結論
ビーブレイクシステムズは、プロジェクト型企業向けERP「MA-EYES」と技術者によるシステム開発支援を二本柱とする小型ソフトウェア企業だ。筆者の結論は「割高」である。財務は見た目以上に堅いが、10年先の稼ぐ力に対して、現在の時価総額には十分な安全域がない。
まず、資産面には評価すべき事実がある。2026年6月期の現金同等物は約4.1億円だが、貸借対照表には別に長期性の定期預金約11.5億円と流動の有価証券約5.0億円がある。合わせた流動性資産は約20.5億円となり、時価総額約22.9億円に近い。ただし契約負債、退職給付引当金、運転資金が必要なため、その全額が株主に自由に配れるわけではない。
問題は、利益を生み出す仕組みが10年後も同じ値段で売れるかどうかだ。パッケージ事業は案件別の原価と収益を管理する基幹システムとして一定の乗り換え負担を持つ。一方、売上の約47%は技術者の工数に依存するSI事業であり、MA-EYES自体も操作画面や追加開発の価値がAIエージェントに侵食される。会社が公表する解約率、実際の継続契約社数、AI機能の有償売上については十分な定量情報がない。
中立では、2036年6月期の売上高を約12.8億円、営業利益を約0.6億円と考える。数量の減少を一定の値上げと社内効率化で補うが、現在以上の競争優位を当然とは見ない。五つの筋書きの価値を確率で平均し、資本コスト7.75%で現在に戻すと約13.4億円となる。これは現在の時価総額を約41%下回る。資産の厚さは下値を支えるが、低い収益力を無条件に埋め合わせるものではない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、まず問うべきは、今の純利益が本当に自分のものになるかということだ。ビーブレイクシステムズの収益は、開発者の採用、処遇改善、製品の保守、顧客ごとの導入作業に支えられている。研究開発を止めればMA-EYESは競合製品や新しい業務手段から取り残される。したがって、会計上の利益をすべて自由に配れるお金とみなすことはできない。
一方で、この会社は大きな借金を背負って成長を急ぐ企業でもない。十数年にわたり利益を確保し、定期預金や有価証券を保有している。資金が乏しい競合なら難しい長期開発を、自社資金で続けられる点は評価に値する。仮に不利な技術転換が起きても、直ちに資金繰りが破綻する会社ではない。
しかし、本当の堀、つまり他社が簡単に奪えない競争優位はまだ狭い。MA-EYESの導入事例は製品が役立つ証拠ではあるが、顧客が価格を上げられても離れないという証拠ではない。技術者の配置による売上も、顧客の人月予算が細れば縮む。過去のROEが高かったから将来も高い利回りで再投資できる、と考えるのは危険だ。
余った現金についても、支配株主が存在する以上、少数株主が清算や特別配当を命じられるわけではない。2026年のDOE導入は重要な進歩だが、資金を長く保有してきた過去を踏まえ、現金が全額ただちに株主へ戻るとは扱わない。
この企業を長く持つ判断は、安定した過去の利益より、次の10年で何が不要になるかを見通せるかどうかにかかる。MA-EYESがAIの裏側で記録を管理する基盤になれば価値は残るが、画面操作と人月販売を中心に据えたままなら収益の寿命は短くなる。価格に十分な安全域を求める理由はここにある。
何で稼ぐ会社か
同社の売上は二つの報告セグメントに分かれる。2026年6月期のパッケージ事業は売上高約7.36億円、セグメント利益約3.47億円である。システムインテグレーション事業は売上高約6.51億円、セグメント利益約1.40億円だった。ここから共通費用約3.62億円を控除すると、全社営業利益は約1.25億円となる。パッケージ事業の高いセグメント利益率だけで全社の採算を判断してはいけない。
主力のMA-EYESは、IT、コンサルティング、広告、人材サービスなど、従業員の工数を案件別に集計する企業に向けたERPである。案件ごとの受注、売上、原価、工数、購買、経費などを一元管理し、利益の出ていないプロジェクトを見つけやすくする。日本プロセスなどの導入事例があり、主要取引先にはインターネットイニシアティブも含まれる。
同じ製品でも収益には異なる性質がある。一括導入版は初期のライセンスや設定、個別開発が売上になり、導入案件の時期によって業績が振れる。保守、SaaS利用料、既存顧客からの追加開発は継続的な接点を生むが、すべてを解約されにくい純粋な月額課金と考えてはいけない。実際、2025年6月期には法改正対応の追加開発が一巡し、パッケージ売上が落ち込んだ。
SI事業は顧客の開発現場に技術者を配置し、能力と稼働期間に応じて対価を受け取る。2026年6月期末の配置人員57人を通年稼働に換算すると684人月となる。売上高をこの人月で割った月当たり売上は約95万円だが、協力会社の活用や期中の人数変動を含むため、実際の社員一人当たり契約単価そのものではない。
パッケージ事業は2026年6月期末に63人の配置人員を抱える。つまり会社全体は、ソフトを一度作れば追加費用がほとんど要らない事業ではない。製品改良、導入支援、顧客別開発、技術者採用が続くため、利益のかなりの部分は人の能力と時間に支えられている。10年後の価値は、この人的な仕事を自動化しながら、製品の利用価値をどれだけ残せるかにかかる。
優良さと弱いところ
最も評価できる強みは、案件別採算管理という狭い業務に長く取り組んできたことである。顧客がMA-EYESに受注情報、工数、費用、取引先情報を蓄積すれば、他社製品への移行にはデータ変換と業務手順の変更が必要になる。経理部門だけでなく営業や現場管理者まで利用している場合、その負担は小さくない。
しかし、乗り換えが面倒なことと、10年先まで値上げできることは別である。会社は解約率5%未満などの継続率を示しておらず、移行に年単位を要するという定量的な証拠も確認できない。法改正のたびに継続単価を引き上げてきた実績や、競争相手が持たない独自データの収益化も確認できない。したがってMA-EYESを、代替が極めて難しい「記録の正本」として一律に高く評価する根拠は足りない。
財務には明確な強みがある。2026年6月期末の自己資本比率は約74%で、有利子負債への依存も小さい。定期預金と流動の有価証券を含めると流動性は厚く、受注の谷で研究開発を続ける余力がある。過去には赤字を出さず利益を積み重ねてきたことも、経営の慎重さを示している。
反対に、ROEは過去10年の中央値約8.3%から直近約5.7%へ低下した。利益が伸びないまま純資産が増え、資本効率が薄まっている。2026年6月期の回復も、長期の売上成長というより、大型案件の進捗や費用管理の寄与が大きい。稼いだお金を新たに投じたときに資本コストを上回る利益を生むという証拠は、まだ十分ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ERP市場そのものは伸びている。矢野経済研究所の2026年10月の調査では、2025年の国内ERPパッケージライセンス市場は約2,021億円で、2026年には約2,280億円が予測されている。ただし、この数字はライセンス市場であり、導入支援、保守、受託開発を含む同社のパッケージ売上とは範囲が異なる。全セグメント売上をそのまま割って正式な市場シェアにすることはできない。
MA-EYESが直接競うのは、案件別の原価、稼働率、収益を管理する業種特化型ERPだ。オロの「ZAC」はこの分野の有力製品で、2026年時点の製品サイトでは累計導入1,100社超を掲げる。SAP、オービック、オービックビジネスコンサルタントの製品、より安価なクラウドサービスも選択肢になる。競合各社の同一定義による売上シェアは確認できず、MA-EYESが市場で何位かを断定できない。
同社の2025年の成長可能性資料には、重点対象業種における従業員100人以上の企業として4,259社という市場の切り口がある。現在のMA-EYES利用社数は非開示であるため、この対象企業数に対する実際の獲得率は不明だ。後述の190社は売上を数量に分解するための推定値であり、会社が発表した導入社数ではない。
技術の転換は、ERP市場の名目成長率より重大である。AIエージェントが見積作成、工数入力、経費処理、照合、報告を代行するようになれば、従業員が操作画面にログインする回数は減る。単に画面を使いやすくする製品には価格圧力がかかる。他方、会計記録や案件の契約情報を正しく保持し、AIに安全なデータを渡せる基盤には需要が残る。MA-EYESが後者の役割に進化できるかが分岐点となる。
SI市場も、日本企業のシステム更新需要を背景に足元では堅調だ。しかし市場全体の需要が増えても、同じ工数が人の手を通るとは限らない。顧客が生成AIで設計、実装、テストを内製化すれば、外部へ発注する人月は減る。筆者は、2036年の同社の案件数や人月について、市場全体の名目成長ではなく、AIによる仕事量の減少と顧客内製化を中心に考える。
資本政策と M&A
資本配分の姿勢は保守的である。過去10年に大規模買収を繰り返して事業を膨らませた形跡はなく、自己資本と金融資産を積み上げてきた。2017年と2018年には上場前後の株数増加があったが、直近では大規模な新株発行を前提とする必要はない。2026年1月の株式分割は株主の持分価値そのものを増やすものではない。
2026年3月には東証グロース市場からスタンダード市場へ移行した。これは上場廃止予定ではなく、当時のグロース市場の上場維持基準を意識した市場区分の変更である。同年5月には株主還元方針を改め、配当性向50%程度を目標とし、さらに前期末自己資本に対するDOE4%程度を配当の下限とした。2026年6月期の実績配当性向は約67%で、2027年6月期も約70%が見込まれている。
株主優待は300株以上の保有者にデジタルギフトを贈る制度である。2026年6月期の優待引当金繰入額約541万円を起点に、10年間の株主向け給付を各筋書きの還元に含めた。自社株買いについては、流動性や株式数の制約もあり、継続的な大規模買戻しの実績は確認できない。
中期の成長方針はMA-EYESの機能強化、SaaS拡販、既存顧客への深耕、SI技術者の活用が中心である。確認した成長可能性資料には、2029年までの売上高、営業利益、ROEについて拘束力のある数値目標の約束はない。一方、単年度の2027年6月期予想は売上高14.47億円、営業利益1.27億円、純利益1.05億円である。新しいDOE方針は株主に有利だが、利益が構造的に減ると維持は難しくなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
MA-EYESには、単なる入力画面を超えた価値がある。案件の受注から経費、工数、売上、利益までを結び付けることは、顧客の意思決定を支える基幹業務そのものだ。IT、広告、コンサルティングの会社では、一つのプロジェクトの赤字を早く見つけるだけでも導入効果がある。既存顧客が長く使ってきたデータや業務の流れは簡単に移せず、競合製品への変更には相応の負担がある。
また、AIエージェントの普及は必ずしもERPの消滅を意味しない。AIが操作するほど、正確な案件情報、承認権限、取引記録を持つ基盤が必要になる。MA-EYESは2026年に外部AIとの連携や利用支援機能を追加しており、技術の変化に手を打ち始めている。これが実際の有償契約に結び付けば、単なる画面販売から基盤の利用料へ収益の軸を移せる余地がある。
財務も大きな支えだ。現金同等物だけを見ると保守的な評価になるが、実際には定期預金と流動有価証券が厚い。急いで増資する必要がなく、景気や受注が悪化しても開発者を維持できる。DOEを導入したことで、ため込んだお金を株主に戻す方向も以前より明確になった。競合のオロが大きな顧客基盤を持つ一方、MA-EYESには個別業務への柔軟な対応という居場所がある。大規模な買収をしなくても、既存製品の改良と顧客深耕で利益を守れる会社だ。
慎重な見方
最大の弱点は、売上のかなりの部分が人間の作業時間に結び付いていることだ。SI事業は技術者を配置した人月が減れば売上が減る。顧客の開発部門がAIでテストやプログラミングを内製化すれば、同じ成果を少人数で得られる。技術者の待遇を改善しなければ人材が離れるが、単価を十分に引き上げられる保証もない。
MA-EYESについても、顧客が必要としているのは画面そのものではなく、案件の損益を把握する成果だ。AIが工数入力、仕訳、照合、見積作成を代行するなら、席数や追加開発の工数は減りうる。2026年9月に追加されたガイダンス機能は操作を容易にする改良だが、エージェントが画面操作を省く時代に、それだけで高い利用料を守れるとは限らない。
しかも、同社はMA-EYESの解約率や稼働契約数を定量的に公開していない。オロのZACには累計1,100社を超える導入実績があり、規模と標準化で先行している。2025年にはMA-EYESの追加開発が減り、SaaS版の一部も計画に届かなかった。2026年の利益回復は大型案件の進捗にも支えられており、持続的な新規顧客獲得力を証明したわけではない。
資産価値にも限界がある。流動性資産には顧客からの前受けに対応する義務や将来の退職給付、日々の事業に必要な資金が伴う。少数株主は資産の売却を強制できない。もし10年間の利益が縮み続ければ、資産を守るための費用がかかり、現金の一部は事業を立て直すために消費される。利益率が薄い小型企業では、この危険を無視できない。
どちらに重みを置いたか
財務の強さと業種特化型ERPの顧客接点には価値がある。しかし、導入社数、解約率、値上げ実績、AI機能の有償売上を確認できず、堀の強さを数量で立証できないことが結論を左右した。確率は上側24%、中立30%、下側46%とした。下に寄せるのはAIを数量と倍率で二重に罰するためではない。競合の導入規模との差、2025年の新規受注の弱さ、顧客への依存、間接費を下げる実行力の不確実性を反映した。厚い流動資産を考慮しても、期待される10年後の稼ぐ力は現在の評価を十分には正当化しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 390 円18 億円(+ 還元の換算額還元の合計 160 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 295 円13 億円、今との差 −40.9%、 期待の年率 +1.1%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 753 円34 億円 | 230 円11 億円 | +97.0% | +8.2% | 79 円4 億円 |
| やや楽観 | 16% | 534 円24 億円 | 197 円9 億円 | +46.4% | +4.6% | 117 円5 億円 |
| 中立 | 30% | 374 円17 億円 | 181 円8 億円 | +11.3% | +1.3% | 167 円8 億円 |
| やや悲観 | 28% | 294 円13 億円 | 164 円8 億円 | −8.2% | −1.0% | 128 円6 億円 |
| 悲観 | 18% | 274 円13 億円 | 55 円3 億円 | −34.2% | −4.4% | 59 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 390 円18 億円 | 160 円7 億円 | +10.1% | +1.1% | 550 円25 億円 |
今の株価時価総額 499 円23 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 製品の基盤価値が残り、人的業務を高付加価値化 利益 2 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 753 円34 億円
MA-EYESが案件管理の記録を保持する基盤として残り、AIによる入力自動化が進んでも顧客は製品を使い続ける。新規の大型導入は年8件、継続利用の企業換算は190社を維持する。操作席数そのものの拡大を想定せず、保守・利用料の上昇も限定的にとどめる。
SI事業では低付加価値のプログラミングが減る反面、顧客の業務設計や既存基幹システムとの接続に開発者を振り向ける。人月総数は現在と同じ684にとどまるが、難度の高い仕事の構成が増え、単価は上昇する。これは新しいAI製品の未確認売上を加える筋書きではない。
共通費用は名目4.3億円に増えるが、標準化と内製AIによる開発効率の改善で売上増加ほどは膨らまない。追加の大型買収をせず、利益と還元を両立できれば、10年後には営業利益率が14%を超える。純現金を背景に現行株主への配当も続く。
- MA-EYES一括導入・新規個別開発:数量 8.0(年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数)× 価格 0.27(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。案件数8件を維持。単価は10年間で1.33倍だが、現在を超える実質の案件数量拡大は想定しない。
- MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発:数量 190(継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない))× 価格 0.03(企業換算1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。企業換算数は維持。年間単価は現在の約1.15倍で、SaaS・画面型の価格上限を守る。
- システムインテグレーション・技術者配置:数量 684(年間の配置人員ベースの人月換算数)× 価格 0.01(人月換算1単位当たり売上高(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。人月総数は現在を超えない。高度な設計・接続支援の比率が高まり、人月単価は約1.33倍となる。
倍率:資本コストk7.75%、10年より先の名目成長率g−0.5%、弱い堀の残存割合1/3を使う。余剰資産12.5億円の税後運用利益0.175億円を除く事業純利益は1.9743億円、事業自己資本は約10.75億円でROE約18.4%となる。RONIC=k+1/3×(事業ROE−k)は約11.3%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の約12.66倍を採用し、事業純利益×PER+余剰金融資産12.5億円×戻り方0.75で時価総額を求めた。期間純利益累計約15.86億円から還元10.5億円を引き、自己資本は約23.25億円となる。
確率:MA-EYESの顧客が大きく減らず、SIの人月も維持し、社内効率化によって全社利益率が改善する場合である。AI連携機能の開示はあるが有償売上額が確認できないため、楽観でも数量を現在の1.0倍より増やさない。複数の条件の同時達成を要するので8%とした。
やや楽観 16% ERP利用を守り、SIが高単価案件に移行 利益 1 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 534 円24 億円
MA-EYESの新規大型導入は年7件に減るが、既存導入企業の大半は保守やSaaSを使い続ける。企業換算数は180社となり、継続単価は緩やかに上がる。顧客がAIで工数入力や経費処理を自動化しても、取引記録や案件別採算の管理は製品内に残る。
SI事業では顧客の内製化が進み、人月換算数は600まで減少する。会社は技術者を業務設計やシステム接続に振り向け、残る仕事の単価を上げる。給与と協力会社への支払いは増えるが、高単価案件への移行によってセグメント利益率を守る。
本社の人員や販売費を厳しく管理し、共通費用は名目4.5億円に抑えられる。大型買収に頼らずMA-EYESの機能更新を続け、DOEによる株主還元も維持する。事業の形は残るが、業界全体の高成長をそのまま享受するわけではない。
- MA-EYES一括導入・新規個別開発:数量 7.0(年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数)× 価格 0.26(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。導入案件の数量は現状の87.5%、単価は1.30倍。
- MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発:数量 180(継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない))× 価格 0.03(企業換算1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。企業換算数は現状の94.7%、単価は約1.13倍。
- システムインテグレーション・技術者配置:数量 600(年間の配置人員ベースの人月換算数)× 価格 0.01(人月換算1単位当たり売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。人月数量は87.7%、単価は約1.32倍。
倍率:余剰金融資産からの税後利息0.175億円を除く事業純利益は1.1768億円、事業自己資本は約8.26億円で、ROEは約14.2%。k7.75%、残る割合1/3、g−0.5%からRONICは約9.9%、正当化PERは約12.73倍となる。余剰金融資産の戻り方0.75を別に評価する。期間の純利益累計約11.87億円、還元9.0億円で、期末自己資本約20.76億円と整合する。
確率:ERPの専門性と流動性資産の厚さを生かし、顧客を大きく失わずに製品開発を続ける見通しには一定の根拠がある。ただしZACなどの競合との差が広がることは確認できないため16%にとどめた。
中立 30% 市場は伸びても、売れる人月と操作席が減る 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 374 円17 億円
企業のERP投資は続くが、MA-EYESが同じ割合の仕事を取れるとは限らない。新規大型導入は年6件、既存利用の企業換算数は160社となる。AIが操作画面を経ずに工数、経費、販売データを処理し、顧客は席数や個別開発を減らす。継続単価の上昇は10年で約10%にとどまる。
SIでは顧客が実装やテストの一部を内製化し、人月換算は684から480へ減る。残る技術者の単価は物価上昇に近い水準まで上がるものの、数量の減少を完全には埋められない。従業員数や外注を調整しながら事業を続ける。
共通費用は現在より大きい4.1億円となる。物価だけを反映すれば約4.85億円になるところを、管理部門の省力化と事業規模に応じた人員配置によって抑える前提だ。それでも営業利益は約0.62億円に縮む。金融資産からの利息が純利益を支えるが、営業の稼ぐ力が戻ったわけではない。DOEを維持すれば内部留保はほとんど増えず、ROEも低いままとなる。
- MA-EYES一括導入・新規個別開発:数量 6.0(年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数)× 価格 0.25(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。AIの導入支援省力化で案件換算数は0.75倍、単価は1.25倍。
- MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発:数量 160(継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない))× 価格 0.03(企業換算1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。席・操作画面型として企業換算数は0.84倍、単価は1.10倍。AIによる席数減少を含む。
- システムインテグレーション・技術者配置:数量 480(年間の配置人員ベースの人月換算数)× 価格 0.01(人月換算1単位当たり売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月数量は約0.70倍、単価は約1.31倍。AIによる開発工数削減と高技能化を同時に反映。
倍率:2036年の純利益0.7528億円のうち、余剰金融資産12.5億円に対する税後運用収益0.175億円を除くと、事業純利益は0.5778億円となる。期末事業自己資本は18.52−12.5=6.02億円、事業ROEは約9.6%。k7.75%、堀の残存割合1/3、g−0.5%からRONIC約8.37%、正当化PER約12.85倍となる。時価総額は事業純利益×PER+12.5億円×0.75で求める。10年間の純利益累計約8.88億円、還元8.25億円で自己資本は約18.52億円となる。
確率:2025~2026年の業績停滞と、ERP契約の継続価値が同時に存在することを反映した中心筋書きである。AIエージェント代替は数量と単価に織り込み、確率だけで追加の機械的な減点をしない。
やや悲観 28% 顧客と工数を失い、縮小均衡を探る 利益 1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 294 円13 億円
MA-EYESの一括版で大きな受注が減り、年5件程度の新規案件しか残らない。既存利用の企業換算数は142社まで減少する。競合のZACや標準クラウド製品が導入支援の省力化を進め、MA-EYESの柔軟な個別開発はかえって割高と見られる。保守と既存データ管理は残るが、価格交渉力は弱くなる。
SI事業は顧客の内製化が加速し、人月換算数が410まで落ち込む。会社は規模を縮小して採用と外注を抑え、間接部門も削減する。共通費用を名目2.79億円まで下げられて初めて営業黒字を保てる。物価上昇を考慮すると相当大きな実質的合理化であり、失敗すればこの筋書きより悪くなる。
DOEによる配当はおおむね続くが、利益に対する負担は重く、事業への再投資余力が細る。長期的なROEは資本コストを下回り、価値の中心は金融資産と残る小さな営業利益になる。買収による劇的な回復を前提とせず、資産と稼ぐ力の両方で保守的に測る。
- MA-EYES一括導入・新規個別開発:数量 5.0(年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数)× 価格 0.23(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。新規導入案件は現状の62.5%。標準製品との競争で利益率も低下。
- MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発:数量 142(継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない))× 価格 0.03(企業換算1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。企業換算数は約75%に縮む。価格上昇はごく小幅。
- システムインテグレーション・技術者配置:数量 410(年間の配置人員ベースの人月換算数)× 価格 0.01(人月換算1単位当たり売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。人月数量は現状の約60%となり、高単価化も限定的。
倍率:悲観側では将来利益を蓄積した自己資本に床の倍率を掛けない。2026年6月期末の自己資本17.893億円を評価の分母に据え、PBR0.75倍による時価総額を約13.42億円とする。事業純利益は0.5257−0.175=0.3507億円で、事業ROEは約6.5%とk7.75%を下回る。g−0.5%を考慮した稼ぐ力の上限は事業純利益÷8.25%+余剰金融資産の実現価値9.375億円で約13.63億円となり、この評価額は上限以下である。売れる金融資産の保守的な床12.5億円も上回る。期間純利益累計と還元をともに約7.5億円とし、自己資本の道筋は現在額と整合させる。
確率:下に寄せる理由:MA-EYESの解約率と有償契約数が非開示であり、競合ZACの大きな導入基盤に対する差別化が数値で確認できない。2025年には既存顧客の追加開発が減り、一部SaaS受注も計画未達だった。人員削減と管理費の圧縮が必要になる経営実行リスクを重くみる。
悲観 18% AIによる代替が進み、売上がほぼ半減 利益 −1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 274 円13 億円
ERPの標準機能とAIエージェントが一体化し、企業はMA-EYESの個別開発を更新する理由を失う。新規大型導入は年4件、既存利用の企業換算数も95社に減少する。顧客が別の記録基盤へ移行するため、旧製品の保守は縮み、料金を上げることも難しい。案件管理という需要自体は残るが、同社の製品が選ばれる割合は低下する。
SI事業ではプログラミング、テスト、移行作業の内製化が進む。人月換算数は300まで減り、価格の伸びも鈍い。会社は採用を止め、外注契約や間接費を大きく削減するが、売上減少を吸収しきれない。10年後の営業利益は赤字となり、後半には配当と優待の縮小・停止が必要になる。
財務が厚いため、事業が傷んでも直ちに普通株主の価値が消えるわけではない。ただし赤字が長期化すれば資金が流出し、買収や再建の失敗も起こりうる。終価は将来の大きな自己資本を積み上げず、現在の売れる金融資産から負債と清算費用を除く保守的な床にとどめる。清算や資産売却が実現しなければ、少数株主がこの床を回収できる保証はない。
- MA-EYES一括導入・新規個別開発:数量 4.0(年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数)× 価格 0.21(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数は半減。AIと標準製品の競争により導入支援の単価もほぼ据え置き。
- MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発:数量 95.0(継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない))× 価格 0.03(企業換算1社当たり年間売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。企業換算数は半減し、名目単価も現在からほとんど上がらない。
- システムインテグレーション・技術者配置:数量 300(年間の配置人員ベースの人月換算数)× 価格 0.01(人月換算1単位当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月数量は現状の約44%まで減る。人件費と外注費の圧力で利益率は大幅に低下。
倍率:事業純利益はマイナスであり、正当化PERによる稼ぐ力は金融資産の価値を下回るため、将来の利益成長を評価しない。2026年6月末時点の自己資本17.893億円を分母とし、PBR0.6986倍によって現在売れる金融資産の保守的な床約12.5億円を終価とする。2036年の大きな自己資本を新たに積み上げて床の倍率を掛けてはいない。前半に得る利益と後半の損失を差し引いた10年間の累計純利益を約2.5億円、配当・優待の累計も約2.5億円と見込み、期末自己資本は現在額と整合する。
確率:MA-EYESの導入社数と低解約率の証拠がなく、SIが売上の約47%を占める。操作画面と人月への依存という二つの弱点が同時に表面化し、主要顧客の発注減少も重なる可能性を考える。存続資金は厚いため破綻そのものを主筋にはせず、18%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
MA-EYES一括導入・新規個別開発
MA-EYESの一括導入版の新規ライセンス、初期設定、顧客別開発に対応する。人月・工数で売る導入支援を含み、AIエージェント代替の人月型として扱う。
| 数量年間の一括導入・新規開発の大型案件換算件数 | 価格案件換算1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 8.0 | 0.20 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 0.25 | 2 | 1 |
取り方:会社の製品説明で一括導入の初期費用の目安は1件1,000万~3,000万円である。中間の2,000万円を仮の平均とし、年間8件相当の1.6億円を新規導入・開発に配賦した。会社は実際の年間新規契約件数や一括版売上を独立開示していないため、8件は実測値ではない。営業利益0.64億円も全社・パッケージセグメントの実績と整合させた推定配賦である。
MA-EYES保守・SaaS利用・既存顧客の追加開発
既存のERP導入企業から保守料、クラウド利用料、追加開発費を得る部分。純粋な席課金だけではないが、画面操作と人による管理を前提とする収益が含まれるため、AIエージェント代替の席・操作画面型として保守的に扱う。
| 数量継続利用・保守対象の企業換算数(実測契約数ではない) | 価格企業換算1社当たり年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 190 | 0.03 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.03 | 5 | 3 |
取り方:2026年6月期のパッケージ事業売上7.35897億円から仮の新規導入分1.6億円を差し引き、残額5.75897億円を既存利用・保守・追加開発に配賦した。対象企業の市場は会社の成長可能性資料にある重点5業種の従業員100人以上4,259社である。190社という数量は、その約4.5%に相当する仮の顧客換算数であり、実際の導入社数や市場シェアの開示ではない。残額を190で割った年間約303万円を推定単価とした。保守契約とSaaS、追加開発の実際の構成比は非開示である。
システムインテグレーション・技術者配置
顧客のシステム開発を技術者の稼働時間に応じて支援する。人月単価の値上げ余地はあるが、AIによるプログラミング・テスト・運用の省力化に直接さらされる。
| 数量年間の配置人員ベースの人月換算数 | 価格人月換算1単位当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 684 | 0.01 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 480 | 0.01 | 6 | 1 |
取り方:会社の2026年6月期末のSI配置人員57人を12か月換算し、684人月とした。同セグメントの実績売上6.50835億円を割ると人月換算単価は約95.2万円となる。実際の月別配置人数、稼働率、協力会社費、技術者別単価は開示されていないため、期末人数からの推定であり、実際に請求した684人月という意味ではない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月・席数の縮小
SI事業は顧客から受託する作業量を人月単位で売る。AIが設計、実装、テスト、文書化の一部を実行すれば、外部技術者を必要とする数量が減る。MA-EYESでも工数入力や経費処理をAIが代行すれば、従業員の操作席数や追加開発の需要が減る。中立では人月を現状の約70%、継続利用の企業換算数を約84%とし、10年より先の名目成長率もマイナスとした。
MA-EYESの競争優位が数値で立証できない
顧客の乗り換えに負担が生じることは確かだが、解約率、契約企業数、継続利用単価、更新率の定量開示が不足している。競合のZACには1,100社を超える累計導入実績がある。標準化と導入支援の省力化が進めば、個別開発への柔軟さが差別化ではなく費用負担になる可能性がある。
主要顧客への依存と受注の偏り
2026年6月期にはインターネットイニシアティブ向け売上が約1.66億円あり、全社売上の約12%を占める。大口顧客のシステム投資や外部委託方針が変われば、比較的小さい同社では利益への影響が大きい。パッケージ事業も大型導入案件の計上時期で年度ごとの収益が動き、保守収入だけで完全に平準化されるわけではない。
固定費と人件費の圧迫
2026年6月期のセグメント利益合計約4.87億円に対して、本社共通費用は約3.62億円あった。物価3%が10年続くと、同じ活動を維持する名目費用は大きく増える。中立でも管理費の実質的な削減を前提としており、削減が遅れれば営業利益はさらに薄くなる。技術者の待遇改善を怠れば人材流出も起こりうる。
現金同等物と真の還元余力の取り違え
現金同等物約4.1億円だけを見ると流動性を過小評価するが、定期預金や有価証券を加えた約20.5億円をすべて余剰資産とするのも誤りだ。契約負債、退職給付引当金、その他の負債、運転資金を考慮する必要がある。少数株主は清算や特別配当を強制できず、事業の再建費用によって資金が減少する可能性もある。
株主還元方針の持続性と資本配分
DOE4%程度の下限は株主に有利だが、将来の利益が縮むと自己資本を減らしながら配当を維持することになる。成熟した事業に利益を再投資しても資本コストを超えないなら、還元を続ける方が合理的である。反対に、余剰現金を採算の悪い買収や長期の赤字補填に使うと、資産の厚さという強みが失われる。
今後の分かれ目
- MA-EYESの契約企業数、解約率、既存顧客売上の継続率が開示され、低解約率が複数年確認できたら
- 保守・利用収入の数量の減少を小さく見直す。移行に年単位を要する事実や法改正ごとの値上げ実績も確認できれば、その部分の堀と10年より先の成長率を再検討する。
- MA-EYESのAI連携機能について実際の有償契約金額や継続売上が開示されたら
- 現在は認めていないAI製品自体の新たな収益を数量・単価に積み上げられる。単なる機能発表や導入事例ではなく、契約数と単価、解約率への効果を確かめる。
- SIの配置人員や人月単価が上昇しても売上高と利益が伸びなくなったら
- 顧客の内製化と協力会社費・給与の増加が同時に起きている可能性がある。人月数量と利益率を引き下げ、やや悲観・悲観の比重を増す。
- 会社が間接費を実質的に削減しながら営業利益率10%以上を複数年維持したら
- 中立の本社費と利益率の前提を改善する。AI導入による自社の生産性向上が、顧客からの単価引き下げ圧力を上回る具体的な証拠として評価する。
- DOE4%の方針に沿う増配が続き、余剰金融資産が配当や買戻しを通じて株主へ戻ったら
- 余剰金融資産の戻り方0.75を1.0に近づける。特に継続的な高配当性向や明確な自己株取得実績があれば、資産価値の実現可能性は高まる。
- 大型の買収や投資で定期預金・有価証券が大幅に減り、買収事業のROICが資本コストを下回ったら
- 資産の床を見直し、再投資による価値の毀損を悲観筋書きに反映する。現金の減少そのものではなく、それに見合う収益力を獲得したかを判断する。
- パッケージ事業の一括導入の新規受注が継続して計画未達となり、既存顧客の追加開発も減少したら
- 継続利用の顧客換算数と新規導入件数をともに下方修正する。2026年の大型案件進捗による売上を継続的な需要と取り違えていないかを点検する。
見ておくもの
- MA-EYESの新規導入契約数、利用企業数、解約率、保守・SaaS売上高の独立開示
- パッケージ事業の一括導入版、SaaS版、追加開発の受注と売上の内訳
- SI事業の配置人員、稼働率、人月単価、外部協力会社費用
- AI連携機能の有償売上高と顧客の利用実績
- 競合オロのZAC導入社数とプロジェクト管理ERPにおける機能・価格競争
- 本社共通費用、研究開発費、営業利益率、ROEの推移
- 現金同等物に加えた定期預金と有価証券の残高、契約負債および退職給付引当金
- DOE4%、配当性向50%目標、株主優待、自社株買いの実施状況
- インターネットイニシアティブ向け売上の構成比と大型受注の進捗
倍率と資本コストの決め方
まずパッケージ事業を新規導入と継続利用に分け、SIを57人の配置人員から人月換算した。数量の減少と名目単価の上昇を別に考え、2036年の営業利益を積み上げた。現在の株価や同業の市場PERから利益、倍率、確率を逆算していない。楽観から中立のPERは資本コスト7.75%、事業ROE、堀の残存割合3分の1、10年より先の名目成長率−0.5%による正当化式から決めた。悲観側は稼ぐ力の上限と、定期預金・有価証券を含む売却可能資産の床で検算した。余剰金融資産12.5億円は運用利益を事業利益から除いて別に評価し、二重に数えていない。確率加重後の現在価値は約13.4億円で、2026年10月22日の時価総額約22.9億円との差は約−41%となる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基本に、事業品質の調整+0.25%を加える。株価のβや小型株であることによる規模プレミアムは加えない。