結論
ギフティグループは、企業や自治体が電子ギフトを発行し、受け取った人が店舗で使う仕組みを支える会社である。筆者の結論は「割高」だ。ギフトを贈る必要は10年後も消えないが、今の時価総額約305億円には、法人案件の大幅増加と海外買収の成功が既に相応に織り込まれている。
2025年の流通額は1,473億円、売上高142億円、営業利益26億円となった。2026年上期にも法人と自治体からの引き合いが伸びている。発券企業302社と利用企業2,276社をつなぐ網は複製しにくく、店頭での二重利用を防ぐ消込記録には実務上の価値がある。この点は普通のキャンペーン制作会社よりも長持ちする。
それでも、企業の販促施策を画面で設定し、配信を管理する仕事はAIエージェントに代わる。市場の電子化が進んでも、その手数料が今の割合で残るとは限らない。大手決済会社やLINEギフトも配布の入口を押さえ、自治体の給付事業は財政事情で大きく変わる。
2025年の自己資本は約85億円で、のれんと未上場株のような値付けの難しい資産が厚い。10年後の中立は営業利益約52億円まで育つが、現金を稼ぐ力と株主に返る金額を保守的に見れば、確率加重した現在価値は約183億円にとどまる。現値との差は約40%のマイナスであり、単に将来の成長率が高いからといって十分な安全域は生まれない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、買うのはギフトの画面ではなく、信頼できる取引の通り道である。顧客から現金を預かり、受取人が使ったときに正しく消込を行い、店舗と企業に照合できる記録を返す。この仕事は贈り物が電子化するほど重要になる。発券企業と流通企業の両方に採用が広がる利点はあるが、手数料率の引き上げを繰り返し実現できるかはまだ証明されていない。
オーナー利益を測るうえで、営業利益をそのまま株主の財布に入れない。売上を増やすには加盟店開拓、技術開発、精算運転資金と海外子会社への資本投入が必要になる。2025年の帳簿の現金は厚く見えるが、借入と企業の預り金・買掛金が同時に並ぶ。支払義務のある資金を余剰現金として利益価値に足すのは禁物だ。
さらに、YouGotaGiftやDIRIGIOの買収価格は、後から数字で証明されるべきものである。独自の顧客関係があるからと、のれんや未上場株を換金可能な資産として丸ごと数えるわけにはいかない。実際に配当や自己株取得を始めた点は株主にとって進歩だが、累進配当を守るために高値の買収を重ねては意味がない。
筆者は事業の存続を疑わない。疑うのは、増え続ける取扱高がどれほど株主自身の利益に変わるかである。数字を見れば、中立の利益成長だけでは今の時価総額を資本コスト以上の利回りで支えることは難しい。失敗した買収とAIによる運用手数料の縮みまで負担して買うには、安全域が薄すぎる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの主役は法人・自治体向けの「giftee for Business」である。保険会社、銀行、メーカーや地方自治体が、販促の景品、アンケート謝礼、福利厚生、生活支援クーポンを贈る。会社は商品の額面ではなく、発券手数料、販売手数料、仕組みの利用料を受け取る。300円のギフトを配る事例では、発行手数料30円が示されている。2025年のこのサービスの売上は約83億円で、法人案件は18,772件だった。
発券元の飲食・小売店には「eGift System」を提供する。電子券を発行し、店頭のバーコードで即時に消込を行い、二重利用を防ぐ。店舗の売上記録と販売先への流通網がつながるので、単なる予約フォームではない。2025年には302社が導入し、この仕組みを経由した流通額は1,047億円となった。個人向けgifteeは売上の1%ほどだが、252万人の会員を持ち、発券元と贈り手を結ぶ入口である。
地域通貨事業では自治体の電子商品券や旅先納税の引換券を扱う。政策によって大型案件が発生するため、平時の反復収益とは分ける必要がある。海外ではYouGotaGiftがUAEやサウジアラビアで法人報奨とポイント交換の流通を担う。ソウ・エクスペリエンスの体験ギフト、paintoryの衣料、Brewtopeのクラフトビールなど、モノを扱う子会社も増えた。
会計上はeギフトプラットフォームの単一報告セグメントである。ここでの細分化は、サービス別売上と会社が公表する案件数・会員数・発券企業数から経済性を分けたものだ。特に法人向け売上の中核取引80%、設定・運用20%の分割と、サービス別営業利益は推計であり、会社の正式な報告区分ではない。各サービスの推計営業利益の合計約36.6億円から本社共通費約10.6億円を控除すると、2025年の連結営業利益26億円に一致する。
優良さと弱いところ
最大の強みは、発券企業と利用企業が相互に相手を呼ぶ網である。発券企業は流通先が多いほどギフトを採用しやすく、企業は使える店舗が多いほど配りやすい。発券後に店頭で消込を行う実務が深く入るため、取引記録の正本に当たる部分には乗り換えの手間がある。302社の発券企業、2,276社の年間利用企業、累計6.2億件超の発券履歴は、その仕事が単なる見栄えのよい画面ではない証拠である。
ただし、強い独占力とは言えない。解約率が5%未満という公表値も、何年もかかるシステム移行の証拠も見当たらない。商品の供給元はLINEギフトや他の決済・ポイント事業者とも契約でき、発券手数料を一方的に値上げした実績も確認できない。相手が多い便利さはあるが、手数料が高ければ大手企業は別ルートを使う。そこで会社全体の堀は「普通」とする。
利益の伸びは目立つが、株主の稼ぐ力はまだ安定していない。2021年から2024年には買収や投資の費用が重く、2024年は最終赤字だった。2025年に営業利益は26億円に達したが、純利益は9億円で、持分のある子会社や評価損が還元可能利益を薄める。2026年上期の営業利益率が改善したことは前進だが、投資先の未実現価値まで優良さに含めるのは早い。
独立した決済・消込の記録と、AIが操作するだけで済む販促画面を分けて評価したい。前者には取引が増えるほど価値があるが、後者は制作工数と顧客の使用席数を守れない。共通費の増加、少数株主持分、投資先の買収価格を監督できる経営規律が、堀の厚みを決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のギフト市場は約11.6兆円で、このうち2025年のeギフト市場は約6,450億円と見込まれる。市場調査機関の予測ではeギフトは前年比約28%増で、紙や配送を置き換える余地がある。一方、会社が示す個人ギフト8兆円、販促15兆円などの潜在市場は用途の重複があり、その合計を同社の売上機会として数えるべきではない。
ギフティの2025年国内発券基盤経由の流通額1,047億円は、上記eギフト市場に機械的に当てると約16%に相当する。ただし法人の報奨と個人向け贈答では定義が違い、確定した市場シェアではない。LINEギフトは国内で年間約2,000万人が使う大きな消費者接点を持ち、QUOカードPay、PayPayの商品券・クーポン、ギフトパッド、法人向けのデジタルギフト事業者も競争相手になる。各社の同一定義の取扱高とシェアは開示が揃わないため、競合のシェアを数字で作らない。
10年後もギフトを電子的に送り、使った証拠を残し、店舗と発注企業を照合する仕事は必要である。ただし発券・精算以外の仕事は変わる。AIエージェントが企画、キャンペーンの設定、配布対象の抽出、結果報告までこなせば、広告運用・受託制作・操作画面の対価は細る。ポイント原資やギフトの額面は消えなくても、間に入る事業者が得られる取り分は細る可能性がある。
数量の中心線では、2025年の国内eギフト市場6,450億円が10年後に実質約1兆円へ育つと考える。これは市場そのものの約1.55倍であり、物価による金額増は含めない。会社の国内案件は中立で約3万3千件になり、市場内での採用拡大を取り込む。中東のデジタル報奨にも余地はあるが、現地の市場規模と同一定義の競合シェアは未確認なので、2025年の約425億円という海外流通相当額から個別に伸びを考える。
資本政策と M&A
2026年7月、旧ギフティは単独株式移転により持株会社ギフティグループへ移り、上場は590Aで続いた。これは株主が退出するTOBではない。持株会社は資本配分と投資を、事業会社はサービス開発を担う。2026年には飲食店向けモバイルオーダーのDIRIGIOを株式交換で完全子会社化し、買収に伴う新株発行は約17.8万株とされた。加盟店との接点を増やす狙いは理解できるが、発券手数料が実際に増えるかはこれからである。
中期財務方針はEBITDA100億円を目指すものだが、達成年は明示されていない。2025年のEBITDAは37.4億円で、2026年の会社予想は45.0億円、営業利益34.84億円である。ROEの数値目標は確認できない。還元については配当性向30%、累進配当、利益成長に応じた増配、機動的な自己株取得を明示している。2024年に配当を始め、2025年は増配し、2026年には取得上限10億円の自己株買いを発表・終了した。
一方で2025年末にはのれん約34億円、投資有価証券約45億円があり、2026年にはKyashへの出資などを進めた。新しい会社を買えば伸びるとは限らず、2024年の最終赤字と2026年上期の投資評価損は、資本配分が既に株主価値を削る局面を示す。中立の還元は10年間で約54億円とし、事業に必要な資金を残して配当と小規模な自己株買いを続ける想定である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社が手に入れたのは、消費者向けの贈答アプリ一つではない。300社を超える発券企業の商品を、2,000社以上の法人利用者に届け、使った瞬間の消込まで処理できる網である。2025年には流通額が1,473億円に達し、法人利用者の年間案件も約1万9千件になった。2026年上期の法人需要と中東事業も好調で、既存の顧客が用途を広げれば、新しい発券企業の獲得だけに頼らず取引を増やせる。
国内のeギフト市場は2025年に約6,450億円まで増え、今も紙の商品券や現物の販促景品を置き換えている。AIがキャンペーンを自動化するほど、商品選定と精算の通り道を一本化したい顧客も増えるはずだ。AIは配る作業を安くしても、受け取ったギフトを店舗で安全に使えるようにする契約・精算関係までは消せない。消込基盤の取引記録は、チャット画面と違って商取引の責任を負っている。
海外ではYouGotaGiftがUAEとサウジアラビアの法人報奨市場を開拓し、DIRIGIOの加盟飲食店網がさらに強みを増す。中期EBITDA100億円は達成年の約束こそないが、2025年37億円から2026年予想45億円へ進む出発点を示している。営業利益が100億円を超えるまで事業が育てば、配当性向30%の累進配当と自己株取得を両立できる。取扱高の増加と顧客接点の拡大を同時に実現する事業の価値は、短期の純利益だけでは測れない。
慎重な見方
最も気になるのは、流通額の大きさと株主の取り分の小ささの差である。2025年の流通額1,473億円に対し売上は142億円、純利益は9億円だった。発券代金の多くは商品提供者や受取先に渡る。ここで値上げが簡単に通ると考える根拠は乏しい。LINEギフトは消費者接点を、PayPayなどは支払手段を持ち、発券先の小売店にも自社アプリを整備する理由がある。
販促案件の設定や配信は、顧客企業のAIエージェントが自ら行えるようになる。今のように担当者が管理画面を操作し、抽選の条件を作り、実施結果をまとめる作業を外注する必要は減る。残る発券・消込の網でさえ、大手決済会社が店舗と直接つながれば手数料率の引き下げを迫られる。大型の自治体案件を成長の証拠として先まで延ばすのも危ない。政策予算が減った年には取扱高が一気に縮む。
財務の見た目も無条件には信じられない。2025年末の現預金169億円には、それと同時に約157億円の借入と約142億円の買掛金・預り金が対応する。自己資本85億円に対してのれん34億円と投資有価証券45億円は大きい。2024年に最終赤字となり、2026年上期にも出資先の評価損を計上した。持株会社化で投資を増やすほど、不確かな利益を高い価格で買ってしまう危険がある。株主に残るのは、増収の物語でなく純利益からの再投資と損失を引いた現金だけだ。
どちらに重みを置いたか
取引記録と店舗消込が残るという判断では強気の見方を採るが、手数料の値決め力と買収後の実際の純利益については慎重な見方が勝る。上側34%、下側38%、中立28%とした。下側にやや寄せるのは、自治体の大型案件に振られ、自己資本と比べてのれん・投資株式が厚いというこの会社固有の事情からである。AI代替は作業の数量と長期成長率に織り込んでおり、同じ理由で資本コストを上げたり、悲観確率を二重に加重したりはしていない。確率加重価値が現状より低い以上、結論は割高になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,091 円322 億円(+ 還元の換算額還元の合計 183 円54 億円)。 今の値に割り戻すと 630 円186 億円、今との差 −32.4%、 期待の年率 +3.4%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,607 円769 億円 | 380 円112 億円 | +220.4% | +13.6% | 358 円106 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,760 円519 億円 | 278 円82 億円 | +118.7% | +8.9% | 448 円132 億円 |
| 中立 | 28% | 1,147 円338 億円 | 183 円54 億円 | +42.7% | +3.9% | 372 円110 億円 |
| やや悲観 | 25% | 228 円67 億円 | 85 円25 億円 | −66.4% | −11.5% | 78 円23 億円 |
| 悲観 | 13% | 95 円28 億円 | 31 円9 億円 | −86.5% | −19.6% | 16 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,091 円322 億円 | 183 円54 億円 | +36.7% | +3.4% | 1,274 円376 億円 |
今の株価時価総額 932 円275 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 法人流通と中東で二面市場が広がる 利益 56 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,607 円769 億円
企業の販促ギフトは一過性の配布から、従業員支援や顧客育成の常設施策へ移る。2025年に約1万9千件だった法人案件が4万7千件に増えても、店頭で確実に使える商品群と手間の少なさが手数料の維持を支える。横浜市のような大型給付に頼らず、民間の継続案件が増えることが条件である。
中東ではYouGotaGiftの発券企業と交換先が拡大し、実質流通額は約2,000億円になる。ソウ・エクスペリエンスなどの現物ギフトも伸び、統合後のDIRIGIOが店舗側の接点を厚くする。AIエージェントに代わるキャンペーン作業の売上は横ばい圏にとどめても、取引記録と精算という仕事は残る。買収で無理な増資をせず、営業利益が増えた分を配当と自己株取得で返すので、株主の取り分も厚くなる。
- 法人eギフト発行・配布・消込:数量 47,000(法人案件数(件/年、実績18,772件))× 価格 0.01(一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件))→ 売上 242 億円・営業利益 85 億円。法人案件4.7万件、コア件数2.50倍。取引の信頼性で名目単価1.46倍を確保
- 法人キャンペーン設定・運用ツール:数量 16,000(人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定))× 価格 0.00(一案件当たり運用・ツール収入(億円/件))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。AI影響の運用相当案件は今の85%。例外的に横ばい圏で維持
- eGift System・店頭消込基盤:数量 302(国内のeGift System導入発券企業(社、年度末))× 価格 0.05(発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社))→ 売上 15 億円・営業利益 7 億円。発券企業302社で据え置き。店舗経由の流通と単価が拡大
- 個人向けgiftee:数量 390(個人向けサービスの会員数(万人、年度末))× 価格 0.01(会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。会員390万人。LINEギフトとの差は残る
- 自治体地域通貨・電子クーポン:数量 45.0(地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定))× 価格 0.23(一案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。大型地域通貨45件。継続利用が拡大
- 海外eギフト流通(YouGotaGift等):数量 2,000(海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計))× 価格 0.06(海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率))→ 売上 121 億円・営業利益 30 億円。海外流通2,000億円。MENAでロイヤルティ交換増
- 体験ギフト・物品など国内子会社:数量 110(ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計))× 価格 0.70(一注文当たり平均認識売上(億円/万件))→ 売上 77 億円・営業利益 10 億円。体験・現物ギフト110万件。品目多角化
倍率:資本コストk=8.0%、長期g=1.5%、堀は通常(超過利益が半分残る)。2035年ROE=21.8%からRONIC=14.9%を求め、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.834倍をそのまま採用。AIエージェント代替を中立の運用案件数と長期gへ織り込み、倍率に重ねて裁量割引しない。現在の市場PERは参照していない。
確率:12%。国内案件が年9%超で増え、海外も4倍以上の実質流通に伸び、かつ手数料を保つという複数の条件を要する。発券・消込網が有利でも、これほどの継続的なシェア拡大は少数の場合とした。
やや楽観 22% 法人と海外の双方が着実に育つ 利益 38 億円 · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,760 円519 億円
eギフト発行企業の数は300社前後でも、1社当たりの発券・消込回数が増える。法人案件は約4万1千件へ伸び、ギフトの選択肢と納品の容易さが競争上の強みを保つ。広告キャンペーンの設定・集計はAIによって単価が下がるため、件数が増える法人流通部分とは成長の軌道を分ける。
中東の法人報奨、国内の体験ギフト、自治体の定常給付が利益の補助輪になる。海外流通は拡大するが、大口の現地銀行や通信会社の価格交渉力も強い。DIRIGIOとの連携は加盟店接点を増やすが、期待した効率化がすべて実現するわけではない。のれん償却後でも連結で採算が向上し、増配と一定の自己株買いを続けられる姿を見込む。店頭消込の履歴と支払いの照合が第三者に任され続けるので、価格競争はあっても中核システムの取引量まで失うことはない。
- 法人eギフト発行・配布・消込:数量 41,000(法人案件数(件/年、実績18,772件))× 価格 0.00(一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件))→ 売上 199 億円・営業利益 64 億円。法人中核4.1万件、名目単価1.38倍
- 法人キャンペーン設定・運用ツール:数量 15,000(人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定))× 価格 0.00(一案件当たり運用・ツール収入(億円/件))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。運用相当件数80%、単価は物価を下回る
- eGift System・店頭消込基盤:数量 300(国内のeGift System導入発券企業(社、年度末))× 価格 0.05(発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社))→ 売上 15 億円・営業利益 6 億円。CP300社、料率の維持は主に取引密度で
- 個人向けgiftee:数量 350(個人向けサービスの会員数(万人、年度末))× 価格 0.01(会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。個人会員350万人、伸び鈍化
- 自治体地域通貨・電子クーポン:数量 35.0(地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定))× 価格 0.21(一案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。案件35件、給付依存を縮小
- 海外eギフト流通(YouGotaGift等):数量 1,600(海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計))× 価格 0.06(海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率))→ 売上 89 億円・営業利益 20 億円。海外流通1,600億円、名目料率1.20倍
- 体験ギフト・物品など国内子会社:数量 95.0(ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計))× 価格 0.68(一注文当たり平均認識売上(億円/万件))→ 売上 64 億円・営業利益 7 億円。体験・物販95万件、単価1.35倍
倍率:資本コストk=8.0%、長期g=1.5%、堀は通常(超過利益が半分残る)。2035年ROE=17.2%からRONIC=12.6%を求め、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.554倍をそのまま採用。AIエージェント代替を中立の運用案件数と長期gへ織り込み、倍率に重ねて裁量割引しない。現在の市場PERは参照していない。
確率:22%。2026年上期に法人・自治体とYouGotaGiftが増収を続け、300社超の発券企業網を持つ事実を評価する。一方、会社の中期EBITDA目標は達成年を定めず、M&A効果の持続は未確定である。
中立 28% 発券基盤は残り、競争で手数料が伸び悩む 利益 25 億円 · PER 13.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,147 円338 億円
贈り物の電子化は10年後も必要である。だが、送る相手を選び、景品配布を設定し、結果を集計する人の作業はAIエージェントに相当程度置き換わる。法人向け作業・画面サービスの案件相当数は2025年の65%となり、値上げも物価に追い付かない。代わりに発券・流通・二重使用防止の記録を担う中核サービスが取引の伸びを取り込む。
法人の主要案件数は約3万3千件に増える。発券企業は成熟して数がほぼ横ばいとなり、中東の流通額も拡大するが、手数料の奪い合いは続く。物価高騰対策の大型案件を恒常収益と誤認せず、地域通貨の収益は小さく見る。成長に伴い経費も増え、2026年上期の高い四半期利益率が続くとはみない。営業利益は2025年より増えるが、株主利益に直結する額は税と子会社少数持分で目減りする。
- 法人eギフト発行・配布・消込:数量 33,000(法人案件数(件/年、実績18,772件))× 価格 0.00(一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件))→ 売上 148 億円・営業利益 43 億円。法人中核3.3万件。10年で案件1.76倍、単価1.27倍
- 法人キャンペーン設定・運用ツール:数量 12,200(人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定))× 価格 0.00(一案件当たり運用・ツール収入(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替:作業案件65%、単価1.10倍
- eGift System・店頭消込基盤:数量 290(国内のeGift System導入発券企業(社、年度末))× 価格 0.05(発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社))→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。記録の正本:CP290社(0.96倍)、単価1.25倍
- 個人向けgiftee:数量 310(個人向けサービスの会員数(万人、年度末))× 価格 0.01(会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。会員310万人、競合へ流出も想定
- 自治体地域通貨・電子クーポン:数量 23.0(地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定))× 価格 0.19(一案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。案件23件、請負価格は1.20倍
- 海外eギフト流通(YouGotaGift等):数量 1,200(海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計))× 価格 0.05(海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率))→ 売上 64 億円・営業利益 12 億円。海外流通1,200億円、為替150円固定
- 体験ギフト・物品など国内子会社:数量 75.0(ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計))× 価格 0.63(一注文当たり平均認識売上(億円/万件))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。体験・物販75万件、単価1.25倍
倍率:資本コストk=8.0%、長期g=1.5%、堀は通常(超過利益が半分残る)。2035年ROE=12.6%からRONIC=10.3%を求め、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.145倍をそのまま採用。AIエージェント代替を中立の運用案件数と長期gへ織り込み、倍率に重ねて裁量割引しない。現在の市場PERは参照していない。
確率:28%。現在の発券・流通網を維持する一方、利益率や一件当たり手数料には競争が及ぶ。過去の高成長を年率でそのまま延長せず、中東進出が収益源として残る中心線である。
やや悲観 25% 販促予算と海外の勢いが鈍る 利益 7 億円 · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 228 円67 億円
自治体の一時的な給付予算が減り、民間の販促費も景気悪化で慎重になる。法人ギフトの発券・配布件数は現在より増えるものの、低単価キャンペーンが中心になり、販売手数料を引き上げにくい。人が画面を使う運用部分はAIエージェントに奪われ、2025年の55%ほどの作業量になる。
eGift Systemは記録の正本として残るが、店舗の独自会員アプリやPayPay等の配布機能との競争でシステム利用料が伸び悩む。YouGotaGiftは海外の一部大口取引が縮小し、投資した企業の成長にも遅れが出る。固定の管理費と開発費は売上ほど減らないため、売上はあっても営業利益率が落ちる。配当は減益に見合う規模へ縮小する。ネットワークを維持するための費用が硬直的で、会社の営業利益は売上より速い割合で落ち込む。
- 法人eギフト発行・配布・消込:数量 24,500(法人案件数(件/年、実績18,772件))× 価格 0.00(一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件))→ 売上 98 億円・営業利益 22 億円。法人中核2.45万件、価格競争で単価1.14倍
- 法人キャンペーン設定・運用ツール:数量 10,325(人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定))× 価格 0.00(一案件当たり運用・ツール収入(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。AI代替:作業件数55%、単価1.05倍
- eGift System・店頭消込基盤:数量 257(国内のeGift System導入発券企業(社、年度末))× 価格 0.04(発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社))→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。CP257社(0.85倍)、単価1.15倍
- 個人向けgiftee:数量 270(個人向けサービスの会員数(万人、年度末))× 価格 0.01(会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。個人会員270万人、販促競争激化
- 自治体地域通貨・電子クーポン:数量 12.0(地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定))× 価格 0.17(一案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。スポット案件12件、電子自治体の予算縮小
- 海外eギフト流通(YouGotaGift等):数量 650(海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計))× 価格 0.05(海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。海外流通650億円。MENA停滞
- 体験ギフト・物品など国内子会社:数量 60.0(ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計))× 価格 0.58(一注文当たり平均認識売上(億円/万件))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。物販60万件、低い採算
倍率:2035年ROEは4.8%でk8.0%に届かず、継続成長に価値を付けない場合の上限1÷k=12.5倍。顧客直結・買収減損の可能性と利益持続の弱さを反映し8.5倍とし、現況の市場倍率・過去の安値は使わない。純利益6.59億円と乗算し約56億円。売れる資産の保守的な床28億円を超える。
確率:25%。下に寄せる理由:自治体給付の大型発注に単体業績が左右され、未上場投資・のれんの残高が自己資本と比べて大きい。AIエージェントが管理・販促ツールの案件数を減らし、会計上の利益率を押し下げる。
悲観 13% AIと直結決済に挟まれ基盤が痩せる 利益 −9 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 95 円28 億円
広告配信と販促設計をAIエージェントが直接処理し、大口企業は配布先の選別から特典の発行まで自社システムに取り込む。飲食・小売も自社アプリや大手決済網でクーポンを発行する。ギフティが担ってきた手数料付き仲介の一部は不要になり、法人中核案件の数量と単価がともに落ちる。
中東では現地の競合と大口顧客の内製化が進み、買収時に期待した拡大を回収できない。スタートアップ出資と買収ののれんに累計約35億円の損失を出し、配当も早い時期に縮小する。事業は清算されず、消込機能と一部顧客は残るが、全社売上は今の約半分に、営業利益は赤字に転じる。買収資産を額面どおりの床に数えず、換金できる資産だけを残す。消込の最低限の需要は残っても、その利用料がソフトウェア開発費と加盟店維持費を賄うことはできない。
- 法人eギフト発行・配布・消込:数量 12,500(法人案件数(件/年、実績18,772件))× 価格 0.00(一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件))→ 売上 40 億円・営業利益 5 億円。中核案件1.25万件。直接発券へ移行し手数料低下
- 法人キャンペーン設定・運用ツール:数量 7,000(人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定))× 価格 0.00(一案件当たり運用・ツール収入(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。運用作業7,000件、手数料低下
- eGift System・店頭消込基盤:数量 165(国内のeGift System導入発券企業(社、年度末))× 価格 0.03(発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。CP165社、直結決済に押される
- 個人向けgiftee:数量 160(個人向けサービスの会員数(万人、年度末))× 価格 0.01(会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。個人会員160万人、LINEなどへ流出
- 自治体地域通貨・電子クーポン:数量 4.0(地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定))× 価格 0.13(一案件当たり年間売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。大型案件4件、補助金終了
- 海外eギフト流通(YouGotaGift等):数量 250(海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計))× 価格 0.04(海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。海外流通250億円、M&A失敗
- 体験ギフト・物品など国内子会社:数量 20.0(ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計))× 価格 0.50(一注文当たり平均認識売上(億円/万件))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。体験・物販20万件、販管費負担
倍率:継続赤字でPERを使えず、のれんと非上場投資を減損後の自己資本31.89億円にPBR0.878倍を適用した清算寄りの値。今の自己資本84.7億円からのれん34.1億円と投資有価証券45.5億円の半分約22.7億円を控除した換金性の床約28億円と突き合わせた。2025年末の帳簿純資産全額を床とせず、溜めた将来資本へ過去の谷PBRを掛けない。
確率:13%。下に寄せる理由:2024年の最終赤字、2026年の投資有価証券評価損、店舗・金融機関との直接連携の台頭が同時に響く尾のリスクを無視できない。ただし、既存の消込ネットワーク全消滅は低頻度と考える。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
法人eギフト発行・配布・消込
法人が報奨や自治体給付に使う電子ギフトの発行、配布と店頭消込。贈答額そのものではなく発行・流通・精算の手数料が収益になる。
| 数量法人案件数(件/年、実績18,772件) | 価格一案件当たり発行・流通関連収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,772 | 0.00 | 66 | 24 |
| 10 年後 中立 | 33,000 | 0.00 | 148 | 43 |
取り方:2025年のgiftee for Business売上82.61億円と年間18,772件は会社開示。案件当たり売上は全体で約44万円。発券・消込・精算の取引コアを80%=66.09億円とするのはAI感応度を分けるための推計で、会社がこの内訳を開示したわけではない。売上の名目上昇は1件当たり収入にのみ入れる。営業利益は全社開示からの仮置き配分である。
法人キャンペーン設定・運用ツール
販促担当者が画面を使う抽選、配信、応募管理や個別運用支援。受注した案件数に依存し、AIエージェントが企画・配信・集計を代替できる。
| 数量人が設定・運用する案件相当数(件/年、推定) | 価格一案件当たり運用・ツール収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,772 | 0.00 | 17 | 1 |
| 10 年後 中立 | 12,200 | 0.00 | 12 | 1 |
取り方:2025年の法人案件18,772件を作業量の母数とし、法人売上の20%=16.52億円を運用・画面・支援機能に帰属させる推計。人月と操作画面のAIエージェント代替を保守的に表すため独立させたもので、収益内訳は非開示。導入社数・案件数の伸びをこの工数売上にそのまま当てない。営業利益は推定。
eGift System・店頭消込基盤
飲食・小売企業が自社ギフトを発券し、店舗POSで使用済みにするシステム。発券、二重利用防止、実績データの正本が役割である。
| 数量国内のeGift System導入発券企業(社、年度末) | 価格発券企業一社当たり年間システム・手数料収入(億円/社) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 302 | 0.04 | 11 | 5 |
| 10 年後 中立 | 290 | 0.05 | 14 | 6 |
取り方:会社の2025年末CP302社、サービス別売上11.29億円、該当システム経由流通額1,047億円に基づく。発行・消込・販売・利用履歴の実務基盤を一社当たりの収益に換算したので、座席ID課金ではない。正式な内訳は非開示。消込の正本と302社・法人利用企業2,276社の共同利用、累計6.2億件超の発券履歴が独立した参入障壁の証拠であり、単なる画面SaaSと区別する。
個人向けgiftee
一般利用者がSNSやメールで贈る電子ギフトサイト。会員は発券・流通ネットワークに人を呼び込む入口でもある。
| 数量個人向けサービスの会員数(万人、年度末) | 価格会員1万人当たり年間サービス収入(億円/万人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 252 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 310 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:2025年末会員252万人、個人向け売上1.62億円から会員1万人当たり約64万円の年間売上を推定。購買者数・取引回数は非開示なので、会員数は代替の数量指標であり購入回数と同一視しない。会員の利用頻度は単価側に含まれる。営業利益は共通費を別建てとする推定。
自治体地域通貨・電子クーポン
地域振興券や旅行・自治体電子クーポンの発券、決済・消込を受託する。案件ごとの規模が大きく、制度予算による変動が激しい。
| 数量地域通貨・大型電子クーポン案件数(件/年、推定) | 価格一案件当たり年間売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15.0 | 0.16 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 23.0 | 0.19 | 4 | 0 |
取り方:2025年の地域通貨等売上2.43億円を、大型案件約15件・平均1,620万円として便宜的に分解。会社は件数・平均単価を公表していないため独立した推計である。横浜市のデジタル応援クーポンや全国旅行支援の実績を案件規模のばらつきの根拠にし、名目予算増は単価に入れる。
海外eギフト流通(YouGotaGift等)
アラブ首長国連邦・サウジアラビア等で法人向けリワードやポイント交換を仲介する。現地の発券企業と流通企業を結ぶ二面市場である。
| 数量海外子会社経由のeギフト年間実質流通額(2025年価格の億円、推計) | 価格海外流通額1億円当たり認識売上(億円、実効手数料率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 425 | 0.05 | 20 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 0.05 | 64 | 12 |
取り方:2025年の全社流通額1,472.80億円から国内eGift System経由1,047億円を引いた約426億円を海外流通額の代理とし、425億円を使用。子会社のうちYouGotaGift社及び周辺3社の2025年売上19.72億円を帰属させ、約4.6%の実効収益率に換算。両者は範囲が厳密には同一でなく概算であり、現地の正味決済件数は非開示。
体験ギフト・物品など国内子会社
ソウ・エクスペリエンスの体験ギフト、paintoryのオンデマンド衣料、Brewtopeのクラフトビール等の現物・体験を売る。
| 数量ギフト・物販などの年間注文相当数(万件、推計) | 価格一注文当たり平均認識売上(億円/万件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 47.7 | 0.50 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 75.0 | 0.63 | 47 | 4 |
取り方:2025年子会社計43.55億円からYouGotaGift群約19.72億円を引く23.83億円が基礎。体験・衣料・商品を平均客単価5,000円、注文約47.66万件に換算した推計で、数量公表値ではない。金額の大きな体験と少額商品を平均化しているため、10年の組合せ変化は単価に含まれる。
リスクと懸念
AIエージェント代替と手数料低下
法人向け販売のうち、販促条件を設定し、抽選を行い、配信結果を報告する仕事は人の操作画面と工数に依存する。2025年の法人売上の約20%をこの型と推計し、中立では作業件数を約65%、単価を約110%に抑えた。AIがこの作業を内製化し、残った発券・消込まで企業が直接連携すれば、想定以上に収益が縮む。
自治体の補助金・単発給付案件
横浜市の物価高騰支援や旅行支援の電子券は大きな流通額を生むが、地方財政や国の交付金によって年度ごとの規模が変わる。ひとたび大型案件の募集が止まれば、売上の減少だけでなく、それに備えた人員とシステム維持費が残る。継続契約や民間の反復利用へ移るまでは、単年度の成功を10年の稼ぐ力と同一視できない。
LINEギフト・決済事業者との顧客接点争奪
LINEギフトは大きな個人利用者網を持ち、PayPayやQUOカードPayなども企業の特典配布や利用先の開拓に力を入れる。ギフティの発券企業は他の販路も使えるので、顧客が直販や直結決済へ流れれば二面市場の強みが薄まる。会社別に定義のそろった流通額シェアが開示されておらず、現在の相対的な優位を長期に固定しない。
買収のれんと非上場企業への出資
2025年末にのれん約34億円と投資有価証券約45億円を保有し、2026年にはKyashへの出資やDIRIGIO完全子会社化を進めた。2024年の最終赤字や2026年上期の出資株評価損は、買収が帳簿上の営業利益を増やしても株主利益を毀損し得る証拠である。評価の難しい株式は悲観の床で額面を大きく引き下げた。
預り金と短期資金の見かけ
2025年末の現預金約169億円は豊富に見えるが、借入は約157億円あり、買掛金と預り金も約142億円に達する。eギフトを発券・精算する事業は一時的に資金を預かるため、現金残高と株主に返せる余剰現金は別である。流通額急増や精算事故が起きれば運転資金と当座貸越枠を消費し、自己資本比率19%の薄さが露呈する。
海外法人顧客・少数株主持分
YouGotaGiftは中東の通信・金融業のポイント交換や従業員報奨に強いが、現地の政策、企業の予算、競争に左右される。買収子会社の持分はすべて親会社に帰属するわけではなく、売上や経常利益が伸びても純利益の取り分は小さくなり得る。為替は全筋書きで150円固定としており、通貨の円換算差益を成長の源にはしていない。
二重利用・データ管理と決済規制
店舗での消込履歴は堀であると同時に、誤発券、二重利用、不正アクセスや個人情報漏えいが起きれば信頼を失う中核機能でもある。電子マネー等との連携、前払式支払手段や自治体給付の制度運用に変更があれば、システム改修と顧客対応が必要になる。規制対応を完全な独占力とはみなさず、負担増を弱い筋書きの利益率に入れた。
今後の分かれ目
- 法人向け年間案件数が2028年に25,000件を超え、一件当たり手数料収入が安定したら
- 発券・消込の取引需要が増えている証拠として、やや楽観の重みを引き上げる。制作・運用収入の増加と混同しない。
- 法人売上を案件数で割った収入が物価上昇を除いて3年間で15%以上落ちたら
- 大手顧客による値下げ交渉やAI内製化が進んだとして、中立の単価と中期以降のROEを下方修正する。
- eGift System発券企業が350社を超え、利用履歴と消込業務の継続率が開示されたら
- 記録の正本としての堀をより強く評価できる。解約率5%未満の裏付けが出た場合に限り、強い堀の再検討に進む。
- 自治体関連の大型発券・地域通貨事業が2年連続で減収になったら
- 交付金由来の一過性収入を外して継続営業利益を見直し、やや悲観を増やす。
- YouGotaGiftの実質流通額が3年連続20%以上伸び、経常利益率20%を保ったら
- 海外の独立した成長エンジンが確かになり、やや楽観・楽観の確率を引き上げる。
- のれんまたは投資有価証券の追加減損が累計20億円を超えたら
- 利益より資本配分に問題があるとみて、自己資本の床と株主還元余力を引き下げ、悲観側を重くする。
- 配当性向30%と自社株取得が継続し、買収投資よりも既存株主への還元が優先されたら
- 余剰現金の戻り方0.75を1.0へ引き上げる余地が生まれる。ただし会社が預かる精算資金は還元可能資金に含めない。
見ておくもの
- 2026年11月13日公表予定の第3四半期決算での法人案件・自治体給付の構成
- giftee for Business年間案件18,772件(2025年)からの増加率と一件当たり売上
- eGift System導入302社(2025年末、2026年6月308社)の増減と消込流通額
- 2026年上期の全社流通額902億円と海外法人利用の伸び
- YouGotaGiftの個別売上・経常利益・少数株主持分の推移
- のれん約34億円・未上場出資約45億円の追加取得と評価損
- 配当性向30%の履行、自社株買い、DIRIGIO株式交換後の実際の発行済純株数
- 流通額拡大に伴う買掛金・預り金・借入・営業キャッシュフローの組み合わせ
倍率と資本コストの決め方
2025年のサービス別売上を法人案件、発券企業、個人会員、地域通貨案件、海外実質流通、物販注文に分けた。法人売上の20%はAIエージェント代替を受ける画面・運用業務と推計し、中立の数量65%、価格110%とした。消込記録の正本に当たるeGift Systemは数量0.96倍、価格1.25倍であり、物価は価格だけに含む。
資本コスト8%、長期成長率1.5%、通常の堀によるRONICから楽観~中立の正当化PERを算出し、現値や同業市場倍率に寄せていない。自己資本は2025年の84.7億円に10年の純利益を加え、還元を差し引く。悲観はさらに買収資産の減損35億円を計上した。現預金には相殺する預り金・借入があり、余剰現金を二重に足さない。新リース会計後も家賃を現行方式に揃える。2026年のDIRIGIO株式交換や自己株取得があっても、株数は指定された8月末基準のままとした。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%、株式上乗せ4.5%の7.5%に、利益変動を示すquality+0.5%を足す。M&A・AIのリスクは数量・利益・確率へ置き、kを恣意的に重くしない。