結論
EduLabは、英語試験の開発、学力調査の受託、AI採点、コンピューター試験会場を手掛ける教育測定会社である。筆者の結論は割高だ。試験を公平に実施する実務能力には価値があるが、その価値がそのまま少数株主の利益になるわけではない。2025年9月期の営業利益は約3.9億円まで回復したものの、親会社株主に帰属する純利益は約0.2億円にとどまった。
事業の中心は、年間109.3万人が利用するテストセンターである。全国の会場、試験監督、本人確認、情報管理を一体で提供する仕事は、生成AIが普及しても簡単には消えない。一方、試験の作問、採点、事務処理、システム構築といった受託業務は、AIによる省人化で発注額そのものが減りうる。同社自身がAI採点技術を持つことは強みだが、顧客の作業費用を減らす技術が、同社の売上単価も押し下げるという矛盾を抱えている。
もう一つの問題は利益の取り分だ。テストセンターを担うEdTech RISEの持分は51%であり、同社の利益の一部は非支配株主に帰属する。また、日本英語検定協会向けの売上が全社の34.0%を占める。大口顧客との取引が続くことと、値上げを自由に通せることは別である。2026年9月期第3四半期には受託事業が大きく減収となり、親会社帰属利益は赤字だった。
10年先には試験会場の利用者が増え、全社売上が拡大する中立像も考えられる。それでも、増えた利益から税金、非支配株主の取り分、会場とシステムの維持費を引けば、親会社の稼ぐ力は限定的だ。五つの筋書きの確率加重による現在価値は約11.3億円で、基準時価総額約20.1億円を約44%下回る。事業再生と会場網拡大が想定以上に進む可能性は残るが、現時点で十分な安全域は見いだしにくい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、EduLabを評価する核心は、教育に役立つ技術を持っているかではなく、その技術が株主の手元に現金を残すかである。試験を公平に実施する仕事には社会的な必要性がある。学校や企業が人の能力を測り、資格を認定する営みは10年後も続くだろう。その意味で、テストセンター事業には長い寿命を期待できる。
しかし、必要とされる仕事と、独占的な利益を得られる仕事は違う。試験団体が会場網を切り替えるには負担がある一方、全国に提携会場を持つ競合は存在する。試験運営の信頼性が高くても、それが料金を十分に引き上げる力になった事実は確認できない。しかも最大の顧客との関係が変われば、会場の稼働率と受託売上の両方に影響が及ぶ。
オーナー利益を考える際は、会場設備の更新、システム開発、監督人員の確保に必要な支出を忘れてはならない。2025年9月期には営業キャッシュフローが黒字でも投資支出を十分には賄えず、自由に使える現金は増えていない。生成AIを使って採点費用を削減できることは良いが、その利益を値下げ競争や新製品開発費に使い切れば株主には残らない。
過去の減損と会計問題は、経営者の能力を一度の黒字決算で再評価してはならない理由になる。見たいのは数年間にわたる親会社帰属利益、営業現金収支、増分投下資本利益率の改善だ。新しい事業を次々と買うより、既存会場の稼働率を高め、信頼できる顧客との契約を積み上げる方が堅実である。現状の株価には、再建が持続し、利益の取り分も増えるという二つの条件が相応に織り込まれている。十分な安全域を得るには、利益の質が変わった証拠がさらに必要だ。
何で稼ぐ会社か
EduLabの事業は五つに分かれる。テスト等ライセンス事業は、大学や企業向けの英語能力測定「CASEC」、児童向け「英検Jr.」、英語スピーキング試験などを提供する。受験者や利用団体が増えれば売上が増える仕組みで、試験問題の開発、統計的な精度管理、利用履歴には蓄積の価値がある。ただし、学校向けの販売では価格交渉や競合製品との比較を避けられない。
AI事業には手書き文字認識の「DEEP READ」、自動採点の「DEEP GRADE」、英作文支援の「UGUIS.AI」がある。採点の一貫性や、誤答を正答と読み替えない処理は教育向けの特徴だ。しかし、2025年9月期のAI事業売上約3.7億円には、前期以前から続く案件について認識した約1.49億円が含まれる。UGUIS.AIは同年4月に正式提供されたものの、当期の業績貢献は軽微だった。単年度の高い利益率を継続収益の証拠にはできない。
テスト運営・受託事業は、国や自治体、試験団体から作問、印刷、配送、採点、分析、システム構築を請け負う。文部科学省の全国学力・学習状況調査、国際調査のPISAやTIMSS、スポーツ庁の体力調査などの実績がある。約100万人規模の調査を滞りなく実施するノウハウは希少だが、公共入札の受注者変更で売上が大きく動く。2025年9月期は全国学力調査の直接受注が間接受注となり、この事業の売上は前期比約38%減った。
テストセンター事業は、英検S-CBTなどの試験に会場と運営機能を提供する。2025年時点で直営40拠点を28都道府県に持ち、委託会場と臨時会場も活用している。受験者は2021年9月期の61.3万人から2025年9月期に109.3万人へ増加した。受験料全額ではなく、会場提供や関連業務への対価が収入になる。その他事業は、撤退した教育プラットフォーム事業から残った広告・メディア関連サービスが中心だ。
優良さと弱いところ
最も評価できる資産は、試験の信頼性を守りながら大量の受験者を処理してきた運営実績である。試験問題を作るだけなら競合は多いが、本人確認、監督、障害対応、採点精度、機密保持まで責任を負う仕事は簡単には移管できない。同社は過去に大規模学力調査を繰り返し受託し、累計で多くの答案と採点工程を扱ってきた。会場網と運営人員の組み合わせには、一定の参入障壁がある。
ただし、堀が広いとはまだ言えない。直営会場の保有数を強調しているものの、競合のCBT-Solutionsも全国に多数の提携会場を持つ。市場全体でどれだけの試験を支配しているか、比較可能な受験者数ベースのシェアは公表されていない。また、英検協会という大口顧客への依存が高く、契約更改の際に値上げを一方的に通せる証拠も乏しい。低い解約率や、価格改定が継続して通った実績も確認できなかった。
資本効率は長期保有に値する優良企業の水準に達していない。2021年以降の赤字と減損によって自己資本は大きく減り、過去の成長投資が株主価値を毀損した。2025年9月期の営業黒字転換は評価するが、親会社帰属利益と営業キャッシュフローを見れば、まだ十分な回復とはいえない。過去の会計問題を受けて内部統制を整え直していることも、長期の信頼を判断する際に欠かせない。
利益の再投資先は、会場の平日稼働率改善と既存顧客への追加サービスに絞る方がよい。多額の開発費をかけて汎用AIと競うより、信頼性が必須の試験実施にAIを組み込む方が成功の余地は大きい。それでも投資した資本が十分な追加利益を生むかは、今後の実績による検証が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の教育市場は、少子化によって受験対象人口が長期的に減る。一方、資格取得、企業研修、社会人の学び直し、紙の試験からコンピューター試験への移行は需要を支える。矢野経済研究所が集計する語学関連市場は2025年度に約7,933億円規模だが、この数字には教育教材や学習サービスが広く含まれる。EduLabが直接競争する試験会場運営や採点受託の市場規模と同一視してはならない。
テストセンターの競争では、会場数だけでなく、交通の便、座席の稼働率、システム障害への対応、試験団体との契約がものをいう。EduLabの利用者数109.3万人は確かな数量指標だが、全国のCBT受験延べ人数を同じ定義で集計した公的統計が見つからず、厳密な市場シェアは算定できない。CBT-Solutionsの多数の提携会場や契約試験団体数は競争力を示すものの、同社の契約団体シェアを受験者数シェアと読み替えるべきではない。中立では市場のCBT化が続く一方、競合も座席と会場を増やすため、EduLabの数量増加は主に既存会場の稼働率改善と試験種目の追加から生じると考える。
ライセンス事業の競争相手には、TOEIC関連試験、英検、大学独自のプレースメントテスト、民間の語学評価サービスがある。CASECの過去の年間受験者数は十数万人規模で、知名度では大手試験ブランドに及ばない。オンライン試験の利便性は広がるが、同時に生成AIによる安価な能力診断も普及する。能力を測る精度や大学・企業の採用実績が差別化要因になる一方、受験単価には下押し圧力がかかる。
官公庁向けの学力調査は大型案件の受注先が年ごとに変わり、安定的な継続課金ではない。2025年度の全国学力調査小学校関連業務ではZ会が受注し、EduLabは再委託という立場だった。2026年度の同種業務は内田洋行が受注している。2026年9月には子会社がTIMSS関連業務を受注したものの、国際調査は毎年同規模で実施されるわけではない。大型案件の受注実績を10年間の固定売上として数えることはできない。
技術革新の影響は事業別に分かれる。物理的な会場、本人確認、厳格な監督は残りやすい。しかし作問補助、画像認識、採点、事務処理、広告運用はAIエージェントに置き換わりやすい。試験という制度そのものが残っても、その周辺で人が時間を使っていた工程の売上は縮みうる。
資本政策と M&A
資本配分の歴史は厳しく評価すべきだ。2019年と2021年には株数の増加があり、かつて投じた資本の一部は減損や事業撤退によって失われた。2021年に表面化した会計問題の後、特設注意市場銘柄に指定されたが、2023年5月に指定は解除された。現在の経営再建では、事業の選別、海外拠点の整理、販管費の削減、組織体制の見直しが進められている。
テストセンター事業では、子会社EdTech RISEの持分51%を保有し、外部株主との共同運営体制を取っている。成長資金や協力関係を得る代わりに、将来の利益も分け合う構造だ。過去の大型投資の失敗を踏まえれば、今後の買収や新サービス開発は、親会社株主に帰属する増分利益で成否を測る必要がある。2026年9月には連結子会社に対する債権放棄も発表されており、グループ内の資本整理はなお続いている。
2025年11月の事業計画では、2026年9月期の売上高58億円、営業利益0.8億円、経常利益0.2億円、親会社帰属純利益0.1億円を見込んでいた。中期経営計画はライセンス、AI、受託、センターの成長と費用改革を掲げるが、ROEの数値目標や配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束なし。2025年9月期の配当もゼロだった。
2025年9月期末の現預金約13.87億円には、現金同等物に含まれない預金もある。有利子負債約5.16億円を引くと純現金は約8.71億円だが、訴訟関連費用、運転資金、非支配株主との持分関係があるため全額を余剰とは扱わない。余剰現金は約2億円にとどめて評価し、過去5年の還元実績が乏しいことから、株主への戻り方も慎重に考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
EduLabには、安価な学習アプリとは異なる参入障壁がある。大規模試験で要求される公平性、受験者情報の管理、試験問題の機密保持、答案の採点品質、会場での本人確認は、一つでも失敗すれば試験団体の信用を傷つける。長年の実績を持つ事業者は簡単には代替されない。全国28都道府県に直営40拠点を構え、委託会場も利用できることは、試験団体が一括発注する際の安心材料になる。
テストセンター利用者は2021年9月期から2025年9月期までに大きく増えた。英検S-CBT以外の試験を増やし、平日の空席を埋められれば、施設を大幅に増設しなくても採算は改善する。2026年9月期第3四半期にセンター事業の売上が増え、利益も改善したことは、この可能性を裏付ける。試験のデジタル化は、少子化による受験者の減少を上回る余地がある。
AIについても、EduLabは単なる利用者ではない。大量の答案を扱った実績と採点技術を持ち、DEEP READやDEEP GRADEを自ら提供している。大規模な公的調査では、汎用AIを導入するだけでは採点基準の統一や監査対応が完結しない。試験の設計から分析まで責任を持つ事業者が必要なら、同社はAIを使って原価を引き下げられる。UGUIS.AIが学校に定着すれば、ライセンス収入の拡大も期待できる。
過去の赤字事業から撤退し、間接費を削った点も変化として大きい。経営資源を会場網と試験測定技術に集中させれば、以前より少ない売上でも利益を生める。時価総額が小さいため、数億円の親会社帰属利益を安定的に稼ぐ企業へ変わった場合の企業価値の上振れは大きい。買収によって試験会場の地域網を補強できれば、既存顧客へのサービスも広がる。
慎重な見方
会社の売上が増えることと、親会社の株主価値が増えることを混同してはならない。2025年9月期は営業利益が約3.9億円だったが、親会社帰属純利益は約0.2億円だった。特別損失と税金に加え、テストセンター事業の利益の一部が非支配株主に帰属する。センターの利用者が増えても、その増分がすべて普通株主のものになるわけではない。
過去10年を見ると、2021年以降の大幅赤字、減損、事業撤退が目立つ。2025年の黒字転換も、AI事業に過去案件の収益認識約1.49億円が含まれていた。2026年9月期第3四半期では、テスト運営・受託事業の売上が大きく落ち込み、AI事業はセグメント赤字となった。再建が終わったと判断するには早い。訴訟関連費用引当金が残り、子会社への資金支援も続いている。
中核顧客の日本英語検定協会向け売上が全体の34%を占めることは、顧客基盤の強さであると同時に交渉力の弱さでもある。契約条件の変更や試験方式の転換で、会場収入と試験関連収入が一度に影響を受ける。文部科学省の大型調査でも、直接受注から再委託への変更によって売上が落ちた。公共事業で培った運営ノウハウは財産だが、毎回の入札で価格を競う以上、永続的な超過利益を保証しない。
さらに、AIエージェントは受託業務の人手そのものを減らす。作問、採点、集計、分析、BPO向け文字認識、広告運用は、かつて人件費を基準に請求できた工程だ。顧客がこれらを内製化すれば売上が減り、競合が安いAIサービスを提供すれば単価も下がる。自社にAI技術があっても、顧客に節約させた費用を同額の売上として取り込めるわけではない。業務委託の縮小を試験会場の成長で補い切れない場合、親会社の利益と自己資本は再び細る。
どちらに重みを置いたか
試験センターの存在価値では前向きな見方に分がある。しかし、株主に帰属する利益、公共入札の変動、AI事業の継続的な収益力については慎重な見方が勝る。特に2026年9月期の受託減収と親会社帰属赤字は、2025年の回復をそのまま延長できない証拠である。
確率は楽観側30%、中立30%、悲観側40%と下に寄せた。理由は会計問題という過去の出来事だけではない。現在進行中の収益構造の変化と大口顧客依存に、不確実性が残るためだ。AIによる縮小は中立の数量にも織り込んでおり、確率で同じ影響を重ねてはいない。中心的な価値は現時点の時価総額に届かず、強い回復を実証するまで割高という判断を維持する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 256 円26 億円(+ 還元の換算額還元の合計 9 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 82 円8 億円、今との差 −58.6%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 12.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 883 円90 億円 | 49 円5 億円 | +368.3% | +17.4% | 112 円11 億円 |
| やや楽観 | 18% | 433 円44 億円 | 20 円2 億円 | +127.6% | +8.8% | 82 円8 億円 |
| 中立 | 30% | 125 円13 億円 | 0 円0 億円 | −37.2% | −4.6% | 37 円4 億円 |
| やや悲観 | 26% | 92 円9 億円 | 0 円0 億円 | −53.5% | −7.4% | 24 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 78 円8 億円 | 0 円0 億円 | −60.7% | −8.9% | 11 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 256 円26 億円 | 9 円1 億円 | +33.6% | +3.0% | 266 円27 億円 |
今の株価時価総額 199 円20 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 試験会場網が広がり、親会社の利益が本格回復 利益 7 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 883 円90 億円
英検S-CBT以外の資格試験や入試がコンピューター方式へ移り、EduLabの会場網に新たな受験者が流入する。試験団体は会場の公正性と全国対応を重視し、既存の長期契約も維持される。平日稼働率の改善と拠点追加により、年間利用者は210万人に達する。受験単価に相当する会場受取額も、物価の上昇におおむね追随する。
全国学力調査などの受託はAIによる省力化で数量が減るものの、採点の品質管理や大規模調査の責任を一括で請け負う強みが残る。CASECなどの受験者基盤も維持し、DEEP READやDEEP GRADEの既存顧客が継続利用する。UGUIS.AIの売上が飛躍するという未確認の期待は含めない。AIの販売数量は現在の換算水準を上限とする。
過去の会計問題に伴う費用が収束し、事務費の削減と会場の増収によって採算が改善する。親会社の純利益は、非支配株主への配分後でも大きく回復する。大型買収に依存せず利益を積み上げ、一定の配当も再開する。ただし競合の会場網を完全に排除できるわけではなく、将来も超過利益が永久に増え続けるとは考えない。
- テスト等ライセンス事業:数量 25.0(年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量)× 価格 0.32(受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。受験換算数量は現在水準を維持し、実現単価は約1.21倍。教育測定ブランドが維持される。
- AI事業:数量 180(年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量)× 価格 0.02(年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替を考慮し数量は現在以下。2025年の一過性収益による高利益率は再現しない。
- テスト運営・受託事業:数量 7.5(年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量)× 価格 2.03(大型案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。省人化で案件工数は縮むが、大規模調査の品質保証を受注できる。
- テストセンター事業:数量 210(年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数))× 価格 0.43(利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない)→ 売上 89 億円・営業利益 18 億円。会場利用者約1.92倍、受取単価約1.42倍。平日稼働率と規模の効果で利益率が高まる。
- その他事業(広告・メディア):数量 130(広告・メディア案件換算件数(年間、推定))× 価格 0.03(案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。広告の制作・運用工数は縮むが、既存取引の一部が残る。
倍率:k8.75%、10年後親会社ROE約18.0%、弱い堀の超過収益残存割合1/3からRONIC約11.85%。g_long1%を適用した正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)は約11.81倍。非支配持分控除後の親会社純利益から余剰現金2億円の税後利息約0.028億円を除き、このPERを掛け、余剰現金の75%を加える。現在の市場PERは使用しない。
確率:直営・提携会場の高稼働と試験種目の追加が10年続く必要がある。2026年のセンター増収はその端緒だが、英検協会への依存と外部持分が残るため高い確率にはしない。
やや楽観 18% CBT化の恩恵を受けて安定黒字へ 利益 3 億円 · PER 11.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 433 円44 億円
資格試験や大学入試のコンピューター化が続き、テストセンターの利用者は180万人となる。英検S-CBTの需要が下支えとなり、それ以外の試験も会場の空席を埋める。運営を共通化することで利益率が改善するが、競合CBT-Solutionsなどとの価格競争があり、会場利用料を一方的に引き上げられるわけではない。
ライセンス事業は既存の大学・企業顧客を維持しながら、利用数が緩やかに減る。AI事業はDEEP READなどの既存用途で収益を確保するが、汎用AIの普及によって新規契約の単価は伸びにくい。官公庁の調査受託も、案件によって受注者が変わり、人手作業の自動化で市場が縮む。2025年の一過性利益がなくても黒字を出せる組織へ変わる。
大規模買収は行わず、既存会場とシステムへの投資を優先する。訴訟関連の負担は整理され、親会社に帰属する利益が数億円規模に達する。過去の損失を完全に取り戻すほどの高収益企業にはならないが、資本コストを上回るROEが定着する。利益の一部を株主へ返せるようになるという、着実な再建の筋書きである。
- テスト等ライセンス事業:数量 22.5(年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量)× 価格 0.31(受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。受験換算数量は0.90倍、単価は約1.16倍。顧客基盤を維持する。
- AI事業:数量 160(年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量)× 価格 0.02(年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AI販売数量は現在の0.89倍、単価は約1.11倍。既存契約中心の採算。
- テスト運営・受託事業:数量 7.0(年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量)× 価格 2.02(大型案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。受託工数は現在の0.70倍、単価は約1.33倍。効率化の一部を利益に残す。
- テストセンター事業:数量 180(年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数))× 価格 0.41(利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない)→ 売上 74 億円・営業利益 13 億円。利用者約1.65倍、受取単価約1.37倍。追加試験と平日稼働で採算改善。
- その他事業(広告・メディア):数量 125(広告・メディア案件換算件数(年間、推定))× 価格 0.03(案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。広告案件はAI代替で減少し、単価はほぼ横ばい。
倍率:k8.75%、親会社ROE約13.9%、弱い堀の超過収益残存割合1/3からRONIC約10.48%。g_long1%の正当化PERは約11.67倍。余剰現金の利息を純利益から除いて倍率を掛け、残余現金2億円の75%を追加する。
確率:会場の利用者増加と費用効率化には2026年の実績がある。ただし利益帰属と公共受託の不安定さを踏まえ、成長のすべてを親会社利益に反映させない。
中立 30% 会場は伸びるが親会社の稼ぐ力は限定的 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 125 円13 億円
CBT化がゆっくり進み、年間テストセンター利用者は155万人になる。人口減少が受験需要を抑えるものの、紙の試験からの移行と平日の試験種目追加が利用人数を押し上げる。受験者当たりの会場収入はおおむね物価上昇に沿って増える。ただし新しい会場を開くための固定費も増え、全社売上の拡大ほどには利益が伸びない。
受託事業は、文部科学省や自治体の調査が続いても、入札の競争とAIエージェントによる作問・採点・集計の省力化で業務量が減る。CASECなどの有料利用も、大学・企業の予算制約と汎用AIの普及に押されて縮む。DEEP READやDEEP GRADEは残るが、2025年の過年度案件による収益を再び計上することはない。その他の広告案件も縮小する。
経営陣は新規の大型買収を控え、会場とシステムの維持に資本を使う。管理費は過去の改革によって抑えられるが、人件費の上昇で名目額は再び増える。営業利益は確保できても、非支配株主への配分後に残る親会社純利益は約1億円にとどまる。自己資本に対する利益率は資本コストを下回り、株主還元は再開できない。社会に必要な仕事を続けながら、株主が十分には報われない10年である。
- テスト等ライセンス事業:数量 20.0(年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量)× 価格 0.30(受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。受験換算数量0.80倍、単価約1.12倍。AIによる評価サービスの低価格化を反映。
- AI事業:数量 126(年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量)× 価格 0.02(年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI契約換算数量0.70倍、単価約1.11倍。過年度収益の反動を含む。
- テスト運営・受託事業:数量 6.0(年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量)× 価格 1.96(大型案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。人月・工数型の実質数量0.60倍、名目単価約1.29倍。公共入札の競争を織り込む。
- テストセンター事業:数量 155(年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数))× 価格 0.40(利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない)→ 売上 62 億円・営業利益 10 億円。年間155万人、単価約1.33倍。会場増設と平日稼働改善が進むが利益は外部株主とも分配。
- その他事業(広告・メディア):数量 105(広告・メディア案件換算件数(年間、推定))× 価格 0.03(案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。制作・運用案件の数量0.75倍、実現単価はほぼ横ばい。
倍率:10年後の親会社ROEは約5.8%とk8.75%を下回る。低ROE企業は再投資による価値の創出を認めず、正当化PERの上限を1/k=11.43倍とする。税金とテストセンターの非支配株主持分を控除後の純利益1.0136億円から余剰現金利息0.028億円を外し、PERを掛け、余剰現金2億円の75%を加算する。市場の過去PERを根拠には使わない。
確率:2025年の年間109.3万人と2026年のセンター増収は需要の根拠となる。一方、受託業務の落ち込み、49%の外部持分、AI製品の継続的な販売力の不確実性を織り込む。
やや悲観 26% 受託縮小が会場の成長を上回る 利益 −2 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 92 円9 億円
テストセンターの利用者は135万人まで増えるが、英検協会向けの契約条件が厳しくなり、受験者当たりの受取額は物価ほど上がらない。既存会場の家賃や人員配置はすぐには減らせず、繁忙日と閑散日の差も残る。CBT-Solutionsなどの競合が提携会場を増やし、追加試験を獲得する速度は鈍る。
官公庁の調査案件は内田洋行や他の受託事業者との競争が続き、EduLabの取り分はさらに縮小する。作問や採点の一部は発注者が汎用AIで内製化し、受託業務の数量は大幅に減る。英語試験ライセンスも利用者数の減少を料金改定で補えない。DEEP READなどのAI事業は既存案件を維持しても、新しい汎用モデルとの競争で赤字になる。
間接費の削減を進めても、会場網の維持、内部統制、顧客対応の最低限の人員は残る。営業利益と親会社純利益は再び赤字へ転じる。過去の黒字期のような配当再開は難しく、株主は事業再編による追加費用を負担する。買収や増資はこの筋書きの解決策ではなく、赤字事業をさらに整理しながら既存の試験会場を守る段階に戻る。
- テスト等ライセンス事業:数量 17.5(年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量)× 価格 0.29(受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。受験換算数量0.70倍、単価約1.07倍。試験ライセンスの競争力が低下。
- AI事業:数量 110(年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量)× 価格 0.02(年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約換算数量0.61倍。開発維持費を売上で賄えない。
- テスト運営・受託事業:数量 5.5(年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量)× 価格 1.85(大型案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。大型案件換算数量0.55倍。入札失注とAIによる作業量削減。
- テストセンター事業:数量 135(年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数))× 価格 0.37(利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない)→ 売上 50 億円・営業利益 5 億円。利用者数は増えるが値上げ力と会場稼働率が弱まり、利益率が低下。
- その他事業(広告・メディア):数量 90.0(広告・メディア案件換算件数(年間、推定))× 価格 0.03(案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI代替による広告案件縮小と単価下落。
倍率:営業利益と親会社帰属純利益が赤字で、継続利益にPERを掛ける評価は適切でない。今の親会社自己資本約13.5億円を基準とし、公共受託の縮小、AI関連資産の減価、訴訟・会場整理の費用を考えて30%の回収不能を見込み、0.70倍による正味回収価値9.45億円とする。10年後の自己資本12億円に床の倍率を掛けたり、利益留保による将来の自己資本増加を資産価値に足したりしていない。中立の実効PBR約0.73倍より低く、さらに厳しい悲観の回収価値8億円より高い。
確率:2026年9月期第3四半期に受託事業の減収とAI事業の赤字が表れた。顧客集中や官公庁入札の影響が続く一方、センター事業が事業存続を支えるという現実的な下振れである。
悲観 14% 試験運営の地位が崩れ、資産回収が価値の中心へ 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 78 円8 億円
大口試験団体が会場運営の発注先を分散し、EduLabの受験者数は2025年の水準を下回る。センター事業の固定費は十分に削れず、試験会場の撤退と統合が進む。紙の試験からCBTへの移行は業界全体では続くが、その成長を競合のCBT-Solutionsなどが取り込む。試験運営の信用という強みも、価格競争と契約変更により利益へ結びつかなくなる。
公共大型案件では競争入札に勝てず、AIによる作問・採点・分析の内製化が進む。CASECなどの利用も減り、DEEP READやDEEP GRADEは汎用技術への価格面の優位を失う。広告事業は赤字となり、一部サービスを終了する。売上は10年後に現在を下回り、開発費と最低限の管理部門費用を賄えない。
経営陣は不採算拠点を閉鎖し、追加損失を抑えるために事業規模を縮める。かつて投じたソフトウェアや海外投資の簿価は、売却時にほとんど回収できない可能性がある。残る価値は、手元現金、回収可能な売掛債権、処分できる会場設備などが中心になる。株主還元は行われず、普通株主には資金調達や事業整理に伴う損失負担が残る。会社は存続しても、優良な教育測定会社としての地位を失う筋書きである。
- テスト等ライセンス事業:数量 13.0(年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量)× 価格 0.27(受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。受験換算数量0.52倍。低価格競争で名目単価も現在以下。
- AI事業:数量 90.0(年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量)× 価格 0.02(年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約換算数量0.50倍、単価下落。技術優位が薄れ開発負担が残る。
- テスト運営・受託事業:数量 5.0(年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量)× 価格 1.65(大型案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。工数・大型案件の換算数量が半減。失注とAI内製化が重なる。
- テストセンター事業:数量 105(年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数))× 価格 0.36(利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない)→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。利用者数は現在を下回り、拠点閉鎖費用と低稼働が採算を圧迫。
- その他事業(広告・メディア):数量 75.0(広告・メディア案件換算件数(年間、推定))× 価格 0.03(案件換算1件当たりの平均売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用需要が縮小し、一部サービスを整理。
倍率:継続損失によって利益にPERを掛ける意味が失われるため、2025年9月期の親会社自己資本約13.5億円に対して回収価値約8億円を採る。約4割の減価は、ソフトウェア、投資その他の資産、事業整理費用および非支配持分への帰属を考慮したもの。10年後の積み上がり自己資本9億円に直接PBRを掛けてはいない。
確率:主要試験団体との契約条件悪化、公共調査の失注、AI事業の競争敗北が重なる厳しいケース。センターの実地運営需要はなお残るため、即時倒産を既定とはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
テスト等ライセンス事業
CASEC、英検Jr.、スピーキング試験などのテスト・学習サービスを受験者や教育機関に提供する。能力測定の技術と受験データの蓄積に価値がある。
| 数量年間有料受験・利用の換算件数(万人)。CASECと関連試験を同じ収入単位に換算した推定数量 | 価格受験・利用1万人当たりの実現売上(億円)。団体割引やライセンス収入を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 25.0 | 0.27 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.30 | 6 | 1 |
取り方:2025年9月期有報のセグメント売上668,033千円、利益175,076千円を基準にする。会社説明資料で確認できるCASECの年間受験者は2024年度相当で16.6万人。これに英検Jr.、スピーキング試験、団体ライセンスを合わせ、25万人相当の有料利用と推定した。したがって実現単価は約2,672円相当で、CASEC個人向け料金3,667円や児童向け試験の価格帯より低い。これは団体割引と異なるサービスの混合を表す推定値であり、実際に25万人が受験したという開示ではない。市場シェアは同一定義の語学能力テスト受験者総数が公表されておらず算定不能。AI代替区分は能力測定ライセンス・オンライン操作型であり、記録の正本に必要な複数の証拠は未確認。中立の実質数量を0.80倍、単価を1.12倍に抑え、汎用AIによる能力診断との価格競争を反映する。根拠は2025年11月13日決算説明資料6~7頁と2025年9月期有報。
AI事業
DEEP READによる文字認識、DEEP GRADEによる採点、UGUIS.AIによる英作文支援を提供する。自社の採点技術を持つが、汎用AIとの機能競争にさらされる。
| 数量年間契約換算件数。大口処理案件とライセンス契約を年契約1件相当に換算した推定数量 | 価格年間契約換算1件当たり売上(億円)。過年度案件の収益認識を含む2025年実現値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 180 | 0.02 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 126 | 0.02 | 3 | 0 |
取り方:2025年9月期のAI事業売上374,432千円、利益184,334千円。会社は契約件数と処理枚数を公表していないため、DEEP READなどの年間契約・処理案件を約180件相当、平均約208万円と仮定した換算値である。価格表や顧客請求単価を示すものではない。重要なのは、この売上に前期以前から継続した案件について当期認識した149百万円が含まれること。UGUIS.AIの収益貢献は会社自身が軽微と説明しており、2025年の利益率約49%を恒常的なものとしない。AI代替区分は業務ソフト・画面操作・OCRの型で、中立数量は0.70倍、価格は1.11倍とする。2026年9月期第3四半期の同事業は減収・赤字であり、汎用AIの高度化と顧客内製化を重く見る。2025年決算説明資料32頁と2026年第3四半期短信を根拠とする。
テスト運営・受託事業
官公庁・学校・試験団体から作問、採点、調査運営、分析、システム構築を受託する。公共大型案件の採否と委託形態が売上を左右する。
| 数量年間大型案件換算件数。約1.5億円規模の調査・受託案件を1件とする換算数量 | 価格大型案件換算1件当たりの平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 10.0 | 1.52 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 1.96 | 12 | 2 |
取り方:有報の2025年9月期セグメント売上1,519,179千円、利益376,761千円を使用。会社は案件ごとの全売上と受託件数を開示していない。文部科学省等の公的調達には十数億円の大型案件が存在する一方、国際調査や部分受託にはより小さな案件がある。2026年9月受注のTIMSS関連業務も参照し、年1.5億円程度の大型案件10件分という収入換算単位を作った。実際に同額の10件を受注したとの意味ではない。全国学力調査は2025年度にZ会からの再委託、2026年度の小学校関連受託者は内田洋行となるなど、シェアが入札で変わる。AI代替区分は人月・工数型の受託、BPO、調査分析であり、中立数量を0.60倍、価格を1.29倍とする。価格は物価上昇を上限に考え、成果報酬型への移行を実証できていない部分には成長を認めない。
テストセンター事業
英検S-CBTなどに、監督者を配置した試験会場と受験運営サービスを提供する。AIでは置き換えにくい本人確認と試験の公正性が中心価値である。
| 数量年間テストセンター利用者数(万人・延べ人数) | 価格利用者1万人当たりの受取売上(億円)。試験の受験料そのものではない | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 109 | 0.30 | 33 | 4 |
| 10 年後 中立 | 155 | 0.40 | 62 | 10 |
取り方:2025年11月会社決算説明資料10頁に利用者109.3万人と明示され、有報のセンター売上は3,282,893千円、利益395,631千円。割り戻した受取単価は受験1回当たり約3,004円であり、英検受験料全額ではなく会場・運営等の売上に相当する。直営40拠点、委託80拠点以上、臨時230箇所以上を活用する。競合CBT-Solutionsも全国に多数の提携会場を持つため、直営会場数の首位表示をCBT市場全体のシェアと読み替えない。業界の受験者総数が同じ基準で公表されていないため全国シェアは不明。AI代替区分は物理的な現場運営であり、人月・席課金の数量縮小制約を機械的に当てない。ただし受付事務の自動化と試験団体の価格交渉力を想定し、中立では利用者155万人、名目受取単価約1.33倍とする。EdTech RISEの外部持分49%に対応する利益流出は全社純利益で調整する。
その他事業(広告・メディア)
撤退した教育プラットフォーム事業に由来する広告・メディア関連サービスなどを提供する。媒体流入と制作・運用の競争が収益を左右する。
| 数量広告・メディア案件換算件数(年間、推定) | 価格案件換算1件当たりの平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 140 | 0.03 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.03 | 3 | 0 |
取り方:2025年9月期有報のその他事業売上385,135千円、利益31,578千円。事業内訳、広告掲載数、案件単価は非開示のため、年間140件相当、1件約275万円という換算数量・単価を設定した。実際の契約件数や広告単価ではない。広告制作・運用にはAIエージェント代替を適用し、中立数量0.75倍、名目単価ほぼ横ばいとする。自社媒体の来訪数と広告単価に十分な開示がなく、独自プラットフォームの堀や値上げ力は認めない。教育プラットフォームからの撤退という実績も踏まえ、楽観でも換算数量を現在以下とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
作問、採点、統計分析、システム構築、BPO向け文字認識、広告制作・運用では、顧客が従来の人手作業をAIエージェントで代替できるようになる。EduLab自身もAI技術を持つが、顧客の作業費用を減らした成果のすべてを売上として回収できるわけではない。中立では受託の実質工数を10年間で0.60倍、AI契約換算数量を0.70倍とし、10年より先の名目成長にも制約をかける。
英検協会への顧客集中
2025年9月期の日本英語検定協会向け売上は全社の34.0%を占めた。英検S-CBTの試験会場と関連する試験サービスで関係が深く、他の試験団体へ短期間に代替することは難しい。試験方式の変更、契約条件の見直し、他社との会場共同利用が起きると、テストセンターの数量と受験者当たりの収入に同時に影響する。大口顧客の存在を値上げ力と取り違えてはならない。
公共調査の失注と価格競争
全国学力・学習状況調査などの大型業務は、毎期の継続売上ではなく競争入札で受注者が変わる。2025年9月期には直接受注から間接受注への変更で受託事業が減収となり、2026年度の小学校関連業務は内田洋行が受注した。過去の実績や採点精度が優れていても、入札の価格条件が厳しくなれば売上と利益率が落ちる。固定費を削りきれない場合には全社利益が急変する。
非支配株主持分による利益の流出
テストセンター事業に関係するEdTech RISEはEduLabの持分が51%で、残りの49%を外部株主が持つ。連結のテストセンター売上とセグメント利益が増えても、子会社利益の一部は親会社株主に帰属しない。センターのセグメント利益を全額普通株式の価値に掛けると過大評価となる。今後は非支配株主利益の実額と、共同事業の利益配分条件を継続して確かめる必要がある。
会計問題の後遺症と現金流出
2021年に表面化した会計問題の後、複数年にわたり赤字、減損、事業整理が続いた。2025年9月期には営業黒字へ戻ったが、特別損失と非支配持分の影響で親会社帰属利益は小さく、投資支出後の自由現金収支も弱かった。2026年9月期第3四半期の貸借対照表にも訴訟関連費用引当金が残る。帳簿の純現金をそのまま株主還元できる資金と見るべきではない。
試験会場の固定費と競合拡大
会場の家賃、試験監督者の配置、PCやネットワークの更新には、受験者が少ない日も費用がかかる。平日稼働の改善は利益を押し上げるが、実現しなければ物価上昇が固定費を増やす。CBT-Solutionsなどが提携会場を増やす中、EduLabが直営40拠点を持つことだけでは価格決定力を保証しない。日本基準のリース会計変更後も、家賃という実質的な支払約束は残る。
今後の分かれ目
- テストセンター利用者数が数年連続で増え、英検S-CBT以外の試験も増加したら
- 中立のセンター利用者155万人という見通しを上方修正する。新規試験による平日稼働率の改善と、センターの利益率を合わせて確認し、楽観側の確率を引き上げる。
- センター事業が増益なのに、親会社帰属純利益と営業キャッシュフローが増えなかったら
- 非支配株主持分、設備投資、固定費への利益流出が大きいと判断する。会場数や連結売上だけで成長を評価せず、普通株主に帰属する中立の利益を下方修正する。
- 日本英語検定協会向け売上比率が急低下し、他の試験団体の受注で補えなかったら
- 会場利用者数と受取単価の両方を見直し、やや悲観・悲観側の確率を増やす。減収が契約条件によるものか、試験方式の変更によるものかを分けて調べる。
- DEEP READやUGUIS.AIの継続課金売上が開示され、更新率と値上げ実績が確認できたら
- 2025年の過年度案件の収益認識を除いた継続的な売上だけを比較する。複数年の高い更新率と独自データの蓄積が確認できれば、該当サービスに限りAI代替区分と長期成長率を再評価する。
- 全国学力調査以外の公的・民間受託が増え、単一大型案件への依存が下がったら
- 受託事業の数量の下振れを小さく見直す。ただしAIによる工数減少を帳消しにはせず、継続契約と一件当たりの利益額が改善したかで判断する。
- 年間の親会社帰属純利益が安定し、自由現金収支の黒字と増配または自社株買いが始まったら
- 再建が会計上の利益だけでなく現金の創出につながったと評価する。資本コストを上回る増分ROEが確認できれば中立の利益と倍率を見直し、余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ変更する余地が生じる。
見ておくもの
- 四半期ごとのテストセンター利用者数、稼働率、試験種目別売上
- 日本英語検定協会向け売上の比率と契約内容の変更
- EdTech RISEの非支配株主利益と親会社帰属純利益との差
- 官公庁の全国学力調査、PISA、TIMSS等の受注者と契約金額
- AI事業の過年度案件を除いた継続売上、契約更新率、UGUIS.AIの有料契約実績
- セグメント利益の合計と全社共通費用との差
- 親会社帰属利益、営業キャッシュフロー、ソフトウェア開発支出
- 訴訟関連費用引当金、借入金、現預金、子会社への資金支援
- 増配・自社株買いの実行と中期経営計画の数値目標の更新
倍率と資本コストの決め方
数量はCASEC等の有料受験換算件数、AIの契約換算件数、受託の大型案件換算件数、センターの実利用者数、広告案件換算件数に分けた。会社未開示の数量は推定と明記し、受験料全額を会場売上として計上しない。AI代替は受託・ライセンス・AIソフト・広告の数量と価格、および10年以降のg_longに反映し、寿命の資本コストに重ねていない。資本コスト8.75%は事業の変動性と財務から決めた。楽観から中立のPERはROE、RONIC、g_longによる上限そのものとし、赤字の悲観側は現在の資産の正味回収価値を使う。2027年以降の新リース会計による帳簿表示の変化で家賃負担が消えるとは考えない。現在の株価や同業のPERから倍率を逆算していない。
資本コスト 12.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基本7.5%に、事業の変動性と値決め力、純現金による財務余力を反映したquality+0.75%、再建継続中のextra+0.5%を加えた8.75%。株価のβや企業規模による上乗せは使わない。