結論
ユナイトアンドグロウは、中堅・中小企業の情報システム部門を、複数の企業で共有する専門人材によって支える会社である。筆者の結論は割高だ。事業の質と財務は魅力的だが、稼働時間に応じて請求する仕組みがAIエージェントの普及に弱く、10年先の利益を現在の成長率から延長することはできない。
2025年12月期の売上高は35億円、営業利益は5.6億円であり、2017年からの増収と利益率改善には実績がある。2026年上期も価格改定と支援人材の増加で売上が27%伸びた。顧客にIT専門家を直接雇う負担をかけず、必要な時間だけ使ってもらう仕組みは優れている。約23億円の純現金も、環境変化への対応を支える大きな強みだ。
しかし、顧客に提供する価値と、請求できる作業時間は別である。問い合わせ対応、アカウント管理、システム開発、運用作業の一部は、今後AIによって必要時間が短くなる。2026年10月には、同社自身がAIの急速な進化を理由に知識共有サービスKikzoの終了を決議した。これは主力事業の消滅を意味しないが、技術が事業の一部を置き換える現実的な証拠である。
中立では、重要な顧客接点とIT統制を担う人材は残るものの、請求可能時間が減り、2035年の営業利益は現在より小さくなる。還元されない利益と現金の価値も考慮した確率加重の本質価値は、現在の時価総額約58億円を3割程度下回る見通しである。会社の成長力を否定する評価ではない。時間課金から成果や責任に対する課金へ転換できるかが、長期株主にとって最大の分かれ目となる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は一度詳しく調べる価値のある企業である。事業は理解しやすく、借金に頼らず成長し、顧客の切実な問題を解決してきた。価格改定の実績もあり、利益の多くが資産の維持ではなく、人と組織を育てるために使われる。こうした軽い資本構造は、適切に運営すれば高いオーナー利益を生む。
ただし、10年後の稼ぐ仕組みを自信を持って描けるかという問いには慎重になる。中堅企業がITの責任者を必要とすることは、今後も変わりにくい。しかし、その責任者を支える日常の作業時間が、同じだけ人間に必要とされるとは限らない。2026年のKikzo終了は、この変化が単なる遠い予測ではないことを示している。人的な信頼関係と組織の学習能力は強みでも、代替不能な記録基盤と同じ価値を与えることはできない。
株主に帰属する利益を考えると、当面は採用と育成を続けなければ成長できない。顧客がAIで工数を削るほど、社員の技能と価格を引き上げる再投資が必要になる。一方、余剰現金を無理な買収へ投じず、配当などで株主へ戻せば、競争上の不確実性を相当に和らげられる。今後の資本配分は、事業成長率より重要になる可能性がある。
筆者が最も評価するのは、約23億円の純現金と、限られた規模でも利益を積み上げてきた経営能力だ。最も警戒するのは、過去の高ROEを永久の成長率と見誤ることである。現在の約58億円という企業の値段には、今後も人材の稼働が拡大し、高い収益性が続くという期待が含まれる。安全域を重視する長期株主なら、現時点では技術変化と還元の実績をさらに確かめる必要があると判断する。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、シェアード社員と呼ぶ自社のIT専門人材を、複数の会員企業へ時間単位で提供するサービスである。対象は主に従業員50人から1,000人規模の成長企業だ。顧客は専門人材を常勤で抱える代わりに、必要な業務と時間に応じて支援を受ける。契約は準委任を基本とし、事前に購入したポイントを稼働時間とスキルに応じて消費する。
2025年12月期の売上高35.14億円のうち、情シス総合が31.71億円で90.2%を占める。情シス総合は、IT戦略の策定、システム導入の調整、情報セキュリティ、IT資産管理、ヘルプデスク、社内IT部門のマネジメントを幅広く引き受ける。単なる技術者派遣ではなく、顧客企業の発注者側に立って課題の発見から実行まで関わる点が特徴である。
内製開発は2025年に2.07億円を売り上げ、ローコード開発などを使って顧客の社内システム構築を助ける。ITインフラは1.35億円で、ネットワークやサーバーの整備、保守、運用を担う。2026年には会計ITを立ち上げ、経理、販売、労務など基幹業務とITを結び付ける支援を始めた。新サービスは同年上期に約1.03億円の売上を生み、既存顧客に専門的な仕事を追加販売する力を示した。
この事業の経済性は、人材の人数だけでは決まらない。人材一人が複数の会社を担当し、経験を共有して技能を高め、より高い時間単価を実現することで収益性が上がる。2025年の稼働1時間当たり売上高は9,403円で、2026年第2四半期には10,550円となった。一方で、顧客の前払いポイントには未履行役務という性格があるため、受け取った現金のすべてを自由な余剰資金とは見なせない。
会員企業との関係は継続的で、初期の小規模支援からIT戦略や基幹システム刷新へ広げられる利点がある。しかし、顧客が買っているものは人間の作業時間であり、独自ソフトウェアの利用権や法定の記録原本ではない。この違いが、今後の技術変化と事業価値を判断する出発点となる。
優良さと弱いところ
最大の強みは、中堅・中小企業の情報システム部門という狭い領域で、採用、育成、顧客対応、知識共有を一体化した運営能力である。顧客は必要な分だけ複数の技能を使え、同社は一人の社員を複数社で稼働させられる。社内のUGアカデミーや20段階の技能評価も、経験を組織に残す仕組みとして働く。
値決め力には実績がある。2025年の稼働1時間当たり売上高は前年比11.4%上昇し、2026年第2四半期も前年同期比18.4%増となった。社員の技能向上と段階的な価格改定が、客単価を押し上げた。2017年に8%台だった営業利益率が2025年に約16%へ高まったことも、運営改善の成果を示している。ただし、この値上げの実績だけで10年間の価格支配力が保証されるわけではない。
堀、つまり他社に容易に奪われない強みには限界もある。会社資料による顧客継続率は約80%で、年間解約率5%未満のような極めて高い定着性は確認できない。顧客固有の業務を理解することは乗り換えの手間になるが、法令上の独占、決済網、移行に年単位を要する記録原本は持たない。したがって、AI代替リスクの分類で記録の正本に該当する部分は確認できず、全サービスを人月・工数型とする。
資本効率は優れてきた。過去7年のROE中央値は14.9%で、2025年は18.3%だった。設備を大量に保有せず、主として人材育成へ再投資するため、拡大期の投下資本利益率は高くなりやすい。しかし、過去の高いROEは技術変化に対する永久の防壁ではない。今後の増分投資が同じ利回りを維持するには、教育した人材の時間が十分な単価で売れ続ける必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
対象となる中堅・中小企業のIT支援需要には、なお大きな余地がある。会社資料では従業員50人から1,000人未満の企業を全国約9.8万社とし、コーポレートIT管理支援の潜在市場を約1.5兆円と推計している。2025年の同社売上は、この自己推計市場の約0.23%に相当する。実働会員243社を対象企業数で割った浸透率も約0.25%にすぎない。ただし市場規模は独立した業界統計ではなく、会社独自の利用単価と対象企業数を用いた推計である。
競争は会社が主張するほど存在しないわけではない。パーソルビジネスプロセスデザインは情報システム部門の業務受託を提供し、大塚商会のたよれーるやIIJのシェアードサービスも顧客のIT運用を助ける。NTT東日本のような通信事業者も、中小企業向けの情シス支援を展開している。顧客が社員を直接採用することも有力な代替手段だ。各社の開示する事業範囲が異なるため、同一の市場分母による競合別シェアは確認できず、数字を作って比較することは避ける。
需要を支えるのは慢性的なIT人材不足と、セキュリティ、システム統合、クラウド運用の複雑化である。IIJの2026年調査でも、情報システム部門の業務の属人化が課題として挙がり、セキュリティ強化とAI活用への関心が高かった。これらは外部の専門家に仕事を頼む理由を増やす。しかし、困っている企業が増えることと、人間の作業時間の市場が同じように増えることは区別しなければならない。
今後10年の最大の変化はAIエージェントである。問い合わせ対応、システム設定、手順書の作成、コード生成、監視、定型的な内部統制の証跡収集などは自動化が進む可能性が高い。情報サービス産業協会の2026年の調査でも、AIが今後10年の市場に大きな影響を与えるとの回答が9割を超えた。現場での信頼形成、企業間の利害調整、事故発生時の責任、経営判断に近いIT統制には人が残るだろう。それでも売上の基礎が稼働時間である以上、顧客の生産性向上は同社の請求時間を減らす可能性を伴う。
国内ITサービス全体は名目で成長しても、その恩恵が従来の人月契約へ均等に流れるわけではない。数量を10年後の請求可能時間、価格を時間当たりの実現売上と分けて見る必要がある。市場シェアを広げる余地は大きいが、AIによって対象市場そのものの課金単位が変わるリスクも大きい。
資本政策と M&A
経営は主に人材と社内の業務基盤へ資本を投じてきた。2023年にシェアード社員サービスの基幹システムを整備し、運営効率を高めた。近年はUGアカデミー、採用、福利厚生に加え、専門サービスの開発にも資金を振り向けている。過去の資本配分はおおむね慎重だが、2024年の子会社吸収合併による一時利益を、継続的な稼ぐ力と混同するべきではない。
2026年2月公表の事業計画では、業績の年平均成長率15%、シェアード社員数の年率12%増を掲げている。長期のUGビジョン30thでは、2035年までに社員1,000人、売上高100億円、営業利益20億円、時価総額300億円を順次達成する目標を示した。2026年12月期の計画は売上高約41億円、営業利益約6.5億円である。これらは経営目標として重要だが、AI代替によって市場の請求可能時間が変わる場合、目標をそのまま10年後の中立にはできない。
還元方針には、配当性向30%とDOE5%という具体的な数字がある。2025年には記念配当を実施したが、通常配当の実績は利益の4分の1前後であり、記念配当を恒常的な総還元力とは見ない。大規模な自社株買いを継続する数字の約束も確認できない。10年の還元は、利益の増減に連動させ、DOEを機械的に守るための過大な支払いは想定しない。
事業領域の拡大には、買収や提携も使い始めている。2026年には宇都宮のIT関連企業への出資に続き、アタックスとの資本業務提携を発表した。アタックスへの株式取得額は上限1億円とされ、地方の顧客接点や専門家ネットワークを広げる狙いがある。規模は現在の財務に対して大きくないが、今後の買収では人材を増やすこと自体でなく、AI時代にも利益を生む技術と顧客関係を取得できるかを問う必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中堅・中小企業の情報システム部門を支えるという仕事は、10年後も必要である。会社が直面する問題は単なるPC操作ではなく、人材不足、セキュリティ、IT投資の優先順位、経営層との意思疎通、システム導入の責任分担に及ぶ。AIが定型作業を自動化しても、それを安全に使えるようにする専門家への需要はむしろ強まる可能性がある。自社の情報システム担当者を常勤で雇うほどの規模がない企業にとって、必要な技能を必要な時間だけ使える仕組みは合理的だ。
同社には、この顧客層を開拓してきた20年余りの経験がある。シェアード社員を育てるUGアカデミーと、顧客の経験を組織へ蓄積する仕組みは、単純に技術者を派遣する会社と異なる。2025年から2026年にかけて実際に値上げが進み、顧客の利用が続いていることも強みだ。情シス総合から内製開発、ITインフラ、会計ITへ支援を広げることで、一社当たりの取引を深められる。
会社が掲げる市場規模は約1.5兆円であり、同社の売上規模はまだそのごく一部だ。首都圏で培った仕組みを地方へ広げ、アタックスのような専門家組織と組むことで、新しい顧客を獲得できる余地がある。会社目標をそのまま予測にはしないが、優秀な人材の育成と高付加価値業務への転換が成功する可能性まで否定すべきではない。借金が少なく、途中で戦略を変更できる財務余力もある。
慎重な見方
収益構造に対する最大の問題は、会社のサービスが優れているほど顧客のIT業務が効率化し、将来の請求時間が減りうることである。ヘルプデスク、アカウント管理、定型的な監視、ローコード開発、システム設定はAIエージェントが代行しやすい。顧客が作業の結果だけを求めるようになれば、優秀な人間が何時間働いたかを売上の中心にするモデルは弱くなる。人手不足が続いても、人月市場まで拡大するとは限らない。
同社が2026年10月にKikzoの終了を決めたことは重い。知識共有という価値がAIの進化によって変化したと会社自身が説明している。Kikzoの売上への影響は軽微とされるが、同じ技術変化が情シス総合の一部にも及ぶ可能性は無視できない。さらに顧客継続率約80%は、乗り換えの難しさが極めて強い事業とは言いにくい。顧客を引き留めるために作業時間や費用を削れば、見かけの契約継続と収益維持は一致しなくなる。
財務が健全であることと、増分の投資が有利であることも別である。社員を増やして教育しても、稼働時間が減るなら増分利益は小さくなる。専門サービスの買収も、従来型の人材事業を増やすだけでは本質的な解決にならない。2035年に売上100億円を達成する計画は魅力的だが、現在の時間課金の延長では確信できない。十分な利益の成長がなければ、時価総額約58億円には安全域が乏しい。
どちらに重みを置いたか
現在の収益性、値上げ実績、純現金では強い見方に説得力がある。しかし、10年先の価値では時間課金の持続性に対する慎重な見方を重くする。上側の確率を23%、中立を31%、下側を46%とした。下に寄せる理由は、主力の大部分が人間の時間を売る事業であり、2026年のKikzo終了によってAI代替の影響が既に具体化していることである。中立の数量自体にAIによる縮小を織り込んでおり、資本コストの寿命には同じリスクを重ねていない。現値に対しては割高との判断が勝る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 707 円56 億円(+ 還元の換算額還元の合計 158 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 462 円37 億円、今との差 −38.9%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,521 円121 億円 | 239 円19 億円 | +132.7% | +9.6% | 123 円10 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,149 円92 億円 | 213 円17 億円 | +80.2% | +6.7% | 218 円17 億円 |
| 中立 | 31% | 789 円63 億円 | 176 円14 億円 | +27.6% | +2.7% | 299 円24 億円 |
| やや悲観 | 28% | 426 円34 億円 | 138 円11 億円 | −25.3% | −3.2% | 158 円13 億円 |
| 悲観 | 18% | 290 円23 億円 | 75 円6 億円 | −51.7% | −7.7% | 66 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 707 円56 億円 | 158 円13 億円 | +14.3% | +1.5% | 864 円69 億円 |
今の株価時価総額 756 円60 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 高付加価値業務が残り、人材の知識共有が生きる 利益 7 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,521 円121 億円
AIによって社内ITの定型業務が大幅に自動化されても、中堅企業はIT戦略、セキュリティ、システム選定、事故対応を担う専門家を必要とし続ける。ユナイトアンドグロウは、シェアード社員の経験と顧客との信頼を生かして、作業者ではなくIT管理の中核を担う存在へ近づく。会計ITやITインフラの専門性も強まり、顧客一社への関与を深める。
首都圏の顧客基盤に加え、アタックスとの提携や地方への進出が奏功する。採用した人材を効率的に育成でき、技能向上による価格改定も受け入れられる。高付加価値の業務構成によって営業利益率は20%に近づき、会社が長期目標とする水準の収益性に近づく。ただし、AIエージェントを自社製品として売る金額の開示はないため、AI収益を新たな成長源には数えていない。
10年後の請求時間は主要サービスでおおむね現在並みにとどまり、単価上昇が売上を支える。現金を大規模な買収で毀損せず、専門サービスの拡大と一定の株主還元を両立する。顧客数は増えても、顧客当たりの人間の作業時間が減るため、会社目標の売上100億円を達成するほどには伸びない筋書きである。
- 情シス総合:数量 330,488(年間請求対象の稼働時間(時間、推計))× 価格 0.00(稼働1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 42 億円・営業利益 8 億円。2025年の請求時間の98%、単価1.34倍。高いスキルと顧客管理業務への集中で営業利益率20%。
- 内製開発:数量 20,913(年間請求対象の開発支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(開発支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。請求時間95%、単価1.34倍。AIで補助作業が減っても高度な開発判断が残る。
- ITインフラ:数量 14,357(年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。請求時間は現在並み。専門的な設計、障害対応で収益性を維持する。
- 会計IT:数量 19,000(年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計))× 価格 0.00(会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2026年に立ち上げたサービスが定着するが、記録の正本にはならず工数課金が中心。
倍率:AIエージェント代替の人月型としてg_long=0%、k=7.25%。事業ROEは約11.8%、弱い堀の残存割合を1/3としてRONICを求めるが、g=0のため正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.7931倍。楽観でも上限そのものを採用し、任意の倍率割引はしない。余剰現金14億円の税後利息0.196億円を純利益から除き、戻り方0.75の価値10.5億円を足す。
確率:人月型の数量減少を最小限に抑えながら、既存の単価改善を維持し、専門サービスを成功させる必要がある。人材育成の実績から可能性はあるが、AI時代の成果報酬への転換はまだ確認できず、低めの確率とする。
やや楽観 16% 顧客基盤を保ち、高単価化で工数減少を補う 利益 5 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,149 円92 億円
顧客がAIを導入することでヘルプデスクや簡単な運用作業は減るが、導入の設計、セキュリティ、IT統制、社内調整は人が担い続ける。シェアード社員はこれらの仕事へ移り、同じ顧客に提供する時間数が減っても、一時間当たりの価値を高める。会員企業への横展開が続き、既存の専門サービスから追加の相談も得られる。
2026年に始まった会計ITは独立した専門サービスとして定着する。内製開発も、生成されたコードの品質管理や業務への適合確認で仕事を保つ。アタックスとの提携によって地方顧客への入口が広がるが、大型買収による急拡大には依存しない。会社の規模は緩やかに拡大するものの、10年後の請求可能時間は2025年より少ない。
利益率は高付加価値化によって大きく崩れない。人材の採用と教育には費用がかかり続けるため、2025年より高い利益率を全面的に期待するわけではない。経営は配当性向とDOEの目安を尊重しながら、余剰現金を温存する。
- 情シス総合:数量 286,648(年間請求対象の稼働時間(時間、推計))× 価格 0.00(稼働1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 36 億円・営業利益 6 億円。数量85%、価格1.34倍。高付加価値化で営業利益率17%を維持。
- 内製開発:数量 18,051(年間請求対象の開発支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(開発支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量82%、価格1.30倍。AIによる開発時間の短縮を織り込む。
- ITインフラ:数量 12,634(年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量88%、価格1.32倍。顧客の環境管理需要を維持する。
- 会計IT:数量 17,000(年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計))× 価格 0.00(会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2026年の新サービスが顧客基盤へ定着し、専門家としての支援が残る。
倍率:g_long=0%、k=7.25%の人月型。事業ROE約9.3%で弱い堀のRONICを計算しても、g=0では正当化PERが13.7931倍となる。上限からの任意の割引はしない。余剰現金14億円の税後利息0.196億円を純利益から除き、戻り方0.75を適用した10.5億円を別に加える。
確率:顧客との関係を保ちながら社員の技能を高める実績はあるが、定型作業の工数減少を完全に防ぐことはできない。業務の高付加価値化が一定程度成功する場合とする。
中立 31% 人間のIT支援は残るが、請求時間は減少する 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 789 円63 億円
2026年から数年間は、人材不足を背景に売上と利益の拡大が続く。しかし、その後は企業の情報システム部門でAIエージェントの利用が定着し、問い合わせ対応、端末設定、ユーザー管理、ローコード開発、監視業務の所要時間が縮む。人間による支援が必要な仕事は残るが、従来と同じ時間数を請求することは難しくなる。
情シス総合では、顧客の業務理解とIT統制が差別化要因として残る。会社は技能の高い社員を中心に単価を引き上げるが、すべての人件費上昇を上回る値上げはできない。内製開発とITインフラも、高度な判断や物理的な対応は残す一方、定型業務が削減される。会計ITは2026年の立ち上げを経て小さな収益源となるものの、自動化された会計処理を人の時間で請求するには限界がある。
売上高は2035年に約33億円と、2025年の水準を少し下回る。営業利益率は人材育成と固定的な管理費の負担によって約12%へ低下する。会社は現金を大きく失わず、配当も続けるが、自己資本が積み上がるためROEは過去の水準を大きく下回る。事業の存在価値は残りながら、株主に帰属する利益の成長力が弱まる筋書きである。
- 情シス総合:数量 232,691(年間請求対象の稼働時間(時間、推計))× 価格 0.00(稼働1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 28 億円・営業利益 4 億円。数量0.69倍、価格1.30倍。AIによる定型工数減少を中心に織り込む。
- 内製開発:数量 13,649(年間請求対象の開発支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(開発支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量0.62倍、価格1.25倍。ローコード開発の自動化で作業時間が減る。
- ITインフラ:数量 10,768(年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍、価格1.30倍。現地対応の需要は残るが運用の一部が自動化される。
- 会計IT:数量 14,500(年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計))× 価格 0.00(会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2026年の会社計画を参考起点に、10年後の支援時間は約7割とする。
倍率:AIエージェント代替を考慮したg_long=0%、k=7.25%。ROEは約6.0%でkを下回るため、将来の再投資に超過利益を期待しない稼ぐ力の上限1÷k=13.7931倍を用いる。純利益3.103億円には余剰現金14億円の税後利息0.196億円を含み、これを除いた事業利益2.907億円に倍率を適用する。余剰現金の戻り方0.75による10.5億円を加算する。10年で留保される余剰現金は別途retain_ofの対象とし、手計算の時価総額には二重に足さない。
確率:短期の顧客増加と値上げ実績を認めつつ、長期の請求可能時間は人月型のAI代替規則で縮小させる。中立そのものに工数減少を反映し、確率では同じ損失を追加計上しない。下に寄せる理由:2026年10月のKikzo終了決定が、AIによるサービス価値の置き換えを会社自身が認めた具体例だからである。
やや悲観 28% 人月単価も稼働時間も圧迫される 利益 2 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 426 円34 億円
AIエージェントが企業ITの運用業務へ深く入り込み、顧客が人間の支援時間を大きく減らす。ヘルプデスク、IT資産管理、簡単なシステム改修の多くが自動化される。顧客企業は契約をすべて解約するわけではないが、毎月使うポイントを減らし、専門家には難しい例外処理だけを依頼するようになる。
ユナイトアンドグロウは専門人材の採用と育成を続けるものの、稼働率の低下を十分に防げない。価格改定も、顧客のIT予算削減とAIサービスとの比較によって制約を受ける。パーソルや大塚商会などの既存支援サービスに加え、AIを組み込んだ新規サービスとの競争が強まる。会計ITや内製開発は新しい顧客を得ても、一件当たりの工数が短くなり利益率が下がる。
2035年の売上高は約25億円、営業利益は2億円弱となる。過去の黒字と保有現金によって財務的な存続は可能だが、資本効率の悪化は避けられない。大型M&Aによる救済的な成長を期待せず、利益に応じて還元額を縮小する。企業価値は稼ぐ力と保有資産に支えられる低い水準へ向かう。
- 情シス総合:数量 195,595(年間請求対象の稼働時間(時間、推計))× 価格 0.00(稼働1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。数量0.58倍、価格1.15倍。支援時間減少と固定費負担で営業利益率9%。
- 内製開発:数量 12,108(年間請求対象の開発支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(開発支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍、価格1.10倍。開発工数の削減が進む。
- ITインフラ:数量 9,332(年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.65倍、価格1.18倍。現地対応以外は自動化が進む。
- 会計IT:数量 11,000(年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計))× 価格 0.00(会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。会計ソフトとAIエージェントの機能向上により、専門家の工数が縮む。
倍率:ROE約3.7%がk7.25%を下回り、正当化PERの上限は13.7931倍。やや悲観では再投資で価値が増えないことを踏まえ13倍とする。現時点の余剰現金14億円を75%に減じて10.5億円とし、税後利息0.147億円を純利益から除く。株主へ戻る割合0.75を掛けた7.875億円を加える。得られる26.54億円は資産床22.8億円を上回る。
確率:AIの普及で支援時間が減少し、顧客継続率の低下と採用済み人材の固定費負担が同時に発生する筋書き。現在の主力サービスの時間課金構造と、顧客の内製化余地から無視できない確率とする。
悲観 18% AIが時間課金の経済性を崩す 利益 0 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 290 円23 億円
企業ITの管理業務の大部分をAIエージェントとクラウドサービスが処理するようになり、人間の専門家を必要とする時間が急減する。顧客は、定型作業だけでなく簡単なIT計画やシステム導入の比較も自動化する。ユナイトアンドグロウの強みだった複数企業で人と知識を共有する仕組みは、AIによる知識共有ほど効率的ではなくなる。
同社は高付加価値業務へ移ろうとするものの、教育に時間がかかり、既存人材の配置を急には変えられない。人材の余剰、採用済み社員の処遇、社内管理費が利益を圧迫する。内製開発は汎用AI開発ツールに仕事を奪われ、ITインフラでも自動監視とクラウド運用が進む。会計ITは外部の会計ソフトやAIサービスが顧客接点を握り、専門家としての役割が縮む。
2035年の売上高は約15億円と、2025年の半分弱になる。営業段階で小幅な赤字となり、新規採用を抑えながら縮小均衡を探る。会社が保有してきた現金と途中までの利益蓄積によって直ちに存続が危うくなるわけではないが、事業の成長価値はほとんど失われる。企業価値は将来の利益ではなく、現時点から守れる資産価値を中心に評価する。
- 情シス総合:数量 134,893(年間請求対象の稼働時間(時間、推計))× 価格 0.00(稼働1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。数量0.40倍、価格1.04倍。AIによる代替と顧客離脱が重なる。
- 内製開発:数量 7,705(年間請求対象の開発支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(開発支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.35倍、価格0.95倍。従来の開発支援の採算が崩れる。
- ITインフラ:数量 7,178(年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計))× 価格 0.00(インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.50倍、価格1.05倍。人件費を十分に吸収できない。
- 会計IT:数量 8,000(年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計))× 価格 0.00(会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。会計ソフトのAI機能に業務の多くを奪われる。
倍率:終期の営業損失と純損失にPERを掛けない。将来自己資本30.4億円ではなく、2025年末の実績自己資本22.4億円を基準とする。現時点の純現金22.8億円とほぼ等しい資産床を採り、PBR1.03×22.4億円=23.072億円とする。蓄積した将来の自己資本に床倍率を掛けず、業績が壊れた事業の追加的な稼ぐ力も評価しない。
確率:Kikzoの終了決定はAIによって既存サービスの役割が変わることを示した。主力の情シス総合にも同種の代替が広がり、価格競争と低稼働が重なる場合を考える。会社には純現金があるため倒産は中心に置かないが、利益創出能力をほぼ失う確率は無視しない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情シス総合
中堅・中小企業の情報システム部門を、戦略策定から運用、セキュリティ、社内管理まで総合的に支援する主力サービス。AI代替リスクの型は人月・工数型である。
| 数量年間請求対象の稼働時間(時間、推計) | 価格稼働1時間当たり売上高(億円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 337,233 | 0.00 | 32 | 5 |
| 10 年後 中立 | 232,691 | 0.00 | 28 | 4 |
取り方:2026年2月の事業計画原文にある2025年売上3,171百万円を採用。全社で開示された稼働1時間当たり売上高9,403円で割り、年間約33.7万時間と推定した。サービス別の実際の稼働時間と営業利益は非開示のため、時間数は推定、営業利益5.05億円は全社利益5.60億円からの分析上の配賦である。2026年上期の実績では情シス総合が約17.48億円を売り上げた。中立数量は2025年比0.69倍、単価は1.30倍とし、AIによる工数削減と既存顧客での値上げの両方を反映する。
内製開発
顧客の社内システムをローコード開発などで構築、改修する支援。顧客の開発工数を請求するため、AI代替リスクの型は人月・工数型である。
| 数量年間請求対象の開発支援時間(時間、推計) | 価格開発支援1時間当たり売上高(億円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22,014 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13,649 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2025年のサービス別売上207百万円を、全社平均の請求実現単価9,403円で割って約2.2万時間とした。サービス固有の時間単価と営業利益は開示されていない。全社平均の単価を代用し、営業利益は概算配賦である。ローコード開発の補助作業はAIによる代替可能性が特に高く、中立数量は0.62倍、価格は1.25倍とする。
ITインフラ
サーバー、ネットワークなどの構築、保守運用、障害対応を支援する。現地対応や責任を伴う業務は残るが、監視と管理の一部はAIに代替される人月・工数型である。
| 数量年間請求対象のITインフラ支援時間(時間、推計) | 価格インフラ支援1時間当たり売上高(億円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14,357 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10,768 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年のサービス別売上135百万円を全社平均時間単価9,403円で割った約1.44万時間を使用。サービス別の時間と利益率は未開示のため、単価は全社平均、利益は分析上の配賦である。2026年上期には売上約1.11億円へ拡大した。物理的な障害対応と顧客との調整が残るため、中立数量は人月型の上限側である0.75倍、単価は1.30倍とする。
会計IT
2026年に開始した会計、販売、労務などの基幹業務に関するIT支援。法対応を扱う場合も、独自の記録原本を保有する業務ソフトではなく、工数課金による専門支援である。
| 数量年間請求対象の会計IT支援時間(時間、2026年立上げを基準とする推計) | 価格会計IT支援1時間当たり売上高(億円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14,500 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2025年12月期には独立した売上がなく、2026年から開始したサービスである。2025年のpriceは会社全体の実績単価9,403円をモデルの仮置き単価として記録したもので、会計ITの実績単価ではない。2026年の会社計画は売上190百万円、同年上期実績は約103百万円である。計画を全社平均単価で割った年間約2万時間を新事業の参考起点とし、中立の2035年は約1.45万時間とする。顧客企業がAI会計ソフトを使う場合には削減される支援時間を考慮し、記録の正本としては評価しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
全サービスの主な請求単位は人間の稼働時間である。AIが問い合わせ対応、端末管理、ローコード開発、システム監視、会計関連の定型作業を代行すれば、同じ顧客を維持しても請求時間が減る。2026年10月のKikzo終了決定は、AIが既存サービスの役割を変える具体例である。中立の数量減少とg_long=0%に反映し、kの寿命には重複計上していない。
値上げの持続性と顧客継続率
2025年から2026年の値上げ実績は高く評価できるが、顧客継続率は約80%であり、極めて強い切替障壁があるとは言えない。顧客がAIを利用して必要な稼働時間を減らす場合、時間単価の値上げだけでは売上維持が難しくなる。値上げによって失われた利用時間と、純粋な生産性改善を分けて追跡する必要がある。
人材採用と固定費の逆回転
成長時には採用と育成が競争力となるが、需要が減る局面では社員の給与、教育、福利厚生が固定費になる。人材の稼働率が低下しても費用はすぐには減らない。2026年上期には高単価化が人件費増を吸収したが、逆の局面では営業利益が売上以上に落ち込む可能性がある。
競争上の堀の過大評価
シェアード・エンジニアリングは独自の運営方法だが、法的独占や顧客のデータ原本を支配する事業ではない。パーソル、IIJ、大塚商会など既存のIT支援企業に加え、AIを利用する顧客自身が競争相手となる。会社の提示する市場規模は独自推計であり、同じ分母による競合別シェアも確認できていない。
買収、提携、投資ファンドによる資本毀損
新しいサービスの拡大にM&Aや資本業務提携を使う方針がある。2026年のアタックスとの提携は顧客接点を広げる可能性があるが、出資した資本が高い利回りで戻るかは今後の実績次第である。成長目標を急ぐあまり人月型事業を高値で買収すれば、現金という安全余力を失いかねない。
会員前受金と流動性の誤認
純現金は強い財務上の防壁だが、ポイントを事前購入する契約では、会社が保有する現金の一部に将来提供すべき役務が対応する。人件費、税金、未払金、契約負債を無視して現金の全額を株主に帰属させることはできない。余剰現金の評価と清算価値の床では、この点を保守的に扱う必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年以降も請求可能時間が増え、時間単価の上昇と両立していたら
- 顧客数の伸びがAIによる工数減少を補っている証拠となる。中立数量を上方修正し、やや楽観以上の確率を増やす。
- 顧客継続率が90%を超えて定着し、値上げ後も利用時間が維持されたら
- 乗り換えの難しさと価格決定力の証拠が強まる。ただし記録の正本の型へ変更するには、さらに独立した堀の証拠が必要である。
- AIエージェントを利用した成果課金型サービスの売上と受注額が開示されたら
- 人月に依存しない収益源としてセグメントを分離し、その実績部分だけ数量と長期成長率を見直す。単なるAI活用の発表では楽観的な数量を増やさない。
- 主力の情シス総合の請求時間が前年割れし、時間単価の上昇でも売上を補えなくなったら
- AI代替の収益影響が顕在化したと見て、中立の利益率と数量を下方修正し、悲観側の確率を増やす。
- M&Aや資本業務提携に大きな現金が使われ、増分利益が資本コストを下回ったら
- 余剰現金と株主に戻る割合を見直す。買収した売上高だけを成長として評価せず、投じた現金が生む利益の利回りで判断する。
- 配当性向30%を大きく超える継続還元や有意な自己株式取得が定着したら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す余地が生じる。事業の利益成長を伴わなくても、資本配分の改善として価値に反映する。
見ておくもの
- シェアード社員数と実稼働人数、稼働率の四半期推移
- 稼働1時間当たり売上高と請求可能総時間の双方
- 情シス総合、内製開発、ITインフラ、会計ITの売上構成と成長率
- 実働会員数、実質支援社数、顧客継続率、会員当たり利用ポイント
- AIエージェントによる業務自動化と成果課金への移行実績
- 配当性向、DOE、自社株式取得、余剰現金の増減
- アタックスとの提携や追加買収による実際の利益貢献
- Kikzo終了後の知識共有と新サービスの開発方針
倍率と資本コストの決め方
2025年の実績サービス別売上と実際の時間単価を使い、数量を請求可能時間、価格を1時間当たり売上として分離した。会計ITのみ2026年開始の新事業であり、2026年計画と上期実績を参考起点とした。AIエージェント代替は中立の数量0.55〜0.75倍と、10年より先のg_long=0%に反映した。楽観にも未開示のAI製品売上や1.0倍を超える既存人月数量を加えていない。資本コストのlifeには同じ理由を重ねていない。
倍率は現在や過去の市場PERを使わず、k7.25%、g0%、事業のROE、堀の残存割合から正当化PERを計算した。楽観から中立は上限の13.7931倍を使用する。余剰現金は純利益から税後利息を除いた後に戻り方0.75で足し、10年中に溜まる現金は自動の留保現金計算へ委ねる。悲観では将来の自己資本に床倍率を掛けず、今の自己資本22.4億円と純現金22.8億円を基準にした。2027年以後に適用される新リース会計基準による表示の変化も、家賃を営業費用とする現在の利益の形へ統一して考える。
会社の2035年目標である売上100億円、営業利益20億円は確認したが、それを達成するための人月数量がAI時代にも残るという証拠はない。株価724円や時価総額約58億円から売上や倍率を逆算していない。純現金と累積還元を評価しても現在の市場価格を下回る結論を、そのまま割高と表現する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%から純現金による財務健全性0.25ポイントを引いた7.25%。個別のAI、買収、ガバナンスの不確実性は利益と確率で扱う。