結論
グロースエクスパートナーズは、大企業の既存システムと業務を理解し、組織改革からシステム開発まで支援する企業である。筆者の結論は「割高」だ。技術者集団としての実力と厚い純現金は評価できるが、AIエージェントの普及によって、人の作業時間を売る現在の収益構造が大きく変わると考えるからである。
2026年8月期は売上高46.7億円、営業利益5.0億円となり、創業以来初の減収減益に転じた。医療向け案件の遅延、スマートモビリティ案件の端境期、一過性の商品販売の反動が直接の原因であり、減益のすべてをAIの影響とみなすべきではない。しかし経営陣自身が、AI時代に必要な提案力への対応が遅れたと認めている。この事実は、過去の高いROEを10年先に延長できない理由になる。
三越伊勢丹ホールディングス、大成建設、ニプロ、トヨタ自動車などとの取り組みには、顧客の業務を深く理解する価値がある。日本IBMや日本マイクロソフトとの協業も、新しい案件を獲得する入口になる。ただし、これらの関係が顧客の内製化やAIエージェントへの切り替えを防ぐ独占的な権利ではない。開発工数が減ったとき、削減した工数に代わる価値を成果報酬や自社製品として回収できるかが本質的な分かれ目になる。
10年後の中立では、売上は現在より緩やかに縮小し、営業利益率も低下すると考える。2026年8月期末には約18億円の純現金があり、投資有価証券や土地も保有しているため、急な資金難に陥る可能性は低い。一方、余剰資金の還元実績はまだ短い。5つの筋書きと潜在株式による希薄化を考慮した現在の本質価値は約23.6億円となり、約40億円の時価総額を約41%下回る。安全域を重視する長期株主には、現状の価格は十分に低いとはいえない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を単なる高成長IT企業として評価すべきではない。大切なのは、顧客にとって欠かせない仕事を10年後も担い、その対価を自ら決められるかである。グロースエクスパートナーズには、複雑な大企業の業務を理解する技術者と、長年の共同開発で築いた信頼がある。これは実体のある経営資産だが、同じ仕事をAIエージェントが短時間で実行できるようになった場合、従来の料金を維持する権利にはならない。
筆者が特に重視するのは、利益率の高さより、資本を追加投入したときの利益の増え方である。2025年8月期までの高いROEは魅力的だったが、2026年8月期には人員増加と減益が同時に起きた。採用を増やしても案件が増えなければ、追加した資本と人件費は価値を生まない。事業転換後に、技術者一人当たりの粗利益と顧客一社当たりの利益が再び伸び始めるかを確認したい。
本物の堀となる可能性があるのは、独自のデータ基盤や、顧客の業務の中心に深く組み込まれたソフトウェアだ。GxRaptorやGxDisteにはその芽がある。しかし契約継続率、価格改定実績、顧客の移行費用、独自データの蓄積について、堀の強さを証明する開示は不足している。X-Analysisは有力な製品だが、他社製品の販売代理という立場を忘れるべきではない。
厚い純現金には価値がある。仮に受託開発の採算が悪化しても、直ちに事業が存続できなくなる会社ではない。その一方で、資金を保有するだけでは株主の利益にならない。低採算案件の整理、合理的な研究開発、投資案件の収益検証、配当の継続によって初めて価値が実現する。
10年先の勝ち筋は存在するが、その実現には経営モデルの転換が必要になる。企業の未来を予測する確信が十分でないときは、高い成長率ではなく慎重な価格で評価する。現在の時価総額には事業転換の成功を一定程度織り込む余地があり、長期株主に必要な安全域はまだ不足している。
何で稼ぐ会社か
会社が報告する事業セグメントはエンタープライズDXの一つだが、収益の性質は三つに分かれる。2026年8月期の売上構成はDX推進支援が約77%、DX支援プロダクト・サービスが約18%、デジタルサービス共創が約5%である。三つを同じソフトウェア事業として評価すると、人件費と開発工数への依存度を見誤る。
最大のDX推進支援事業は、大企業の戦略立案、業務改革、システム開発、クラウド移行、運用改善を担う。GxPとグロース・アーキテクチャ&チームスなどが中心となり、顧客の既存システムを生かしながら新しいサービスを構築する。三越伊勢丹ホールディングスの開発基盤、大成建設の基幹システム刷新などは、顧客の業務理解が競争力となる事例だ。しかし収益の中心は人の専門能力と開発作業であり、AIによる工数削減に直接さらされる。
DX支援プロダクト・サービス事業では、LumApps、Qualtrics、Centric Software、IBM i向けのX-Analysisなどを取り扱う。ライセンス販売、導入支援、保守などから収益を得ており、2026年8月期は増収だった。X-AnalysisにはAIエージェントとの接続機能が加わり、日本IBMとの共同支援も進む。ただし、製品の多くは他社が知的財産を保有する。顧客基盤と販売代理店としての経験は価値があるが、ソフトウェア自体の価格決定権までは持っていない。
デジタルサービス共創事業は、ニプロと取り組む透析情報管理システムなど、顧客の新サービスを共同開発する領域である。単なる請負開発より顧客の事業成果に近く、継続改良や横展開の余地がある。しかし収益分配契約の条件、施設当たりの手数料、利用者数と継続課金額は十分に開示されていない。医療機関の診療記録そのものを同社が独占的に保有しているわけでもないため、現段階では独立した強固なプラットフォームとは評価しない。
2026年4月に設立した社会価値変革研究所は、経営層への提案を強化する役割を担う。インド拠点のGINはAI駆動型開発と人材供給を進める。これらは収益構造を変えるための合理的な布石だが、新規事業が10年後も利益を生むと認めるには、案件数だけでなく契約単価、継続率、顧客ごとの利益を確認する必要がある。
優良さと弱いところ
最大の長所は、大企業の複雑な業務を理解し、構想から開発、運用まで支援してきた経験である。既存の基幹システムは部署ごとに仕様が異なり、変更による事故の影響も大きい。その内部構造を理解する企業には、単純なプログラム開発会社以上の価値がある。顧客側が新しい開発会社に説明し直す手間や、既存システムへの影響を検証する時間は、一定の乗り換え障壁となる。
しかし、その障壁を強い堀と呼ぶには証拠が足りない。2026年8月期の顧客維持率は80.6%であり、年間の解約率を直接示す数値ではないものの、極めて高い継続率を証明するものではない。大企業顧客は26社に増えたが、一部の既存案件は縮小・終了した。保守契約を維持できることと、値上げを続けても顧客が離れないことは別であり、後者の定量的な実績は確認できない。
2025年8月期までの利益率改善は評価できる。技術者の採用と大企業向け案件の拡大によって、売上の増加を上回る営業利益の成長を実現した。しかし2026年8月期には技術者が231名へ増える一方で売上が減り、営業利益率は10.8%まで低下した。人員を増やせば成長するという従来の仕組みに限界が現れた可能性がある。
財務の強さは明確である。最新の自己資本は約38.1億円、自己資本比率は79.7%であり、現金同等物から有利子負債を差し引いた純現金は約18.0億円に達する。これは業績が悪化しても研究開発や事業転換を続けるための余力となる。ただし、現金を持つこと自体は再投資能力の証明にならない。経営者が現金を生産性の高い事業と株主還元に配分できるかを、別に見極める必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は依然として大きい。IDC Japanの予測を基にした業界資料では、2025年の国内ITサービス市場は約7.5兆円、2029年には約9.6兆円とされる。基幹システムの刷新、データ活用、クラウド移行、セキュリティ対策が需要を支える。しかし市場全体の名目成長が、個々の受託開発会社の売上成長を保証するわけではない。AIエージェントが同じ仕事を少ない工数で実行すれば、企業のIT投資総額が増えても、従来型の開発会社が請求できる工数は減りうる。
国内市場の競争相手にはNTTデータ、野村総合研究所、TIS、SCSK、BIPROGY、アクセンチュアなどがある。大手は多数の顧客、運用基盤、専門人員を持ち、一部では顧客の共同利用システムを継続的に提供する。グロースエクスパートナーズのDX推進支援売上は国内ITサービス市場の約0.05%に相当する規模であり、業界全体の価格を左右する立場にはない。大手が手掛けにくい複雑な改革案件を受注できる余地はあるが、案件獲得は顧客との関係と技術者の力量に依存する。
ソフトウェア市場も拡大している。富士キメラ総研によると、企業向けソフトウェア52品目の2025年度国内市場は約3兆円で、2030年度には約4.5兆円となる見通しだ。ただし販売代理店の取り分は製品ベンダーの販売政策に左右される。Microsoft、Salesforce、ServiceNow、AtlassianなどがAI機能を自社製品に統合し、販売を直接進めれば、導入支援や操作画面の設定を収益源とする企業には厳しい環境になる。
医療DXには長期需要がある一方、対象となる患者数は必ずしも増えない。日本透析医学会の統計では、2024年末の慢性透析患者は約33.7万人で減少傾向にあり、調査対象施設は4,512施設だった。透析情報システムの更新や医療機器との連携には需要があるが、ニプロなど機器メーカー、医療情報システム企業、病院自身の開発との競争もある。グロースエクスパートナーズの導入施設数や独立した市場シェアは非開示であり、現時点で市場拡大をそのまま同社の成長率に結びつけることはできない。
10年の構造変化で最も大きいのは、ソフトウェアを人が作り、人が画面を操作するという前提が崩れることである。AIエージェントが既存システムを読み取り、コードを修正し、業務システムを横断して処理するようになれば、工数請求と席課金の双方に圧力がかかる。他方、企業の責任で行う意思決定、医療安全、実際の業務への定着には人が残る。どちらの領域を自社の利益に変えられるかによって、10年後の競争力は大きく分かれる。
資本政策と M&A
資本配分は2026年10月に転換点を迎えた。それまでの内部留保と成長投資を優先する方針から、成長投資と必要資金を確保した後の余資を株主に還元する方針へ変更した。2026年8月期には初配として総額約0.73億円を予定している。配当性向は18.6%、DOEは2.0%となる見込みで、株主総会での承認が前提である。
新方針はDOE2.0%を配当の下限の目安とし、配当性向20%程度を基本に、3年後に30%超を目指す。自己株式取得は機動的に検討するとしているが、金額の約束はない。2027年8月期の配当予想も未定である。中期経営計画は2026年11月末の公表予定であり、分析基準日現在、同計画における売上・営業利益・ROEの数値目標は未公表、すなわち数字の約束なしである。
これまでの資本配分では、2024年の上場を通じて自己資本を増やし、財務を強化してきた。一方、2025年8月期には株式数が大きく増え、既存株主の取り分は薄まった。2026年8月期も新株予約権の行使があり、2026年10月には譲渡制限付株式報酬制度の導入が発表された。従業員や経営陣の動機づけには合理性があるが、少数株主にとっては継続的な希薄化を監視する必要がある。
経営陣は大規模M&Aへの備えから、隣接領域との協業・連携・出資へ投資の重心を移す方針を示した。社会価値変革研究所の設立、インド拠点の活用、国際航業との提携に向けた取り組みは、その方向に沿っている。大規模買収を急がず、自社の技術を磨く選択には合理性がある。ただし、投資先の持分価値と追加利益を開示し、資本コストを超える増分利益を証明することが条件となる。
創業者と資産管理会社による議決権の保有割合は過半数であり、上位10株主の保有比率も高い。安定した意思決定が可能な反面、少数株主が余剰現金の使い方を変える力は弱い。初配と新しい配当方針は前進だが、還元の継続実績はまだ乏しいため、将来の余剰現金が株主価値として戻る割合は慎重に評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
日本企業のDXは終わっていない。大企業の基幹システムは複雑で、AIを導入するにも既存データの整備、セキュリティ、内部統制、業務手順の再設計が必要になる。こうした仕事は顧客の実情を知らなければ実行できない。グロースエクスパートナーズは三越伊勢丹ホールディングスや大成建設などとの取り組みで、それを実践してきた実績がある。大手SIerの下請けにとどまらず、顧客の経営課題から案件を創出する能力を強化できれば、少ない技術者でも高い付加価値を提供できる。
AIの導入は、必ずしも顧客が開発会社に支払う総額の減少を意味しない。開発費が下がることで、従来は採算が合わなかったシステム刷新や新規サービス開発が増える可能性がある。社会価値変革研究所が経営層の課題を捉え、GINが短期間で実装し、GxPが運用まで担う体制が機能すれば、一社当たりの取引領域を広げられる。実績があるX-Analysisの日本総代理店という地位を生かし、日本IBMとの協業から新しい収益機会が生まれる可能性もある。
財務面でも、純現金が厚く、増資に頼らず数年にわたって新しいビジネスモデルを試す余力がある。2026年には初配当と新たな還元方針を発表した。もし経営陣が追加投資の収益性を厳格に管理し、余剰現金を継続的に株主へ戻すなら、企業価値は単なる受託開発の利益以上となる。
重要なのは、2026年の減収を構造的衰退の始まりと決めつけないことだ。案件の端境期や一過性の商品販売の反動は翌年以降に解消する可能性がある。2027年8月期の会社予想は売上の回復を示している。事業転換が進み、少ない工数で高い成果を提供する企業に変われば、現在の規模からでも十分な利益を生み出せる。
慎重な見方
現在の収益構造は、AIエージェントに最も影響を受けやすいものの一つである。コンサルティング、システム開発、保守、ソフトウェア導入支援はいずれも、人が時間を使って進めてきた仕事だ。AIが既存コードを理解し、修正し、テストまで行うようになれば、顧客が必要とする外部工数は大幅に減る。技術者不足によって単価が上がり続けるという従来の成長論は、そのままでは成立しない。
顧客との関係が深いことも、永続的な独占にはならない。大企業はAI導入で社内開発の生産性を高めることができる。既存のシステムを理解している技術者は重要だが、AIが仕様やコードを説明できるようになれば、その知識の希少性も低下する。顧客維持率80.6%という実績は、強固な乗り換え障壁を証明する数字ではない。
プロダクト事業についても、扱っている製品の多くは外部ベンダーが所有する。製品ベンダーがAI機能を組み込み、販売チャネルを直接管理し、導入作業を自動化すれば、販売代理店の粗利益率には圧力がかかる。医療DXの共創事業も、製品の所有権や継続的な収益分配の条件が不透明で、受託開発とどこまで違う経済性を持つか確かめられない。
2026年8月期の営業減益は約35%に達した。原因には案件の遅延など一過性の要素があるが、技術者数が増えたにもかかわらず売上が減ったことは重い。新しいコンサルティング事業を立ち上げても、人材の採用・育成と営業投資が先行すれば、短期的には利益をさらに圧迫する。
純現金の厚さは救いだが、過去には増資による希薄化があり、余剰現金が必ず少数株主に還元される保証はない。大企業との協業が続いても、売上が減り、固定費が残り、ROEが資本コストを下回る企業になる可能性を無視できない。
どちらに重みを置いたか
現在の事業構造と実際の業績変化に関する証拠では、慎重な見方の方が強い。大企業との関係、現金、開発技術には価値があるが、強い価格決定力やAIによる代替を防ぐ独占的な権利は確認できない。確率は楽観側27%、中立32%、悲観側41%とし、下側を14ポイント重くした。これはAIの縮小を数量と長期成長率で数えたうえで同じ理由を重ねたものではなく、2026年の実際の減収減益と、経営陣が認めた提案力の不足を反映した判断である。10年後に高い収益性を維持するには、現在の受託開発とは異なる収益構造を証明する必要がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,156 円39 億円(+ 還元の換算額還元の合計 224 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 702 円24 億円、今との差 −39.8%、 期待の年率 +1.9%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,600 円87 億円 | 456 円15 億円 | +162.1% | +11.2% | 306 円10 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,743 円58 億円 | 356 円12 億円 | +80.0% | +6.7% | 357 円12 億円 |
| 中立 | 32% | 1,067 円36 億円 | 251 円8 億円 | +13.0% | +1.4% | 422 円14 億円 |
| やや悲観 | 26% | 630 円21 億円 | 123 円4 億円 | −35.5% | −4.6% | 196 円7 億円 |
| 悲観 | 15% | 630 円21 億円 | 37 円1 億円 | −42.8% | −5.6% | 100 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,156 円39 億円 | 224 円8 億円 | +18.3% | +1.9% | 1,380 円46 億円 |
今の株価時価総額 1,166 円39 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 企業変革の上流へ進み、高付加価値を維持 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,600 円87 億円
社会価値変革研究所が経営課題の発見と構想策定を担い、GxP、Graat、GINが開発と業務変革を一体で支援する体制が定着する。顧客は開発作業そのものではなく、複雑な業務を安全に変革する成果に対して対価を支払うようになる。AIによって必要な開発工数は減るが、顧客が新しいシステムに挑戦する回数が増え、同社が担当する領域も広がる。
三越伊勢丹ホールディングスや大成建設のような大企業との取り組みが横展開し、顧客の経営層から直接案件を獲得する機会が増える。X-Analysisと日本IBMの協業は、AIを利用したレガシーシステム刷新の有力な入口となる。ただし外部ソフトウェアの所有権を得るわけではなく、価格上昇は顧客への実装価値に見合う範囲にとどまる。
経営陣は案件の採算性を重視し、技術者一人当たりの粗利益を高める。新たな大型M&Aで現金を失うことなく、既存人材の再教育と小規模な技術投資を優先する。純現金は維持され、初配から始まった株主還元も継続する。かつての高いROEが全面的に戻るわけではないが、優れた専門サービス会社としての地位を守る。
- DX推進支援事業:数量 1,944(請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定))× 価格 0.02(1稼働人月当たりの売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 22 億円。人月換算数量は現在の0.90倍、単価1.34倍。成果に近い支援へ移り、粗利益率51%。
- DX支援プロダクト・サービス事業:数量 80.0(企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定))× 価格 0.13(1年額契約群当たりの売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 5 億円。契約換算件数は現在と同じ。高付加価値製品への構成変化により単価1.23倍、粗利益率45%。
- デジタルサービス共創事業:数量 5.0(年間共創開発契約の換算件数(件・推定))× 価格 0.66(1共創契約当たりの年額売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。共創案件数は現在と同じ。医療DXの更新需要が続き、単価1.34倍、粗利益率52%。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替を反映した長期名目成長率g_long=0%。2036年のROEは約8.0%でkをわずかに上回るが、長期の超過利益はほぼ残らない。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)の上限約12.9倍を用いる。余剰現金30億円の税後利息相当0.42億円を純利益から控除し、現金の戻り方0.75を反映した22.5億円を加算する。
確率:戦略コンサルティングとAI駆動開発の両方が成功し、人月型の工数減少を高付加価値の案件獲得で補える場合。会社がAI関連受注額を独立して開示していないため、AIによる数量成長そのものは前提にせず、現在の売上数量を上限として考える。
やや楽観 17% 高付加価値化が進み、利益を守る 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,743 円58 億円
大企業の既存システム刷新と業務変革の需要は継続し、同社は開発から運用までの信頼を維持する。AIエージェントが一般化し、従来は多人数を必要とした開発案件の工数は減る。しかし社会価値変革研究所が経営層との接点を増やし、GxPが設計と品質保証を担うことで、単価の下落を防ぐ。顧客との関係は維持されるが、売上数量はかつての人員拡大型成長には戻らない。
プロダクト事業ではX-Analysis、LumApps、Qualtricsなどの取扱製品が維持される。ライセンスの単純な再販売より、既存データとの接続や業務改革の支援で利益を確保する。ニプロとの共同開発も続くが、医療情報プラットフォームの主導権を独占できるほどには成長しない。
経営陣は外注費と販管費の管理を強化し、売上規模が大きく伸びなくても営業利益を維持する。新しい配当方針は定着し、余剰現金の一部が配当として戻る。強い成長企業ではなくなるが、健全な財務を持つ専門サービス企業として10年後も存続する。
- DX推進支援事業:数量 1,728(請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定))× 価格 0.02(1稼働人月当たりの売上(億円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 18 億円。人月換算数量0.80倍、単価1.30倍。高度な設計支援で粗利益率48%。
- DX支援プロダクト・サービス事業:数量 74.0(企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定))× 価格 0.12(1年額契約群当たりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。契約換算件数0.925倍、単価1.16倍。製品構成の改善で粗利益率43%。
- デジタルサービス共創事業:数量 4.5(年間共創開発契約の換算件数(件・推定))× 価格 0.64(1共創契約当たりの年額売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。共創案件0.90倍、単価1.30倍、粗利益率50%。
倍率:2036年ROEは約5.9%でk=7.75%を下回る。AIエージェント代替によって10年より先の名目成長率は0%とし、稼ぐ力の上限1/k=12.9倍を用いる。余剰現金27億円の利息相当0.378億円を純利益から控除し、戻り方0.75を掛けた20.25億円を加算する。
確率:大企業との関係とAIを活用する技術が有効に働くが、従来の人月型売上の減少までは避けられない場合。新しいコンサルティング機能が一定の受注を生む一方、商品販売の競争も続くと考える。
中立 32% AIによる工数減少を経費削減で吸収 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,067 円36 億円
大企業は引き続き既存システムの刷新とデータ活用を進めるが、AIエージェントの普及によって開発と保守に必要な人月は減少する。グロースエクスパートナーズは複雑な基幹システムや業務改革を支援する専門性を保つものの、従来と同じ人数を配置することはできなくなる。顧客との長年の関係は存続し、物価上昇の一部を料金に反映できるが、AIによる生産性向上は顧客にも還元される。
X-Analysisなどの販売は一定の規模を維持するが、製品ベンダーが直接AI機能を提供するようになり、導入と操作支援の契約数は減る。ニプロとの共同開発や医療DXの仕事も続くが、開発工数の削減が契約金額に影響する。独自の記録基盤を保有する企業への転換は実現しない。
経営陣は案件の選別と人員の再配置を進め、販管費を削減する。AIによる社内業務の効率化は固定費削減に役立つが、それだけで失われた売上をすべて埋めることはできない。ROEは過去の20%台から低下し、資本コストを下回る。初配から始まった株主還元は定着するが、余剰資金の全額が少数株主へ戻るわけではない。
- DX推進支援事業:数量 1,512(請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定))× 価格 0.02(1稼働人月当たりの売上(億円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 14 億円。人月換算数量0.70倍、単価1.24倍、粗利益率46%。AIによる請求工数の減少を中心に置く。
- DX支援プロダクト・サービス事業:数量 64.0(企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定))× 価格 0.11(1年額契約群当たりの売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。契約換算件数0.80倍、単価1.10倍、粗利益率42%。AIによる席数減少と販売代理店への圧力を反映。
- デジタルサービス共創事業:数量 3.5(年間共創開発契約の換算件数(件・推定))× 価格 0.63(1共創契約当たりの年額売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。共創案件0.70倍、単価1.28倍、粗利益率51%。医療需要は残るが開発工数は減少。
倍率:2036年ROEは1.8億円÷54億円で約3.3%。資本コスト7.75%を下回るため、長期成長を付加価値として評価せず、長期g=0%で1/k=12.90倍を用いる。余剰現金25億円の利息相当0.35億円を純利益から控除し、現金の戻り方0.75を掛けた18.75億円を加算する。中立の時価総額は約37.46億円であり、現在の時価総額を参照して倍率を選んでいない。
確率:大企業のDX需要は残るものの、受託開発の必要工数がAIによって減少する中心的な筋書き。主力人月型の実質数量0.70倍、価格1.24倍とし、AI代替リスクの指定範囲内で企業固有の顧客関係を反映する。収益の縮小に合わせて固定費を削減できるが、過去の高利益率は維持できないと考える。
やや悲観 26% 工数単価が下がり、利益が薄くなる 利益 1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 630 円21 億円
AIエージェントが企業の既存システムの解析、改修、テストを広く担うようになり、外部開発会社へ依頼する作業量は大きく減る。大手顧客は社内の少人数チームで多くのシステム開発を進め、グロースエクスパートナーズには難しい統合案件と品質保証業務だけが残る。顧客との取引そのものは続くが、契約規模は縮小する。
プロダクト事業でも、他社製品の販売代理を介さない直接契約が増える。ソフトウェアベンダーのAI機能が設定と運用の手間を削減し、従来の導入支援収入が減る。医療DXでは既存の顧客との共同開発を続けるが、医療機器メーカー側が開発機能を内製化し、同社が受け取る金額は小さくなる。
会社は採用を絞り、外注契約を減らし、技術者を再配置することで大幅な固定費削減を進める。それでも売上の減少を完全には吸収できず、2036年の営業利益は小幅にとどまる。ROEは資本コストを大幅に下回り、新規投資の魅力は乏しい。経営は生き残りを優先し、配当を縮小しながら既存顧客の維持に集中する。
- DX推進支援事業:数量 1,188(請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定))× 価格 0.02(1稼働人月当たりの売上(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 9 億円。人月換算数量0.55倍、単価1.12倍、粗利益率40%。主力の請求工数が大幅に減少。
- DX支援プロダクト・サービス事業:数量 56.0(企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定))× 価格 0.10(1年額契約群当たりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。契約換算件数0.70倍、単価据え置き、粗利益率35%。
- デジタルサービス共創事業:数量 2.8(年間共創開発契約の換算件数(件・推定))× 価格 0.54(1共創契約当たりの年額売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。共創案件0.55倍、単価1.10倍、粗利益率45%。
倍率:2036年のROEは約1.4%にとどまり、資本コスト7.75%を大きく下回る。純利益0.6億円から現金の利息を控除した事業の稼ぐ力に将来の余剰現金を足しても約13億円であり、保守的な売却可能資産の床22.1億円が上回るため、企業価値はこの床にとどめる。PBRの算定では2025年8月期自己資本33.7億円を基準とし、22.1÷33.7=約0.6558倍とする。2026年8月期の自己資本38.13億円や2036年の自己資本43億円には掛けない。床に専門サービスの収益力を重複して加えず、過去の市場PBRも参照していない。
確率:大企業との関係は維持できるが、AIエージェントと顧客の内製化が予想以上に進み、案件単価と稼働率が下がる筋書き。2026年に技術者増加と減収が同時に起きた事実を踏まえ、業績の弱さが長引く可能性を重視する。
悲観 15% 受託開発の競争優位を失い、資産価値中心になる 利益 −2 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 630 円21 億円
2030年代に入ると、AIエージェントによるシステム解析と修正が標準化し、大企業は外部受託会社に依存せずに多くの開発を実行するようになる。グロースエクスパートナーズが強みとしていた複雑な既存システムへの理解は、AIと顧客の内部人材によって代替される。新規案件が減り、保守の縮小と単価下落が同時に進む。
外部製品の販売代理事業でも、ソフトウェアベンダーがAIエージェントによる導入と運用を標準化し、同社に残る付加価値は小さくなる。共創事業ではニプロなどとの関係が一部続くが、プラットフォームの権利や顧客データを独占していないため、収益分配を守れない。顧客との取引実績だけでは利益率を回復できなくなる。
経営陣は不採算事業を縮小し、人員と事業所を整理する。しかし収益の減少が速く、研究開発費と経営管理費を十分には減らせない。2036年には営業赤字となり、高いROEを生むIT企業としての地位を失う。株主還元も大幅に縮小する。
ただし、破綻を前提とするわけではない。会社には現金、投資有価証券、土地があり、技術者と顧客の一部も残る。資産売却や事業縮小によって損失の拡大を止めれば、一定の清算・再編価値を守れる。10年後の価値は高成長企業としての利益ではなく、残存事業と売却可能資産から決まる。
- DX推進支援事業:数量 972(請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定))× 価格 0.02(1稼働人月当たりの売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 6 億円。人月換算数量0.45倍、単価1.05倍。AIと内製化で工数商売が構造的に縮小し、粗利益率35%。
- DX支援プロダクト・サービス事業:数量 44.0(企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定))× 価格 0.10(1年額契約群当たりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。契約換算件数0.55倍、単価0.95倍、粗利益率30%。販売代理収益が縮小。
- デジタルサービス共創事業:数量 2.3(年間共創開発契約の換算件数(件・推定))× 価格 0.53(1共創契約当たりの年額売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。共創案件0.45倍、単価1.08倍、粗利益率40%。
倍率:2036年は営業赤字であり、恒常的な利益を前提とするPERでは評価できない。事業縮小と資産の処分によって現金の流出を抑える筋書きであるため、純現金と換金可能な有価証券・土地を保守的に評価した資産の床22.1億円を企業価値とする。売却益や残存顧客基盤の価値は不確実であり、床に上乗せしない。PBRは2025年8月期の自己資本33.7億円を基準に、22.1÷33.7=約0.6558倍とする。2036年の自己資本30億円や2026年8月期の自己資本38.13億円に倍率を掛けず、現在の株価からも逆算しない。
確率:AIエージェントが開発・保守業務を大幅に代替し、顧客の内製化と他社製品への移行が同時に進む構造的敗北の筋書き。財務が厚く直ちに倒産する可能性は低いが、利益を生む事業としての価値が失われる危険はある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DX推進支援事業
大企業の戦略・業務改革・システム開発・クラウド活用・運用を支援する主力事業。収益構造は主として人月・工数型であり、AIエージェント代替リスクの対象となる。
| 数量請求対象となる年間稼働人月の換算値(人月・推定) | 価格1稼働人月当たりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 2,160 | 0.02 | 36 | 17 |
| 10 年後 中立 | 1,512 | 0.02 | 31 | 14 |
取り方:2026年8月期決算説明資料の区分別売上3,603百万円と売上総利益1,705百万円を使用。会社が開示したコンサルタント・エンジニア社員231名のうち約180名がDX推進支援の売上に関わると仮定し、180名×12か月=2,160人月換算とした。36.03億円÷2,160人月=約167万円であり、外注費、案件単位の対価、保守、商品販売を含む売上換算単価であって契約上の人月単価ではない。人員配賦と稼働人月は推定であり、実際の工数・稼働率・平均受注単価は非開示。op_okuは事業区分の営業利益ではなく共通販管費控除前の粗利益寄与である。AIエージェント代替の型は人月・工数型。国内ITサービス市場約7.5兆円に対する規模は約0.05%で、セグメント内の厳密なシェアは非開示。
DX支援プロダクト・サービス事業
LumApps、Qualtrics、Centric Software、X-Analysisなどのライセンス販売と導入・活用支援。自社所有ではない製品が多く、席課金・操作画面型のソフトウェアと販売代理事業として評価する。
| 数量企業向け年額ライセンス契約群の換算件数(件・推定) | 価格1年額契約群当たりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 80.0 | 0.10 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 64.0 | 0.11 | 7 | 3 |
取り方:2026年8月期決算説明資料の区分別売上817百万円、売上総利益303百万円を使用。実際のライセンス契約数と1社当たり契約額は非開示であるため、年額契約群80件相当と仮定し、売上817百万円÷80=1件約1,021万円とした。複数ライセンスをまとめた契約群であり、顧客企業80社という意味ではない。富士キメラ総研の2025年度国内企業向けソフトウェア52品目市場約3兆23億円に対する売上規模は約0.027%だが、当社の売上には他社製品の販売額が含まれるため、知的財産の所有シェアとは異なる。AIエージェント代替の型は席課金・操作画面中心型とし、記録の正本型には分類しない。op_okuは粗利益寄与。市場統計:https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=26106
デジタルサービス共創事業
ニプロとの透析情報管理システムなど、顧客企業と共同でデジタルサービスを構築・改善する事業。医療業務に近いが、会社自身の独占的な記録基盤や継続課金の権利は未確認である。
| 数量年間共創開発契約の換算件数(件・推定) | 価格1共創契約当たりの年額売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 5.0 | 0.49 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.5 | 0.63 | 2 | 1 |
取り方:2026年8月期決算説明資料の区分別売上245百万円、売上総利益134百万円を使用。収益契約の件数と単価は非開示のため、年間5契約相当×1件4,900万円と仮定した。これは実在する5つの契約を確認した数字ではなく、共同開発案件の年額換算単位である。日本透析医学会の2024年末統計では透析患者337,414人、調査対象施設4,512施設だが、当社製品の導入施設数、施設当たり収益、シェアは非開示である。ニプロとの共同開発は実在するが、記録の正本に該当する堀の定量証拠は2つ以上確認できないため、AIエージェント代替の型は人月・工数型とする。op_okuは粗利益寄与。統計:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/58/12/58_524/_article/-char/ja/
リスクと懸念
AIエージェント代替
売上の大半はコンサルティング、受託開発、保守など、人の工数に結びつくサービスである。AIエージェントが既存システムを理解し、プログラムの変更とテストを実行できるようになると、顧客が外部企業へ発注する工数は減少する。人月単価を維持できても請求数量が減り、現在の利益率を守れない可能性がある。中立ではDX推進支援の実質数量を10年で0.70倍とし、10年より先の名目成長率を0%とした。
顧客集中と案件の端境期
2026年8月期の大企業顧客は26社だが、年間取引額2億円以上の顧客が5社存在する。少数の大口顧客の投資判断が業績に与える影響は大きい。2026年には医療案件の遅延やスマートモビリティ案件の端境期が実際に減収要因となった。顧客数だけでなく、一社当たりの継続収益と新規案件の増減を監視する必要がある。
販売代理店としての交渉力
LumApps、Qualtrics、Centric Software、X-Analysisなどは他社の知的財産に依存する。顧客との関係や導入技術に価値はあるが、ライセンス単価、販売地域、販売手数料、AI機能の提供方針を最終的に決めるのは製品ベンダーである。ベンダーが直接販売を強化したり、AIによって導入作業を自動化したりすれば、売上数量と粗利益率が同時に低下する可能性がある。
事業転換と固定費の不一致
社会価値変革研究所の設立、インド拠点の活用、AI人材の採用、オフィス増床は新しい競争力を築くための施策だが、成果が出るまで費用が先行する。2026年には技術者数が増えても売上が減少し、2027年の会社計画でも営業利益率の一時的な低下を見込んでいる。AIによる工数減少に合わせて人員と固定費を調整できなければ、事業転換の途中で利益が大きく縮小する。
余剰現金の資本配分と株式希薄化
純現金が多いことは安心材料だが、その資金が高収益の投資や株主還元に使われる保証はない。創業者側の議決権支配が強く、少数株主による資本政策の変更は難しい。過去には上場時の増資やストックオプションによって発行株式が増加した。今後も株式報酬や新株予約権が増えれば、会社全体の価値が維持されても既存株主の取り分は減る。
医療DXの事業化と情報管理
ニプロとの共同開発は医療現場に深く関わるため、継続改良の機会がある一方、患者情報の保護、システム障害への対応、医療機器との接続品質が欠かせない。導入施設数や収益分配の条件は非開示であり、医療市場そのものの拡大を同社の売上成長に直接結びつけることはできない。医療機器メーカーによる内製化も競争上の脅威となる。
今後の分かれ目
- DX推進支援事業で、技術者一人当たり売上総利益が2年以上連続して増加し、顧客維持率も90%超へ改善したら
- AIによる工数減少を高付加価値化で吸収できている可能性が高まる。中立の粗利益率と数量の前提を上方修正し、やや楽観の確率を引き上げる。
- 社会価値変革研究所が獲得した案件から、継続的なグループ売上と営業利益の金額が開示されたら
- 構想策定から開発・運用へ案件を展開する仕組みの実効性を検証できる。成果報酬や継続的な利用料が増え、人月依存度が下がれば堀と長期成長率を再評価する。
- 2027年8月期以降もDX推進支援事業の減収が続き、技術者数や販管費が減らなかったら
- 工数収入の減少を費用削減で吸収できていないと判断する。中立の利益率を引き下げ、やや悲観・悲観の確率を高める。
- X-Analysisやその他の製品について、継続ライセンス件数、解約率、粗利益の定量開示が始まったら
- 単なる他社製品の販売代理と、顧客に深く組み込まれた継続収益を区別して再評価する。低解約率と値上げの実績が確認できれば、プロダクト部分の数量・価格を上方修正する。
- 中期経営計画でROE、営業利益、株主還元の数値目標が発表され、2期以上の実績で達成が確認されたら
- 経営者の資本配分能力に対する確信度を高める。配当性向30%超の継続や有意な自社株買いが定着した場合、余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ見直す。
- 大口顧客の契約終了や共同開発の内製化が複数発生し、顧客維持率が70%を下回ったら
- 顧客関係の乗り換え障壁が想定以上に弱いと判断する。主力の稼働人月と共創契約を引き下げ、悲観側のシナリオにより大きな重みを置く。
見ておくもの
- DX推進支援事業の四半期売上と売上総利益率
- コンサルタント・エンジニア数、離職率、技術者一人当たり売上総利益
- エンタープライズ顧客数、顧客維持率、年間取引額1億円・2億円以上の顧客数
- 社会価値変革研究所が起点となった案件の受注金額と継続収益
- X-Analysisを含むライセンス製品の契約数、販売粗利益率、メーカーとの契約条件
- ニプロとの医療DXサービスの導入施設数、継続利用料、収益分配条件
- 中期経営計画の利益・ROE目標と、DOE2%・配当性向30%超方針の実行状況
- 純現金、投資有価証券、自己株式取得、発行済株式数、潜在株式数の変化
倍率と資本コストの決め方
株価と株数は添付briefの2026年10月23日時点の値を使用し、業績の起点だけは添付作成後の2026年10月15日に発表された2026年8月期決算へ更新した。株式数は最新短信の発行済3,378,380株から自己株式22,800株を差し引いた3,355,580株であり、二重控除はしていない。10年後は2036年8月期とする。
事業別の売上は人月換算、ライセンス契約群、共創契約の数量と単価から考えた。主力事業の中立数量0.70倍、単価1.24倍はAIエージェント代替の指定範囲内である。10年より先の成長率は0%、資本コストは7.75%とし、ROEが資本コスト以下なら利益の正当化PERは1/kの約12.9倍を上限とした。AIによる収益縮小を数量とg_longに反映したため、資本コストのlifeや個別の追加プレミアムには同じ理由を重ねていない。
現在の余剰現金は12.5億円、将来の筋書きでは留保と使用を反映した額とした。現金に帰属する税後利息相当をPER評価から外し、株主に戻る割合0.75を掛けて加算している。投資有価証券と土地は二重加算せず、主として悲観時の床を検証するために使った。やや悲観と悲観の時価総額は、稼ぐ力の評価に上乗せせず、いずれも保守的な資産の床22.1億円とした。両筋書きのPBR約0.6558倍は添付factsの2025年8月期自己資本33.7億円を分母とし、2026年8月期の38.13億円や10年後の自己資本を倍率の対象にはしない。
10年後の時価総額と累計還元の確率加重平均を資本コストで割り引き、潜在株式による既存株主の取り分0.956を反映すると、現在の本質価値は約23.6億円となる。現在の時価総額約39.6億円との差は約-41%である。現在または同業の市場PER・PBRから将来の倍率を逆算しておらず、結論を市場価格に合わせるための調整もしていない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基本とし、事業の質による+0.25%を加えた。単年度の減益は認めるが、十分な純現金と黒字を維持しているため、経営危機に対する追加コストは設けない。