結論
システム ディは、学校や地方自治体の学籍・会計管理を主力とする業務ソフト会社である。筆者の結論は「割高」だ。公立高校と自治体会計では高い導入シェアを築いたが、10年後の価値には、画面を操作する人そのものが減るという変化を織り込む必要がある。2025年10月期の売上は約50億円、営業利益は約9億円で、過去10年の利益率改善は確かな成果である。借入を上回る流動資産もあり、目先の存続不安は小さい。
堀、つまり顧客が他社へ移りにくい理由は製品ごとに異なる。公教育のSchool Engineと自治体のPPPは、長年の成績や公会計の記録を引き継ぐ必要があるため粘着性が高い。学園向けCampus Planも全学を横断するが、操作画面と利用者数に依存する部分はAIエージェントに代替されやすい。フィットネス施設のSmart Helloや規程管理システムは、さらに低価格のクラウド製品と競り合う。高い市場シェアを、そのまま全製品の値上げ力と読み替えてはいけない。
2028年10月期に売上65億円、営業利益13億円という会社計画は、足元の更新需要が続く可能性を示している。ただし2036年を考えると、教育人口の減少に加えてAIの操作代行が保守・席課金の単価を押し下げる。中立では2036年の売上を約53億円、営業利益を約8億円と見込む。確率を付けた10年後の時価総額と期間中の還元を資本コストで割り戻すと、現在の約86億円に対し価値は約52億円となる。これは約39%の不足であり、事業の良さと投資の安全域は別の話だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目では、まず10年後に顧客が何のために代金を払うのかを問う。地方自治体には決算書を作成し、学校には生徒の成績を引き継ぐ責任がある。人が画面を開かなくなっても、その記録の正確さと監査可能性は必要だ。この部分は模倣の難しい顧客関係と過去データの移行費用を持つ。反対に、予約入力や規程の検索、設定作業はAIが安くするほど売り手の取り分が薄れる。
同社には高い利益率と厚い流動性があるが、ROEの低下を見過ごせない。2016年から2025年に営業利益は大きく伸び、自己資本も約18億円から50億円へ積み上がった。しかし今後も同じ増分利益が出るとは限らない。必要な保守開発費や製品の刷新投資を引いた後の利益こそ株主のものだ。現金が多い会社であっても、使わない資本を長く抱えるなら価値を額面いっぱいには認めない。
優れた小規模ソフト会社を評価する際には、導入シェアだけでなく解約率、更新単価、競争入札の勝率を確かめたい。これらの連続した数字がまだ足りない以上、強い堀を全社に広げる判断はできない。買収で自治体の製品群を増やす成長策も、取得した売上ではなく買収後の利益と継続率で測る。会社の存続可能性は高い一方、株主が受け取る10年の価値は買値で大きく変わる。現在の時価総額には、その不確実性を引き受けるだけの余裕が乏しい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、自社で開発した業種別の業務パッケージを売り、導入時の設定や追加開発を受託し、稼働後の保守とクラウド利用料を継続して受け取る仕組みである。2025年10月期の学園ソリューション売上は15.19億円。Campus Planは学籍や成績、授業、学校法人の財務までを一体で扱い、全国の大学や専門学校で使われている。2026年春時点の稼働顧客は約520校で、導入した大学は約350校に及ぶ。
公教育ソリューションは15.69億円で、School Engineが小中高校の校務や成績、徴収金を管理する。稼働先は約4,498校で、公立高校では全国のおよそ半数に導入されている。価格表には学校規模に応じた月額料金があるものの、実際の売上には導入作業や更新も含まれる。公会計ソリューションは6.12億円。PPPは地方自治体の予算、決算、固定資産台帳を支え、約1,191団体が稼働している。全国の市区町村の約56%に導入されている点は、単純な画面ソフトとは違う強みである。
ウェルネスソリューションは7.69億円で、Smart Helloが会員管理や入退館、券売りを扱う。約899施設が稼働し、クラウド型の新興競合と価格や使い勝手を争う。ソフトエンジニアリングは3.48億円で、規程管理や文書関連の製品を約544の稼働組織へ届ける。これらは法令や社内承認の記録を残す半面、検索、起案、画面操作をAIが肩代わりしやすい。
残る約2.15億円には薬局向けシステムなどが含まれる。薬局向けの稼働先は約305店だが、事業ごとの金額は開示されていないため、評価上は薬局1.50億円と周辺受託・その他0.65億円に仮分解した。これは会社公表の内訳ではない。全社の採算を比べる際も各事業の推計営業利益から本社・共通開発費を差し引き、二重に利益を作らない。
優良さと弱いところ
最も確かな強みは公教育と公会計の深い導入実績である。学校の成績や自治体の固定資産・予算は、年度をまたいで連続して使う記録だ。導入後は過去データの移行、職員の研修、関連帳票の更新が必要になり、単なる安い画面への乗り換えでは済まない。とりわけ公立高校で約半数、自治体会計で市区町村の約56%という導入実績は、新規受注の信用にもなる。ただし競争入札がある以上、シェアだけで自由な値上げができるわけではない。
経営の良さは数字にも表れている。営業利益率は2016年の約6%から2025年の約19%へ高まり、純有利子負債は約19億円のマイナスに転じた。既存パッケージを複数の顧客に展開し、保守料を積み上げた結果と考えられる。ただし同じ10年に自己資本も積み上がり、ROEは2021年の18%台から直近12%台へ下がった。現金を貯めるだけでは増分資本の価値は増えない。
堀の限界もはっきりしている。大学向けでは日本システム技術、初等中等教育ではEDUCOMやスズキ教育ソフト、フィットネスではhacomonoと競合する。規程管理ではKiteRaなどの新興製品が価格面で迫り、同社自身も小規模向けの低価格プランを導入した。個別製品の解約率や契約当たりの値上げ実績は、今回確認した開示だけでは定量的に裏付けられない。したがって全社を「記録の正本」として高く評価せず、公教育と公会計にだけ持続性の上乗せを認める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の業務ソフト市場は行政のデジタル化とクラウド移行が成長を支える。広い国内SaaS市場は2025年に約1.5兆円とされるが、この数字をシステム ディの市場規模として使うのは誤りだ。同社が争うのは学校の校務、大学の学籍、自治体の公会計、施設会員管理という狭い市場である。数量の基礎は、学校数、団体数、稼働施設数で見る方が適切だ。
学校の総数は人口減少で増えにくい。公立小中高校を合わせた約3.1万校に、2026年時点の同社の稼働数約4,500校を重ねると、なお未導入先はある。しかし小中学校向けにはEDUCOMなど強い先行企業が存在し、全校に同社製品が広がるという想定は採らない。高校に強い今の構成では、統廃合や自治体による一括調達も数量の逆風になる。大学市場では全国の大学・短大約1,110校のうち約350校を顧客に持つが、日本システム技術も200校を超える採用実績を持つ。競争は市場の拡大より既存顧客の入れ替えに移りやすい。
公会計では全国1,788市区町村のうち約1,008自治体がPPPを採用し、導入団体ベースのシェアは約56%である。制度改正と公有財産の管理高度化は追い風だが、自治体の予算制約やシステム標準化は単価を抑える。TKCや地域のシステム業者も入札に参加する。ウェルネスではhacomonoが1万施設規模へ拡大するなど新興クラウド勢の規模が大きく、同社約900施設の優位を当然視できない。
10年先を分けるのは生成AIである。学籍や会計の法的な原簿は残りやすいが、職員が何人で何画面を操作するかは価値の根拠でなくなる。大学、施設、規程管理と薬局の利用者数を中立で今より減らし、単価も物価上昇に追いつかないと見た。公教育と公会計は規制・共同利用の台帳機能をより強く評価するが、それでも実質の稼働数量を増やさない。AI関連の開発発表はあるものの、AIエージェントそのものの売上が定量開示されない限り、楽観でもAIによる数量拡大は先取りしない。
資本政策と M&A
資本配分は保守的で、かつ改善余地がある。2025年10月期末の自己資本は約50億円で、現預金と流動有価証券から借入を差し引いた流動性は約23億円に達する。一方で約10億円の前受収益があり、その全額を株主に配れる余剰金とみなすべきではない。今回は運転資金と契約履行の余力を残し、余剰現金の帳簿額を約12億円に限った。
2025年12月公表の中期経営計画は2028年10月期に売上65億円、営業利益13億円、営業利益率20%、ROE14%を目指す。還元では配当性向30%を目安とし、自社株買いを含む総還元性向40%を目標とするが、確定した買付金額の約束ではない。配当は近年増加してきた一方、過去5年で株数を大幅に減らす自社株買いは確認できない。したがって将来の余剰金がすべて少数株主へ戻るとは仮定しない。
買収は隣接分野の機能を広げる小型案件が中心である。2023年にAI受託開発の中村牧場を子会社化し、2026年には公有財産管理システムfmSMARTの事業譲受に向けた基本合意を公表した。ただし基本合意は取得完了と同じではない。公会計と施設管理の顧客をつなげられれば既存営業網の価値が増すが、契約・データ統合に失敗すれば開発費だけが残る。2028年目標を達成しても、そこからの再投資利回りが資本コストを上回るかを継続して問いたい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
公教育と公会計の導入実績は、ソフト会社として際立っている。公立高校の約半数がSchool Engineを使い、自治体会計では市区町村の過半がPPPを採用する。年度をまたぐ成績や財産台帳の移行は重大な業務リスクを伴うため、安価な競合ソフトが現れても簡単に切り替わるとは考えにくい。教育や会計の法制度が変わるたび、同社が対応済みの製品を提供できることも顧客にとって価値がある。
2025年の利益率は約19%に達し、2028年の会社計画は売上65億円、営業利益13億円を示している。学校のクラウド移行や自治体の固定資産管理の精緻化が進めば、既存顧客への新機能販売で収入を増やせる。直近の大学向けの増収や利益率改善は、その可能性を裏付ける。AIによって導入・サポートの工数を削減できれば、販売単価の伸びが限定的でも費用効率は改善し得る。ただしこれは既存製品の原価削減の話であり、未開示のAIエージェント売上を勝手に加えるものではない。
財務面でも有利な出発点に立つ。純負債ではなく純現金を持ち、前受収益で継続収入の一部が前払いされている。景気や公共入札の一時的な谷でも研究開発を止める必要が生じにくい。資本配分では総還元性向40%の目標が公表され、増配も続いている。既存の教育・自治体向け事業を守りながら小型の事業取得を進められれば、長期にわたり一定の超過収益を維持できる。
慎重な見方
高い導入シェアは、必ずしも自由な価格決定権ではない。学校と自治体は入札と予算に縛られ、導入件数が増えても競争によって保守料や更新費用が抑えられる。高校で強いSchool Engineも、小中学校ではEDUCOMなどの既存大手が厚い。大学向けには日本システム技術、施設向けにはhacomonoが存在し、同じ顧客が次の更新でもシステム ディを選ぶ保証はない。
より深刻なのは、利用者の人数と画面の数を収入の根拠とする契約である。AIエージェントが職員の代わりに入力、検索、照合、予約、帳票作成まで担えば、大学や施設は従来の席数を必要としなくなる。低価格の規程管理サービスや海外の統合ソフトも、従来製品の見た目の便利さを商品価値から奪う。公会計の原簿は残るとしても、その周辺で人が行っていた設定・保守作業の工数は細る。既存の20%近い営業利益率を10年間当然視するのは危うい。
財務にも見かけとの違いがある。現預金の一部は前受収益に対応しており、顧客へのサービス提供前にすべて分配できるわけではない。過去10年間の自己資本積み増しに伴いROEはすでに低下した。買収によって開発負担が増えれば、帳簿に現金や資産が残っても増分の投下資本利益率が悪化する。解約率、値上げ実績、AI製品の売上が開示されない以上、競争環境の転換が同社の強みをどこまで削るかを断定することはできない。
どちらに重みを置いたか
公立高校と地方自治体の強い導入基盤は評価するが、全社を規制対応の独占的台帳と見なすには証拠が足りない。中立では学園・施設・規程管理の稼働数量と実質単価を縮め、公会計と公教育だけは制度対応と切替費用で収益が保たれると見た。確率は上側29%に対して下側40%とする。これはAIの縮みを利益と確率で重複計上するためでなく、自治体入札の集中、更新時の競争、余剰現金の使途に固有の不確実性があるためだ。現時点の価格に対しては慎重な見方が勝り、投資価値は割高の側にある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/10 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 455 円88 億円(+ 還元の換算額還元の合計 105 円20 億円)。 今の値に割り戻すと 312 円60 億円、今との差 −29.9%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 6.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 772 円149 億円 | 161 円31 億円 | +109.1% | +8.6% | 103 円20 億円 |
| やや楽観 | 18% | 648 円125 億円 | 145 円28 億円 | +77.9% | +6.6% | 143 円28 億円 |
| 中立 | 31% | 545 円105 億円 | 114 円22 億円 | +47.9% | +4.4% | 204 円39 億円 |
| やや悲観 | 27% | 255 円49 億円 | 78 円15 億円 | −25.4% | −3.2% | 90 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 119 円23 億円 | 36 円7 億円 | −65.1% | −11.0% | 20 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 455 円88 億円 | 105 円20 億円 | +25.5% | +2.6% | 560 円108 億円 |
今の株価時価総額 446 円86 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 公教育・公会計の更新と生産性改善が続く 利益 8 億円 · PER 15.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 772 円149 億円
学校の校務と自治体会計は10年後も厳格な正確性を求められ、更新のたびに同社製品が選ばれ続ける。School Engineの稼働校数は現在の約4,500校を維持し、PPPも約1,200団体を守る。クラウドへの移行や新しい制度対応の対価を得られ、教育と公会計の単価は名目物価に沿って上がる。入札で競合を退け続けるという、簡単ではない前提だ。
学園、ウェルネス、規程管理にはAIエージェントの置き換えが入るが、同社のサポート体制も効率化し、利用料の下落を費用削減が補う。大学向けの顧客数は増えず、値上がりも小幅にとどめる。2028年計画を達成した後も既存顧客を守り、計画に近い採算を維持する。隣接する公有財産管理の事業取得が統合に成功し、同じ営業先に新しい機能を売れる。小型買収で大きく株数を増やさず、総還元目標に近い配当と買付を続ける筋書きである。
- 学園ソリューション(Campus Plan):数量 520(大学等の稼働学校数(校))× 価格 0.03(稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み))→ 売上 17 億円・営業利益 5 億円。大学向けは席課金のため数量増なし、単価上昇15%まで
- 公教育ソリューション(School Engine):数量 4,498(稼働する公立小中高校等(校))× 価格 0.00(稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み))→ 売上 21 億円・営業利益 6 億円。高校の原簿更新と共同利用基盤を維持し単価は物価並み
- 公会計ソリューション(PPP):数量 1,191(PPPの稼働自治体等(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。自治体会計の制度対応を継続し名目単価は物価並み
- ウェルネスソリューション(Smart Hello):数量 890(稼働スポーツ・文化施設(施設))× 価格 0.01(稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。施設数は微減、月額値上げは15%に制限
- ソフトエンジニアリング(規程・文書管理):数量 533(稼働する法人・団体数(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。文書検索は代替されるが更新記録が残る
- 薬局ソリューション(GOHL等):数量 296(稼働薬局数(店舗))× 価格 0.01(稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。薬局席数が微減、導入支援単価を一部転嫁
- 周辺導入・受託・その他(暫定):数量 15.0(年間受託・周辺支援契約数(件、推計))× 価格 0.04(1契約当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。工数は25%縮むが案件単価は物価近くまで転嫁
倍率:2036年末ROE8.55%、資本コスト6.75%。moat=normalで超過収益の持続率は2分の1、RONIC7.65%、AIエージェント代替後の名目g=0.5%とする。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)から14.9541倍。純利益8.3億円に含む余剰現金12億円の税後利息0.168億円を控除し、残余利益×倍率+12億円×株主還元帰属率0.75=130.61億円。現在PERを根拠にしていない。10年累計純利益は78億円、期間還元31億円で、自己資本は50.1+78−31=97.1億円。
確率:公教育・公会計の更新を取り続け、支援開発の効率化で固定費を吸収する必要がある。AI新規売上の定量開示はないため、新たなAI事業の数量増加は加えておらず、確率は11%に限った。
やや楽観 18% 基幹台帳が健闘し周辺は横ばい 利益 7 億円 · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 648 円125 億円
公教育と公会計の制度対応力が10年先も収益を支える。School Engineは稼働校約4,400校、PPPは約1,150団体を確保し、顧客の台帳移行費用が契約更新を後押しする。ただし人口減少で学校自体は増えず、入札を通じて単価上昇は物価並みかそれ以下にとどまる。競合する自治体向けソフトが一部契約を奪うが、全国の導入実績は維持できる。
大学向けでは日本システム技術と競合し、約500校の稼働を保つ。会員管理ではhacomonoへの移行が進むため施設数は減るものの、既存顧客の更新が残る。規程管理の低価格プランは解約防止に一定の役割を果たす。AIは営業利益の新しい柱ではなく、開発・保守工数を節約する道具として働く。買収は小型案件にとどまり、過剰な研究開発費やのれんの減損を避ける。全社の増収幅は小さくても、堅実な還元が続く。
- 学園ソリューション(Campus Plan):数量 499(大学等の稼働学校数(校))× 価格 0.03(稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み))→ 売上 17 億円・営業利益 5 億円。大学操作席は縮小、単価14%上昇まで
- 公教育ソリューション(School Engine):数量 4,363(稼働する公立小中高校等(校))× 価格 0.00(稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み))→ 売上 20 億円・営業利益 5 億円。公立校数を微減とし制度対応で単価上昇
- 公会計ソリューション(PPP):数量 1,155(PPPの稼働自治体等(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。自治体数を微減とし法対応更新で価格を維持
- ウェルネスソリューション(Smart Hello):数量 827(稼働スポーツ・文化施設(施設))× 価格 0.01(稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。施設の新興クラウド競合で顧客数が減る
- ソフトエンジニアリング(規程・文書管理):数量 500(稼働する法人・団体数(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。規程管理はクラウド低価格競争と既存基盤を両立
- 薬局ソリューション(GOHL等):数量 284(稼働薬局数(店舗))× 価格 0.01(稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。薬局操作業務の席数が微減
- 周辺導入・受託・その他(暫定):数量 14.0(年間受託・周辺支援契約数(件、推計))× 価格 0.04(1契約当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。工数は30%減り料金は物価程度まで
倍率:2036年末ROE7.23%、資本コスト6.75%。超過収益の持続率は2分の1でRONIC6.99%、長期名目成長g=0.5%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)から14.85521倍。純利益6.8億円から余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除き、事業利益×倍率+12億円×0.75=107.52億円。10年累計純利益72億円、還元28億円で、自己資本は50.1+72−28=94.1億円。AI代替の縮小は数量とgに反映済みであり、倍率を任意に再割引しない。
確率:制度対応製品のシェアが維持され、公共調達の価格改定もある程度進む筋書きである。大学や施設の契約減少を補うだけの販売力が要るので、起こり得るが中心の見込みとはしない。
中立 31% 原簿の価値は残り、操作席と工数は減少 利益 5 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 545 円105 億円
公立高校と自治体の会計台帳は今後もなくならず、既存顧客との契約更新が続く。School Engineの稼働校数は約4,300校、PPPは約1,130団体にわずかに減るが、制度改正への対応費用が名目売上を支える。両事業の単価は10年間で約3割上がる一方、競争入札のため物価を大幅に上回る値上げはできない。学校統廃合と職員の事務負担削減も稼働数を抑える。
学園システムはAIが画面操作と事務手続きを代行し、契約数量は現在の約9割へ減る。施設向けは約700施設、規程管理は約450団体に縮小し、値上げ率も物価以下になる。受託開発の仕事量は今より約35%減り、価格転嫁しても従来の売上規模は守れない。共通開発費は物価で膨らむがAIを使う開発効率で一部を抑える。2028年の会社計画達成を途中で見込んでも、2036年には利益が直近の水準を下回る。留保資本が積み上がるためROEも低下し、増配と買付は利益に応じた規模へ落ち着く。
- 学園ソリューション(Campus Plan):数量 458(大学等の稼働学校数(校))× 価格 0.03(稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。AIが学務画面を代行、稼働校数12%減・価格13%増
- 公教育ソリューション(School Engine):数量 4,273(稼働する公立小中高校等(校))× 価格 0.00(稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み))→ 売上 19 億円・営業利益 5 億円。公教育の原簿は残り校数5%減・価格28%増
- 公会計ソリューション(PPP):数量 1,131(PPPの稼働自治体等(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。公会計は制度対応が残り団体数5%減・価格30%増
- ウェルネスソリューション(Smart Hello):数量 701(稼働スポーツ・文化施設(施設))× 価格 0.01(稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。施設の席・画面課金が減り施設数22%減
- ソフトエンジニアリング(規程・文書管理):数量 446(稼働する法人・団体数(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。規程検索の自動化で組織数18%減
- 薬局ソリューション(GOHL等):数量 268(稼働薬局数(店舗))× 価格 0.01(稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。薬局の操作席縮小と値上げ15%上限
- 周辺導入・受託・その他(暫定):数量 13.0(年間受託・周辺支援契約数(件、推計))× 価格 0.04(1契約当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託工数35%減、価格転嫁25%上限
倍率:2036年末ROEは5.80%で資本コスト6.75%を下回るため、10年以降の再投資による価値創造を認めず、正当化PERの上限を1÷k=14.81481倍とする。現金の税後利息0.168億円を5.4億円の純利益から除き、事業利益×14.81481倍+余剰現金12億円×0.75=86.51億円。2025年自己資本50.1億円に10年累計純利益65億円を足し、配当・自己株買い22億円を引いて2036年自己資本93.1億円。現在の株価と市場PERは倍率の根拠に使っていない。
確率:既存の高校・自治体の原簿は残り、大学や施設の操作型サービスはAI代替で縮むという最も筋の通る組み合わせ。近年の高い売上伸長をそのまま十年延長せず、31%を配分する。
やや悲観 27% 自治体入札とAI代替が重なり利益が縮む 利益 2 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 255 円49 億円
公共調達が広域化し、学校や自治体が調達先をまとめ始める。School EngineはEDUCOMなどへの入れ替えが進んで稼働約3,400校へ減り、PPPも約1,000団体へ縮小する。新しい会計制度への対応で台帳の必要性は残るが、競争入札で価格改定が抑えられる。もはやシェアの高さを価格交渉力へ転換することは難しい。
大学向けはAIによる学務の自動化と競合の基幹系統合によって約360校へ下がる。施設向けのクラウドシフトと規程管理の低価格競争が重なり、全社の売上は約40億円へ落ちる。費用削減は進めるものの、開発者の確保と製品維持に最低限の固定費が必要で、営業利益は3億円台へ縮む。公有財産管理のM&Aでも顧客統合が予定どおり進まず、資本効率は悪化する。配当は維持に努めるが、10年累計の還元規模は利益の減少に沿って小さくなる。
- 学園ソリューション(Campus Plan):数量 364(大学等の稼働学校数(校))× 価格 0.03(稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。大学の基幹統合で稼働数30%減
- 公教育ソリューション(School Engine):数量 3,374(稼働する公立小中高校等(校))× 価格 0.00(稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み))→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。公共入札失注で稼働校25%減
- 公会計ソリューション(PPP):数量 1,012(PPPの稼働自治体等(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。公会計も自治体統合調達で団体15%減
- ウェルネスソリューション(Smart Hello):数量 629(稼働スポーツ・文化施設(施設))× 価格 0.01(稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。クラウド競合で施設数30%減
- ソフトエンジニアリング(規程・文書管理):数量 381(稼働する法人・団体数(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。文書管理をAIに移し顧客30%減
- 薬局ソリューション(GOHL等):数量 223(稼働薬局数(店舗))× 価格 0.01(稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。薬局パッケージの更新失注27%
- 周辺導入・受託・その他(暫定):数量 11.0(年間受託・周辺支援契約数(件、推計))× 価格 0.04(1契約当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。人月業務44%縮小し料金は18%増
倍率:2036年末ROEは2.4÷80.1=3.00%で資本コスト6.75%を下回る。悲観側では将来積み上がる自己資本80.1億円を床の倍率の分母に使わず、現在の自己資本50.1億円を固定する。現在自己資本×PBR0.658683=33.0億円。純利益2.4億円×正当化PER上限14.81倍と残余現金による稼ぐ力の上限約40億円を下回り、資産床23億円を上回る。10年累計純利益45億円と還元15億円により自己資本は50.1+45−15=80.1億円となるが、この留保資本にさらに低PBRを掛けない。
確率:下に寄せる理由:公共入札での失注、学校統廃合、低価格クラウドへの更新が一部で重なる可能性は、当社の複数事業に固有である。AI縮小を数量にも確率にも二重計上せず、入札競争の不確実性を27%とする。
悲観 13% 台帳の周辺まで価格競争に敗れ、売上が半減 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 119 円23 億円
教育委員会の統合調達で大型の更新案件を競合に奪われ、School Engineの稼働は約2,500校へ落ちる。大学システムもクラウド共通基盤へ集約され、稼働は260校程度となる。PPPは自治体の法定台帳の一部を守るが、入札単価が下がり、約830団体の維持が限界になる。高いシェアは過去の実績となり、新しい機能の販売で取り戻すことができない。
施設予約、規程検索、薬局の入力作業はAIエージェントが標準機能として処理し、製品や保守契約の単価が名目でもほぼ上がらなくなる。売上は約28億円と足元から半減に近づき、開発費を最低限に切り詰めても営業利益はほぼ消える。のれんや古い製品に減損が生じ、買収による反転も望めない。存続可能性はなおあるが、優良ソフト会社としての超過収益は失う。ただし過去に積んだ純流動資産と売却可能な有形資産があり、清算のすべてが消えるとは見ない。資産価値の床を除き、事業収益そのものには高い値段を付けない。
- 学園ソリューション(Campus Plan):数量 260(大学等の稼働学校数(校))× 価格 0.03(稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。大学システムの半分が更新失注
- 公教育ソリューション(School Engine):数量 2,474(稼働する公立小中高校等(校))× 価格 0.00(稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。公共の共同調達で校数45%減
- 公会計ソリューション(PPP):数量 834(PPPの稼働自治体等(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。自治体台帳は一部残るが団体30%減
- ウェルネスソリューション(Smart Hello):数量 494(稼働スポーツ・文化施設(施設))× 価格 0.01(稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。施設システムの顧客45%減
- ソフトエンジニアリング(規程・文書管理):数量 299(稼働する法人・団体数(団体))× 価格 0.01(稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。規程管理顧客45%減、名目単価据え置き
- 薬局ソリューション(GOHL等):数量 183(稼働薬局数(店舗))× 価格 0.00(稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。薬局が他社共通基盤へ移行
- 周辺導入・受託・その他(暫定):数量 11.0(年間受託・周辺支援契約数(件、推計))× 価格 0.03(1契約当たり年間売上(億円、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。工数45%減、名目単価据え置き
倍率:2036年末ROEは0.3÷67.1=0.45%で資本コスト6.75%を大幅に下回る。事業の稼ぐ力は純利益0.3億円×正当化PER上限14.81倍+残余現金にすぎず、資産の床23億円の方が大きい。現在の自己資本50.1億円を分母にした床のPBR0.459082倍から時価総額23億円とする。将来自己資本67.1億円へPBRを掛けず、10年累計純利益24億円−累計還元7億円の資本増加を床へ加えない。のれん約1.5億円、業務用ソフトの簿価、未確認の資産含み益は床に算入しない。
確率:下に寄せる理由:教育機関の一括入札や共通基盤化によって、導入の多い会社ほど大型契約をまとめて失う危険がある。ただし純現金と既存法定台帳が残るため、事業全消失ではなく構造的低収益化の13%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
学園ソリューション(Campus Plan)
大学などの学籍、履修、成績、財務を管理する。記録台帳の核は残るが、大学職員の操作席と周辺開発はAI代替の対象。
| 数量大学等の稼働学校数(校) | 価格稼働1校当たり年間売上(億円、導入・更新・保守込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 520 | 0.03 | 15 | 5 |
| 10 年後 中立 | 458 | 0.03 | 15 | 4 |
取り方:2025/10期売上15.19億円は中期計画の実績。稼働約520校、累計導入1,053校、大学約350校は2026年7月のフィスコ企業調査による。数量は累計でなく実稼働を用いる。15.19億円÷520校=年間約292万円/校。ただし売上期と稼働数の時点がずれ、導入一時金も混じるので純粋なSaaSのARPUではない。大学向けライバル日本システム技術約224校との導入競争。AIエージェント代替の型は原簿以外の学務画面を重く見た「席・操作画面型」で、中立の校数0.88倍・単価1.13倍とする。独占的な正本の証拠を2件確認できないので全体を正本扱いしない。利益5.0億円は2025年全社営業利益9.38億円と共通費推定約4.70億円から割り付けた分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
公教育ソリューション(School Engine)
公立学校向けの成績・出欠・校務・徴収金管理。教育委員会単位の導入、継続する学籍情報が核。
| 数量稼働する公立小中高校等(校) | 価格稼働1校当たり年間売上(億円、初期費用・保守込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 4,498 | 0.00 | 16 | 5 |
| 10 年後 中立 | 4,273 | 0.00 | 19 | 5 |
取り方:2025/10期売上15.69億円を2026年春の稼働約4,498校で割り、年間約34.9万円/校。累計導入約5,332校は現稼働と混同しない。公立高校の約半数に導入した高いシェアはフィスコ調査。会社製品ページhttps://www.systemd.co.jp/school-engine の公開料金では小規模校と大規模校で月額2.2万~4.4万円などの違いがあるが、年間平均には開発、初期費用、保守も入る。国公立の年度をまたぐ成績原簿と教育委員会の共同利用基盤という二つの継続性を根拠に、原簿部分を「記録の正本・規制対応」に分類。中立は稼働校0.95倍、単価1.28倍。ただし画面操作部分は弱い。利益5.0億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
公会計ソリューション(PPP)
自治体の予算・決算、固定資産台帳、公有財産の記録を支える基幹ソフト。
| 数量PPPの稼働自治体等(団体) | 価格稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・法対応込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 1,191 | 0.01 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,131 | 0.01 | 8 | 2 |
取り方:2025/10期売上6.12億円を2026年春の稼働約1,191団体で割り、年間約51.4万円/団体とした。市区町村1,008/1,788の56%というシェア、累計1,379はフィスコ調査による。公会計の法定決算・固定資産台帳の正確性と、広い自治体で共同利用され改版される業務基盤の2点から原簿部分を「記録の正本・規制対応」に分類する。PPP Ver.6.0などの制度更新は価値を支えるが、競争入札により中立の単価上昇は10年1.30倍までに限る。利益1.8億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
ウェルネスソリューション(Smart Hello)
会員制スポーツ施設の会費、入退館、予約、券売を支える。施設と利用者の画面が中心。
| 数量稼働スポーツ・文化施設(施設) | 価格稼働1施設当たり年間売上(億円、機器・導入も含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 899 | 0.01 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 701 | 0.01 | 7 | 1 |
取り方:2025/10期の7.69億円÷2026年春の稼働899施設=約85.5万円/年。累計1,818は現在稼働数とは異なる。競合hacomonoの導入1万施設規模に対し同社は小さい。自社のクラウド料金は月額と初期構築で異なり、ここでの単価は全売上の平均である。AI代替では「席・操作画面型」なので中立数量0.78倍、単価1.10倍とし、体のある施設利用そのものが消えるわけではない。利益0.4億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
ソフトエンジニアリング(規程・文書管理)
企業・団体の規程更新、承認履歴、文書の保管と検索を支援する。
| 数量稼働する法人・団体数(団体) | 価格稼働1団体当たり年間売上(億円、導入・保守込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 544 | 0.01 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 446 | 0.01 | 3 | 1 |
取り方:2025/10期売上3.48億円÷稼働544組織=約64万円/年。累計導入798と稼働は区別。2026年には小規模事業者向け月1万円水準の低価格プランが示され、値下げ競争が進む。規程の法令記録は残るが、移行に年単位を要することや低解約率の定量的な2証拠が揃わないため「席・操作画面型」に分類し、中立数量0.82倍・価格1.08倍とした。競合KiteRa、LAWGUE。利益1.45億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
薬局ソリューション(GOHL等)
調剤薬局等で使う薬局関連ソフトと保守。人が操作する受付・請求機能が中心。
| 数量稼働薬局数(店舗) | 価格稼働1薬局当たり年間売上(億円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 305 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 268 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:会社が開示する2025/10期「薬局ソリューションほか」は約2.13億円であり、薬局単体の売上は未開示。ここでは実稼働約305薬局というフィスコの数量と整合する仮説として薬局売上を1.50億円に仮配分した。1.50億円÷305店舗=約49万円/年は実測ARPUでなく感応度用の推定値。ソフト操作・席課金の型で中立数量0.88倍、単価1.15倍。利益0.25億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。
周辺導入・受託・その他(暫定)
開示の薬局等を含む残余から仮配賦した受託・関連サービス。工数で売る部分を区別する感応度枠。
| 数量年間受託・周辺支援契約数(件、推計) | 価格1契約当たり年間売上(億円、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 20.0 | 0.03 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 0.04 | 1 | 0 |
取り方:2025/10期の正式な事業売上のうち薬局ソリューションほか約2.13億円と全体の丸め差があり、薬局へ1.50億円を仮配分した残余約0.65億円の感応度枠。20件・1件約325万円という数量単価は会社が開示した受注統計ではなく、推計目的の仮想単位であり、不確実性が最も高い。AIエージェント代替の「人月・工数型」に分類し、中立工数0.65倍、料金1.25倍にする。利益0.18億円は共通費控除前の分析者推定で、会社のセグメント営業利益開示値ではない。全社ではこれら7区分の推計営業利益合計14.08億円から共通費推計4.70億円を引き、実績営業利益9.38億円に合わせている。
リスクと懸念
AIエージェント代替と席課金の縮小
職員が画面を操作し、人数や工数に応じて代金を払う契約は構造的に弱くなる。学園、施設、規程管理、導入受託ではAIが照合や入力を代行し、利用IDと支援作業が減る。公教育と公会計の法定台帳は残りやすいが、その周辺作業まで今の単価で残るとは限らない。AI機能の発表だけで追加売上を認めず、収益化した金額を確認する。
学校統廃合と自治体の予算制約
児童生徒と大学進学者が減り、学校の統廃合や自治体の共同調達が増えると、導入校数の上限そのものが下がる。さらに公立部門の入札価格は物価に自動連動しない。校務のシェアが強くても、更新契約での値上げが通らなければ保守収益の実質額は小さくなる。学校別の稼働数と入札更新率を追う必要がある。
競合製品の統合と低価格化
大学では日本システム技術、公教育ではEDUCOM、ウェルネスではhacomono、規程管理ではKiteRaなどと争う。機能の統合や低価格クラウドへの乗り換えが増えると、顧客数と一契約当たり売上が同時に低下しやすい。自社の小規模向け低価格プランも、新規開拓を助ける一方、既存顧客の単価を押し下げ得る。
基幹台帳の移行失敗と情報漏えい
成績、学籍、財産台帳や施設利用者の個人情報を扱うため、障害や情報漏えいは製品の信用を直接傷つける。セキュリティ対策と制度改正への対応を怠れば、更新時の失注にとどまらず自治体・教育機関での入札競争力が弱まる。大規模移行期には追加開発の採算悪化も重なる。
小型M&Aと増分資本利回り
公有財産システムなどを追加取得しても、取得したソフトを既存PPPと統合できなければ営業費用とのれんだけが増える。収入の増分より開発者の採用や保守運用の費用が膨らめば、過去の高い営業利益率を維持できない。中期計画の売上達成ではなく、買収後の利益率、継続契約数、減損の有無で資本配分を測る。
純現金の流動性と株主還元の差
2025年末の現預金と流動有価証券は厚いが、前受収益に対応する将来のサービス提供義務が存在する。満期、預り金、必要運転資金を確認せず純流動性をすべて還元原資とみなすと過大評価になる。反対に実際の増配や買付が進めば、資本効率と株主価値を引き上げる余地も残る。
今後の分かれ目
- School Engineの公立高校稼働校数が1,700校規模を維持し、保守・利用単価の改定が連続して通れば
- 公教育の正本性と値決め力の証拠が増える。学校セグメントの単価見通しを上げ、強い堀を認める範囲を広げる。
- PPPの稼働自治体が1,000市区町村程度から持続的に減り、更新入札の失注が目立てば
- 公会計の移行費用による防御力を弱く見直す。中立の公会計数量と営業利益率を引き下げ、悲観側の可能性を検討する。
- 2028年の売上65億円、営業利益13億円、ROE14%の3目標がそろって実現すれば
- 制度対応製品の拡販力と経営の執行力を評価する。ただしAI代替後の2036年の顧客数まで同じ傾きで外挿せず、更新単価と解約率で見直す。
- 学園・施設・規程管理のID数と契約単価が同時に前年比で下がり始めれば
- AIエージェントによる利用席数の縮小が想定より早い証拠となる。関連セグメントの数量と営業利益率を引き下げる。
- AIエージェント製品の有償売上と契約件数が継続的に金額開示されれば
- 現時点で認めていないAI製品自身の売上を別の数量と価格で評価できる。新しい収益が失われる席課金を上回るかを検証する。
- 総還元性向40%を超える実際の還元が継続し、流動資産も維持されれば
- 余剰現金が既存株主へ戻る比率の評価を0.75から引き上げ、保有資産の価値をより多く株主に帰属させる。
見ておくもの
- School Engineの稼働校数、うち公立高校の校数と更新契約の単価
- PPPの稼働自治体数と会計・固定資産管理のバージョン更新実績
- Campus Planの大学稼働数、新規校と既存校の売上の内訳
- Smart Helloと規程管理の解約率、月額単価、ID課金の改定
- AIエージェント商品の有償売上、受注額および既存製品の席数変化
- 2028年中計の売上65億円・営業利益13億円・ROE14%の達成状況
- 自己株取得額、配当性向、前受収益に対する現預金残高
- 公有財産管理fmSMARTの取得進捗、統合費用と収益貢献
倍率と資本コストの決め方
現値86.26億円から逆算せず、2025年の六事業の売上を稼働契約数×契約当たり売上に分解した。公教育・公会計には正本性の一部を認め、その他の中立数量・単価はAIエージェント代替の厳しい範囲とした。基本資本コスト7.5%から実績に基づく0.75ポイントを控除し、長期名目成長0.5%と10年後のROEから正当化PERを求めた。悲観側は簿価が自動で膨らむPBRを使わず、現在の自己資本を分母とした。余剰現金12億円は事業利益への利息重複を控除してから75%を加える。最後に現値と比較した結果、価値52.29億円、差−39.38%の「割高」となった。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%から、実績利益の安定性と純現金を反映した0.75ポイントを控除した。小型株補正とβは使わず、AIリスクは数量・単価・長期gに計上した。