結論
colyは、女性向けスマートフォンゲームの開発・運営と、キャラクターグッズ、舞台、イベントを組み合わせて稼ぐIP企業である。筆者の結論は「割高」だ。『魔法使いの約束』『スタンドマイヒーローズ』『ブレイクマイケース』という複数の作品を育てた実績は本物だが、その価値を株主の利益に変える仕組みは、まだ安定していない。
同社の魅力は、作品を発売して終わりにしないことにある。ゲームの人気をグッズや舞台につなげ、長年付き合ってくれるファンから繰り返し収益を得る。2026年1月期の売上高は70億円に達し、うちメディア事業が29億円を占めた。2026年7月中間期も、ゲームが減収となる中でメディアは15.1%増収となった。ゲーム会社からIP運営会社への変化は進んでいる。
しかし、株主にとっての最大の問題は再投資の採算である。2023年1月期から2026年1月期まで営業赤字が続き、2027年1月期上半期には新作開発への先行投資で営業損失が8.5億円に拡大した。既存事業は同期間に4.5億円の黒字だったが、新規開発・新規事業に13億円を費やしている。作品の魅力と企業全体の資本収益率を混同してはいけない。
2026年10月22日には、ディズニーIPを使用する新作の11月4日配信が正式発表された。事前登録も70万人を超えている。ただし、登録数は課金者数ではなく、配信初期の盛り上がりは10年間の利益を保証しない。10年後の中立的な姿は、売上高約103億円、営業利益約10億円まで回復するものの、成熟したIP企業としての評価にとどまると考える。
5つの筋書きを資本コスト8.25%で現在価値に直した結果、本質価値の中心は時価総額約49億円となり、現在の約164億円を約70%下回る。これはIPの価値が乏しいという判断ではない。市場が期待するほど高い利益を、繰り返し新作を生み出しながら株主に残せるかについて、まだ十分な証拠がないという判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、colyの魅力は、物語とキャラクターが年月とともに蓄積する点にある。良いIPは、一度開発したあとも何年にもわたって販売でき、周年企画やグッズ、舞台を通じて新しい収益を生む。作品の権利を自社で保有し、ファンとの関係を長く守れるなら、通常のソフトウェア受託開発とはまったく違う価値がある。
しかし、企業全体を一つの長寿命資産として評価するにはまだ早い。過去に作った人気作の売上は時間とともに落ちており、その減少を補うために次の作品を作り続けなければならない。毎年の研究開発費が本当に成長投資なのか、それとも既存収益を維持するための費用なのかが大切だ。後者が多ければ、会計上の純利益をそのまま株主が自由に使える利益とは見なせない。
メディア事業には成長の可能性がある。ゲームで獲得したファンがグッズやイベントにもお金を使えば、一人の顧客から得られる総収益は増える。ただし、グッズの製造、在庫、店舗の賃借には現金が必要であり、売上だけを追えば資本効率はむしろ悪くなる。ファンの熱量が高いことと、会社が高い利益率を長く保てることは別の問題だ。
現在の時価総額を正当化するには、単なる営業黒字への復帰では足りない。新作を継続して成功させ、過去のタイトルの減収を補いながら、開発費を差し引いた営業利益を十分に大きくしなければならない。しかも、それを10年後にも繰り返せる見通しが必要である。
筆者が株主として最も見たいのは、成功したIPの数よりも、成功と失敗を合算した10年間の株主利益である。創業者が大きな持分を保有することは長期視点を生みうるが、少数株主への利益還元が保証されるわけではない。経営陣が新作開発を厳しく選別し、資本コストを超える利益だけを再投資するようになって初めて、同社のIPの魅力に相応の価値を払える。現在の価格には、その改善が既にかなり織り込まれている。
何で稼ぐ会社か
colyの事業は、会計上はコンテンツ事業という単一セグメントである。ただし、経済的な性質はゲームとメディアで大きく異なる。ゲームではキャラクター、物語、限定イベントを通じて利用者から課金を受け、メディアではグッズ、店舗、舞台、カフェ、ライセンス商品などの売上を得る。この二つが同じIPを中心に回っていることが同社の特徴だ。
ゲームの主力は2016年開始の『スタンドマイヒーローズ』、2019年開始の『魔法使いの約束』、2024年開始の『ブレイクマイケース』である。2026年1月期のゲーム売上は40.93億円で、『魔法使いの約束』が17.68億円、『ブレイクマイケース』が16.20億円、『スタンドマイヒーローズ』が6.82億円を占める。3作品の寿命が延びれば新作を待つ間も収益が残り、短命に終われば開発費を新作で何度も取り戻さなければならない。
ゲームの課金はAppleやGoogleのアプリ内決済だけではない。自社の共通アカウントとWeb課金を結びつけたcoly IDが普及し、決済手数料の圧縮に寄与している。2026年1月期にはGMOイプシロン経由の売上構成比が32.5%となり、Apple経由は18.1%、Google経由は11.3%となった。決済経路の変化は利益率を改善できるが、利用者の作品に対する支払意思そのものを高めるものではない。
メディア事業は、公式グッズをcoly storeやcoly more!などで販売し、舞台公演、ポップアップストア、コラボカフェ、イベントにも展開する。2026年1月期の売上は29.27億円だった。自社IPであれば権利を保有する強みを生かせるが、他社IPの商品化ではライセンス条件や商品開発の採算が重要になる。小売や飲食はゲーム課金と違って商品原価、在庫、物流、店舗家賃が必要で、売上が増えても利益が同じ割合で増えるわけではない。
新作にはディズニーとのライセンス契約による『ディズニー スパークリンク・スターズ』があり、さらに未発表ゲーム2作品の開発が進む。新作の開発費は原則として発売前に研究開発費として費用計上されるため、発売前に赤字が膨らみ、成功すれば発売後に利益が出やすくなる。ただし、この会計処理は投資の成否を変えない。開発に使った現金を回収できなければ、会計上の償却費がなくても株主の価値は増えない。
優良さと弱いところ
同社の競争上の強みは、女性向けの物語、キャラクター、音楽、世界観を一体で作り、作品ごとに熱心なファンを育てる力にある。『スタンドマイヒーローズ』が10周年を迎え、『魔法使いの約束』も長期運営を続けていることは、単なる一時的なヒットとは違う。作品がファンの生活の一部になれば、周年イベントやグッズを通じて長く収益を生むことができる。
ただし、その強みを強固な堀と呼ぶには注意が要る。顧客にはほかのゲームを遊ぶ自由があり、複数作品を同時に楽しむこともできる。価格を上げても離脱しないことを示す継続的な値上げ実績や、解約率の低さを証明する数値は確認できない。作品に対する愛着は参入障壁になるが、新しい魅力的な作品が登場すれば課金と利用時間が移動する。
特に気になるのは既存作品の経年変化だ。『魔法使いの約束』の年間売上は2022年1月期の38.57億円から2026年1月期の17.68億円へ減った。『スタンドマイヒーローズ』も同期間に14.17億円から6.82億円へ減少した。『ブレイクマイケース』の成長で一部を補ったが、新作で旧作の減収を補う構造が続く限り、開発資金を効率よく増やせる企業とまでは言えない。
一方、メディア展開の組織能力には一定の堀がある。グッズの企画、仕入れ、販売、店舗運営、舞台化を自社で組み合わせる体制は、ゲームだけを開発する新規参入企業には簡単に作れない。coly IDによる決済費用の削減も、ファンとの接点を直接持つ利点である。しかし店舗の拡大は固定費を増やし、他社IPへの依存が高まれば差別化も薄まる。
財務面では、2026年1月期の自己資本比率が79.4%と高く、2026年7月末にも76.5%を維持している。現金と投資有価証券があり、直ちに資金繰りが行き詰まる状況ではない。ただし、2021年の好況期から見ると営業利益は大きく悪化した。資本効率を評価する際は、高い自己資本比率よりも、新作投資を含む長期平均のROICとROEが資本コストを上回るかを重視したい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場そのものが消える可能性は小さい。角川アスキー総合研究所の『ファミ通ゲーム白書2026』によれば、2025年の国内ゲームコンテンツ市場は約2.59兆円となり、世界市場は約32兆円に達した。CESAの調査でもモバイルゲームは世界市場の過半を占める。ただし、国内モバイルゲームは成熟しており、市場全体の成長がそのまま個別タイトルの成長につながるわけではない。
colyが主戦場とする女性向けゲームでは、Happy Elementsの『あんさんぶるスターズ!!』、アニプレックスの『ディズニー ツイステッドワンダーランド』、バンダイナムコ系の『アイドリッシュセブン』などが強いファン層を持つ。『恋と深空』をはじめとする海外勢も競合になる。各タイトルの売上シェアを継続して比較できる公的統計はなく、アプリストアの推定売上ランキングもWeb課金を捕捉しきれないため、女性向け分野での厳密な順位やシェアは断定できない。
国内モバイルゲーム市場は2024年に約1兆7,482億円だった。colyの2026年1月期ゲーム売上約41億円は、この市場全体の約0.23%に相当する。年度と売上計上範囲が異なる概算だが、全国市場を左右するほどの規模ではない。10年の中立では国内市場全体が成熟する中、新作による顧客獲得でこの比率を小幅に高める程度が妥当だ。世界市場の拡大をそのまま同社の数量増加に使うことはできない。
メディア事業の周辺市場はゲームより広い。矢野経済研究所による2025年度の国内キャラクタービジネス市場は約2兆8,767億円で、2026年度も拡大が予測されている。colyのメディア売上を単純に割ると約0.1%となるが、同調査の商品化権・版権市場と、colyの小売・イベント売上は定義が一致しない。これは市場に対する規模感の参考値であり、厳密な市場シェアではない。
今後10年間の争点は、生成AIによるコンテンツ供給の急増と、ファンの可処分時間の争奪である。AIは制作費を下げられる反面、キャラクター、イラスト、物語の供給量を増やし、作品の発見と定着を難しくする。著作権、景品表示、未成年者の課金、個人情報の規制も収益構造を変えうる。ゲーム会社が長く残るためには、単なる開発能力ではなく、他社作品では置き換えられないファンとの関係を維持する必要がある。
資本政策と M&A
資本配分は、colyを評価するうえで最も厳しく見たい部分である。2021年の上場で得た資金と過去の利益を背景に、新作開発、IP展開、店舗・メディアへの投資を進めてきた。しかし2023年1月期から営業赤字が続き、2026年1月期も営業損失1.44億円だった。最終利益0.73億円の黒字には投資有価証券売却益や固定資産受贈益などが寄与しており、本業の収益力が完全に回復したわけではない。
2027年1月期上半期には新規開発・新規事業に13億円を投じ、既存事業の利益4.5億円を上回る支出が発生した。開発費を即時費用処理する姿勢は会計上は保守的だが、必要なのは発売後の投資回収の実証である。新作を投入した後、次の新作準備で再び同じ規模の赤字を出すなら、増分の投下資本利益率は低い。
会社は中長期のビジョンとして売上高500億円を目指している。ただし達成期限は示されておらず、確認できる開示には、その時点の営業利益、ROE、投下資本利益率について定量的な約束はない。2027年1月期の通期業績予想も会社は非開示としている。添付の下調べにある将来予想値は、会社が保証した中期計画として扱わない。
株主還元はさらに慎重に評価する必要がある。2026年1月期の配当はゼロで、2027年1月期の予想配当もゼロである。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額について具体的な数字の約束はない。株主優待制度もない。大株主にはSouth airが約50.5%を保有し、共同保有関係を含む創業者側の持分は約65%に達する。上位10株主の保有比率は約82.5%であり、少数株主が余剰資金の還元を求めても実行を促しにくい構造だ。
買収によって他社IPを獲得する選択肢はあるが、大型M&Aで資本収益率を高めた実績は確認できない。将来の売上拡大のために高値でIPを買うより、既存作品の利益を守り、新作の採算を作品別に検証し、余剰資金を適切に還元する規律を優先してほしい。現時点で期限の決まったTOB、MBO、上場廃止予定や継続企業の前提に関する注記は確認されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
『スタンドマイヒーローズ』は10周年、『魔法使いの約束』は7周年を迎え、長期間愛されるIPを複数持つ会社になった。新規参入企業が同じ歴史とファンとの関係を短期間で作ることは難しい。『ブレイクマイケース』も周年施策で過去最高の月間売上を記録した。ゲーム内の課金だけでなく、グッズ、舞台、イベントに収益が広がったことで、かつてより作品の寿命を伸ばしやすくなっている。
さらに、Web課金への誘導によって決済費用を削減する余地がある。これはユーザー数を増やさずに利益を改善できる施策であり、既に売上総利益率の改善という成果が表れている。新作開発費を即時費用処理しているため、作品が成功した後は高い営業利益率に転じる可能性もある。2021年1月期には20億円を超える営業利益を稼いだ実績があり、高収益の構造を持てない企業ではない。
ディズニーIPによる新作は2026年11月4日の配信が決まり、事前登録者も70万人を超えた。大きな既存IPを扱う実績が積み上がれば、次の提携や海外展開にもつながる。自社IPと他社IPの組み合わせが成功すれば、ゲーム売上とメディア売上を同時に伸ばせる。投資先行の赤字だけを見て、将来の回収能力を過小評価すべきではない。
会社の目指す売上高500億円は期限のない長期目標だが、ゲームの世界展開とメディア事業の拡大が同時に進めば、現在の売上規模を大きく超える余地はある。長期運営で蓄積した制作ノウハウが再現性を持つようになれば、IP企業としての価値は現在の利益から想像するより大きくなる。
慎重な見方
過去のヒット作品を持っていることと、今後も高収益を生み続けられることは違う。『魔法使いの約束』と『スタンドマイヒーローズ』の売上は数年前から大きく減少している。『ブレイクマイケース』の成功がなければゲーム事業はさらに縮んでいた。ヒットした新作が次の新作の開発費を負担し続ける仕組みは、見かけほど安定していない。
2027年1月期上半期は既存事業で4.5億円の利益を得たにもかかわらず、新規開発への支出が大きく、営業損失は8.5億円になった。今後も毎年のように新作を必要とするなら、今回の赤字を一過性としてすべて取り除くことはできない。2021年の高い営業利益率も、特定タイトルのヒット期の数字であり、全期間の平均収益力ではない。
女性向けゲームは競争が激しく、ユーザーの時間と支出には限界がある。『あんさんぶるスターズ!!』や『ディズニー ツイステッドワンダーランド』などは強いブランドを持ち、海外からも新しい競争相手が現れる。生成AIでコンテンツ制作の費用が下がるほど作品の供給が増え、新しいIPを定着させる費用は逆に上昇する可能性がある。
メディア事業の成長も、必ずしも高い資本収益率を保証しない。商品原価、在庫、店舗家賃、イベント運営費が増え、売れ残りや公演不振による損失も生じる。創業者側の議決権が強く、配当もない以上、事業が生む利益を少数株主が自由に回収できるとは考えにくい。現在の時価総額を支えるには、新作の成功だけでなく、再投資の規律そのものが変わる必要がある。
どちらに重みを置いたか
IPの長期運営力とメディア事業の成長では、前向きな見方に十分な根拠がある。しかし株主価値を決める再投資の採算では、慎重な見方が優勢だ。既存2作品の長期減収、4期続く営業赤字、2027年1月期上半期の大きな先行投資を重く見る。確率は楽観側26%、中立34%、悲観側40%と下側へ寄せた。新作が成功する可能性を否定せず、成功した後も利益を維持できるかという別の不確実性を残すためである。なお、AIエージェントによる人月・業務画面の代替を直接受ける会社ではなく、生成AIの影響はコンテンツ競争の変化として評価した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,918 円105 億円(+ 還元の換算額還元の合計 22 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 883 円49 億円、今との差 −67.7%、 期待の年率 −3.4%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 6,134 円338 億円 | 145 円8 億円 | +130.0% | +8.8% | 565 円31 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,303 円182 億円 | 55 円3 億円 | +23.0% | +2.1% | 571 円31 億円 |
| 中立 | 34% | 1,727 円95 億円 | 0 円0 億円 | −36.7% | −4.5% | 587 円32 億円 |
| やや悲観 | 25% | 573 円32 億円 | 0 円0 億円 | −79.0% | −14.5% | 143 円8 億円 |
| 悲観 | 15% | 491 円27 億円 | 0 円0 億円 | −82.0% | −15.8% | 74 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,918 円105 億円 | 22 円1 億円 | −28.9% | −3.4% | 1,940 円107 億円 |
今の株価時価総額 2,730 円150 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 自社IPが複数ヒットし、ゲームとメディアが相乗成長 利益 24 億円 · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,134 円338 億円
今後10年間で新作IPの成功が続き、既存3作品の減収を上回る売上を生み出す。ディズニーとの協業で開発・運営能力に対する信頼が高まり、他社の大型IPを使った案件も獲得する。さらに自社IPの海外展開が定着し、日本国内だけでは得られなかった課金者層を取り込む。ゲーム課金者相当人数は現在の約15万人から27.5万人へ増え、限定イベントや質の高いコンテンツへの支出も維持される。
メディア事業は、ヒットIPを軸にグッズ、舞台、コラボカフェ、ライセンス商品を一体展開し、年間購入換算件数が110万件に達する。自社IPの売上比率が高いため他社へのロイヤルティ負担が抑えられ、店舗とECの在庫管理も改善する。coly IDの利用が広がり、アプリ決済費用の削減が安定して利益に寄与する。
収益面では、新作開発の効率が高まり、発売後の回収期間が短縮する。開発費を費用計上した後でも営業利益率は約19%に回復する。新たなIPの取得や提携にも資本規律を保ち、株主還元が少額ながら始まる。成長の果実が売上だけでなく株主利益に残る、最も成功した10年となる。
- モバイルオンラインゲーム:数量 275,000(年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数))× 価格 0.00(課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 31 億円。年間課金者相当27.5万人、年額3.8万円。新作と海外展開が成功し、運営費控除後の利益率30%を維持。
- メディア・グッズ・イベント:数量 1,100,000(年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり売上換算額(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 15 億円。年間売上換算110万件、1件7,600円。自社IP商品の構成改善と販路拡大で営業利益率18%。
倍率:k8.25%、g_long2.0%、moat=normalを使用する。余剰現金18億円に帰属する税後利息0.252億円を純利益から除いた事業利益は23.648億円。事業自己資本107億円に対するROEは約22.1%、RONICは約15.2%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)の上限約13.89倍を用いる。事業価値約328.5億円に余剰現金の回収価値9億円を加える。
確率:既存3IPの長寿命化に加え、新作が複数成功し、海外や他社ライセンス作品の収益も定着する必要がある。制作と展開のノウハウは評価するが、過去の開発投資の採算と国内競争の激しさから一桁の確率とする。
やや楽観 17% 複数の新作が定着し、IP運営会社として成長 利益 13 億円 · PER 13.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,303 円182 億円
ディズニーとの協業作品や新規オリジナルIPの一部が成功する。大ヒットが連続するわけではないが、既存ゲームの減収を新規作品で補う運営が定着し、ゲーム全体の課金者相当人数は23万人まで拡大する。『魔法使いの約束』と『スタンドマイヒーローズ』は現在より小さな事業になっているものの、周年施策やメディア展開で長期収益を生む。
メディア事業はゲームより安定した成長を続ける。自社IPに加えて他社IPの商品化案件も増え、常設店舗、EC、イベントを使い分けられるようになる。年間購入換算件数は85万件となり、商品単価も緩やかに上昇する。ゲームとメディアの売上合計は現在の約2倍となり、IP関連企業として規模が一段大きくなる。
新作投資は続くが、過去ほど大規模な先行損失を毎年繰り返さなくなる。ゲームの運営利益率は25%、メディアは15%程度まで改善する。本社費と新作投資を差し引いても営業利益を安定的に生み、長期の株主価値が蓄積する。ただし強固な独占IPを持つ企業のような利益率までは想定しない。
- モバイルオンラインゲーム:数量 230,000(年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数))× 価格 0.00(課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 20 億円。年間課金者相当23万人、年額3.45万円。新作の一部が定着し、ゲーム事業利益率25%。
- メディア・グッズ・イベント:数量 850,000(年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり売上換算額(億円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 9 億円。年間85万件、1件6,900円。自社IPと他社IP商品の展開が広がり、利益率15%。
倍率:余剰現金の税後利息を除く事業純利益12.948億円、事業自己資本82億円ではなく、余剰現金18億円を除いた自己資本82億円に対するROEは約15.8%。RONICは約12.0%となり、k8.25%、g2.0%から正当化PERは約13.3倍となる。余剰現金の回収価値9億円を別途足し、過去の市場PERを基準にしない。
確率:既存IPの長期運営とメディアの成長実績から、新作のうち一部が定着する可能性は十分ある。ただし継続的な高い利益率には開発費の抑制が必要なため、楽観よりは高く、中立より低い確率とする。
中立 34% メディアが成長し、ゲームは新旧IPの入れ替わりで緩やかに拡大 利益 7 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,727 円95 億円
国内女性向けゲーム市場は成熟し、既存タイトルの課金者数は緩やかに減る。ただし、数年に一度の新作投入によってその減少を補い、ゲーム全体の年間課金者相当人数は18万人となる。『魔法使いの約束』や『スタンドマイヒーローズ』はファン向けの長期運営作品として残るが、2036年の収益の中心は現在開発中の作品や、その後に生まれる新しいIPへ移っている。
メディア事業は、常設店舗とEC、周年イベント、舞台などの組み合わせで成長を続ける。年間購入換算件数は75万件となり、1件当たりの売上も緩やかに上がる。ただしファンの支出には限界があり、物価上昇をすべて販売価格に転嫁できるわけではない。原材料費、物流費、人件費、店舗賃料も上がるため、売上増がそのまま利益率改善になることはない。
会社は新作開発を続ける一方、審査を厳しくして不採算企画を途中で止めるようになる。開発費を含めた全社営業利益率は約10%に回復し、最終利益も黒字となる。自社IPの権利と長期のファン基盤は残るが、次の10年間も安定した高成長を保証するほどの堀は得られない。株主還元は依然として限定的で、利益の大部分が会社に残る。
- モバイルオンラインゲーム:数量 180,000(年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数))× 価格 0.00(課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 13 億円。年間課金者相当18万人、年額3.1万円。数量は現状比1.20倍、単価は約1.14倍で、物価上昇率を下回る。
- メディア・グッズ・イベント:数量 750,000(年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり売上換算額(億円・名目))→ 売上 47 億円・営業利益 7 億円。年間75万件、1件6,300円。数量は約1.28倍、単価は1.26倍。市場シェアを小幅に高める。
倍率:k8.25%、g_long2.0%。余剰現金の税後利息0.252億円を除いた事業純利益6.748億円、余剰現金18億円を除いた事業自己資本59億円からROE約11.44%。moat=normalで超過ROEの半分が新規投資にも残るとし、RONICは約9.84%。正当化PER=(1−0.02/0.0984)/(0.0825−0.02)の上限約12.75倍を用いる。事業価値約86億円に余剰現金回収価値9億円を加え、全体で約95億円となる。
確率:既存IPに一定の顧客基盤があり、ゲームとメディアを合わせた売上は維持できている。反面、新作への先行投資が大きく、利益率回復には経営上の規律が必要になる。ゲーム市場の成熟とメディアの成長を組み合わせた中心シナリオとする。
やや悲観 25% 新作の採算が弱く、既存IPの縮小を補いきれない 利益 2 億円 · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 573 円32 億円
新規IPは一部のファンを獲得するが、会社全体を大きくするほどの成功には至らない。ディズニーとの協業作品も初期の関心を長期課金につなげられず、ライセンス条件や開発費の負担が利益を圧迫する。『魔法使いの約束』と『スタンドマイヒーローズ』の既存ユーザーは高齢化と競合作品への移動で減り、ゲーム全体の課金者相当人数は12万人まで低下する。
メディア事業も、旧作のファン基盤に依存する部分が大きいため成長が止まる。店舗での販売効率が低下し、在庫処分やイベントの採算悪化が起きる。経営は新作開発の規模を絞り、外注費や広告宣伝費を減らすことで赤字の拡大を止めるが、かつての高い利益率には戻れない。IPの熱心なファンは残っても、その規模は現在より小さくなる。
売上高は約65億円に縮小し、営業利益は小幅な黒字にとどまる。会社は株主還元よりも事業維持と次の作品の開発を優先する。財務資産によって事業継続は可能だが、株主にとっては長い期間、資本コストを下回る利益しか得られない企業になる。
- モバイルオンラインゲーム:数量 120,000(年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数))× 価格 0.00(課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 7 億円。年間課金者相当12万人、年額2.7万円。数量減少が大きい一方、開発縮小で運営事業の利益率だけは維持。
- メディア・グッズ・イベント:数量 550,000(年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり売上換算額(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 4 億円。年間55万件、1件5,900円。新規ファンが増えず、グッズ販売の数量が減少。
倍率:2036年のROEは約5.0%で資本コスト8.25%を下回る。稼ぐ力の評価上限は1/kの12.12倍。余剰現金18億円の税後利息0.252億円を除いた事業利益1.998億円に11.26倍を適用し、株主が回収可能な余剰現金9億円を加える。合計31.5億円は、資本コスト以下の稼ぐ力の上限と金融資産の床を確認したうえでの値である。
確率:下に寄せる理由:『魔法使いの約束』と『スタンドマイヒーローズ』の長期減収が明確であり、2027年1月期上半期も新作開発費の先行によって大幅な営業赤字となった。ゲーム運営の黒字を新作投資が食う状態が長引く可能性を重く見る。
悲観 15% 新作IPの創出力が衰え、長期運営企業としての優位を失う 利益 −5 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 491 円27 億円
新規ゲームは開発費を回収できず、既存作品のファンも減っていく。大手パブリッシャーや海外の女性向けゲームが市場を広く押さえ、colyの新作は目立たなくなる。AIによる制作費低下は大手と新興企業の両方に恩恵を与え、作品供給の増加によって広告宣伝費がかさむ。自社IPの独自性が薄れ、長期運営の成功経験を次の作品へ引き継げなくなる。
ゲームの課金者相当人数は8万人へ減少し、年間支出も低下する。メディア事業では主要IPの人気低下がグッズ、舞台、イベントの需要にも波及する。店舗撤退や在庫処分を進めても、家賃、固定人件費、開発中止費用が残る。創業時から築いたファンコミュニティは完全には消えないが、企業全体を支える規模ではなくなる。
2036年の売上は約39億円、営業損失は約6億円となる。新規事業の整理によって年間の現金流出を抑える一方、成長への再投資は難しくなる。株主還元は実施されず、企業価値は事業の将来利益よりも残る金融資産によって支えられる。事業の継続は可能でも、長期株主にとっては大きな価値の毀損が生じた10年となる。
- モバイルオンラインゲーム:数量 80,000(年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数))× 価格 0.00(課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。年間課金者相当8万人、年額2.5万円。新作の定着に失敗し、既存IPも大幅に縮小。
- メディア・グッズ・イベント:数量 350,000(年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり売上換算額(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。年間35万件、1件5,500円。店舗やイベントの固定費が残り、利益率は3%へ低下。
倍率:事業が赤字で利益倍率を適用できないため、現時点の自己資本54.3億円に対する金融資産の回収価値を使う。純現金と売却可能な有価証券から、借金、契約負債、運転資金、流動化の不確実性を控除した床27億円を採用する。2036年まで積み上げる自己資本27億円に高い倍率を掛けてはいない。過去のPBRの谷も使用しない。
確率:既存IPの減収に新作の不成功が重なり、企業全体の規模が大きく縮小する筋書きである。財務資産が残るため倒産確率と同一視しないが、すでに複数年の営業赤字が続いているため、構造的な衰退を低確率の例外にはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
モバイルオンラインゲーム
『魔法使いの約束』『スタンドマイヒーローズ』『ブレイクマイケース』などのゲーム内課金と、将来の新作タイトルによる収益。新作が既存作品の減収を補う必要がある。
| 数量年間課金者相当人数(人・年、作品間の重複を許す支出換算人数) | 価格課金者相当1人の年間ゲーム支出(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 150,000 | 0.00 | 41 | 6 |
| 10 年後 中立 | 180,000 | 0.00 | 56 | 13 |
取り方:2026年1月期の有価証券報告書にあるタイトル別実績を使用した。『魔法使いの約束』17.685億円、『ブレイクマイケース』16.196億円、『スタンドマイヒーローズ』6.823億円、その他約0.226億円で合計40.931億円。会社は年間課金者数とARPPUを開示していない。外部調査で日本のゲーム課金者の月間支出は1,001〜3,000円の層が最も多いことを参考に、月約2,274円、年約27,288円の支出換算単価を仮定し、年間課金者相当人数約15万人とした。実際のユニーク課金者数やMAUではなく、支出額を数量と単価に分けるための推定である。一般ユーザー調査の出典はLighthouse Studioの2025年7月14日公表資料。営業利益6.3億円は会社の事業別開示ではなく、本社開発費控除前の分析上の推定値。https://lighthouse-studio.voyage/news/005/
メディア・グッズ・イベント
自社IPおよび他社IPを使ったグッズ販売、店舗、舞台、イベント、コラボカフェ、商品化権・ライセンス収入。ゲーム課金とは異なり商品原価と固定費を伴う。
| 数量年間購入・イベント売上換算取引件数(件・年) | 価格1件当たり売上換算額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 585,400 | 0.00 | 29 | 3 |
| 10 年後 中立 | 750,000 | 0.00 | 47 | 7 |
取り方:2026年1月期のメディア売上は29.269億円で、前期26.339億円から11.1%増加した。会社はグッズの販売個数、購入件数、平均客単価を開示していない。アニメ・ゲームのグッズ購入調査と推し活の消費動向を参考に、グッズ・イベント売上換算で1件約5,000円を仮置きし、年間約58.5万件とした。舞台やライセンス収入も購入換算件数に含めているため、実際のレジ通過客数とは異なる。2027年1月期上半期のメディア売上15.90億円と前年同期比15.1%増を別途確認した。営業利益2.69億円は本社費控除前の推定値であり、会社が事業別利益を開示したものではない。市場の参考資料は矢野経済研究所2026年7月17日公表のキャラクタービジネス調査。https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4146
リスクと懸念
既存IPの経年減収と新作開発の再投資負担
『魔法使いの約束』と『スタンドマイヒーローズ』の売上は長期的に減少している。新作が成功しなければ売上を維持できず、成功しても次の新作に多額の開発費が必要になる。作品単体の利益ではなく、失敗した企画や発売前の費用を含めた長期平均の増分ROICが資本コストを上回るかが最大のリスクである。
ディズニー協業作品の収益化とライセンス条件
『ディズニー スパークリンク・スターズ』は2026年11月4日の配信が決まり、事前登録が70万人を超えている。しかし事前登録者数と継続課金者数は異なる。他社IPのため権利保有企業とのライセンス条件にも左右される。初期のダウンロード数だけで成功を判断せず、半年から1年後の課金収入と運営利益を確認する必要がある。
プラットフォーム依存とWeb課金の持続性
AppleやGoogleの決済手数料はゲームの利益を圧迫する。coly IDは費用削減に貢献しているが、プラットフォーム規約、課金誘導ルール、利用者の決済習慣が変われば効果は縮小する。決済経路を自社に移すことが利益率改善につながる一方、課金者数の減少を防ぐ堀にはならない。
生成AIによるコンテンツ供給増加とIPの差別化低下
AIエージェント代替の人月受託・業務SaaS型には直接当てはまらないが、生成AIはイラスト、音声、物語の制作費を下げ、競合作品の数を増やす。制作コスト削減は追い風でも、ファンの時間を奪い合う競争は激しくなる。著作権や出演者の権利処理も必要で、安価な制作がそのまま高い利益を生むとは限らない。
メディア事業の固定費・在庫・店舗採算
メディア売上の増加は収益分散につながるが、小売と飲食には在庫、物流、人件費、店舗賃料が伴う。人気作品の変化によって販売量が急減しても固定費は残る。新リース会計基準による負債の表示変更も考慮し、見かけの自己資本比率だけで財務の安全性を判断しない。
大株主の支配と少数株主への還元不足
創業者側が議決権の大きな割合を保有しており、配当も長年実施されていない。事業が黒字化しても、利益を次の開発に全額再投資すれば少数株主が自由に回収できる資金は増えにくい。資本コストを下回る新作投資や高額なIP買収が続くと、帳簿上の資産は残っても本質価値は伸びない。
今後の分かれ目
- ディズニー新作が配信後1年を経ても課金売上と継続利用者を維持し、開発費の回収が確認できたら
- 新作開発の再現性を一段高く評価し、ゲーム課金者数と営業利益率の前提を引き上げる。ただしライセンス費用を控除した利益で確認する。
- 次の新作を開発している期間でも、全社営業利益が安定して黒字を維持できたら
- 新作投資の費用を含めて稼げる会社へ変化したと判断できる。中立の利益率、ROE、再投資の採算を見直す重要な材料となる。
- 『魔法使いの約束』などの既存IPが周年施策を除いた通常月でも減収を止めたら
- IPの寿命と顧客の維持力に対する評価を引き上げる。新作だけに依存しない収益基盤が確認できれば、悲観側の確率を下げられる。
- メディア事業が増収を続けても、在庫や店舗費用によって全社利益が改善しなければ
- メディアの営業利益率と新規店舗の採算前提を引き下げる。売上成長ではなく、営業キャッシュフローと資本利益率を重視する。
- 経営陣が配当性向やDOEなどの数値目標を定め、実際の還元を始めたら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.5から見直す余地が生まれる。単なる方針表明ではなく、継続した実行と再投資規律を条件とする。
- 新作の延期・中止が重なり、金融資産が開発赤字の補填に使われ続けたら
- やや悲観と悲観の確率を引き上げ、金融資産の床も実際の減少と流動性に合わせて見直す。増資や新株予約権による希薄化がないかも確認する。
見ておくもの
- 2026年11月4日配信予定『ディズニー スパークリンク・スターズ』の初月売上、半年後の継続率、1年後の課金売上
- 開発中の未発表2作品の発売時期、延期、開発中止、追加研究開発費
- 既存IPと新規IPを分けた営業利益、ならびに新規開発・新規事業への支出額
- 『魔法使いの約束』『スタンドマイヒーローズ』『ブレイクマイケース』のタイトル別売上の年次推移
- ゲーム売上に占めるcoly ID経由の課金比率と、支払手数料率の変化
- メディア事業の売上総利益率、在庫回転、店舗採算と閉店・新規出店の動向
- 営業キャッシュフローと投資有価証券残高、借入金、配当・自社株買いの実績
- 2027年1月期以降の営業黒字化、ROE、増分ROICの回復と持続性
- 発行済株式数と自己株式数、新株予約権・株式報酬による希薄化の有無
- 中長期目標の売上高500億円に対する期限・利益率・資本効率目標の追加開示
倍率と資本コストの決め方
数量と単価は、2026年1月期に開示されたゲーム40.93億円、メディア29.27億円を出発点にした。課金者数、グッズ販売件数、客単価は未開示なので、外部の消費調査と会社の売上から支出換算の数量を推定した。10年後の利益率は、2021年のヒット期の32.7%を中立へ引き継がず、開発投資を毎期続けることを前提にした。中立のPERは現在の株価や同業の市場倍率を参照せず、k8.25%、g2.0%、2036年の事業ROEとRONICから算出した。悲観は過去のPBRの谷を根拠にせず、金融資産の回収価値を床とした。
添付のbasisは株価2,977、株数5,501,810株を使用した。2026年7月末短信の発行済5,502,900株、自己株232株との差は小さいが、日付の異なる株数を混ぜて再計算していない。最新の中間損失は将来の自己資本形成とリスク評価に反映した。なお、店舗賃借の新リース会計基準適用後も、2036年の利益は家賃を営業費用に含める比較可能な考え方で評価する。今の時価総額との差を埋めるために倍率や確率を調整していない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基本7.5%に品質調整0.25%と継続的な営業赤字に対する事業不振上乗せ0.5%を加えた。規模や株価変動のβは用いない。財務の即時破綻よりも、新作開発費を回収できない状態が続いていることを評価する。