結論
SIGグループは、日立製作所グループ、NEC、テプコシステムズなどの大手顧客に、システム開発とインフラ・セキュリティサービスを提供するIT企業である。筆者の結論は「割高」だ。顧客との関係は長く、財務も健全だが、利益の源泉である技術者の工数そのものがAIによって減りかねない。長く持つ株主にとって、これまでの高いROEをそのまま10年先へ延ばすのは危険である。
2026年3月期の売上高は約109億円、営業利益は約7.5億円だった。過去10年のROE中央値は18%と高く、現時点の純現金も約10億円ある。顧客の基幹システムを深く理解する技術者を抱え、全国の拠点から人材を供給できることは確かな強みだ。だが、顧客が買っているものの相当部分は、同社だけにしか作れない製品ではなく、開発、導入、保守を遂行する人の時間である。価格交渉では大手元請けの力が強く、業務の自動化が進めば、顧客が必要とする時間そのものが減る。
会社自身が社内生成AI「SIGPT」の活用で開発工数を30〜50%削減できる可能性に言及していることを重く見る。短期には生産性改善が利益を押し上げても、10年では価格と契約工数の見直しが避けられない。会社は買収によって規模を拡大してきたが、のれんも約8.5億円に達した。追加買収が売上を押し上げても、その対価に見合う株主利益を生むとは限らない。
中立の筋書きでは、2036年3月期の売上高を約95億円、純利益を約4.5億円と考える。5つの筋書きを確率で重み付けした現在価値は約41億円で、基準日の時価総額約64億円を約36%下回る。留保現金の将来の回収には上振れ余地があるが、それを確実な利益として先取りすることはしない。事業が消滅するという判断ではない。事業が残っても、今の値段では株主の取り分に余裕が乏しいという判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主がまず確かめたいのは、10年後も顧客がこの会社にお金を払う理由である。公共やエネルギー関連のシステムは消えない。既存システムを知る担当者も必要だ。しかし、顧客が払い続けるのは問題を解決する対価であり、同じ作業に以前と同じだけ時間を使ったという対価ではない。作業時間の短縮が進む業界では、経験のある会社でさえ、請求できる数量が細る可能性がある。
同社には、大手企業との長期取引、全国での採用と育成、純現金という守りがある。2026年3月期の営業キャッシュフローは約6.9億円で、設備投資負担も重くない。見た目の純利益の相当部分が現金になる点は評価できる。ただし、ソフトウェア産業で本当に必要な再投資は工場ではなく、人材の再教育、顧客知識の更新、買収した会社の統合である。これらを怠れば、現金は残っても稼ぐ力が衰える。
資本配分では、売上を買うことと、価値を買うことを区別したい。買収した技術者が顧客基盤を広げ、追加の自己資本に対して資本コスト以上の利益を生むなら成功だ。逆に、人材確保のために高い対価を払い、AIによる単価引き下げで買収先の利益が細れば、のれんと株主資本を同時に傷つける。現在の開示だけでは、これまでの買収に十分高い増分ROICがあったと断言できない。
この会社を10年持つ理由は、独占的な製品ではなく、顧客の現場に必要とされ続ける組織を買うことにある。筆者はその組織の価値を認めるが、AIによる仕事の再配分を考えると、今の利益を永続的な高成長の起点にはしない。現在の時価総額には、利益が下がる時期を耐え、必要な買収や人材投資を行うための安全域が足りない。事業の存続確率が高いことと、株式の値段が魅力的であることは別なのである。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱はシステム開発である。2026年3月期の同分野の売上高は約78.0億円で、グループ全体の約72%を占めた。公共、エネルギー、製造業などの顧客に対して、業務アプリケーションの設計、開発、改修、保守を提供する。日立製作所グループとの公共分野の取引、テプコシステムズとの社会インフラ・エネルギー分野の取引など、長い業務経験が必要な案件を持つ。顧客側の仕様や既存システムを理解していることは、次の仕事を受注する力になる。
もう一つはインフラ・セキュリティサービスで、同じ期の売上高は約30.8億円だった。サーバーやネットワークの構築、クラウドへの移行、運用保守、脆弱性診断などを扱う。システム開発より継続的な需要を得やすい仕事が含まれるが、現時点で事業の中心が独自のセキュリティ製品や課金型基盤になっているわけではない。構築や運用の人手を提供する部分は、こちらもAIエージェントによる自動化にさらされる。
顧客にはNEC、日立製作所、テプコシステムズが並び、2026年3月期の売上構成比はそれぞれ約10.3%、9.7%、11.7%だった。上位3社で約31.7%を占める。顧客の信用力は高いが、案件の配分や価格を顧客側が左右しやすい構造でもある。開発現場では自社社員に加えて協力会社の技術者も使うため、受注増がそのまま高い限界利益になるとは限らない。
有価証券報告書上は単一の報告セグメントであり、システム開発とインフラ・セキュリティの営業利益は個別には開示されていない。この分析では、事業分野別に開示された売上高と従業員数を使って2つの分析単位を設けた。社員換算の年間人月を数量とし、協力会社分などを含む売上高をその人月で割った値を単価の代用とする。これは契約書上の平均人月単価ではない。開示のない数量を推定するための物差しであり、その不確かさも評価に残す。
優良さと弱いところ
同社の一番の強みは、顧客の古いシステムを知り、業務を止めずに改修する経験の蓄積にある。公共やエネルギーの現場では、仕様書だけでなく過去の障害対応や運用上の制約を理解することが重要だ。担当会社を替えると引き継ぎに費用がかかるため、継続受注を支える一定の乗り換え費用は存在する。しかし、契約解除率の低さを示す数字、独占的な共同利用基盤、独自データへの排他的なアクセス、法改正ごとの値上げ実績といった強い堀の証拠は確認できない。
財務の質は比較的よい。2026年3月期の自己資本は約28.1億円、純現金は約10.3億円で、過去10年のROE中央値は約18%である。過去に大きな連続赤字もなく、現在の借入をただちに返済できない会社ではない。一方、売上高は2016年3月期の約35億円から約109億円に増えたのに、営業利益率は過去の好調期の8%台から直近6.9%へ下がった。規模の拡大が持続的な値決め力の向上につながったとは言い切れない。
技術者の不足は、これまでは単価交渉を支えてきた。しかしAIがコード作成、テスト、障害調査、運用記録の整理を担えば、顧客が買う工数は減り得る。会社自身がSIGPTによる工数削減の可能性を示したことは、技術力の証拠であると同時に、人月で売る収益構造への警告でもある。生産性向上を利益として保持するには、契約を成果物や運用品質に応じた価格へ変える必要があるが、その転換が十分進んだという売上金額の証拠はまだ乏しい。
また、買収した会社の技術者を取り込み、既存顧客へ共同提案する戦略には合理性があるものの、のれん約8.5億円が自己資本に対して重い。高ROEが続いても、買収資金に対する増分の利益が資本コストを上回るかは別問題だ。現時点の評価は、継続取引に強みはあるが、10年後にも超過利益を守り抜く広い堀はない、というものである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は、2024年に約7.0兆円、2025年には約7.5兆円という規模にある。IDC Japanは2024〜2029年の名目成長率を年6.6%と予測した。基幹システムの刷新、クラウド移行、行政の標準化、データ活用への投資が需要を支える。市場全体の支出が増えるという見通しには根拠がある。ただし、市場の支出額が増えることと、個々の受託会社が必要とされる開発人月が増えることは同じではない。
競合はTIS、SCSK、BIPROGYなどの大手と、多数の中小受託会社である。各社の連結売上高を国内ITサービス市場と機械的に比べると、TISは約8%、SCSKは約10%、BIPROGYは約6%に相当する。一方、SIGグループ全体は約0.15%、システム開発分野に限れば約0.10%にすぎない。各社には海外売上や市場定義の異なる製品売上も含まれるため、これらは厳密な市場シェアではなく規模の比較である。元請けの大企業が受注を握り、SIGグループのような企業が専門性と人材を供給する構造がわかる。
インフラ・セキュリティ分野には成長余地がある。矢野経済研究所による2025年度の国内サイバーセキュリティ市場は約1兆9,471億円で、前年比9.2%増だった。SIGグループのインフラ・セキュリティ売上をすべてこの市場に含めても約0.16%であり、実際にはクラウド構築など市場定義の異なる仕事が混じるので、純粋なセキュリティ事業のシェアはこれより小さい。サイバー攻撃の増加と規制対応は需要を増やすが、監視、診断、定型運用のAI自動化も進む。
10年で最も大きい変化は、開発や運用の単位が人月から成果へ移ることである。大手顧客は自社のAI基盤と開発標準を整え、元請けは外注先に工数削減を要求しやすくなる。生成AIによって作業量が減った分を新規開発が埋めれば市場は伸びるが、すべての企業が同じ量の技術者を必要とするとは限らない。中立では同社が担う社員換算の開発人月が10年で約35%、インフラ・セキュリティ人月が約25%減ると見る。市場の名目拡大よりも、受託工数の減少と元請けとの価格交渉を優先して評価する。
資本政策と M&A
経営はM&Aを重要な成長手段としている。2023年にアクト・インフォメーション・サービス、2024年にユー・アイ・ソリューションズ、2025年にエイ・クリエイションをグループへ迎え、地域や技術領域を広げた。2026年3月期の増収にはエイ・クリエイションの連結寄与が大きい。一方、同じ期の純利益は前年からほぼ横ばいであり、買収による売上拡大が利益の増加に直結したとは言えない。のれんの償却と将来の減損が、株主の資本効率を左右する。
長期ビジョンでは2030年に売上高200億円、営業利益14億円を目指す。売上計画にはM&Aによる80億円を含み、営業利益率は7%に相当する。2027年3月期の第2フェーズ目標は売上高120億円、営業利益8億円へ更新されている。添付の業績下調べにある2027年3月期予想は売上高121億円、営業利益8.8億円であり、計画資料とは作成時点と数字が異なる。長期目標にROEの数値約束や自社株買い金額の数値約束は確認できない。
株主還元ではDOE、すなわち株主資本に対する配当の割合を6%程度とする方針を掲げる。2026年3月期の年間配当は総額で約1.7億円に相当し、株主優待も導入した。優待に関する引当額約0.124億円を年間の費用負担の目安とし、10年の還元額には現金配当と併せて含めた。利益が落ちる筋書きでも機械的にDOE6%を払い続けるとは考えず、資金繰りに応じた減配や優待縮小を織り込む。
現時点の純現金約10.3億円のうち、約7億円は日々の人件費や外注費を支払う運転資金と考え、明確な余剰分は約3.3億円とする。過去に増配はあるが、高い配当性向や大規模な自己株式の継続取得が定着したとは言えず、余剰現金が全額株主に戻るとは見ない。大株主上位10名の保有割合も約55%で、極端に強い支配を理由に現金価値を半分にする条件には当たらない。現金の株主への戻り方は75%と評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
SIGグループの顧客は、単純なWebサイト制作を発注しているのではない。公共、電力、製造業の複雑な既存システムを安全に動かし、少しずつ更新するために同社を使っている。日立製作所グループやテプコシステムズとの長い関係は、新しい会社が容易に取って代われない経験の蓄積を意味する。開発工数の一部がAIで減っても、古いシステムの仕様を確認し、顧客の承認を得て、本番の障害を引き受ける仕事は残る。むしろAIによる生産性向上の初期段階では、少ない人員で従来以上の仕事をこなし、利益率を改善できる。
会社は全国拠点を使った採用と技術者育成を重視している。採用競争が激しい地域だけで人材を集める大企業と違い、地方の技術者を大手顧客の案件へ結びつけられる利点がある。顧客のデジタル化は長い期間続き、特に重要インフラではシステム刷新を先送りするほど障害リスクが高くなる。AIによる開発の効率化が、これまで採算の合わなかった案件の実現につながる可能性もある。
セキュリティではサイバー攻撃の高度化が企業の継続的な支出を促す。CAICなどの横断組織が、クラウドとセキュリティの案件を既存顧客へ販売できれば、採用や買収で増えた技術者の稼働も改善する。DOE6%という配当方針は、成長のための買収が続く会社としては株主への還元意識を示す。純現金を抱えた財務は、受注が一時的に減った時にも人材を維持する余力を与える。こうした条件がそろえば、高いROEと十分な営業利益を10年後にも残せる。
慎重な見方
最大の問題は、同社が生み出す成果物ではなく、その成果物を作る時間が売上の単位になっていることである。顧客がAIでソースコード、試験項目、設計文書、運用手順を作れるようになれば、従来の外注工数をそのまま発注する理由はなくなる。会社自身がSIGPTによる工数30〜50%削減の可能性を確認している。これは抽象的な将来の脅威ではない。今の受託契約に基づく売上の数量が減る可能性を、会社の資料が示している。
同社の顧客基盤には強みがあるが、上位3社で売上の約3分の1を占める。元請けの大企業には、自社開発基盤を整え、案件ごとに協力会社へ価格交渉を行う力がある。長い取引関係は一定の継続性を保証しても、同じ単価と同じ工数の維持までは保証しない。インフラ・セキュリティでも、クラウド構築や監視の定型作業はAIや大手クラウド事業者のサービスに吸収され得る。独自製品の売上や、解約不能に近い共同利用基盤の収入が十分大きいという証拠もない。
経営がM&Aで人材と売上を増やしている点にも注意が必要だ。人月商売の市場価格が下がる局面で人材を高く買い集めれば、取得時に計上したのれんの回収が難しくなる。2026年3月期は売上が大きく増えたが、純利益の増加は小さい。これだけでは規模の経済が働いたとは言えない。DOE配当が維持されても、利益率が低下した後には株主資本を削りながら配当することになりかねない。事業の必要性だけで高い収益力まで保証することはできない。
どちらに重みを置いたか
存続性と顧客の信用力では強い見方に分がある。しかし、株主の利益を決めるのは顧客との取引が続くことだけではなく、そこからどれだけの工数と利益を請求できるかである。SIGPTで工数削減の可能性を確認したという会社固有の事実と、上位顧客の交渉力を重く見て、やや悲観と悲観を合わせて38%、楽観とやや楽観を合わせて28%とした。中立の数量自体にAI代替を織り込んでおり、同じ脅威を資本コストの寿命加算や追加の確率引き下げで二重に数えてはいない。現時点では慎重な見方が勝る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,152 円66 億円(+ 還元の換算額還元の合計 370 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 801 円46 億円、今との差 −14.7%、 期待の年率 +5.7%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,628 円151 億円 | 516 円30 億円 | +234.9% | +14.5% | 283 円16 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,786 円102 億円 | 464 円27 億円 | +139.6% | +10.5% | 428 円25 億円 |
| 中立 | 34% | 1,271 円73 億円 | 433 円25 億円 | +81.4% | +7.2% | 579 円33 億円 |
| やや悲観 | 25% | 447 円26 億円 | 318 円18 億円 | −18.5% | −2.5% | 191 円11 億円 |
| 悲観 | 13% | 245 円14 億円 | 66 円4 億円 | −66.8% | −11.4% | 40 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,152 円66 億円 | 370 円21 億円 | +62.0% | +5.7% | 1,521 円87 億円 |
今の株価時価総額 939 円54 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 重要システムの更新需要を取り込み、採算を改善 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,628 円151 億円
公共とエネルギーの基幹系システム刷新が長期に続き、SIGグループは既存顧客の更新案件を取り切る。日立製作所グループやテプコシステムズでの経験を評価され、AIが開発時間を短縮しても、その分だけ次の刷新案件や品質保証の仕事が生まれる。社員換算の開発人月とインフラ・セキュリティ人月はいずれも現状水準を維持する。物価に沿った値上げも顧客に受け入れられ、売上高は約146億円に達する。
クラウドとセキュリティの共同提案が定着し、CAICを中心とした横断的な営業活動が利益率を改善させる。買収先との重複費用も整理され、システム開発の営業利益率は11%、インフラ・セキュリティは12%まで上がる。既存顧客との関係は維持され、利益は人材育成とDOE配当に配分される。ただし、独自データ基盤の支配や強い値決め力が生まれたとまでは考えず、10年後以降の長期成長には慎重な姿勢を保つ。
- システム開発:数量 6,204(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値))→ 売上 104 億円・営業利益 11 億円。社員換算人月は現状の1.00倍、単価は1.34倍。AI効率化による空き時間を別案件が埋め、営業利益率11%。
- インフラ・セキュリティサービス:数量 2,424(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値))→ 売上 41 億円・営業利益 5 億円。社員換算人月は現状の1.00倍、単価は1.34倍。セキュリティ案件の構成改善で営業利益率12%。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。AIエージェント代替により10年より先の名目成長は0%とするため、正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=1/0.0775=12.903倍。10年後ROEは約13.3%で資本コストを上回るが、g=0のため高ROEを別途上乗せしない。現金の利息相当0.0462億円を純利益から控除して事業利益に倍率を掛け、余剰現金3.3億円の株主帰属分75%を加える。市場のPERは使わない。
確率:顧客がAIによる工数削減を実現しても、重要システムの更新案件と新規案件を継続的に受注し、実質の社員換算人月を両分野とも現状維持できる筋書き。単価上昇も物価並みに認められ、事業運営と買収後の統合がともに成功する必要があるため、確率は低めとする。会社が販売実績を金額で開示していないAI製品の大幅成長は含めない。
やや楽観 19% 開発工数は減るが、高度な案件と保守が残る 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,786 円102 億円
顧客のシステム刷新需要は続くものの、AIで単純な開発とテストの仕事が減っていく。同社は顧客業務に詳しい技術者を設計や品質保証へ移し、主要取引先との関係を守る。開発分野で必要とされる社員換算人月は現在の約83%に、インフラ・セキュリティでは約88%に減る。それでも物価に近い単価引き上げが進み、売上高は約122億円を維持する。
セキュリティ対応とクラウド移行は、システム開発より仕事の減少が小さい。組織再編と人材の配置転換がうまく進み、固定費の増加を抑えられる。営業利益率は開発分野で9%、インフラ・セキュリティで10%を超える。買収は慎重に進め、既存ののれんを大きく傷つけることはない。過去のような売上の急拡大は終わるが、顧客の信頼を失わずに一定の収益力と配当を維持できる10年となる。
- システム開発:数量 5,149(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値))→ 売上 85 億円・営業利益 8 億円。数量は現在の0.83倍、単価は1.32倍。高度な設計と品質保証を維持し、営業利益率9%。
- インフラ・セキュリティサービス:数量 2,133(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。数量は現在の0.88倍、単価は1.34倍。継続的なセキュリティ需要で減少を抑える。
倍率:k=7.75%、g_long=0%から正当化PERは12.903倍。10年後ROEは約11.1%で資本コストを上回るが、人月ビジネスの長期成長率を0%とするため、楽観シナリオであっても倍率に追加成長を織り込まない。純利益から余剰現金の税後利息0.0462億円を控除し、余剰現金3.3億円×株主への戻り方0.75を別に加える。
確率:AIに定型工程を任せながら、顧客知識を要する刷新と高度な保守を取り続ける筋書き。開発人月83%、インフラ人月88%の維持は十分に可能だが、元請けの価格交渉力が残るため、物価を超えた持続的な単価上昇までは認めない。
中立 34% AIによる人月の減少を、値上げと顧客基盤で一部吸収 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,271 円73 億円
10年後も公共、電力、製造業の情報システムは必要とされる。SIGグループも引き続き、日立製作所グループやテプコシステムズなどの重要顧客から案件を受ける。ただし、AIがコード生成やテスト、運用手順の作成を引き受け、従来と同じ人数と時間を請求する契約は少なくなる。開発分野の社員換算人月は現在の約65%、インフラ・セキュリティでは約75%へ減る。
技術者の賃金は上昇するが、顧客にも効率化の恩恵が渡るため、人月換算単価は物価よりやや緩やかな上昇となる。高付加価値の開発が残り、営業利益率は大幅には崩れない。それでも売上高は約95億円へ減り、純利益は約4.5億円となる。2030年に掲げる売上高200億円の実現には買収による大きな上積みが必要だが、ここでは買収額そのものを価値創出とはみなさない。DOE配当を続けることで株主資本の増加は抑えられるものの、利益の伸びが鈍るためROEは過去の水準を下回る。
- システム開発:数量 4,033(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値))→ 売上 64 億円・営業利益 5 億円。数量は現在の0.65倍、単価は1.27倍。AIエージェントが定型の開発・テスト工数を代替する。
- インフラ・セキュリティサービス:数量 1,818(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値))→ 売上 31 億円・営業利益 3 億円。数量は現在の0.75倍、単価は1.32倍。攻撃対応需要は強いが、監視・運用の自動化が進む。
倍率:基本の資本コスト7.5%に品質調整0.25%を加えたk=7.75%を用いる。AIエージェント代替によって10年後以降の名目成長はg_long=0%であり、正当化PERの上限は12.903倍となる。事業ROEは約9.1%まで低下するがkを上回るため、利益ベースの上限そのものを用いる。純利益から余剰現金3.3億円に対応する税後利息0.0462億円を除き、余剰現金の75%を別に加える。
確率:会社が社内生成AIで工数30〜50%削減の可能性を示した事実を中心に置き、開発の社員換算人月は0.65倍、インフラ・セキュリティは0.75倍とする。価格は人件費・物価の上昇を一部転嫁するが、元請けとの交渉を考えて開発1.27倍、インフラ1.32倍にとどめる。
やや悲観 25% 元請けの内製化で受託工数が縮み、買収効果も薄れる 利益 2 億円 · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 447 円26 億円
大手顧客はAIを前提とした開発基盤を整え、以前は外注していたコード作成、試験、運用調査を社内で処理するようになる。日立製作所グループやNECなどとの取引は続くものの、案件当たりの外注工数は大きく減る。開発の社員換算人月は現在の約48%に落ち込み、インフラ・セキュリティも約55%となる。顧客は生産性向上による原価削減を求め、名目単価の上昇も物価に届かない。
売上高は約64億円となり、事業規模に見合わない間接部門や管理費の負担が重くなる。開発分野の営業利益率は5%へ低下し、グループの純利益は約1.6億円に細る。買収した会社との人員配置を見直し、のれんの一部を減損する。配当は財務の余力と利益を勘案して抑えられ、優待の維持も検討対象となる。システムを安全に動かす仕事は残るものの、従来の人月商売が高いROEを生む構造は崩れている。
- システム開発:数量 2,978(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月))× 価格 0.01(社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値))→ 売上 43 億円・営業利益 2 億円。数量0.48倍、価格1.16倍。顧客のAI内製化と外注単価の圧迫が同時に起きる。
- インフラ・セキュリティサービス:数量 1,333(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月))× 価格 0.02(社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。数量0.55倍、価格1.20倍。運用の自動化で社員換算の提供工数が縮小する。
倍率:10年後のROEは約4.2%でk=7.75%以下となる。将来の追加投資が資本コストを十分に稼げないため、稼ぐ力の上限1/k=12.903倍以下で評価する。さらに顧客依存と買収先の収益力低下による利益の持続不確実性を反映し、12.3倍とする。余剰現金の帳簿額は基本3.3億円の75%に減るとし、その税後利息を利益から除き、残額への株主還元係数0.75を加える。
確率:AIの内製化を先行する大手顧客が開発工程を吸収し、開発人月が現在の48%、インフラ人月が55%に落ち込む場合。工数が減った分の価格転嫁も弱くなり、のれんの一部を減損する可能性がある。重要顧客への依存と買収によるのれんの積み上がりを踏まえて25%とする。下に寄せる理由:同社自身が開発工数30〜50%削減の可能性を示しており、AIを使う元請け企業から受託人月を削減される可能性が具体的だからである。
悲観 13% 開発業務が構造的に代替され、のれんを失う 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 245 円14 億円
システム開発では、AIエージェントが設計補助、コード作成、テスト、修正を一体で行うようになる。顧客と元請けは自社の開発基盤を持ち、外部の人月契約を大幅に減らす。SIGグループの社員には責任を持つ設計や最終確認の仕事が残るが、売上を支えてきた定型作業は消える。開発人月は現在の約32%となり、名目単価もほぼ据え置かれる。インフラ・セキュリティでも、監視や設定変更の相当部分が自動化される。
売上高は約38億円に落ち込み、固定費と本社管理費を吸収できなくなる。開発部門の営業利益はほぼゼロとなり、グループ全体では営業赤字に転落する。買収した会社の収益見通しが崩れ、のれんの大半が減損対象となる。配当は途中から停止され、余剰現金の一部は事業再構築に使われる。倒産を前提にはしないが、以前のROEを稼ぎ直す見通しは薄い。残る価値は、事業が短期に生む赤字ではなく、現金と回収可能な資産を慎重に売却した場合の価値で測る。
- システム開発:数量 1,985(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月))× 価格 0.01(社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。数量は現在の0.32倍、単価は0.99倍。AIと顧客内製化により、従来の人月売上が大幅に失われる。
- インフラ・セキュリティサービス:数量 1,018(社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月))× 価格 0.01(社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。数量0.42倍、単価1.04倍。セキュリティ需要は残るが、監視と運用の工数収入が細る。
倍率:10年後は赤字で永続的な利益の倍率を使えない。現在の自己資本28.1億円に0.50倍を掛け、14.05億円とする。10年後の自己資本30.89億円に倍率を掛けるのではない。財務資産からの回収可能額として見積もった14.0億円をわずかに上回り、悲観の資産の床も満たす。過去の株価やPBRの安値から決めた倍率ではない。
確率:顧客のAI内製化、低価格の自動開発サービス、買収先の採算悪化が重なる構造的な敗北。開発人月は現在の約32%、インフラ人月も約42%となり、売上高が現在の約35%まで縮小する。確率は極端に高くないが、社内の工数削減実績と元請け依存を考えると無視できない。下に寄せる理由:受託作業の自動化が進むと、同社だけが従来の工数を維持できる独自資産の証拠がない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
システム開発
公共・エネルギー・製造業などの業務アプリケーション開発、既存システムの更新、保守。報告セグメントではなく開示された事業分野による分析区分であり、AI代替の型は「人月・工数で売る受託開発」とする。
| 数量社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員517人×12カ月) | 価格社員換算1人月当たり売上高(億円。協力会社への外注を含む売上を人数で割った換算値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,204 | 0.01 | 78 | 6 |
| 10 年後 中立 | 4,033 | 0.02 | 64 | 5 |
取り方:2026年3月期有価証券報告書の分野別売上高は7,796,263千円、同分野の従業員は517人。数量を517人×12カ月=6,204人月とし、価格は77.96263億円÷6,204人月=約0.01256651億円、すなわち約125.7万円/人月と推定した。これは実際に請求した契約人月単価ではなく、外注・協力会社の売上も含む社員換算の値である。分野別営業利益は未開示のため、6.0億円は全社営業利益7.5億円との整合を確認するための分析上の配賦である。国内ITサービス市場2025年約7.5兆円との比較では、この分野の売上は市場規模の約0.10%に相当するが、開発だけの厳密なシェアではない。長期の数量にはAIエージェントによる開発人月の減少を適用する。
インフラ・セキュリティサービス
インフラ構築、クラウド移行、運用保守、セキュリティ対策支援。独自SaaSの継続課金ではなく、人による構築・運用・導入支援が主体と判断し、AI代替の型は「人月・工数で売るサービス」とする。
| 数量社員換算の年間人月(2026年3月期の分野別従業員202人×12カ月) | 価格社員換算1人月当たり売上高(億円。外注、機器、クラウド関連の取扱収入を含む換算値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,424 | 0.01 | 31 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,818 | 0.02 | 31 | 3 |
取り方:2026年3月期有価証券報告書の分野別売上高は3,081,031千円、同分野の従業員は202人。数量を202人×12カ月=2,424人月とし、価格は30.81031億円÷2,424人月=約0.01271052億円、すなわち約127.1万円/人月と推定した。契約件数や純粋な保守契約単価は非開示なので換算値にとどまる。営業利益2.72億円は推定配賦であり、システム開発6.0億円と合わせ、本社費等の調整-1.22億円を差し引いて全社7.5億円となる。矢野経済研究所の国内サイバーセキュリティ市場は2025年度約1兆9,471億円。この分野の全売上を充てても市場の約0.16%であるが、実際にはクラウド構築など非セキュリティ業務を含む。AIによる監視・運用の自動化を数量に反映し、セキュリティ需要の強さで開発分野より下落を緩やかにする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
同社の主力は人月や工数に連動する受託開発と構築・運用サービスである。社内AI「SIGPT」について会社は開発工数30〜50%削減の可能性を示している。開発生産性の向上は短期には利益率を助けるが、顧客や元請けが工数削減分を価格へ反映させれば、受注数量が減る。独自AI製品の売上金額が明確に開示されない限り、AIによる新規収入がこの減少を埋めると先取りしない。
大手元請けと顧客集中
2026年3月期の売上はテプコシステムズ、NEC、日立製作所の3社で約31.7%を占める。顧客との長い取引には価値があるが、受注配分を決める力やAIによる標準化の主導権は大手元請けが握りやすい。特定の顧客による外注方針の変更や単価引き下げが、同社の稼働率と利益を同時に圧迫する。
M&Aとのれんの回収
買収による人員と売上の拡大が続き、のれんは約8.5億円に達した。2026年3月期には売上高が伸びた一方、純利益はほぼ横ばいだった。買収先の技術者を十分稼働させ、取得対価を上回る利益を得られなければ、追加投資の収益率は資本コストを下回る。AIによる価格競争が強まる局面で買収先の事業価値が下がれば、のれん減損が発生する可能性もある。
セキュリティ需要の成長と自動化の競争
サイバー攻撃の増加は継続的な需要を生むが、大手クラウド事業者やセキュリティ製品メーカーもAIによる自動監視と復旧機能を強める。SIGグループが独自製品を持たず、他社製品の導入・構築・運用に依存する限り、市場全体が成長しても自社の請求人月や単価が伸びるとは限らない。仕事の内容が高度な設計へ移るかが分かれ目になる。
人件費、外注費、固定費の硬直性
技術者不足による賃金上昇は採用と定着に必要な支出を増やす。売上が工数の減少で細る時にも、管理部門、教育費、オフィス費用は同じ速さでは減らない。有価証券報告書の賃借料などを踏まえると事業拠点の固定費負担も無視できない。2028年3月期からの新リース会計基準で貸借対照表の見え方が変わっても、支払い義務そのものが新たに生まれるわけではない。
現金と政策保有株式の実際の換金価値
現時点で純現金は厚いが、その全部が株主へ戻せる余剰資金ではない。日々の給与と協力会社への支払いに必要な運転資金があり、投資有価証券には非上場株式が多い。景気悪化や買収先の不振時には現金が先に使われる可能性がある。帳簿の資産をすべて額面で株式価値に加えると、少数株主の取り分を過大に見積もる。
今後の分かれ目
- システム開発の売上高が減少しても、案件当たりの粗利益と営業キャッシュフローが連続して改善したら
- AI効率化の成果を同社自身が保持している証拠となる。開発分野の利益率を引き上げ、中立からやや楽観へ確率を移す。ただし売上成長ではなく利益の質の改善として評価する。
- SIGPTや外部向けAIサービスの受注額、売上高、契約数が分野別に開示され、その収入が継続的に増えたら
- AIを自社の商品として販売できるという証拠になる。該当する事業部分を従来の人月型から分け、数量と単価を再評価する。売上実績が確認できるまでは単なるAI導入件数を成長の証拠とはしない。
- 日立製作所グループ、NEC、テプコシステムズ向けの売上高が同時に減り、開発人員の稼働率も下がったら
- 顧客のAI内製化や発注先再編が起きている可能性を重く見て、やや悲観と悲観の確率を上げる。短期の景気循環ではなく継続的な受託工数の減少かを確認する。
- インフラ・セキュリティで複数年契約、解約率、独自製品売上が開示され、継続収益の構成比が高まったら
- 同分野の乗り換え費用と値決め力を再評価する。顧客の操作画面だけでなく記録の正本や規制対応を担い、堀の証拠が複数そろえば、同分野に限り長期成長率を引き上げる余地がある。
- 新規買収の後に営業キャッシュフローが伸びず、のれんの償却または減損負担が増えたら
- 売上を買っただけで株主価値を増やせていないと判断する。利益率、自己資本の減少、余剰現金の縮小を反映し、悲観側の資産価値も見直す。
- DOE6%の配当が維持され、余剰現金の積み上がりに対して追加の配当や自己株式取得が実行されたら
- 現金が少数株主へ戻る確度を高め、余剰現金の回収係数を0.75から1.0へ見直す。実行前の将来方針や期待だけでは係数を引き上げない。
見ておくもの
- システム開発とインフラ・セキュリティサービスの分野別売上高、受注残高、推定社員換算人月の推移
- 分野別従業員数、協力会社費用、社員1人当たりの売上高と粗利益
- 顧客契約が人月・工数型から成果物・運用品質に応じた対価へ移行した割合
- SIGPTの導入による実際の開発工数削減率と、顧客への値引き要求の有無
- 外販AIサービスの受注額、継続契約額、独自製品売上の開示
- テプコシステムズ、NEC、日立製作所など大口顧客の売上構成比と受注継続状況
- 買収先別の採算、のれん残高、減損損失、営業キャッシュフロー
- DOE6%の維持状況、株主優待の費用、自己株式取得、純現金の使途
- 国内ITサービス市場とサイバーセキュリティ市場の支出額、および運用自動化の普及
倍率と資本コストの決め方
株価と現在のPERを見ずに、2026年3月期の分野別売上高と分野別従業員数から社員換算人月と売上単価を推定した。10年後の中立ではAIエージェント代替により開発数量0.65倍、インフラ数量0.75倍とし、名目価格はそれぞれ1.27倍、1.32倍とした。物価3%分を数量には含めていない。資本コストは7.75%、10年後以降の名目成長率は0%であるため、楽観から中立の正当化PERは12.903倍となる。現在や同業の市場倍率を根拠にしていない。AIによる縮小は10年の数量とg_longに反映し、寿命による資本コスト上乗せを重ねない。悲観は今の自己資本からのれんや繰延税金資産などを控除した回収可能額を床とし、将来の自己資本へ過去のPBRを掛けない。新リース会計基準による表示変更は経済的価値の増減と混同しない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本の株主資本コスト7.5%に、循環0%、値決め力+0.5%、純現金-0.25%、寿命0%を加えた7.75%。買収の成否やAIによる案件減少は確率と事業シナリオで扱い、個別のリスクプレミアムは足さない。