結論
ファインズは、中小企業に動画制作、販促の改善、月額の情報管理サービスを売り、2026年からは人材紹介にも広がった企業である。筆者の結論は割高だ。純現金を抱える利点はあるが、制作と営業支援はAIエージェントが代行しやすく、買収した人材紹介会社の利益が投資額を正当化するかも確かめられていない。2036年の五つの筋書きを資本コストで現在に戻すと、株主の取り分を含めた本質価値は現在の時価総額を約45%下回る。
同社を単なる動画制作会社と見るのも、成長するソフトウェア企業と見るのも正確ではない。2026年6月期には既存動画の新規受注が前年の1,474件から1,148件に落ちた一方、月額課金契約は伸びた。さらに2026年のオルプラ、Nexilの取得で、従来とは異なる採用決定手数料が収入に加わった。2027年6月期の会社計画で売上高が42億円へ膨らむ大きな理由は、買収会社が通期で連結されることであり、既存事業の数量成長と混同してはいけない。
強みは、DXを自力で進めにくい零細・中小企業に直接近づける営業網と、約7,900社の継続顧客基盤にある。ただし顧客接点を持つことと、競合に代替されない技術を持つことは別だ。ストック契約が増えても制作単価や人材紹介の成約手数料が下がれば、株主の稼ぎは伸びない。下振れの価値を支えるのは、独占的な製品より、借入を差し引いても残る現金と換金できる資産である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、この会社の評価は「中小企業に必要とされるか」ではなく、「必要とされても十分な利益を残せるか」にかかる。広報動画、営業先管理、採用活動は10年後も消えない。しかし制作、分析、候補者選別をAIが安く行えるようになれば、それを請け負うだけの会社は顧客の節約を自社の利益に変えられない。顧客との関係が太いことを評価しつつも、その関係が値上げと解約の少なさに結びつく証拠を求めたい。
経営陣が直面する難題は、利益率の高い過去を取り戻すため、どこに再投資すべきかである。Videoクラウドの新規案件が減るなかで月額契約を増やす選択には道理があるが、契約数だけ伸ばして人件費と販促費が先に膨らめば、残る利益は小さい。人材紹介への進出は顧客の人手不足という実需に触れる一方、買収のれんと借入を背負ってまで高い紹介手数料を維持できるかという、別の賭けを持ち込んだ。現金の多さだけで投資対象にしてよいわけではない。
オーナー利益として数えたいのは、将来の制作体制と顧客維持に必要な費用を払った後、株主が実際に受け取れる現金である。2026年の減価償却約0.44億円とのれん償却約0.38億円は性質が違い、後者を足し戻して買収負担が消えたかのように見るのは危うい。増収しても売上の大きな部分が人と販売に依存し、再投資の成果が資本コストを超えると確認できるまでは、事業に高い永続成長を払う理由は薄い。
現時点の安全域は十分とは言えない。悲観では現金・売掛金など売れる資産が損失を和らげるが、その現金は配当として自動的に分配されるものではない。むしろ、買収と新規事業に使われる可能性がある。必要なのは、営業利益と手元現金の両方が増え、還元に変わるという継続的な実績である。
何で稼ぐ会社か
現在のDX事業は動画の受注制作を入口に、配信・視聴データ分析のVideoクラウド、マーケティングデータをまとめるRaise、改善施策の実行支援へ顧客を導く。相手は専任の広報担当や情報システム部門を持たない中小企業だ。撮影・制作・導入支援の対価は案件ごとに入るが、動画配信や運用支援では月額契約から収入が続く。2026年6月期の売上はVideoクラウド関連が約17.27億円、DXコンサルティング関連が約6.92億円、その他が約0.61億円だった。
受注制作と継続課金を区別しないと、売上の持ちを過大評価する。動画の新規案件は年間1,148件まで減ったが、動画サービスの月額契約は期末6,450件へ増えた。DXコンサルティングの月額契約も期末3,025件である。月額のアクティブ契約は顧客の継続を示すものの、解約のない永続契約ではなく、各サービスの契約が一社に重なることもある。会社はフローの新規件数や単価、解約率の個別開示を縮小し、ストック売上と件数を中心指標に変えたため、数字の読み分けが以前より難しい。
HR事業は2026年に取得したオルプラとNexilが担う。ドライバー、建設など人手不足の現場職を中心に、採用が成立したとき求人企業から紹介手数料を受け取る。2026年6月期の連結売上2.77億円は買収後の約3か月分で、買収先の年間成約数は1,753件だった。翌期のHR売上計画12億円は、その通期化を主因とする。紹介件数が伸びても、採用企業の予算縮小や求人媒体の自動照合によって成約単価と利益率は変わる。
映像制作、画面を操作する管理ソフト、相談役の工数、採用紹介という四つの収益には、それぞれ違う弱さがある。顧客の営業成果を保証する独占権はなく、SNS広告の配信面も自社で保有していない。したがって売上の伸びを、動画案件数と実現単価、月額の有料契約数と平均年額、人材採用の成立件数と成約単価に分けて判断する必要がある。
優良さと弱いところ
最大の強みは中小企業への営業到達力だ。継続顧客約7,894社に加え、2026年には累計取引社数が25,000社を超えた。多数の小口顧客に直接営業し、動画からデータ管理、人材紹介へ売る機会を持つ。小さな顧客は自社内に専門人材を置きにくいため、導入を手伝う相手への需要は残る。ただし累計取引先と現在の有料契約先は異なり、顧客名簿だけで値上げが通るわけではない。
堀、つまり競合に簡単に奪われない強みは弱い。動画やSNSの制作はCrevoやプルークスなどの制作会社と競い、広告運用では多くの代理店と競争する。RaiseやVideoクラウドには独自の利用画面と一定の視聴データがあるが、会計帳簿や法定記録のような唯一の正本ではない。年5%未満の解約率、法令改正に伴う値上げ、年単位の移行負担といった、価格決定力を裏付ける複数の証拠は確認できない。
資本効率の悪化は看過できない。営業利益は2023年6月期の約7.4億円から2026年6月期には約1.3億円になり、自己資本はその間に増えている。既存ビジネスでの増分の投下資本利益率が高いとは言い切れない。純現金10.3億円と自己資本比率62%は時間を稼ぐが、買収後ののれんが約8.2億円あるため、帳簿純資産のすべてを換金できるわけではない。業績の谷でも借入金利と賃借オフィスの支払いは続く。
AIは顧客にとって制作・配信・報告業務を内製する武器となる。会社がAIを業務効率化に使っても、その節約が販売価格の低下に転じれば超過利益は残りにくい。値決め力は普通より弱いとみる一方、現場での採用や顧客折衝には人が担う部分もあるため、すべての売上が直ちに消えるとは考えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要市場は広いが、それだけでシェア獲得を見込むべきではない。会社が示す2030年の中小企業DX市場は1兆4,071億円で、同社のDX売上約24.8億円はその約0.18%にすぎない。従業員300人未満の企業約366万社に対する継続顧客約7,894社という比率も約0.21%である。この二つは市場売上の比率と企業の獲得率で別の物差しだ。未開拓の企業は確かに多いが、発注予算が乏しい企業ほど価格に敏感でもある。
動画制作に絞ると、矢野経済研究所が推計する2025年度の国内市場は約4,364億円である。同社の動画フロー売上推定約14.6億円は市場全体の約0.33%に当たる。ただし市場には大企業のCMや採用映像も含まれ、同社の中小企業向け市場シェアを示す数字ではない。動画制作のCrevo、プルークス、LOCUSのほか、Canvaなど生成AI・編集サービスを直接使う顧客も競合となる。各社の同一定義でのシェアは開示不足で算定できない。
業務ソフト側にはサイボウズのkintone、Salesforce、HubSpotなど汎用の顧客管理基盤がある。Raiseの使いやすさは一定の武器だが、AIエージェントが複数の画面を横断して報告と施策実行を担えば、操作画面そのものへの月額課金は圧迫される。広告代理店の制作・運用の人手も同じ影響を受ける。動画広告の市場が名目で拡大しても、同社が受け取る制作手数料の数量と単価は別に下がり得る。
採用紹介の比較対象は広い人材派遣市場より、紹介手数料の市場である。厚生労働省集計の2024年度の有料職業紹介手数料は約9,835億円で、買収先の年間換算売上は約11億円、全国市場の約0.11%に相当する。エッセンシャルワーカーではプレックス、エックスマイル、リクルートや求人媒体が競合となるが、職種別の同一定義のシェアは確認できない。少子化は採用難を強めて紹介需要を生む半面、働き手の母数を減らし、AIによる直接照合と採用コスト削減が紹介会社の交渉力を削る。
資本政策と M&A
経営の大きな資本配分は、2026年初めのオルプラとNexilの子会社化である。株式取得対価はそれぞれ4.8億円と5.5億円、計10.3億円で、関連する助言費用も約0.73億円かかった。借入約7億円を使い、決算上は約8.2億円ののれんが残った。買収先のHR事業はまだ連結期間が短く、買収額に見合う増分の資本利益率は実証されていない。新たなM&Aに意欲を示す経営方針だけに、次の買収で同じ誤りを重ねないかが問われる。
2023年に公表した中期経営計画の業績目標は、動画の新規受注減少とIT導入補助金の採択不振を受け、2025年6月13日に撤回した。現時点で開示されている具体的な数字は2027年6月期の売上42億円、営業利益3億円、DX売上30億円、HR売上12億円である。同年度は新サービスと営業網に約5億円を投じ、2028年6月期以降の収益化を目指す。しかし2030年などの複数年度にわたる売上・利益・ROEの新しい達成約束はなく、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額についても中期の数字の約束はない。
上場以来の配当実績はなく、2027年6月期予想も無配である。2025年には約1億円で193,600株を取得したが、継続的な大規模還元の実績とまでは言えない。創業経営陣の保有が厚く上位株主への集中度も高いものの、買い戻しを実行しているため余剰現金の株主還元可能性をゼロに近くは扱わない。2026年10月には株式報酬型の新株予約権を59,000株分発行しており、既存の新株予約権と合わせて持分の希薄化にも注意する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中小企業は人材不足のため、外部の専門家に頼らざるを得ない。約7,900社の継続取引先と累計25,000社超への販売経験は、動画の制作会社や新興の業務ソフト会社が簡単にまねできない営業資産である。動画だけで契約を終わらせず、Raise、AIOナビ、SNS運用支援、採用紹介へ課題別に提案できれば、一社からの売上が増える。月額課金のアクティブ契約は増えており、低迷した動画の単発売上よりも、継続収入を事業の柱に変えられる可能性がある。
オルプラとNexilの取得により、紹介成立時に手数料を受けるもう一つの収益源ができた。建設・物流の人手不足は長期化し、求職者との信頼関係や採用企業との交渉には現場の人が要る。採用単価が大きく伸びなくても、案件処理を改善して成立件数を落とさなければ利益は残る。会社の2027年計画は、買収先の通期寄与と既存顧客への横展開が進めば、現在の単年実績より見栄えがよくなる。
AIを制作の値下げ要因としてだけ見なくてもよい。社内の提案と撮影後作業を効率化し、固定的な人件費を抑えながら顧客との相談部分を残せれば、売上が伸びなくても利益率は回復できる。現在の純現金は変革期を乗り切る保険でもある。買収後の資本配分を節度あるものに抑え、最終的に自社株買いと増配を増やせば、継続保有する株主にも成果が届く。
慎重な見方
動画の新規受注が減っていることは、先の需要を示す不吉な兆候である。動画を作り、SNSへ出し、効果を報告する一連の仕事は、生成AIと広告プラットフォームの自動化が得意とする領域だ。大手広告代理店は規模で競い、無料・低価格の制作ツールは価格の下限を押し下げる。零細企業ほど予算に上限があり、サービスの便利さだけでは単価を引き上げにくい。業界全体の広告費が増えても、制作会社に残る売上が減ることは十分にあり得る。
月額契約の積み増しも万能ではない。月額料金に含まれる機能がAIに取り込まれれば、顧客は複数の画面を操作せずに仕事を終えられる。動画の視聴データがあっても、会計や許認可の正本のような乗り換え障壁はない。しかも会社は新規契約件数、単価、解約率などの細かい開示をやめ、投資家が成長の質を直接確かめる材料を減らした。
より心配なのは資本配分である。会社は2025年に中期計画の利益目標を撤回し、その後も既存事業の収益力は回復していない。そこへ取得額10.3億円で二社を買い、のれんと借入を増やした。HRの採用候補者をAIが効率よく直接照合するようになれば、紹介料率は競争にさらされる。社員の採用、広告宣伝、賃借事務所の固定費は需要の減速と同じ速さでは減らず、のれんの減損は自己資本を傷つける。
創業経営陣の持株比率が高く、無配のまま現金を次の買収へ投入する経路もあり得る。少数株主は会社の清算や現金配分を決められない。純現金があるから必ず株価が底堅いとは限らず、事業価値の低下と資産の目減りが同時に起きる危険がある。
どちらに重みを置いたか
営業の顧客基盤と現場職の採用需要は実在するが、長期の利益を守る堀の証拠は弱い。下に寄せる理由は、2025年の中期計画撤回、2026年の既存収益低下、のれんを伴う買収、株主への配当実績のなさである。AIによる縮小は中立の数量・価格と2036年以降の低成長に反映し、確率や資本コストでさらに同じ損失を重ねてはいない。上側25%、中立34%、下側41%とし、資産の床があっても現在の時価総額への安全域は乏しいと判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 618 円28 億円(+ 還元の換算額還元の合計 35 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 303 円14 億円、今との差 −36.8%、 期待の年率 +3.2%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,669 円75 億円 | 129 円6 億円 | +275.5% | +14.9% | 144 円6 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,075 円48 億円 | 65 円3 億円 | +138.0% | +9.4% | 194 円9 億円 |
| 中立 | 34% | 628 円28 億円 | 32 円1 億円 | +37.8% | +3.3% | 224 円10 億円 |
| やや悲観 | 26% | 226 円10 億円 | 9 円0 億円 | −51.0% | −7.0% | 61 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 194 円9 億円 | 0 円0 億円 | −59.5% | −8.6% | 29 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 618 円28 億円 | 35 円2 億円 | +36.2% | +3.2% | 652 円29 億円 |
今の株価時価総額 479 円21 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 顧客基盤の横展開と採用紹介が成功 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,669 円75 億円
既存顧客を維持しながら、動画制作の顧客がデータ管理と採用紹介まで使うようになる。制作の新規案件数そのものはAIとの競争でほとんど伸びないが、撮影以外の顧客対応と成果改善に付加価値が残り、単価と利益率が上がる。Videoクラウドの契約は大きく増えず、それでも競争をくぐり抜けた契約からの収益性が改善する。
オルプラとNexilの人材紹介は年間約1,750件の成約を保ち、物流・建設の採用難と直接の営業関係が支えとなる。成約単価は物価程度上がり、求人広告と候補者照合の自動化が営業原価を下げる。買収のれんを償却した後の利益も残り、新たな大型買収を急がず余剰現金を厚くする。広告制作の数量が膨らまなくても、部門利益を再び複数億円へ戻せる筋書きである。
営業の改善で高い投下資本利益率を回復できれば、低い配当実績から還元姿勢も一部変わる。ただしAIエージェント自体を外部に販売した実績額が確認できないため、AIが新しい売上を爆発的に作る想定にはしていない。
- Videoクラウド:動画制作・導入フロー:数量 1,140(年間新規動画フロー受注件数(件))× 価格 0.01(フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。AI制作で作業時間は減らし、対面の企画支援で案件数を維持
- Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金:数量 6,200(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。有料契約数は横ばいで、単価は操作画面型の上限近く
- DXコンサルティング:導入・改善案件:数量 392(年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件))× 価格 0.01(導入・改善案件1件当たり売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。顧客との折衝を残して工数効率と付加価値を改善
- DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額:数量 2,830(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(月額契約1件当たり年間売上(億円/年))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。相談の付いた契約を守り、ソフト単価の上昇は抑制
- HR:エッセンシャルワーカー採用紹介:数量 1,750(連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数))× 価格 0.01(成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。年間1753件実績をほぼ維持、名目単価は物価並み
- その他:店舗クラウド・小規模月額サービス:数量 1,400(四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似))× 価格 0.00(契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。既存小口の管理機能が補完収益として残る
倍率:AIエージェント代替を受ける動画制作・人月型支援・画面SaaS・紹介仲介の十年以降の名目g_longは0%。k=8.25%、堀はweak(超過ROE残存1/3)。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0825−0)=12.121倍となり、上限をそのまま使用。2036年の事業純利益=全社純利益5.58億円−現金利息(余剰現金17.0億円×税後1.4%)、期末事業価値に余剰現金の回収見込み(戻り方0.75)を加算。
確率:営業網を守りつつ動画の利益率を改善し、HRの成約をほぼ維持するには複数施策の成功が必要で、単独のAI新商品が新たな大口売上を生む確かな実績はないため8%。
やや楽観 17% 縮小する制作を継続課金とHRで補う 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,075 円48 億円
動画新規案件は現在より減るものの、顧客接点が残り、制作単価の低下を小幅にとどめる。動画の月額契約とRaiseの運用契約は概ね現在の規模を維持する。SNS運用代行やAIOナビを含む補完サービスは、既存取引先への販売で契約の減少を和らげる。現場の導入支援を完全には内製できない顧客が一定数残るため、値下げ競争は激しくても利益は消えない。
HRの年間成約は1,560件ほどとなり、2026年の買収先通期件数よりやや少ない。採用企業の資金負担が重くなる中、手数料単価は上がるが紹介料率は際限なく高くできない。人材紹介事業の売上が独立した収益の柱になり、買収のれんが実質的に回収へ向かう。大型買収は抑え、事業の複線化が進む。
固定費を絞って全社の営業利益率は10%台へ回復し、財務は純現金を維持する。還元は小さいが、資本配分に大きな失敗がないため、一定の事業価値が残る。
- Videoクラウド:動画制作・導入フロー:数量 930(年間新規動画フロー受注件数(件))× 価格 0.01(フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。実質数量は0.81倍、改善提案を付けて単価は維持
- Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金:数量 5,600(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約0.90倍と小幅単価上昇
- DXコンサルティング:導入・改善案件:数量 330(年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件))× 価格 0.01(導入・改善案件1件当たり売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。案件数0.83倍、名目単価1.22倍
- DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額:数量 2,550(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(月額契約1件当たり年間売上(億円/年))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約0.90倍、価格1.09倍
- HR:エッセンシャルワーカー採用紹介:数量 1,560(連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数))× 価格 0.01(成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。年間実績比0.89倍、採用難で価格を保つ
- その他:店舗クラウド・小規模月額サービス:数量 1,230(四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似))× 価格 0.00(契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。他契約も徐々に減る
倍率:AIエージェント代替を受ける動画制作・人月型支援・画面SaaS・紹介仲介の十年以降の名目g_longは0%。k=8.25%、堀はweak(超過ROE残存1/3)。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0825−0)=12.121倍となり、上限をそのまま使用。2036年の事業純利益=全社純利益3.40億円−現金利息(余剰現金15.0億円×税後1.4%)、期末事業価値に余剰現金の回収見込み(戻り方0.75)を加算。
確率:現場での相談・採用という人の需要が続き、買収の通期寄与後に固定費を抑えられれば成立する。ただし動画受注の長期減少と高い取得のれんがあるため17%。
中立 34% AI内製化で制作縮小、採用紹介は残る 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 628 円28 億円
動画の制作・運用は必要であり続けるが、顧客は生成AIを使って企画、編集、広告配置と成績報告を自分で進めるようになる。新規動画案件は現在から約3分の1減り、手数料の単価も競争で弱含む。動画の月額課金はアクティブ契約数が減っても、支援が必要な小口顧客に一定の居場所が残る。RaiseなどDXの継続課金も、専用画面を操作する仕事がAIに置き換わるため緩やかに減る。
買収した人材紹介では物流と建設の人手不足が続く。しかしAIによる求職者と採用企業の直接照合が進み、取引の一部が仲介会社を通らなくなる。年間成約件数は1,300件程度となり、物価による単価上昇だけでは数量減を打ち消せない。人材紹介の既存会社を再び高値で買うことはせず、現金を保ちながら既存部門の採算改善に取り組む。
2027年計画の増収は買収会社の通期計上という一時的な段差を含むため、その後の10年に同じ伸び率を延ばさない。会社は無配に近い資本配分を続け、自己資本は積み上がるが利益率は低いままにとどまる。10年後も会社は存続するが、以前の高ROEを取り戻してはいない。
- Videoクラウド:動画制作・導入フロー:数量 760(年間新規動画フロー受注件数(件))× 価格 0.01(フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。広告制作AI代替で実質0.66倍、実現単価0.95倍
- Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金:数量 5,000(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。画面SaaSのAI代替で契約0.81倍、価格1.08倍
- DXコンサルティング:導入・改善案件:数量 265(年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件))× 価格 0.01(導入・改善案件1件当たり売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月工数の削減で案件数0.66倍、単価は物価未満の上昇
- DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額:数量 2,250(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(月額契約1件当たり年間売上(億円/年))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。業務画面のAI代替で契約0.79倍、価格1.08倍
- HR:エッセンシャルワーカー採用紹介:数量 1,300(連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数))× 価格 0.01(成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。年間実績1753件から0.74倍、紹介単価は名目1.20倍
- その他:店舗クラウド・小規模月額サービス:数量 1,100(四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似))× 価格 0.00(契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。その他契約0.77倍、料金の名目小幅上昇
倍率:AIエージェント代替を受ける動画制作・人月型支援・画面SaaS・紹介仲介の十年以降の名目g_longは0%。k=8.25%、堀はweak(超過ROE残存1/3)。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−0/RONIC)/(0.0825−0)=12.121倍となり、上限をそのまま使用。2036年の事業純利益=全社純利益1.83億円−現金利息(余剰現金12.0億円×税後1.4%)、期末事業価値に余剰現金の回収見込み(戻り方0.75)を加算。
確率:動画広告の制作・運用はAIエージェントに一部代替されるが、零細企業の外注需要と人材紹介は消えない。会社の実績悪化と顧客基盤の残存をともに考えた中心で34%。
やや悲観 26% 制作半減、継続課金と採用紹介も減速 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 226 円10 億円
動画制作は顧客企業のAI内製化と大手制作会社の低価格攻勢が同時に進み、新規案件数が現在の半分ほどになる。単価にも値下げが広がり、制作部門はわずかな営業利益しか生まない。月額サービスは有料契約を失い、低い料金で残る顧客を守る。DXの導入支援は必要な案件が細り、運用代行もソフトウェアと競うため、営業余力が乏しくなる。
人材紹介はなお年間約1,030件の採用を成立させるが、求人媒体とAIによる直接マッチングに案件を奪われる。取得した二社の営業体制を縮小することで黒字は保つものの、買収時の期待利益には届かない。経営は新規買収を控え、販管費を減らして損失を回避する。財務の純現金は縮小し、配当や自社株買いの余裕はほとんどない。
継続する価値は小さいが、完全な廃業でもない。価格を独占できない事業の稼ぐ力は限られ、換金できる資産に近い価値しか残らない。
- Videoクラウド:動画制作・導入フロー:数量 560(年間新規動画フロー受注件数(件))× 価格 0.01(フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。顧客の動画内製化で件数0.49倍、単価も下落
- Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金:数量 4,300(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約0.69倍、単価低下
- DXコンサルティング:導入・改善案件:数量 220(年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件))× 価格 0.01(導入・改善案件1件当たり売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。コンサル導入契約の縮小
- DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額:数量 1,900(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(月額契約1件当たり年間売上(億円/年))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。顧客離れ・値下げで小幅利益
- HR:エッセンシャルワーカー採用紹介:数量 1,030(連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数))× 価格 0.01(成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。年1030件、求人媒体との競争が強まる
- その他:店舗クラウド・小規模月額サービス:数量 900(四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似))× 価格 0.00(契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。店舗向け月額契約も不採算に近づく
倍率:営業利益の崩れを考慮し、過去の市場PBRではなく、現在の自己資本22億円を資産価値の分母として保守的に評価。2036年の自己資本31.0億円をPBRの分母に用いない。稼ぐ力の上限は((0.72−5.0×0.014)÷8.25%)+5.0×0.75≈11.63億円で、10.5億円はこれ以下。
確率:下に寄せる理由:2025年中計撤回と2026年の既存受注・利益低下があり、新サービス投資約5億円の回収も未確認。制作手数料とHR紹介の価格競争を反映し26%。
悲観 15% AI代替と買収減損で事業価値を失う 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 194 円9 億円
動画制作と運用の大部分は顧客自身のAIエージェントか総合プラットフォームへ移り、ファインズには営業費用を回収できない案件が残る。制作の新規件数は現在の4割弱となり、単価も大幅に下がる。月額のVideoクラウドやRaiseは解約が加速し、顧客が個別の操作画面に料金を払う動機が弱くなる。値引きしても維持できない契約が出て、固定の従業員費用と家賃が残る。
人材紹介も求人企業の採用費用削減と直接照合の普及に押され、年間成約は720件まで減る。採用成立数が減るのに広告宣伝費は簡単には落とせず、HRは赤字に転じる。取得した二社ののれんには回収可能性の問題が生じ、約8億円の減損を認識する。累積の赤字と資産の減損によって自己資本が大きく縮み、買収資金の返済が現金を圧迫する。
上場維持の余力はかろうじて残すが、再建を迫られる小さな受託事業となる。将来の稼ぎの価値を見込まず、現時点で売却できる現金・債権・敷金などの保守的な清算目安だけを床とする。少数株主がその売却を実行できる保証はない。
- Videoクラウド:動画制作・導入フロー:数量 430(年間新規動画フロー受注件数(件))× 価格 0.01(フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。顧客がAI制作へ転換し、件数0.37倍・単価0.62倍
- Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金:数量 3,150(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約約半減・年額単価も値下げ
- DXコンサルティング:導入・改善案件:数量 175(年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件))× 価格 0.01(導入・改善案件1件当たり売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。業務代替で案件も販売価格も下落、赤字へ
- DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額:数量 1,400(四半期平均の課金アクティブ契約件数(件))× 価格 0.00(月額契約1件当たり年間売上(億円/年))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。席課金と広告運用の値下げで利益が消える
- HR:エッセンシャルワーカー採用紹介:数量 720(連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数))× 価格 0.01(成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。年720件へ激減し、獲得費用を吸収できない
- その他:店舗クラウド・小規模月額サービス:数量 600(四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似))× 価格 0.00(契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。個別アプリがAIと統合され赤字化
倍率:営業利益の崩れを考慮し、過去の市場PBRではなく、現在の自己資本22億円を資産価値の分母として保守的に評価。2036年の自己資本10.1億円をPBRの分母に用いない。2036年赤字のため利益価値は見込まず、現金・売掛債権・敷金等の税後換金可能価値9.0億円を床に使用。
確率:下に寄せる理由:新規動画受注がすでに減り、オルプラ・Nexilの取得のれん約8.2億円が減損し得る。事業縮小と資本毀損が重なる低頻度の事象として15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
Videoクラウド:動画制作・導入フロー
中小企業向け動画の制作、導入、関連する単発の提案収入。広告制作・運用型でAIエージェント代替の影響を受ける。
| 数量年間新規動画フロー受注件数(件) | 価格フロー受注1件当たり年間認識売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,148 | 0.01 | 15 | 0 |
| 10 年後 中立 | 760 | 0.01 | 9 | 0 |
取り方:2026年のVideoクラウド関連売上17.27億円から、四半期ストック売上65+67+68+71百万円=2.71億円を除き、フロー売上約14.56億円と推定。新規フロー受注1,148件(前年1,474件)は決算説明資料に開示があり、14.56億円÷1,148件=約127万円は売上認識のずれを含む案件当たり等価額であり、会社開示の契約単価ではない。OPはDXの部門損益から推計配賦。AI代替区分は広告制作・運用。
Videoクラウド:配信・視聴分析の月額課金
動画の配信と視聴データ管理の継続課金。顧客に操作を提供するSaaS型で法定記録の正本ではない。
| 数量四半期平均の課金アクティブ契約件数(件) | 価格有料契約1件当たり年間継続売上(億円/年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 6,208 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5,000 | 0.00 | 2 | 1 |
取り方:2026年6月期の四半期Videoクラウド継続売上65、67、68、71百万円を合算し2.71億円。契約数5,961、6,145、6,276、6,450の平均6,208件で割った年額単価は約4.4万円。1社が複数契約を持つ可能性は残る。AI代替区分は席・画面課金の業務SaaS。
DXコンサルティング:導入・改善案件
販促・マーケティングデータ統合の導入支援、実施施策などの工数・成果に応じたフロー売上。
| 数量年間コンサル導入・改善案件の推計件数(件) | 価格導入・改善案件1件当たり売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 400 | 0.01 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 265 | 0.01 | 3 | 0 |
取り方:2026年DXコンサル関連売上6.92億円から四半期の月額売上67+71+72+74百万円=2.84億円を控除し、フロー売上4.08億円。新規フロー件数の開示廃止を受け、近年の案件単価約100万円を参照して便宜的に400件×102万円と逆算した推計であり実測件数ではない。AI代替区分は人月・工数型。
DXコンサルティング:Raise・運用支援の月額
Raiseなどのデータ管理と、継続的な改善提案・SNS運用代行。画面課金と労務型が混在する。
| 数量四半期平均の課金アクティブ契約件数(件) | 価格月額契約1件当たり年間売上(億円/年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,844 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,250 | 0.00 | 2 | 1 |
取り方:DXコンサル関連の2026年四半期ストック売上67、71、72、74百万円=2.84億円、四半期アクティブ契約2,667、2,788、2,894、3,025件の平均2,843.5件を使用。年額約10万円。AI代替区分は画面SaaSと人月・広告運用の混合で、法定記録・低解約率などの強い堀を確認できない。
HR:エッセンシャルワーカー採用紹介
オルプラ・Nexilによる物流、建設等の採用成約手数料。実際の採用決定数×企業からの紹介料。
| 数量連結計上期間に対応する成約件数(現在は最終四半期の件数。将来は年間件数) | 価格成約1件当たり紹介手数料等の売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 432 | 0.01 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,300 | 0.01 | 10 | 1 |
取り方:2026年6月期の連結HR売上2.77億円は、2026年の買収後の最終四半期のみを含む。対応する4Qの成約432件で割り、手数料等は約64万円/件と推定。買収先のFY26通年成約件数は436+426+459+432=1,753件で、将来の年間件数の数量比較は432件ではなく1,753件を基準とする。FY27予想HR売上12億円は通期化を含み有機成長と同一視しない。AI代替区分は候補者照合・紹介事務の高度自動化を受ける仲介で、実体労務の派遣ではない。
その他:店舗クラウド・小規模月額サービス
既存の店舗向け契約や新規付帯サービスの一部。新サービス分は開示不足のため保守的に一括評価。
| 数量四半期平均のその他アクティブ契約件数(件、近似) | 価格契約1件当たり年間のその他売上等価額(億円/年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,426 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,100 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2026年のその他売上約0.61億円を、店舗クラウド等の四半期契約数1,466、1,416、1,434、1,389の平均1,426.25件で近似的に割った。売上には新サービス等も混ざり得るため純粋な契約単価ではない。AI代替区分は中小企業向け画面SaaSと運用付帯サービス。
リスクと懸念
AIエージェント代替と値下げ
映像の撮影後編集、広告配信、レポート作成、CRMデータ整理はAIエージェントが直接実行できる。動画の制作・運用と工数型コンサル、Raiseなど画面SaaSで価格と件数が同時に縮む可能性がある。Videoクラウドの視聴記録には価値があるが、法定記録の正本としての独占性を裏付ける情報は乏しい。中立でサービス別の数量縮小と十年以降の成長ゼロに反映し、資本コストには重ねていない。
買収のれんと採用紹介の収益性
オルプラとNexilの取得に10.3億円、関連助言費用に約0.73億円を投じた。新規連結は2026年6月期には約3か月だけで、買収先が10年を通じて投下資本コスト8.25%を超える利益を稼げるか未知である。紹介料率への競争、候補者獲得費の上昇、直接マッチングが重なれば約8.2億円ののれんの減損が生じ得る。
販売KPIの開示縮小
2026年9月の事業説明ではフロー新規契約件数、フロー・月額契約単価、解約率を主要KPIから外した。ストック件数が増えても顧客が本当に値上げを受け入れているか、月額売上が解約なしに増えているかを切り分けにくい。四半期の動画・DX月額売上と有料契約数を自分で割り戻し、案件粗利の低下を早めに発見する必要がある。
2027年の投資回収不確実性
新サービスの開発、営業体制、販売パートナーに2027年6月期約5億円を投じる計画がある。2028年以降の収益化を目標としているが、AIの進化が速く、立ち上げた機能が価格優位を保てない可能性は高い。人員採用や広告宣伝に資金を費やしても継続課金が残らなければ、純現金は帳簿上の見た目より早く細る。
中小企業向け販売と政策補助金依存
2025年にはIT導入補助金の採択率が会社の想定を下回り、動画新規受注が不足したことで業績予想と中期計画目標を引き下げた。物価高や景気減速で中小企業の集客予算が抑制されれば、もともと小さい案件が減り、営業担当者一人当たりの生産性が急落する。補助金に助けられた受注を、独自の値上げ力と誤認しないことが重要だ。
経営支配、無配、希薄化
創業経営陣への持株集中と現在までの無配を考えると、保有現金の分配や追加買収を少数株主がコントロールしにくい。2025年の約1億円の自己株買いは好材料だが、制度的な総還元方針にはなっていない。既存と2026年新規の新株予約権の行使は、売上が増えても既存株主一株の取り分を減らす。
固定費、借入金利と会計処理
2026年の取得資金に伴い有利子負債は約7.15億円となり、事務所賃料も年間約1.67億円ある。売上が急減しても家賃、採用広告費、管理人員の費用は同じ速さで落とせない。金利2%の現金収益と約3.5%の借換利払いを対称に見ており、新リース会計基準で使用権資産とリース負債が載る場合も、賃借費用の二重計上を避ける必要がある。
今後の分かれ目
- Videoクラウドの新規フロー案件が年1,148件からさらに2割以上減り、月額売上も前年割れしたら
- AI内製化と値決め力の低下が同時に起きた可能性が高く、動画フローと月額契約の数量・単価を減額し、やや悲観の比重を高める。
- DXの月額契約数が増えても、1契約当たり年額や営業利益が下がり続けたら
- 継続課金への転換が顧客の離脱防止にすぎず、株主利益を増やしていない証拠となる。SaaSの堀を弱くしたまま中立の利益率を再点検する。
- HRの通期成約件数が1,753件を上回り、手数料・広告費を控除した利益が改善したら
- 2026年の買収に増分資本利益率があると評価できる。買収先ののれん負担も見直し、やや楽観と楽観の確率を引き上げる。
- 会社が5億円の新サービス投資後に2028年の新サービス黒字化を達成し、現金も増やしたら
- 新しい収益が運用サービスの付随売上ではなく安定したオーナー利益になったと確認し、数量前提と利益率を見直す。ただし外販AIエージェント売上の実額がない限り長期gは据え置く。
- 追加の高額買収を行い、のれんと借入が増えるのに営業利益率が回復しなかったら
- 投下資本利益率が資本コストを下回る資本配分と判断し、自己資本の減損リスクを織り込み、株主還元を下方修正する。
- 明確な配当性向や総還元方針を掲げ、配当と買い戻しが数年続いたら
- 余剰現金が少数株主に戻る実績ができるため、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地が生まれる。
- 生成AIや求人媒体が紹介決定まで一貫代行し、採用紹介単価と年間成約件数がともに急減したら
- HRも工数型の代替を強く受ける構造的な負け筋となり、のれんの回収可能性と悲観資産価値を再計算する。
見ておくもの
- 動画新規フロー案件数と実現単価。FY2026の1,148件が下げ止まるか
- VideoクラウドとDXコンサルの四半期ストック売上、アクティブ契約件数、推定1契約当たり年額
- 新サービスの単独売上・営業利益・解約率、外販AIエージェント受注額の明示
- HRの四半期採用成約件数と1件当たり実現紹介手数料、FY2026通年の1,753件との比較
- FY2027 DX売上30億円、HR売上12億円、営業利益3億円の達成度
- 2027年の新サービス投資約5億円と2028年の投資回収、実営業キャッシュフロー
- のれん約8.2億円の償却・減損、長期借入残高と財務制限条項
- 配当・自社株買いの総額、権利行使による希薄化、追加買収の取得額と事後ROIC
倍率と資本コストの決め方
添付基準日時点の発行済株式から自己株を控除した4,467,500株と株価、時価総額約24.79億円は、各事業の数量・単価と利益を推計した最後の比較にのみ用いた。証券市場の現在PERや過去のPBRの安値から倍率を作っていない。動画制作の新規受注と月額契約、DX工数、HR成約を分け、AI代替の実質数量減を売上に、十年以降の成長率0%を倍率に反映し、寿命コストには重複計上していない。
2036年の楽観から中立の正当化PERはg=0%により1÷資本コスト8.25%=12.121倍であり、事業純利益から余剰現金の利息を引いて現金を別に戻した。やや悲観・悲観のPBRは現在の自己資本22億円を基準に算定し、将来の利益剰余金で膨らんだ自己資本には掛けていない。自己資本は各年の純利益累計から還元を引いて流し、悲観のみのれん8億円の減損を別途控除した。
現在の余剰現金と2036年時点の余剰現金を二重に足さないよう、各筋書きのexcess_cash_okuを用いる。新株予約権の希薄化は時価総額・還元の現在株主への取り分に最後だけ掛け、倍率には掛けていない。新リース会計基準による貸借対照表の表示変更があっても、家賃を二度費用に入れず、現在と同じ経済的費用で比較する。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に循環+0.5%、価格交渉力+0.5%、純現金-0.25%、事業寿命0%を合計して8.25%。規模・株価変動率は加えず、買収やAIの個別リスクは利益・確率・長期gで表す。