結論
エクスモーションは、自動車や産業機器の組込みソフトウェア開発を改善する技術コンサルティング会社である。長期株主の立場での結論は割高だ。難しい設計を顧客の現場に定着させる技術力には値打ちがあるが、現時点の売上の約97%は人が提供する支援から生まれ、10年後に同じ仕事量が請求できるとは考えにくい。
事業が突然不要になるという意味ではない。ソフトウェアで機能を更新する自動車や、自動化が進む半導体装置には、要求定義、品質保証、安全性の検証が残る。2026年11月期第3四半期にはAI関連顧客向けの売上が伸び、全社でも増収増益だった。しかし、顧客自身がAIを使うほど作業工数は圧縮される。自社製のCoBrainでこの変化を収益に変えられるかが、将来価値を大きく分ける。
2025年11月期の純現金は約14.4億円で、借金のない財務は強い。それでも自己資本利益率は7%台にとどまり、稼いだ資金を高い利回りで再投資できることは立証されていない。主要な自動車関連3社向け売上が約63%に集中し、新しい月額課金商品も2026年時点では計画未達である。収益の先行きを読みにくい部分には安全域が要る。
5つの筋書きを資本コスト7.25%で評価すると、10年の配当等も含めた現在の本質価値は約17.4億円となり、基準時価総額40.5億円を約57%下回る。十分に成功する筋書きは残すが、期待だけで人月の減少を埋めた評価はしない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって大切なのは、契約を増やすことより、投じた資金が何年も生み続ける現金である。エクスモーションには熟練した技術者と難しい顧客課題を解く能力があり、それ自体は価値を持つ。だが、コンサルタントが一日働かなければ一日の売上が生まれない収益構造なら、人への再投資を止めると競争力も売上も衰える。ソフトウェア開発の仕事が増えることと、この会社の株主に帰属する利益が増えることは同じではない。
2025年の営業キャッシュフローは約2.52億円と純利益より大きい。しかし契約資産の回収など運転資金の改善を伴っており、毎年その金額を自由に使えるわけではない。設備投資の多くはAIサービス向けのソフトウェア開発で、研究や改良の費用は製品が売れ続けても繰り返し発生する。オーナー利益は、利益から必要な商品改良と人材維持の投資を考慮して測るべきだ。
最も評価したいのは、顧客が使う要件定義の仕事を自らAIで置き換える意思を会社が明言していることだ。新しいCoBrainの売上はすでに発生しているので、事業転換は単なる標語ではない。だが、競争相手も強力なAIを使え、顧客自身にも同じ技術が届く。解約率、利用単価の推移、開発投資に対する回収率が明らかになるまでは、継続課金を独占的な資産として扱えない。
純現金が厚いからという理由だけで高く買うこともしない。帳簿上の余剰資金の使い道は支配株主と経営者が決め、株主には満額戻る保証がない。人月に頼らず稼ぐ証拠が積み上がるなら将来の評価は変わる。しかし現段階では、よい顧客を持つ技術会社として敬意を払いつつ、価格と本質価値の間に十分な安全域を要求する。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの大半は、製造業の開発現場に専門家が入って問題を解く対価である。組込みソフトウェアの設計、要求整理、レビュー、開発工程の標準化に強く、SUBARUやトヨタ自動車、半導体装置メーカーなどから直接受注する。2026年度第1四半期の会社資料では直接取引比率が97.7%に達する。顧客の開発組織を動かす仕事なので一般的な技術者派遣とは違うが、売上はなお人数と稼働時間に結び付いている。
2025年11月期の会社資料は、売上をコンサルティングのフロー13.46億円、CoBrainの0.12億円、Eureka Boxの0.27億円に分けて示している。開示上の報告セグメントはコンサルティング事業の一つだけであり、この3分類は将来の稼ぎ方の違いを見るための事業内訳だ。2023年に買収したbuboは、ソフトウェアテストの設計から実行までを請け負い、前年度比44%増収を2025年に達成した。しかし、こちらも労務提供の性格が強く、独立した継続課金の柱ではない。
CoBrainは、生成AIで仕様書や要件定義の曖昧さ、矛盾、記述漏れを見つける支援サービスである。2024年11月に提供を始め、月額の継続利用料を取る。顧客ごとに作業環境を整える支援もあり、単なる汎用チャットとは違う。2026年にはMCP連携など機能追加で受注を伸ばしたが、顧客数と1契約当たりの実現単価は開示されていない。
Eureka Boxは、開発技術のオンライン学習と実務相談を組み合わせた企業向け教育サービスである。2025年度の受注は新規18件、更新28件だった。会社は更新率の改善を説明するものの、在籍利用者数や解約率の数値はない。今の事業は、専門家が直接支える高単価の仕事と、知識をソフトウェアに移して低い追加費用で売る仕事の間にある。10年後の価値は、後者が本当に利益の主役になるかで変わる。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、難しい製造現場で設計品質と開発効率を同時に改善する経験の蓄積である。顧客の要求を文章にし、手順を現場へ移すところまで伴走するため、新規参入者が名刺一枚で奪える案件ではない。大手建機メーカー向けの生成AI実証では、一部の作業期間を半分以下にできたと会社が説明している。こうした実績が次の契約を呼ぶという、顧客との関係に基づく小さな堀はある。
ただし、その堀を値上げの力と同一視してはならない。法令対応の記録を独占保管する会社でも、業界全体が依存する共同基盤を運営する会社でもない。CoBrainについても、年5%未満の解約率、複数年かかる移行工数、継続的な実質値上げを証明する数字は開示されていない。現時点では、既存のコンサルタントの信頼関係を競争上の優位と評価する一方、製品に持続的な独占力があるとは評価しない。
財務は大きな長所だ。2025年11月末の現金及び現金同等物は約14.4億円で有利子負債は見当たらず、自己資本比率は約90%である。需要が落ちても製品開発や人材育成を続ける余力がある。反面、資金の大半が現預金として滞留し、ROEは近年7%前後である。株主の資本コストを大きく超える増分利益が生まれると見るには、なお実績が足りない。
2019年から2025年にかけて売上は増えたが、営業利益はおおむね同じ水準で推移した。人員採用、買収、AI製品開発は将来の収益力を育てる投資だが、現時点でその増分利回りが資本コストを十分に上回ったとは言い切れない。2026年のコンサル利益率の改善は良い兆候である。これが人件費を増やさずに顧客当たり利益を継続拡大できるかどうかを、堀の広がりを測る証拠としたい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の出発点は、自動車がソフトウェアで機能を更新し続ける製品へ変わることである。矢野経済研究所は、開発ベンダーや半導体メーカーを含む国内車載ソフトウェア市場を2025年6,790億円、2030年1兆118億円と見込む。なかでもSDV関連の構成比は拡大すると予想する。しかし、メーカーが共通基盤を使い、開発を内製化すれば、市場が大きくなっても個々の外部コンサルタントの稼働時間が増えるとは限らない。
コンサルティングの競争相手には、ULSグループなどの技術特化型企業のほか、SCSKや電通総研、大手メーカーの社内開発部門がある。公開市場統計は車載ソフトの開発費と半導体などを含み、同社の設計改善コンサルに限定した市場ではない。同社のフロー売上を広い6,790億円で割ると約0.20%に相当するが、これは参考比較にすぎず、厳密な市場シェアではない。競合ごとの比較可能な数量別シェアも公表されていないため、シェア拡大を数量予測の当然の前提にしない。
CoBrainが戦うのは、一般的なAI市場全体ではなく、要求定義、仕様レビュー、開発業務の自動化という狭い領域だ。マイクロソフトのCopilot系、AI開発エージェント、既存の要求管理ツール、顧客の内製AIが代替候補になる。同じ用途で比較できる市場規模や各社のシェアは公表されておらず、市場全体の成長率を自社売上にそのまま掛ける根拠はない。2026年時点で受注は増えているが、数年後には画面を経由せず直接仕様を確認するエージェントが標準化する可能性もある。
Eureka Boxが属する法人向けeラーニング市場は2025年度に約1,293.5億円と推定される。同社の2025年の教育売上0.27億円は、広い市場の約0.021%にすぎない。Udemy BusinessやSchoo、企業の自作教材、対話型AIなどとの競争があり、技術教育という細分市場のシェアは不明だ。市場が伸びても、コンテンツ制作費がAIによって下がるほど単価の維持は難しくなる。3つの領域とも、長期の利益は市場拡大だけでなく請求できる数量と単価で判断すべきである。
資本政策と M&A
経営の課題は、余裕資金を守りながら人月依存を減らすことだ。2023年に日の出ソフトを買収して現在のbuboとし、ソフトウェアテストの領域を広げた。buboは増収したが、のれん約0.72億円が残る。利益が伸びなければ買収の株主価値はない。
2026年1月公表の成長計画は、2026年11月期の売上14.51億円、営業利益2.04億円、ROE7.8%を掲げた。2027年11月期は売上16.02億円、営業利益2.83億円を見込み、2028年11月期には売上17.28億円、営業利益3.71億円、営業利益率21.5%を目指す。継続課金売上は2025年の0.39億円から2028年の3.00億円へ増やす目標で、同社単体の売上に占める比率は20.8%となる。以前の計画を下方修正しており、達成度を点検する。
株主還元は累進配当を掲げ、3年間平均で増配率5%を目安とする。2026年には中間配当と、一定株数以上を持つ株主へのデジタルギフトも導入した。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額には数字の約束がない。優待は対象株主数を概算して年間0.01〜0.02億円、10年間で約0.15億円を還元に含めた。売上と利益が崩れる悲観では、累進配当の方針も変更を余儀なくされる。
親会社ソルクシーズが議決権の約52.9%を持つため、少数株主が現金の処分や買収を主導することは難しい。完全子会社化の可能性はあるが、2026年10月現在、TOBや上場廃止の発表はない。余った現金は、増配の実績がある一方で高い総還元率の継続が確認できないため、帳簿価額の75%を株主へ帰属する価値として評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
製造業のソフトウェア開発は、AIが普及するほど設計の正しさを問われる。自動車の安全性、半導体装置の信頼性、産業機械の稼働保証は、単にコードを大量生成しただけでは満たせない。顧客の上流工程に入り込むエクスモーションは、生成した成果物を検証し、安全な開発手順へ組み込む役目を担える。ティアフォーやニコンへの支援例は、従来の自動車顧客を超えた需要が実際に生まれていることを示す。
2026年11月期第3四半期には、AI関連顧客からの売上が前年同期の2倍を超え、全社営業利益も伸びた。2025年にbuboの売上が44%増えた事実は、買収した専門性を既存顧客との関係に重ねる方法が機能し始めたとも読める。顧客が仕事を内製化し始めても、内製AIを現場へ適用する最初の難しい工程を受注できれば、役務単価が上がる余地がある。
何よりCoBrainは、AIを自らの売り物にしてすでに売上を立てている。仕様の矛盾や漏れを検出する専門性が本当に差別化要因なら、顧客の開発案件が増えるほど利用料が増える。2028年のCoBrain売上目標は1.36億円で、そこに向けた契約の蓄積は始まっている。会社が目指す継続課金モデルへの転換が成功すれば、追加の売上に必要な人員は従来ほど増えず、利益率も高まる。
無借金で十分な現金を持ち、配当を増やしてきた経営も長所だ。小規模だから大手のような固定費を抱えず、特定技術に集中して商品を磨ける。AI支援の市場はまだ出来上がっておらず、開発工程の標準となる位置を取れれば、現在の利益水準からは想像しにくい将来もあり得る。
慎重な見方
最大の問題は、自社の有望な技術が既存の稼ぎ方を壊すことである。会社自身が、従来の人数に依存するモデルでは製造業の需要増に対応できず、AIによる変革が必要だと明言している。顧客が作業時間を半分にできれば、その利益をコンサルタントの売上に丸ごと転嫁できる保証はない。成果報酬契約の大幅な普及や、工数削減後も従来の単価を維持した実績はまだ乏しい。
顧客集中も軽視できない。2025年のSUBARU向け売上は約38%で、トヨタ自動車とウーブン・バイ・トヨタを加えると約63%である。ウーブン向け売上の構成比は前年から下がり、メーカーが内製部門や共通開発基盤に仕事を移す判断だけで業績が動くことがうかがえる。受注の質は高くても、顧客が価格と発注量を決める力は大きい。
製品化の成功を先取りするのは危険だ。CoBrainの2025年売上は0.12億円にすぎず、Eureka Boxと合わせても全社の約3%である。2026年第3四半期の会社資料は両製品の受注が計画を下回ると明記している。Microsoftの開発支援機能や他社のAIエージェントが高品質な要求定義を標準機能として提供すれば、専門アプリが取れる利用料は下がる。継続契約の数だけで、独自データの堀ができたとは言えない。
2019年と2025年の営業利益が近い水準にあるのは、増収が持続的な高収益化につながっていない警告だ。買収したbuboにも人月依存が残り、のれん減損の可能性がある。親会社の支配が強いから、現金を少数株主へ直ちに返す仕組みもない。10年後に高く売れる事業は、現金を除けば想像より小さいかもしれない。
どちらに重みを置いたか
現場に根差した専門性と純現金の厚さは強みだが、将来の成長を裏付ける継続課金の実績はまだ小さい。中立の人月数量はAIエージェント代替を織り込んで減らし、同じ理由で悲観確率や資本コストを重ねて悪化させていない。下側の確率を37%、上側を34%とした差は、主要顧客への売上集中と製品販売の計画未達に対応する。結果として確率加重の現在価値は約17.4億円となり、時価総額約40.5億円に対して約57%の割高である。評価を変えるには、利用料の継続と資本効率の改善を実額で確かめたい。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 472 円29 億円(+ 還元の換算額還元の合計 106 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 309 円19 億円、今との差 −51.8%、 期待の年率 −1.1%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 14% | 874 円53 億円 | 152 円9 億円 | +60.0% | +5.3% | 144 円9 億円 |
| やや楽観 | 20% | 664 円40 億円 | 134 円8 億円 | +24.4% | +2.4% | 159 円10 億円 |
| 中立 | 29% | 417 円25 億円 | 107 円7 億円 | −18.2% | −2.2% | 152 円9 億円 |
| やや悲観 | 25% | 269 円16 億円 | 78 円5 億円 | −45.9% | −6.6% | 87 円5 億円 |
| 悲観 | 12% | 238 円14 億円 | 64 円4 億円 | −52.8% | −7.9% | 36 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 472 円29 億円 | 106 円6 億円 | −9.8% | −1.1% | 578 円35 億円 |
今の株価時価総額 641 円39 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 14% AIの品質保証が新たな産業基盤となる 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 874 円53 億円
製造業がAIを使って開発速度を上げるほど、作った仕様の正しさを保証する専門技術の価値が上がる。エクスモーションは顧客の設計現場で磨いたノウハウをCoBrainへ移し、開発部門に毎月欠かせない支援機能として採用される。2028年に会社が目指す継続課金の拡大を達成し、その後も半導体装置と自動運転の両分野で利用先を増やす。大手の汎用AIとは競うものの、現場の品質保証に特化した導入支援で住み分けをつくる。
コンサルティングはAIによる効率化が進んでも、難しい工程で成果に対価を払う顧客が残る。延べ請求人月は現在と同じ規模を保ち、顧客単価は人件費上昇に沿って上がる。CoBrainは年換算160契約に広がり、現状の小さな製品から収益の柱になる。Eureka Boxの受注件数は大きく伸ばさず、専門学習の品質と単価を維持する。
buboは高付加価値のテスト設計案件を増やし、無理な買収をせず既存顧客へ販売を広げる。人を大量に採用しないで利益を伸ばす構造に近づき、営業利益は約4.29億円となる。市場で独占的なシェアを取ることまでは必要ないが、技術の変化に追随し続けられることが条件だ。
- 組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む):数量 840(年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計))× 価格 0.02(1請求人月当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。請求人月を維持、単価1.34倍。SDV・産業装置向け高難度案件を確保
- CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金):数量 160(年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない))× 価格 0.01(推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。金額付き販売実績のある自社AI製品が年換算160契約へ成長
- Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援):数量 46.0(年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない))× 価格 0.01(1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間46件の受注を維持し、企業教育の専門単価は1.15倍
倍率:資本コスト7.25%、10年以降の名目成長率g_long=0%とする。事業の残余超過ROEは新規投資に対して半分に薄まる普通の堀を前提にRONIC=k+0.5×(事業ROE−k)で算出するが、g=0%のため正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/0.0725=13.793倍となる。AIエージェント代替による先細りは10年の数量とg_longにのみ反映し、倍率を任意に割り引かない。全社純利益3.146億円に含まれる現金10.4億円の税引後利息0.1456億円を控除して事業利益へ掛け、余剰現金には戻り方0.75を掛けた7.8億円を別に足す。
確率:2025年にCoBrainの売上が金額で確認でき、2026年にはティアフォーやニコンなどAI関連顧客の受注も拡大している。製品が2028年の目標を達成したうえで10年先も専門用途を守るには高度な実行力が必要なので14%とする。
やや楽観 20% AI製品が伸び、コンサルの高採算化も進む 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 664 円40 億円
自動車がSDVへ移行し、半導体製造装置でもソフトウェア開発の複雑さが増す。大手顧客は重要な設計判断を社内で行うが、難度の高い要求整理と実装支援には外部の専門家を使い続ける。エクスモーションはSUBARUやトヨタだけに頼らず、ニコンを含む産業機器分野から受注を取り込み、相手に合わせたAI導入の仕事を増やす。
それでも人月で請求する量は現在より15%ほど減る。生産性改善で少人数でも案件を回せるため、単価と採算が維持され、売上の落ち込みは限定的になる。CoBrainは年間80契約相当へ成長するが、汎用AIの改善が速いため価格を大幅には上げられない。Eureka Boxの契約更新は続くものの、席数の拡大は限定的だ。
2023年に買収したbuboの運営が安定し、知識共有と営業の共同化で利益率が改善する。営業利益は約2.97億円となり、継続課金商品も利益に貢献する。製品は市場の標準を独占するには至らないが、顧客が使い続けるだけの専門価値を得る。ただし新しい大型買収や継続的な増資による成長は前提にしない。
- 組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む):数量 714(年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計))× 価格 0.02(1請求人月当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。実質数量0.85倍、実現単価1.32倍。AI導入工数は減るが成果の対価は残る
- CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金):数量 80.0(年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない))× 価格 0.01(推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。独自AIの販売が年換算80契約へ拡大、単価は1.12倍
- Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援):数量 43.0(年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない))× 価格 0.01(1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間43受注にとどまるが単価1.12倍を維持
倍率:資本コスト7.25%、10年以降の名目成長率g_long=0%とする。普通の堀で資本コストを超える増分利回りの半分が残ると考えるが、g=0%なので正当化PERは1/0.0725=13.793倍となる。AI代替による工数の縮小は10年の数量と長期成長率に反映済みであり、倍率をさらに恣意的に下げない。全社純利益2.221億円から余剰現金10.4億円に対応する税引後利息0.1456億円を差し引いて事業の稼ぎを評価し、現金7.8億円を別に足す。
確率:CoBrainには金額付きの販売実績があり、直近四半期のAI関連顧客向け案件も増えている。ただし現時点の受注は計画未達で、2028年計画の全面的な達成までは確約できないため20%とする。
中立 29% 高難度案件は残るが、工数課金は縮む 利益 1 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 417 円25 億円
2035年にも自動車や産業機器には要求定義と設計品質の問題が残る。顧客はエクスモーションの専門家を難しい局面で頼るが、普段の文書作成やレビューは自社のAIエージェントへ移す。会社もCoBrainとAI導入支援で適応を続けるものの、コンサルタントが請求できる延べ作業量は現在の約68%になる。市場の開発量が増えることと、企業から買われる外部工数が増えることは一致しない。
技術者不足と物価上昇でコンサル単価は名目28%上がるが、数量の減少をすべては埋められない。CoBrainは便利な専門製品として一定の顧客が残る一方、汎用AIや顧客内製の要求定義エージェントに機能を取り込まれる。継続契約の年換算量は2025年の約83%、Eureka Boxの年間受注も約80%になる。両製品の単価は10年間で10%程度しか上がらない。
2028年の継続課金目標は投資家が期待するほど持続的な利益へ結び付かず、主力の売上と採算が会社全体を決める。buboの専門技術は残るが独立した正本の価値を持つ製品にはならない。共通開発費と営業費用は残り、営業利益は約1.49億円、ROEは5%台になる。無借金の強みは守られても、高い再投資利回りを誇る会社にはならない。
- 組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む):数量 571(年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計))× 価格 0.02(1請求人月当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替を数量571/840=0.68倍、単価1.28倍に織り込む
- CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金):数量 10.0(年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない))× 価格 0.01(推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。席・操作型の代替を数量10/12=0.83倍、価格1.10倍に反映
- Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援):数量 37.0(年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない))× 価格 0.01(1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新規・更新契約件数37/46=0.80倍、価格1.10倍
倍率:資本コスト7.25%、10年以降の名目成長率g_long=0%とする。10年後のROEは約5.35%となり資本コストを下回るため、高い再投資価値は付けない。正当化PERの上限は利益を資本コストで割る1/0.0725=13.793倍である。純利益1.187億円のうち余剰現金の税引後利息0.1456億円を控除した事業利益だけにこの倍率を適用し、株主への戻り方を75%とする現金7.8億円を別に足す。過去の市場PERから倍率を決めていない。
確率:日本の製造業で品質改善の専門家は必要であり、会社にも顧客と技術の実績がある。一方で主要売上が人月型のままなので、AIエージェント代替の数量減を中立の本体に組み込む。顧客集中という会社固有の不確実性も見て29%とした。
やや悲観 25% 顧客の内製化が先行し、利益率も低下 利益 0 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 269 円16 億円
大手自動車メーカーは、ソフトウェアの共通化とAIによる開発内製化を進め、外部コンサルタントの担当範囲を狭める。SUBARUやトヨタ関連からの受注はゼロにはならないが、従来ほど大きな開発体制を外部に発注しなくなる。難度の高い設計検証は残るものの、稼働量が現在の半分に減るため、名目単価の改善では減収を止められない。
CoBrainは要求定義の専門機能を提供し続けるが、一般のAIエージェントにも同様の作業ができるようになる。契約の積み上がりと更新が鈍り、単価も物価に追いつかない。Eureka BoxもAIによる学習支援と企業内教材の普及で新規契約が減る。専門的な顧客を持つ事業として生き残る一方、成長投資の回収は進まない。
buboの品質保証サービスでも自動テストの普及が価格競争を招く。営業費用を売上に合わせて減らせないため営業利益は約0.41億円に低下する。過去の配当を維持する余力が乏しくなり、会社は支払いと開発投資を縮小する。現金と回収できる債権が事業の下値を支えるが、もはや成長する技術コンサルティングとしての評価は受けない。
- 組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む):数量 420(年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計))× 価格 0.02(1請求人月当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。メーカーの内製化とAI代替で数量0.50倍、単価1.20倍
- CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金):数量 8.0(年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない))× 価格 0.01(推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。汎用AIとの競争で年換算8件、単価1.02倍
- Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援):数量 28.0(年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない))× 価格 0.01(1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間28契約、単価は2025年と同水準
倍率:やや悲観では事業純利益の資本コストによる還元価値を上回る換金可能資産を採用する。2025年11月期の現金14.409億円に売掛金0.680億円・契約資産1.305億円の95%換金相当額1.886億円を加え、買掛金・未払法人税等を含む無利息流動負債1.879億円を引くと14.416億円になる。のれん0.716億円とソフトウェア等0.439億円に売却価値は付けない。床のPBR約0.863倍の分母は将来の自己資本20.0億円ではなく2025年末の自己資本16.7億円であり、16.7億円×0.863倍≒14.416億円。現金の収益価値と資産価値を二重に足さない。
確率:下に寄せる理由:2025年のSUBARU・トヨタ関連3社向け売上集中が約63%であり、2026年のCoBrainとEureka Boxの受注も計画未達である。AI代替の影響そのものは中立数量に反映済みなので、この確率は独立した顧客構成と製品販売の実行リスクに対して設定する。
悲観 12% 人月商売が崩れ、換金可能な資産が価値の中心になる 利益 0 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 238 円14 億円
顧客は要求文の作成、レビュー、テスト計画の多くを社内のAIシステムで自動化する。SUBARUやトヨタ関連で長く続いた開発工程の外部支援は大幅に縮み、コンサルタントの請求可能人月は現在の約44%まで落ち込む。単価の名目上昇も物価を大きく下回り、採用した人材や開発知識を従来の売上に結び付けられなくなる。
CoBrainは競合の標準機能に埋もれ、契約は年換算4件程度へ後退する。Eureka Boxも顧客の社内AI教育へ利用が移り、継続契約は大幅に減る。2023年に買収したbuboのテスト支援も価格競争に巻き込まれ、のれんを生む将来利益は失われる。技術者を抱えてサービスを提供する会社という姿だけが残り、独自の製品基盤による再成長は起きない。
売上高は2025年のおよそ半分となり、共通費を削っても営業利益は約0.09億円まで落ちる。配当は減らさざるを得ず、買収や研究開発を抑えて現預金を守る。事業収益に強い倍率は付かず、換金可能な預金と売掛債権から営業債務を差し引いた約14.4億円が、事業を継続する場合にも重要な株主価値の床となる。
- 組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む):数量 370(年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計))× 価格 0.02(1請求人月当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。顧客の内製化で請求人月0.44倍、単価1.12倍にとどまる
- CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金):数量 4.0(年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない))× 価格 0.01(推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約4件、価格0.95倍。追加開発費で営業赤字
- Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援):数量 20.0(年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない))× 価格 0.01(1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約20件、単価0.92倍。維持費負担で赤字
倍率:構造的な失敗では営業利益がほぼ消えるため、成長プレミアムではなく当期の換金可能資産に基づく床を採用する。現金14.409億円と売掛金0.680億円・契約資産1.305億円の95%換金額1.886億円を合算し、無利息流動負債1.879億円を差し引いた約14.416億円を14.4億円に丸める。のれん0.716億円、ソフトウェア等0.439億円、繰延税金資産には売却価値を付けない。床のPBR約0.862倍は現時点の自己資本16.7億円を分母に取り、2035年に想定する自己資本18.4億円へは掛けない。資産価値を事業利益に重ねて足さない。
確率:大手顧客が内製AIへ移行するだけでなく、CoBrainにも製品競争で負け、buboのサービスにも自動化が及ぶ複合的な失敗である。純現金が厚く直ちに資金繰りに詰まる会社ではないため極端な倒産想定を避けつつ、12%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
組込み開発・品質保証・AI導入のコンサルティング(フロー、bubo含む)
完成品メーカー、半導体装置メーカー等に要求定義、設計品質の改善、検証やAI導入を人の役務で提供する。会社開示ではコンサルティング事業の単一報告セグメントで、ここでは管理上のフロー収入を独立させる。
| 数量年間請求対象の専門人材の延べ人月(推計) | 価格1請求人月当たり実現売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 840 | 0.02 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 571 | 0.02 | 12 | 2 |
取り方:2026年1月9日公表の2025年11月期成長計画資料24頁と43頁に、コンサルティングのフロー売上1,346百万円が開示される。2025年末の会社・子会社・外部パートナーの要員合計86人を確認したうえで、全員が売上を生むとはせず、請求可能な実効要員を70人と仮定し年間840人月と推計した。売上1,346百万円÷840人月=約160.2万円/人月が逆算上の実現単価であり、会社が公表した料金表ではない。2025年の連結営業利益1.90億円から製品の仮配賦と共通費の影響をならした営業利益1.91億円を割り当てた推計。対象は人月・工数型で、AIエージェント代替を中立2035年の数量571/840=0.68倍、単価1.28倍、10年以降の名目成長0%に反映する。車載ソフト開発市場6,790億円との売上比約0.20%は自動車以外も含む当社売上と広義市場の単なる参考比率であり、厳密な市場シェアではない。
CoBrain(生成AIによる仕様書・要件定義支援、月額課金)
自社の開発知識を生成AIに組み込み、仕様書の矛盾や要求漏れを検出するサービス。2024年11月に販売を始めた新製品で、機能拡張と法人への継続販売が進む。
| 数量年間法人契約の年換算件数(数量は推計、実契約社数ではない) | 価格推定1年間・1契約当たりの利用料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 12.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:会社の2026年1月9日公表資料43頁の2025年売上12百万円は実績であるが、料金水準・実利用席数・年間有料契約件数は非開示。あくまで年間100万円相当の契約を12件と仮に割って数量と単価を表現し、実顧客数とは呼ばない。開発先行の製品別営業損益は不開示なので2025年の配賦損失0.03億円は分析上の仮定。2026年第3四半期資料は機能追加で受注増でも計画件数未達と述べる。自社AIエージェントとして2025年に金額付きの売上実績があるため強気の筋書きには契約拡大余地を残すが、中立は席・操作型のAIエージェント代替として数量10/12=0.83倍、価格1.10倍、長期成長は名目0%とする。狭義のAI要件定義ツール市場と各社シェアに比較可能な公表値はなく、市場規模から既得シェアを推定しない。
Eureka Box(企業向け開発学習・実務支援)
技術教材と実務相談を組み合わせて企業の開発担当者を育てる継続型サービス。契約更新を伴うが、利用席数と解約率の数値は未公表である。
| 数量年度内の新規受注と更新受注を足した年間契約件数(社数・席数ではない) | 価格1年間契約当たり実現売上の換算値(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 46.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 37.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026年1月9日公表資料17頁はEureka Boxの2025年度新規受注18件と更新28件を明記しており、合計46件を数量に使った。43頁の製品売上は27百万円なので、27百万円÷46件=約58.7万円を契約当たり実現売上の代用単価とした。更新は複数期にまたがる企業を含む可能性があり、46件は個別契約企業数や席数ではない。製品別営業利益は非開示で0.02億円は仮の配賦。2025年度の国内法人向けeラーニング市場1,293.5億円に対する広義売上比率は約0.021%で、開発教育に限った厳密なシェアは不明。AIエージェントによる教材・対話の代替と席課金の低価格化を見込み、2035年中立は契約数量37/46=0.80倍、単価1.10倍、10年以降の名目成長0%に収める。
リスクと懸念
AIエージェント代替による請求工数の消滅
2025年のフロー型売上は約13.46億円で全社の約97%を占める。会社自身が生成AIによる開発工程の効率化を推進しており、顧客の作業時間が減れば従来の人月収益も減る可能性がある。成果報酬への転換を証明できない限り、市場の開発需要が拡大しても外部に請求する工数は減る。中立の数量圧縮と10年超の成長率0%に反映し、確率や資本コストに同じ理由を重ねていない。
SUBARUとトヨタグループへの顧客集中
2025年の販売比率はSUBARU38.2%、トヨタ自動車17.1%、ウーブン・バイ・トヨタ7.7%で、合計約63%に上る。SDV化は仕事を増やすが、内製化、車種開発スケジュール変更、ソフトウェア基盤の共通化で予算が一度に減る可能性がある。2024年から2025年にウーブン向けの売上比率が下がった事実は、同一顧客群の中でも受注が入れ替わることを示す。
CoBrainの機能競争と乗換障壁の不足
CoBrainは高品質な仕様レビューという焦点が明確で、2025年に売上0.12億円を計上した。ただしMicrosoftや汎用AI開発エージェントが同様の機能を組み込むと、顧客は既存契約の範囲で代替できる。複数年の切替費用、定量的な低解約率、独占データの保有が確認できない。2026年第3四半期は受注の伸びがあっても会社計画に届いておらず、将来の高い商品利益率は保証されない。
教育サービスの値下げと販売経路
Eureka Boxは2025年に年間46件の新規・更新受注を数えたが、利用席数や単価の連続的な開示はない。企業内の生成AIが教材を作り、従業員へ即座に回答できるようになるほど汎用的な教育コンテンツは値下がりする。2026年第3四半期には直接販売がおおむね計画どおりでも代理店経由が弱く、拡販費用が利益を上回るおそれがある。
買収したbuboの収益性と資産減損
2023年に買収したbuboは2025年に売上が大きく伸びたが、事業の中心はテスト・品質保証の人的支援である。AIによる自動検証が広がれば、コンサルティングと同じく工数削減の影響を受ける。2025年末ののれん約0.72億円は現金化できる資産ではなく、収益力が落ちれば減損が必要となるため、悲観の資産床からは外している。
現金の使途と支配株主の利益相反
ソルクシーズは議決権の約52.9%を保有する親会社であり、少数株主が余剰現金の処分を決める立場にはない。増配や優待の導入は歓迎できるが、大型の自社株買いや明示的な総還元性向は確認できない。新製品への投資や買収に現金を使う場合、得られる増分利益が資本コストを下回ると、帳簿上の現金がそのまま株主価値になるとは限らない。
今後の分かれ目
- CoBrainの売上が2028年の会社目標1.36億円に達し、継続顧客数と低い解約率が金額で開示されたら
- CoBrainの2035年契約数量と高採算の継続収益を引き上げ、楽観・やや楽観の実現可能性を再評価する。記録の正本に当たる証拠が別途2つ確認できた部分に限って長期成長率も見直す。
- AI導入後もコンサルティングの人月単価が物価以上に伸び、工数と無関係な成果課金の売上が増えたら
- 人月の縮小による売上減を一部相殺できるため、コンサルの10年単価と収益率を上方修正する。単なる工数削減による利益率改善と区別し、契約構造の変化を確認する。
- SUBARUとトヨタ関連の主要3社向け売上構成比が50%未満に下がり、他業種で同水準の採算が確立したら
- 受注集中に伴う下振れの確率を減らし、基準シナリオの継続受注量に対する確信を高める。ただしAI代替に関する数量係数は独立して点検する。
- 2028年に売上17.28億円と営業利益3.71億円、ストック売上3.00億円が実現したら
- 月額課金商品の採算と再投資利回りを実績で見直す。達成後も継続率と更新価格を確認し、単発の好調を永続的な堀と混同しない。
- Eureka Boxの契約更新が失速し、教育の年間実現単価が下がり始めたら
- 教材のAI代替が進んだとみて教育の数量と価格を悲観側へ移す。ただし全社売上への影響は小さく、コンサルの受注動向をより重く見る。
- 余剰現金を原資とした大規模な自社株買い又は明確な総還元方針が発表され、実施されたら
- 現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる根拠を再判定する。現金を買収に使う場合は、投下資本の回収と減損の有無を別途検証する。
見ておくもの
- CoBrainの年度売上と会社計画(2026年0.82億円、2028年1.36億円)の達成率、契約の実数・解約率・実現単価
- 2028年のストック売上3.00億円とエクスモーション単体の継続売上比率20.8%の実現
- コンサルティングの実効請求人月、AI導入後の顧客当たり売上と営業利益率、成果連動契約の比率
- SUBARU、トヨタ自動車、ウーブン・バイ・トヨタの合計売上構成比と他業種顧客への分散
- Eureka Boxの新規・更新受注件数、利用席数と利用料、代理店別販売の成否
- buboの売上と営業利益、残るのれんの償却・減損、追加M&Aの条件
- 累進配当の実施額、自社株式数、純現金の使途とソルクシーズの資本政策
- 営業利益率の2028年目標21.5%、ROEと資本コスト7.25%の差が持続するか
倍率と資本コストの決め方
基準日は2026年10月22日、自己株式控除後の分割調整済み株数605万846株であり、基準時価総額は40.4802億円である。株価を事業価値に逆算せず、会社開示の2025年度フロー13.46億円、CoBrain0.12億円、Eureka Box0.27億円から各数量と単価を独立に推計した。中立の人月数量0.68倍、席・契約数量約0.8倍、価格1.10〜1.28倍はAI代替の決まりによる。10年以降の名目成長率0%、資本コスト7.25%から正当化PERの上限13.79倍をそのまま使い、余剰現金10.4億円の利息は利益から外して価値を75%だけ足す。やや悲観と悲観は現金・売掛債権の換金可能額を優先し、のれん約0.72億円を床から除外した。両筋書きのPBRは将来に積み上がる自己資本ではなく、2025年11月末の自己資本16.7億円を分母にして計算した。現金の受取利息と事業利益、10年間の還元が二重にならないようにしている。新リース会計基準で将来の使用権資産とリース負債が増える場合も、10年の営業利益は現在と同じ賃借料費用控除後にそろえる。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%から、厚い純現金による0.25%の低下だけを加減する。βと企業規模の補正は用いず、顧客集中は個別筋書きに含める。