途控除するため開示されたセグメント利益と解釈しない。国内市場の参考値は富士経済の2029年監視カメラ1,772億円。現在売上を2029年市場で割る異時点比率2.36%は参考のみで、公式シェアではない。
SECURE Analytics/画像解析・その他
人流計測、画像解析、クラウドでの監視映像活用や小規模その他販売。
| 数量画像解析の契約・案件数(年、モデル上の仮定) | 価格契約・案件当たり売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 0.01 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.01 | 2 | 1 |
取り方:2025年有報にAnalytics/その他の売上2.42213億円のみ開示、契約数は非開示。比較のため年200案件と仮定し単価121万円を逆算したが、実際の契約件数でもSaaS利用者数でもない。ここには2025年のAI Store実証等が含まれ得るため、買収後のTTG売上と重複しないようTTGは増分だけ別に扱う。AIエージェント代替の「席・画面」型として中立数量0.80倍、価格1.09倍。営業利益は開示区分利益ではなく案件貢献利益の推定で、共通人件費・本社費を控除する前の値。独立した解析ソフト市場と同社の実契約件数が特定できず、精度あるシェア推計は不可能。事業規模は2025年全社売上の約3.5%。
SECURE ES/施工・エンジニアリング
電気通信工事、システム施工、施工管理と保守。2026年末に日東通信の取得を予定。
| 数量施工・保守案件数(年、モデル上の仮定) | 価格案件当たり売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.06 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 680 | 0.07 | 48 | 5 |
取り方:2025年有報のSECURE ES売上5.62568億円。施工案件数は未開示のため年100件・単価約563万円としたモデル上の単位。2026年12月取得予定の日東通信は単体売上27.18億円・営業利益0.64億円であり、2036年の案件数急増分は大部分を同社の外部売上と施工網に帰属させる。現地工事はAI代替対象外、設計書作成等の事務部分だけ人月型の縮小を想定。営業利益は開示区分利益ではなく案件貢献利益の推定で、共通人件費・本社費を控除する前の値。国内電気通信工事の統一市場と同社の受注件数は非開示なのでシェアは不明。買収先の売上規模で拡大余地を検証する。
AI STORE/TOUCH TO GOの買収増分
店舗向け無人決済機器、カメラ・センサー、決済端末、保守と運用サービス。
| 数量導入店舗・決済端末換算(年、推定) | 価格1導入単位当たり機器・保守売上(億円/年換算、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.04 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.03 | 12 | 1 |
取り方:2025年はTOUCH TO GOを連結していないため増分基準は売上0、数量0。2026年4月に56.2%を取得し、2026年中間は貸借対照表のみ連結、取得後の売上実績は本表起点に存在しない。会社は早期1,000店舗の導入を目指すが受注済みではない。非開示の導入単価を仮定し、新規施設への物理的な設置と運用料をモデル化。単価0.04億円はまだ実績のない将来計画を比較するための仮定で、2025年の実売単価ではない。無人決済店舗は会社目標1,000か所が対象上限ではなく、市場全体の稼働店舗数やシェアは開示がなく推定不能。
リスクと懸念
大型顧客への依存と価格交渉力
2025年の売上高ではALSOKが約32.5%、CBCが約10.8%を占めた。大型販売代理店が取り扱うメーカーや施工先を替えれば、同社の売上と粗利益は同時に傷む。顧客のセキュリティ需要が残ることと、同社が同じ利益を得られることは別だ。強い値上げ実績は開示されていない。
買収ののれんと新規借入
2026年6月末のれんは約6.35億円で、2026年中の買収完了前から無形の価値への依存が増えている。日東通信には約14.05億円の買収借入が予定され、取得価格に比べて直近期の営業利益は小さい。買収後の工事案件が想定を外せば、のれん減損と借入返済が自己資本と現金を同時に圧迫する。
AIエージェント代替と映像解析の汎用化
SECURE Analyticsのクラウド画面、混雑レポート、定型監視の一部は、AIエージェントやカメラメーカーの標準解析機能が置き換えられる。独自データの排他性、解約率、規制対応による値上げ実績は確認できないため、記録の正本型の堀は認めない。実際のカメラ、入退室設備、現地施工には同じ削減率を掛けない。
希薄化と株主還元の後回し
バッファローとリコージャパンとの資本提携で資金調達が進んだ一方、既存株主の持分は薄まった。2026年9月確定の新株予約権も完全行使時には追加の株数が生じる。2025年の配当はゼロ、2026年予想もゼロであり、成長した事業から少数株主に資金が戻ることは約束されていない。
海外機器の調達・為替・個人情報規制
カメラや周辺機器は海外、特に韓国などからの調達に頼る部分があり、為替が一定でも部材価格や供給制約は変わる。顔認証と画像の長期保存では個人情報保護、同意、施設ごとの運用規定への適合が必要だ。セキュリティ事故が発生すれば、案件の延期と保守費用の増加を通じて採算が悪化する。
工事人材・更新費用と固定費
日東通信を含む施工拠点の採用と有資格者の確保に失敗すると、受注しても現場工事を完了できない。建設費と賃金の上昇は新しい設備や店舗システムの更新資金も押し上げる。既存資産の償却費が物価に合わせて増えるわけではないが、更新支出は増えるため会計上の利益ほど自由現金が増えない可能性がある。
今後の分かれ目
- 2027〜2029年のいずれかで調整後連結営業利益15億円を超え、かつ買収費用を控除した営業CFも改善したら
- 楽観・やや楽観の確率を高める。新株予約権の行使・希薄化と払込金を反映し、売上増より増分ROICを優先して評価する。
- SECURE ACとVSの年間導入件数がともに増え、案件単価が物価以上に伸びる状態が複数年続いたら
- 代理店を経由しても価格決定力が改善した可能性を認め、数量と利益率を上方修正する。ただし大型案件一件の効果とは区別する。
- 日東通信の営業利益率が改善せず、借入返済により現金が減り続けたら
- 施工売上の価値を下げ、のれん減損と利払いを悲観筋書きに織り込む。配当の開始時期も先送りする。
- ALSOKやCBC向け売上比率・粗利が大きく下がり、新しい販売パートナーが補えなかったら
- 既存システムの数量と単価を引き下げ、やや悲観・悲観に確率を移す。案件数だけの回復は値決め力の回復と見なさない。
- TOUCH TO GOの導入済み店舗数、導入単価、継続利用料と解約率が明示され、採算性が確認できたら
- AI STOREを実証段階の上振れではなく予測可能な収益として扱い、保守収入・投下資本と照合して価値を見直す。
- 画像解析の管理画面の利用料が下がり、AIによる代替で契約数が縮小したら
- SECURE Analytics部分の数量・価格を追加で引き下げる。ただし監視カメラ本体と現地施工に同じAI代替係数を重ねない。
見ておくもの
- SECURE ACとSECURE VSの年間導入件数、1案件売上と大型案件の比率
- ALSOK・CBC向け売上構成比、販売パートナー数と自社直販売上比率
- 2026年以降の日東通信・テスコムジャパン・TOUCH TO GOの買収後売上と営業利益率
- のれん残高、純現金・総借入金、借換金利、買収債務の返済進捗
- TOUCH TO GO無人決済の導入済み店舗数、継続料金、解約・更新率
- 業績条件付き新株予約権の行使、追加増資、配当・自社株買いの開始
- 国内監視カメラ・入退室管理の市場シェア、顔認証のプライバシー規制
倍率と資本コストの決め方
2025年の公表されたSECURE AC1,532件とVS4,668件、各サービス売上を起点に案件単価を算出した。工事件数とAnalytics契約件数、AI STOREの将来契約単価は未開示なので推定を明記し、2026年の三件の買収を独立した数量要因にした。2025年の親会社利益と2026年6月末自己資本の時点差、日東通信向け追加借入、9月の潜在株を確認した。資本コスト8.25%、堀の超過利回り残存率1/2、長期名目成長2%を先に決め、十年利益とROEから正当化PERを計算した。悲観側のPBRは2025年12月末の確定自己資本29.3億円だけを床の倍率の分母とし、2026年6月末の増資後自己資本39.86億円や2036年の推計資本には掛けない。やや悲観の時価総額は21.975億円、悲観は稼ぐ力が負なので売却可能な税後正味資産20億円を床とした。悲観のPBRはこの資産床を29.3億円で割った換算値であり、資産価値自体はPBRから逆算していない。今の株価や同業PERを倍率の根拠には使わず、余剰現金を未確認のまま二重計上していない。新株予約権は楽観側でのみ業績条件を満たすため株主取り分を0.97936とし、中立・悲観側は条件未達の1.0とした。中立では未行使の払込予定金約1.83億円を自己資本から除外してROE・倍率を再計算した。区分利益は貢献利益の推定とし、共通費を別途差し引く。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式上乗せ4.5%の7.5%に、過去の収益変動・販売価格の交渉力・純現金の評価差を加えた8.25%。βと時価総額、買収固有リスクによる追加上乗せは使わない。