結論
シリコンスタジオは、ゲーム業界で磨いた高度な3DCG技術を、自動車、建築、製造業などに広げようとしている技術会社である。筆者の結論は「割高」だ。独自ミドルウェアの価値と産業向け技術の可能性は認めるが、現在の時価総額約38億円を正当化するだけの長期的なオーナー利益を、まだ確認できない。
同社を見るうえで大切なのは、技術の高さと事業の稼ぐ力を分けることである。YEBISやEnlightenには専門的な価値があり、Unreal Engineを建築設計ソフトに組み込む仕事でも実績がある。しかし、2025年11月期の売上高43億円のうち、独自ミドルウェアは約6億円にすぎない。残りの大部分は、開発者の工数、人材の派遣・紹介、オンラインサービスの運用に依存する。
2026年は厳しい現実が表れた。大型受託案件の終了と不採算案件、人材需要の減退が重なり、10月8日には通期営業損失予想が2億66百万円へ下方修正された。第3四半期末の現預金も前年11月末から約6億円減った。一方、ミドルウェアは増収を維持し、フィジカルAI向けシミュレーションや建築CADへの技術提供という新しい足場もできている。
10年先も、高精度な物理シミュレーションや実時間描画そのものは必要とされるだろう。ただし、顧客がそこへ人を何人投入するかは別問題である。AIエージェントが開発・制作工程を自動化すれば、仕事の量が増えても外部の開発工数は減りうる。独自製品の売上が大きく育たない限り、営業利益の改善余地は限られる。
中立では、ミドルウェアが成長しても受託と人材関連の数量減少をほぼ相殺するにとどまり、10年後の営業利益は約2億円となる。財務には一定の余力があるが、2026年の現金流出を踏まえると、現金を過大評価することもできない。確率加重した現在価値は現行時価総額を大幅に下回り、安全域は見いだしにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問いかけたいのは、10年後の顧客がこの会社へ何の対価を払っているかである。優れたCG技術者を必要とすることと、その技術者の作業時間を今と同じ量だけ買い続けることは違う。AIが開発工程を自動化するほど、顧客はより少ない人数で同じ成果を得られるようになる。この会社が価値を保つには、工数ではなく技術そのものを売る割合を増やさなければならない。
YEBISやEnlightenにはその可能性がある。製品が組み込まれた開発環境を変更するには検証が必要で、顧客の製品寿命に合わせた継続収益も考えられる。しかし、契約継続率、価格改定実績、ライセンス収入と請負開発収入の区分が十分に開示されていない。これを強い堀として評価するには、まだ証拠が足りない。
資本配分については、過去の事業撤退と自社株買いを一定程度評価する。ただし、2016年から2018年の損失と、2026年の不採算案件は、稼いだ利益が必ずしも高い利回りで再投資されてこなかったことを示す。増分ROICが資本コストを超えると確認できない投資に対して、長期的な成長価値を大きく与えるべきではない。
また、余剰現金を持つことは優良企業であることの証明ではない。2026年に現金が減少したように、受託案件の不採算は利益と資金の両方を傷つける。株主のものになる現金は、運転資金、研究開発、人材維持の費用を差し引いた残りである。
独自技術の専門性は魅力的であり、産業用シミュレーションに不可欠な部品を握れれば企業価値は大きく変わる。しかし、現在の利益構造では、その成功を当然視して高い値段を払えない。長く持つ株主に必要なのは、技術への期待ではなく、再現性のある利益と十分な安全域である。
何で稼ぐ会社か
事業は、開発推進・支援事業と人材事業の二本柱である。2025年11月期の売上構成は前者が約62%、後者が約38%だった。開発推進・支援事業の内訳は、受託開発16.27億円、ミドルウェア5.91億円、オンラインソリューション4.42億円である。経済性が異なるため、評価ではこの三つを分ける。
受託開発では、ゲームエンジンの改良、CG制作環境の構築、デジタルツイン、シミュレーター開発などを請け負う。顧客はゲーム企業だけでなく、自動車、建築、製造業にも広がる。2026年10月には、福井コンピュータアーキテクトのARCHITREND KAIにUnreal Engineを組み込む技術支援の実績が公表された。顧客の設計データや既存システムに合わせた調整能力が収益源である。ただし、基本的には専門人材の投入量と案件単価が売上を決める。
ミドルウェアは、ポストエフェクト技術のYEBIS、照明表現のEnlighten、物理表現を支援するBone Dynamicsなどが中心となる。顧客の製品開発工程に組み込まれるため、一度採用されれば継続的な利用が期待できる。独自技術の再利用によって収益性を高められる点で、受託開発とは異なる。ただし、製品ライセンスだけでなく関連する開発支援も含まれ、純粋な継続課金収入は開示されていない。
オンラインソリューションは、サーバーやネットワークの構築、運用、監視などで稼ぐ。運用契約には継続性があるものの、サービス自体が終了すると売上も消える。2026年には大手既存顧客のサービス終了が減収要因になった。顧客のサービス寿命に依存するため、安定した永久収益とはみなせない。
人材事業はゲーム・映像業界の技術者、デザイナー、クリエイターの紹介と派遣である。2025年11月期には有料職業紹介277件、派遣稼働者延べ2261人月相当の実績がある。登録者約3万人という専門的な人材基盤と業界内の取引関係を持つ。ただし、採用人数が減れば紹介収入が減り、制作工数が減れば派遣収入も減る。AIによる制作工程の省力化は、顧客の生産性を高めながら同社の売上数量を減らす可能性がある。
優良さと弱いところ
最大の強みは、専門性の高いリアルタイムCG技術と、その技術を産業用途へ応用できる人材である。ゲーム制作で培った描画技術を、建築CADや自動車シミュレーションに組み込む仕事には相応の参入障壁がある。2026年10月のARCHITREND KAI案件は、既存の開発環境に深く入り込む技術支援能力を示した事例だ。特定の顧客にとっては代替しにくい会社になれる。
しかし、企業全体に広く深い堀があるとは判断しない。顧客の年間解約率、ミドルウェアの継続契約率、ライセンス単価の値上げ実績など、長期の価格決定力を検証する数字が不足している。YEBISやEnlightenにも競争力はあるが、Unreal EngineやUnity自身の描画機能が改善することで、外部ミドルウェアの必要性が薄れる恐れがある。
資本効率の実績は不安定だ。2022年から2025年には黒字を維持したものの、2016年から2018年には大幅な赤字が続き、2021年にも営業赤字を計上した。過去10年のROE中央値は約3.1%であり、恒常的に資本コストを上回る企業とは言い難い。2025年の純利益には一過性の特別利益も含まれる。
2026年の不採算CG案件は、技術力だけでは利益を守れないことを示した。納期遅延と追加工数は採算を悪化させるだけでなく、新規案件を受注する人員まで奪う。顧客との関係が深くても、契約条件が固定されていれば超過コストを十分転嫁できない。
財務面では純現金が残り、借入金も大きくない。これは生き残るための時間を与える。ただし、現金の存在を競争優位と同一視してはならない。持続的な価値を生むには、技術を少ない追加工数で繰り返し販売する仕組みへ転換する必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム・映像向けの技術需要は今後も残るが、顧客がソフトウェア開発へ支払う金額と外注する人月は、同じ速度では伸びない。角川アスキー総合研究所のファミ通ゲーム白書2026によると、2025年の国内ゲームコンテンツ市場は約2.59兆円である。一方、この数字はゲーム消費市場であり、開発受託市場そのものではない。世界のゲーム開発アウトソーシング市場には2024年約92億ドルという推計もあるが、産業用CGを含む同社の受託範囲と完全には一致しない。
開発技術の競争ではEpic GamesのUnreal Engine、Unity、各ゲーム会社の内製技術が重要である。GDCの2026年調査では、主に使うゲームエンジンとしてUnreal Engineが42%、Unityが30%を占めた。これは開発者による利用割合であり、シリコンスタジオの製品と同一市場の売上シェアではない。ただし、主要エンジンへの技術依存度が高いことは明らかだ。エンジンの普及は同社の技術支援需要を生む一方、標準機能の充実は独自製品の価値を侵食する。
産業向けのデジタルツインやフィジカルAIは、有望な隣接市場である。製造、建築、ロボット、医療、防災では、実物を使わずに検証できる高精度な仮想環境への需要がある。矢野経済研究所は2024年度の国内工場デジタル化市場を約1.84兆円と推計している。ただし、その全額が3DCGシミュレーションの市場ではない。同社が実際に獲得できるのは、その中の専門的な開発支援と製品ライセンスの一部分である。
2026年にはジーデップ・アドバンスと協業し、NVIDIAのGPU環境を使ったフィジカルAIシミュレーションの提案を始めた。技術的には意味のある展開だが、売上高や受注額は確認できない。NVIDIA Omniverse、Unreal Engine、Unity、専門のデジタルツイン事業者、顧客企業自身の開発部門との競争が続く。市場拡大を、そのまま同社のシェア拡大とは扱わない。
人材市場では、矢野経済研究所が2024年度のデジタル人材採用・活用支援市場を約1.49兆円と推計した。シリコンスタジオの人材事業はその中のゲーム・映像分野に特化する小規模事業者であり、クリーク・アンド・リバー社、レバテック、ギークリーなどが競合する。ただし、専門職種だけを切り出した各社の比較可能なシェアは公表されていない。
10年の最大の変化は、生成AIが制作の補助から作業の自律実行へ進むことである。実時間描画や物理的に正しいシミュレーションへの需要は残るが、コード作成、素材制作、検証、運用監視、求人の照合では人間の工数が減りうる。中立では、受託・運用・派遣の実質数量が現在の6〜7割に縮み、独自ミドルウェアの利用拡大がその一部を補うと考える。
資本政策と M&A
経営陣は過去10年、事業の縮小と再編を経験してきた。2018年には損失の重かったコンテンツ事業から撤退し、自社ゲームへの投資を縮小した。2024年には子会社イグニス・イメージワークスの吸収合併を決め、2025年から非連結決算へ移行した。これらは経営資源を開発技術へ集中させる判断だったが、長期の売上縮小を反転させるには至っていない。
株主還元には、評価できる実績もある。2023年には約1.47億円、2024年には約1.04億円の自己株式を取得した。両年の取得株数は合計約20万株で、発行済株式の約7%に相当する。2025年には配当を再開したものの、2026年11月期は赤字予想を受けて無配の方針となった。過去の自社株取得は評価する一方、利益が安定しない状況で還元の持続性を高く見積もるべきではない。
2026年1月の決算説明資料には成長戦略が示されているが、複数年度にわたる売上高、営業利益、ROEの拘束力ある数値目標は確認できない。中期経営計画についても、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の継続的な数字の約束なしと扱う。当初の2026年11月期計画は売上高45.71億円、営業利益1.22億円だったが、10月時点では売上高40.73億円、営業損失2.66億円へ修正された。
現金の株主への戻り方は1.0とする。過去5年に明確な自己株取得実績があり、経営者による支配も大株主比率からは強くないためだ。ただし、赤字下では今後の還元を約束されたものとは見ない。産業向け技術の投資も、受注額、粗利率、研究開発回収額を確認できるまでは高い増分ROICを前提にしない。大型M&AやTOBによる上振れは、具体的な発表がないため本質価値に先取りして含めていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の過去の不振を、そのまま将来に延ばすべきではない。コンテンツ事業から撤退して技術支援へ集中し、YEBISやEnlightenという独自製品を持つ。建築CADのARCHITREND KAIへのUnreal Engine組み込み支援は、顧客の製品開発に深く入り込める技術力を示している。エンターテインメント用途の技術を製造・建築・ロボットへ広げられることは、単なるゲーム受託企業にはない利点だ。
フィジカルAIでは、現実世界に近い仮想環境を作り、ロボットや自律システムの動作を検証する能力が求められる。2026年のジーデップ・アドバンスとの協業は、GPU基盤とCGシミュレーション技術を組み合わせた提案を可能にした。顧客企業が内製しにくい専門技術を持つ会社には、継続的な需要が生まれる。技術の標準化が進む一方で、産業固有のデータや厳しい検証要件への対応では経験の蓄積が生きる。
ミドルウェアの売上規模はまだ小さいが、同じ製品を複数の顧客に販売できれば、追加投資に対する利回りは受託開発より高い。製品ライセンスの比重が上がり、2026年の不採算案件が一時的な問題だったと判明すれば、営業利益率は過去の黒字水準を超えうる。財務も直ちに危機的な状態ではなく、自社株買いの経験がある。技術の収益化に成功する価値を、現在の損益だけから切り捨てるのは早計である。
慎重な見方
技術力の高さは否定しないが、それが株主の利益につながるかは別問題である。2025年の独自ミドルウェアは売上全体の約14%にとどまる。大半は顧客の開発予算、専門人材の稼働、外注契約に依存している。2026年には大型案件の終了と不採算案件が重なり、会社全体が大幅な赤字に転じた。技術的に難しい案件ほど、工数超過の責任を自社が負う危険もある。
AIエージェントの発達は、この収益構造にとって根本的な逆風になる。ゲーム開発会社や建築ソフト会社は、生成AIでコードを書き、素材を生成し、品質検証を進められる。顧客が外部へ頼む案件が残っても、一つの成果物に必要な開発人月は減る。人材事業でも、AIが制作担当者の生産性を高めれば、採用・派遣の数量そのものが縮小する。
独自ミドルウェアも安泰ではない。Unreal EngineやUnityの標準描画機能が進化すれば、別売りのポストエフェクト製品を導入する理由が弱くなる。NVIDIAのシミュレーション環境も競争相手になりうる。2026年に始めたフィジカルAI事業には売上金額の裏付けがなく、成長を確定収益として見込むことはできない。
過去10年の売上高は大きく減少し、ROEの中央値も低い。2025年の純利益には一過性の特別利益が含まれ、2026年には現預金が大きく減った。現在の純現金がそのまま10年間残る保証はない。事業の将来収益が不確かな状態で時価総額約38億円を支払うことには、株主に十分な安全域がない。
どちらに重みを置いたか
技術の独自性では強気の見方に説得力がある。しかし、売上の大部分が工数と人材需要に依存する構造、2026年の業績下方修正、利益率の不安定さでは慎重な見方が勝る。AI代替の影響を受ける事業が売上の8割以上を占めるため、中立の数量を縮小させたうえで、やや悲観と悲観に合計40%の確率を配分した。これはAIリスクを確率でもう一度差し引くためではなく、受注失敗や顧客集中など会社固有の追加的な失敗経路を反映するためである。2026年の損失が一時的で、製品比率が明確に上昇すれば見方を改める余地がある。ただし、現時点の適正価値は時価総額を大幅に下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,112 円31 億円(+ 還元の換算額還元の合計 93 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 566 円16 億円、今との差 −52.6%、 期待の年率 +0.1%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 3,116 円86 億円 | 289 円8 億円 | +185.4% | +11.7% | 306 円8 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,046 円57 億円 | 181 円5 億円 | +86.6% | +6.8% | 401 円11 億円 |
| 中立 | 33% | 1,062 円29 億円 | 90 円3 億円 | −3.4% | −0.4% | 380 円11 億円 |
| やや悲観 | 26% | 289 円8 億円 | 18 円1 億円 | −74.3% | −13.0% | 80 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 271 円8 億円 | 0 円0 億円 | −77.3% | −13.8% | 38 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,112 円31 億円 | 93 円3 億円 | +1.0% | +0.1% | 1,205 円33 億円 |
今の株価時価総額 1,193 円33 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 独自技術の製品化が収益構造を変える 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,116 円86 億円
YEBISやEnlightenなどのライセンスが産業用途でも幅広く利用され、独自技術が顧客の開発基盤に組み込まれる。建築CADへの技術提供に続き、自動車、製造、研究機関などで高精度な描画・シミュレーション技術の利用が増える。ミドルウェアは技術資産を繰り返し販売する収益源へ成長し、売上総利益の中心的な役割を担う。
受託開発では自動化による人月削減が進むが、同社は高度なシステム統合や検証に特化し、付加価値の高い案件を維持する。AIエージェントによる工数削減を考慮し、受託・運用・派遣・紹介の数量はいずれも現在を超えない。売上拡大の中心は、一般的な工数販売ではなく独自のソフトウェア部品の採用増とする。
2026年の赤字を早期に克服し、大型案件の採算管理が改善する。製品比率が上昇するため全社営業利益率は約14%へ高まり、営業利益は約9億円になる。余剰現金と株主還元の両立も進むが、大型買収による未確認の利益は含めない。この筋書きでは技術が資本効率へ結びつき、再投資利回りが資本コストを超える。
- 受託開発・3DCG技術支援:数量 1,800(専門開発人材の年間稼働量・人月換算)× 価格 0.01(受託開発1人月当たり売上・億円)→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。受託人月は現在と同水準、単価は物価にほぼ連動。AIによる作業削減を高付加価値案件で相殺。
- 3DCGミドルウェア・ライセンス:数量 0.1(世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル)× 価格 200(市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円)→ 売上 13 億円・営業利益 5 億円。独自描画製品の産業採用が拡大。数量1.70倍、価格1.33倍。
- オンラインソリューション・運用:数量 34.0(年間継続運用契約の換算件数)× 価格 0.17(契約1件当たり年間売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。運用契約量は現状程度を維持し、単価上昇と運用効率化が進む。
- 専門人材派遣:数量 2,261(年間派遣稼働者延べ人数・人月相当)× 価格 0.01(稼働1人月当たり派遣売上・億円)→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。人材派遣の稼働量は現状を上限とし、高技能職への構成改善で単価が上昇。
- 専門人材紹介:数量 277(年間有料職業紹介成約件数)× 価格 0.02(成約1件当たり紹介手数料・億円)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。成約件数は現状維持。専門職の採用単価上昇で紹介手数料が増える。
倍率:k=8.25%、10年以降のg_long=0%、moat=weak。10年後ROE約15.6%、RONIC=k+1/3×(ROE−k)で約10.7%となる。g=0のため正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0825=12.12倍。利益から余剰現金2億円の税後利息相当0.028億円を控除し、現金2億円を別に加算する。現行市場倍率は使わない。
確率:技術製品の利用市場を大きく広げ、受託・人材事業の数量減少も最小限に抑える複数の成功が必要になる。2026年時点で新規フィジカルAI事業の売上金額が確認できないため、上振れ確率は限定する。
やや楽観 18% 産業用途の拡大と採算改善が進む 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,046 円57 億円
受託開発は産業界への拡大が進み、ゲーム業界の需要低迷を補う。顧客はUnreal Engineなどの既存技術を利用しつつ、独自のデータ構造、表示性能、産業機器との連携に専門会社の支援を必要とする。シリコンスタジオはその難しい部分で採用され、工数の減少を単価の改善で補う。
ミドルウェアではYEBISなどの採用が増え、受託開発に依存しない製品収入が厚くなる。ただし、市場全体を支配するほどのシェアは得られず、Unreal EngineやUnityの機能更新に合わせて研究開発を継続する必要がある。オンライン運用は一部の大口契約を失うが、産業用の新しい契約が残る。
人材派遣と紹介はAIによる省力化の影響を受けるものの、特殊技能を持つ人材への需要が続く。2026年の損失が一時的な受注・採算問題だったと確認され、以後の利益率は徐々に改善する。10年後の営業利益は約6億円となり、自社株買いと配当による還元を再開できる。
- 受託開発・3DCG技術支援:数量 1,650(専門開発人材の年間稼働量・人月換算)× 価格 0.01(受託開発1人月当たり売上・億円)→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。人月は約8%減少。高付加価値の産業案件へ移り、平均単価が上昇。
- 3DCGミドルウェア・ライセンス:数量 0.1(世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル)× 価格 201(市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円)→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。独自製品の採用数量約1.45倍、価格は物価並み。
- オンラインソリューション・運用:数量 28.0(年間継続運用契約の換算件数)× 価格 0.17(契約1件当たり年間売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。旧来の大口契約の減少を新規契約で一部補う。
- 専門人材派遣:数量 2,000(年間派遣稼働者延べ人数・人月相当)× 価格 0.01(稼働1人月当たり派遣売上・億円)→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。派遣人月約12%減、技能単価上昇により売上減を抑える。
- 専門人材紹介:数量 255(年間有料職業紹介成約件数)× 価格 0.02(成約1件当たり紹介手数料・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。専門職紹介の成約数は約8%減少。高年収職種への集中が単価を支える。
倍率:k=8.25%、g_long=0%。ROE約13.9%で、弱い堀の超過利益の残存割合1/3を考慮したRONICは約10.1%。g=0の正当化PERは12.12倍であり、上限から任意の割引をしない。余剰現金2億円の利息を利益から外して現金の価値を別計上する。
確率:ゲーム業界以外からの受注とミドルウェア増収には既に実績がある。ただし、受託の生産性向上が企業の取り分になるには契約条件や販管費の管理も改善する必要がある。
中立 33% 製品は育つが工数依存事業は縮小 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,062 円29 億円
2026年の赤字を経て、受託開発の案件管理は正常化する。しかし、開発環境そのものは大きく変わる。顧客企業はAIエージェントを使ってコード作成、素材生成、試験、改修を進める。専門企業に依頼する仕事は残るものの、必要な人月は減る。同社の受託開発の実質稼働量は10年で現在の7割となる。
YEBISやEnlightenは専門的な描画機能への需要を維持する。Unreal Engineなどの標準機能との競争は強いが、ゲームと産業用途で採用が続き、ミドルウェア収入は増える。ただし、全社の利益構造を根本的に変えるほどの独占的地位は得られない。フィジカルAI関連の受託機会も増えるが、受注額が確認できないため高成長事業としては先取りしない。
人材派遣は延べ稼働者数が現在の約7割に縮み、紹介成約数も減少する。派遣料と紹介手数料は名目で上昇するため、売上の減少は数量ほど大きくない。オンライン事業では大手契約の終了を部分的にしか補えない。全社売上は現在とほぼ同水準にとどまり、製品比率改善と案件採算の正常化によって営業利益約2億円、純利益約1.5億円を確保する。
技術力は失われないが、経済的な堀は広がらない。資本効率は過去の赤字期より改善するものの、資本コストを安定して超える水準には届かない。配当と自社株買いは慎重に再開され、余剰現金は研究開発と運転資金のため一定額を残す。
- 受託開発・3DCG技術支援:数量 1,260(専門開発人材の年間稼働量・人月換算)× 価格 0.01(受託開発1人月当たり売上・億円)→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替により実質稼働量0.70倍。名目人月単価1.31倍。
- 3DCGミドルウェア・ライセンス:数量 0.1(世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル)× 価格 195(市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円)→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。ゲーム・産業用途の採用数量1.27倍、単価1.30倍。標準エンジンとの競争は継続。
- オンラインソリューション・運用:数量 21.0(年間継続運用契約の換算件数)× 価格 0.16(契約1件当たり年間売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AIによる運用工数削減と顧客サービス終了により数量約0.62倍、単価1.23倍。
- 専門人材派遣:数量 1,550(年間派遣稼働者延べ人数・人月相当)× 価格 0.01(稼働1人月当たり派遣売上・億円)→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替で派遣人月は約0.69倍、単価1.30倍。
- 専門人材紹介:数量 198(年間有料職業紹介成約件数)× 価格 0.02(成約1件当たり紹介手数料・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。成約数0.71倍、成約単価1.27倍。専門職の採用需要は残る。
倍率:中立の10年後ROEは純利益1.45億円÷自己資本30.75億円=約4.7%で、資本コストk=8.25%を下回る。自己資本は平準化純利益の累計約14.75億円と還元2.5億円を2025年末の18.5億円へ反映した結果であり、ROEを先に決めたものではない。g_long=0%なので正当化PER上限は1/k=12.12倍。事業純利益1.422億円にこの倍率を適用し、余剰現金2億円を別計上する。市場のPERや過去のPBRは根拠に使わない。
確率:2026年のミドルウェア増収と産業顧客の実績を評価する一方、受託・派遣・運用のAIエージェント代替を中心的な変化として扱う。技術は残るが、収益成長へ結びつく速度は限定的と判断する。
やや悲観 26% 受託縮小と人材需要減少が長引く 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 289 円8 億円
大手ゲーム企業の外注抑制とAIを使った開発内製化が進み、受託開発の稼働量は現在の約6割になる。産業向けの引き合いは残るが、同社が有利な契約条件を継続的に獲得できず、受託の利益率は十分には改善しない。建築・製造業向けの技術支援にも大手システム開発会社やエンジン提供会社が参入する。
独自ミドルウェアは一定の販売を維持するものの、主要ゲームエンジンの標準機能が高性能化するため、価格決定力は弱まる。オンラインサービスは大手契約の終了により規模が縮小する。派遣人月と紹介成約数も減り、高付加価値職種への集中だけでは収益を補えない。
経営陣は人員整理、開発案件の選別、管理費削減を進める。事業規模に合わせて固定費を削減した結果、大幅な赤字の継続は避けるが、10年後の営業利益はほぼ損益分岐点となる。配当再開は限定的で、自己資本は現在より少なくなる。株式価値は将来利益への期待より、残る純現金と回収可能な事業資産の価値に近づく。
- 受託開発・3DCG技術支援:数量 1,100(専門開発人材の年間稼働量・人月換算)× 価格 0.01(受託開発1人月当たり売上・億円)→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。受託人月約0.61倍。競争のため値上げは物価未満。
- 3DCGミドルウェア・ライセンス:数量 0.0(世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル)× 価格 191(市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。採用数量は現在の約0.91倍。独自機能の優位性は縮小。
- オンラインソリューション・運用:数量 17.0(年間継続運用契約の換算件数)× 価格 0.15(契約1件当たり年間売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。大型顧客の契約終了が続き、契約量は半分程度になる。
- 専門人材派遣:数量 1,450(年間派遣稼働者延べ人数・人月相当)× 価格 0.01(稼働1人月当たり派遣売上・億円)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。派遣数量約0.64倍。専門職の単価改善は限定的。
- 専門人材紹介:数量 170(年間有料職業紹介成約件数)× 価格 0.02(成約1件当たり紹介手数料・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。紹介成約件数約0.61倍。採用市場の縮小が続く。
倍率:営業利益がほぼ損益分岐点となり、純利益0.2億円を自己資本13.7億円で割ったROEは約1.5%にとどまる。資本コストk=8.25%に届かず、やや悲観では余剰現金2億円の0.75倍に当たる1.5億円を価値に算入する。純利益からその税後利息約0.021億円を除いた事業純利益に正当化PER12.12倍を掛け、現金1.5億円を加えた稼ぐ力の価値は約3.7億円である。この筋書きでは、それより大きい現預金・投資有価証券の税後換金価値8.0億円を床として採用する。PBR0.4315倍の分母は2025年末の自己資本18.54億円であり、10年後に積み上がる自己資本には掛けない。過去の株価やPBRの谷に根拠を求めない。
確率:2026年の大型案件終了、採算悪化、人材需要減退は既に観測された会社固有の問題である。下に寄せる理由:AI以外にも大口顧客のサービス終了、プロジェクト損失、販管費の固定性があるため、構造的な収益低下が長期化する可能性を重く見る。
悲観 14% 工数と人材需要の構造的喪失 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 271 円8 億円
生成AIとAIエージェントがコード作成、3DCG素材制作、試験、運用監視を大幅に自動化する。ゲーム会社や産業顧客は開発の中心部分を内製化し、外部へ発注する専門人月を減らす。シリコンスタジオの受託稼働量は現在の半分になり、案件単価にも競争圧力がかかる。技術者の維持費が固定的に残り、利益率は低下する。
独自ミドルウェアでも、主要ゲームエンジンの標準機能が外部製品を代替する。YEBISやEnlightenの採用数が減り、製品開発費を十分に回収できない。フィジカルAI市場は拡大しても、NVIDIAや大手開発会社が主要な収益を獲得し、同社は限定的な受託先にとどまる。
人材派遣と紹介も大きく縮小する。顧客が採用人数を減らし、ジュニア層の制作職種は特に需要を失う。大規模な人員削減と事業整理を進めても、10年後の売上高は現在の約56%にとどまり、営業赤字が残る。自己資本は減少し、配当は行われない。
完全な倒産は前提にせず、早期の事業縮小と資産保全によって一部の純現金を残す。ただし、現在のキャッシュが今後も失われ続ければ清算価値も低下するため、追加減損や資金流出が起きた場合には悲観の床を見直す必要がある。
- 受託開発・3DCG技術支援:数量 900(専門開発人材の年間稼働量・人月換算)× 価格 0.01(受託開発1人月当たり売上・億円)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。受託数量0.50倍。AI代替と顧客内製化が同時進行。
- 3DCGミドルウェア・ライセンス:数量 0.0(世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル)× 価格 184(市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。標準エンジンへの機能統合で実質数量は約0.58倍。
- オンラインソリューション・運用:数量 10.0(年間継続運用契約の換算件数)× 価格 0.14(契約1件当たり年間売上・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。大口契約の消失で既存事業は大幅縮小。
- 専門人材派遣:数量 1,120(年間派遣稼働者延べ人数・人月相当)× 価格 0.01(稼働1人月当たり派遣売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。派遣稼働量がほぼ半減。単価上昇も物価に届かない。
- 専門人材紹介:数量 130(年間有料職業紹介成約件数)× 価格 0.02(成約1件当たり紹介手数料・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。紹介成約数は現在の約47%。AIによる採用抑制が進む。
倍率:10年後も純損失のため赤字にPERは適用しない。早期に事業を整理して現金を保全する場合、2026年8月末の純現金と処分費用を差し引いた売却可能資産の合計約7.5億円が残余価値の上限と床になる。PBR0.4045倍の分母は2025年末の自己資本18.54億円で、10年後の帳簿自己資本10.0億円を掛けたものではない。過去の市場PBRを根拠とせず、売れる資産の税後価値から決めた。
確率:AIによる制作・開発工程の大幅な省力化に加え、主要顧客の内製化と製品競争力の低下が同時に起きる複合的な失敗シナリオ。技術が消えるわけではないが、従来の販売構造が壊れる危険を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
受託開発・3DCG技術支援
ゲーム開発環境、産業向けデジタルツイン、建築CADへのゲームエンジン組込、シミュレーターやCG制作の受託開発。AIエージェント代替の人月・工数型。
| 数量専門開発人材の年間稼働量・人月換算 | 価格受託開発1人月当たり売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1,800 | 0.01 | 16 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,260 | 0.01 | 15 | 2 |
取り方:2025年11月期決算説明資料の受託開発売上1627百万円を使用。受託開発単独の人月・受注件数・単価は非開示のため、全社従業員260人のうち約150人相当が年間稼働する仮定で1800人月とした。外注先の人月は把握できず数量は推定値である。単価約90万円は専門性の高い開発請負の売上換算であり、従業員給与ではない。営業利益2.26億円は開発推進・支援事業全体の3.69億円を業務別採算の仮説で分解した推定値。世界ゲーム開発アウトソーシング市場の2024年約92億ドルという推計と比べると同社受託売上は約0.12%だが、産業用途を含むため厳密なシェアではない。国内には多数の受託開発会社が存在し、同社固有のシェアは非開示。AIエージェント代替により、中立の数量は10年で0.70倍、単価は1.31倍とする。
3DCGミドルウェア・ライセンス
YEBIS、Enlighten、Bone Dynamics等の組込用描画・表現技術。製品利用と関連する開発支援を含む。主価値はソフトウェア部品そのものであり、人が操作する席課金型業務SaaSには該当しない。
| 数量世界ゲームエンジン関連市場の実質需要×当社相当シェア・億ドル | 価格市場数量1億ドル相当の円換算単価・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 0.0 | 150 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.1 | 195 | 10 | 3 |
取り方:会社開示のミドルウェア売上591百万円を使用。Fortune Business Insightsが示す2025年の世界ゲームエンジン市場約34.3億ドルを広義の比較市場とし、150円換算した市場売上に対する同社ミドルウェア売上の比率約0.115%を暫定的なシェア代理指標とした。34.3億ドル×0.115%=約0.0394億ドルである。YEBIS等はゲームエンジン自体でなく部品製品であり、このシェアは厳密な製品市場シェアではない。Unreal Engine・Unityが主な競争環境を形成する。実際の契約数と単価は非開示。営業利益は推定配賦。中立では広義市場と産業用途の需要拡大で数量1.27倍、価格1.30倍とする。AIエージェントが人間の操作画面を代替する型には該当しないが、標準エンジンへの機能統合が競争リスクとなる。
オンラインソリューション・運用
オンラインゲーム等のサーバー、クラウド、ネットワーク構築・運用・監視。継続契約はあるが顧客のサービス終了に影響される。AIエージェント代替の運用・BPO型。
| 数量年間継続運用契約の換算件数 | 価格契約1件当たり年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 34.0 | 0.13 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 21.0 | 0.16 | 3 | 1 |
取り方:2025年11月期のオンライン売上442百万円を使用。実際の稼働サービス数と契約単価は非開示のため、1契約当たり年間1300万円の運用売上を持つ34件の契約年換算とした推定である。2026年第3四半期累計ではオンライン売上が約2.03億円となり、大手顧客のサービス終了に伴う構造的な減少が確認された。ゲームサーバー運用市場の独立した比較可能な国内シェア統計は確認できず、主要顧客への依存が重要である。AIエージェント代替により運用・監視工数が減るため、中立の数量は約0.62倍、単価は1.23倍とする。
専門人材派遣
ゲーム、映像、CG、Web関連のデザイナー・技術者・クリエイターの派遣。顧客の現場でのデジタル制作工数が収入源となるため、人月・工数型に分類する。
| 数量年間派遣稼働者延べ人数・人月相当 | 価格稼働1人月当たり派遣売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 2,261 | 0.00 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,550 | 0.01 | 10 | 2 |
取り方:2025年11月期の派遣稼働者延べ人数2261人は会社公表のKPI。人材事業総売上16.41億円から、紹介事業の推定売上5.11億円を差し引いた11.30億円を派遣売上と推定。平均月額売上は約50万円で、専門職派遣の報酬と社会保険等を含む請求額として推定した。派遣と紹介の売上区分は非開示であり、確度に限界がある。2026年第3四半期の延べ派遣人数1633人は前年同期比4.9%減。矢野経済研究所のデジタル人材採用・活用支援市場約1.49兆円と比較すると全社人材売上は約0.11%だが、ゲーム特化派遣の市場シェアではない。AIエージェント代替の中立数量は10年で約0.69倍、単価は1.30倍。
専門人材紹介
ゲーム・映像・配信業界の専門職の有料職業紹介。収益は成功報酬型だが、AIによる採用需要の縮小と求人照合作業の自動化を受ける。
| 数量年間有料職業紹介成約件数 | 価格成約1件当たり紹介手数料・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 277 | 0.02 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 198 | 0.02 | 5 | 1 |
取り方:会社公表の2025年11月期有料職業紹介成約277件を使用。紹介手数料は非開示であり、ミドル・ハイクラス求人の年収帯600万〜800万円と一般的な成功報酬水準を参考に1件約184万円と推定した。277件との積は約5.11億円となり、派遣売上の推定と合わせて人材事業16.41億円に一致する。2026年第3四半期の成約179件は前年同期比13.9%減。競合にはクリーク・アンド・リバー社、専門職紹介会社などがあるが、ゲーム・映像専門市場だけを切り出した正確なシェアは非開示。AIによる採用件数の減少を重く見て、中立の数量は約0.71倍、手数料単価は1.27倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替
受託開発、オンライン運用、人材派遣・紹介の売上依存度が高い。AIエージェントがコード作成、素材生成、検証、運用監視を自動化すれば、顧客のIT支出が増えても外注人月は減る。会社が自社の技術を製品ライセンスや成果物の価値として販売できない限り、数量減少を単価の改善で補うことは難しい。
受託案件の損失とプロジェクト管理
2026年の3DCG映像制作案件では、損失引当金の計上や想定以上の工数投入が採算を悪化させた。さらに既存案件への人員拘束が新規案件の受注機会まで失わせた。高度な技術案件は仕様変更や納期遅延のリスクが大きく、契約条件の改善がなければ同様の損失が繰り返される。
ミドルウェアの標準機能への吸収
YEBISやEnlightenの描画技術には価値があるが、Unreal Engine、Unity、NVIDIAなどの標準機能が改善すると、外部部品の必要性が減る可能性がある。技術優位を維持する研究開発費が増える一方、販売単価やライセンス数が伸びなければ、高い製品利益率は実現しない。
大口顧客とゲーム業界への依存
大型受託案件の終了やオンラインサービスの停止は、2026年の実際の減収要因となった。ゲーム企業の開発予算、採用意欲、制作方針によって業績が左右される。産業向け顧客の開拓は進んでいるが、売上の分散や継続受注が十分に示されるまでは、顧客集中リスクを小さく見積もれない。
現預金流出と資本効率の低さ
2025年11月末から2026年8月末までに現預金は約6億円減少した。純現金を維持していても、再び不採算案件が発生すると現金は急速に減る。過去10年のROE中央値は約3.1%で、資本コストを恒常的に上回った証拠も乏しい。黒字化しても再投資利回りが低ければ株主価値は増えない。
フィジカルAI事業の収益化不確実性
2026年のジーデップ・アドバンスとの協業は技術面で前向きな材料だが、売上・受注・利益の定量的実績は確認できない。GPU基盤やシミュレーションソフトを持つ大手企業との競争があり、顧客の内製化も進みうる。成長市場への参入という事実だけで、高い利益や市場シェアを保証することはできない。
今後の分かれ目
- ミドルウェア売上が継続して増え、全社売上に占める割合が25%を超えたら
- 人月依存から独自製品への移行が進んだ証拠となる。契約継続率と製品利益率を確認し、中立の利益率と長期の競争力を上方修正する。
- フィジカルAI関連の受注高や年間売上が金額で開示され、複数顧客で継続受注が確認されたら
- 技術的な協業段階から収益事業へ移ったと判断できる。案件当たり利益率と再利用可能な製品の割合に応じて、受託または製品の数量前提を見直す。
- 受託開発で再び大きな損失引当金が発生したら
- 経営の案件管理能力への評価を引き下げる。利益率の中立前提を下げ、やや悲観と悲観の確率を引き上げる。
- 人材派遣の延べ稼働人数と有料職業紹介件数が複数年連続で減少したら
- AIによる省力化とゲーム企業の採用抑制が構造化した可能性を重く見る。数量の回復を前提とせず、販管費削減の実績と残存利益率を確認する。
- 純現金がさらに減り、運転資金を除く余剰現金がなくなったら
- 余剰現金の加算価値を減らし、悲観の資産の床も再計算する。増資や追加借入が必要になれば既存株主の取り分への影響を別に反映する。
- ROEが資本コスト8.25%を上回る状態が3年以上続き、現金収支も黒字で安定したら
- 増分投資から株主価値が生まれている可能性を評価する。製品比率、再投資額、還元実績を確認し、企業全体の堀と長期価値を見直す。
見ておくもの
- 開発推進・支援事業の受託開発、ミドルウェア、オンラインの各売上高と前年比
- ミドルウェアのライセンス収入と請負開発収入の内訳、契約継続率、導入企業数
- フィジカルAI・デジタルツインの実際の受注額と継続案件数
- 有料職業紹介成約件数と派遣稼働者延べ人数、1件当たり推定単価
- 受注損失引当金、案件遅延、開発人員の稼働率
- 現預金、借入金、営業キャッシュフロー、投資有価証券評価損の推移
- 全社費用の水準と売上総利益に対する負担
- 自己株式取得、配当再開、ROEおよびROICの継続的な改善
- ゲームエンジンとNVIDIA関連技術の標準機能拡充による独自製品への影響
倍率と資本コストの決め方
株価1385円、株数277万株、時価総額約38.36億円は最後の比較にのみ使用した。先に2025年の受託・ミドルウェア・オンライン・人材派遣・紹介を数量と単価に分解し、2026年第3四半期で確認された損益悪化を踏まえて10年後の収益を決めた。数量のAI代替は受託・運用・人材関連へ適用し、独自ミドルウェアとは区別した。倍率はk8.25%、g_long0%、10年後ROEから正当化PERを導き、楽観〜中立は12.12倍とした。現行市場PER、過去のPBR、同業の市場倍率には依存しない。
純現金については2025年末の約12.5億円をそのまま利用せず、2026年8月末の現預金と借入金を確認した。余剰現金と営業利益の重複計上を避ける。悲観の床は現金・売却可能資産から求め、2025年末自己資本全額を無条件の清算価値にはしない。
2026年第3四半期短信では発行済297万3900株から自己株22万8954株を差し引いた株数が約274万4946株であり、添付basisの277万株と約0.9%の差がある。今回の比較基準は依頼指定のbasisを維持した。2025年の利益には一過性収益があり、2026年の赤字拡大も織り込んだ。新リース会計基準による表示変更は価値創出とみなさず、将来の営業利益は現行の費用認識にそろえる。株価を先に決めて数量や倍率を逆算する調整はしていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の循環、値決め力、借金、寿命の合計0.75%を加えた。2026年の赤字は深刻だが、直近まで黒字期があり、GC注記もないため、継続的な財務危機に対する特別な上乗せはしない。個別の案件失敗は利益と筋書きに入れる。