結論
マーキュリーは、分譲マンションの新築時価格表や図面を集め、その情報を不動産会社に売る企業である。筆者の結論は「割高」だ。新築分譲時にしか残せない記録には本物の希少性があるが、広告運用と受託開発はAIによる置き換えにさらされ、現金が株主へ届きにくい。5つの将来を重み付けした現在価値は約10.7億円で、基準時点の時価総額約16億円を3割強下回る。
良質なのは売上の約半分を占める定期課金の「サマリシリーズ」だ。大手分譲会社への浸透率は高く、解約率は2026年2月期で0.6%にとどまる。価格表やパンフレットを集め続けた30年は、生成AIが検索画面を作るだけでは埋められない差である。2026年4月には料金体系を変え、直後の決算で月額継続収入の増加が確認された。
しかし、会社全体が守られているわけではない。売上の3分の1を占める広告運用は、広告出稿の自動化が進むほど人手による提案の単価が下がりやすい。仲介会社向けのダウンロードも、資料を扱うAIが顧客の操作を代行できる。強いデータと弱い画面・人手を同じ成長率で扱うべきではない。
財務は純現金約8.6億円と堅いが、配当はなく、GA technologiesが過半数を握る。2026年2月期の純利益は投資有価証券売却などの特別利益を含み、そのまま10年先に延ばせない。10年後の中立では本業の利益率改善が進んでも、留保された資金の回収時期が読めず、今日の価格に必要な利回りは得にくいと判断する。
バリュー投資の観点から
長期保有の判断で最も評価したいのは、誰も簡単には過去に戻れないという事実だ。用地を買う時点で競合物件の新築時価格や間取りを知りたい顧客にとって、長年の原資料は調達に費用がかかる資産である。大手の開発会社が繰り返し使い、解約率が低い。これこそ価格競争の外側に出られる可能性を持つ部分だ。
ただし良い事業と良い株式は別である。広告運用の時間を売る部分はAIに置き換えられ、データの表示画面も会話型の検索に吸収されうる。勝ち筋は人がクリックする回数を守ることではなく、AIにも正確な原資料を供給する側に立つことだ。サマリ以外の収益まで同じ堀があるように値付けすると、企業全体を高く買いすぎる。
オーナーの取り分を考える時には、開発費の会計上の償却と実際の更新投資を分ける必要がある。2026年のソフト償却費低下で営業利益が改善しても、データを集め直し機能を更新する支出が永遠にゼロにはならない。過去の追加開発が資本コストを大きく超える利益を生んだと断定できる資料も乏しい。新規領域への投資は賃貸査定サービスの有料利用が実際に増えるかで評価したい。
もう一つは資金の配り方だ。会社は現金に余裕があるが、配当を始めていない。親会社に過半数があり、少数株主が清算や配当を命じることも難しい。帳簿にある現金をそのまま株主のポケットにある金として評価しない理由はここにある。独自データの堀は信じられるが、その堀から10年間で受け取れる価値と現在の代金には、十分な安全域がまだない。
何で稼ぐ会社か
事業は法律上「不動産マーケティングソリューション」の単一セグメントだが、稼ぎ方は三つに分かれる。2026年2月期のプラットフォーム事業は約10.07億円で売上の63%を占めた。新築マンションの用地取得と価格設定に使う「サマリシリーズ」、中古仲介向けの資料ダウンロード、外部サイト向けのデータ提供を束ねている。後二者は利用・納品に応じて料金が変わり、定期課金とは質が違う。
最大の柱であるサマリネット・リアナビの年間定期売上は約8.37億円である。平均282社から契約料を得ており、1社当たり年約297万円に相当する。大手の開発担当者は、周辺マンションの発売価格、売れ行き、間取りから用地の採算を検討する。独自の一次資料を継続的に追加することで、顧客の調査手順に深く入り込んでいる。
中古マンション向けのデータダウンロードは、約3,662社の契約先から年間約0.91億円を得る。前年の大型単発案件が消えたため、取引先数が増えても売上は大きく減った。新築分譲当時の図面や価格表を確認できることは仲介現場に有用だが、仲介向けサービス全体を安定収入と呼ぶのは早い。データ提供・APIなどの残りは、プラットフォーム売上からの残差で約0.79億円である。
デジタルマーケティング事業は約5.21億円の売上を持ち、検索広告の運用、口コミ型媒体への掲載、サイト制作で集客を支える。ほかに約0.75億円のシステム受託開発やダイレクトメール等がある。広告案件の数と単価は非開示であり、試算に使う案件数は逆算した仮の数量と明記した。独自データを持つからといって、広告制作の時間まで独占できるわけではない。
優良さと弱いところ
最大の堀は、AIの機能ではなく原資料の所有と入手経路にある。新築時の価格表やパンフレットは販売期間が終わると再取得しにくい。2026年2月末の収録は約6.6万棟、約289万戸に達する。会社は2025年度の新築供給上位20社のうち19社がサービスを利用すると説明しており、重要顧客への浸透も深い。
解約率0.6%と、30年以上の独自資料の蓄積は、定期課金部分を「独自データが堀」の型に区分できる二つの証拠だ。さらに、2026年4月の料金改定後に月額継続収入が伸びたことは値上げ力の手掛かりになる。ただし改定後の通期解約率と顧客単価の定着をまだ確認できず、何度でも物価以上の値上げが通るとまでは言えない。
強さは全事業に及ばない。東京カンテイは全国の広い物件・取引事例データを持ち、レインズには業者間の公的な流通情報が集まる。マーキュリーの歴史的な新築販売資料が貴重でも、顧客の用途ごとに代替手段はある。広告代理業務と受託開発には固有の参入障壁が薄いので、会社全体の堀は「普通」と評価する。
2026年2月期の見かけのROEは約15%だが、投資有価証券売却益等で純利益が増えた影響が大きい。営業利益は前年より大きく落ちた。2027年2月期中間期は料金改定とソフト償却費の減少で回復したが、再投資の利回りは長期の開発費や顧客維持費まで含めて評価すべきだ。豊富な現金は倒れにくさを高めても、使われず積もれば株主資本利益率を下げる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
分譲マンションは戸数が増え続ける市場ではない。2025年の全国新築発売戸数は約5.99万戸、首都圏は約2.20万戸であり、建設費上昇で供給の絞り込みが続く。首都圏では2026年上半期も発売が約7,989戸にとどまった。新築供給が減ると、デベロッパーから新しい顧客社数を大幅に獲得する余地は小さい。むしろ土地価格の検証を精密にする必要が増え、1社当たりのデータの価値が残る。
会社の成長可能性資料が引用する不動産テックの事業者向け市場予測は、2030年度で5,180億円に達する。しかし建物管理や仲介支援なども含む広い統計であり、マンションの歴史資料に対する支出とは違う。
マンション関連の情報提供市場は、売買総額とは区別すべきだ。会社のサマリシリーズは282社の契約で年約8.37億円を売り、新築供給上位20社中19社の導入を公表する。ただし業界全体の情報サービス支出と東京カンテイ等の当該売上は開示されず、金額ベースのシェアを確定できない。上位顧客の導入率95%を市場全体の売上シェアに読み替えない。競争の中心は資料の網羅性、更新の速さ、再利用できる履歴である。
中古仲介では、会社が三大都市圏に約3.6万の積極的な対象事業者を推計する。データダウンロード契約3,662社は社数で約10%に相当する。契約先にはまだ広がる余地がある一方、東日本レインズが報告した2025年の首都圏中古マンション成約約4.91万件という実需の範囲からは自由になれない。仲介会社の統廃合とAIの資料作成が進めば、IDや1件ごとの取扱料には下押し圧力がかかる。
広告の大きな市場だけを見て成長を予測するのも誤りだ。電通による2025年の国内ネット広告費は約4.05兆円だが、マーキュリーが扱うのは新築分譲の販売促進という細い領域だ。電通デジタル、サイバーエージェント、セプテーニ、顧客自身の運用部門などと競う。既存のプラットフォームと一体提案する利点はあるものの、AIの広告最適化で制作・運用手数料が減れば、市場全体の拡大が同社の収益増加を保証しない。
資本政策と M&A
2024年8月、GA technologiesの公開買付けが成立し、同社は議決権の過半数を得た。上場は続いており、2026年10月15日の最新短信に継続企業の前提に関する注記はない。GAグループのイタンジとの賃貸データ連携や、他のグループ企業への情報提供は成長機会になる。一方、親会社との資金取引や関連当事者間の料金が少数株主にも有利か、継続して点検する必要がある。
会社は創業以来の無配を続け、2027年2月期も無配を予想する。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額について中期的な数字の約束はない。2026年10月修正後の2027年2月期単年度予想は売上高17.8億円、営業利益1.6億円、純利益1.1億円である。ROEや3~5年の到達目標も数値で約束していない。
2024年度には約8万株、約0.46億円の自社株を取得した一方、その後には新株予約権の行使や譲渡制限付株式報酬で自己株式を処分した。買い戻しの持続的な実績とは言いにくい。2026年2月期末の上位10株主合計持分は約82%と高いが、直近5年に買い戻し実績があるため、余剰現金の戻り方を最も厳しい0.5とはしない。無配が続き、5年間の大幅な純減もないため、資金の価値は帳簿の75%として扱う。
第5・8・11・12・13回の新株予約権は2026年2月期末に合計21万400株分が残る。行使条件を満たす成長局面では既存株主の持分が約7%薄まる可能性があり、払い込み資金と希薄化を合わせて勘案した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の過去30年の蓄積は、最新のAIで簡単に複製できない。新築時の図面、価格表、販売経緯は、販売期間が終われば二度と同じ形で集められないことが多い。新築供給上位20社中19社への導入は、新規顧客を伸ばしにくい裏返しではあるが、競合に奪われにくい強力な顧客基盤でもある。解約率0.6%と価格改定後の継続収入増加を見れば、単なる席貸しソフトと同じように扱うのは過度に悲観的だ。
賃貸領域への拡張には現実の強みがある。賃料査定DXは保有データを応用しており、GAグループのイタンジとの連携も計画されている。中古仲介向けの契約先は約3,662社に対し、会社が想定する積極的な対象は約3.6万社ある。基盤となる記録が市場の他社製品の裏側で使われるようになれば、画面を操作する人が減ってもデータ供給から収益を得られる。
一方、会社に金融負債がほぼなく、現金の大きさが新規開発の失敗を吸収する。親会社による買収後のグループ内販売は、広告のクロスセルとともに拡大できる。実際に2027年2月期中間期には利益率が持ち直した。安定したサマリの契約料を積み上げ、少ない増分投資で売上が利益になる体質を作れれば、長期的なオーナー利益は現在の利益を相応に上回る。
慎重な見方
歴史的な原資料に価値はあっても、値付けできる市場は限られる。国内の新築マンション発売戸数は減少傾向であり、会社の大手デベロッパーへの導入は既に高水準だ。新築顧客社数は2025年2月期の286社から2026年2月期には282社に減った。解約率が低くても、契約先が大幅に増える段階は過ぎた可能性がある。新築マンション用地の取得企業が減れば、価格改定が通っても基盤の規模は横ばいとなりやすい。
データ自体も唯一ではない。東京カンテイは幅広いマンションストックと取引事例を持ち、レインズは流通業者の成約情報を集める。しかもパンフレット画像などの利用には提供元との契約が必要だ。データの権利条件が変われば、長年集めた資料の一部を使えなくなる。AIが検索、帳票作成、間取り作成、広告運用を自動化するほど、データ閲覧以外の有料機能を抱き合わせる効果は小さくなる。
2026年2月期の純利益が伸びたのは、有価証券売却など一時的な利益もあったためだ。本業の営業利益は大きく減った。直後の回復もソフトウエア償却費の低下と値上げに一部依存し、同じ改善を毎年重ねられない。親会社と大株主への持分集中は、配当や独立した資本配分を少数株主が要求しにくい構造を作る。営業利益の伸びが弱いまま現金をためる会社なら、帳簿上のROEが低下し、今日の時価総額に必要な複利成長を達成しにくい。
どちらに重みを置いたか
主力の独自データについては強い見方を採るが、会社全体の利益では慎重な側を重くする。2026年4月の値上げ成功と低解約率を中立のサマリ単価に反映し、広告と受託だけをAI代替で縮めた。確率は上側32%、下側40%であり、これはAIの縮小を二度罰するためではない。過半数株主の存在、無配、スポット収益の不安定さ、競争するデータ業者という会社固有の不確実性による。10年後の加重価値を現在に引くと株価との差は約マイナス34%で、割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 815 円22 億円(+ 還元の換算額還元の合計 8 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 401 円11 億円、今との差 −33.2%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 1,592 円42 億円 | 35 円1 億円 | +171.1% | +10.6% | 195 円5 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,220 円33 億円 | 17 円0 億円 | +106.2% | +7.6% | 247 円7 億円 |
| 中立 | 28% | 997 円27 億円 | 0 円0 億円 | +66.1% | +5.2% | 279 円7 億円 |
| やや悲観 | 25% | 270 円7 億円 | 0 円0 億円 | −54.9% | −7.7% | 68 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 225 円6 億円 | 0 円0 億円 | −62.5% | −9.4% | 34 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 815 円22 億円 | 8 円0 億円 | +37.2% | +3.2% | 823 円22 億円 |
今の株価時価総額 600 円16 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 歴史データがAI経由でも収益になる 利益 3 億円 · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,592 円42 億円
サマリ契約の継続に加え、料金体系の定着と賃貸査定の有料化が進む。GA technologies傘下のイタンジや不動産ポータルへのAPI提供を通じ、原資料そのものの価値が顧客の自動化後も認識される。大型の新規顧客増は見込まず、既存282社の維持と1社当たり単価の引き上げを収益の柱とする。AIで広告制作の工数が減る中でも、物件の一次情報を生かした提案力によって広告案件の流出を小さく抑える。
ソフトの償却費が落ち着き、追加開発がより小さい投資で収入に結びつく。過去の新築資料を確保できる取引先との関係を守り、東京カンテイなどとの競争で独自の用地判断用途を失わない。親会社との取引は独立当事者間の条件で管理され、わずかながら株主還元が始まる。売上は物価の上昇分を含めて増え、本業の利益率が大きく改善する。ただしAI商材の既存売上が数字で実証されたわけではないため、広告や受託の仕事量が現在より増える前提にはしない。
役職員向け予約権の行使で最大約21万株相当の希薄化が生じるが、払い込み約1.36億円は会社の資金として残る。会社全体の価値と既存株主の取り分を分けて評価する。
- サマリシリーズ・リアナビの定期契約:数量 282(定期契約先の平均社数(社))× 価格 0.04(契約1社当たり年間ARR(億円/社))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。大手デベロッパーの契約数維持、独自資料の料金は名目1.34倍まで上昇
- 中古仲介向けデータダウンロード:数量 3,662(ダウンロードサービスの平均契約社数(社))× 価格 0.00(契約1社当たり年間売上(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ダウンロード契約社数は現状維持、単価は名目1.15倍
- 法人向けデータ提供・API等:数量 19.6(年間の法人データ提供契約口数(口・推計))× 価格 0.05(1契約当たり年収入(億円/口・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。データ契約口数は推計ベースでほぼ維持
- 不動産販売向けデジタル広告:数量 238(年間の広告運用・掲載案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり受取売上(億円/件・推計))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。広告案件数は0.95倍までの微減に限定
- システム受託開発・ダイレクトメール等:数量 57.0(受託・配布等の年間案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託・DMの案件数は0.95倍としAIの成長特需は認めない
倍率:会社全体の利益2.698億円から、10年後の余剰現金13.5億円の税後利息0.189億円を外して事業利益を求める。事業資本は自己資本26.5億円から余剰現金を控除するので事業ROEは19.3%。k7.50%、全社のAI構成を踏まえたg_long1.0%、普通の堀でRONICは13.4%となり、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.237倍。現金の戻り方0.75で10.125億円を別に加算する。現在の市場PERとは無関係で、AI縮小をkの寿命と重複させない。
確率:特定資料の希少性と料金改定が長期間続くことを前提とするが、成熟した新築顧客の大幅な増加を要しないため、可能性はある。ただし広告収益まで維持し賃貸展開を利益に結ぶ必要があり12%にとどめる。
やや楽観 20% データ中心へ収益の重心が移る 利益 2 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,220 円33 億円
新築マンションの開発会社は数を増やさないが、原資料を含む定期契約はほぼ残る。値上げによって増えた収入を新しい資料の取得と検索機能の改善に回し、サマリの定着率を維持する。中古データも一部の仲介会社で継続的に使われ、親会社グループへのAPI提供が安定収入となる。一方、広告運用はAIと顧客の内製化で件数が細るため、プラットフォームの伸びが会社の増益を支える。
賃貸査定DXは導入先を広げるが、未知の大型市場を一気に独占するほどには至らない。東京カンテイの広い事例データは残り、用地取得に必要な昔の販売価格表での差別化を守る。新規開発費の一部は将来も必要なため、ソフト償却費の低下をすべて永久利益とは扱わない。無配方針は大きく変わらないものの、少額の株主還元が始まり、蓄積する現金の一部が株主へ届く。
役職員向け予約権の行使で最大約21万株相当の希薄化が生じるが、払い込み約1.36億円は会社の資金として残る。会社全体の価値と既存株主の取り分を分けて評価する。
- サマリシリーズ・リアナビの定期契約:数量 276(定期契約先の平均社数(社))× 価格 0.04(契約1社当たり年間ARR(億円/社))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。既存サマリ契約は98%残り値上げは名目1.32倍
- 中古仲介向けデータダウンロード:数量 3,296(ダウンロードサービスの平均契約社数(社))× 価格 0.00(契約1社当たり年間売上(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。仲介顧客は0.90倍、データの希少性で単価1.15倍
- 法人向けデータ提供・API等:数量 18.0(年間の法人データ提供契約口数(口・推計))× 価格 0.05(1契約当たり年収入(億円/口・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。法人向けデータの契約口数0.90倍
- 不動産販売向けデジタル広告:数量 205(年間の広告運用・掲載案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり受取売上(億円/件・推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。広告運用案件はAI代替で0.82倍
- システム受託開発・ダイレクトメール等:数量 51.0(受託・配布等の年間案件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託・DM案件0.85倍
倍率:会社全体の利益2.029億円から、10年後の余剰現金12億円の税後利息0.168億円を外して事業利益を求める。事業資本は自己資本24.1億円から余剰現金を控除するので事業ROEは15.4%。k7.50%、全社のAI構成を踏まえたg_long1.0%、普通の堀でRONICは11.4%となり、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.040倍。現金の戻り方0.75で9.000億円を別に加算する。現在の市場PERとは無関係で、AI縮小をkの寿命と重複させない。
確率:サマリの契約社数がほぼ維持される事実と2026年4月の改定を信頼する。広告減少を抑え、データ供給の伸びを確保する必要があるので20%とする。
中立 28% 独自資料は残り、広告の仕事量が減る 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 997 円27 億円
サマリの取引先は既に大手の大部分を押さえており、10年で平均顧客数は微減する。原資料を持つ強みと低解約率は維持され、物価高と機能追加の一部を料金に転嫁できる。だが東京カンテイなどが対象領域を広げるため、独占的な値上げは続かない。中古仲介向けダウンロードは対象会社への浸透余地が残っても、AIが図面取得や資料の説明を代行し、契約と従量利用の合計が目減りする。
広告の運用や制作はAIの最適化と内製化が進み、案件数は現状の約65%になる。会社は賃貸査定DXの新規開発を続けるが、売上の巨大な新しい柱になるとはまだ考えない。ソフト償却費の軽減と既存契約の改定が本業利益率を押し上げ、販管費とデータ整備費は物価に沿って増える。2026年の特別利益は繰り返さず、株主への配当も引き続き行わない。独自データを守る強さと、広告の収縮が釣り合う10年になる。
- サマリシリーズ・リアナビの定期契約:数量 268(定期契約先の平均社数(社))× 価格 0.04(契約1社当たり年間ARR(億円/社))→ 売上 10 億円・営業利益 4 億円。独自資料型の中立:顧客数0.95倍、単価1.28倍
- 中古仲介向けデータダウンロード:数量 2,930(ダウンロードサービスの平均契約社数(社))× 価格 0.00(契約1社当たり年間売上(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI情報サービス型の中立:契約社数0.80倍、単価1.12倍
- 法人向けデータ提供・API等:数量 17.0(年間の法人データ提供契約口数(口・推計))× 価格 0.04(1契約当たり年収入(億円/口・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI情報サービス型の中立:契約口数0.85倍、単価1.12倍
- 不動産販売向けデジタル広告:数量 163(年間の広告運用・掲載案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり受取売上(億円/件・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI広告運用型の中立:案件数0.65倍、単価1.00倍
- システム受託開発・ダイレクトメール等:数量 39.0(受託・配布等の年間案件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI人月型の中立:案件数0.65倍、単価1.20倍
倍率:会社全体の利益1.534億円から、10年後の余剰現金11億円の税後利息0.154億円を外して事業利益を求める。事業資本は自己資本22.6億円から余剰現金を控除するので事業ROEは11.9%。k7.50%、全社のAI構成を踏まえたg_long1.0%、普通の堀でRONICは9.7%となり、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.798倍。現金の戻り方0.75で8.250億円を別に加算する。現在の市場PERとは無関係で、AI縮小をkの寿命と重複させない。
確率:既存データの低解約率を尊重する一方、広告・従量情報サービスにはAI代替の中立的な数量減を織り込む。賃貸事業の大成功を既定にしない中心値として28%とする。
やや悲観 25% 新価格が定着せず広告と仲介が細る 利益 0 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 270 円7 億円
分譲マンション供給の減少に顧客統廃合が重なり、サマリの契約数は現在の86%に下がる。価格改定後も原資料の固有性は残るため値崩れまでは起きないが、大手開発会社が調査を内製化し、支払う単価の上昇には限界が出る。中古仲介会社はレインズ、東京カンテイ、AIの検索を組み合わせて資料を取得するようになり、従量ダウンロードの利用頻度が落ちる。
デジタル広告は顧客自身が生成AIで広告文、予算配分、配信改善を行うため、案件数が約半分となる。受託開発も人員工数を取り戻せず、会社の共通固定費が収益に対して重くなる。賃貸査定DXは採用されても高い単価を取れず、GAグループとの販売シナジーは限定的だ。過去の利益を蓄えた現金で大きな資金繰り不安は避けるが、利益成長を前提とした評価はできない。
- サマリシリーズ・リアナビの定期契約:数量 243(定期契約先の平均社数(社))× 価格 0.03(契約1社当たり年間ARR(億円/社))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。顧客統廃合で契約数0.86倍、単価1.15倍
- 中古仲介向けデータダウンロード:数量 2,197(ダウンロードサービスの平均契約社数(社))× 価格 0.00(契約1社当たり年間売上(億円/社))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約社数0.60倍、年間単価は名目横ばい
- 法人向けデータ提供・API等:数量 14.0(年間の法人データ提供契約口数(口・推計))× 価格 0.04(1契約当たり年収入(億円/口・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。法人契約口数0.70倍
- 不動産販売向けデジタル広告:数量 138(年間の広告運用・掲載案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり受取売上(億円/件・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。広告の内製化で案件数0.55倍・単価0.90倍
- システム受託開発・ダイレクトメール等:数量 33.0(受託・配布等の年間案件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託案件0.55倍
倍率:事業ROEは(0.269−0.098)÷(17.1−7)で約1.7%と資本コスト7.5%を下回る。この場合の上限PERは1/k=13.33倍であり、顧客減と広告案件減により稼ぎが細るため11.5倍を使う。余剰現金7億円は税後利息を二重計上せず、戻り方0.75の額を別に足す。換価資産の床6億円も下回らない。
確率:新築顧客の伸びが既に止まっていることと、広告収益の置き換えの速さを重視する。ただし原資料は生き残るので完全な事業消滅とはせず、25%の現実的な下振れとする。
悲観 15% 資料の差別化が失われ事業を縮小 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 225 円6 億円
競合のデータ蓄積と不動産会社の自前のAI基盤が進み、サマリもコスト削減の対象になる。新築供給の減少に開発会社の統合が重なり、定期課金の取引先は現在の65%まで減る。パンフレット画像の利用契約条件が厳しくなり、一部資料の提供も難しくなる。中古仲介会社はAIや他社の情報網へ移り、ダウンロードとAPIの売上が大きく細る。広告運用はAIによる自動化と価格競争で案件と単価がともに減る。
人員の再配置が遅れ、会社の共通費は売上減少ほど早く削れない。事業は10年後に営業赤字となり、それまでの利益が後半の損失と再編費用に食われる。GAグループの親会社との取引が増えても、独立少数株主への還元は始まらない。直ちに倒産する筋書きではなく、蓄積現金と回収可能債権を活用して縮小する局面だ。会社の現在の自己資本を基礎に、実際に現金化できる資産を床とする。
- サマリシリーズ・リアナビの定期契約:数量 183(定期契約先の平均社数(社))× 価格 0.03(契約1社当たり年間ARR(億円/社))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。データの希少価値が損なわれ契約数0.65倍
- 中古仲介向けデータダウンロード:数量 1,648(ダウンロードサービスの平均契約社数(社))× 価格 0.00(契約1社当たり年間売上(億円/社))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約社数0.45倍、従量単価0.82倍
- 法人向けデータ提供・API等:数量 10.0(年間の法人データ提供契約口数(口・推計))× 価格 0.04(1契約当たり年収入(億円/口・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。法人契約口数は半分、単価0.90倍
- 不動産販売向けデジタル広告:数量 87.5(年間の広告運用・掲載案件数(件・推計))× 価格 0.02(1案件当たり受取売上(億円/件・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告案件数0.35倍、単価0.80倍
- システム受託開発・ダイレクトメール等:数量 27.0(受託・配布等の年間案件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり売上(億円/件・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。人月受託の案件数0.45倍
倍率:2036年の赤字を継続利益として資本還元価値に掛けることはできない。現時点の自己資本10.6億円を分母とし、実際に換価できる純現金・回収債権の6.0億円だけを床とする。10年後の赤字を含む累積利益と損失は概ね相殺すると想定し、未来の増加純資産へPBRを掛けていない。過去の市場PBRではなく換価価値である。
確率:過去の販売原資料まで無用になるには、競争激化と顧客統廃合、契約条件悪化が重なる必要があるため15%。ただし後半の赤字化は、小さな会社の固定費負担で起こりうる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
サマリシリーズ・リアナビの定期契約
新築分譲時の販売価格・間取り・販売推移を集め、開発会社の用地判断と企画に提供する。AIリスクでは低解約率と独自資料の二つの証拠がある「独自データ・記録の正本」型。
| 数量定期契約先の平均社数(社) | 価格契約1社当たり年間ARR(億円/社) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 282 | 0.03 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 268 | 0.04 | 10 | 4 |
取り方:有報の2026年2月期ARR836,522千円と平均282社から算出した。8億3652万円÷282社=1社当たり年約297万円。開示の月額平均顧客単価252千円はサマリネットだけの別定義であり、ここには直接乗じない。上位20開発事業者のうち19社に導入、解約率0.6%、65,656棟の過去データが堀の証拠。数量は社数、価格は契約料で物価と追加ライセンスを含む。事業別営業利益は非開示であり、5区分のop_okuはモデル上の仮配賦で合計2.36億円となる。全社共通費を約1.61685億円控除した営業利益0.74315億円が、出発点の決算実績である。
中古仲介向けデータダウンロード
新築当時の図面や価格表の取得に応じて課金する従量型。AIリスクでは情報・調査サービスと画面利用に近い型で、サマリと同じ低解約率は証明されていない。
| 数量ダウンロードサービスの平均契約社数(社) | 価格契約1社当たり年間売上(億円/社) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 3,662 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,930 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:有報では2026年2月期の対象売上91,038千円、平均顧客3,662社。約24,860円/社/年で逆算する。前年321,169千円には大型一過性契約があり、伸び率を外挿しない。会社推計の対象3万6000仲介事業者に対する契約社数の浸透率は10.2%だが、売上シェアではない。10年中立はAIにより利用件数・従量単価が削られる。
法人向けデータ提供・API等
不動産ポータルなどへの独自データ供給その他のプラットフォーム収益。契約先数も解約率も非開示であり、AIリスクでは慎重に情報サービス型とする。
| 数量年間の法人データ提供契約口数(口・推計) | 価格1契約当たり年収入(億円/口・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 20.0 | 0.04 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 0.04 | 1 | 0 |
取り方:プラットフォーム売上1,006,816千円からサマリARR836,522千円とダウンロード91,038千円を引いた79,256千円の残差。会社は契約口数を出さないので仮に20口、約396万円/口とした推計にすぎない。複数サービスの混在を含み、実際の契約件数や市場シェアを示さない。
不動産販売向けデジタル広告
リスティング広告運用、口コミ型メディアへの広告掲載、物件サイト制作を受託する。AIリスクでは広告の制作・運用・媒体調達の型。
| 数量年間の広告運用・掲載案件数(件・推計) | 価格1案件当たり受取売上(億円/件・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 250 | 0.02 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 163 | 0.02 | 3 | 0 |
取り方:有報のデジタルマーケティング売上520,545千円を使う。内訳はリスティング広告約456百万円、CGM広告約37百万円、サイト制作約26百万円。掲載案件数や顧客単価は非開示のため、年250案件×約208万円の便宜的な仮定で数量と単価を分離した。全国の広告市場を当社のアドレサブル市場と混同せず、AIによる広告運用の内製化で件数と手数料に減速を入れた。
システム受託開発・ダイレクトメール等
受託開発、データを利用したダイレクトメールその他。売上の過半は開発受託で、人月・工数型が主である。
| 数量受託・配布等の年間案件数(件・推計) | 価格1案件当たり売上(億円/件・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 60.0 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 39.0 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:有報のその他売上74,634千円を用い、便宜的に年60案件、約124万円/件とした推計。開示の主な内訳は受託開発47百万円、DM22百万円、その他約3百万円で、件数は公表されていない。中立数量はAI代替の人月・工数型に合わせて現状の65%とし、物価3%を下回る名目単価に抑える。
リスクと懸念
AIエージェント代替
広告運用約5億円は検索・入札・制作・効果検証の自動化に弱い。中古仲介向け資料ダウンロードや受託開発も、利用者が席や人月を買う必要を減らす。サマリの原資料そのものは残るとしても、会社全体の数量と料金を一律にインフレ率で伸ばすことはできない。
希少データの契約条件と競合
分譲時パンフレットや図面の利用には提供元との契約があり、解消や条件変更があれば原資料を商品にできなくなる。東京カンテイの全国データやレインズの取引情報も重要な代替情報源であり、元データの優位とシステム販売の優位は同じではない。
新築マンション供給と顧客集中
2025年の首都圏の新築発売戸数は減少し、2026年上半期も弱い供給が続いた。上位20社中19社を顧客にしている強みは、新たな大手を獲得する余地が少ないことも意味する。デベロッパーの統合と企画部門の内製化が進めば、会社数と利用ID数が減りうる。
親会社支配と資本配分
GA technologiesの持分は過半数で、上位10株主の合計は約82%に達する。グループ内でのデータ取引や資金の融通に利点はあっても、価格条件と現金の使途を少数株主が決めることは難しい。無配のまま現金が増えると、帳簿の資産がそのまま投資家の現金収入になるとは限らない。
一過性利益とソフト償却の谷
2026年2月期の純利益には投資有価証券売却等の特別利益が含まれる。2027年2月期は過去のソフト開発の償却が減るため営業利益が改善するが、機能更新や新データ取得には現金支出が続く。見かけの利益率が上がっても増分の投下資本利益率が保てるかは別問題だ。
小型株の流動性と新株報酬
上場株数と大株主の保有集中から流通する株が少なく、想定した価値で売れる保証はない。譲渡制限付株式報酬や新株予約権による自己株式処分は、既存株主の持分にも影響する。2026年の発行済株と自己株は最新の中間短信で照合したが、将来の追加交付は未確定である。
今後の分かれ目
- サマリの料金改定後2期続けて解約率1%未満、ARRが年5%以上伸びたら
- 独自データの価格決定力がより確かなものとなる。サマリの10年単価と利益率を上側へ見直し、記録の正本型が会社全体を占める割合を再確認する。
- サマリの平均顧客数が260社を割り、解約率が年5%を超えたら
- 堀が縮んでいる兆候とみて中立の契約社数と単価を下げ、やや悲観・悲観への確率配分を大きくする。
- データダウンロードの契約先が4千社を超えても売上が増えなかったら
- 契約数だけでは収益性が高まらず、AIによる従量利用の減少が上回ると判断する。仲介向け単価を下方修正する。
- 2027年2月期以降の広告売上と案件数が連続して減少したら
- 広告のAIエージェント代替が想定より早いと評価し、件数の縮小を前倒しする。ただしサマリのデータ価値まで一緒に減らさない。
- GAグループ向けデータ連携の収入・契約数が単独開示で増えたら
- API事業の継続収入と資本効率の証拠を確認し、その他データの数量と堀を上方修正する。グループ間取引条件も点検する。
- 配当方針または定量的な自己株取得を発表し実行したら
- 資金の株主への戻り方を再評価する。過去5年間の総還元実績が十分なら、余剰現金の回収係数を0.75から1.0へ改める。
見ておくもの
- サマリネット・リアナビの平均顧客数、ARR、平均顧客単価、解約率(新料金後の実績)
- データダウンロード売上高と契約社数、スポット案件の比率
- 広告運用とCGM広告の売上、CGM掲載物件数、広告案件単価
- 賃料査定DXとITANDI BB等とのAPI連携による有料契約数・収入
- 営業利益とソフト償却費、新規開発費、営業キャッシュフローの差
- GA technologiesとの取引条件、持分比率、配当・自社株買いの実績
- 宅建業者と開発会社の統合、全国新築供給戸数、首都圏中古成約件数
倍率と資本コストの決め方
時価総額に合わせた売上や倍率の逆算はしない。2026年2月期の会社公表の売上内訳、平均顧客数、ARR、仲介契約社数を出発点とし、非開示の広告案件数と法人データ契約数だけは仮定と明記した。中立の数量は独自データ0.95倍、情報サービス0.80~0.85倍、広告と人月0.65倍と区別し、物価は単価にのみ入れた。
倍率は資本コスト7.5%、10年より先の成長率1%、現金を控除した事業ROE、堀の残存率2分の1から計算した。純現金のうち事業に必要な額を除き、将来余る分にも回収係数0.75を掛ける。悲観の床は換価資産6億円で測る。新リース会計でも、事務所家賃を費用として比較しBS両建てを利益と誤認しない。新株予約権の潜在21万400株は強気2筋書きで全数、中心で一部、悲観側でゼロと区分し、会社全体の利益・時価総額ではなく最後の既存株主帰属価値にだけ希薄化係数を適用した。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク3%+株式リスク4.5%を起点とし、循環・値決め力・財務・寿命の調整を相殺した。独自データを失う個別の危険は確率と利益に表す。