結論
KSKは、半導体・組込み設計、企業向けシステム開発、ネットワークの構築・運用を担う独立系の技術者集団である。筆者の結論は「割高」だ。確率を織り込んだ現在の本質価値は約186億円で、株式時価総額約277億円を約33%下回る。判断の中心は足元の業績悪化ではなく、10年先にも人が費やした時間を同じように売れるかという問いにある。
足元の実績はむしろ堅調だ。2026年3月期の営業利益は27億円を超え、半導体設計やセキュリティの需要も続いている。中期計画では2027年3月期のROE12%と配当性向50%を目指す。
一方、売上の99%以上を請負・準委任・派遣の契約が占め、そのうち準委任と派遣だけで約88%になる。開発を自動化するAIエージェントが普及した後は、案件需要が増えても請求できる工数が減る可能性を無視できない。
貸借対照表は強い。現預金に加えて償還を前提に保有する社債などが厚く、単なる現金残高から考えるより下値を支える資産は多い。ただし、賞与や退職給付に備える現金は株主が自由に使える金ではなく、余剰資産が配当や自社株買いで速やかに戻る保証もない。事業の存続と株主価値の成長は別の問題である。
大きな上振れは、半導体設計・組込みソフトとセキュリティ運用が自動化時代にも高度な技術を必要とし、単価と稼働を維持できる場合に生じる。しかし、専有データや顧客の記録の正本を握る証拠は不足する。今の規模と値決め力に高い永続成長を払うより、事業の縮小と資産の戻り方を慎重に評価したい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって第一に問うべきは、設備や現金よりも「仕事を引き受ける資格」が10年後に残るかどうかである。KSKには半導体・医療機器の技術者、障害に対応する運用組織、顧客に信頼される実績がある。これらは突然なくなるものではない。
だが顧客が買っているのは多くの場合、時間を伴う専門労務である。AIが同じ仕事を短時間で行えば、顧客との関係が続いても利益の取り分が小さくなる。
次に見るのは、稼いだ利益を何に再投資するかである。KSKの設備負担は重くなく、技術者を採用し育てることが成長投資の中心となる。過去の売上拡大と営業利益率の改善には価値があるが、増分ROICを直接測れるセグメント資本の開示はない。
将来、採用した1人の生む利益が減るなら、人数を増やすことは株主利益を生まず、賃上げが進めばなおさらだ。会社が成果連動の価格体系へ移るまで、過去のROEを再投資の利回りと同一視しない。
一方、金融資産の厚さは見逃してはならない。満期のある優良債券と手元現金は不況を越えるための保険であり、受託会社としては希少な安心材料だ。ただし経営者の裁量下にある保険が、少数株主の財布にそのまま入るわけではない。
十分な安全域は、稼ぎを保守的に見て、現金の還元が遅れても価値が上回る価格にしかない。今回はその水準にない。
株主であり続けたい会社かと問われれば、財務規律と技術者育成を評価して観察する価値はある。しかし、株主でありたいことと、どんな値段でも所有したいことは違う。AI時代に「工数を減らす会社」が自社の売上まで減らしてしまう矛盾を解決する実績が出るまでは、永続成長を大きく買う理由に乏しい。
何で稼ぐ会社か
事業は三本柱で、売上構成はシステムコア約18%、ITソリューション約24%、ネットワークサービス約58%だ。システムコアではCMOSイメージセンサーやメモリの回路設計、FPGA、通信機器や医療装置の機構設計、車載・医療向け組込みソフトを手掛ける。図面の作成だけでは終わらず、解析、検証、顧客の製品に組み込む工程まで技術者が関わる。最先端分野でも、自社の半導体を量産販売するのではなく顧客の開発工程を支える仕事である。
ITソリューションでは業務アプリケーション、CADやWebシステムの受託開発、モバイル機器の検証と運用支援を提供する。自社パッケージの「住宅マネージャー」「ビルメンマネージャー」もある。ただし自社ソフトの売上高や解約率は独立して開示されておらず、事業全体を継続課金のソフト会社として値付けするのは無理がある。
ネットワークサービスでは企業・官公庁のネットワーク、サーバー、クラウド、情報セキュリティについて設計から構築、保守・監視まで引き受ける。稼働を維持するには人員の育成と顧客への常駐・継続対応が必要だ。
稼ぎ方を理解する決定的な開示は契約別売上である。2026年3月期の約258億円のうち、請負が約31億円、準委任が約139億円、派遣が約87億円だった。請負でさえ成果物の制作に人件費が必要であり、準委任と派遣は労働時間が売上の基礎となる。
部門別従業員はそれぞれ452人、374人、1078人で、1人当たり部門売上は約1030万円、1620万円、1390万円になる。ただしこれは稼働率と一部の製品販売を含む代理単価であり、顧客に請求した人月単価そのものではない。
三部門の利益を合算すると約59億円あるが、管理部門の費用約32億円が全社の営業利益を約27億円に押し下げる。この調整額を無視すれば収益力を大きく見誤る。事業は実質的に技術者の能力、配置、採用、処遇改善を売っており、顧客固有の業務知識を維持しながら工数課金から成果価値課金へ移れるかが10年先の分かれ目になる。
優良さと弱いところ
KSKの強みは、顧客企業の開発・運用の現場に入り込み、長く使われる技術を蓄積してきたことである。半導体や医療機器の設計、ネットワークの障害対応には正確性と責任の所在が要る。顧客が別の業者に全面的に切り替えれば、仕様や運用手順の引継ぎが必要になるため、一定の取引継続力はある。10年超にわたり営業黒字を保ち、近年は営業利益率を10%前後へ改善した実績も評価できる。
しかし「乗り換えが面倒」と「独占的に値上げできる」は同じではない。2026年3月期に条件改善が進んだことは確認できるが、部門ごとの同一サービス単価や継続率は示されていない。顧客が開発の一部を内製化し、AIで監視やテストを自動化した場合、長年の関係があっても請求可能な時間は減る。
自社パッケージも、年間解約率5%未満、年単位の移行負担、法改正に伴う恒常的値上げなど、記録の正本としての堀を認めるための複数の証拠が揃わない。堀は「普通」であり、特別に強いとは判定しない。
財務面は際立っている。自己資本比率は70%、有利子借入に依存せず、現預金と満期保有債券の組合せで経営の選択肢を確保している。単なる純現金の67億円だけでなく、額面約98億円の保有債券がある点は同規模の労働集約企業にない安全網だ。
ただし資産が厚いほど、内部留保を投じる仕事の収益率と株主還元の両方を確かめる必要がある。採用や教育による増分利益が資本コストを超えるかは独立して開示されておらず、過去のROEをそのまま将来へ延長できない。
同社の研究開発費は2026年3月期で約0.35億円と小さい。開発受託のノウハウは有用でも、独自製品や独占データへの大型投資とは異なる。人員と取引先の信頼という堀がAIによって狭くなる可能性を、技術者不足による値上げだけで打ち消すのは難しい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は、IDC Japanの予測で2024年に約7.0兆円、2029年に約9.7兆円へ伸びる。基幹システムの刷新、クラウド移行、セキュリティ対策は当面の追い風だ。一方、この金額は売り手側の名目市場であり、今後10年間に開発者が請求できる作業時間まで同じ率で増えることを保証しない。AIエージェントがプログラム生成、テスト、障害分析、運用手順の実行まで担うなら、企業のIT支出が増えても人月の市場は縮小しうる。
KSKの売上約258億円は、この広い国内ITサービス市場の概算0.3~0.4%にすぎない。内訳を同じ分母で便宜的に割ると、システムコア約0.06%、ITソリューション約0.08%、ネットワークサービス約0.19%となる。これは各専門市場での厳密なシェアではない。
半導体の受託設計とネットワーク監視の市場を独立して統一的に測れる資料や、競合の同じ契約種別の売上は見当たらないためだ。数量予測ではこの不確実性を残し、シェア拡大を既定路線にしない。
比較する相手は、幅広い受託開発ではTIS、DTS、NSD、クレスコであり、ネットワーク基盤ではNEC系や富士通系のSI各社、SCSKも競合する。TISの2026年3月期売上は約5965億円、DTSは約1352億円で、KSKより規模が大きい。共通の広い分母で概算すれば約7.5%と約1.7%だが、各社の製品・地域の重複があるため厳密な事業シェアではない。半導体回路や組込み分野には専門設計会社と半導体メーカーの内製部門がおり、同じ基準で公表された占有率はない。
10年の中立では、市場全体の名目拡大をそのままKSKの数量に映さず、各部門で請求可能な技術者年を現在の約6~7割に縮める。単価は物価に近い上昇余地があるものの、AIが作業を短縮する利益の多くは顧客と分け合う。ネットワークの継続監視や半導体・医療装置の最終検証は比較的残りやすいが、個別業務ソフトと汎用的な運用手順は代替が進みやすい。AIの置換が時間をかけて進むほど、過去10年の業界成長率を次の10年に持ち込む判断は危うくなる。
資本政策と M&A
「Blue Wind ChapterⅡ」は2025年3月期から2027年3月期の3か年計画だ。2024年4月の原資料には累計売上成長率26%、最終年度のROE12%、配当性向50%という具体的な目標がある。直近の会社予想は2027年3月期の売上高281億円、営業利益31億円、純利益23億円で、売上の目標線には届く見通しだ。一方、DOEや総還元性向、自社株取得金額の数値約束は確認できない。
過去10年で利益は伸び、2026年3月期の配当性向は50.3%まで高まった。2024年の高配当の後、2025年には配当が減るなど、まだ安定した50%超の還元実績とはいえない。直近5期の配当性向の中央値はおおむね40%で、自己株式の市場買付けも大きくない。
2026年9月には自己株式90万株を消却したが、保有済みの株を消したのであり、同じ金額を新しい自社株買いとして二重計上しない。余剰資産の株主への戻り方は帳簿価額の75%と評価する。
最大の資本配分上の論点は、現金を社債中心の運用に積み上げることだ。2026年3月末には満期保有債券の額面が約98億円に達した。高格付債を保有する規律は守りにはなるが、追加の技術者教育や新規サービスに投じるより高い利回りを実現できるかは別問題である。
大規模買収での価値毀損の事実は確認していないが、過去の成果を超える買収益も前提にしない。主要株主の持分は分散しており、現時点で公表済みのTOB・MBOや上場廃止予定も見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体・医療機器の設計とネットワークの安全運用は、単純なコード生成とは違う。KSKはCMOSセンサー、メモリ、車載制御、クラウド基盤をまたぐ技術を持ち、顧客が本番稼働まで責任を負わせる仕事を長く担ってきた。設計ミスが実機の故障や情報漏えいにつながる分野では、検証と説明責任を伴う人間の専門能力が残る。AIは作業の一部を短くしても、設計から実装、監査、セキュリティ対応まで一貫して任せられる会社の価値を消さない。
IT投資はシステム刷新、半導体開発、セキュリティ強化で当面増える。2027年3月期の会社予想も増収増益であり、中期計画の営業面の進捗は堅調だ。人材を増やすだけでなく採用・教育を続け、契約条件も改善できている。
AIを業務に取り込み、同じ人数で高度な仕事を増やす余地もある。ただしAIそのものの売上額は公表されていないため、仕事量が現在以上に増えるという楽観には頼らない。
財務の保険も厚い。現預金と満期保有債券は、需要の谷で受注や人材を失わないための余裕となる。配当性向50%という明示的な方針が定着すれば、利益の半分程度を株主が回収できる。
取締役の規律と顧客との信頼が維持されれば、売上を大きく伸ばさなくても、利益率改善と資産還元によって企業価値を守れる。高難度の設計に絞って生き残る選択こそ、この会社の上振れの源泉だ。
慎重な見方
この会社の売上のほとんどが、顧客企業に提供する人の工数である。技術が優れていても、成果と切り離して時間で売る仕組みそのものはAIエージェントと相性が悪い。開発コードの生成、テスト、監視、障害の一次切り分けが自動化されれば、同じ仕事に必要な人員と工数が減る。
顧客が自社のAI環境で運用を内製化すれば、KSKが請求できる役務も減る。独自製品の解約率や規制対応の値上げ実績がない以上、顧客を長期に拘束する強いプラットフォームとは呼べない。
ネットワークサービスは売上の過半を占めるが、その多くは準委任と派遣だ。利益率が少し落ちるだけでも、固定的な本社費が営業利益に大きく響く。技術者の賃金はインフレで上がり続けるため、値上げ交渉が追いつかなければ利益の縮みは売上以上になる。
半導体の受託設計も、顧客メーカーの開発投資や設計ツールの自動化に左右される。専門性が高い部分があっても、特定の技術を独占しているわけではない。
大量の債券が保有されていることは事実だが、運転資金と退職給付の義務もある。さらに帳簿上の自己資本には、すぐ現金化できない税効果や評価益が含まれる。現預金と債券を全額事業価値に上乗せすれば、金利収入と元本を二重計上する危険がある。
還元の実績も毎年の大規模買付けとは違い、株主に資産が戻る時期は経営陣次第だ。成長会社としての評価が消えれば、資産の厚さだけでは今の時価総額を正当化できない。
どちらに重みを置いたか
事業の継続性と金融資産の厚さでは強い見方に分があるが、10年先の課金方式を考えると慎重な見方が勝る。準委任・派遣が売上の約88%を占め、パッケージの強い囲い込みを示す数字はない。下に寄せる理由はこの契約構造と管理費の固定性であり、AIによる減少を数量と長期成長率に織り込んだうえで悲観側の確率を40%とした。
企業の存続リスクは小さくても、現在の株価と本質価値の差は大きい。特に資産の厚さは下落時の損失を和らげるが、資本効率を回復させる十分条件ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,516 円276 億円(+ 還元の換算額還元の合計 378 円69 億円)。 今の値に割り戻すと 1,020 円186 億円、今との差 −35.7%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,135 円571 億円 | 748 円136 億円 | +145.0% | +10.7% | 311 円57 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,386 円435 億円 | 604 円110 億円 | +88.7% | +7.4% | 538 円98 億円 |
| 中立 | 34% | 1,495 円272 億円 | 417 円76 億円 | +20.6% | +2.1% | 650 円118 億円 |
| やや悲観 | 26% | 835 円152 億円 | 203 円37 億円 | −34.5% | −4.5% | 270 円49 億円 |
| 悲観 | 14% | 791 円144 億円 | 107 円19 億円 | −43.3% | −5.8% | 126 円23 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,516 円276 億円 | 378 円69 億円 | +19.5% | +2.0% | 1,895 円345 億円 |
今の株価時価総額 1,585 円289 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 高度設計と運用責任が残り、値上げも通る 利益 34 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,135 円571 億円
最先端設計とセキュリティ運用の難しさが続き、顧客のAI導入後も実機評価や説明責任に人手が必要な場合である。三事業の稼働量は現在の9割超を維持するが、AI関連製品の売上高が開示されていないため、現状を超える数量増は見込まない。単価は物価上昇に沿って改善し、増えた人件費も転嫁できる。
システムコアではCMOSセンサー、車載制御、医療装置の検証需要が残り、ITソリューションでは業務ソフトの高度化と受託開発の品質が評価される。ネットワークでは官公庁や企業が障害対応の責任を引き続き外注する。受託の大型買収には頼らず、人材育成と契約条件の改善で利益率を押し上げる。
結果として営業利益は現在を上回り、配当も計画どおり続く。留保利益は成長維持に必要な資金と余剰金融資産に分け、後者の株主への戻り方も慎重に見る。
- システムコア事業:数量 443(技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理))× 価格 0.14(技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む))→ 売上 61 億円・営業利益 16 億円。人年需要は今の98%、単価は1.34倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ITソリューション事業:数量 348(開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.22(技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む))→ 売上 76 億円・営業利益 21 億円。人年需要は今の93%、単価は1.34倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ネットワークサービス事業:数量 1,024(設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.19(技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む))→ 売上 191 億円・営業利益 45 億円。人年需要は今の95%、単価は1.34倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
倍率:営業利益42.50億円に税後利益換算率0.72と2036年末の余剰金融資産219億円の税後利息1.4%を反映し、全社純利益33.67億円と見積もる。資本コストk=7.25%、人月・工数型へのAIエージェント代替でg_long=0%のため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.79倍。強い堀を証明できずmoat=normalである。期初余剰金融資産115億円に留保利益から必要再投資を控除した104億円を加え、2036年末の余剰は219億円。元本の利息3.07億円はPER適用前の純利益から除き、元本219億円×戻り方0.75を別建てで加える。今の株価や同業PERを一切参照せず、上限そのものに置く。
確率:上側は高難度の物理設計と運用責任の残存が揃うことを条件とする。自社AIサービスの実際の金額開示はないので全セグメントの数量は現在以下に抑えた。
やや楽観 18% 重要業務は残り、受注の減少を価格が補う 利益 24 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,386 円435 億円
国内の基幹系更新やネットワーク防御の予算が続き、KSKは現在の顧客基盤を大きく失わずに済む。しかしAIによる開発・検証の自動化は避けられず、請求できる人年は各部門で15~18%減る。半導体・医療向けでは人が説明責任を持つ工程が残り、ネットワークでは規制や障害対応の複雑さが運用契約を支える。
ITソリューションの受託では開発成果に対する請求への移行が部分的に進むが、製品が市場を独占するほどではない。物価分に近い単価上昇と間接業務の合理化が営業利益を守る。配当性向50%前後を続ければ株主には相応の現金が戻る。
ROEは保有金融資産で薄まるが、経営が資産を無理な買収に使わない限り財務の安全は維持される。留保利益は成長維持に必要な資金と余剰金融資産に分け、後者の株主への戻り方も慎重に見る。
- システムコア事業:数量 384(技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理))× 価格 0.14(技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む))→ 売上 53 億円・営業利益 13 億円。人年需要は今の85%、単価は1.33倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ITソリューション事業:数量 307(開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.21(技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む))→ 売上 65 億円・営業利益 17 億円。人年需要は今の82%、単価は1.31倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ネットワークサービス事業:数量 906(設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.18(技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む))→ 売上 167 億円・営業利益 38 億円。人年需要は今の84%、単価は1.32倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
倍率:営業利益28.63億円に税後利益換算率0.72と2036年末の余剰金融資産216億円の税後利息1.4%を反映し、全社純利益23.64億円と見積もる。資本コストk=7.25%、人月・工数型へのAIエージェント代替でg_long=0%のため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.79倍。強い堀を証明できずmoat=normalである。期初余剰金融資産115億円に留保利益から必要再投資を控除した101億円を加え、2036年末の余剰は216億円。元本の利息3.02億円はPER適用前の純利益から除き、元本216億円×戻り方0.75を別建てで加える。今の株価や同業PERを一切参照せず、上限そのものに置く。
確率:運用保守と組込みの技術的継続性には一定の確信があるが、労務課金の縮小を価格でほぼ補うには契約交渉が必要となる。
中立 34% 中立:AIが請求工数を削り、財務が支える 利益 12 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,495 円272 億円
KSKは半導体設計・受託開発・インフラ運用の仕事を失わないが、仕事を終えるための人年が減る。技術者年の需要はシステムコアで約4分の3、ITソリューションで約3分の2、ネットワークで約7割となる。単価は大部分が物価に近い上昇となるものの、工数短縮で得た生産性の利益は発注者も取り込むため、売上は名目でも現在より小さくなる。
顧客が内製AIを使うことで汎用的な検証と監視の契約が減り、専門性の高い回路検証や事故時の対応は残る。管理人員と間接費は時間をかけて削減し、倒産を避ける財務の強さは保たれる。ただし縮小する収益力に対して大きな債券資産が残るため、ROEは低下する。
配当性向の目標は維持しても、利益総額が減れば還元も縮む。留保利益は成長維持に必要な資金と余剰金融資産に分け、後者の株主への戻り方も慎重に見る。
- システムコア事業:数量 334(技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理))× 価格 0.13(技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む))→ 売上 45 億円・営業利益 10 億円。人年需要は今の74%、単価は1.30倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ITソリューション事業:数量 243(開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.21(技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む))→ 売上 50 億円・営業利益 13 億円。人年需要は今の65%、単価は1.27倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ネットワークサービス事業:数量 733(設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.18(技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む))→ 売上 133 億円・営業利益 27 億円。人年需要は今の68%、単価は1.30倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
倍率:営業利益13.58億円に税後利益換算率0.72と2036年末の余剰金融資産193億円の税後利息1.4%を反映し、全社純利益12.48億円と見積もる。資本コストk=7.25%、人月・工数型へのAIエージェント代替でg_long=0%のため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.79倍。強い堀を証明できずmoat=normalである。期初余剰金融資産115億円に留保利益から必要再投資を控除した78億円を加え、2036年末の余剰は193億円。元本の利息2.70億円はPER適用前の純利益から除き、元本193億円×戻り方0.75を別建てで加える。今の株価や同業PERを一切参照せず、上限そのものに置く。
確率:人月・工数型に対する規定の中立数量0.55~0.75倍の範囲で、実機検証が必要なシステムコアを最も高く、一般受託のITソリューションを低くした。
やや悲観 26% 汎用開発と監視契約で価格競争が進む 利益 −1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 835 円152 億円
自動生成・自動テスト・自動監視が顧客企業に普及し、継続的に発注される仕事が少なくなる。単価も物価に追いつかず、技術者にとって必要な賃金上昇を十分に請求できない。システムコアには装置や半導体の実物に関わる仕事が残るが、設計ツールと顧客の内製化で数量は縮む。
ITソリューションでは画面を操作する既存ソフトの価値が下がり、顧客が外部委託より自社のAI基盤を優先する。ネットワーク監視は省人化が進む一方、高度な事故対応だけが人手を必要とする。KSKは拠点と管理部門を減らすものの、本社費の削減が遅れ、営業損失に転じる。
高格付債券と現金が残るため存続は可能だが、株主にとっては資産の一部と控えめな途中配当が主な価値になる。景気後退時の一時的な需要減でなく、契約の経済性そのものが崩れる状態が長期化する。
- システムコア事業:数量 271(技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理))× 価格 0.12(技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む))→ 売上 33 億円・営業利益 6 億円。人年需要は今の60%、単価は1.16倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ITソリューション事業:数量 213(開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.18(技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む))→ 売上 39 億円・営業利益 7 億円。人年需要は今の57%、単価は1.12倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ネットワークサービス事業:数量 604(設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.16(技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む))→ 売上 98 億円・営業利益 15 億円。人年需要は今の56%、単価は1.16倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
倍率:営業利益はマイナス3.11億円、金融収益を含む純利益もマイナス1.2億円であり、恒常的な収益から大きな事業価値を認められない。まず現在の現預金・満期保有債券・回収可能な営業債権・有形資産から負債を控除した売却可能資産の床147.5億円を評価の中心にする。ただし、やや悲観では半導体設計やネットワーク運用の一部顧客関係が残り、他社への事業移管や再編によって回収できる継続価値を約8.7億円と限定的に見込む。合計は約156.2億円となる。これは現在の自己資本183.8億円の約85%に相当するため、PBR0.85倍を採用する。2036年の自己資本216億円は利益と還元の流れを示すために残すが、評価倍率を掛ける分母には使わない。2036年の自己資本には将来の内部留保が含まれるため、それに資産床の倍率を掛けると回収可能額を過大評価する。現在の株価や過去の市場PBRは根拠としていない。
確率:下に寄せる理由:売上の約88%を占める準委任・派遣がAI自動化に直接さらされ、全社管理費も重い。一方、金融資産があるので破綻を標準の結末とはしない。
悲観 14% 構造的敗北:時間売りが成立しなくなる 利益 −8 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 791 円144 億円
顧客がAIエージェントで開発・テスト・監視を内製化し、従来の工数契約を更新しなくなる。競合の大手SIと顧客メーカーの設計部門が残った案件を取り込み、KSKの受注可能な技術者年はほぼ半減する。値上げも物価に大幅に遅れ、名目売上は現在の半分前後まで減る。
半導体向け受託設計は専門性が残っても規模が不足し、ITソリューションのパッケージも操作画面の価値を守れない。ネットワークは監視業務の標準化によって競争が激化し、管理費を減らしても営業赤字が残る。買収で不足した人材や成長を補う投資にも成功せず、事業の無形価値は大きく失われる。
清算に近い売却可能資産の価値と前半の控えめな配当だけが、株主に残る。景気後退時の一時的な需要減でなく、契約の経済性そのものが崩れる状態が長期化する。
- システムコア事業:数量 226(技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理))× 価格 0.11(技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。人年需要は今の50%、単価は1.03倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ITソリューション事業:数量 180(開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.17(技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 4 億円。人年需要は今の48%、単価は1.02倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
- ネットワークサービス事業:数量 561(設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理))× 価格 0.15(技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む))→ 売上 82 億円・営業利益 10 億円。人年需要は今の52%、単価は1.05倍。工数のAI代替と契約価格の変化を反映。
倍率:営業利益マイナス13.04億円で、税後の金融収益を残しても純利益はマイナス8.4億円。継続的な事業価値をほぼ認めず、現在の換金可能資産の床147.5億円を中心に評価する。現在の自己資本183.8億円に対するPBR0.8052倍が時価総額約148億円に相当し、床を僅かに上回る。2036年の自己資本184億円には倍率を掛けていない。過去の市場PBRではなく、現金・債券・債権・有形資産の回収可能額から導いた評価である。
確率:下に寄せる理由:人月・工数型がほぼ全額で、顧客の内製化に対抗する記録の正本や独自データの証拠がない。ただし債券・現預金の厚さで悲観の資産床は残す。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
システムコア事業
半導体回路・FPGA設計、組込みソフト、メカトロニクス・医療機器等の設計支援。顧客製品の開発・検証工程で稼ぐ。
| 数量技術者・設計担当の稼働人年(期末の部門従業員数で代理) | 価格技術者人年当たり売上(億円、価格と稼働率を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 452 | 0.10 | 47 | 11 |
| 10 年後 中立 | 334 | 0.13 | 45 | 10 |
取り方:2026年3月期売上46.75億円、部門人員452名、部門利益10.98億円は有報のセグメントと従業員の開示。売上÷452人=0.10343億円/人年。内訳は請負4.49億・準委任20.56億・派遣21.69億で、半導体設計でも99%以上が人的役務。請求された実工数や設計案件数は非開示で、従業員数を人年需要の代理数量とした推計。AI代替区分は人月・工数型、数量中立0.74倍・単価1.30倍・g_long0%。専用設計市場と競合シェアは比較可能な定量資料がなく、国内ITサービス約7.9兆円を分母にした売上比約0.06%は粗い代理にとどめる。
ITソリューション事業
業務ソフト受託、CAD・Web開発、モバイル実機検証、住宅・ビルメン業務の自社パッケージ。
| 数量開発・運用担当の稼働人年(部門従業員数で代理) | 価格技術者人年当たり売上(億円、製品・検証等を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 374 | 0.16 | 61 | 16 |
| 10 年後 中立 | 243 | 0.21 | 50 | 13 |
取り方:2026年3月期売上60.58億円、部門従業員374名(臨時41人は補助情報)、セグメント利益16.12億円。契約別に請負8.03億・準委任45.68億・派遣5.78億・その他1.08億。自社製品だけの数量・単価・継続率は未開示で、その他売上1.08億円をパッケージ売上と同一視しない。売上÷374=0.16198億円/人年は製品混在の代理単価。AI代替区分は主要部分が人月・工数型、一部自社画面ソフトは席SaaS相当だが比率不明。記録の正本を裏付ける解約率・価格改定等の2証拠がないので全体の中立は工数型の数量0.65倍・単価1.27倍・g_long0%。広域市場に対する売上比約0.08%は参考値。
ネットワークサービス事業
企業・官公庁のITインフラ、クラウド、ネットワーク、サイバーセキュリティの設計構築・監視・運用保守。
| 数量設計・構築・運用保守の稼働人年(部門従業員数で代理) | 価格技術者人年当たり売上(億円、常駐・契約保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,078 | 0.14 | 150 | 32 |
| 10 年後 中立 | 733 | 0.18 | 133 | 27 |
取り方:2026年3月期売上150.32億円、部門人員1078名、部門利益32.10億円。契約別には請負18.23億・準委任72.49億・派遣59.59億で、役務比率がほぼ全額。売上÷1078=0.13944億円/人年。24時間監視などの契約件数・実稼働時間・顧客当たり保守単価は非開示で人員を売上数量の代理にした。ネットワーク監視もAIエージェントの自動化対象なので工数型の中立数量0.68倍・単価1.30倍・g_long0%を適用。市場全体約7.9兆円を共通分母とする売上比約0.19%は専用運用市場の厳密なシェアではない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と人月単価の変質
準委任と派遣が売上の約88%を占める。生成AIと自律型エージェントがコード作成、検証、監視、障害対応を引き受ければ、顧客は同じ成果に対して支払う工数を減らせる。新規案件が増えても技術者年という販売数量が縮み、成果課金への契約変更を伴わない生産性改善は売上減少になり得る。
固定的な間接費と処遇改善
2026年3月期には3部門の利益約59億円から全社費用約32億円が引かれた。AI導入で直接人員を減らしても、教育、営業、管理、拠点の間接費は同じ速度で減らない。インフレに伴う給与・賞与引上げは必要だが、管理体制を合わせて縮められなければ、小さな減収でも全社営業利益が大きく減る。
半導体開発の外注・内製化の循環
イメージセンサー、メモリ、車載半導体、医療機器の設計では高度な経験が生きるが、製品仕様や投資時期を決めるのは顧客である。半導体メーカーが開発費を削減し、EDAやAI設計支援を社内で使う範囲を拡大すれば、KSKが請け負う検証・設計工数は細る。物理系だからAIの影響を受けないとはいえない。
金融資産の戻り方と金利・信用リスク
約98億円の満期保有債券は強い財務の支えだが、発行体の信用リスクと金利変動に伴う時価下落の余地がある。時価は帳簿額を下回り、すべてを即座に現金化する前提は置きにくい。賞与・退職給付・運転資金も必要で、株主への配当や買付けが遅れれば金融資産の帳簿価額ほど現在価値は高くない。
特定顧客群への債権集中
有価証券関連の注記では、営業債権の約32%が特定の企業集団に対するものと開示されている。売上の10%以上を占める単独顧客は開示上存在しないが、信用回収や受注継続を共通の投資判断に頼る可能性はある。顧客グループの開発内製化や発注停止が重なると、稼働率と運転資金の双方が悪化する。
パッケージの競争力を測れない
「住宅マネージャー」「ビルメンマネージャー」は継続的な業務利用が期待できるが、売上額、利用社数、解約率、更新単価は部門から切り出されていない。AIが操作画面を省くと、従来型の業務ソフトも値下げ競争に巻き込まれ得る。製品を持っている事実だけでプラットフォーム企業の高い成長率は正当化できない。
今後の分かれ目
- 契約別開示で準委任・派遣の売上比率が継続的に低下し、成果物・保守成果に対する単価と利益が増えたら
- AIで工数が減っても顧客価値を回収できると判断し、中立の数量減少率と長期成長率を上方修正する。売上額で裏付けられた自社AIサービスだけを成長の根拠とする。
- 部門別の技術者年売上が物価上昇率を上回り、営業利益率が10%超を持続したら
- 契約条件改善が実際の値決め力に変わった証拠として、基準筋書きの単価と利益率を見直す。ただし人数が減らない成長かどうかも確認する。
- ネットワーク監視やシステム検証の自動化で請求工数が3年連続減少したら
- 人月の縮小が一過性でなく構造的だと判断し、やや悲観と悲観の重みを上げる。売上維持を狙った単価値引きが始まれば利益率も再評価する。
- 満期保有債券の償還が進む一方、配当性向50%と追加の自社株買いが継続したら
- 余剰金融資産の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げ、事業の利益予測とは独立に価値を増額する。単なる自己株式の消却は還元に再算入しない。
- 自社パッケージの売上・解約率・規制対応の継続率が定量開示され、2種類以上の強い堀の証拠が確認できたら
- その部分だけを工数型から記録の正本型へ移し、数量・価格・長期成長率を再評価する。部門全体に強い堀を広げない。
- 特定顧客集団への債権集中がさらに進み、その顧客の設計内製化が進展したら
- 半導体・組込みとネットワーク双方で稼働の下振れを見直し、売上減少と回収遅延による運転資金の増加を別々に反映する。
見ておくもの
- 契約種類別の準委任・派遣・請負売上の構成比と成長率
- システムコア・ITソリューション・ネットワーク各部門の従業員数と1人当たり売上
- 自社パッケージの契約社数、継続率、更新単価が開示されるか
- セグメント利益合計と全社管理費の差、営業利益率の推移
- 満期保有債券の償還時期と時価・帳簿差、現預金、運転資金
- 配当性向50%の定着と市場での自己株式取得の有無
- AI自動化後の成果物価格契約・AI製品の受注額の有無
- 2027年3月期会社予想の売上281億円・営業利益31億円に対する進捗
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去・同業のPERは倍率の根拠に用いない。部門別従業員数と契約別売上から稼働人年と代理単価を求め、AIエージェント代替の影響を2036年の数量と価格に反映した。管理費も独立して差し引いた。長期成長率は名目0%とし、資本コスト7.25%から楽観~中立のPER上限13.79倍を適用する。AI代替を資本コストの寿命項に重ねていない。2026年の余剰現預金・債券115億円に、10年間の内部留保から必要な再投資を控除した現金を加え、2036年の金融利息を純利益から控除して別建て加算する。戻り方は75%とし、利息と元本を二重計上しない。やや悲観と悲観のPBRは現在の自己資本183.8億円に対して適用し、将来の自己資本216億円や184億円には掛けない。やや悲観の156.23億円は換金可能資産の床147.5億円と限定的な事業継続価値に基づき、悲観の148億円はほぼ資産床のみから導いた。株式分割と既存自己株の消却は現在の株数に反映済みとした。リースの会計表示が変わっても事業の費用負担は変えない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、景気循環−0.5%、値決め力+0.5%、純現金−0.25%、寿命0%を加えた。