結論
アルファシステムズは、通信ネットワーク、公共、流通、金融などのシステムを開発する独立系ソフトウェア会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。純現金が厚く、過去十年の経営も堅実だが、売上の約97%を占める受託開発の稼ぎ方がAIエージェントによって変わる危険を、長期の価値に織り込む必要がある。
この会社には確かな強みがある。NTTデータや富士通との長い取引関係を持ち、通信網や社会の基幹システムという失敗の許されない領域で開発経験を積み上げてきた。過去十年は売上と利益をほぼ途切れず伸ばし、営業利益率も改善した。自己資本比率は85%を超え、純有利子負債は約201億円のマイナスである。財務の強さだけなら、長く持ちやすい会社に見える。
しかし、技術力があることと、価格を自由に決められることは違う。顧客の多くは巨大なシステム会社であり、アルファシステムズはその開発工程を担っている。AIが設計、プログラミング、試験を効率化したとき、削減された工数の利益を誰が取るか。筆者は、元請企業の交渉力が強く、同社が効率化の成果をすべて手元に残すことは難しいと見る。
10年後の中立では、売上約361億円、営業利益約35億円を見込む。社会インフラの仕事そのものは残るが、請求できる工数が減り、利益率も下がる。余剰現金と10年間の配当を含めた確率加重の現在価値は約341億円で、基準時価総額の約444億円を23%ほど下回る。事業がなくなるという判断ではない。安定して稼いできた会社であっても、収益モデルが変わる時代には、過去の安定性だけで価値を決められないという判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、まず十年後も顧客が必要とするものを売っているかを考える。アルファシステムズが関わる通信、公共、金融のシステムは社会に欠かせない。技術の蓄積も一朝一夕には模倣できない。この二点だけを見るなら、長期保有に向いた事業と思える。
しかし、本当に所有したいのは仕事量の多い会社ではなく、顧客に価値を提供した結果、その価値の一部を長く自社に残せる会社である。同社は大規模システムの開発能力を持つが、契約の主導権は元請やシステムの所有者にある。顧客がAIで開発工程を短縮したとき、その利益が発注価格の低下として顧客側に移るなら、同社の優れた技術力は必ずしも高い株主利益を生まない。
次に、利益を再投資する場所を見る。過去十年の業績は着実に伸びたが、ROEの長期中央値は資本コストを少し下回る。内部留保を積み上げた結果、事業が大きくなっても資本効率が上がらないなら、成長それ自体には高い価値を認めにくい。新しい開発センターや人材への投資は必要だが、その投資が十年後も十分な利益を生むかはAIの普及速度に左右される。
一方、財務には魅力がある。多額の現預金と運用資産があり、景気後退や事業転換に耐える余力は大きい。のれんに頼らず、長期の取引先も維持している。経営が無謀な買収をしなければ、事業環境が厳しくなっても株主価値の全損は考えにくい。
最後に安全域を見る。現在の時価総額は分厚い自己資本に近い水準だが、帳簿上の資本がそのまま株主の価値になるわけではない。将来の稼ぐ力が資本コストに届かず、現金も十分に還元されなければ、本質価値は帳簿価額より低くなる。優良な歴史を持つ会社であることは認めつつ、今の値段にはもう少し余裕が欲しいというのが筆者の判断である。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は顧客から依頼を受けてソフトウェアを開発する仕事である。2026年3月期のソフトウェア開発関連事業は約395億円で、全社売上の約97%を占める。開発技術者2741人を擁し、通信システム、オープンシステム、組み込みシステムを手掛ける。自社の独占的な製品を大量販売する会社ではなく、技術者の知識、開発体制、品質管理を売る会社と考えるのが正確だ。
通信システムは約72億円で、交換ノード、モバイルネットワーク、ネットワーク管理のソフトウェアを開発する。通信インフラに関する長年の経験が生きる領域だ。ただし、通信事業者の設備投資は必ずしも伸びておらず、直近はネットワーク管理の増収を他の分野の減収が打ち消した。通信インフラが社会に不可欠だからといって、開発工数が永久に増えるわけではない。
最大の柱は公共、流通・サービス、その他の業務システムで、合わせて約200億円となる。官公庁、社会インフラ、運輸、小売、製造業などの基幹システムが対象である。金融と情報通信の開発は合わせて約98億円あり、足元の成長を引っ張る。金融のモダナイゼーションや通信事業者の非通信サービス開発が伸びている。組み込みシステムは約24億円で、車載機器や計測制御機器などのソフトウェアを扱う。
自社製品・サービスの売上は約12億円にとどまる。教育機関向けのPC運用管理、授業支援、環境復元、VR実習支援などを展開し、2026年には時間割自動生成サービス「コマ助」の販売も始めた。顧客と直接契約する製品ビジネスは、受託開発への依存を弱める可能性がある。ただし、現段階では会社全体の利益構造を変える規模ではない。
顧客構造にも特徴がある。2026年3月期はNTTデータ向けが売上の17.7%、富士通向けが10.7%だった。両社にとっては開発パートナーであるが、アルファシステムズから見れば大型発注を握る相手でもある。この関係が長期の仕事を支える一方、単価交渉やAI導入による工数削減の主導権を制約している。
優良さと弱いところ
最大の強みは、長年の開発実績から生まれた技術者集団と顧客の信頼である。通信、公共、金融の大型システムには、仕様の理解、関係者との調整、品質保証、障害対応の経験が必要になる。既存システムを知る技術者を突然入れ替えるのは容易ではない。これが新規参入者に対する実務上の参入障壁になっている。
ただし、堀、つまり他社が簡単には奪えない利益の源泉は、広いとは言い切れない。NTTデータや富士通は発注先を選ぶ立場にある。同社が顧客の取引記録そのものを保有したり、業界共通の基盤を独占したりしているわけではない。長期取引は受注継続の強みだが、持続的な超過利益の証拠とは別である。
業績には改善の積み重ねがある。2016年3月期から2026年3月期までに売上は約257億円から407億円へ伸び、営業利益は約24億円から50億円になった。営業利益率は9%台から12%台へ改善している。この間、自己資本は約321億円から453億円に増えた。利益増加額を自己資本増加額で割った粗い増分利回りは資本コストを上回るが、好調な市場と単価上昇が寄与しており、そのまま今後の再投資利回りとは見なせない。
資本効率には弱点がある。過去十年のROE中央値は6.9%であり、今回採用する資本コスト7.25%を下回る。直近のROEは8%台まで改善したものの、高い自己資本を抱えながら超過利益を生み続ける構造が確立したとは言えない。余剰現金を抱えることが事業の安全性を高める反面、株主資本の効率を低くしている。
品質を重視する企業文化と無理のない財務運営は評価する。しかし、AI時代には開発能力の高さだけでは不十分だ。顧客が削減された工数に応じて発注額を減らすなら、生産性向上が自社の利益増加につながらない。値上げ実績が継続するか、成果に対して対価を得られる契約へ移れるかが、これからの優良さを決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は拡大している。IDC Japanによると、2025年の市場規模は約7兆5663億円で、2030年には約10兆2541億円に達する見通しである。金融機関の基幹系刷新、政府・自治体のシステム更新、企業のクラウド移行、データ活用などが需要を支えている。同社が関わる社会インフラや金融の仕事は、十年後もなくならない公算が大きい。
市場の競争は厳しい。IDCの2024年推計では、国内ITサービス売上の上位は富士通、日立製作所、NEC、NTTデータである。富士通は約1兆4225億円で市場の約20%、続く3社はそれぞれ約1兆2000億円で17%前後の規模に相当する。これに対しアルファシステムズの開発売上は約395億円で、2025年の国内ITサービス市場に対する単純比率は約0.52%となる。市場と会計上の売上の範囲、対象年には差があり、厳密な一次請負シェアではないが、規模の差を知る物差しにはなる。
分野別では公共・流通などの業務システムが最大の需要源であり、金融にはモダナイゼーションの追い風がある。車載組み込みもソフトウェア化で需要が広がる。国内車載ソフトウェア市場は2024年に約6570億円と推計されているが、アルファシステムズの組み込み売上には計測制御なども含まれ、車載だけの正確なシェアは不明である。教育向け製品についても、学校向けPC運用・授業支援という狭い市場の独立した規模と同社シェアは開示されていない。
十年を考える際には、IT投資の増加と受託開発会社の売上増加を同一視してはいけない。AIエージェントが仕様書の作成、コード生成、テスト、改修を自律的に進めれば、同じシステムを少ない技術者で作れる。顧客のIT投資額が増えても、人月で請求する会社の売上は減りうる。これは従来の景気循環より根本的な変化である。
業界全体の数量と単価は、2030年まで技術者需要と賃金上昇によって名目年5~7%の成長が見込まれるという共通前提を使う。ただし、同社の取り分はAIによる必要工数の減少で別に動く。2036年の国内ITサービス市場を名目約13.3兆円とする参考延長推計では、同社開発売上の単純比率は中立で約0.26%となる。市場そのものの需要が伸びても、人月型開発のシェアを維持できない筋書きだ。
資本政策と M&A
資本配分は長く保守的だった。借入に依存せず、営業活動で得た資金を開発拠点、人材育成、金融資産、配当に振り向けている。大規模な買収を繰り返してのれんを積み上げる経営ではなく、財務の安全性は高い。2026年3月期には開発センターの空調設備更新などに約9億円を投じた。
株主還元の基本方針は配当性向50%を目標とすることだ。2026年3月期の配当総額は約19億円で、配当性向は約50%だった。2027年3月期の会社計画は売上425億円、営業利益51億円、純利益36.5億円である。これに対応した増配も計画している。ただし、2026年時点の経営戦略には複数年にわたる確定的な売上・利益・ROE目標や、DOE、総還元性向、自社株買い金額についての数字の約束はない。
過去には株数が約5%減った時期があるが、直近5年間は本格的な自社株買いによる株数減少が見られない。配当は増額されているものの、巨額の余剰資金を積極的に吐き出す方針までは確認できない。上位株主の持分集中も強いため、余剰現金が帳簿額どおり少数株主に戻るとは考えず、価値に算入する際は一定の割引を行う。
株主優待は壁掛けカレンダーである。会社の実際の製作・発送費は非開示のため、対象株主を約1万人、印刷・発送原価を1件約1000円とする概算で年間約0.1億円、10年間で約1億円を還元額に含めた。金額が小さいため価値への影響は限定的である。
今後の資本配分で最も問われるのは、新たな製品やAI対応への投資が資本コストを上回るかどうかだ。受託開発の工数が減るなら、開発拠点や人員を従来どおり増やすことは合理的でなくなる。収益性の高い投資機会がなければ、蓄積した現金を配当や自社株買いに回す方が株主にとって有利になりうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
社会インフラのソフトウェア開発は、AIだけで簡単に代替できる仕事ではない。通信網や銀行の基幹系システムは、生成されたコードが動くだけでは足りない。障害が起きた場合の影響、個人情報の保護、既存システムとの整合性、長期の保守まで責任を持つ必要がある。アルファシステムズが半世紀以上にわたって蓄積した経験は、こうした領域で競争上の価値を持つ。
実際に、2026年3月期は金融向け開発が大きく伸び、情報通信や組み込み分野も成長した。公共と流通の大型案件も続いており、受注残高は増えている。国内ITサービス市場そのものは拡大し、政府のシステム更新や金融機関のモダナイゼーションが今後も需要を支える。技術者不足が深刻な中で、品質の高い開発体制を自前で持つことには意味がある。
AIは脅威であると同時に、同社の生産性を改善する道具にもなる。開発者一人がより多くの案件を担当できれば、採用負担を抑えながら事業を維持できる。顧客の経営課題まで理解して成果を提供する方向へ契約を変えられれば、単なる人月商売から抜け出せる可能性がある。教育向け製品や時間割自動生成サービスも、小さくてもその方向への試みだ。
さらに、純現金と自社保有不動産がある。大規模な借り換えに追われる企業とは違い、AIへの移行が進む間も人材を育成し、製品開発に投資できる。株主還元を強化すれば、低い資本効率を改善する余地もある。事業の信頼、顧客基盤、財務余力という三つの強みを生かせれば、十年後も利益の増加を続ける可能性は十分にある。
慎重な見方
最大の問題は、社会に必要なシステムを作っていることと、その開発工数を従来どおり請求できることが別だという点にある。AIエージェントが設計書、コード、試験、修正を自動化するほど、顧客は同じ成果に必要な人数を減らせる。人月を減らしても品質を維持できるなら、元請企業は下請会社への支出を抑えようとする。この変化は景気後退の一時的な受注減ではなく、売上の積み上げ方そのものを壊す。
アルファシステムズの顧客にはNTTデータや富士通がいる。両社は大型案件を統括し、仕様や価格を交渉する立場にある。AIによる生産性改善の成果を、同社が自由に価格へ反映できるわけではない。過去に人手不足で上がった開発単価が、将来も同じように上がる保証はない。顧客の開発体制が内製化されれば、外部に発注される作業の範囲も狭くなる。
自社製品の規模が小さいことも弱点だ。売上の約97%が受託開発に依存し、独自データや業務上の記録を顧客から預かって継続課金する事業は主力ではない。教育向け製品には実績があるが、年間解約率、契約更新率、導入先の拡大ペースが十分に開示されておらず、全社を守る強い堀とは評価できない。
資本効率も楽観できない。過去十年のROE中央値は資本コスト以下であり、現金を抱えたまま利益成長が鈍れば、余剰資産が資本を圧迫する。株主に還元しなければ現金の額面をそのまま企業価値に加えることもできない。自社開発製品への投資が成功する保証もなく、成果が出ないまま人件費と開発拠点の固定費だけが残る可能性がある。
十年後の悪い筋書きでは、需要がなくなるのではなく、顧客が同じ成果をより安く買えるようになる。売上が縮んでも給与、開発拠点、品質保証の費用は簡単には減らせない。営業利益率が低下し、最後には赤字になる可能性まで考える必要がある。
どちらに重みを置いたか
事業の継続性と財務の安全性では強い見方に説得力がある。しかし、株主が得られる利益の持続性では慎重な見方を重く評価する。特に売上の大部分が受託開発であり、主要顧客が大手元請企業であることは、AIによる工数削減の利益を自社に残しにくい構造的な理由だ。
中立の筋書き自体にAIによる数量減少を織り込み、確率はさらに極端な悲観へ偏らせすぎない。それでもやや悲観と悲観の合計は39%とし、楽観側の26%より厚くした。純現金の下支えがあるため破綻確率を高く見る必要はないが、収益モデルの持続性には相応の不確実性がある。最終的な価値は現在の時価総額を下回り、結論はやや割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,499 円491 億円(+ 還元の換算額還元の合計 981 円138 億円)。 今の値に割り戻すと 2,429 円341 億円、今との差 −22.2%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 6,973 円979 億円 | 1,603 円225 億円 | +174.9% | +12.1% | 686 円96 億円 |
| やや楽観 | 18% | 5,726 円804 億円 | 1,353 円190 億円 | +126.9% | +9.7% | 1,274 円179 億円 |
| 中立 | 35% | 3,839 円539 億円 | 1,083 円152 億円 | +57.7% | +5.3% | 1,723 円242 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,568 円220 億円 | 712 円100 億円 | −26.9% | −3.6% | 570 円80 億円 |
| 悲観 | 14% | 1,246 円175 億円 | 370 円52 億円 | −48.2% | −7.0% | 226 円32 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,499 円491 億円 | 981 円138 億円 | +43.6% | +4.2% | 4,479 円629 億円 |
今の株価時価総額 3,120 円438 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% AIを使いこなし、開発の付加価値を維持 利益 57 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,973 円979 億円
AIによる開発効率化が進む中で、アルファシステムズは顧客のシステム全体を理解する強みを守る。通信網や金融の基幹システムでは、設計から品質保証まで一体で担う力が評価される。必要な人月は減るが、より高度な領域を受注し、既存の開発売上を実質でほぼ維持する。
金融のモダナイゼーション、公共システムの更新、車載ソフトウェア需要は続く。NTTデータや富士通との関係を維持しながら、より上流の工程に進出する。自社製品も教育機関で採用を重ねるが、劇的な新製品成功までは織り込まない。契約は依然として開発工数に左右され、価格はおおむね物価上昇の範囲にとどまる。
会社全体の営業利益率は約14%となり、過去の優良期に近づく。AIを活用して人員と固定費を抑え、仕事の難易度に応じた単価を維持できるためだ。余剰資金から配当を払いながら、成長投資も続けられる。参考的な国内ITサービス市場に対する開発売上の比率は約0.38%で、全体市場の伸びには劣るが、強い専門分野を守り切る十年となる。
- 通信システム開発:数量 502(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.18(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 88 億円・営業利益 13 億円。AI後も工数を94%維持し、価格は現状の1.30倍。通信網の高度化と保守需要が支える。
- 公共・流通サービス・製造業等の業務システム:数量 1,372(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.19(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 263 億円・営業利益 39 億円。公共・流通の高難度案件で工数98%を維持し、物価並みの単価上昇を確保。
- 金融・情報通信システム開発:数量 597(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.22(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 129 億円・営業利益 20 億円。金融・情報通信の専門性を維持し、工数98%、価格1.34倍。
- 組み込みシステム開発:数量 194(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.16(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 32 億円・営業利益 5 億円。車載分野を維持し、工数98%、価格1.34倍。
- 自社製品・サービス:数量 588(製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件))× 価格 0.02(1契約換算当たり年間売上高(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。既存顧客を維持しつつ収益性が改善。数量98%、契約単価1.15倍。
倍率:資本コスト7.25%、十年後ROE約8.42%、弱い堀に対応する残存割合3分の1を使用する。AIエージェント代替による長期成長率g_longを0%としたため、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0725=13.79倍となる。事業利益は56.85億円から余剰現金350億円の税後受取利息4.90億円を除いた51.95億円。これに13.79倍を掛け、余剰現金の戻り方75%に当たる262.5億円を足す。
確率:長期取引、通信・金融の専門性、純現金を生かして開発効率化の利益を相当程度取り込む筋書き。ただしAIを直接売る新規事業で定量的な売上実績がまだ不足しており、確率は8%に抑える。
やや楽観 18% 主要顧客を守りながら緩やかに適応 利益 45 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,726 円804 億円
通信、公共、金融の主要顧客との取引関係は維持される。AIによってコーディングやテストの工数は減るが、仕様調整、品質保証、旧システムとの接続など人の判断が要る工程も残る。金融や情報通信では新規案件が増え、従来の開発体制を相当程度維持できる。
会社は顧客と共同でAIを開発工程に導入し、必要な人員を徐々に減らす。給与と外注費は物価に沿って上昇するが、稼働率の維持と業務の効率化で大幅な利益率悪化を防ぐ。組み込みでは車載ソフトウェア需要を取り込み、自社製品も小規模ながら存続する。
営業利益率は約12.5%で推移し、近年の実績と大きく変わらない。ただし、過去十年のような技術者数の増加による成長は終わっている。2036年時点の開発売上が国内ITサービス市場に占める参考比率は約0.34%となり、相対的な規模は縮む。余剰現金は厚く、配当も継続されるため、株主にとっては成長企業というより堅実な資金創出企業となる。
- 通信システム開発:数量 438(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.17(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 76 億円・営業利益 9 億円。通信開発工数82%、単価1.29倍。主要顧客と次世代通信網の案件を維持。
- 公共・流通サービス・製造業等の業務システム:数量 1,218(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.19(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 230 億円・営業利益 31 億円。公共・流通工数87%、単価1.32倍。AI削減分を大型更新案件で部分補填。
- 金融・情報通信システム開発:数量 548(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.22(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 118 億円・営業利益 17 億円。金融・情報通信工数90%、単価1.34倍。
- 組み込みシステム開発:数量 178(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.16(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 29 億円・営業利益 4 億円。車載需要を維持し、工数90%、単価1.34倍。
- 自社製品・サービス:数量 540(製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件))× 価格 0.02(1契約換算当たり年間売上高(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。製品契約数量90%、価格1.13倍。薄いながら黒字化。
倍率:資本コスト7.25%、十年後ROE約7.09%。ROEが資本コストをわずかに下回り、g_longも0%なので、稼ぐ力の上限1/k=13.79倍を使用する。余剰現金320億円の税後利息4.48億円を純利益から除き、事業純利益40.89億円を評価する。現金の戻り方は75%。
確率:長期の取引関係と専門分野の需要は続き、AIによる削減工数の一部を新しい案件で補える。ただし契約を全面的に成果報酬へ移す証拠はなく、成長は限定的とする。
中立 35% 社会インフラは残るが人月の価値が縮む 利益 28 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,839 円539 億円
国内のIT投資は引き続き増加するが、開発工数はそれに比例して増えなくなる。AIがコード生成、単体試験、既存システムの改修を担い、顧客は開発期間と外部発注人数を減らす。NTTデータや富士通との取引は続くものの、契約工数の削減が売上に表れる。社会インフラや金融のシステムそのものは存続し、仕事が全面的になくなるわけではない。
通信システムは工数が現在の約62%になり、公共・流通は67%、金融・情報通信は73%、組み込みは74%になる。単価には物価上昇を反映するが、通信と公共・流通では顧客の価格交渉力により物価を十分に転嫁できない。自社製品は端末管理や操作画面の価値がAIに一部代替され、数量と価格の双方に圧力がかかる。
売上は約361億円となり、営業利益率は約9.7%へ下がる。技術者や協力会社の規模を縮小しても、開発拠点、品質管理、教育の固定費が残るためである。参考的な国内ITサービス市場に対する開発売上の比率は約0.26%となる。配当性向50%前後を維持し、余剰現金も残すが、ROEは約4.7%に低下する。事業は生き残るものの、株主資本を十分に増やせない十年となる。
- 通信システム開発:数量 331(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.17(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 55 億円・営業利益 5 億円。通信開発工数62%、単価1.24倍。通信設備投資の成熟とAI工数削減が重なる。
- 公共・流通サービス・製造業等の業務システム:数量 938(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.19(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 174 億円・営業利益 19 億円。公共・流通工数67%、単価1.30倍。社会インフラ案件は残るが、元請主導で工数削減。
- 金融・情報通信システム開発:数量 445(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.22(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 96 億円・営業利益 11 億円。金融・情報通信工数73%、単価1.34倍。業務知識が下支えし、相対的に減少が浅い。
- 組み込みシステム開発:数量 147(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.16(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。組み込み開発工数74%、単価1.34倍。車載需要が開発自動化を一部吸収。
- 自社製品・サービス:数量 480(製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件))× 価格 0.02(1契約換算当たり年間売上高(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。製品契約数量80%、価格1.10倍。AIによる画面操作代替と販売費負担が残る。
倍率:事業の長期成長率g_long=0%、資本コスト7.25%から正当化PERの上限1/k=13.79倍を使用する。ROE約4.71%は資本コスト以下であり、成長を追加で評価しない。純利益28.38億円から余剰現金265億円の税後利息3.71億円を控除した事業利益24.67億円に13.79倍を適用する。余剰現金は75%の198.75億円を加える。
確率:会社の主力は人月・工数で売る受託開発であり、AIエージェント代替の数量0.55~0.75倍という中立範囲を分野別に適用した。長期契約があるため最も厳しい端までは縮めず、専門性の高い金融と組み込みは数量を比較的維持する。
やや悲観 25% AIによる発注工数の削減が先行 利益 12 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,568 円220 億円
元請企業がAIエージェントを開発標準に組み込み、協力会社へ発注する工数を大幅に削減する。大型システムの保守や障害対応は残るが、新規機能の開発、試験、仕様変更への対応は従来ほど人手を必要としなくなる。NTTデータや富士通との取引は継続しても、案件ごとの売上は小さくなる。
公共・流通や通信の工数は現在の半分前後になる。金融や組み込みでは品質・規制対応が一定の防波堤になるが、需要の拡大だけでは開発効率化を補えない。給与と建物維持費を削減するため、人員の自然減と拠点再編を進める。収益を維持するための値上げは十分に通らない。
売上は約265億円、営業利益は約13億円となる。営業利益率は約4.8%まで低下し、かつての優良さは失われる。自社製品も開発・営業費用を賄いきれず赤字が続く。参考的な国内市場に対する開発売上の比率は約0.19%となる。配当額は利益の減少に応じて縮み、余剰資金の一部も事業の転換費用に使われる。財務破綻ではなく、資本効率の低い会社へ変わる十年だ。
- 通信システム開発:数量 262(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.16(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。通信開発工数49%、価格1.15倍。通信網保守以外の受託工程が急減。
- 公共・流通サービス・製造業等の業務システム:数量 742(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.17(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 127 億円・営業利益 8 億円。公共・流通工数53%、価格1.20倍。元請のAI標準化と内製化で大幅減。
- 金融・情報通信システム開発:数量 353(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.20(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 69 億円・営業利益 5 億円。金融・情報通信工数58%、価格1.22倍。高度案件にも工数圧縮が及ぶ。
- 組み込みシステム開発:数量 123(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.15(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。組み込み工数62%、価格1.23倍。製造業の開発自動化が広がる。
- 自社製品・サービス:数量 420(製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件))× 価格 0.02(1契約換算当たり年間売上高(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。製品契約数量70%、価格1.05倍。AI代替と販路縮小で赤字が拡大。
倍率:資本コスト7.25%、ROE約2.15%で、事業は資本コストに届かない。g_long=0%の稼ぐ力の上限1/kは13.79倍だが、やや悲観では顧客喪失と継続的な工数削減によって十年後利益の持続性がさらに弱まるため9.5倍を使用する。純利益11.81億円から余剰現金175億円の利息2.45億円を控除した事業利益9.36億円を評価し、現金の戻り方75%を加える。
確率:大手元請がAIによる生産性改善を主導し、外部委託工数を早期に削減する筋書き。主要顧客への依存と人月収益の比率が高いという会社固有の弱さから、相応の確率を置く。
悲観 14% 人月収益モデルが崩れ、事業の堀を失う 利益 −3 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,246 円175 億円
大手顧客が自社開発基盤にAIエージェントを組み込み、アルファシステムズが担当してきた開発工程の相当部分を内製化する。残るのは特殊なシステムの保守、監査対応、障害調査などに限られる。開発部隊を大きく縮小せざるを得なくなり、従来の規模を前提にした拠点と管理体制が重荷となる。
通信・公共・金融のシステム需要は消えない。しかし、大手元請が開発工数を自社で処理するため、同社の受注は縮小する。価格交渉でも不利になり、名目単価が物価上昇に大きく届かない。自社製品は海外製ソフトやAIエージェントに機能を代替され、収益の柱には育たない。
売上は約180億円となり、現在の半分以下へ縮む。営業利益は赤字に転じ、固定費を削るための事業再編が必要になる。大規模な借入がないため直ちに破綻するわけではないが、蓄積した現金の一部は人員再配置、拠点再編、損失補填に使われる。国内ITサービス市場に対する開発売上の参考比率は約0.13%まで低下する。
十年後は利益に継続的な価値を認めにくく、金融資産と換金できる不動産を中心に株主価値を評価する。少数株主が清算を強制できるわけではなく、帳簿上の自己資本がそのまま受け取れるとは限らない。それでも資産の厚さから、事業の失敗が株主価値の全損に直結する筋書きにはしていない。
- 通信システム開発:数量 187(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.14(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 27 億円・営業利益 −1 億円。通信開発工数35%、単価1.06倍。保守中心に縮小し赤字化。
- 公共・流通サービス・製造業等の業務システム:数量 560(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.15(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 87 億円・営業利益 1 億円。公共・流通工数40%、単価1.08倍。固定費負担により採算はほぼ消える。
- 金融・情報通信システム開発:数量 256(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.18(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。金融・情報通信工数42%、価格1.12倍。元請の内製化で成長エンジンを失う。
- 組み込みシステム開発:数量 95.0(年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年))× 価格 0.14(1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。組み込み工数48%、価格1.16倍。品質対応の仕事だけが残る。
- 自社製品・サービス:数量 330(製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件))× 価格 0.02(1契約換算当たり年間売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。製品契約数量55%、価格据え置き。開発費を回収できず赤字。
倍率:十年後の最終損益は赤字であるため、継続企業としての利益倍率を使わず、純現金と換金可能資産から算出した175億円を床とする。現在の自己資本453.3億円に対する倍率は約0.386倍であり、十年後の自己資本503億円には掛けていない。過去の市場PBRの谷は根拠に使わず、資産の換金可能額と少数株主への戻り方だけを基礎にする。
確率:AIエージェントの普及と元請の内製化が重なり、受託開発の仕事が構造的に縮小する筋書き。大幅なシェア喪失には複数の悪条件が必要だが、売上の97%が受託型であるため、14%を無視できない尾の確率として置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
通信システム開発
通信網のノード、モバイルネットワーク、ネットワーク管理システムの受託開発。通信インフラの経験は長いが、通信事業者の投資判断と元請企業の発注に依存する。
| 数量年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年) | 価格1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 534 | 0.13 | 72 | 9 |
| 10 年後 中立 | 331 | 0.17 | 55 | 5 |
取り方:有価証券報告書の通信システム売上72.04億円を使用した。ノード17.44億円、モバイルネットワーク14.42億円、ネットワーク管理40.18億円の合計である。全社ソフトウェア開発部門2741人と開発売上394.77億円から算出した平均的な売上換算人年を起点とし、通信の開発単価を年約1349万円と推定して534人年に対応させた。実際の分野別要員数、契約人月単価、外注人数は非開示であり、推定値であって実測人数ではない。営業利益は分野別非開示のため採算構造から配分した分析上の値。AIエージェント代替は人月・工数型で、基幹通信網の品質要求を認めつつも顧客が記録の正本を自社に預ける型ではない。
公共・流通サービス・製造業等の業務システム
官公庁、地方自治体、社会インフラ、運輸、小売、その他の一般企業に向けた基幹系・業務系システムの受託開発。会社の最大の収益領域である。
| 数量年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年) | 価格1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,400 | 0.14 | 200 | 26 |
| 10 年後 中立 | 938 | 0.19 | 174 | 19 |
取り方:有価証券報告書の公共82.69億円、流通・サービス89.98億円、オープンシステムのその他27.66億円を合算した。年約1431万円の売上換算人年を仮定し、約1400人年と推定した。実際の人員配分や契約単価は非開示であり、人数と価格の内訳は推計である。公共や社会インフラの大型案件に品質管理上の切り替え費用はあるが、業務システムの開発工数はAIエージェント代替の人月型に分類する。市場比較にはIDCの国内ITサービス市場を利用し、当分野固有の正確な市場シェアは非開示として扱う。
金融・情報通信システム開発
銀行、証券、保険、カード会社の基幹系更新と、通信事業者のコンテンツ・ポイントなど非通信インフラ領域のシステム開発。近年の成長エンジンである。
| 数量年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年) | 価格1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 609 | 0.16 | 98 | 15 |
| 10 年後 中立 | 445 | 0.22 | 96 | 11 |
取り方:有価証券報告書の金融57.38億円、情報通信40.74億円の合計98.12億円を用いた。専門性の高い案件が多いと考えて年約1611万円の売上換算単価を仮定し、約609人年と推定した。2026年3月期の金融は31.7%増、情報通信は18.8%増であり、他領域との差別化を確認した。契約単価と分野別人数は開示がないため分析上の推定である。規制対応や業務知識の切り替え費用はあるが、解約率など二つ以上の堀の定量的証拠がなく、AIエージェント代替の人月型とする。
組み込みシステム開発
自動車、計測制御機器などに搭載する組み込みソフトウェアの開発。車載ソフトウェア化という需要拡大要因がある。
| 数量年間の開発工数を社内技術者1人年相当に換算した数量(推定人年) | 価格1人年当たり売上高(億円・外注を含む売上換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 198 | 0.12 | 24 | 4 |
| 10 年後 中立 | 147 | 0.16 | 24 | 3 |
取り方:有価証券報告書の組み込みシステム販売実績24.29億円を用いた。年約1227万円の売上換算人年を仮定して198人年と推定した。2026年3月期は車載関連と計測制御機器の開発で18.6%増収だった。国内車載ソフトウェア市場約6570億円という2024年推計は参考になるが、同社の組み込み売上には車載以外を含むため、その全額を車載シェアの分子にしない。実際の出荷ソフトウェア本数、開発人員、契約単価は非開示。現場の物理作業ではなくソフトウェア受託開発であるため、AIエージェント代替の人月型とする。
自社製品・サービス
PC運用管理、教育向け授業支援、環境復元、VR実習支援、時間割自動生成などの自社ソフトウェア・関連サービス。全社では小規模な戦略事業である。
| 数量製品販売・保守・年間利用契約を共通の年契約に換算した数量(推定件) | 価格1契約換算当たり年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.02 | 12 | −1 |
| 10 年後 中立 | 480 | 0.02 | 11 | 0 |
取り方:有価証券報告書のその他事業の販売実績12.46億円を使用した。会社は製品の販売数量、契約数、平均単価、契約更新率を開示していない。教育向け製品の過去の100校以上の導入紹介を参考にしつつ、法人向け製品と保守を含む年間600契約相当、1契約約208万円という検証用の換算単位を設けた。600件は実際の契約数を意味せず、公開売上を契約数量と価格に分けるための明示的な推定である。端末管理や授業支援には席・画面操作を価値とする部分があるため、AIエージェント代替の席課金・業務ソフト型とする。解約率5%未満などの証拠がなく、記録の正本型の例外は認めない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月収益の縮小
売上の約97%は受託開発関連であり、AIによるコード生成、試験自動化、仕様変更対応の効率化で必要工数が減る可能性が高い。システム自体の需要が増えても、発注される工数が減れば売上は縮む。中立で既に工数の減少を織り込み、悲観ではその変化がさらに進む。
主要顧客の価格交渉力と内製化
NTTデータと富士通の2社向けで売上の約28%を占める。いずれも大規模な開発能力を持つ元請企業であり、AI活用の利益を協力会社と分け合うかは相手の経営判断に左右される。契約単価が下がらなくても、発注人数や開発期間が短くなれば売上は減少する。
高い自己資本と低い資本効率
純現金は厚いが、過去十年のROE中央値は資本コストを下回る。利益を内部留保し続けても、資本コストを超える投資先がなければ企業価値は十分に増えない。資金をいつ、どの程度株主へ戻すかの判断は大株主と経営陣に委ねられ、帳簿上の現金が額面どおり少数株主に帰属するとは限らない。
給与上昇と固定費の下方硬直性
開発単価が上昇してきた一方、技術者の給与も上昇している。売上が減少したときに人員、賃金、開発拠点を同じ速さで減らすことは難しい。AIによる開発工数削減が先行し、固定費の削減が遅れると、営業利益率は売上以上に大きく下落する。自社保有建物の更新投資も続く。
自社製品の競争力と収益規模
教育機関向けPC管理や授業支援には導入実績があるが、全社売上の約3%にすぎない。製品の更新率、契約数、継続収益割合が十分に開示されておらず、受託開発を補える利益源になるかは不明である。海外ソフトウェアやAIエージェントの機能拡張により、画面操作型製品の差別化が難しくなる危険もある。
受託案件の品質問題と顧客の投資循環
通信、公共、金融のシステムは品質要求が厳しく、仕様変更、納期遅延、障害対応による追加費用が発生する可能性がある。また、顧客の設備投資や大型案件の終了によって受注が変動する。品質問題が大口顧客との信頼を傷つければ、単年度の損失だけでなく、長期間の受注基盤にも影響が及ぶ。
今後の分かれ目
- 主要顧客向け開発の工数が減っても売上総利益率と受注単価が上昇し続けたら
- AIによる生産性改善の利益を自社に残せている証拠となる。中立の開発工数と利益率を見直し、やや楽観側の確率を引き上げる。
- NTTデータや富士通がAI開発基盤への移行を進め、協力会社への発注額を減らしたら
- 人月収益モデルの構造的な縮小が進んでいると判断する。通信、公共、金融の数量前提を引き下げ、悲観側の重みを増やす。
- 金融・情報通信・組み込みの成長分野で受注残高と収益性が複数年にわたり改善したら
- 専門性の高い仕事がAI代替を部分的に防いでいる証拠になる。中立の数量減少を和らげ、利益率の持続性を再評価する。
- 自社製品の継続契約数、解約率、単価、収益性が定量的に開示され、強い顧客定着が確認できたら
- 製品事業を人月型とは別の継続収益として評価し直す。記録の正本や独自データの堀が二つ以上確認された部分には、より長期の成長余地を認める。
- 余剰現金を使った大型自社株買いや増配が継続し、総還元性向が明確に引き上げられたら
- 現金が少数株主へ戻る確度を上げ、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地がある。事業価値と株主価値の差が縮む。
- 売上の減少が続くのに開発拠点・人員・販管費を縮小できなかったら
- 固定費の下方硬直性から営業利益率を引き下げる。やや悲観の利益率低下が現実に近づき、資産価値を中心とした評価へ重みを移す。
見ておくもの
- 通信・公共・流通・金融・情報通信・組み込みの各分野別売上高と受注残高の前年比
- ソフトウェア開発関連事業の受注高と12か月移動平均の推移
- 技術者数・平均給与・一人当たり売上高・開発単価の変化
- NTTデータ、富士通向け売上比率と元請企業のAI開発内製化方針
- 営業利益率、売上総利益率、販管費率の長期推移
- 自社製品の契約数、更新率、継続売上、採算に関する新規開示
- 現預金・定期預金・運用有価証券の推移と自社株買い、配当性向
- 自社保有開発センターの更新投資額と減価償却費の推移
- AIを活用した成果報酬契約や直接顧客へのサービス提供の金額実績
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や同業PERから逆算して将来の利益と倍率を決めていない。2026年3月期の分野別販売実績を起点に、開発関連2741人の実測人員と、分野ごとの売上から推定した売上換算人年を使い、実質数量と名目価格を分けて2036年の売上を算出した。AIエージェント代替の人月型には中立数量0.55~0.75倍、価格は最大1.34倍を適用し、自社製品には席課金・操作画面型を適用した。AIによる縮小は数量とg_longに入れ、資本コストの寿命項目には重ねていない。
中立・楽観側の倍率は資本コスト7.25%と長期成長率0%による正当化PER13.79倍であり、現在の市場PERを参照していない。各筋書きの余剰現金利息を事業利益から除き、現金の戻り方75%で別に加算した。中立の2036年時価総額約539億円と10年間の還元152億円を現在価値に直すと約375億円になる。
全筋書きの現在価値を確率加重すると約341億円となり、基準時価総額444億円との差は約マイナス23%である。2028年3月期から新リース会計基準による貸借対照表の表示変更がありうるが、十年後の営業利益は現行と同じ費用認識の考え方にそろえた。減価償却は2026年3月期の約2.89億円を一律にインフレ増額せず、既存設備の償却と更新投資を分け、2036年の中立では約4.2億円を想定した。販管費は現在の約44.9億円から物価上昇を反映した約60億円相当の費用負担を分野別利益率と共通費に織り込み、数字合わせによる利益率改善を避けた。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基準とし、四つの事業品質調整の合計マイナス0.25%を加えた7.25%。同領域の大手である野村総合研究所、TIS、日鉄ソリューションズより値決め力が弱い一方、純現金は厚い。経営危機ではないため追加の困窮プレミアムは付けない。