結論
CINCは、検索データを読む業務ソフト「Keywordmap」と、検索集客・デジタル施策のコンサルティングで稼ぐ会社である。筆者の判断は割高だ。現金を厚く持つことは魅力だが、商品を長く使い続けてもらう力が弱まり、10年後の利益を高い確度で見通せないからである。2025年10月期は売上高18.2億円に対して営業赤字1.1億円だった。翌期の第3四半期累計は黒字に戻ったものの、売上は前年同期比8.5%減り、利益回復の主役は外注費や広告費の削減だった。
中心商品Keywordmapの契約社数は、2024年7月の372社から2026年7月には292社まで減った。月次の売上解約率も直近6カ月平均で3.6%と高い。長期保有に値する継続課金型の会社であれば、値上げ後も顧客が残るという実績を見たい。いまの数字からは、その証拠を十分に読み取れない。一方、コンサルティングの顧客単価は前年より上がり、AI検索への対応支援には新しい需要がある。ここを一律に衰退産業とは見ない。
ただし、AIは新需要を生むと同時に、調査・原稿制作・広告運用・画面操作を顧客自身で自動化する。自社の有料AI検索製品は出始めたばかりで、独立した売上実績はまだ示されていない。10年後の中心像では、単価の一部上昇より顧客数の減少が勝つと考える。純現金約8.5億円は現在の時価総額約12.9億円に対して厚いが、それを利益と二重に数えてはならない。五つの筋書きを資本コスト8.25%で現在価値へ直すと約7.7億円で、現在の時価総額を約40%下回る。価値がない会社なのではなく、保有期間の長さに見合う価格ではないという結論である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に見るべきものは、10年後も顧客が同じ仕組みにお金を払う理由である。Keywordmapの検索データは仕事に役立つが、顧客が使う画面や定型分析には代替手段が多い。解約の増加と契約社数の減少が続く限り、継続課金という形式だけで質の高い事業と判定できない。値上げしても残る顧客、導入後は離れられない顧客、データが増えるほど価値が高まる契約の証拠が必要だ。
人が問題を定義し、施策の結果に責任を持つコンサルティングには、なお顧客の支払う理由がある。AI検索への変化に素早く取り組み、実際に顧客単価を引き上げた点は評価できる。ただし、その収益は優秀な人材と売上をある程度交換する形だ。AIが調査・分析・運用の多くを肩代わりした後でも、少人数で同じ利益を稼げると証明するまでは、高い再投資利回りを前提にしない。新設のM&A仲介は独自データを標榜しても、収益化の失敗が先に見えている。
資産面では純現金約8.5億円が大きな支えになる。だが、現金が口座にあることと、10年保有する少数株主が自由に使えることは異なる。人材の維持、製品更新、顧客獲得、失敗した新規事業の整理に現金が使われれば、帳簿どおりの価値を受け取れない。自己株式を買い戻した過去の一回の判断と、これから先の配分の巧拙は分けて評価すべきだ。
筆者は、顧客離脱率が低下し、AI検索の有料サービスが人件費の増加を伴わず利益を生むようになれば見方を変える。現段階では、その転換を既成事実として買うよりも、弱い堀と高い不確実性を利益の見通しへ素直に表す。割高という結論は、同社の挑戦そのものを否定するものではない。
何で稼ぐ会社か
収益の第一の柱はソリューション事業で、企業のマーケティング担当者に検索キーワード分析、競合調査、コンテンツ設計などを提供する「Keywordmap」を販売する。契約企業が月額利用料を払い、利用を続ける間は収益が積み上がる仕組みだ。2026年7月末の契約社数は292社、年間継続収益の年率換算額は5.5億円で、1社当たりの平均月額は約15.7万円になる。直近第3四半期累計では部門売上約5.1億円、部門営業利益約0.72億円だった。検索データの蓄積と使いやすい画面は強みだが、Google Search Consoleなどの無料機能や競合する有料解析ソフトも選べる。
第二の柱はアナリティクス事業である。SEOの調査からサイト改善、広告運用、コンテンツ制作まで、専門人材が顧客に伴走して成果を出す。近年は生成AIの回答に自社ブランドを適切に登場させるGEO・LLMO支援を始めた。2026年7月末時点の取引先は124社、平均月額は76万円だった。同月の単価で1年間続くと約11.3億円の売上に相当するが、これは月末時点の単純年換算であり実際の通期売上ではない。同年の第3四半期累計は約7.4億円を売り上げ、なお部門赤字だった。顧客ごとの難題を解く力がある一方、売上を増やすには人材の工数が必要になる。
第三はM&A仲介であり、未上場企業の売却希望者と買い手をつなぎ、成約時に報酬を受け取る。独自の候補企業データベースを使い、成功報酬率4%を案内しているが、2026年10月期の第3四半期累計で成約1件を公表した。第3四半期までの売上約0.29億円に対し営業損失約0.23億円で、投資先行が重い。2026年9月には完全子会社CINC Capitalを親会社に吸収する方針を発表し、管理費の削減へ向かった。独立した成長エンジンとして大きく評価する段階ではない。
会社は2025年の売上約18.2億円から、2026年には約16.8億円への減収を見込む。検索支援の定期収入、顧客ごとのコンサル料、不定期の成約報酬を同じ倍率で評価すると、収益の継続性を見誤る。三事業は、数量も価格の決まり方も分けて見る必要がある。
優良さと弱いところ
同社の強みは検索データの収集・解析を自社商品とコンサルティングの両方で使えることだ。顧客のサイト事情と検索動向を結び付ける実務知識があり、AI検索への変化にも早く対応してきた。2026年7月のコンサル契約単価は前年の65万円から76万円へ上がり、契約期間が6カ月以上の顧客比率は94%になった。少なくとも複雑な相談に対して高い料金を受け入れる顧客は存在する。しかし、半年単位の契約は、顧客が何年も乗り換えられないことの証拠ではない。
Keywordmapには広い堀、つまり競合が越えられない参入障壁がまだ見えない。2024年から2026年までに契約社数は約2割減り、年換算の継続売上も7.2億円から5.5億円へ低下した。月次の売上解約率3.6%を単純に年換算すると、契約維持だけで約35%が失われる水準である。流出を新規契約で補えるとしても、相応の営業費が必要になる。法定帳簿や決済記録のような記録の正本ではなく、操作や調査自体に価値がある商品だ。開示された解約率、値上げ履歴、移行負担からは、AI代替の影響を免れる強い堀の条件がそろっていない。
資本効率も揺れている。2022年のROEは13%台だったが、2024年は3%台となり、2025年は大幅な赤字に転じた。2026年の利益回復は本物の改善だが、前期比で売上が減りながら費用を絞っている局面で、増分投下資本の利回りが高いとまでは言えない。M&A仲介へ新規投資した翌年に子会社を吸収して管理コストを削る経緯は、資本配分の試行錯誤を示す。純現金の厚さは損失に耐える時間を与えるが、それ自体は値上げ力や継続的な高ROEを作らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場全体は拡大している。電通の調査によれば、2025年の国内インターネット広告費は約4.05兆円で前年比10.8%伸びた。しかし、この金額は媒体への出稿や制作費まで含み、CINCが直接販売する検索調査ツールやSEO・GEO支援の市場ではない。国内の業務SaaS市場約1.5兆円という広い区分についても同様だ。各社の有料契約数やSEO支援の範囲が一致する統計はなく、Keywordmapの正確な市場シェアや競合別シェアは公表資料から確定できない。広告市場全体を分母に小さな数字を計算しても、投資判断に意味のあるシェアにはならない。
具体的な競争相手は、国内のミエルカSEO、SEARCH WRITE、TACT SEO、海外のAhrefsやSemrushである。顧客は無料のGoogle Search Consoleも利用できる。2026年秋のITreviewのSEOツール比較にはKeywordmapと多数の競合が同時に並ぶ。ミエルカSEOの累計導入数は1,900社超と紹介されるが、CINCの292社は特定時点の契約数であり、累計導入数と割って市場シェアを論じることはできない。10年後の数量は市場全体の拡大率ではなく、解約に勝つ顧客獲得力で決まる。
業界の技術構造は変わる。GoogleのAI Overviewsや対話型AIが検索結果を直接答えると、従来の検索順位を調べて記事を量産する仕事の価値は細る。その反面、生成AIに自社ブランドを正しく引用させ、誤った説明を見つけて直す仕事が生まれる。CINCはGEO・LLMO支援やAIsearchmapの有料法人プランに着手し、累計約65社へのAI検索コンサル支援を示した。ただしその収益の独立開示はなく、成長市場への参入と持続的な稼ぎの獲得は別である。ソフトの画面と人の分析工数をAIエージェントが省くリスクを、長期の数量と単価に織り込む。
コンサルティングでは電通デジタル、博報堂DY ONE、サイバーエージェント系、専門のSEO会社が競合し、単なる制作・運用作業の単価を守りにくい。M&A仲介では日本M&Aセンター、ストライク、M&A総研などの実績企業が先行する。日本全体の公表M&A件数は2025年に5千件を超えるが、その市場規模をCINCの成約売上へ直接割り当てることはできない。需要が拡大することと、一社の持続的なシェア上昇は別の話である。
資本政策と M&A
2025年3月、CINCは約3.07億円を使い、約50.9万株の自己株式を市場外の立会外取引で取得した。発行済株式に対して一割を超える規模で、希薄化した既存株主の取り分を直接増やす資本政策だった。一方、特定の大株主からの売却を受ける性格もあり、毎期同じ規模の還元が続くとは言えない。配当実績はなく、2026年10月期の配当予想もゼロである。過去5年の明確な買い戻し実績があるため、余剰現金の株主帰属割合は100%とみるが、実際に全額がすぐ返ると約束されたわけではない。
資金の使い方で最も重い教訓はM&A仲介への進出だ。2025年には新事業が大きな営業損失を出し、2026年9月にはCINC Capitalの親会社への吸収合併を決めた。2026年11月からの単体決算への移行は、CINC自身の上場廃止や外部からの買収ではない。子会社への債権の一部放棄は連結上の新たな外部損失と同列に数えず、投じた資本の収益化が遅れている証拠として扱う。
同社は社内で3カ年計画を持つが、2026年の説明資料では外部公表しないと明言した。公表した2026年通期予想は売上16.81億円、営業利益0.07億円、純利益0.04億円である。中期の売上、ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額について数字の約束なし。将来の営業利益率20%という目標意識だけでは、実行期間も利益の再投資利回りも分からない。現金を新事業へ投じる前に、解約率の改善と利益の持続を優先してほしい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CINCは日本語検索データの扱いに習熟しており、マーケティング施策の実行まで助言できる。検索の世界が従来のリンク一覧から生成AIの回答へ移る今、企業は自社のブランドが引用されるか、事実と異なる回答が出ないかを把握しなければならない。従来の検索順位解析と新しいAI回答解析を一体で提供できれば、Keywordmapは単純なSEOツールを超えた情報管理の基盤へ近づく。2026年にはAIsearchmapの法人向け有料プランが始まり、生成AIの参照元を調べる機能も加わった。市場が変化する時期の新規顧客を取り込める立場にいる。
顧客単価上昇も実績である。アナリティクス事業の月額平均料金は前年の65万円から76万円となり、大手企業の取引も増えている。半年以上の契約が94%を占めるため、受注した直後に収入が消える仕事ばかりではない。2026年第3四半期累計は減収にもかかわらず黒字化し、外注費や広告費を管理できる経営の柔軟性を示した。新しい分析機能を自社で作り、コンサルタントの生産性を上げれば、これまで損失だったアナリティクス事業にも利益が残り始める。
10年先にKeywordmapの利用企業が減らず、AI検索支援で現在の顧客を維持できるなら、値上げと固定費の効率化だけでも全社で二桁の営業利益率が見える。2025年の大規模な自己株式取得は、余剰資本を株主に戻す行動が可能であることを示した。M&A仲介事業の管理費を整理して本業に集中すれば、経営資源の散逸も止められる。これは顧客数の急成長を仮定しなくても成立しうる、上振れの道筋である。
慎重な見方
検索の調査、競合比較、原稿作成、広告運用はAIエージェントが最も置き換えやすい業務の一部である。顧客がKeywordmapの画面を開いて分析する前に、AIがGoogleのツールや各種データを呼び出して資料を作るなら、既存の席課金や情報検索の価値は直接削られる。すでにKeywordmapの契約社数は2年間で372社から292社へ減り、年間の継続収益は7.2億円から5.5億円に落ちた。売上ベースの月次解約率3.6%は、強固な乗り換え障壁を主張するには高すぎる。検索データの蓄積があるというだけでは、他社が類似機能をAIの裏側へ組み込むことを防げない。
コンサルティングは単価が上がったが、仕事の数量が減れば売上も減る。専門人材の採用、顧客ごとの調査、コンテンツ制作を抱えるため、売上が細る局面では人件費の固定性が利益を圧迫する。AI検索最適化の需要はあるとしても、大企業が対応ノウハウを内製化し、AIの提供者が分析を標準機能にすれば、外部の支援会社に残る仕事は難しい案件だけになる。2026年の改善は主に経費削減であり、成長とともに利益が伸びる仕組みが証明されたわけではない。
資本配分にも懸念が残る。新規のM&A仲介では赤字が膨らみ、会社は立ち上げから間もなく子会社吸収と債権整理へ動いた。2025年の自己株式取得は大きかったが、今後の継続的な配当や買い戻しには数字の約束がない。自己資本の厚さは安心材料でも、事業が次第に縮むなら維持費と次の挑戦へ現金が減る。競争優位がなくなった最終年には利益そのものが赤字となり、売れる資産が最後の支えになる。
どちらに重みを置いたか
新規分野への対応の速さと単価改善は確かな好材料だが、既存商品の大量解約と新事業投資の失敗を軽く扱えない。上側の二つには28%、下側の二つには42%を配分した。下に寄せる理由はAI代替リスクを確率で二重に数えたからではなく、CINC固有の顧客基盤の縮小、月次解約率の悪化、M&A事業の資本効率が実際に確認できるからだ。中立でも数量はすでにAI代替で縮めてあり、資本コストへは同じ問題を重ねていない。純現金の保護はあるが、回復した利益の継続性が弱い。10年先の時価総額と還元を割り戻した約7.7億円は現在の約12.9億円より低く、長期株主が求める安全域には達しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/10 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 514 円15 億円(+ 還元の換算額還元の合計 43 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 262 円8 億円、今との差 −37.5%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,092 円32 億円 | 169 円5 億円 | +201.0% | +12.8% | 126 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 829 円25 億円 | 102 円3 億円 | +122.2% | +8.9% | 168 円5 億円 |
| 中立 | 30% | 505 円15 億円 | 27 円1 億円 | +27.1% | +2.5% | 160 円5 億円 |
| やや悲観 | 26% | 265 円8 億円 | 0 円0 億円 | −36.7% | −4.5% | 69 円2 億円 |
| 悲観 | 16% | 220 円7 億円 | 0 円0 億円 | −47.5% | −6.2% | 35 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 514 円15 億円 | 43 円1 億円 | +33.1% | +3.0% | 558 円16 億円 |
今の株価時価総額 419 円12 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% GEOが本業の利益源となり顧客離脱を止める 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,092 円32 億円
Keywordmapの契約数が292社で下げ止まり、AIsearchmapとの一体提供で顧客のマーケティング基盤に入り込む。新規のAI検索分析が有償で定着し、同じ契約企業からの年間収入が増える。GEO・LLMOの専門支援では、大手企業が回答精度やブランドへの影響を監査するための継続契約を結び、124社の顧客数を維持する。AIが単純調査を自動化しても、難しい施策の実行管理や顧客の社内調整が人の仕事として残り、同社はその価値を料金へ反映できる。
自動化によりコンサルタントの作業生産性が上がり、ソリューション事業は営業利益率23%、アナリティクスは13%まで改善する。低収益のM&A仲介は統合・縮小し、少数の成約から小さな黒字だけが残る。売上は現在のランレートを大幅には上回らなくても、費用構造の改革で全社営業利益は約3.5億円に届く。税後利益を約2.32億円稼ぎ、増配や自社株買いで10年間に累計5億円を戻す。これはAIの新商品の実績が確認されるまで、成立確率の低い筋書きである。
- ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap):数量 292(契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.02(1社当たり年間継続売上(億円/社・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。月額SaaS契約の純減とAI機能の単価圧力を別々に反映。
- アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング):数量 124(稼働契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.12(1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。顧客企業数は工数を要する実質数量。GEOの単価改善だけを名目単価に含める。
- M&A仲介事業(親会社への統合予定):数量 1.3(年間成約件数(件・年率換算))× 価格 0.38(成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3Qの成約1件と手数料0.28659億円を基礎に年換算。子会社の吸収後も成約報酬事業を経済実態で把握。
倍率:AIエージェント代替を踏まえ長期名目成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。純利益2.32億円、10年後のROE約13.6%を参照する。弱い堀の残存率1/3でRONICを評価するが、g=0のため正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.1212倍となる。楽観から中立まで上限自体を用いて重複割引をしない。純利益に含む余剰現金5.0億円の税後利息0.07億円を引いて事業を評価し、現金5.0億円を100%加える。溜まる現金は過大に上乗せしない。
確率:AI検索分野で有料法人プランの販売を実証し、従来商品でも継続課金の流出を抑えられる場合に限る上振れである。現在の付加価値改善の実績はあるが、商品ごとのAI新規売上は未開示なので顧客純増までは仮定しない。
やや楽観 18% 大手顧客へのGEO支援が定着し利益が改善 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 829 円25 億円
AI検索への対応が国内企業の標準業務になり、CINCは大手顧客の監修・改善支援に強みを残す。コンサルティングの契約社数は110社となり、直近の124社からは減る。それでも高度なブランド監査や技術的なSEO対応に料金を上乗せでき、企業ごとの契約単価は物価上昇に近い水準で伸びる。従来の作業代行は自動化されるが、納期と成果を請け負う部分にコンサルタントを再配置する。
Keywordmapは270社と小幅な減少で済む。AIsearchmapを取り込んでも席数は増やさず、年額単価だけを緩やかに引き上げる。2026年の新事業整理後は、M&A仲介を拡大せず、少額の成功報酬事業として残す。ソリューション事業の利益率20%、アナリティクス事業10%という改善は、すでに始まった外注費削減を商品開発の効率化に結び付けた結果である。全社の純利益は約1.68億円に達する。M&Aへの大規模な再投資はせず、一定の利益を株主に戻すようになり、10年間の還元は累計3億円となる。
- ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap):数量 270(契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.02(1社当たり年間継続売上(億円/社・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。月額SaaS契約の純減とAI機能の単価圧力を別々に反映。
- アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング):数量 110(稼働契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.12(1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。顧客企業数は工数を要する実質数量。GEOの単価改善だけを名目単価に含める。
- M&A仲介事業(親会社への統合予定):数量 1.0(年間成約件数(件・年率換算))× 価格 0.38(成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3Qの成約1件と手数料0.28659億円を基礎に年換算。子会社の吸収後も成約報酬事業を経済実態で把握。
倍率:AIエージェント代替を踏まえ長期名目成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。純利益1.68億円、10年後のROE約10.7%を参照する。弱い堀の残存率1/3でRONICを評価するが、g=0のため正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.1212倍となる。楽観から中立まで上限自体を用いて重複割引をしない。純利益に含む余剰現金5.0億円の税後利息0.07億円を引いて事業を評価し、現金5.0億円を100%加える。溜まる現金は過大に上乗せしない。
確率:コンサル契約単価が上昇したことと、AI検索に対応する有料プランの投入を評価する。ただし競合の増加と既存商品の離脱を考え、人数や契約企業数の増勢までは見込まない。
中立 30% 既存ツールの契約が細り、GEO単価で一部を補う 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 505 円15 億円
10年後も企業にはウェブ集客の調査とAI検索におけるブランド監視の需要がある。ただし、それをCINCの社員やKeywordmapの画面で行う必要性は低くなる。SEOの定型調査はAIエージェントに取り込まれ、Keywordmapの契約企業数は292社から234社へ減る。AI検索の追加機能によって単価はわずかに上がるが、一般物価の上昇率には届かない。高い解約率が解消したとまでは見込まない。
コンサルティングは124社から81社へ縮む。大企業向けGEO・LLMOの施策設計が残るため、契約単価は約27%上がるが、人が行う調査や制作の仕事量は減る。M&A仲介は独立した成長領域ではなくなり、少数の成功報酬から残る人件費を賄う程度になる。会社は2026年に実施した外注費や販促費の改革を定着させ、総売上が減っても収益を維持する。全社で約1.33億円の営業利益、約0.89億円の純利益を生む姿である。2025年の株主還元を毎年繰り返すとは考えず、10年間の買い戻しなどは合計0.8億円と慎重に見積もる。
- ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap):数量 234(契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.02(1社当たり年間継続売上(億円/社・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。月額SaaS契約の純減とAI機能の単価圧力を別々に反映。
- アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング):数量 81.0(稼働契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.12(1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。顧客企業数は工数を要する実質数量。GEOの単価改善だけを名目単価に含める。
- M&A仲介事業(親会社への統合予定):数量 0.9(年間成約件数(件・年率換算))× 価格 0.37(成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3Qの成約1件と手数料0.28659億円を基礎に年換算。子会社の吸収後も成約報酬事業を経済実態で把握。
倍率:AIエージェント代替を踏まえ長期名目成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。純利益0.89億円、10年後のROE約6.7%を参照する。弱い堀の残存率1/3でRONICを評価するが、g=0のため正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k=12.1212倍となる。楽観から中立まで上限自体を用いて重複割引をしない。純利益に含む余剰現金5.0億円の税後利息0.07億円を引いて事業を評価し、現金5.0億円を100%加える。溜まる現金は過大に上乗せしない。
確率:顧客離脱の実績とコンサルの単価上昇という相反する事実を同時に採用する。AI代替は将来の数量と価格に一度反映し、さらに確率や資本コストへ同じ影響を重ねていない。
やや悲観 26% 顧客離脱が継続して利益は現金の支えに近づく 利益 0 億円 · PER 10.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 265 円8 億円
AIが検索調査や記事改善を先回りして行い、既存のSEOツールは価格を上げられなくなる。Keywordmapは205社に減り、今の契約水準を取り戻さないまま新商品への切り替えが進む。長い期間使ってもらう仕組みが弱いので、新しいAI検索機能だけでは顧客流出を補い切れない。コンサルティングでは顧客の内製化が進み、外部へ任せるのは戦略上の難題に限られる。稼働先は68社まで縮み、契約単価も物価上昇を下回る。
2026年の経費改革は赤字を回避する助けにはなるが、人材を維持する固定費はそれ以上減らしにくい。M&A仲介では成約がとぎれがちで、成功報酬より人員と管理費が先に発生する。ソリューション事業は小幅な黒字を保ち、アナリティクス事業も低い利益率で踏みとどまるため、全社が直ちに存続危機に陥るわけではない。10年後の純利益は約0.45億円にとどまり、留保利益が積み上がる程度の資本効率になる。次の事業転換に備えて現金の一部を費やすため、余剰現金は現在より少なくなる。株主還元の継続は約束できない。
- ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap):数量 205(契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.02(1社当たり年間継続売上(億円/社・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。月額SaaS契約の純減とAI機能の単価圧力を別々に反映。
- アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング):数量 68.0(稼働契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.10(1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。顧客企業数は工数を要する実質数量。GEOの単価改善だけを名目単価に含める。
- M&A仲介事業(親会社への統合予定):数量 0.4(年間成約件数(件・年率換算))× 価格 0.32(成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3Qの成約1件と手数料0.28659億円を基礎に年換算。子会社の吸収後も成約報酬事業を経済実態で把握。
倍率:営業利益の持続性が低い場合の稼ぐ力に限定する。ROE約3.8%がk=8.25%に達しないので、PERは1/k=12.12倍を上限とする。顧客離脱とM&A仲介の損失を反映した10.30倍はその上限以下であり、過去の市場PERから採用していない。余剰現金5.0億円の75%=3.75億円に相当する帳簿金額を残し、税後利息0.0525億円を純利益から外してPERを掛け、現金分を加える。資本は初期10.6億円に期間の純利益約1.4億円を留保して12.0億円へ。
確率:Keywordmapの直近月次解約率が高く、アナリティクスも2026年3Qは営業赤字である。早期の費用削減が一段落した後、新たな顧客を取るための費用が戻り、利益率が十分には上がらない可能性を重く見る。
悲観 16% 検索支援の価値が侵食され、現金価値が最後の支え 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 220 円7 億円
従来型SEOの需要は、AIが検索結果の引用元を解析し記事まで作る世界で大きく細る。Keywordmapの契約企業は180社まで減り、競合する低価格サービスに合わせた値下げを余儀なくされる。アナリティクスの契約企業は57社になる。AI検索の対応自体は顧客企業が内製化するため、CINCには頻度の低い難題しか残らず、顧客当たりの契約単価を十分には引き上げられない。営業人員と開発機能の維持費が重く、コンサル部門は恒常的な赤字になる。
M&A仲介は新規案件の獲得をほぼ止めても、整理に伴う残存費用が残る。会社は当初数年間の収益回復で現金を補うが、後半に顧客と価格を同時に失い、最終年には全社の純利益が赤字に転じる。10年間の損益は前半の小幅な蓄積と後半の損失がおおむね相殺し、自己資本は現状程度になる一方、株主への還元は行えない。事業収益に高い倍率を付けず、純現金から人員整理や契約の清算に必要な費用を引いた売却可能な資産を最後の拠り所とする。
- ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap):数量 180(契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.02(1社当たり年間継続売上(億円/社・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。月額SaaS契約の純減とAI機能の単価圧力を別々に反映。
- アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング):数量 57.0(稼働契約企業数(社・7月末時点、実質))× 価格 0.09(1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。顧客企業数は工数を要する実質数量。GEOの単価改善だけを名目単価に含める。
- M&A仲介事業(親会社への統合予定):数量 0.0(年間成約件数(件・年率換算))× 価格 0.40(成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3Qの成約1件と手数料0.28659億円を基礎に年換算。子会社の吸収後も成約報酬事業を経済実態で把握。
倍率:最終年の純損失はマイナス0.35億円で、稼ぐ力による継続企業価値はゼロ近傍。今の自己資本10.6億円を分母に、換金可能な純現金資産約6.5億円を測るとPBR=6.5/10.6≒0.61321倍である。過去の市場PBRや10年間の留保利益を分母には使わない。最終年の赤字と前半の小幅な利益が累積でほぼ相殺するため自己資本は10.6億円とした。余剰現金はPERとは別に足さず、この資産の床に含めた。
確率:2025年のM&A仲介の巨額赤字と継続課金の縮小が重なり、残る顧客も業務内製化する複合的な不振である。親会社の上場廃止ではなく事業構造が劣化する筋書きなので、資産売却の床を残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ソリューション事業(Keywordmap・AIsearchmap)
SEO・競合調査やAI検索可視化を法人向けに定期課金で販売。画面操作型・情報調査型のSaaSであり、規制対応の記録正本ではない。
| 数量契約企業数(社・7月末時点、実質) | 価格1社当たり年間継続売上(億円/社・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 292 | 0.02 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 234 | 0.02 | 5 | 1 |
取り方:2026年9月11日付第3四半期説明資料12頁に、2026年7月末の契約社数292、ARR5.5億円、直近6カ月平均の月次MRR解約率3.6%が開示される。ARR÷292社=年188.36万円/社。2026年3Q累計のセグメント売上5.1095億円(内部売上を含む)と違うのは、7月末のARRの年換算を数量×単価の時点基準としたため。営業利益0.72101億円は9カ月実績を4/3倍した参考値で、将来の利益率を保証しない。AIエージェント代替の型は席課金・操作画面型、10年中立数量は292社×0.80、単価は1.08倍である。
アナリティクス事業(SEO・GEOコンサルティング)
顧客ごとに検索分析、戦略策定、広告運用・制作、生成AI回答対策を支援。人材の工数や契約社数と月額サービス単価が収益を左右する。
| 数量稼働契約企業数(社・7月末時点、実質) | 価格1社当たり年間コンサルティング売上(億円/社・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 124 | 0.09 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 81.0 | 0.12 | 9 | 1 |
取り方:2026年9月11日付第3四半期説明資料14頁に、7月末顧客124社、7月月額単価平均76万円、契約期間6カ月以上94%とある。76万円×12カ月=912万円=0.0912億円/社・年、合計11.3088億円は7月末ランレートで、実現した通期売上ではない。2026年3Q実売上7.39732億円、営業損失0.15176億円を9カ月→12カ月へ年率化した利益は約マイナス0.202億円。型は人月・工数型で、中立数量は124社×約0.65、単価は1.27倍、長期の名目成長率は0%とする。
M&A仲介事業(親会社への統合予定)
買い手・売り手の企業マッチングと交渉の成功報酬。2026年11月予定の完全子会社吸収後も、事業の実態として予測上は分離する。
| 数量年間成約件数(件・年率換算) | 価格成約1件当たり仲介報酬(億円/件・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 1.3 | 0.29 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 0.37 | 0 | 0 |
取り方:2026年3Q決算短信のセグメント説明に、累計9カ月で成約1件、売上0.28659億円、営業損失0.23344億円と明記される。数量を1件×12カ月÷9カ月=年換算1.33333件、価格を公表売上÷成約1件=0.28659億円とする。これで年間換算売上0.38212億円・営業損失約0.31125億円を得る。10年後の実際の案件件数は整数だが、年間の期待成約件数を実数で表現する。CINCは成功報酬4%を提示するが、案件の価格や手数料の両側計上が不明なので取引金額を逆算しない。仲介市場の成約件数は増えても同社のシェアは明らかでない。2026年9月に子会社吸収を発表しており、成功報酬は工数比例のコンサルとも異なるが、AIによる調査の効率化と価格競争は受ける。
リスクと懸念
AIエージェント代替による事業数量の縮小
Keywordmapの価値は検索調査と画面操作にあり、コンサルティングも調査・制作・運用という人の工数を売る。AIがデータ取得から改善策の実行までつなげば、契約社数と必要な作業時間が同時に減る。AIsearchmapの有料提供は始まったが、独立した売上は非開示であり、置き換えを上回る新収入だと断定できない。中立の数量と単価、および10年超の名目成長0%で反映した。
Keywordmapの解約率上昇と値下げ圧力
2026年7月末の292社は2年前より80社少なく、年換算継続収益も5.5億円まで落ちた。直近6カ月平均の月次売上解約率3.6%は継続課金事業にとって高く、価格を上げるほど顧客の離脱が進む可能性がある。Googleの無料機能、ミエルカSEO、Ahrefs、Semrushなどが選択肢にある。販売費を投じないと新規客を補えなくなれば、利益率もさらに下がる。
AI検索の新需要が自社収益にならない
GoogleのAI Overviewsや対話型AIへの最適化には新需要があるが、生成AIの回答表示は検索各社の仕様で決まる。会社がAIsearchmapの企業向けプランを出しても、顧客数・継続収益・解約率が分離開示されていない。競合や顧客の内製化が早ければ、コンサル価格が先に下落する。SEOからGEOへの移行が市場を作っても、CINCの高収益化を自動的には保証しない。
人材と固定費の調整限界
2026年3Q累計は販促費や外注費の削減で黒字化したが、売上高はなお減っている。案件獲得のために熟練コンサルタントを抱え、商品開発を続ける必要があるため、売上の減少速度が人件費の削減速度を上回れば営業利益が再び赤字になる。高単価の大型顧客への依存が強まることも、契約更新時の交渉力を弱めうる。費用削減の再現性を成長の代わりと誤認しない。
M&A事業の投資効率と資本配分
2025年に立ち上げたM&A仲介は、初年度に約2.2億円の部門営業赤字を出した。翌年は子会社の親会社吸収と一部債権放棄に進んでおり、データベースを作れば高収益事業になるという当初の期待は検証されていない。過去の大規模な自己株式買い戻しも、将来の配当を意味しない。成長投資を繰り返すと、少数株主のために残る現金は想定より少なくなる。
現金の換金価値と希薄化
FY2025の純現金約8.5億円は現在の時価総額に比べ厚いが、給与、事業転換、契約解約の費用が先に発生する。悲観の床では約2億円の整理費用を保守的に控除し、製品開発資産やのれんの全額回収を期待しない。2026年に新株予約権の行使などで株数が変わる可能性にも注意が要る。基準株数には反映済みの行使分を含み、将来の未知の増資を架空の価値に上乗せしていない。
今後の分かれ目
- Keywordmapの月次MRR解約率が3.6%から継続して1%台へ下がり、契約社数も純増したら
- 製品の切り替え負担や実用価値が改善した証拠となる。ソリューション事業の数量減少を緩め、AIエージェント代替の価格前提を再検証する。ただし一時的な販促による改善かを年間コホートで確認する。
- AIsearchmapの独立した有料ARR、契約社数、解約率、利益貢献が開示されたら
- AI検索の新商品が構造的な代替を本当に補えるか検証し、楽観の筋書きに市場実績を反映する。売上を識別できないプレスリリースや累計支援社数だけでは数量前提を引き上げない。
- アナリティクス顧客単価の上昇と同時に、同部門の営業利益率が10%を超えて数四半期続いたら
- 工数を増やさずに高付加価値のGEO支援を売れている可能性が強まる。中立の人員生産性と利益率を上方修正し、増分ROICが資本コストを超えるか検証する。
- コンサル契約企業数が124社から100社を大きく割り込んだら
- 単価上昇で数量減を補える限界に近づいたと判断する。中立の実質数量と営業利益を下げ、固定費の残り方を再計算する。
- M&A仲介統合後に費用が減り、事業単独で継続黒字を出したら
- 新事業の再投資利回りを見直す。逆に単体化後に仲介損失や追加の資金流出が続けば、余剰現金の額と悲観の資産床を引き下げる。
- 追加の大規模な自己株式取得や配当方針の数値約束が正式に公表されたら
- 利益の還元額と現金の戻り方を実行実績に従って更新する。単に所有株数が減っただけなら、買戻し価格と事業に要る現金の余裕も併せて見る。
見ておくもの
- Keywordmapの契約社数、ARRと直近6カ月平均の月次売上解約率
- AIsearchmapの有料顧客数、独立したARR、GEO支援の継続契約割合
- アナリティクスの顧客社数、月額平均単価、セグメント営業利益率
- 2026年11月のCINC Capital吸収後の費用実績と仲介案件成約数
- 連結から単体への開示切替に伴うセグメント比較可能性
- 純現金、現金同等物、有価証券、自己株式取得と新株予約権行使後の株数
- 会社が中期の売上・利益・ROE・株主還元の数値目標を初めて公表するか
倍率と資本コストの決め方
事業の数字は、2026年7月末の292社×年間契約料、124社×月間コンサル料の12倍、および公開したM&A仲介売上の年率換算を起点にした。二つの月末ランレートは通期決算実績ではない。実質数量に物価を足さず、AIエージェント代替を契約社数と単価の双方に反映し、10年より先の名目成長は0%にした。資本コスト8.25%、弱い堀、低成長から楽観~中立の正当化PERは12.1212倍となり、現在や同業のPERには依存しない。悲観は現時点の自己資本に純現金の売却可能価値を照合し、10年間の積増し自己資本にPBRを掛けない。2027年以降の新リース基準による表示の変化は、実質の支払家賃を消す価値向上として扱わない。価値を出した後にのみ、現在の時価総額と比較した。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、営業利益の変動・値決め力・純現金・事業寿命の合計0.75%を加算する。βや小型株プレミアム、AI代替を重複する追加料率は用いない。
同じ業種(情報・通信業)の AI 分析
読んだ資料
- CINC 2026年10月期第3四半期決算説明資料(2026年9月11日、顧客数・ARR・月次解約率・単価・セグメント実績)
- CINC 2026年10月期第3四半期決算短信(継続企業の前提、資本・株数)
- CINC 事業計画及び成長可能性に関する事項(2026年1月29日、投資と年度別計画)
- CINC 2026年10月期第2四半期決算説明資料(中期経営計画を外部公表しない方針)
- CINCによるCINC Capital吸収合併のお知らせ(2026年9月14日の適時開示要約)
- 電通『2025年 日本の広告費』(2026年3月5日、比較する市場範囲の定義)
- ITreview Grid Award 2026 Fall SEOツール部門(検索分析商品の競争環境)