結論
かっこは、ネット通販や金融サービスの不正注文・不正ログインを判定する「O-PLUX」を主力とする会社である。筆者の結論は「割高」だ。複数の取引先から集まる不正データは他社にまねしにくいが、その強みを安定した利益に変えられていない。10年後の利益を慎重に評価すると、時価総額約21.2億円に見合う株主価値はまだ確認できない。
不正検知が不要になるとは考えない。生成AIが詐欺の手口を高度にするほど、本人確認とリアルタイム判定への需要は残る。2026年上期の主力サービスは月次解約率0.40%で、既存顧客の粘着力も示した。ただし、不正ログインの審査件数は前年同期の4倍超になったのに、売上の増加は件数ほど大きくない。大量の審査を引き受けるほど、平均単価が下がる契約構造には目を向けたい。
2022年まで黒字だった会社は、2023年から3期連続で営業赤字となり、2026年も連結営業損失を見込む。2026年のX-log事業取得とAnycloud子会社化は守備範囲を広げるが、現金を使い、新たな借入と約1.71億円ののれんも生んだ。買収したAI開発の受託部分には、AIエージェントが人の工数を代替する逆風がある。
5つの筋書きから求めた現在の価値は約5.7億円で、基準時価総額を約73%下回る。これはO-PLUXの技術を否定した結論ではない。現時点では、技術のよさと少数株主に残る利益の大きさに相当な開きがある、という判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方で最初に問うのは、10年後も必要な仕事か、ではなく、その仕事をする会社が利益を手元に残せるか、である。ネット詐欺を防ぐ需要は消えない。O-PLUXは膨大な不正データを共有し、加盟店の取引処理へ組み込まれているため、一定の乗り換え負担がある。月次解約率の低さも評価できる。だが大手決済事業者が自前の判定技術を進化させれば、同じ顧客を守るために値下げが必要になるかもしれない。
株主のものになる利益は、会計上の黒字より厳しく見るべきだ。判定精度を維持するデータ収集、AIモデル更新、クラウド運用、顧客への導入支援には再投資が要る。粗利益が大きくても、営業と開発を維持する費用を払ったあとに利益が残らなければ、再投資の利回りは資本コストに届かない。2023年以降の赤字と2026年上期の現金流出は、まさにこの問いへの未完成な答えを示している。
経営陣は、堀がある不正検知へ資本を集中する道と、受託AI開発まで広げる道を同時に選んだ。Anycloudの技術者が自社製品を強くする可能性はあるが、人の工数を売る開発事業には、AIエージェントの普及が収益機会を減らす難しさもある。買収価格に見合う実際のキャッシュ創出を示すまでは、相乗効果を株主の利益として先取りしたくない。
今の時価総額には、黒字化だけでなく、その後の利益の積み上がりまで必要になる。確率を掛けた本質価値は今の市場価値を大きく下回り、十分な安全域は見いだせない。優れた判定技術と、今の値段で安心して10年持てる株式とは別物だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、不正注文を防ぐO-PLUX Payment Protectionと、不正ログイン・口座乗っ取りを防ぐO-PLUX Account Protectionだ。ECサイト、金融機関、決済関連会社などが顧客となり、月額の基本料金と審査件数に応じた料金を払う。顧客は判定結果をAPIで自社の注文・ログイン処理に組み込み、住所の表記ゆれ、端末情報、過去の不正履歴などを使って危険な取引を選別する。担当者が管理画面を操作する席数ではなく、取引の裏で動く判定が商品の中心にある。
会社は両製品の売上を分けて公表していない。そこで2026年通期の不正検知売上見通し8.46億円を、上期の増収内訳と実際の審査件数から推計した。決済側は年間約4,362万件、審査関連売上約5.10億円、1件当たり換算で約12円となる。ログイン側は年間約10.15億件、売上約3.16億円、同約0.31円とした。これらは月額基本料込みの平均実現単価であり、会社が提示する従量料金そのものではない。
周辺には、広告の不正クリックを防ぐX-log、メールの安全性を調べるMail Validator、後払い決済用ソフトがある。さらに決済コンサルティングとデータサイエンスの受託は案件ごとの対価を得る。2026年6月に完全子会社化したAnycloudは、顧客の現場へ技術者が入り、AIシステムや業務アプリを開発する。こちらは継続して自動判定を売るO-PLUXと違い、工数の多寡が収益の土台だ。
2026年上期は不正検知のストック収益が3.85億円まで増え、売上総利益率も73.6%に達した。それでも開発者、営業、サービス運営、本社管理の費用を賄えず赤字だった。判定処理が増えると原価は比較的緩やかに増えるが、拡販と精度改善のために人員を抱え続ける点が、伸びる売上と残る利益の差を生む。
優良さと弱いところ
同社の最も確かな堀は、導入企業をまたいで蓄積した不正の痕跡と、日本の住所・氏名に合わせた判定技術である。共有ネガティブデータ、端末識別、名寄せの特許を組み合わせることで、一企業が単独で集められる情報を超える。会社が引用する調査では、有償不正検知の導入サイト件数で国内首位が続く。月次解約率0.40%は年率約4.7%に相当し、解約率と独自データという2種類の証拠は、主力の継続性を一定程度裏づける。ただし累計導入サイト数は現在課金中の社数ではなく、売上シェアでもない。
堀があることと値上げできることは別だ。大口顧客に大量の審査を提供すれば、件数が増えても実現単価は薄くなる。2022年には営業黒字だったが、大口契約の変化と先行投資を経て、2023年以降は継続赤字になった。毎月の解約率だけでは、契約単価の低下、大口顧客の離脱、案件別の採算悪化は測れない。価格改定を繰り返し通した実績も乏しく、増分投下資本利益率が資本コストを上回ると確認できない。2025年末から2026年6月にかけて、買収後の事業投下資本はむしろ厚くなったが、当期利益はなお赤字だ。
2026年上期の連結自己資本は約6.20億円で、現預金約6.66億円に対して、有利子負債が買収前より増えた。営業キャッシュフローも流出し、借入には最低現金残高などの財務制限条項がある。2025年末の純現金約5.8億円という見た目の厚さを、現在も自由に使える資金と考えるべきではない。
データの強みが将来も続くには、情報保護のルールを守りながら、多様な加盟店から質の高い不正事例を得る必要がある。決済代行会社や巨大なクラウド事業者が自分の取引データで判定する範囲を広げれば、小規模な専業会社の優位は削られうる。全社を強い堀とまでは扱わず、主力製品の堀と受託事業の弱さを分けて評価する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
不正検知の需要は、ネット取引が増えることだけでなく、詐欺の手口が変わることで生まれる。経済産業省のクレジットカード・セキュリティガイドラインは、不正利用対策と本人認証の強化を求めている。これは審査基盤の追い風だが、特定の製品の採用を義務づけるものではない。決済代行会社自身が不正検知を束ねて提供する動きも、同時に進む。
会社の事業計画資料は、国内EC向け不正対策関連市場を約240~360億円、金融向けを約720~960億円と推計している。ただし本人確認、システム構築、周辺サービスまで含む広い定義であり、これらを全額O-PLUXの獲得可能市場とみなすのは誤りだ。仮にEC分野の分母を300億円とすれば、当社の決済側の推計売上5億円強は約1.7%にすぎない。金融側でもログイン対策約3億円を840億円で割れば0.4%弱となるが、分子と分母の事業範囲は一致せず、正確な売上シェアではない。
競合はStripe Radar、Adyenの不正検知、GMOペイメントゲートウェイの関連サービス、Riskified、Siftなどだ。各社が日本国内の同一市場でどれだけ売ったかという比較可能な開示はなく、売上シェアの序列は確定できない。かっこの優位が最も明確なのは有償導入サイト件数であって、決済額や審査件数、金融機関の売上ではない。10年後には、広い不正対策市場の名目額は伸びても、かっこの対象領域に占める比率が同じように伸びる保証はない。
AIは両刃の剣だ。偽装された端末・文章・取引が増えれば高精度の判定需要は残る。一方で、汎用AIエージェントや決済事業者の組み込み機能が、顧客にとっての操作画面と手作業の価値を小さくする。O-PLUX本体は独自データを使う判定APIとして残る余地があるが、受託分析、決済コンサル、Anycloudの開発人月には数量の縮小圧力を織り込む。
資本政策と M&A
経営の資本配分は転機にある。2026年4月に広告不正対策のX-log事業を取得し、6月にはAI開発会社Anycloudを約2.47億円で完全子会社化した。後者の取得に約0.28億円の付随費用を要し、2件の取得によって約1.71億円ののれんを計上した。Anycloudは買収前に年間売上約1.58億円、営業利益約0.19億円を上げていたが、取得後の連結収益への寄与と取得費用の回収はこれから確認する段階である。
買収資金として新たに約2.47億円を借り、適用金利は年3.425%だ。2026年6月末の現預金は約6.66億円、借入残高は既存分も合わせて約3.95億円と推定され、純現金は約2.7億円まで細った。財務特約は連結現預金4.50億円以上と連結純資産2.50億円以上の維持などを求める。残る現金を丸ごと株主に返せるわけではない。
2025年まで長年無配で、2026年の配当予想もゼロである。確認できた5年間に大きな自社株買いはなく、譲渡制限付株式報酬による新株発行で発行株数はむしろ増えた。2026年3月の成長可能性資料には長期の方向性はあるが、複数年の売上・営業利益・ROEと、配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額の具体的な数字の約束はない。
10年の還元は、収益が安定した強気の筋書きに限り配当を再開する程度にとどめた。株主への実際の現金還元実績が乏しく、大株主上位10名の比率も65%未満なので、将来余る現金の戻り方は75%と見る。現時点で買収後の現金を余剰資金として別枠に足す根拠は薄い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
不正の検知は景気に左右されにくい社会インフラに近づいている。カードの本人認証が高度化しても、認証をすり抜ける詐欺や不正転売は消えない。日本語の名寄せ、端末指紋、導入企業間で共有する不正履歴を持つO-PLUXは、単なる生成AIの判定文より価値がある。月次解約率0.40%は、顧客が簡単に使い捨てる製品でないことを示す。導入サイト件数の国内首位が続くなら、さらに判定データが集まり、検知精度と顧客基盤の好循環が生じる。
2026年上期にはログイン対策の審査件数が前年同期の4倍超に増えた。これはネット通販だけでなく、銀行、金融、会員サイトという大きな市場で採用が増え始めた証拠だ。今の案件が定着し、大手決済代行会社やECプラットフォームの販売網を通じて新規導入が広がれば、顧客一社当たりの単価が抑えられても売上総額を伸ばせる。X-logやMail Validatorは周辺課題を一括して扱う窓口になる。
売上総利益率はすでに7割を超えている。営業費用の伸びを抑えたまま、判定件数と顧客数を増やせれば利益率の改善は速い。Anycloudの開発者が外注費を減らし、検知モデルの内製化を促せば、取得対価を超える効果を生む可能性もある。強い筋書きでは10年後に売上約20.8億円、営業利益約4.8億円となり、保有データの価値を利益として証明する。連続黒字が現実になれば、今までなかった株主還元も始められる。
慎重な見方
需要がある市場で、強い利益を上げられるとは限らない。2022年の売上と利益が頂点に達したあと、2024年には不正検知売上も全社利益も大きく落ちた。2026年上期の低い解約率は好材料だが、大口契約の条件変更や審査1件当たりの単価下落まで防いではくれない。ログイン審査が急増しても増収額は限定的だった。今後も大型導入ほど単価の引き下げを求められれば、数量の拡大が株主の利益に結びつかない。
StripeやAdyen、GMO系の決済事業者は、決済・本人認証・不正判定をまとめて提供できる。独立した不正検知会社の技術が少し優れていても、顧客が一括契約の便利さを選べばシェアを失う。生成AIの進歩は攻撃を増やすと同時に、防御モデルを安く作れる競合も増やす。個人情報保護の制約が強まれば、加盟店間のデータ共有という堀そのものが細る可能性もある。
さらに会社は利益を取り戻す前に事業を広げた。Anycloudの顧客密着型AI開発は、工数で収入を得る部分が多い。AIエージェントが作業を代行するほど、この事業の案件数と単価の双方に圧力が掛かる。買収資金には借入を使い、現預金と純資産に財務特約がある。現金流出が続けば増資や追加借入、事業売却を迫られ、株主の取り分が薄まる。最悪の場合、計上されたのれんは換金できず、資産の床さえ赤字によって削られる。
どちらに重みを置いたか
事業の存続可能性では、独自の不正データと低解約率を持つ側に分がある。しかし株主価値の勝負では、4年連続となる営業赤字見通し、借入の財務特約、買収後の追加投資が重い。上側の確率を28%、下側を43%としたのは、AI代替を二重に怖がったためではなく、黒字化と資本配分の実行に会社固有の不確実性があるためだ。中立の審査数量と将来成長率には、既にAIによる価格・工数の圧力を含めている。判断を変える条件は、件数だけでなく単価と営業キャッシュが同時に改善することだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 471 円13 億円(+ 還元の換算額還元の合計 18 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 206 円6 億円、今との差 −69.7%、 期待の年率 −3.3%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 1,455 円40 億円 | 87 円2 億円 | +126.7% | +8.8% | 170 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 837 円23 億円 | 36 円1 億円 | +28.5% | +2.6% | 149 円4 億円 |
| 中立 | 29% | 362 円10 億円 | 7 円0 億円 | −45.6% | −6.0% | 107 円3 億円 |
| やや悲観 | 27% | 152 円4 億円 | 0 円0 億円 | −77.7% | −13.9% | 41 円1 億円 |
| 悲観 | 16% | 144 円4 億円 | 0 円0 億円 | −78.8% | −14.4% | 23 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 471 円13 億円 | 18 円0 億円 | −28.1% | −3.3% | 489 円14 億円 |
今の株価時価総額 680 円19 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 独自の不正データを金融と決済で広く使う 利益 3 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,455 円40 億円
不正注文・不正ログイン対策の共同データベースが金融機関にも定着し、ECサイトの新規接続と金融の大型導入を両方取り込む。カード本人認証強化後に残る不正や、生成AIで巧妙化した口座乗っ取りへの対策を担い、決済側の審査件数は年間6,700万件、ログイン側は14.5億件まで増える。国内有償導入サイト数首位の信用と、過去の不正情報の精度が、巨大プラットフォームの束ね売りに対抗する力になる。
サービスの料金は、導入顧客の規模拡大に応じて従量単価を守れ、上位機能への切り替えも進む。X-logからログイン・決済まで一括契約できる強みが顧客単価を支える。Anycloudは人月の件数を単純に増やすのではなく、かっこの判定製品を内製強化して外注費を減らす役割を担う。買収後の一過性費用が消え、粗利の厚さが営業利益へ流れる。
10年後の売上は約20.8億円、営業利益は約4.8億円となり、ROEは高い水準へ回復する。新たな大型買収に依存せず、売上で固定費を吸収できるようになった後に、累計2.4億円ほどの株主還元も実行する。
- O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定):数量 67.0(年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.16(売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価)→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。既存のAI判定製品で販売実績があるので上側は数量増加を許す。共有DBと特許で高値を維持。
- O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策):数量 1,450(年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.00(売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価)→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。既存ログイン判定APIの金融導入が成功。新規契約と規制対応で大量処理が定着。
- X-log(広告不正クリック対策):数量 4.0(年額契約顧客数(社。非開示につき推計))× 価格 0.06(顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独自データ堀の2証拠がないため強気でも顧客数は現在と同じ。
- データサイエンスサービス:数量 6.0(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.15(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の上でも案件数は増やさず、専門性の単価だけ上がる。
- 決済コンサルティングサービス:数量 3.0(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託工数がAIで縮むため案件数の上限は現状維持。
- SaaS型BNPL・その他:数量 5.0(年間有料契約企業数(社。非開示につき推計))× 価格 0.06(1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。独立機能の明確な堀がないので、強気でも契約数は増やさない。
- Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発):数量 12.0(年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解))× 価格 0.22(1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント自社製品の定量販売は非開示。半期6案件の年率12件を上限とし、案件数は増やさない。
倍率:資本コストk=9.25%。2035年の純利益3.448億円、自己資本18.0億円からROE=19.16%。堀は全社normal、超過利益の残る割合を1/2とする。RONIC=k+0.5×(ROE−k)=14.20%。10年より先の名目成長率g=1.2%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.3728倍。上限を手で割り引かず、過去・現在の市場PERを根拠にしていない。
確率:導入サイト数首位の地位が資金力のある決済大手との競争に勝ち続け、金融向けの取引量が拡大し、かつ固定費を抑えられる複合的な成功を11%とみる。既存のAI判定APIの売上は確認できるので、その販売数量の拡大は許すが、受託人月事業の案件数には過大な成長を置かない。
やや楽観 17% 金融向け拡大と費用統制が着実に進む 利益 2 億円 · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 837 円23 億円
不正ログイン対策への採用は金融機関と会員サイトで続くが、各社の社内システムや決済プラットフォームへ組み込まれるため、契約時の値上げ交渉は簡単ではない。それでも独自の不正データを活用できる顧客が増え、決済側は年5,400万件、ログイン側は12.5億件の判定を扱うようになる。顧客横断の判定精度と規制対応の実績が、契約を守る主な要因になる。
会社は2026年に取得したX-logを既存顧客へ提供し、広告不正から決済までの対応範囲を少しずつ広げる。海外のRiskifiedや決済代行会社との価格競争は残り、サービス単価を物価以上に引き上げるほどの優位まではない。Anycloudとデータ分析の受託件数は、AIエージェントによる作業自動化で以前のペースを取り戻さない。
その結果、2026年に抱えた買収費用と開発先行投資の負担を営業利益が吸収し、10年後は売上約16.9億円、営業利益約2.9億円となる。継続黒字化後の小さな配当はできるが、事業拡大を優先するため還元額は限定的にとどまる。
- O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定):数量 54.0(年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.15(売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。金融・ECの販路経由で審査件数が増えるが大口割引は残る。
- O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策):数量 1,250(年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.00(売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。金融機関・会員サイトの接続は増えるが従量単価は抑制。
- X-log(広告不正クリック対策):数量 3.8(年額契約顧客数(社。非開示につき推計))× 価格 0.06(顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。クロスセルするが件数成長を大きく見ない。
- データサイエンスサービス:数量 5.5(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.15(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数は現状以下。設計・検証の高度な案件が残る。
- 決済コンサルティングサービス:数量 2.8(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。支払い設計の難しい案件だけ残る。
- SaaS型BNPL・その他:数量 4.8(年間有料契約企業数(社。非開示につき推計))× 価格 0.06(1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。既存導入先をおおむね維持する。
- Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発):数量 10.5(年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解))× 価格 0.22(1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。FDEの高度業務だけに絞り、案件数は年率12件未満。
倍率:資本コストk=9.25%。2035年の純利益2.075億円、自己資本14.0億円からROE=14.82%。全社の堀はnormal、超過利益の残る割合1/2なのでRONIC=12.04%。AI代替後の長期名目成長率g=1.2%からPER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.1838倍。現在の株価や市場の倍率に合わせて調整せず、正当化上限そのものを採用した。
確率:不正ログイン対策の実際の導入増加と月次解約の低さに支えられる。ただし大手決済事業者との販売競争、受託開発の省人化圧力を残し、成功が同時に続く確率は17%とする。
中立 29% 審査件数よりも単価と固定費が利益を決める 利益 1 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 362 円10 億円
不正を見抜く仕事は10年後も残り、O-PLUXは現場に組み込まれた顧客をかなり維持する。ただし決済代行各社が判定を自社サービスへ束ねるため、同社の実質審査件数は2026年上期の年率換算から少し減る。決済側は年間4,150万件、ログイン側は9億件だ。ログイン件数は2025年通期より多いが、2026年上期の大型導入を既に起点にしているため、そこからの成長を繰り返し数えない。
10年の単価上昇は両方とも約22%にとどまり、想定物価上昇率に負ける。大口契約の割引や競争のため、取引量に比例した名目売上成長を期待できないからだ。データ分析・決済コンサル・Anycloudの受託件数は、AIエージェント代替で年率換算の約3分の2へ縮む。顧客ごとの高付加価値な設計だけが残る。
会社が人員とクラウド費用を売上に見合う水準へ管理できれば、固定費の負担が薄れ、2035年に売上約12.1億円、営業利益約1.3億円を確保する。ROEは資本コストをわずかに超えるが、値上げの持続性や買収の再投資利回りは強いとはいえない。配当は収益確立後の小額に限られ、むしろ積み上がる純資産が利回りを押し下げやすい。
- O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定):数量 41.5(年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.14(売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。2026年上期年率43.62百万件の0.95倍。単価は1.22倍でCPI1.34倍未満。
- O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策):数量 900(年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.00(売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。2026上期年率1014.86百万件の0.887倍。2025実数の増加を二重に数えない。
- X-log(広告不正クリック対策):数量 3.2(年額契約顧客数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。業務ソフト・画面型として顧客数0.80倍、価格1.08倍。
- データサイエンスサービス:数量 3.9(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.13(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型のAI代替。案件数0.65倍、価格1.20倍。
- 決済コンサルティングサービス:数量 2.0(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI人月・工数型で案件数0.65倍。残った支援の単価のみ改善。
- SaaS型BNPL・その他:数量 4.0(年間有料契約企業数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。一般業務SaaS型:契約0.8倍、価格1.09倍。
- Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発):数量 8.0(年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解))× 価格 0.21(1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。2026半期6件の年率12件から0.667倍の8件。単価1.22倍。
倍率:資本コストk=9.25%。2035年の純利益0.926億円、自己資本9.6億円からROE=9.65%。強い堀を全社には適用せず、超過利益の残る割合は1/2。RONIC=k+0.5×(ROE−k)=9.45%。独自データ型と人月型を加重した長期名目成長率g=1.2%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=10.8446倍。資本コスト以下のROEに陥る場合の稼ぐ力の上限1÷kも考慮し、実際の株価に合わせた倍率調整は行わない。
確率:強い導入実績と低解約率を認める一方、2022年以降の収益悪化、金融大口案件の従量単価低下、AI受託の工数減少も無視できない中心の29%。審査数量の起点は2026年上期の年率換算値とし、2025年末からの急拡大を二度数えない。
やや悲観 27% 販売の束ね売りで取引量を失う 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 152 円4 億円
決済代行会社と海外の不正検知大手が、決済・本人認証・不正判定を一括で売るようになる。既存顧客の一部は契約を維持しても、大量審査を行う顧客ほど内製や包括契約へ移り、かっこの処理量が減る。決済側の年間審査は3,400万件、ログイン側は7.25億件にとどまる。月次解約率が低くても契約ごとの利用量が減るため、課金の勢いは鈍る。
データサイエンスとAnycloudの開発は、顧客企業に置いたAIエージェントが分析・実装作業を肩代わりする。案件数は少なくなり、残る専門家はセキュリティの高度な設計と監督に集中する。X-logも収益化が進まず、広告不正対策の機能が巨大広告・決済プラットフォームに吸収される。
経営は固定費と人員を削り、研究開発の一部を絞って事業継続を優先する。10年後の売上約9.4億円に対し営業利益は約0.2億円まで落ち、株主に分配できる利益はほとんど残らない。評価は成長株としての稼ぐ力ではなく、減損後に換金できる純資産と残る顧客基盤が下支えする。
- O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定):数量 34.0(年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.13(売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。決済代行の包括提供で件数減、既存顧客の利用量減少。
- O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策):数量 725(年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.00(売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。金融大口の内製化で審査量減少。解約が少なくても契約利用量が縮む。
- X-log(広告不正クリック対策):数量 2.6(年額契約顧客数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。広告プラットフォームによる機能内製が進む。
- データサイエンスサービス:数量 3.3(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.13(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。自動分析の普及で案件数が約半分になる。
- 決済コンサルティングサービス:数量 1.7(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.07(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。決済顧客の社内自動化でコンサル需要が減る。
- SaaS型BNPL・その他:数量 3.5(年間有料契約企業数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。顧客の決済基盤へ吸収される。
- Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発):数量 6.8(年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解))× 価格 0.20(1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェントの自動開発で受託人月が減る。
倍率:10年後の純利益0.129億円ではROEが約2.3%にとどまり、資本コスト9.25%を大きく下回る。稼ぐ力による価値は換金可能資産の推計に及ばないため、2026年6月の自己資本6.2億円を基準として税後売却可能資産4.2億円を評価する。床のPBRは4.2÷6.2=0.677419倍であり、過去の市場PBRを使っていない。買収のれんは売却可能資産に数えない。
確率:下に寄せる理由:4期連続となる赤字見通し、買収借入の現金維持条項、過去の大口顧客依存という会社固有の事実がある。低解約率を保っても審査量と実現単価を守れない場合を27%とする。AIによる人月減少は数量・単価に織り込み済みで確率に重ねていない。
悲観 16% データの優位を失い、買収資産の回収も難しくなる 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 144 円4 億円
不正検知に用いる情報の共同利用が厳しくなり、決済代行会社や海外サービスが自前の取引データで同等の精度を出すようになる。かっこの加盟店ネットワークは広がらず、大口顧客の移行で共有データが古くなる。決済審査は年2,400万件、ログイン審査は5億件まで縮む。ソフトを使う必要自体は残っても、他社へ切り替える費用より値段の差が大きくなる。
買収したX-logの顧客拡大は止まり、Anycloudの開発案件もAIエージェントに代替される。人月を売る案件数は2026年の年率換算から3分の1程度に縮み、売上は約5.8億円と現状の半分近くまで落ちる。固定費を大幅に減らしても営業赤字が残り、買収ののれんは資産として回収できない。銀行の現金維持条項を守るため、保守開発と顧客対応に絞った縮小均衡を目指す。
こうなると成長を織り込んだ株式価値はない。現在の有利子負債を控除した純現金と、税・処分費を考慮した売却可能資産に支えられる価値が中心だ。ただし赤字でその現金まで使い切り、財務特約に抵触すれば、ここで見た資産の床も成立しない。
- O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定):数量 24.0(年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.12(売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。大手決済プラットフォームに重要顧客を失い、件数と実質単価がともに落ちる。
- O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策):数量 500(年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算))× 価格 0.00(売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。共有情報と判定の差が縮み、金融の大口審査を失う。
- X-log(広告不正クリック対策):数量 1.6(年額契約顧客数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。競争上の差別化を失い維持費が利益を食う。
- データサイエンスサービス:数量 2.4(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.12(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。顧客が汎用AIエージェントで分析を内製化する。
- 決済コンサルティングサービス:数量 1.2(年間受託案件数(件。非開示につき推計))× 価格 0.06(1案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。業務設計が汎用化し、単発案件しか残らない。
- SaaS型BNPL・その他:数量 2.0(年間有料契約企業数(社。非開示につき推計))× 価格 0.05(1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。画面・運用の自動化と決済機能統合で存在感を失う。
- Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発):数量 4.2(年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解))× 価格 0.18(1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。大型受託を失い、年率12案件から4.2案件へ縮む。
倍率:構造的敗北で営業損失0.5322億円、金利なども考慮した純損失0.60億円が残る。したがって永続PERではなく、2026年6月連結自己資本6.2億円を基準とする税後換金可能資産4.0億円で測る。PBR=4.0÷6.2=0.645161倍。のれんを除く実体資産の回収を基本とし、過去のPBRや株価の底を根拠にしていない。
確率:大手プラットフォームによるデータ内製化、重要顧客の喪失、受託AI開発の採算崩れと資金制約が重なる16%の構造的敗北。単に景気の谷ではなく事業の価値そのものが縮む場合であり、現金がさらに減れば資産の床も見直す必要がある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
O-PLUX Payment Protection(不正注文・決済判定)
EC決済・不正転売の判定API。月額料金と審査従量料金を得る。独自の共有不正データがあり、AI代替は「記録の正本・独自データ型」に準じて評価する。
| 数量年間不正注文審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算) | 価格売上高(億円)÷年間審査件数(百万件)。月額固定料込みの実現単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 43.6 | 0.12 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 41.5 | 0.14 | 6 | 1 |
取り方:会社開示の2026年上期審査件数2,181万件を2倍して43.62百万件。2026年単体の不正検知売上予想8.46億円は製品別に非開示のため、決済5.10億円、ログイン3.16億円、X-log0.20億円と推計した。5.10÷43.62=0.11692億円/百万件、約11.69円/件であり、契約の月額固定料も含む平均値。2025年実際の決済件数は4,010.6万件。2026年会社予想と2025年実績を混同せず、毎期の品目売上・単価は推計である。顧客横断データと月次解約率0.40%の2証拠があるため、AIエージェント代替に対して記録・独自データ型を使う。2026年のサービス別営業利益は非開示のため、親会社予想の営業赤字1.41億円を売上高比例で仮配分した。赤字の配分は事業別採算の実測値ではない。
O-PLUX Account Protection(不正ログイン・口座対策)
金融機関・会員サイト・ECのログインや取引をリアルタイム判定するAPI。独自データの横断利用と解約率の低さが堀の証拠となる。
| 数量年間不正ログイン審査件数(百万件。2026年上期実績の2倍で年率換算) | 価格売上高(億円)÷審査件数(百万件)。基本料込みの実現単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 1,015 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 900 | 0.00 | 3 | 1 |
取り方:2026年上期50,743万件=507.43百万件を年率換算し1,014.86百万件。2025年の開示四半期5,665・5,803・5,520・18,307万件の合計は352.95百万件。2026年売上3.16億円は不正検知計8.46億円から他の2製品の推計額を控除した分析上の仮置きで、会社の品目別開示ではない。年間実現単価は3.16÷1,014.86=0.003114億円/百万件、約0.31円/件。2025年の仮売上2.05億円との比較では審査件数約2.9倍に対し売上は約1.5倍であり、大口顧客の従量割引と最低月額料金が影響すると推測する。低解約と共有不正データの2証拠で記録・独自データ型を適用する。2026年の営業利益は親会社予想の赤字1.41億円から売上高比例で仮配分した推計である。
X-log(広告不正クリック対策)
広告の不正なクリックを検知する新取得サービス。広告運用の受託そのものではないが、独自データや長期解約率の証拠が2つそろわないため、保守的に一般業務ソフト型で扱う。
| 数量年額契約顧客数(社。非開示につき推計) | 価格顧客1社当たり年額売上(億円/社。推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 4.0 | 0.05 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 0.05 | 0 | 0 |
取り方:2026年4月に事業譲受。2026年上期売上0.06億円の開示から、通年に近い9カ月稼働分を約0.20億円と試算し、顧客4社×年額0.05億円の代理変数に分解した。契約社数も価格も実測ではない。判定APIに近いがO-PLUXと同じ堀の2証拠は未開示のため、AIエージェント代替について一般SaaS・操作画面型の数量0.7~0.9倍と価格1.00~1.15倍を保守的に適用する。営業利益は会社全体の営業赤字を売上比例で仮配分した値である。
データサイエンスサービス
需要予測、在庫・生産計画、シフト最適化などの個別分析・アルゴリズム構築受託。専門家の工数・案件で売り、AIエージェント代替の直接対象となる。
| 数量年間受託案件数(件。非開示につき推計) | 価格1案件当たり年間売上(億円/件。推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 6.0 | 0.11 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 0.13 | 1 | 0 |
取り方:2026年上期の会社開示グラフではデータ分析サービス売上約0.32億円。通期を0.67億円と仮定して案件6件×平均0.11167億円と分解した。案件数・個別単価は開示されない。過去の同サービスの売上構成と上期実績を起点にした推計で、全社売上の均等割りではない。AIエージェント代替は人月・工数型を適用し、中立数量は6件の65%、名目単価は10年で1.20倍とする。営業利益は会社全体の赤字を売上比例で仮配分した。
決済コンサルティングサービス
後払い決済事業者の審査業務設計、料金・システムの導入支援など。顧客別の作業工数を対価に変える。
| 数量年間受託案件数(件。非開示につき推計) | 価格1案件当たり年間売上(億円/件。推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 3.0 | 0.06 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 0.08 | 0 | 0 |
取り方:2026年上期の会社グラフの決済コンサル売上は約0.05億円に低下。後半の回復を含む通期約0.18億円という不確かな推計を、案件3件×平均0.06億円に分けた。2025年上期には同サービス約0.36億円があり縮小している。人月・工数型のAIエージェント代替で中立数量は3件の65%、単価は1.25倍までに抑える。営業利益は会社全体の赤字を売上比例で仮配分した。
SaaS型BNPL・その他
後払い決済機能のSaaS提供と周辺の小型継続サービス。席数や操作画面の自動化、顧客の内製化を受けるため汎用業務SaaS型で扱う。
| 数量年間有料契約企業数(社。非開示につき推計) | 価格1契約企業当たり年額利用料(億円/社。推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 5.0 | 0.05 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 0.05 | 0 | 0 |
取り方:2026年上期の「その他」は約0.13億円でSaaS型BNPLを含む。2026年の単体売上見通し9.56億円から不正検知8.46億円、データ分析推計0.67億円、コンサル推計0.18億円を差し引いた0.25億円が当区分の推計額。契約5社×年額0.05億円は代理変数で実数開示ではない。AIエージェント代替の一般席・画面型として中立数量0.80倍、価格1.09倍とする。営業利益は会社全体の赤字を売上比例で仮配分した。
Anycloud(AIシステム・アプリケーション受託開発)
2026年6月に買収した子会社。FDE型の顧客密着開発とプロダクト設計が中心で、工数販売型としてAIエージェント代替の負荷を受ける。
| 数量年間受託案件数(件。2026年7~12月寄与予定を代理案件に分解) | 価格1受託案件当たり年間売上(億円/件。推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12(会社通期予想と上期件数の年率換算・分析者推計) | 6.0 | 0.17 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.21 | 2 | 0 |
取り方:買収前2025年5月期のAnycloud売上1.58億円、営業利益0.19億円は会社が開示。2026年グループ予想10.58億円から親会社単体予想9.56億円を引くと、7~12月の新規連結寄与約1.02億円となる。これを6件×0.17億円と分解するが案件数は非開示。人月・工数型のAIエージェント代替では、10年中立8件を2026年半期6件の単純1.33倍とは読まず、年率換算12件に対する0.67倍と解釈し、単価1.22倍とする。AIエージェントそのものの定量的な製品販売開示はなく、「AIだから案件数が増える」とは予想しない。営業赤字0.41億円は2026年の連結・単体予想差からの推計である。
リスクと懸念
AI エージェント代替
AnycloudのFDE型受託開発、データ分析、決済コンサルティングは、顧客がAIエージェントで設計・分析・実装を自動化すれば必要な人月が減る。2026年連結売上見通しの約18%に相当する部分であり、中立の案件数を年率換算の約65%に抑えた。X-logとBNPLは操作・運用画面の価値が薄れるため別のSaaS型で評価した。主力O-PLUXは共有データと低解約率の2証拠があるため、同じようには扱わない。
審査件数と実現単価の乖離
ログイン対策の審査量は2026年上期に前年同期比342.5%増えたが、ストック収益全体の増加は22.3%だった。大型顧客の処理量に従量単価が比例しない場合、伸びる件数だけを見て将来売上を過大評価する。月額基本料と従量課金を分けた品目別売上は非開示であり、件数から推定した平均単価には幅がある。単価の落ち込みは資本コスト以上に実際の利益へ効く。
現金維持条項と買収後の資金流出
買収で加わった短期借入約2.47億円には、連結現預金4.50億円以上などの財務維持条件がある。2026年上期は営業キャッシュフローが流出し、年末も営業赤字が予想される。仮に残高が条件に接近すれば、追加融資、事業売却、増資などの資本政策が必要になりうる。昔の純現金5.8億円をそのまま自由に分配できる財産と扱うと、株主の持分を過大評価する。
決済大手への機能統合と独自データの目減り
Stripe、Adyen、GMO系の決済プラットフォームは、自社の注文・本人認証データと不正判定を結びつけやすい。かっこの共有不正データは対抗力を持つが、顧客が決済から判定までを一括契約すると、外部APIの利用量は減る。日本語の名寄せや端末識別でも技術が汎用化すれば差が縮む。国内導入サイト件数の首位と売上金額のシェアは同じではなく、後者の防衛を別途確かめる必要がある。
のれんの回収とAI開発子会社の採算
2026年の2件の取得でのれん約1.71億円を計上した。Anycloudは買収前には黒字だったが、連結後は買収関連費用、のれん償却、人材確保などを賄う必要がある。AI開発案件の増加をそのまま高い資本効率と考えることはできない。将来の受注減や人件費負担増で減損が起きれば、自己資本と配当原資がさらに圧迫される。悲観の資産価値にはのれんを含めていない。
個人情報規制と不正データの利用可能性
共同利用する不正履歴とデバイス情報が価値の源泉である以上、個人情報保護の運用変更、顧客との契約条件、データ持ち出しの制限は競争力に直結する。データの取得と再利用が制限されれば、新しい不正パターンへの追随が遅れ、アルゴリズムの精度で優位を保てなくなる。規制強化はセキュリティ支出を増やす面があるが、収益基盤の共有データを狭める面も同時に持つ。
希薄化と少数株主への還元不足
2025年末と2026年6月の発行済株式数は増えており、譲渡制限付株式報酬や新株予約権がある。現時点の株数には発行済みの新株は反映したが、将来の資金調達や権利行使まで無条件には織り込んでいない。現金が厳しい時期に新株で資本を補うと、会社全体の売上が伸びても既存株主の取り分は減る。利益が戻っても配当と自社株買いが実行されるかを確かめたい。
今後の分かれ目
- O-PLUXの平均月次解約率が1%を超える状態が半年続いたら
- 年間顧客維持率が明確に悪化する。共有データの堀とリカーリング売上の前提を下げ、決済・ログインの数量をやや悲観側へ見直す。
- ログイン審査件数だけが拡大し、同製品の売上・平均実現単価が2期続けて下がったら
- 大口顧客の割引や価格競争で金額のシェアを失っていると見る。2026年上期の取引量を基準にした中立価格を引き下げ、O-PLUXの値決め力を再点検する。
- 2027年以降に営業黒字と営業キャッシュフロー黒字を2期連続で達成したら
- 案件数の伸びが利益と現金に変わった根拠となる。現預金の財務特約余力も改善していれば、収益回復シナリオの確率と将来還元の見積もりを引き上げる。
- 財務特約の現預金4.50億円または純資産2.50億円に近づき追加資本調達が発表されたら
- 悲観の床をその時点の純現金・有形資産で引き直し、増資による既存株主取り分の希薄化を別途計上する。先に算出した床の維持を約束しない。
- Anycloudが人月に比例しない独自AIエージェント製品の契約売上と解約率を開示したら
- その売上部分だけ人月・工数型から独立した製品型へ分類し、実績で証明された範囲に限って数量見通しと長期成長率を見直す。開示がない限りAIという名称だけで成長加点しない。
- NTTデータや決済代行会社との提携経由で、継続的な新規有料契約と単価上昇が同時に確認できたら
- 共同利用データの堀が販売網を通じて強まったと認め、決済・ログインの数量と価格を上側へ寄せる。累計サイト数よりも実際のストック売上で確認する。
- 投資後の増分営業利益が資本コストを上回り、増配または自社株買いが始まったら
- 買収と開発投資の株主価値創出が確認できる。余剰現金の戻り方0.75を1.0へ引き上げる条件を満たしたか確認し、還元の累計額を更新する。
見ておくもの
- O-PLUX Payment Protectionの四半期審査件数と金額ベースのストック収益
- O-PLUX Account Protectionの審査件数・大型案件の継続性・1件当たり実現単価
- 不正検知全体の月次Gross解約率とNet解約率、解約した大口顧客の影響
- 2026年8月時点の連結売上10.58億円・営業赤字1.82億円の通期予想に対する進捗
- 銀行借入の財務特約:連結現預金4.50億円以上、純資産2.50億円以上
- Anycloudの案件数・契約単価、工数と切り離されたAI製品の売上開示
- X-logの継続顧客数・営業損益と取得のれんの減損有無
- 営業キャッシュフローが黒字化する時期と株式報酬を含む発行済株式数の推移
- 決済代行会社の自社不正検知機能の普及と、本人認証・個人情報保護の制度改正
倍率と資本コストの決め方
基準株価764、株数2,771,055株から時価総額約21.17億円だけを最後に算出し、売上と倍率を株価から逆算しなかった。2026年の会社連結売上予想10.58億円を、審査件数の開示とサービス別金額の推計で7事業に分けた。審査数量は2026年上期の年率換算を使い、2025年からのログイン増加を二重に数えない。物価3%の10年累計約1.34倍に対し、競争で中立の価格上昇は主力1.22倍に抑える。資本コストは通常7.5%に質+0.25%、事業の傾き+1.5%で9.25%。主力のデータの堀と受託事業のAIエージェント代替を区別し、全社の長期gを1.2%とした。中立PERは税後利益・ROE・RONICからの式で約10.84倍。買収後の現預金は財務特約で自由ではなく、のれんを悲観の床に入れない。5筋書きの確率加重現在価値は約5.66億円、基準時価総額との差は約-73.3%となり、方向は割高で一貫する。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.5%。