結論
クリーマは、作り手と買い手を結ぶ国内有力のハンドメイド作品市場「Creema」を運営する会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。事業には生き残る理由があるが、現在の収益力と資本配分の実績では、時価総額13.35億円を十分に正当化できない。
この会社の価値を考えるとき、最大の発見は、登録作品数と実際の取引が反対方向に動いていることだ。2023年2月期から2026年2月期にかけて登録作品数は1,549万点から2,149万点へ増えた。それでも年間流通総額は168.34億円から148.79億円へ減った。作り手を集める力はあるが、作品を継続的に売る力が強まっているとはまだ言えない。
2026年2月期の売上高は約25.35億円、営業利益は約0.43億円だった。2027年2月期は売上増を計画する一方、投資負担から営業利益を約0.06億円まで減らす予想である。ギフト機能、匿名配送、検索の改善、イベントの地方展開などの取り組みは理解できる。しかし、それらが高い追加投資利回りを生むかは、まだ結果で証明されていない。
現金の厚さも見かけどおりには評価できない。期末の現金預金は約30.15億円あるが、売り手などに支払う預り金が約15.69億円、前受金が約2.62億円ある。純有利子負債がマイナス26.2億円という数字を、そのまま株主の余剰資産と見るのは誤りだ。
10年後には売上31.7億円、純利益1.05億円程度まで回復する中立の道筋を想定する。ただし、その程度では積み上がった自己資本に対する利益率が資本コストを下回る。五つの筋書きの価値を現在に割り戻すと約10.15億円となり、現在の時価総額を約24%下回る。長く持つ株主にとって、魅力的な商品群と魅力的な投資価格は別の問題である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場では、クリーマの魅力は売上規模の大きさではなく、小さな資本で多くの作り手の商いを支えられる仕組みにある。実物の作品を自社で製造・保管せず、売買の成立や広告から手数料を得る。購入者が増えるほど作り手が集まり、作り手が増えるほど選択肢が豊かになる。こうした好循環が本当に働けば、追加の設備投資が少なくても利益を伸ばせる。
ところが、所有者として見るべき指標は累計の出品数ではない。毎年、同じ作り手がどれだけ売り続け、買い手がどれだけ戻ってくるかである。出品数が増えても流通額が減り続けるなら、ネットワークは大きいだけで、強くなっていない。会社の説明には魅力的な新機能が並ぶが、利用者が支払う金額と株主に残る利益が増えなければ、事業の価値は高まらない。
また、現金預金の額に安心しすぎてはならない。取引代金の預り金は、売り手のために保管しているお金である。そこに借入返済、前受金、運転資金を差し引くと、株主が自由に使える現金はかなり小さくなる。表面上の純現金だけを見て時価総額の割安さを判断すれば、この会社を大きく見誤る。
再投資も慎重に評価したい。ギフト市場への進出や検索改善は、既存の顧客基盤を使える点で筋がよい。一方、広告制作、動画講座、M&Aへ投じる資本は、既存の市場運営と同じ利回りを得られる保証がない。2027年2月期の利益が投資負担で大きく落ち込む計画である以上、回収の実績が出るまでは、その支出を将来の高収益へ自動的に変換してはならない。
10年後もCreemaが必要とされる可能性は高い。それでも筆者が求めるのは、存在し続けることに加え、資本コストを上回る利益を長く稼ぎ、余剰資金を適切に所有者へ返すことである。この三つがそろう証拠は、まだ十分ではない。強い商品への愛着と、株主として払える価格との間には、厳密な線を引くべきだ。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は「Creema」で成立した作品取引から受け取る手数料である。2026年2月期の年間流通総額は148.79億円、マーケットプレイスサービスの売上高は14.56億円だった。会社は作品の在庫を原則として持たず、出品者と購入者の間に立って検索、決済、配送支援、安心して取引する仕組みを提供する。併設する「InFRAME」は作り手自身のネットショップをCreemaと連携させるサービスである。
第二の収益源は、作り手、企業、自治体から得るマーケティング関連収入だ。作り手が自分の作品をCreema内で目立たせる「作品プロモーション」はクリック課金型である。企業や自治体には、作家との共同企画、記事広告、地域振興の催しなどを販売する。さらに、作家がフォロワーに通知を送る月額890円の「クリエイタープッシュ」や、売上金を早く受け取るための有料サービスも持つ。これらを合わせた2026年2月期のプラットフォームサービス売上高は約7.16億円だった。
第三の柱は、作り手と来場者が直接会う「HandMade In Japan Fes’」などのイベントだ。出展料、入場料、協賛などが収益源となり、2026年2月期は約1.67億円を売り上げた。催事はオンラインでは再現できない接点を生むが、会場の確保、運営人員、開催回数に業績が左右される。実際に2027年2月期は東京の開催回数が減るため、会社はイベント売上の減少を見込んでいる。
第四の柱は、購入型クラウドファンディング「Creema SPRINGS」と、作家がレッスン動画を販売する「FANTIST」である。2026年2月期の新サービス群売上高は両者合計で約1.96億円だった。FANTISTは買収によりグループに加わり、登録レッスン動画は2,700本を超えている。両サービスには成長余地があるものの、個別の売上高や取引件数は開示されていないため、評価には幅がある。
会社の会計上の報告セグメントは「クリエイターエンパワーメント事業」の一つである。本分析では経済性とAIによる代替の受け方が異なるため、七つの収益単位に分解した。開示された四つのサービス群の売上高とマーケットプレイス流通総額は実績である。一方、内部広告のクリック数、外部広告の案件数、有料会員数、SPRINGSとFANTISTの個別収入は分析上の推計であり、実際の開示値と混同してはならない。
優良さと弱いところ
この会社の堀、つまり他社が容易に奪えない強みは、質の高い手作り作品と、その作り手を探しに来る購入者が同じ場所に集まることだ。2026年2月期末の登録クリエイターは約31万人で、登録作品数は2,149万点に達する。初めて作品を売る作家にとって、認知された市場、購入者からの評価、決済の仕組みが一度に得られる価値は小さくない。東京の大型イベントも、オンライン上のブランドを実際の人間関係へ変える働きを持つ。
しかし、ネットワーク効果が広がっている証拠は弱い。登録数は累計であり、売れる作品の数や継続購入者数ではない。2023年2月期からの流通総額の減少は、作品が増えても購入が追いついていないことを示す。しかも競合の「minne」も2025年に流通額が減少しており、個社だけでなく専門市場そのものが成熟している可能性がある。
値決め力は限定的だ。Creemaの標準販売手数料とminneの販売手数料は近い水準で、出品者には自社店舗、SNS、メルカリなど別の販路がある。Creemaが取引手数料を大きく引き上げれば、有力な作家ほど外部に顧客を誘導する動機が強くなる。2026年には周辺サービスの拡充などによって実効的な売上化率が改善しつつあるが、これは一律の値上げを継続的に通せる証拠とは異なる。
利益の再投資効率もまだ高く評価できない。2022年2月期には営業利益率14%に達したが、その後は赤字に転落し、2026年2月期の営業利益率は1.7%にとどまる。固定的な開発・人件費を負担するため、売上が伸びれば利益は大きく改善しうる。しかし、直近の販促投資は流通総額の再成長に結びついていない。中立の10年後におけるROEは約5.8%で、資本コスト7.75%には届かない。
AIへの対応は一括りにできない。実物の手作り作品、決済、作家の信用、対面イベントは、AIエージェントが画面操作を代行しても消えない。他方、法人向け広告制作・運用、画面で操作する有料販促機能、一般的な動画講座は代替されやすい。会計記録や法令対応のような『記録の正本』に当たる独占的機能も、解約率や値上げ実績から確認できない。したがって、会社全体を強い堀と認定するには証拠が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のハンドメイド作品市場は、CreemaとGMOペパボの「minne」が主要な専門プラットフォームとなっている。2026年2月期のCreema流通総額は148.79億円、2025年暦年のminneは104億円だった。両社が専門市場の約8割を占めるという仮定なら、市場規模は約316億円、Creemaのシェアは約47%、minneは約33%となる。市場全体の統一された公式統計はないため、これは異なる決算期間の数字を組み合わせた概算である。
会社の過去の成長可能性資料では、国内の顕在的な専門市場として約339億円が示されている。一方、米国のEtsyの普及状況などを日本に当てはめた数千億円規模の潜在市場は、現在存在する取引額ではない。長期価値を考える際には、潜在市場の全額を当然の成長余地として数えるべきではない。筆者は、既存の専門市場について、10年後の中立的な実質規模を約326億円とみる。
手作り作品を買う行為そのものは残るだろう。既製品では得られない個性、作家との関係、特別な贈り物への需要があるからだ。Creemaが始めたギフトカタログ、eギフト、匿名配送は、その需要を取り込むための合理的な施策である。ただし、日本の人口減少と購買力の制約を考えれば、国内専門市場が実質で毎年高成長する前提は採りにくい。
競争範囲は専門サイトの外へ広がっている。Etsyは海外作品、Amazon Handmadeは総合通販の集客力、メルカリは個人間売買、Instagramと自社ECは作家から購入者への直接販売を担う。ShopifyやSTORESのような店舗開設基盤も作家の独立を助ける。Creemaには作品の発見と信用を一体で提供する利点があるが、優れた作家が購入者を別の場所へ移すことを防ぐ契約上の独占はない。
特に気になるのは集客経路だ。会社は検索エンジンの順位低下、広告単価の上昇、なりすましメールによる影響、本人認証の負担を流通額低下の要因として説明している。今後はAI検索や購買エージェントが候補作品を横断比較し、消費者が個別サイトへ訪れる理由が薄れる可能性もある。自社サイト内広告は訪問数に依存するため、取引手数料だけでなく広告収益にも響く。
外部広告・地域振興市場では広告代理店、制作会社、自治体向け支援会社との競争になる。購入型クラウドファンディングではCAMPFIREやMakuake、動画講座ではYouTubeや各種学習サービスが競合する。これらは市場規模の定義も収益認識も異なるため、Creemaの売上をそのまま市場シェアと呼ぶことはできない。事業別の独立した競争力を確認する必要がある。
資本政策と M&A
資本配分は、現時点では株主還元より成長投資に傾いている。上場後の配当実績はなく、2027年2月期についても配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の数字の約束はない。2026年2月期における営業利益0.43億円に対し、2027年2月期は売上27.81億円、営業利益0.06億円、純利益0.31億円を計画する。2028年2月期からの大幅な増収増益を目指す方針だが、その年度以降の具体的な利益・ROE目標は開示されていない。
経営陣は総額7〜8億円程度のM&Aを目指している。2026年2月期には複数案件を検討したものの実行に至らず、2026年10月の説明資料でも具体的な案件化には至っていない。過去にはFANTISTを取得し、手作り作品の販売と学習サービスの連携を進めた。しかし、買収によって全社の利益水準が持続的に高まったとまでは確認できない。今の規模に対して7〜8億円の投資は大きく、対象会社の収益力と買収価格が決定的に重要となる。
創業者の保有比率は約32.4%、上位10株主の保有割合は約64%である。経営の継続性には利点がある一方、少数株主が現金の使途を左右する力は限られる。配当や十分な自社株買いの実績がないため、事業外の余剰現金は額面の75%が株主価値として戻ると判断した。上位10株主が65%以上という強い支配の条件には届かないため、戻り方を50%には下げない。
2026年には資本準備金の減少と欠損の処理に関する手続きも進めた。これは会計上の資本構成の整理であり、現金配当と取り違えない。新株予約権に対応する潜在株式は約29.1万株あり、利益が大きく伸びて株価が行使価格を上回る場合には既存株主の取り分が薄まる。中立では行使を見込まず、上振れ側にのみ段階的な希薄化を反映した。
10年間の還元については、当面は無配を基本とした。大きく成功する筋書きでは累計4億円、やや成功する筋書きでは1.5億円の還元が実現する可能性を認めるが、これらは会社の約束ではない。成長投資の成果を見ないうちに、将来の高配当や大型自社株買いを当然のものとして数えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Creemaは国内最大級のハンドメイド専門市場として、約31万人のクリエイターと2,149万点の作品を持つ。これほどの作り手と作品を一から集めるのは簡単ではない。購入者が特定の作品を探す際には、一般的な通販サイトにはない作家情報、購入者の評価、制作背景などが判断材料になる。AIが商品探索を助けるようになっても、実際に作品を制作し、届け、品質に責任を負う人の価値は消えない。
2026年に本格化したギフト向け施策は、日用品より高い単価を取れる取引を増やす機会となる。匿名配送やeギフトは購入の心理的な障壁を下げ、InFRAMEは作り手の複数販路をまとめて管理する仕組みとなる。取引の成約率と実効手数料率を同時に改善できれば、流通総額の伸びを上回る売上増加が期待できる。さらに、内部広告やフォロワー向け通知の売上が重なれば、既存の利用者基盤から得られる収入は厚くなる。
実店舗を多数抱えずに運営するため、固定費を超えた売上の増加が利益に変わりやすいことも強みだ。2022年2月期には営業利益率14%を実現している。ギフト、地方イベント、SPRINGS、FANTISTが連携すれば、新しい顧客を獲得する費用を分け合える。M&Aでも作家向け決済や物流支援などの隣接領域を適切な価格で取得できれば、収益源を増やせる。
最大の上振れは、流通額が減ってきた原因が一時的な検索順位の低下や宣伝手法の問題であり、商品への需要そのものは衰えていない場合だ。検索以外の直接流入を増やし、専門市場での優位を広げられれば、利益は現在とはまるで異なる水準に達する。そのときには、低い時価総額から出発した株主の利益も大きくなる。
慎重な見方
登録作品数が増えているのに流通総額が減っている事実は重い。出品されていることと売れることは違う。購入者はInstagramで作家を知り、自社店舗や総合ECで直接買うこともできる。売り手は顧客との関係ができるほど、販売手数料を払い続ける理由が薄れる。専門サイトの規模が大きいことは、必ずしも値上げ力が強いことを意味しない。
2023年2月期には営業赤字を計上し、2026年2月期の営業利益率も2%を下回った。先行投資を理由に低利益を許容しているが、成長投資が成果を出すまでの時間と必要金額は見えていない。2027年2月期も利益をほぼ使い切る計画である。売上が伸びても広告費、開発費、制作費が同時に増えれば、株主の取り分は増えない。
AIエージェントは、Creemaにとって販売の道具になるだけではない。企業の広告企画や運用を代替し、作家向けの有料操作機能を不要にし、動画レッスンの一部を無料の対話型指導に置き換える。検索からの流入自体がAIの回答画面で完結するようになれば、自社サイトのクリック広告と販売仲介の両方に圧力がかかる。会社が業務効率化にAIを使うだけでは、競合や顧客も同じ技術を使うという問題を解決できない。
財務にも誤認しやすい点がある。現金預金の多くは取引に伴う預り金などと見合っており、自由に配当できる現金ではない。その中で7〜8億円規模のM&Aを目指すことは、少数株主にとって重大な資本配分リスクとなる。買収でのれんや固定費が増え、なお流通総額の減少を止められなければ、10年後の価値は現在の帳簿上の自己資本すら下回りうる。
安い株価に見えても、毎年の利益が小さく、分配の約束がなく、事業の衰退が続くなら割安とは限らない。現金がある会社と、現金を株主のために使う会社を区別する必要がある。
どちらに重みを置いたか
作り手と買い手のネットワーク、実物の作品、対面イベントは、10年先にも残りうる価値である。しかし、2023年2月期以降の流通総額の減少は、堀が強まっているという主張に反する。内部広告以外の広告業務、作家向けの操作機能、動画講座にはAIエージェント代替もある。このため、楽観側25%に対し、やや悲観と悲観を合計45%とした。下に寄せる理由は、同社固有の取引減少と、利益改善より投資拡大を優先する経営判断にある。もっとも、AIの悪影響は各事業の数量と価格にすでに織り込んだため、資本コストの寿命要因で重ねて減点していない。現在価値は約10.15億円で、約13.35億円の時価総額に対して「やや割高」と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 306 円21 億円(+ 還元の換算額還元の合計 8 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 151 円10 億円、今との差 −19.5%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,160 円78 億円 | 57 円4 億円 | +550.6% | +21.5% | 97 円7 億円 |
| やや楽観 | 17% | 530 円36 億円 | 22 円1 億円 | +194.7% | +11.7% | 94 円6 億円 |
| 中立 | 30% | 226 円15 億円 | 0 円0 億円 | +21.0% | +1.9% | 68 円5 億円 |
| やや悲観 | 28% | 126 円9 億円 | 0 円0 億円 | −32.6% | −3.9% | 35 円2 億円 |
| 悲観 | 17% | 116 円8 億円 | 0 円0 億円 | −38.1% | −4.7% | 20 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 306 円21 億円 | 8 円1 億円 | +67.9% | +5.4% | 314 円21 億円 |
今の株価時価総額 187 円13 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% ギフト市場への拡張が成功し、作家経済圏が拡大する 利益 6 億円 · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,160 円78 億円
Creemaの大規模な刷新が成功し、ギフトカタログ、eギフト、匿名配送が新しい購入者を呼び込む。作家はCreemaとInFRAMEを併用することで販売機会を増やし、作品が売れる確率も高まる。10年後の国内専門市場は実質で約473億円へ広がり、Creemaのシェアは55%へ上昇する。年間の実質流通総額は約260億円となり、物価と周辺サービスの収益化を合わせた実効売上化率も改善する。
内部広告は購入者の増加に支えられて利用され続ける。地方イベントの開催が増え、SPRINGSのものづくり企画も拡大する。AIエージェントによる広告制作と動画講座の代替は残るものの、会社が強みを持つ実物作品の取引と購入者との関係から利益を得る割合が高まる。AIそのものを新しい収益源として実証なく加算することはしない。
売上高は約53億円、営業利益は約8億円に達する。投資額に対して十分な利益が生まれ、経営陣は累計4億円を株主へ還元する。周辺領域の買収も収益力を壊さずに成功し、増加した利益の多くが自己資本に蓄積する。潜在株式の行使による希薄化は発生するが、それを上回る事業価値の増加が実現する。
- マーケットプレイス・InFRAME:数量 260(年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円))× 価格 0.13(実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積)→ 売上 34 億円・営業利益 12 億円。実質専門市場約473億円、Creemaシェア55%。現在より数量1.75倍、名目売上化率1.34倍。
- Creema内の作品プロモーション広告:数量 2,188(年間有料広告クリック数(万回、推計))× 価格 27(1クリック当たり売上(円、推計))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。自社媒体への直接流入が増え、課金クリック数1.25倍。
- 法人・自治体向け広告制作・運用:数量 27.0(年間企画案件数(件、推計))× 価格 1,250(1案件当たり売上(万円、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AI代替が進むため、楽観でも案件相当数量は現在と同じ。
- 作家向け月額機能・早期振込:数量 9,000(年間平均の有料契約換算数(契約、推計))× 価格 12,301(1契約換算当たり年間売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型課金のため、楽観でも契約換算数量は横ばい。
- HandMade In Japan Fes'等のイベント:数量 4.0(年間大型催事の開催回数(回))× 価格 1.12(1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。地方開催が定着し年4回、1開催当たり売上は物価並みに増加。
- Creema SPRINGS:数量 12.0(年間の実質支援流通総額(億円、推計))× 価格 0.27(実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。実質支援額12億円、実効収益率は名目価格とともに上昇。
- FANTISTの動画講座:数量 15,000(年間有料レッスン購入件数(件、推計))× 価格 6,365(1購入当たり認識売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替を踏まえ購入件数は横ばい、単価は現在の1.25倍。
倍率:資本コストk7.75%、2036年のROE約15.07%、普通の堀による残存割合1/2から、増分投下資本利益率RONICを約11.41%とする。2036年以降の名目成長率g1%による正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約13.5166倍を採用する。余剰現金3.73億円には税後想定利息1.4%を含むため、事業純利益を5.88−3.73×0.014億円として倍率を掛け、現金3.73億円の75%を加える。時価総額約81.57億円は既存株主の希薄化前の会社全体価値である。
確率:既存の流通額減少を反転させ、専門市場を拡張し、検索依存を減らす必要がある。さらに高い営業利益率とM&Aの成功が重なる筋書きであり、実現の条件が多いため8%とした。
やや楽観 17% 取引が再成長し、周辺サービスも着実に育つ 利益 3 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 530 円36 億円
検索機能の改善、ギフト需要の取り込み、作家から既存顧客への直接通知が徐々に成果を生む。Creemaの年間流通総額は再び増加し、専門市場全体でも実質で約386億円の規模に達する。その中でシェアを52%へ高め、約201億円の実質流通額を得る。値上げで作家を失わないよう標準手数料を大きく動かすのではなく、関連サービスを組み合わせて売上化率を上げていく。
内部広告は緩やかに増えるが、外部広告の制作・運用にはAIエージェントによる代替が進む。作家向け月額課金や動画レッスンも、有料で残る顧客を選別することになる。対面イベントは東京と地方の開催を組み合わせて年3回へ増え、SPRINGSは取扱額を拡大する。各サービスの伸びには差がつき、収益の多角化が完全な成功とはならない。
売上高は約42億円、営業利益は約3.55億円となる。過度な宣伝費と開発費を抑え、サービスの利益率が回復する。大型M&Aの成果は控えめだが、致命的な損失を生む買収も避けられる。小規模な還元が始まる一方、一部の新株予約権が行使され、既存株主の取り分はわずかに低下する。
- マーケットプレイス・InFRAME:数量 201(年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円))× 価格 0.13(実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積)→ 売上 26 億円・営業利益 8 億円。実質市場約386億円、シェア52%、数量1.35倍、名目売上化率1.34倍。
- Creema内の作品プロモーション広告:数量 1,925(年間有料広告クリック数(万回、推計))× 価格 27(1クリック当たり売上(円、推計))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。有料クリック数1.10倍、単価1.34倍。
- 法人・自治体向け広告制作・運用:数量 24.3(年間企画案件数(件、推計))× 価格 1,240(1案件当たり売上(万円、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替によって案件相当数量は0.90倍に減少。
- 作家向け月額機能・早期振込:数量 8,550(年間平均の有料契約換算数(契約、推計))× 価格 12,087(1契約換算当たり年間売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面型課金の数量は0.95倍、単価1.13倍。
- HandMade In Japan Fes'等のイベント:数量 3.0(年間大型催事の開催回数(回))× 価格 1.12(1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。年3回開催と名目単価1.34倍。
- Creema SPRINGS:数量 9.0(年間の実質支援流通総額(億円、推計))× 価格 0.26(実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。支援額1.50倍、名目収益率1.29倍。
- FANTISTの動画講座:数量 13,950(年間有料レッスン購入件数(件、推計))× 価格 6,161(1購入当たり認識売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。動画講座の有料購入件数0.93倍、単価1.21倍。
倍率:ROEは約10.53%、k7.75%、普通の堀の残存割合1/2によってRONIC約9.14%とする。g_long1%を用いた正当化PERは約13.1936倍。純利益2.64億円から余剰現金3.50億円の税後想定利息1.4%を除いた事業利益に掛け、現金の75%を加算すると時価総額約36.81億円となる。
確率:ギフト、検索改善、地方イベントが一定の成果を上げる可能性はあるが、現在の流通額減少からの回復を確認する必要があり、強気の中心には据えない。
中立 30% 主力取引は持ち直すが、資本効率の回復は限定的 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 226 円15 億円
手作り作品を買う文化は残り、Creemaも専門市場の有力企業として運営を続ける。ギフト機能や匿名配送は購入者の利便性を高めるが、国内の専門市場そのものは成熟する。10年後の市場を実質約326億円、Creemaのシェアを約47%と考える。年間実質流通額は約153億円で、現在からの数量増加は約3%にとどまる。増収の大部分は物価を含む取引単価と、周辺サービスの収益化から生まれる。
内部広告はAI検索などによる直接訪問の減少でクリック数が現在の9割となる。外部の広告制作・運用はAIエージェントが一部を代替し、案件相当数量は約7割となる。クリエイタープッシュのような操作画面中心の有料機能も契約数が減る。動画講座の有料購入は約7割に縮むが、イベントと購入型クラウドファンディングは実物の体験と商品を扱うため、限定的に拡大する。
売上高は約31.70億円、営業利益は約1.37億円、純利益は約1.05億円となる。2027年2月期の極めて低い利益からは回復するものの、買収や開発に使った資本に対する収益性は十分ではない。大規模な株主還元は行われず、利益は事業維持や機能改善に投入される。会社は存続するが、長く持つ株主が期待する高い増分資本利回りは実現しない。
- マーケットプレイス・InFRAME:数量 153(年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円))× 価格 0.13(実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積)→ 売上 19 億円・営業利益 5 億円。実質市場約326億円、シェア47%、数量1.03倍、名目売上化率1.28倍。
- Creema内の作品プロモーション広告:数量 1,575(年間有料広告クリック数(万回、推計))× 価格 25(1クリック当たり売上(円、推計))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。AI検索の影響でクリック数0.90倍、単価1.25倍。
- 法人・自治体向け広告制作・運用:数量 18.4(年間企画案件数(件、推計))× 価格 1,220(1案件当たり売上(万円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替によって案件相当数量0.68倍、単価1.22倍。
- 作家向け月額機能・早期振込:数量 7,200(年間平均の有料契約換算数(契約、推計))× 価格 11,552(1契約換算当たり年間売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面操作型サービスの契約数量0.80倍、単価1.08倍。
- HandMade In Japan Fes'等のイベント:数量 3.0(年間大型催事の開催回数(回))× 価格 1.03(1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。地方開催を含め年3回、単価1.24倍。会場費と運営費の増加で低利益率。
- Creema SPRINGS:数量 7.2(年間の実質支援流通総額(億円、推計))× 価格 0.25(実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。実質支援額1.20倍、名目収益率1.23倍。
- FANTISTの動画講座:数量 10,500(年間有料レッスン購入件数(件、推計))× 価格 6,008(1購入当たり認識売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替により有料購入件数0.70倍、単価1.18倍。
倍率:10年後のROEは1.05÷18.13=約5.79%で、資本コスト7.75%を下回る。資本コスト以下の事業に追加投資しても超過価値を生まないため、正当化PERは1÷k=12.9032倍を上限とする。余剰現金3.0億円から税後想定利息0.042億円を控除した事業純利益1.008億円に倍率を掛け、現金の戻り方75%による2.25億円を加える。時価総額は約15.26億円。
確率:商品と作家の基盤は残る一方、直近の市場停滞、検索への依存、価格競争、投資負担が続くという最も無理の少ない筋書きである。
やや悲観 28% 顧客の直接販売が増え、運営規模を縮小する 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 126 円9 億円
作家がInstagramや自社ECを使い、購入者と直接つながるようになる。Creemaは専門市場としての知名度を保つが、有力作家が独自の顧客基盤を持つほど、販売仲介の重要性が薄れる。実質専門市場は約294億円、Creemaのシェアは38%となり、年間実質流通額は約112億円まで減少する。売上化率は一部の有料機能で維持されるものの、作家の離脱を恐れて大幅な値上げはできない。
サイト内広告は利用者の減少に伴い縮む。法人向け広告制作はAIエージェントによる自動化が進み、提案・制作の仕事を従来ほど受注できなくなる。月額の作家向け機能や動画講座にも代替が及ぶ。対面イベントは続くが、会場費や人件費が重荷になり、小さな損失を生む。SPRINGSも競合から十分な案件を獲得できず採算が悪化する。
会社は広告宣伝費と開発費を削り、運営規模を縮小して黒字を守る。売上高は約20.72億円、営業利益は約0.52億円、純利益は約0.43億円となる。途中の構造改革損失がその後の小幅な黒字を相殺し、10年累計の利益はほぼ残らない。配当はなく、株主価値は縮小後の利益よりも換金可能な資産に支えられる。
- マーケットプレイス・InFRAME:数量 112(年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円))× 価格 0.11(実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積)→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。実質市場約294億円、シェア38%、数量0.75倍、価格1.14倍。
- Creema内の作品プロモーション広告:数量 1,225(年間有料広告クリック数(万回、推計))× 価格 22(1クリック当たり売上(円、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。有料クリック数0.70倍、単価1.12倍。
- 法人・自治体向け広告制作・運用:数量 14.9(年間企画案件数(件、推計))× 価格 1,100(1案件当たり売上(万円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用の案件相当数量0.55倍、単価1.10倍。
- 作家向け月額機能・早期振込:数量 5,400(年間平均の有料契約換算数(契約、推計))× 価格 10,696(1契約換算当たり年間売上(円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有料契約換算数量0.60倍、単価横ばい。
- HandMade In Japan Fes'等のイベント:数量 2.0(年間大型催事の開催回数(回))× 価格 0.90(1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。開催年2回、単価1.08倍だが会場費と人件費が利益を圧迫。
- Creema SPRINGS:数量 4.8(年間の実質支援流通総額(億円、推計))× 価格 0.23(実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。実質支援額0.80倍、価格1.15倍で小幅な赤字。
- FANTISTの動画講座:数量 7,500(年間有料レッスン購入件数(件、推計))× 価格 5,499(1購入当たり認識売上(円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料購入件数0.50倍、単価1.08倍。
倍率:ROE約3.8%はk7.75%に届かない。事業純利益0.43億円から余剰現金の税後想定利息を控除し、1÷kを掛けた稼ぐ力と、戻り方を反映した現金を合わせても、換金可能資産の床8.50億円より小さい。したがって床を採り、現在の自己資本11.30億円に対するPBR8.50÷11.30=0.75221239倍で表す。将来積み上げた自己資本へ床の倍率を掛けていない。
確率:下に寄せる理由:作品数の増加に反して流通総額が約3年間減少し、検索からの集客問題が解決していない。AI代替を受ける周辺事業も持つため、主力の競争力がさらに弱まる確率を相応に高くした。
悲観 17% 専門市場の地位を失い、資産価値が下支えする 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 116 円8 億円
作品の発見はAI検索やSNSが担い、購入は作家の自社店舗や総合ECへ移っていく。Creemaに出品する作家は残るものの、販売の中心は別の販路となり、買い手がCreemaへ直接訪れる理由が薄れる。国内専門市場の実質規模は約273億円まで縮み、Creemaのシェアは30%に低下する。年間実質流通額は約82億円となり、現在の半分強まで落ち込む。
サイト内広告のクリック数は大幅に減る。外部広告制作はAIエージェントへの置き換えと競争で採算を失い、作家向け月額機能の契約換算数量も約3分の1へ縮む。FANTISTの一般的なレッスン動画は無料動画や対話型のAI指導と競争し、採算が悪化する。SPRINGSとイベントも固定費を賄いきれず、事業の整理が進む。
会社は人員や販売促進費を削減し、事業の存続を優先する。それでも売上高は約13億円、営業損益は約0.19億円の赤字、純損益は約0.11億円の赤字となる。途中の損失と整理益がおおむね相殺され、評価の分母となる自己資本は現在と同程度にとどまると仮定する。配当も自社株買いもなく、株主に残る価値は収益の将来成長ではなく、預り金や借入金を差し引いた換金可能資産に依存する。
- マーケットプレイス・InFRAME:数量 81.8(年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円))× 価格 0.10(実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積)→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。実質市場約273億円、シェア30%、数量0.55倍、価格1.05倍。
- Creema内の作品プロモーション広告:数量 788(年間有料広告クリック数(万回、推計))× 価格 20(1クリック当たり売上(円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自社媒体の有料クリック数0.45倍、単価横ばい。
- 法人・自治体向け広告制作・運用:数量 10.8(年間企画案件数(件、推計))× 価格 1,000(1案件当たり売上(万円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替で案件相当数量0.40倍、単価横ばい。
- 作家向け月額機能・早期振込:数量 3,150(年間平均の有料契約換算数(契約、推計))× 価格 9,627(1契約換算当たり年間売上(円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料契約換算数量0.35倍、単価0.90倍。
- HandMade In Japan Fes'等のイベント:数量 1.0(年間大型催事の開催回数(回))× 価格 0.83(1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開催年1回、価格横ばい。固定費を負担しきれない。
- Creema SPRINGS:数量 3.0(年間の実質支援流通総額(億円、推計))× 価格 0.20(実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。実質支援額0.50倍、収益率横ばいで赤字。
- FANTISTの動画講座:数量 4,500(年間有料レッスン購入件数(件、推計))× 価格 4,684(1購入当たり認識売上(円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。有料購入件数0.30倍、価格0.92倍。
倍率:2036年時点の事業が赤字であるため、利益に永続成長の倍率を掛けない。売却可能資産から負債・預り金・整理費用を控除した清算可能価値7.80億円を床とし、現在の自己資本11.30億円に対するPBRを7.80÷11.30=0.69026549倍とする。中立およびやや悲観のPBRを下回る。将来の増加自己資本に床のPBRを掛けていない。
確率:AIによる直接探索、作家の自社販売への移行、広告事業の縮小、M&Aの不調が重なる構造的な負け筋である。短期の景気後退ではなく、専門プラットフォームとしての地位を失う10年に17%を配分した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マーケットプレイス・InFRAME
Creemaで売れた手作り作品の売買手数料を中心に、連携型ネットショップInFRAMEなどを含む。物理的な作品、決済、売買の信用が価値の中心である。
| 数量年間実質流通総額(2026年の価格で測る億円) | 価格実質流通額1円当たりの売上化率と名目単価指数の積 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 149 | 0.10 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 153 | 0.13 | 19 | 5 |
取り方:2026年2月期有報・決算説明資料の年間流通総額14,879百万円、マーケットプレイス売上1,455.846百万円を使う。14.55846÷148.79=9.7846%は会社の売上高を流通総額で割った実効売上化率であり、作家向けに提示する税込標準手数料10.67%とは収益認識の範囲が違う。数量は販売作品の実質取引金額、価格は名目の売上化率とし、物価を二重に数えない。営業利益3.64億円は会社未開示の仮置きで、全社共通費で相殺する。市場はCreema148.79億円とminne104億円を合計し、両社合算シェアを約80%と仮定して約316億円と推計した。現状のCreemaシェアは約47%。minne出典:https://regfis.com/reports/20260319_S100XS5R_E22101_null_010_030000_120
Creema内の作品プロモーション広告
作家が自らの作品をサイト内で目立たせるクリック課金型広告。自社の利用者と検索流入を商品とする媒体広告である。
| 数量年間有料広告クリック数(万回、推計) | 価格1クリック当たり売上(円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,750 | 20 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,575 | 25 | 4 | 1 |
取り方:会社は内部広告・外部広告・作家向け有料サービスを合わせたプラットフォームサービス売上7.16266億円を開示するが、内部広告だけのクリック数と売上は開示しない。そのうち3.50億円を内部広告と仮定し、課金単価を20円/クリックとすれば1,750万有料クリックとなる逆算推計である。会社の2018年の作品プロモーション案内にはクリック課金の仕組みがあるが、現在の実単価20円は未確認。AI分類は『自社媒体の広告枠』で、中立の数量は10年で0.90倍、価格は1.25倍とする。検索のAI要約による来訪減少を数量に反映する。https://www.creema.jp/news/439/detail
法人・自治体向け広告制作・運用
記事広告、企業との共同企画、地域振興の催しなど、外部顧客に提案・制作・運営を提供する。
| 数量年間企画案件数(件、推計) | 価格1案件当たり売上(万円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 27.0 | 1,000 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18.4 | 1,220 | 2 | 0 |
取り方:会社が示す外部広告の事例とプラットフォームサービス総売上7.16266億円から、外部広告の売上を2.70億円と仮定した。単価1,000万円の企画27件という数量は分析用の推計であり、受注件数の公式開示ではない。AI分類は『広告制作・運用・工数型』で、原稿・企画・運用の自動化を踏まえ、中立の案件相当数量を10年で0.68倍、単価を1.22倍、2036年以降の当該事業の名目成長を0%とする。物価3%を全額転嫁できるとは考えない。
作家向け月額機能・早期振込
フォロワーへのプッシュ通知を使う月額課金機能と、売上金の早期振込など作家向けの付加サービス。
| 数量年間平均の有料契約換算数(契約、推計) | 価格1契約換算当たり年間売上(円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 9,000 | 10,696 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7,200 | 11,552 | 1 | 0 |
取り方:プラットフォームサービス売上7.16266億円から内部広告3.50億円、外部広告2.70億円を控除した0.96266億円を、作家向け月額機能と早期振込の合算収益として仮置きした。クリエイタープッシュの公表料金は月額890円、年額10,680円であり、約9,000契約という数量に換算した。実際の契約数は非開示で、早期振込収入を契約換算した結果も含む。AI分類は『席課金・操作画面中心』で、中立の契約数量0.80倍、年間単価1.08倍、2036年以降の名目成長0%とする。AIエージェントが通知や販促操作を代行すれば有料画面の価値が下がる。
HandMade In Japan Fes'等のイベント
作家と来場者を対面で結ぶ催事。出展料、入場料、協賛、関連企画による売上を得る。
| 数量年間大型催事の開催回数(回) | 価格1開催当たり売上(億円、出展料・入場料・協賛込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 2.0 | 0.83 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 1.03 | 3 | 0 |
取り方:2026年2月期のイベントサービス売上1.66621億円を用いる。同期間にHandMade In Japan Fes'は夏と冬の2回開催されたため、1回当たり平均売上0.833105億円とした。売上は出展・入場・協賛を含む。2027年2月期は東京の会場都合で大型開催が減る計画であり、2036年の3回以上は地方展開が実現する条件付きの見立てである。会場費、人件費、設営費はインフレの影響を受ける。実物の催事なのでAIによる人月・席代替の型は直接適用しない。
Creema SPRINGS
作家やものづくり事業者の購入型クラウドファンディングを仲介し、成立した支援金額から利用手数料等を得る。
| 数量年間の実質支援流通総額(億円、推計) | 価格実質支援額当たり実効収益率と名目単価指数の積 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 6.0 | 0.20 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.2 | 0.25 | 2 | 0 |
取り方:会社の新サービス群売上1.96375億円はSPRINGSとFANTISTの合計であり、個別売上と支援総額は未開示である。SPRINGSのサービス利用・決済手数料の表示を参考に、合計で約20%の実効収益率を仮定し、売上1.20億円÷20%=年間実質支援額6億円と推計した。これは会社の実績として確認された支援額ではない。競合はCAMPFIRE、Makuakeなど。購入型クラウドファンディング全体の統一した市場範囲が得られないため、会社シェアは確定できない。実物の商品開発・購入を伴う仲介であり、広告制作の人月型を事業全体には適用しない。https://archive.creema-springs.jp/company
FANTISTの動画講座
キャンドルやフラワーアレンジメントなど、作家の技能を学ぶ有料動画と公式講座を販売する。
| 数量年間有料レッスン購入件数(件、推計) | 価格1購入当たり認識売上(円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 15,000 | 5,092 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10,500 | 6,008 | 1 | 0 |
取り方:新サービス群の合計1.96375億円からSPRINGSの推計1.20億円を除いた0.76375億円をFANTISTの推計売上とした。年間15,000購入とすると1件当たり認識売上は約5,092円である。受講料の全額を売上計上する講座と、作家への支払後の手数料相当を売上とする取引では定義が異なり、実際の購入件数・平均受講料は確認できない。公開されている2,700本超という数値は登録動画数であって年間購入数量ではない。AI分類は『研修・教育コンテンツの代替』で、中立の有料購入数量を0.70倍、価格を1.18倍、2036年以降の名目成長を0%とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替とサイトへの直接流入減少
法人向け広告の企画・制作・運用はAIエージェントが代行しやすい。作家向けの月額販促機能も、AIが購入者対応や販促を直接実行すれば、操作画面に対価を払う理由が弱まる。FANTISTの一般的な動画講座も、対話型AIや無料動画と競争する。さらにAI検索が作品情報を要約すれば、Creemaへの訪問数、内部広告のクリック数、販売仲介の取引量を同時に下押しする。実物作品そのものは代替されないため、事業ごとに影響を分けて評価している。
登録作品は増えるのに流通総額が減る
作品数の増加は継続的な販売の増加を意味しない。2023年2月期の流通総額168.34億円は、2026年2月期に148.79億円へ縮小した。大手検索エンジンの順位変更、広告費の上昇、なりすましメール、本人認証に伴う離脱が重なった。流入数と購入率が改善しなければ、新サービスの追加だけで取引を回復させるのは難しい。作品数ではなく、年間流通総額と購入者の継続率が堀の強さを表す。
預り金を自由な現金と誤認する危険
2026年2月期の現金預金は約30.15億円あるが、預り金約15.69億円、前受金約2.62億円、借入金約3.96億円がある。売り手へ支払うべき代金を株主の余剰現金に数えると、企業価値を過大評価する。2027年2月期上期には営業キャッシュフローも約1.83億円のマイナスとなった。現金残高が減っても負債も同時に減る場合は、資金流出の原因を分けて確認する必要がある。
7〜8億円規模のM&Aと資本配分
経営陣は現在の時価総額に比べて大きい買収を目指している。FANTIST取得に続く新たな収益源を持つ可能性はあるが、広告制作や動画教育など競争が強まる市場を高値で買えば、のれんの減損と固定費の増加が起きうる。買収額だけでなく、対象会社の実際の営業キャッシュフロー、支払条件、追加投資額、買収後の利益率を確かめる必要がある。買収を実行しただけでは、株主価値が増えたとは言えない。
手数料の値上げ力と作家の直接販売
Creemaは作品の発見と決済に価値を提供するが、優れた作家には複数の販路がある。標準販売手数料はminneと近く、強い値上げを重ねれば、Instagramや独立店舗へ購入者を誘導する動機が高まる。購入者と作家の関係が深まるほど、仲介サイトの必要性が下がる逆説もある。実効売上化率だけが高まり流通総額が縮む場合、それを価格決定力の向上と単純に評価してはならない。
低利益率、固定費、株式の希薄化
収益源は複数あるものの、会社全体では開発費、宣伝費、人件費の負担が大きい。2027年2月期は増収計画にもかかわらず営業利益の大幅減少を見込む。催事会場や事務所の賃借には固定的な支払いがあり、売上が落ちても同じ割合では減らない。また新株予約権に対応する潜在株式は約29.1万株あり、業績が好転した局面では行使による既存株主の希薄化も考慮する必要がある。
今後の分かれ目
- 年間流通総額が2期連続で実質増加し、購入者の直接流入も増えたら
- 検索順位の一時的な問題から脱しつつあると判断する。中立の実質流通額とシェアを見直し、やや楽観の確率を引き上げる。ただし広告費を増やしただけの成長でないか、利益率も同時に確認する。
- 売上化率は上昇しても、年間流通総額の減少がさらに続いたら
- 値上げ力ではなく、既存の作家と購入者から収益を取り尽くす過程である可能性を重視する。中立の数量を引き下げ、やや悲観と悲観の比重を増やす。
- 2028年2月期以降に営業利益率が継続して5%を上回り、営業キャッシュフローも黒字化したら
- 開発・広告投資の回収が始まった証拠となる。利益率と増分投下資本利回りを上方修正する。ただし一過性の広告費削減や会計区分変更による改善は除いて判断する。
- 7〜8億円規模のM&Aが決定したら
- 買収額だけでなく、対象会社の売上、営業利益、営業キャッシュフロー、のれん、借入や増資の条件を確認する。資本コストを上回る回収の根拠がなければ、成長期待ではなく悲観側の損失要因として評価する。
- AIによって外部広告の案件数やFANTISTの有料購入数が急減したら
- 工数型・教育コンテンツ型の事業について中立の数量を追加で引き下げる。サイト内広告への直接的な影響と区別し、同じ売上減少を資本コストにも重ねて反映しない。
- 実際の現金還元が始まり、余剰現金と作家向け預り金の区分も明瞭になったら
- 自由に使える現金の推計を改め、株主への戻り方を75%から100%へ引き上げる余地を検討する。利益率の改善を伴わない単発の配当だけでは、事業価値そのものを引き上げない。
見ておくもの
- Creemaの年間・四半期流通総額と前年同期比。登録作品数より優先して確認する。
- Creemaの実効売上化率、取引単価、購入率、流入数の推移。
- 検索エンジン経由の訪問とアプリ・メール・作家経由の直接流入の構成比。
- Creemaとminneの流通総額の相対変化、および専門市場の推計シェア。
- 内部広告の有料クリック数、外部広告の受注額、月額課金契約数の新たな開示。
- FANTISTの有料購入件数、SPRINGSの支援総額、新サービス群の損益。
- 2028年2月期以降の営業利益率と営業キャッシュフローの改善。
- M&Aの対象会社、取得価額、のれん、資金調達、統合後の投下資本利益率。
- 預り金・前受金を差し引いた実質余剰現金と、配当・自社株買いの実行。
- 新株予約権の行使・失効、発行済株式数と自己株式数の変化。
倍率と資本コストの決め方
株価198円と現在の時価総額13.35億円は、将来の事業数量・価格・利益率および正当化倍率を決めた後にだけ比較した。現在や同業のPER・PBRを10年後の倍率の根拠には使っていない。中立では事業のROEが資本コスト7.75%を下回るため、稼ぐ力の上限としてPER12.9032倍を使う。強気側もROEと増分資本利益率から正当化倍率を求め、余剰現金は税後利息を利益から除いて別に加えた。悲観側のPBRは現在の自己資本11.30億円を分母に使い、預り金・前受金・借入金・換金困難な無形資産を考慮した床を採用した。2026年2月期の現金預金約30.15億円をそのまま株主価値に足していない。日本の新リース会計基準により2029年2月期以降の貸借対照表の表示が変わりうるが、10年後の営業利益は家賃を営業費用として扱う現在との比較可能な形に統一した。資本コスト7.75%で10年後の時価総額を割り戻し、途中の還元を5年目相当で割り戻した確率加重価値は約10.15億円となる。これは現在の時価総額より約23.96%低く、結論の『やや割高』と整合する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の収益変動と純現金に関する品質調整の合計0.25%を加える。M&Aの成否、ガバナンス、SEO、AI代替は利益と確率で表し、個別の危険として資本コストに重ねない。