結論
サイバーリンクスは、食品スーパーや食品卸売業の業務システム、自治体向け情報システムを主力とする和歌山発のIT企業である。筆者の結論は「やや割高」だ。食品流通のデータ基盤には長く残る競争力があるが、官公庁向けの一時的な需要とAIによる業務の変化を考えると、現在の時価総額には十分な安全域がない。
この会社の魅力は、単にクラウドソフトを販売していることではない。食品小売業の基幹システム、卸売業の受発注データ、商品画像データベースを結び付け、企業同士の取引を支えている。食品卸EDIでは大手企業への浸透が進み、商品画像データベースには約40万アイテムが蓄積されている。利用企業が増えるほど共通基盤の利便性が高まり、他社への乗り換えも難しくなる。
一方、2025年の好業績を10年後の通常の利益と見ることはできない。官公庁クラウド事業では自治体基幹システムの標準化案件が利益を押し上げたが、その需要には期限がある。2026年上期も標準化案件などで好調だったものの、会社自身が2027年以降の反動を見込んでいる。さらに、受託開発や操作画面を中心とするソフトの一部は、AIエージェントによって必要な作業量と利用人数が減る可能性が高い。
2026年に公表された新中期経営計画では、2030年の売上高221億円、経常利益30億円を目指す。利益率の改善には期待できるが、投資計画と目標をそのまま10年間延長することはしない。流通の共同データ基盤が強くなっても、受託開発と携帯電話販売まで同じ勢いで伸びるとは考えにくいからだ。
10年後の中立的な姿は、売上高166億円程度、営業利益19億円弱である。予想する税引後利益の減少に加え、内部留保による自己資本の増加がROEを押し下げる。5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約107億円で、比較基準の時価総額約130.5億円を約18%下回る。事業の質は認めるが、保有期間を10年とする株主には、もう一段の安全域が望ましい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場では、最初に知りたいのは、10年後にも顧客がお金を払って同じ基盤を使っているかどうかだ。その問いに最も確信を持って答えられるのが食品卸EDIと商品情報データベースである。受発注の記録や商品コードの標準化は、AIが普及しても消えない。むしろ自動化されたシステム同士が取引するほど、信頼できる共通データの重要性は高まる。
しかし、企業価値は優れた製品だけでは決まらない。食品スーパーの基幹システムには移行負担がある一方、利用者が画面を操作する部分はAIエージェントによって縮小し得る。自治体向けの受託開発でも、仕様作成、プログラム生成、テスト、保守の一部が自動化されれば、従来の人月を基礎とする料金体系は変わる。顧客が必要とする機能が残っても、同じ金額を支払い続けるとは限らない。
オーナー利益を考えると、ソフトウェア開発費、システム更新費、人材採用、買収に使う現金を無視できない。会計上の純利益が増えても、それを実現するために同額以上の資金を継続的に投じるなら、株主が自由に使える利益は増えない。@rmsV6やActiveCityへの投資が、追加の人員増加を抑えながら定常収入を増やせるようになって初めて、高い再投資収益率を認められる。
経営陣はこれまで無理な財務拡張を続けたわけではなく、ROEにも目標を持っている。2025年には利益率が改善し、増配も進んだ。ただし、官公庁案件の特需とソフトウェア投資の効果を分離すると、長期的な資本効率の改善を証明するにはまだ期間が短い。
筆者が評価するのは、目立たない食品流通の共同利用基盤である。一方、最も警戒するのは、その強さを全社の利益に当てはめてしまうことだ。現在の価格は極端に高いとはいえないが、複合企業としての不確実性を引き受けるには、より確かな安全域が必要である。
何で稼ぐ会社か
収益構造は、流通クラウド、官公庁クラウド、トラスト、モバイルネットワークの4つに分かれる。2025年の売上構成では官公庁クラウドが約47%、流通クラウドが約29%、モバイルネットワークが約23%を占める。トラスト事業はまだ1%に満たない。営業の実態を見ると、継続課金と単発の開発・施工が同じセグメントに含まれているため、両者の利益の寿命を分けて考える必要がある。
流通クラウドの主力は、食品スーパー向け基幹システム「@rms」、食品卸向け「クラウドEDI-Platform」、企業間商談基盤「C2Platform」である。2025年末の@rms導入店舗は1,219店、卸EDIで扱う商流額は12.2兆円、C2Platformの導入IDは693だった。販売管理や発注画面はAIに置き換えられる余地があるが、受発注の記録、取引先との接続、商品マスタの共有はAIが使う側の基盤として残りやすい。
食品スーパー向けでは、既存の中小規模店舗に加えて、中大規模向けの「@rmsV6」を展開している。卸売業向けでは、大手顧客のEDIサービス統合が進む。商品画像データベース「Mdb」は約5,000のメーカーとの接点を持ち、毎年約2万アイテムの新商品画像を取り込む。こうした業界固有のデータは、一般的な業務ソフトと異なる競争力になる。
官公庁クラウドには、自治体向け基幹システムの導入・運用、文書管理システム「ActiveCity」、防災行政無線の施工・保守が含まれる。2019年に買収した南大阪電子計算センターと2022年に買収したシナジーが地域の顧客基盤を広げた。自治体の基幹システムを動かす仕事は簡単には消えないが、新しいシステムの構築や移行作業には一時的な需要が多く、継続課金と同じ価値を与えるべきではない。
トラスト事業は、デジタル証明書発行サービス「CloudCerts」や公的個人認証関連サービスを扱う。資格証、学生証、証明書の真正性を確認する機能はAI時代にも必要だが、収益化はまだ初期段階にある。モバイルネットワーク事業は和歌山県を中心としたドコモショップの運営であり、通信事業者からの手数料と端末販売で稼ぐ。地域の対面対応には需要が残るものの、オンライン化と手数料条件の変更を避けられない。
優良さと弱いところ
最も強い堀は、食品流通の企業間データ基盤である。大手加工食品卸売業へのEDIサービスの浸透に加え、日本加工食品卸協会の商談支援システム「N-Sikle」にC2Platformの技術が採用されている。これは利用企業が単独で買う業務ソフトから、業界で共同利用する仕組みへ進む証拠だ。Mdbの商品画像約40万アイテムも、独自データの蓄積として評価できる。
ただし、食品スーパーの基幹システムを含むすべての製品が同じ強さではない。2025年の@rms導入店舗数は、顧客企業のM&Aに伴う解約などで前年から減少した。顧客が一度導入したら永遠に残るわけではなく、大規模チェーンの統合では他社製システムへの切り替えも起こり得る。値上げについては2025年に料金改定の寄与が確認できるが、長期間にわたり物価を超える値上げを継続できた証拠はまだ十分ではない。
官公庁向けでは、既存自治体との取引関係、行政情報に関する業務知識、システム移行の難しさが強みになる。一方、自治体の予算は入札や公共政策に左右される。全国展開するActiveCityの競争力は高まっているが、自治体業務全体を支配する標準基盤を同社だけが保有しているわけではない。地方での実績と全国での価格決定力は区別する必要がある。
資本効率は改善してきた。2025年の営業利益率は10.2%、ROEは14.4%となり、過去10年のROE中央値を上回った。しかし、営業利益の増加には官公庁案件の進捗が寄与し、流通クラウドでは新製品の償却と人員増強が利益を圧迫した。真の増分資本利益率を評価するには、@rmsV6への投資が安定した定常収入と現金回収につながるかを数年間確認したい。
全社を強い堀の会社とは判定しない。卸EDIと商品データには強いネットワーク効果があるが、受託開発、一般的な業務画面、携帯販売には同等の障壁がない。部分的に優れた事業を持つ複合企業として評価するのが適切である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品流通向けの国内業務システム市場は成熟しているが、企業の共同利用基盤には成長余地がある。会社の料金体系で試算した市場規模は、食品小売向け定常収入が約200億円、加工食品卸EDIが約40億円、食品流通全体が約300億円である。2025年の食品流通向け定常収入約39億円は、この広義市場の約13%に相当する。ただし、この市場規模とシェアは会社独自の定義によるものであり、第三者が確定した市場占有率ではない。
数量面では、食品スーパーの約2.3万店舗に対して@rmsは1,219店舗で、店舗数シェアは約5.3%となる。加工食品卸EDIの取扱額12.2兆円は、会社が示す対象商流額36兆円の約34%に相当する。さらに年商1,000億円以上の加工食品卸売業における社数シェアは55%とされる。主要な競争相手はBIPROGY、NEC、富士通系の業務システム、食品流通向け専門ベンダー、顧客の内製システムである。競合の同一定義のシェアは十分に開示されておらず、単一の比較表で順位を断定できない。
今後は人口減少とスーパーの統合によって店舗数が減る可能性がある。その一方、大手チェーンは人手不足や原価上昇への対処として自動発注、在庫管理、商品情報の標準化を必要とする。シェアを拡大できる会社と、AIや大手ベンダーの共通基盤に機能を吸収される会社との差が開くだろう。サイバーリンクスは卸EDIと商品情報の連携では前者に近いが、操作中心のソフトでは後者のリスクもある。
自治体向けでは、全国約1,700の地方自治体が制度上の主要な顧客母集団になる。ActiveCityは130以上の組織への採用実績があり、文書管理システム導入済み自治体を分母とする会社推計シェアは2025年に約10%だった。2030年には20%を目標とする。競合にはNEC、富士通Japan、BIPROGY、TKC、地域の情報処理事業者が存在する。自治体基幹システムの標準化が一巡すると、構築案件より保守・運用や周辺サービスに競争の中心が移る。
トラスト分野は公的個人認証、電子証明書、本人確認のデジタル化が需要を支える。ただし、電子証明書発行と認証サービスは市場定義が統一されておらず、同社の金額ベースのシェアは測定できない。携帯販売は全国約2,000拠点のドコモショップ網の一部であり、オンライン販売の普及が長期的な店舗需要を減らす。これらを一律にSaaS市場の成長率で評価するのは誤りである。
資本政策と M&A
資本配分では、買収を通じて自治体向け事業を拡大してきた。2019年の南大阪電子計算センター買収に続き、2022年にはシナジーを子会社化した。これにより顧客基盤と売上規模は広がったが、のれんの償却負担も生じた。シナジー取得に伴う年間約1.6億円ののれん償却は2027年に終了する見通しであり、その後の会計利益には追い風となる。ただし、償却の終了そのものが新たな顧客獲得や現金創出を意味するわけではない。
2026年から2030年の新中期経営計画は、売上高221億円、定常収入126億円、経常利益30億円、経常利益率13.6%、ROE13%以上を掲げる。定常収入比率は57.1%が目標である。また、PER17倍以上を目指すとしているが、これは経営陣の市場評価目標であり、本質価値の倍率を決める根拠には使わない。
5年間の営業キャッシュフロー計画は約140億円で、成長投資52億円、固定資産投資46億円、本社移転10億円、株主還元23億円、運転資金増加8.5億円が示されている。成長投資には事業開発とM&Aが含まれ、人材・研究開発・情報システムへの支出も計画されている。2030年までの投資額に対して、どの程度の追加利益を生むかが資本配分の最重要課題だ。
株主還元の方針は累進配当の継続と配当性向の引き上げである。2025年には増配を実施し、2026年も増配を計画している。一方、2030年の配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの最低実施額については数字の約束がない。5年間の還元予算23億円は具体的だが、自社株買いを恒常的に行う確約ではない。
過去5年間の配当性向は概ね20%台を中心とし、大幅な自社株買いによって発行株式数を減らした実績も乏しい。このため、将来生じる余剰現金の株主への帰属価値は帳簿額の75%で評価する。ただし、現状は純有利子負債がある会社であり、余剰現金を別建てで多額に加える状態ではない。将来の買収は成長機会になる反面、高値での買収や追加の株式発行が既存株主の取り分を損なう可能性もある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
食品流通のデータ基盤は、普通の業務ソフトよりはるかに長く残る。EDIでは大手加工食品卸売業への浸透が進み、商品画像データベースは約40万アイテムを持つ。メーカー、卸、小売の間で同じ情報が流れるほど、サービスの利用価値が増す。AIエージェントは基幹システムの画面を操作しなくなるかもしれないが、正しい商品情報と受発注履歴を取得するための接続先は必要だ。その接続先を握る企業には、継続的な収益機会が残る。
新中期経営計画では、@rmsV6の中大規模スーパーへの普及、C2Platformの拡大、ActiveCityのシェア向上が具体的な戦略として示されている。2026年上期には@rmsV6の新規稼働と卸EDIの大型顧客からの完全移行受注が進んだ。事業計画は単なる構想ではなく、顧客基盤の拡大という実績を伴い始めている。
官公庁クラウドでは、自治体基幹システム標準化の一時的な収益が減っても、保守料と文書管理サービスが残る。ActiveCityの採用実績が増えれば、地方の公共システム事業者から全国展開できるソフト会社へ変わる可能性がある。シナジー買収に伴うのれん償却終了も、利益率の改善を後押しする。
トラスト事業はまだ小さいが、公的個人認証の認定、デジタル証明書の発行実績、特許を持つ。資格証や学生証が広く電子化される時代には、この基盤が新しい収益の柱になる余地がある。全社の時価総額は比較的小さく、事業の一つが大きく育てば企業価値への効果は無視できない。
慎重な見方
2025年の利益成長には自治体基幹システムの標準化需要が大きく寄与した。これは何年も同じ水準で繰り返されるものではない。官公庁クラウドは全社売上の半分近くを占めるため、標準化案件が一巡した後の利益が低下すれば、流通クラウドの成長だけでは補えない可能性がある。官公庁のシステム構築は競争入札が基本であり、他社より高い価格を継続的に請求できる事業でもない。
流通クラウドも無条件に安全ではない。2025年の@rms導入店舗数は顧客企業の統合などによって減少した。大手スーパーへの進出には、NECやBIPROGYなどの既存ベンダーとの競争が伴う。大手顧客は価格交渉力が高く、システムの共同利用による原価削減の一部は顧客への値下げとして返す必要がある。
AIエージェントは、従来のソフト会社の売上構造を変える可能性がある。自治体向けの設計・開発・テスト、スーパー向けの画面操作、帳票作成、単純な保守対応は人手を介さずに実行される方向へ進む。サイバーリンクスがAIを内部で利用して開発工数を減らしても、その効率化による利益をすべて保持できるとは限らない。顧客や競合にも同じ技術が広がれば、料金には下落圧力がかかる。
トラスト事業は技術的に魅力があるものの、これまでの成長計画は未達が続いた。電子証明書の普及に伴って政府や巨大プラットフォームが共通規格を整備すれば、小規模事業者の収益機会は限定される可能性がある。携帯販売もオンライン化と通信事業者の手数料改定に左右される。利益が減る事業を複数抱える会社に、流通データ基盤だけを根拠として高い倍率を与えることはできない。
どちらに重みを置いたか
食品卸EDIと商品データベースの競争力については、強気の主張に説得力がある。共同利用の基盤と独自データという二つの裏付けがあり、AIが普及しても価値が残りやすい。一方、官公庁の標準化特需、受託開発の工数減少、携帯販売の構造的な弱さは軽視できない。会社全体を強い堀の企業とは扱わず、優れた部分と弱い部分を分けて評価した。確率は楽観側29%、中立32%、悲観側39%とし、下方向にやや厚く配分した。現時点では慎重な見方が優勢だが、これは優れた食品流通基盤の価値を否定する判断ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,411 円158 億円(+ 還元の換算額還元の合計 335 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 956 円107 億円、今との差 −12.8%、 期待の年率 +5.3%(資本コスト 7.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,981 円334 億円 | 624 円70 億円 | +228.6% | +14.4% | 361 円40 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,199 円247 億円 | 464 円52 億円 | +142.7% | +10.4% | 506 円57 億円 |
| 中立 | 32% | 1,522 円171 億円 | 357 円40 億円 | +71.2% | +6.2% | 601 円67 億円 |
| やや悲観 | 25% | 541 円61 億円 | 205 円23 億円 | −31.9% | −4.3% | 187 円21 億円 |
| 悲観 | 14% | 523 円59 億円 | 134 円15 億円 | −40.1% | −5.5% | 92 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,411 円158 億円 | 335 円38 億円 | +59.2% | +5.3% | 1,746 円196 億円 |
今の株価時価総額 1,097 円123 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 共同データ基盤が強まり、自治体と認証サービスも育つ 利益 23 億円 · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,981 円334 億円
食品流通では、企業間取引の共同利用基盤としての地位が一段と強まる。卸EDIは大手食品卸売業の多くで利用が続き、Mdbの商品データもAIを使った受発注の共通参照先として残る。@rmsV6では既存店舗の統合が進むが、大手スーパーでの採用によって売上単価を守る。画面を操作する利用者は減っても、基幹システムに記録される商品・在庫・発注情報の価値を保持できる。
官公庁では、標準化案件の終了後もActiveCityと自治体運用サービスが普及する。和歌山・関西で培った顧客基盤を全国へ広げ、自治体が共通基盤を採用する機会を捉える。受託開発の工数は減るものの、複雑なシステム移行と現場施工に関する契約を維持でき、競争入札でも一定の利益率を確保する。
トラスト事業では、資格証や学生証のデジタル化が進み、自治体や教育機関から継続的に収入を得る。CloudCertsは複数の大手発行機関で採用され、初期投資を回収して黒字化する。携帯販売は対面支援と新しい生活サービスで顧客を維持する。増加した利益の一部を株主へ還元しながら、財務の健全性を保つ10年となる。
- 流通クラウド・食品小売基幹システム:数量 1,219(@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量))× 価格 0.03(導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む))→ 売上 37 億円・営業利益 8 億円。AI代替を前提に店舗換算数量は現状維持。V6の普及と周辺サービスで単価約1.15倍。営業利益率23%。
- 流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤:数量 12.2(卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標))× 価格 2.30(商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む))→ 売上 28 億円・営業利益 6 億円。取扱商流額の実質数量は維持。共同利用基盤の堀により単価約1.34倍、利益率23%。
- 官公庁クラウド・継続運用と文書管理:数量 400(自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定))× 価格 0.11(1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定))→ 売上 43 億円・営業利益 12 億円。既存契約相当の数量を維持。共通化による原価削減で利益率28%。
- 官公庁クラウド・導入開発と防災施工:数量 75.0(年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.64(1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 48 億円・営業利益 8 億円。受託開発の工数縮小を織り込み数量0.75倍。付加価値案件と施工が残り利益率17%。
- トラスト事業・デジタル証明と本人認証:数量 40.0(発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定))× 価格 0.22(1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。資格証発行機関を新規獲得。現状の小さな母数から契約換算機関数が拡大する。
- モバイルネットワーク事業:数量 10.0(運営店舗数(店舗))× 価格 5.30(1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計))→ 売上 53 億円・営業利益 5 億円。10店舗を維持し、対面相談と金融関連サービスの拡大で単価を高める。
倍率:k=7.0%、10年後ROE=22.5÷197.7=11.38%、moat=normalの残存割合0.5よりRONIC=9.19%。g_long=1.0%を使い、正当化PER=(1−0.01÷0.0919)÷(0.07−0.01)=約14.85倍。AI代替の影響は数量とgに織り込んでおり、追加の倍率割引は行わない。
確率:食品卸EDIで高い浸透率を維持しながら自治体の全国展開とトラストの商用化も成功する複合条件である。既存の実績に根拠はあるが、全てが同時に順調に進む可能性は高くないため10%とする。
やや楽観 19% 食品流通の堀を保ち、行政クラウドが安定成長 利益 17 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,199 円247 億円
食品卸EDIのネットワークは維持され、企業同士のデータ連携が増える。小売業向けでは大手チェーンの採用を得る一方、小規模店舗の統合やAIによる操作作業の減少で契約換算数量は緩やかに縮む。それでも周辺サービスの利用が増え、ソフトウェア開発投資の回収が進むことで、流通クラウド全体の利益率は改善する。
自治体向けではActiveCityの導入が進み、既存顧客に追加機能を提供できるようになる。基幹システムの標準化関連の大口案件は一巡するが、文書管理やセキュリティ、運用保守の定常収入で減少を補う。個別開発の一部はAIに代替されるため、受託開発の案件数は増えない。競争上の優位は保つが、価格競争がなくなるわけではない。
トラスト事業は複数の業界に発行サービスを広げ、安定した黒字事業に変わる。携帯販売は一部の店舗を集約しながら残った店舗の効率を高める。買収やソフト開発に使った資本が一定の利益を生み、株主還元も着実に拡大する筋書きである。
- 流通クラウド・食品小売基幹システム:数量 1,120(@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量))× 価格 0.03(導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 7 億円。数量0.92倍、単価1.12倍。大型店向けと既存顧客の周辺サービスが寄与。
- 流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤:数量 11.8(卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標))× 価格 2.20(商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む))→ 売上 26 億円・営業利益 6 億円。実質商流額は微減でも、共有データの付加価値を保つ。
- 官公庁クラウド・継続運用と文書管理:数量 360(自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定))× 価格 0.11(1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定))→ 売上 38 億円・営業利益 9 億円。AI代替により契約相当数量0.90倍。原価効率改善で利益率24.5%。
- 官公庁クラウド・導入開発と防災施工:数量 72.0(年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.59(1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 42 億円・営業利益 6 億円。数量0.72倍、単価1.24倍。人月依存は縮む。
- トラスト事業・デジタル証明と本人認証:数量 25.0(発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定))× 価格 0.20(1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。2030年の会社売上目標に近い規模を維持し、利益率24%。
- モバイルネットワーク事業:数量 9.0(運営店舗数(店舗))× 価格 5.10(1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。店舗集約と1店舗当たり売上の増加で利益を維持。
倍率:10年後ROE=16.9÷187.7=9.00%、k=7.0%、残存割合0.5からRONIC=8.00%。g_long=1.0%、正当化PER=(1−0.01÷0.08)÷0.06=約14.58倍。事業の成長とROEを反映した上限を使用する。
確率:卸EDIの堀と自治体顧客基盤が収益を支える可能性は相応にある。ただしAI代替のもとで複数のソフト製品が同時に数量を伸ばす想定は避け、19%にとどめる。
中立 32% 共同データは残るが、人月・画面の収益は縮む 利益 12 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,522 円171 億円
食品流通では、卸EDIと商品情報データベースが重要なインフラとして残る。食品スーパーの統合が進むため、@rms基幹の契約換算店舗数は現在より減少する。AIエージェントが発注や帳票作成を代行することで、利用者が操作する画面に対する料金は伸びにくくなる。一方、EDIの取引記録と共通商品マスタには一定の値上げ余地が残る。
自治体向けでは基幹システム標準化の移行需要が一巡し、個別開発の工数も減少する。ActiveCityなどの定常収入は一定の顧客基盤を保つものの、公共調達の価格競争とAIによる省人化の効果が料金に反映される。官公庁クラウド全体の売上は減るが、既存システムの運用が必要なため、事業そのものは失われない。
トラスト事業は小規模ながら黒字化し、証明書の発行と検証を提供する。携帯販売は人口減少とオンライン化によって店舗数が減るが、残った店舗で対面サービスを継続する。2025年より売上は小さくなる一方、ソフトの償却負担の平準化と継続収入の増加により営業利益率は一定程度保たれる。ただし、自己資本の積み上がりに対して利益の増加は乏しく、ROEは資本コストを下回る。
- 流通クラウド・食品小売基幹システム:数量 1,015(@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量))× 価格 0.03(導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む))→ 売上 29 億円・営業利益 5 億円。数量は現在の0.83倍、単価は1.10倍。AI操作代替と食品小売再編を織り込む。
- 流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤:数量 11.2(卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標))× 価格 2.08(商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。取引の実質数量0.92倍、単価1.21倍。共同データ基盤の収益が残る。
- 官公庁クラウド・継続運用と文書管理:数量 330(自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定))× 価格 0.10(1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定))→ 売上 34 億円・営業利益 8 億円。継続契約相当数量0.825倍、単価1.10倍。標準運用と文書管理が残る。
- 官公庁クラウド・導入開発と防災施工:数量 68.0(年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.56(1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 38 億円・営業利益 5 億円。人月・工数型の数量0.68倍、単価1.18倍。標準化特需の反動を織り込む。
- トラスト事業・デジタル証明と本人認証:数量 17.0(発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定))× 価格 0.18(1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。新規発行機関の獲得は進むが普及速度は緩やか。営業利益率10%。
- モバイルネットワーク事業:数量 8.0(運営店舗数(店舗))× 価格 4.85(1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。店舗数0.8倍、店舗当たり売上1.15倍。代理店手数料の値上げ力は弱い。
倍率:10年後ROE=11.94÷174.9=6.83%でk=7.0%を下回る。追加投資による超過利益を認めず、PER上限は稼ぐ力の1÷k=14.29倍。g_long=1.0%はAI代替後の長期成長を表すが、ROEが資本コスト以下であるため倍率を引き上げない。中立の営業利益率11.2%は2025年の10.2%を上回るが、2026年上期の利益率改善、2027年ののれん償却終了、継続収入比率の上昇を根拠とする。
確率:食品流通の共同利用基盤は残りやすい一方、自治体の標準化特需は再発せず、AIによる受託開発と操作型ソフトの縮小が進むとみる。大きな成功も完全な競争力喪失も必要としないため、中心に32%を配分する。
やや悲観 25% 自治体特需が剥落し、ソフト料金も圧迫される 利益 4 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 541 円61 億円
食品スーパーの統合が進み、@rms基幹の顧客基盤が縮小する。大手システムベンダーやAIを組み込んだ競合製品への切り替えも増え、導入店舗数だけでなく実質の収益単価にも圧力がかかる。卸EDIは取引記録の基盤として残るものの、大手顧客の価格交渉が強まり、会社が生み出す原価削減効果の一部を顧客に還元する。
官公庁クラウドでは自治体標準化案件の終了後、新規の大型開発案件が減少する。一般的な開発作業とテストはAIエージェントが代替し、自治体側も共通化されたシステムを選ぶ。ActiveCityは一定の採用先を維持するが、文書管理単体の市場成熟によって新規需要が鈍化する。保守・運用収入は残っても、利益率は低下する。
トラスト事業は期待ほど拡大せず、固定費を吸収できない。モバイルネットワークでも店舗統合と手数料率の見直しが進む。売上減少に合わせて人員や拠点を削減するが、システムの保守費用、本社費、既存ソフトの償却負担はすぐには消えない。配当は利益の減少に応じて抑制され、長期的な株主還元余力も縮小する。
- 流通クラウド・食品小売基幹システム:数量 875(@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量))× 価格 0.03(導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。導入店舗相当数は現在の0.72倍。値上げは小さく、利益率12.5%。
- 流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤:数量 10.4(卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標))× 価格 1.98(商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む))→ 売上 21 億円・営業利益 3 億円。実質商流額0.85倍、単価1.15倍。共同利用基盤は残るが競争激化。
- 官公庁クラウド・継続運用と文書管理:数量 280(自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定))× 価格 0.10(1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。契約相当数量0.70倍。行政ソフトのAI代替と公共調達の価格圧力。
- 官公庁クラウド・導入開発と防災施工:数量 59.0(年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.53(1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。受託工数相当数量0.59倍。施工は残るが利益率4.5%。
- トラスト事業・デジタル証明と本人認証:数量 10.0(発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定))× 価格 0.16(1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。新規発行機関の獲得が停滞し、事業は小幅赤字。
- モバイルネットワーク事業:数量 7.0(運営店舗数(店舗))× 価格 4.60(1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。7店舗へ集約、手数料条件が悪化し利益率3.8%。
倍率:ROE=4.25÷153.45=2.77%で資本コスト7.0%を大きく下回る。成長による超過利益は認めず、稼ぐ力の上限1÷k=14.29倍を使う。現在の自己資本90.2億円から、のれん4.55億円、ソフトウェア及び仮勘定約18.68億円、契約資産等の回収・換価リスク約12億円を控除した約55億円を資産の床として比較する。事業の稼ぐ力による価値がこの床を上回る。
確率:自治体の標準化案件減少と、AIによる受託開発の工数縮小が同時に進む可能性は高い。食品流通の共同データ基盤は残るため、完全な事業崩壊には至らない筋書きとして25%を与える。
悲観 14% 業務ソフトの優位を失い、受託開発が構造的に縮む 利益 −5 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 523 円59 億円
食品流通の共同データ基盤は一部で使われ続けるが、大手IT企業が共通APIとAIエージェントを組み合わせた低価格サービスを提供するようになる。大手スーパーの基幹システムは企業統合を機に入れ替えられ、既存の@rms導入店舗数は大きく減少する。卸EDIも顧客が独自のデータ接続基盤を利用することで取引量が縮小し、商品マスタの優位が利益に結び付きにくくなる。
官公庁向けでは、自治体基幹システム標準化の特需が終わり、受託開発の設計・プログラミング・テストが急速に自動化される。公共システムの大手事業者が低価格で案件を獲得するため、サイバーリンクスの地域顧客基盤だけでは競争力を守れない。既存システムの保守と防災設備の現場施工は残るが、開発人員を維持できず事業の再編が必要になる。
トラスト事業は政府や大型プラットフォームの共通認証基盤に押され、赤字が継続する。携帯販売でも店舗閉鎖が進む。売上高は現在のほぼ半分まで縮小し、固定費と償却負担を削減しきれず営業赤字となる。買収で計上したのれんやソフトウェアの一部を減損し、株主還元は初期の数年間に限られる。会社は存続しても、かつての利益成長企業としての優良さを失った状態になる。
- 流通クラウド・食品小売基幹システム:数量 670(@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量))× 価格 0.02(導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。顧客統合とAI代替により数量0.55倍、価格も現在以下。
- 流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤:数量 7.0(卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標))× 価格 1.72(商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。取引記録の一部は残るが、競合の共通APIへの移行で大幅縮小。
- 官公庁クラウド・継続運用と文書管理:数量 220(自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定))× 価格 0.09(1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。AI代替と大手ベンダーへの移行で継続契約相当数量0.55倍。
- 官公庁クラウド・導入開発と防災施工:数量 48.0(年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.45(1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 22 億円・営業利益 −1 億円。受託開発の構造的減少が進み、稼働率低下と固定費で赤字。
- トラスト事業・デジタル証明と本人認証:数量 7.0(発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定))× 価格 0.14(1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。普及に失敗し、開発固定費を負担しきれない。
- モバイルネットワーク事業:数量 6.0(運営店舗数(店舗))× 価格 4.10(1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。6店舗へ縮小。代理店手数料の低下と固定費負担で低採算。
倍率:事業が営業赤字に転落するため、継続的な稼ぐ力によるPER評価は行わない。2025年末の現在自己資本90.2億円に対して、のれんとソフトウェア等の換価不能部分、契約資産の回収リスクを控除した資産の床55億円を確認する。現在自己資本90.2億円×0.65=58.63億円とし、10年間の留保利益を積み増した将来自己資本95億円には掛けない。これは過去の市場PBRではなく、資産の回収可能性と事業再編費用から判断した倍率である。
確率:AIによる開発・保守の代替、自治体の競争入札、食品小売の顧客統合が重なる複合的な敗北である。EDI基盤の全てが失われるわけではないが、会社全体では赤字化もあり得るため14%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
流通クラウド・食品小売基幹システム
@rms基幹、AI自動発注、生鮮EDI、棚割、専門店向け販売管理など。顧客の業務記録には重要だが、操作画面や利用者単位の価値はAIエージェント代替を受ける。
| 数量@rms基幹導入店舗数(店舗、周辺食品小売サービスの売上を配賦する代表数量) | 価格導入店舗1店当たり年間売上相当額(億円、周辺サービス・初期導入売上の配賦を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,219 | 0.03 | 32 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,015 | 0.03 | 29 | 5 |
取り方:2025年の@rms基幹導入店舗1,219店は会社の新中期経営計画に記載された実数である。食品小売向け定常収入は約27.5億円、流通クラウド全体の売上は53.01億円である。周辺の食品小売向けサービスと初期導入を含む売上を32億円と推定して配賦し、32億円÷1,219店で単価を作った。したがって0.026251億円は@rms基幹そのものの公表料金ではなく、食品小売関連売上の店舗当たり換算値である。2025年の導入店舗数は前年比52店減少しており、AI代替の型は操作画面・業務SaaSとする。中立の数量は0.83倍、価格は1.10倍程度に抑える。
流通クラウド・卸EDI・企業間データ基盤
クラウドEDI-Platform、C2Platform、Mdb商品情報データベースなど。企業間の受発注、商品コード、商談情報を結ぶ共同利用基盤として、独自データと取引ネットワークを持つ。
| 数量卸EDI取扱商流額(兆円、2025年の価格水準で測る実質取引量の代理指標) | 価格商流額1兆円当たりの当社関連売上相当額(億円、周辺サービスを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.2 | 1.72 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 11.2 | 2.08 | 23 | 4 |
取り方:2025年の卸EDI商流額12.2兆円は会社開示値。会社資料の対象市場は約36兆円で、商流額ベースの浸透率は約33.9%。大手加工食品卸売業における社数シェアは約55%。EDI-Platformの定常収入約11.1億円に、C2Platform、Mdb、周辺商品の売上と初期導入売上を含む推定配賦額21.01億円を対応させた。21.01億円÷12.2兆円が表示単価であり、実際のEDI契約手数料率そのものではない。今後の数量は商流額を2025年の価格水準に直した実質額とし、物価上昇を価格側にだけ入れる。業界共同基盤への採用と約40万件の商品画像DBという二つの堀の証拠により、AI代替表の『記録の正本』に分類する。中立数量0.92倍、価格1.21倍とする。
官公庁クラウド・継続運用と文書管理
自治体基幹システムの保守・利用料、ActiveCity、行政情報システムの継続運用など。公文書や行政記録は残るが、操作画面と一般的な保守業務はAIによる省人化の対象となる。
| 数量自治体・業務システム別の継続契約相当件数(件、推定) | 価格1契約相当当たり年間利用料・保守料(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 400 | 0.09 | 37 | 7 |
| 10 年後 中立 | 330 | 0.10 | 34 | 8 |
取り方:官公庁クラウドの2025年定常収入37.2億円は会社の新中期経営計画に基づく。契約総件数と契約別単価は非開示であるため、自治体数ではなく自治体・業務システム別の継続契約相当件数400件を計算用の仮定とした。37.2億円÷400件で年間930万円相当とする。ActiveCityは130以上の組織への採用実績があり、自治体基幹系の地域顧客基盤も存在するが、この400件を実際の導入団体数とは解釈しない。中立は操作中心の業務SaaS・一般的保守の型として数量0.825倍、価格1.10倍とする。公文書という法的記録は残るが、全ての契約について低解約率や年単位の移行負担が開示されているわけではないため、記録の正本の優遇は全額に与えない。
官公庁クラウド・導入開発と防災施工
自治体基幹システム標準化、個別開発、ネットワーク構築、防災行政無線の施工等。SIの設計・テスト・開発工数はAI代替対象だが、現場施工には物理的な需要が残る。
| 数量年間遂行プロジェクト相当件数(件、推定) | 価格1プロジェクト相当当たり年間売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.48 | 48 | 5 |
| 10 年後 中立 | 68.0 | 0.56 | 38 | 5 |
取り方:官公庁クラウド全体の2025年売上84.77億円から、定常収入37.2億円を引いた47.57億円を導入開発・施工等の非定常部分として扱う。実際の案件数は非開示であるため、案件平均約4,757万円となる100件を計算用の相当件数として設定した。公開された実案件数を示す数字ではない。収益の一部には防災行政無線など現場施工が含まれるものの、基幹系移行やシステム開発の比重が大きいため、中立の数量は人月・工数型の0.68倍とする。単価は人件費インフレを考慮して1.18倍とするが、標準化特需の再発は想定しない。
トラスト事業・デジタル証明と本人認証
CloudCerts、電子証明書発行、公的個人認証、電子委任状など。AIが操作する画面でなく、発行記録の真正性と本人認証が価値の中心となる。
| 数量発行・受託顧客の年間契約相当機関数(機関、推定) | 価格1契約相当機関当たり年間売上高(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 0.15 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 17.0 | 0.18 | 3 | 0 |
取り方:2025年のトラスト事業売上1.47億円とセグメント経常損失0.61億円を起点とする。導入機関数は非開示であり、10機関は単価を試算するための契約換算単位で、実顧客数ではない。売上には継続課金だけでなく個別受託開発も含まれる。公的個人認証関連の認定、発行済み資格証の真正性管理、特許を持つデジタル証明技術を評価するが、ネットワーク効果はまだ十分に実証されていない。AIによる操作画面代替とは異なり、発行機関の新規獲得を数量の伸びとして扱う。AIエージェントを販売することによる成長は計上しない。
モバイルネットワーク事業
和歌山県を中心としたドコモショップの運営、端末販売、通信契約の取次ぎ、対面の相談サービス。現場での顧客対応を伴う事業で、AIによる人月・席課金代替の型には直接当たらない。
| 数量運営店舗数(店舗) | 価格1店舗当たり年間売上高(億円、端末販売と手数料の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 4.21 | 42 | 4 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 4.85 | 39 | 3 |
取り方:2025年のモバイルネットワーク売上42.09億円を、会社資料に記載されたドコモショップ10店舗で割った。実際には各店舗の販売台数と手数料率が異なるが、店舗別の販売数量は非開示のため、店舗数×1店舗当たり年間売上で表す。全国のドコモショップ約2,049拠点に対する単純店舗比率は約0.5%。ただし地元和歌山県では同社が有力代理店であり、全国比率は地域の競争力を示さない。中立では店舗数を8店、店舗当たり売上を現在の1.15倍とする。物価上昇分を通信事業者の手数料に全額転嫁できないため、価格上昇は物価3%を下回る。
リスクと懸念
AIエージェント代替とソフト収益の構造変化
業務画面を操作するSaaSや受託開発は、AIエージェントによる自動化で利用人数や必要工数が減る。流通ではEDIの記録と独自データが残るが、@rmsの操作中心部分は弱い。自治体向けでも設計・開発・テスト・一般保守の収益が縮む可能性がある。AI活用による社内の生産性改善をすべて利益増とせず、顧客への価格還元も見込む。
自治体基幹システム標準化特需の反動
2025年と2026年上期の官公庁クラウド事業の好調には、自治体基幹システム標準化や防災関連の案件が大きく寄与した。しかし標準化案件は恒常的に増える市場ではなく、会社も2027年以降の反動を見込む。契約の終了後に運用料や文書管理システムの継続収入を増やせなければ、利益率が想定以上に低下する。
食品スーパーの統合と顧客基盤の縮小
2025年の@rms導入店舗数は1,219店で、前年から減少した。既存顧客の企業統合では、統合先のシステムへの切り替えが起こり得る。中大規模スーパーへの進出に成功しても、顧客の規模が大きくなるほど値下げ交渉や個別開発要求も増えるため、店舗数の拡大が必ずしも高い追加利益につながるとは限らない。
共同データ基盤の標準化と競合参入
EDIと商品マスタは同社の強みだが、流通企業が共通APIや独立した商品データ標準を採用すれば、サービス間の乗り換え負担が低下する可能性がある。大手IT企業がEDIとAI自動発注をまとめて低価格で提供する場合、データ基盤の優位を価格へ転嫁することが難しくなる。独自商品画像DBの更新費用も継続する。
ソフトウェア投資と買収の回収不足
@rmsV6などの開発ではソフトウェア資産を計上し、利用開始後に償却費が発生する。顧客の獲得が計画より遅れれば、先行投資が長く利益を圧迫する。官公庁向けの過去の買収にも、のれん償却負担が生じた。将来の買収が顧客基盤を広げても、買収価格に見合う増分利益を稼げなければ資本効率は悪化する。
モバイル代理店の手数料と店舗固定費
携帯電話販売では通信事業者が決めるインセンティブ体系が利益を左右する。2026年上期にも手数料条件の変更と人件費増加が減益要因となった。オンライン手続きが普及すれば来店需要は減り、店舗数を減らす必要がある。家賃や人件費は販売台数に比例して減らないため、固定費負担による利益率低下が起こり得る。
トラスト事業の商用化と規格競争
CloudCertsには認定・特許・発行実績があるが、事業規模はまだ小さく、安定した利益を生む段階には達していない。デジタル証明書の普及が進んでも、政府や大型プラットフォームが共通サービスを提供すれば価格競争が起こる。発行・保管・検証の広いプラットフォーム構想を実現するには、さらなる開発投資と顧客獲得が必要になる。
今後の分かれ目
- @rmsV6の導入店舗数が2030年目標の2,400店へ向けて継続的に増え、定常収入も同時に拡大したら
- 食品小売向けの数量前提を引き上げる。ただし、導入工数や償却負担を差し引いた増分利益率を確認し、単なる店舗数増加だけで長期成長を認めない。
- 卸EDIの大手加工食品卸売業でのシェアが55%から上昇し、MdbやC2Platformの契約収入も伸びたら
- 業界共同利用基盤の堀が広がった証拠となる。EDIの数量と単価を上方修正し、会社全体の長期成長率も再検討する。
- 官公庁クラウドの標準化関連売上が縮小しても、定常収入が増えてセグメント利益を維持できたら
- 受託開発への依存度が下がったと判断する。中立の官公庁利益率を引き上げ、やや悲観の確率を減らす。
- ActiveCityの小規模自治体向けシェアが2025年の約10%から2030年目標の20%へ近づいたら
- 行政の文書管理サービスで競争優位が強まったと見る。ただし契約更新率と料金改定実績を確認するまで、全社を強い堀とは判定しない。
- トラスト事業が2030年計画の売上高5億円、経常利益2億円を安定して実現したら
- 実証段階から収益事業への移行を確認できる。新規発行機関数と利益率を見直し、やや楽観の価値を引き上げる。
- ソフトウェア開発人員や受託開発工数が減る一方で、顧客への請求単価と継続収入が維持されたら
- AI活用の効果を自社が保持できている証拠となる。AI代替の数量縮小は維持しつつ、利益率改善の余地を上方修正する。
- 累進配当に加えて大規模な自社株買いが継続し、配当性向中央値が50%以上に達したら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ変更する。ただし還元によるROEの上昇を事業の成長と取り違えない。
見ておくもの
- 食品小売@rms基幹の導入店舗数と、顧客M&Aによる解約件数
- 卸EDIの取扱商流額と年商1,000億円以上の食品卸売業への浸透率
- C2Platformの導入ID数と定常収入の伸び
- ActiveCityの採用組織数と小規模自治体向けシェア
- 官公庁クラウドの定常収入と標準化関連の非定常売上の比率
- 流通クラウドのARR、ソフトウェア償却費、追加開発・導入に必要な人員
- トラスト事業の黒字化とCloudCertsの新規発行機関数
- ドコモショップの店舗数、端末販売状況、代理店手数料条件
- 営業キャッシュフローから開発・設備・買収投資を引いた余剰現金
- 配当性向、自己株式取得実績、発行済株式数の増減
倍率と資本コストの決め方
基準株価と時価総額は2026年10月22日の添付データを使用した。株数は2026年8月17日時点の発行済株式数11,547,988株から自己株式336,400株を控除した11,211,588株であり、自己株式を二重に控除していない。
現在のPERやPBR、同業他社の市場倍率から10年後の倍率を決めていない。先に食品小売の導入店舗数、卸EDIの実質商流額、自治体の契約相当件数とプロジェクト相当件数、トラストの発行機関、携帯販売店舗数を置いた。数量は実質、単価は名目とし、物価上昇を二重計上していない。次に利益率、税引後利益、自己資本を推計し、k=7%、g_long=1%の経済性から倍率を決めた。楽観から中立のPERには正当化上限をそのまま使用した。
2025年末の純有利子負債は約14.2億円であり、現金約21.41億円だけを見て純現金の会社とは扱わない。投資有価証券も約0.14億円と小さく、事業外資産を多額に別建て計上しない。2026~2030年の会社計画では営業キャッシュフロー約140億円のほぼ全額に成長投資・設備投資・本社移転・株主還元・運転資金の用途が示されている。このため、10年後の留保利益はソフトウェア、設備、顧客基盤、買収資産などの事業資本に投じられると想定し、筋書きごとに追加の遊休現金を自動的に積み上げる代わりに、事業の収益力と自己資本に反映した。将来の余剰現金を別建てで計上しないことは、安全側の仮定である。
悲観側は現在の自己資本90.2億円から、のれん4.55億円、売却困難なソフトウェア資産約18.68億円、契約資産等の回収リスク約12億円を控除した約55億円を資産の床とする。悲観PBRは将来積み上がる自己資本に掛けず、現在の自己資本に掛けた。減価償却は既存取得原価のまま扱い、新規ソフトウェアと設備更新の分だけ将来の投資価格上昇を反映した。2027年以降の新リース会計による表示変更は、事業価値の追加増加として扱わない。
5つの筋書きを資本コスト7%で現在価値に割り引くと約107億円となり、現在の時価総額約130.5億円との差は約マイナス18%である。結論は『やや割高』であり、中立の将来時価総額が現在より高くても、10年間の時間価値を無視して割安とは判断しない。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%から、過去の営業利益の安定性を0.5ポイント減算した。個別のAI代替リスクやM&Aリスクは、資本コストへの上乗せではなく、数量、利益率、シナリオ確率に反映する。