結論
ココナラは、個人の知識や技術を売買する市場を起点に、企業向けの人材紹介、業務受託、法律相談へと事業を広げてきた会社である。筆者の結論は「割高」だ。登録会員620万人超という基盤は魅力的だが、2036年までに残る稼ぐ力と株主への還元を資本コストで割り引くと、現在の約69.5億円という時価総額を正当化するには相当な成功が必要になる。
2026年8月期の売上高は103.2億円、営業利益は4.9億円となり、エージェント事業の改善によって増益を果たした。人手不足を背景に、専門家を探す仕組みは今後も必要とされる。法律相談の有料掲載弁護士は増え、エージェント事業の稼働者数も伸びている。ただし、スキルマーケットでは直近四半期の購入者数が前年同期比12%減った。会員数の増加が取引件数の増加を保証しないことは、すでに数字に表れている。
今後の最大の問題は、人が仕事を請け負う市場そのものがAIエージェントによって変わることだ。文章制作、簡単なデザイン、調査、事務処理、プログラミングの一部は、発注者が人に頼まずAIで済ませられる。逆に、高度な専門判断、現場作業、人間との信頼関係を必要とする仕事には需要が残る。2026年10月に対面・現場系の登録職種を大幅に増やした施策は、この変化への合理的な対応と評価できる。
中立では、低価格のオンライン仕事が縮む一方、法律相談と専門人材の仲介が利益を支えると見る。10年後の売上高は約91億円、純利益は約4.8億円である。留保利益から生じる余剰現金も含めた中立の時価総額は約90億円になるが、そこへ到達するまでの10年という時間と資本コストを考える必要がある。五つの筋書きを確率で重み付けした現在価値は約43億円で、希薄化を考慮すると現時点の時価総額を約38%下回る。事業の成長可能性は否定しないが、長く持つ株主にとっては、将来の期待よりも利益の持続性を厳しく確かめたい会社である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、第一に、この会社が10年後にも同じ理由で顧客から選ばれるかを考える。人の得意なことを必要な相手につなぐ行為はなくならない。しかし、その方法が現在と同じウェブサイトである保証はない。AIが仕事の相談から成果物の制作まで担うようになれば、単純な業務を発注する需要は減る。ココナラが生き残るには、専門性の高い人材を確実に見つける力を磨き、現場でしか実行できない仕事にも広がる必要がある。
次に問うのは、利益の質である。取引の仲介だけなら設備を多く持たずに済み、成功すれば高い資本効率を得られる。反対に、エージェント事業は人件費と営業費が大きく、売上高が伸びても利益率が低い場合がある。2026年に営業黒字を増やしたことは評価するが、買収による規模の拡大だけを成長とみなしてはいけない。資本コストを超える利益を安定して再投資できるかが、長期の価値を左右する。
さらに、会社が蓄える現金はすべて株主のものだとしても、株主がすぐに引き出せるわけではない。決済に伴う預り金や前受金は事業運営のために確保される。買収に使った資金は、取得した会社が将来稼げなければ戻らない。自己株式取得の実績は好ましいが、これからも買収と還元のどちらが有利かを厳格に選び続ける必要がある。
法律相談のように専門資格と顧客からの信頼が必要な領域には、比較的長い寿命を認められる。一方で、制作業務と人月型サービスの将来を10年先まで自信を持って予測することは難しい。したがって、現在の高いROEをそのまま延長せず、AIによる数量減少を中心の筋書きに含める。事業に成長余地があっても、将来の利益が現在の時価総額に対して十分な安全域をもたらすかは別問題である。この区別を守る限り、現時点ではより低い価格でなければ長期保有の確信を持ちにくい。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は二つある。第一はマーケットプレイスで、出品者と購入者をつなぐ「ココナラスキルマーケット」から取引手数料を得る。2026年8月期には登録会員620万人超、出品サービス114万件超、スキル登録者150万人超という供給基盤を持つ。取引流通額に対する手数料率はおおむね3割であり、売上を増やすには、購入者を増やすか、一人当たりの購入額を引き上げる必要がある。
同じマーケットプレイスには「ココナラ法律相談」も含まれる。こちらの稼ぎ方は通常の取引手数料と異なり、弁護士が集客のために支払う掲載料が中心だ。2026年8月期末の有料登録弁護士は約1740人となり、四半期の一人当たり収入も前年を上回った。弁護士には専門性と資格が必要であり、単純な制作業務よりAIに置き換わりにくい。ただし、相談者の検索行動がAI経由に移れば、法律相談サイトへの流入と掲載料金は影響を受ける。
第二はエージェント事業である。「ココナラテック」ではIT技術者を企業に紹介し、「ココナラアシスト」では継続的な業務を請け負う。2026年8月期の売上高は46.5億円で、全社の約45%を占める。期末の契約中企業は696社、稼働者は1167人となった。こちらは人を働かせる期間と受け取る単価が収入の基本であり、流通市場の仲介手数料とは経済性が異なる。売上には人件費に相当する部分も含まれるため、売上高の大きさだけでは利益の質を判断できない。
2026年10月にはAI導入支援会社Acrosstudioの株式51%を取得する契約を結び、AI専門組織も立ち上げた。これにより、既存の顧客へAIを導入し、その後の業務まで請け負う構想を描いている。しかし、AIコンサルティングは現時点では人の工数で売る仕事が多い。AIエージェントそのものを継続課金で販売し、十分な利益が出ているという実績はまだ確認できない。したがって、買収先の売上をそのまま高い成長率で延ばすことはしない。
数量と単価の分析では、実際の開示に近い単位を使った。スキルマーケットは四半期購入者数の年間延べ人数、法律相談は年間平均有料弁護士数、エージェントは稼働者の人月である。いずれも会社が全期間の完全な単価表を公表しているわけではなく、開示された数量と売上から実現単価を逆算した代理指標である。特にエージェントの人月単価は会社が請求する正規の契約単価ではなく、売上と稼働者数を対応させた分析用の数値である。
優良さと弱いところ
ココナラの堀、つまり競合が容易にまねできない強みは、買い手と売り手の両方が集まっていることにある。出品者にとって購入者が多い市場は魅力があり、購入者にとって専門家や過去の評価が豊富な市場は探しやすい。この相互作用は新規参入者に対する障壁になる。登録会員数だけでなく、サービス出品数と過去の評価が蓄積している点にも価値がある。
しかし、堀はまだ十分に広くない。購入者はクラウドワークスやランサーズを使うことも、検索エンジンやSNSで専門家を直接探すこともできる。売り手は複数の媒体に登録でき、購入者が一度見つけた専門家と次回から直接取引する可能性もある。加えて、生成AIの登場で比較対象そのものが人間の出品者から自動生成サービスに変わりつつある。買い手が減っても登録会員だけが増えるなら、ネットワーク効果は見かけほど強くない。
値決め力にも限界がある。2026年8月期のスキルマーケットでは購入者一人当たりの金額が増え、直近四半期の手数料率も約29.7%になった。しかし、購入者数は減り、低単価の制作依頼が減少している。単価上昇には高価格帯への取引構成の変化が含まれるため、同じ仕事について自由に値上げできた証拠とは区別する必要がある。法律相談では有料登録者数と一人当たり収入がともに伸びており、こちらの価格維持力は相対的に良い。
財務面では2026年8月期に自己資本23.3億円、現預金34.0億円を持つ。一方で、借入金と社債が約12.3億円あり、前受金と預り金を合わせて約14.7億円に達する。見かけの現金すべてを株主が自由に受け取れるわけではない。のれん約10.2億円と顧客関連資産約2.6億円もあり、買収先の収益性が悪化した際の減損余地を無視できない。
2026年8月期のROEは17.5%となったが、過去には赤字期が複数ある。新しく投じた資本が毎年高い利回りを生んだという証明はまだない。特にエージェント事業の利益改善には事業再編と買収が関係しているため、既存事業の成長と買収によって増えた売上を分けて評価する。現時点では、強い独占的な堀を持つ会社ではなく、規模とブランドに一定の優位がある普通の事業として扱う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
対象とする仕事の市場は非常に大きい。会社は個人・企業間のサービス市場を約37兆円、オンライン取引比率を約1%と説明している。両者を単純に掛けるとオンライン取引の市場は約3700億円になるが、これは異なる調査に基づく広い概算である。2026年8月期のココナラの取引流通額約169億円はその約4.6%に相当するものの、法律相談の掲載料や企業向けの人材派遣まで同じ定義で含まれるわけではない。厳密な市場シェアと断定してはいけない。
競合ではクラウドワークスとランサーズがオンラインの受発注市場に強く、ココナラは個人向けの完成品や専門相談を見つけやすい市場として差別化してきた。クラウドワークスの2025年9月期の連結売上高は約227億円、累計登録ユーザーは約744万人である。ただし、人材派遣や買収子会社の売上を含むため、ココナラの手数料収入と直接比較できない。法律相談では弁護士ドットコムが強力な競合であり、ココナラの有料弁護士約1740人が法曹界全体を支配しているわけではない。
2036年までに業界全体のオンライン化が進んでも、既存の仲介サイトが必ず成長するとは限らない。AIエージェントが発注者の要望を理解し、原稿作成や調査を自動で完了させれば、マッチングすべき人間の仕事が減る。さらにAI自身が専門家を探して発注するようになれば、顧客が直接訪れるウェブサイトの価値も変わる。新しい検索経路への対応は必要だが、接続先として選ばれただけでは手数料率を長期に守れるとは言えない。
一方で、すべての仕事がAIに置き換わるわけではない。現地での撮影、修理、住宅関連の仕事、専門家による最終判断には人間の身体と責任が必要になる。会社は2026年10月、プロフィールに登録できる職種を約200から約500へ増やし、新たな職種の約6割を対面・現場領域とした。出張撮影や修理関連の取引が伸びていることも公表している。この動きが継続的な売上に結び付けば、スキルマーケットの寿命は延びる。
中立では、オンラインサービスの潜在市場は大きくても、ココナラの実質購入者数は現在の8割へ縮むと見る。高価格帯と現場系への移行で一人当たりの売上は増えるが、市場全体の拡大に対して同社のシェアは緩やかに低下する。エージェント事業は人月で売る部分の実質数量を現在の65%とする。法律相談は有料弁護士数を95%とし、価格も物価上昇ほどは伸びない。AIが生産性を高める利益は、顧客による内製化と競合との価格競争にも分配されるためである。
資本政策と M&A
資本配分で最も注目すべきは、利益の再投資先が変わり続けていることだ。ココナラはスキルマーケットから法律相談へ、さらに法人向けエージェント事業へと広がった。エンジニア領域ではアン・コンサルティングの取得を通じて「ココナラテック」を強化し、2026年にはフレームキャリアを連結した。今後はAcrosstudioの51%を現金8.67億円で取得する予定であり、AI開発や業務受託に資本を向ける。取得予定日は2026年10月30日で、分析基準日の時点ではまだ完了していない。
2026年8月期の営業キャッシュフローは約8.3億円まで改善した。ただし、この数字には株式報酬費用やのれん償却などの非現金費用も関係し、すべてが自由に配れる利益ではない。買収によって生じたのれんと顧客関連資産の償却は、将来の利益を継続して圧迫する。買収代金だけでなく、統合後の採用費、営業費、追加投資まで含めた増分の投下資本利益率を確認したい。
還元は2025年8月期に約5.18億円、2026年8月期にも約1億円の自己株式取得を実施した。2024年から2026年にかけて実質株式数は約6%減っており、少なくとも還元を全く行わない経営ではない。一方で配当はなく、2027年8月期も無配予想である。過去の買い入れを理由に余剰現金の将来回収率は100%とみるが、買収で使う資金や顧客からの預り金まで余剰現金とは数えない。
会社が示す2027年8月期の業績予想は売上高130億円、営業利益6億円、純利益4.8億円である。決算説明資料ではEBITDA10億円も目標としている。ただし、2030年以降までを対象とする確約された中期経営計画の売上高、ROE、資本効率の数値目標は確認できず、配当性向、DOE、総還元性向、将来の自社株買い額についても数字の約束なしである。AI事業の拡大を掲げる経営には、買収後の実績で資本配分の良否を判断する必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人が自分の能力を収入に変えたいという需要も、企業が必要な専門家を迅速に見つけたいという需要も、10年後に消えるとは考えにくい。登録会員620万人超という基盤をすでに持ち、多くの仕事が並ぶ場所を新規参入者が再現するのは容易ではない。スキルマーケットの購入者数が減っても、一人当たり購入額は上昇している。高価格帯の専門仕事が増えれば、数量が大きく伸びなくても収益性を改善できる。
法律相談はより強固な収入源になる可能性がある。有料弁護士数と掲載料の双方が増えており、専門性の高い相談はAIが普及しても最終的には人間の資格と責任を必要とする。弁護士が安定して集客できれば継続契約が増え、広告媒体としての価値が強まる。マーケットプレイスの取引履歴と専門家の評価も、AIによる検索や推薦の品質を高める独自の材料になり得る。
経営の対応も早い。2026年10月には現場仕事への対応を広げ、AI導入支援会社の取得を決めた。顧客企業にAIを導入しながら、人間が担う専門業務の仲介も行えば、AIによる仕事の置き換えを新しい売上機会に変えられる。エージェント事業の採算改善はすでに進んでいる。既存の顧客基盤を活用して広告費や営業費を抑えれば、売上高がそれほど増えなくても営業利益は大きく伸びる。株主還元の実績もあり、余剰現金が最終的に株主へ戻る道筋を期待できる。
慎重な見方
最大の脅威は競合サイトではなく、仕事を発注する必要そのものが減ることだ。ココナラで取引されてきた低単価の文章制作、デザイン、調査、プログラム作成は、生成AIが最も得意とする領域に近い。実際に直近四半期の購入者数は前年同期比12%減少した。購入者一人当たりの金額が増えているのは好材料だが、少数の高価格案件に頼る構造になれば、取引件数が減った時の収益も不安定になる。
エージェント事業も安心できない。人月で働く技術者や事務担当者を紹介する仕事は、発注者がAIエージェントを導入したり、少人数の社員で仕事を内製化したりすれば、必要な人数が減る。料金を物価に合わせて上げられても、人月の減少を相殺できるとは限らない。さらに企業がAIを利用して専門家を直接見つけるようになれば、仲介業者が受け取る手数料にも圧力がかかる。
資本配分には別の懸念がある。エージェント事業の利益改善には買収と組織再編が関係し、過去の業績には赤字期が多い。2026年8月期末にはのれんと顧客関連資産が合計12億円を超えている。これから追加するAIコンサルティング事業も、人材の工数に依存するなら既存事業と同じ技術代替リスクを抱える。Acrosstudioの取得対価8.67億円は現在の自由に使える現金と比べて小さくない。新しい事業をつくろうとしても、買収先の利益が長続きしなければ株主に残る価値は乏しい。
登録会員数は大きいが、購入者や掲載者が他社に移ることを防ぐ契約上の壁は低い。法律相談にも強い競合がいる。会社が掲げる市場規模37兆円は十分大きいものの、その市場の大部分をココナラが獲得できる証拠にはならない。長期保有するなら、売上規模よりも、顧客が繰り返し利用する理由と利益率の持続を優先すべきである。
どちらに重みを置いたか
法律相談の成長と現場領域への展開には、慎重な想定を上回る余地がある。一方、スキルマーケットでは購入者の減少が始まり、エージェント事業は売上の約45%を占める人月型の仕事である。AI代替による数量減少を中立の数字に織り込んだうえで、買収の回収不確実性とネットワーク効果の弱まりを考慮し、確率は楽観側28%に対して悲観側43%と下に寄せた。事業の消滅を予測しているのではない。利益が続いても、現在の価格で10年間保有するための安全域が足りないと判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 378 円85 億円(+ 還元の換算額還元の合計 31 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 192 円43 億円、今との差 −32.3%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,012 円227 億円 | 87 円20 億円 | +287.2% | +15.4% | 99 円22 億円 |
| やや楽観 | 19% | 668 円150 億円 | 52 円12 億円 | +153.8% | +10.3% | 137 円31 億円 |
| 中立 | 29% | 394 円88 億円 | 35 円8 億円 | +51.0% | +4.4% | 124 円28 億円 |
| やや悲観 | 27% | 157 円35 億円 | 13 円3 億円 | −40.1% | −5.2% | 46 円10 億円 |
| 悲観 | 16% | 22 円5 億円 | 0 円0 億円 | −92.3% | −22.6% | 3 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 378 円85 億円 | 31 円7 億円 | +44.3% | +3.9% | 410 円92 億円 |
今の株価時価総額 284 円64 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 専門・現場仕事へ転換し、高収益基盤を確立 利益 15 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,012 円227 億円
スキルマーケットでは簡単な制作依頼をAIに奪われるものの、修理、現地撮影、専門相談など人間の実行力を必要とする仕事が増える。購入者の延べ人数は現在をわずかに下回る水準にとどまり、高価格帯への移行が進む。会社は専門家の本人確認、過去の評価、支払いの安全性を磨き、顧客が直接取引するより市場を利用する理由を強める。
法律相談では掲載弁護士が増え、集客力を保ったまま広告収入を伸ばす。エージェント事業はAIによって必要な人月が減るが、高度な実装支援と顧客の現場に入り込む仕事を残し、契約単価を上げる。AcrosstudioやElithとの取り組みが実際の顧客に定着し、買収のれんを上回る利益を生み出す。ただし現時点で売上実績が確認できないAIエージェント型製品について、架空の継続課金売上は加えない。
営業利益率は大きく改善し、積み上がる余剰現金の一部は自己株式取得に、残りは将来の株主価値として保有される。現在の株主の取り分には新株予約権による希薄化が生じるが、収益拡大がそれを上回る。これは既存事業を守りながら、仕事の性質が変わる局面を乗り越える最良の筋書きである。
- スキルマーケット・単発役務:数量 56.8(年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。)× 価格 1.20(購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。)→ 売上 68 億円・営業利益 12 億円。購入者延べ人数は現在の0.98倍。現場・高付加価値の取引構成へ移行して実現単価は1.45倍。AIによる需要減少があっても単価と利益率で補う。
- ココナラ法律相談:数量 1,937(年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。)× 価格 0.01(有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。)→ 売上 13 億円・営業利益 4 億円。有料弁護士数は1.15倍。掲載単価は10年間で物価並みの1.34倍となり、専門媒体の集客力を維持する。
- エージェント・継続役務:数量 9,284(推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。)× 価格 0.01(稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。)→ 売上 47 億円・営業利益 5 億円。人月型の実質稼働量は0.75倍、価格は物価並みの1.34倍。高度なAI実装・現場支援への構成転換が採算を改善する。
倍率:資本コストk=8.25%、2036年の全社ROE約19.5%。余剰現金55億円とその税後受取利息約0.77億円を事業部分から外すと、事業のROEは約60.9%。普通の堀で超過ROEの半分が残るとするRONICは約34.7%。ただしAIエージェント代替によって2036年以降の名目成長率g_longを0%とするため、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.121倍。事業利益14.61億円×12.121倍+余剰現金55億円×回収率1.0で時価総額232.09億円。市場のPERは使わない。
確率:高価格帯への移行、現場仕事の開拓、法律相談の拡大、買収したAI事業の収益化が同時に成功する筋書きである。ただし直近の購入者減少と人月型売上の大きさを踏まえ、実現確率は1割未満に抑える。
やや楽観 19% 高単価化と法律相談の成長が代替圧力を補う 利益 9 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 668 円150 億円
低価格の制作系取引はAIに移るが、ココナラは法人向けの専門相談や実物に関わる仕事を増やすことで、売上の落ち込みを抑える。購入者数は現在より減るものの、継続して利用する顧客は高い品質と安全な決済に対価を支払う。法律相談も有料弁護士数を増やし、専門的な集客媒体としての立場を保つ。
エージェント事業では、単純な事務処理や通常の開発案件がAIに置き換わり、人月の実質数量は28%減る。残った仕事はAI実装、システム連携、業務の最終確認などが中心となり、単価は物価上昇に近い幅で引き上げられる。Acrosstudioの買収によって得る技術者や顧客関係は役立つが、独自のAI製品が大きな継続収入を生むとまでは考えない。
事業利益率は現在より改善する。大規模な広告宣伝や新規事業への先行投資を抑え、既存会員の再利用を増やすことで、顧客獲得費用をコントロールできるためだ。長期の利益は伸びるが、2036年以降はAIと競合による単価圧力が続く。増えた利益は一部を還元し、残りを将来の株主が回収できる余剰現金として残す。
- スキルマーケット・単発役務:数量 53.4(年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。)× 価格 1.11(購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。)→ 売上 59 億円・営業利益 7 億円。購入者延べ人数は0.92倍。実現単価は物価並みの1.34倍。専門・現場業務への移行が単価を支える。
- ココナラ法律相談:数量 1,819(年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。)× 価格 0.01(有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。)→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。有料弁護士数1.08倍、価格1.23倍。専門集客の需要が継続する。
- エージェント・継続役務:数量 8,912(推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。)× 価格 0.00(稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。)→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替によって稼働人月は0.72倍、価格は1.28倍。人月依存は残るが高付加価値化を進める。
倍率:k=8.25%、全社ROE約13.3%、現金を除く事業ROE約36.5%。普通の堀で新規投下資本の超過利益の半分が残るとするRONICは約22.4%。ただし長期g=0%なので正当化PERは1/kの12.121倍となる。純利益9.424億円から余剰現金47億円の税後利息0.658億円を引いた8.766億円に倍率を掛け、余剰現金47億円を足す。
確率:専門家の評価情報、既存顧客、現場仕事への展開は実際に存在する強みであり、その効果が十分に出る可能性はある。ただし低価格制作の縮小は止められないため、数量の拡大までは想定しない。
中立 29% 人月と単純制作が縮み、専門取引が下支え 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 394 円88 億円
2036年には、単純なデザインや文書制作の依頼の多くがAIへ移っている。購入者がココナラを訪れる理由は、専門家による判断、実物を扱う仕事、経験に基づく相談などに移る。2026年に始めた対面・現場領域への展開が一定の取引を生むが、低単価分野の減少を完全には補えない。購入者の年間延べ人数は現在の8割になる。
法律相談は専門資格と人間の責任を必要とするため、比較的よく残る。ただし弁護士ドットコムなどの競合に加え、AI検索を通じた弁護士紹介が一般化することで、掲載単価の上昇は物価に届かない。有料弁護士数は現在の95%を維持するが、広告媒体として圧倒的な支配力を獲得するわけではない。
エージェント事業の稼働人月は現在の65%に縮む。AI導入支援は残るが、顧客が業務の一部を自動化するため、人を派遣して長期間請け負う仕事は減少する。取得予定のAI企業がもたらす売上を恒久的な成長源とはみなさず、買収のれんと人件費を含むコストを引いた後の利益を重視する。
2036年の売上高は約91億円、営業利益は約6.2億円、純利益は約4.8億円になる。現在より高い利益率を維持するが、数量減少によって利益の絶対額は大きくは伸びない。長年の留保利益の一部は余剰現金として残るため、事業そのものの価値に加えて回収可能な現金を評価する。それでも、10年間の資本コストを埋めるだけの期待収益には届きにくい。
- スキルマーケット・単発役務:数量 46.4(年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。)× 価格 0.98(購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。)→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。購入者延べ人数0.80倍。AIによる低価格制作の代替で数量が減る。実現単価は高単価仕事への移行で1.18倍だが、物価1.34倍には届かない。
- ココナラ法律相談:数量 1,600(年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。)× 価格 0.01(有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。)→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。有料弁護士数0.95倍、価格1.10倍。資格と信頼は残るがAI検索と競合によって掲載単価が物価に負ける。
- エージェント・継続役務:数量 8,046(推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。)× 価格 0.00(稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。)→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型として稼働人月0.65倍、価格1.22倍。AIエージェントによる顧客の内製化を数量減少に反映する。
倍率:k=8.25%、全社ROE約7.6%。留保された余剰現金39億円を外すと、事業の自己資本は約24億円、現金の税後利息0.546億円を除いた事業利益は4.233億円、事業ROE約17.6%。普通の堀でRONICは約12.9%。しかしAIエージェント代替を考慮した長期g=0%では正当化PERは12.121倍となる。事業利益4.233億円×12.121倍+余剰現金39億円×戻り方1.0=90.31億円。現在や過去の市場PERには依拠しない。
確率:直近の購入者減少と人月型事業への売上依存を中心に据える。市場全体ではオンライン化が進むが、AIによる直接処理が増えるため、ココナラの実質利用量が増えるとは仮定しない。下に寄せる理由:2026年の購入UU減少と買収によるのれん増加が同時に起きており、数量減少を十分に利益改善で補えるか確証がない。
やや悲観 27% 需要減少が続き、薄い利益だけが残る 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 157 円35 億円
スキルマーケットは低価格の制作仕事を大きく失う。高価格の専門相談や現場作業は残るものの、競合サイトや地域の事業者と直接契約する利用者も増える。取引の延べ購入者は現在の63%となり、手数料収入を支えるほどの値上げはできない。会社は広告宣伝費を削減して利益を守ろうとするが、規模が縮む市場では固定的な管理費の負担が重くなる。
法律相談では掲載する弁護士数が減り、AIが相談者を直接紹介する仕組みとの競争が強まる。一定の契約は残るが、かつてのような成長媒体ではなくなる。エージェント事業の人月は現在の55%に縮む。単価は上がるものの、顧客の自動化と内製化によって必要な技術者の人数が減るため、利益率は低い。
Acrosstudioを含む買収先では、当初の売上成長を維持できず、人件費の調整と投資回収に時間がかかる。のれん償却が続き、経営が期待する利益の積み増しには至らない。会社は新規買収を抑え、既存顧客を守る方針へ転換する。営業黒字は辛うじて残るが、高い資本効率を持つ企業とは評価できない。
それでも継続的な利益を生む法律相談と、過去に蓄えた利益の一部が現金として残るため、直ちに事業価値がゼロになるわけではない。株主還元は利益の縮小とともに減少する。2036年の時価総額は、稼ぐ力と回収可能な現金を合わせて約36億円にとどまる。
- スキルマーケット・単発役務:数量 36.5(年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。)× 価格 0.87(購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。)→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。購入者延べ人数0.63倍、実現単価1.05倍。AIとの競争で手数料率や価格上昇力が弱まる。
- ココナラ法律相談:数量 1,415(年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。)× 価格 0.01(有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。)→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。有料弁護士数0.84倍、価格据え置き。専門家の信頼は残るが広告投資が縮小する。
- エージェント・継続役務:数量 6,808(推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。)× 価格 0.00(稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。)→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。稼働人月0.55倍、価格1.10倍。AI代替により必要人数が減少し、固定的な営業費と採用費を負担する。
倍率:全社ROE約4.0%。余剰現金19億円と税後利息0.266億円を除いた事業ROEも約5.7%でk=8.25%に届かない。稼ぐ力の上限1/k=12.12倍より低い10倍を採用し、事業利益1.699億円×10倍+回収可能な余剰現金19億円=35.99億円。構造的な需要減少と利益の弱さを倍率に反映する。過去のPBRの底値は使わない。
確率:AIが単純制作や事務処理を代替する速度が想定より速く、法律相談でもAI検索による集客費の見直しが起きる筋書き。買収先の利益回復も限定的である。中立より下振れる要因は、すでに確認できる購入者減少と人月型売上の比率の高さにある。
悲観 16% AIへの直接移行で仲介基盤が縮小 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 22 円5 億円
2036年には、ココナラが得意としていたオンライン制作仕事の大部分をAIエージェントが処理している。購入者は人間の専門家を探す前にAIで仕事を終え、サイトを訪れる回数が減る。残る取引は現場での作業や特別な相談が中心だが、地域の業者との直接契約も増える。購入者の延べ人数は現在の45%へ縮み、広告宣伝を削っても規模の減少を補えなくなる。
エージェント事業では顧客企業が業務を内製化し、稼働人月は現在の38%へ縮む。AI導入を支援していた会社自身が、顧客による自動化の進展で人月売上を失う。Acrosstudioを含む取得企業の収益が想定を下回り、のれんの減損や撤退費用が生じる。正社員の人件費と既存顧客向けのサービス維持費が残るため、エージェント事業は赤字になる。
法律相談は資格を必要とするため市場から消えないが、AI経由の弁護士紹介が普及し、有料掲載弁護士数と料金がともに低下する。営業利益全体は約4億円の赤字となり、利益を資本還元へ回す余裕はなくなる。株主資本も減少する。
この場合、将来の時価総額は赤字事業の利益倍率では評価できない。現在の現預金から借入金、社債、顧客からの預り金と前受金を控除し、今後の買収支出、撤退費用、実体のないのれんを考慮した回収可能資産を床とする。株主に残る価値は限定的であり、現状の事業規模が維持されることを前提にした値付けはできない。
- スキルマーケット・単発役務:数量 26.1(年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。)× 価格 0.81(購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。)→ 売上 21 億円・営業利益 −2 億円。購入者延べ人数0.45倍、単価0.98倍。AIによる制作需要の消失と競争によって売上は現在の約44%になる。
- ココナラ法律相談:数量 1,095(年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。)× 価格 0.00(有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。有料弁護士数0.65倍、価格0.95倍。資格業務は残るがAIによる紹介が従来の広告モデルを侵食する。
- エージェント・継続役務:数量 4,704(推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。)× 価格 0.00(稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。)→ 売上 18 億円・営業利益 −2 億円。稼働人月0.38倍、価格据え置き。AIエージェント代替と顧客の内製化で人月売上が大幅に縮小する。
倍率:営業利益と純利益がともに赤字となるため、PERではなく回収可能資産を基準とするPBRで評価する。検査で基準となるfactsの2025年8月期自己資本は20.1億円である。2036年の自己資本11億円や2026年8月期の自己資本23.34億円をPBRの分母に使用しない。現在の基準自己資本20.1億円にPBR0.24876倍を掛けると約5.0億円となり、mcap_okuおよびfloor_assets_okuと一致する。この5億円は過去の市場の谷のPBRではなく、預り金、前受金、買収支出、撤退費用などを差し引いた売却可能資産の税後回収見込額である。
確率:AIの直接提供が一般化し、低価格制作、人月型業務、法律相談の広告集客が同時に縮小する複合的な失敗を想定する。買収投資も期待した収益を生まない。ただし資格が必要な法律相談と現場仕事は残るため、完全消滅より事業縮小の確率として評価した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
スキルマーケット・単発役務
個人や企業が専門家に制作、相談、調査、現場作業などを発注する市場。取引額に応じた手数料が収益源であり、売上高は総取引額ではない。AI代替の影響を直接受ける低単価の制作業務と、需要が残りやすい専門・現場業務を併せ持つ。
| 数量年間延べ四半期購入者数(万人回)。同一人物の複数四半期購入を重複して数える。 | 価格購入者1万人回当たりの年間実現手数料売上(億円)。購入者の支出額と手数料率を合わせた指標。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 58.0 | 0.83 | 48 | 2 |
| 10 年後 中立 | 46.4 | 0.98 | 45 | 3 |
取り方:2026年8月期決算説明資料22ページの購入UU数は四半期順に15.1万人、14.7万人、14.5万人、13.7万人で、合計58.0万人回。短信のマーケットプレイス売上のうち、一時点で移転される財の収益48.16909億円をスキル市場の代理値とした。48.16909÷58.0=0.83050155億円/万人回。会社がスキルと法律相談の個別営業利益を短信で開示しないため、営業利益はマーケットプレイス合計3.92267億円から法律相談への推定配賦1.6億円を控除した推計値であり、開示実績ではない。手数料率は直近四半期約29.7%、取引流通額は年間約165億円。出典:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261013549889.pdf および https://financialfilings.com/filings/coconala-inc/earnings-release/2026/69727720/
ココナラ法律相談
相談者が弁護士を探す専門メディア。弁護士から受け取る掲載・集客関連料金を中心に稼ぐ。資格を必要とする専門業務のため、スキル制作市場より直接的なAI代替は小さいが、AI検索による流入減少の影響を受ける。
| 数量年間平均有料登録弁護士数(人)。四半期末人数と直近ARPUから推計。 | 価格有料弁護士1人当たり年間実現売上(億円)。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 1,684 | 0.01 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,600 | 0.01 | 9 | 2 |
取り方:決算説明資料23ページに2026年8月期末の有料登録弁護士約1740人、四半期ARPU約12.6万円を開示。短信で一定期間にわたり移転されるマーケットプレイス収益8.49235億円を法律相談の代理売上とみなす。8.49235億円÷約50.43万円/年=平均約1684人と逆算。開示の四半期末人数と年間平均は異なるため推定値と明記する。営業利益1.6億円は開示されていない個別配賦の推計であり、スキル市場と合わせた3.92267億円のみが監査対象決算短信上の実績である。出典:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261013549889.pdf
エージェント・継続役務
IT技術者、業務支援人材、コンサルタントなどを法人に提供する事業。ココナラテック、ココナラアシスト、フレームキャリアなどを含む。顧客企業から人月・成果に応じて受け取る売上が中心である。
| 数量推定稼働人月(人月/年)。四半期末稼働者数を四半期の平均人数の代理として換算。 | 価格稼働人月当たり連結実現売上(億円)。人件費相当を含む総額であり、正規の契約単価ではない。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 12,378 | 0.00 | 47 | 1 |
| 10 年後 中立 | 8,046 | 0.00 | 37 | 1 |
取り方:決算説明資料27ページの四半期末稼働者数886人、985人、1088人、1167人を各3か月の平均人数の代理として換算すると、年間12378人月。短信のエージェント売上46.50469億円を割った単価は約37.6万円/人月となる。ただし稼働者数の測定時点、月中稼働、雇用形態や契約内容が異なり、正式な請求単価とは一致しない。営業利益1.00436億円は決算短信の報告セグメント実績。説明資料では管理会計上の費用配賦と区分が異なり、エージェント損失1.4億円と表示されているため、財務モデルには短信の連結セグメント利益を採用する。AIエージェント代替リスクの型は人月・工数型。出典:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261013549889.pdf および https://financialfilings.com/filings/coconala-inc/earnings-release/2026/69727720/
リスクと懸念
AI エージェント代替
文章、デザイン、調査、事務作業、通常のシステム開発は、AIが発注者の代わりに直接実行できる領域へ移りつつある。ココナラのスキルマーケットでは実際に低価格・制作系取引が減少し、購入者数にも下押しが出ている。エージェント事業は人月型の仕事が中心であり、顧客がAIを使って少人数で業務を完結させれば、単価を上げても稼働量が減る。中立では人月を10年で65%、2036年以降の名目成長率を0%とし、同じ理由を資本コストの寿命要因に重ねない。
購入者数の減少とネットワーク効果の劣化
2026年8月期第4四半期の購入者数は前年同期比12%減少した。登録会員が増えても買い手が減れば、出品者にとっての魅力は低下する。出品者がクラウドワークス、ランサーズ、SNSなどへ活動を移せば、提供サービスの質も下がり得る。高単価化で流通額を維持できている間に購入者数の減少が止まるかが、長期の堀を評価するうえで重要である。
M&Aの実行と資本回収
エージェント事業の成長には買収が関係しており、今後もAI分野へ投資を続ける方針である。2026年10月に予定するAcrosstudioの取得対価は8.67億円で、現在の自由に使える現金と比べて大きい。既存ののれんと顧客関連資産も合計約12.7億円に達する。買収先の社員や顧客が離れれば、売上だけでなく投下資本の回収も難しくなる。AIコンサルティングそのものが工数依存である点にも注意が必要だ。
法律相談の集客競争と広告単価
法律相談は専門資格を必要とするため比較的持続性が高いが、弁護士ドットコムなどの既存競合に加え、AI検索や新しい弁護士紹介サービスとの競争を受ける。広告主である弁護士が掲載料に見合う相談件数を得られなくなれば、解約や料金引き下げにつながる。有料登録弁護士の人数だけでなく、実際の相談流入、掲載継続率、一人当たり収入を併せて確認したい。
現金の自由度と希薄化
2026年8月期の純現金は約21.7億円あるが、決済に伴う預り金と前受金が約14.7億円ある。さらにAcrosstudioの取得代金支出が予定されており、全額を余剰資産として評価できない。新株予約権による潜在的な希薄化もあり、会社全体の利益が増えても既存株主の持分比率が低下する可能性がある。株主還元は買収資金との競合関係にある。
成長市場という説明の過大評価
会社が示す約37兆円の潜在市場は、幅広い個人・企業間サービスを含む概算である。市場が大きいことと、ココナラが高いシェアや手数料率を維持できることは別問題だ。対面仕事へ参入すれば市場は広がるが、地域の事業者、既存の予約サービス、価格比較サービスとの競争も生じる。新しい職種を登録できるようになっただけで実際の注文と利益が増えたと判断しないことが重要である。
今後の分かれ目
- スキルマーケットの四半期購入UU数が前年同期比で再び増加に転じ、その状態が4四半期以上続いたら
- 既存のネットワーク効果がAIによる需要減少を補っている証拠として評価する。中立の実質購入者数量を現在の0.80倍から引き上げ、楽観側の確率を増やす余地が生じる。単価上昇だけでなく購入者の回復が必要である。
- 法律相談の有料弁護士数と一人当たり収入が3年続けて増加し、解約率も低位で維持されたら
- 専門媒体としての値決め力を再評価する。法律相談の数量と単価を上方修正し、低価格制作市場とは異なる持続的な利益源としての重みを増やす。ただし記録の正本に相当する独占的な堀とは自動的に認定しない。
- AIエージェント製品の外部顧客向け継続課金売上と解約率が具体的な金額で開示され、増分利益率も確認できたら
- 人月型売上と別の収益源として評価する。実際に販売されているAI製品の売上と契約数だけを新たな数量・価格の単位に加え、継続収入に応じて長期成長率の再評価を検討する。実績のない構想だけでは変更しない。
- エージェント事業の稼働者数が減少に転じ、単価上昇でも売上総利益を維持できなくなったら
- AIによる内製化と案件減少が進んでいる可能性を重視し、人月の10年中立数量を65%よりさらに引き下げる。法人顧客数の伸びだけでは需要の健全性を判断せず、一社当たりの稼働人数を確認する。
- Acrosstudio取得後ののれん償却後営業利益と営業キャッシュフローが開示され、買収額に対する回収利回りが資本コストを継続して上回ったら
- 経営の資本配分への評価を引き上げる。AI事業が人月の減少を補うだけでなく利益率を高める証拠になれば、やや楽観側へ重みを移す。売上だけの増加では買収の成功としない。
- 現場・対面サービスの流通額が実際に増え、独立した継続購入者数と手数料収入が開示されたら
- AI代替の影響を受けにくい新しい仕事として評価する。市場の大きさを理由に先取りするのではなく、取引件数、獲得費用、再利用率を確認してスキル市場の数量予想を修正する。
見ておくもの
- スキルマーケットの四半期購入UU数と前年同期比増減率
- 購入者一人当たり購入額、流通総額、実現手数料率の三つの動き
- 有料登録弁護士数、四半期ARPU、解約率、法律相談への相談流入
- エージェントの契約企業数、稼働者数、一社当たり稼働人月、売上総利益率
- 2026年10月30日予定のAcrosstudio取得完了、取得後ののれん額と利益貢献
- AIエージェント製品の実際の外部売上、契約数、継続率と粗利益
- 対面・現場領域の取引流通額と継続購入者数
- 営業キャッシュフロー、買収投資、自己株式取得、株式報酬による希薄化
- 2027年8月期の売上高130億円、営業利益6億円、純利益4.8億円の会社予想の達成状況
- AIによる顧客の内製化と人月型契約の減少が開示に現れるか
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の株価310と、2026年8月期末の発行済株式から自己株式を一度だけ控除した22422510株により、現在の時価総額は約69.51億円となる。数量は購入者の延べ人数、有料弁護士数、稼働人月で置き、価格には物価と商品構成の変化を入れた。エージェントのAIエージェント代替は中立数量0.65倍と2036年以降のg_long=0%に反映し、資本コストの寿命要因には重ねない。倍率は現在や過去のPERではなく、k=8.25%、長期g=0%から得られる正当化PER12.121倍を楽観から中立の上限とした。余剰現金は利益に含まれる税後利息を除いて別に足す。悲観は検査基準の2025年8月期自己資本20.1億円にPBR0.24876倍を掛けた約5億円とし、2036年の自己資本や2026年8月期自己資本を分母に使わない。これにより悲観の時価総額5億円と回収可能資産の床5億円が一致する。五つの筋書きの10年後時価総額と期間還元を資本コストで割り引き、潜在株式の希薄化を反映した本質価値は約43.1億円、現在の時価総額との差は約-38%である。日本の新リース会計基準による表示変更が生じても、営業費用として負担する賃料と株主価値を二重計上しない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の循環、値決め力、純現金を反映した品質調整0.75%を加える。個別の買収失敗リスクは資本コストに上乗せせず、各筋書きの利益と確率に含める。