結論
ファインデックスは、病院の画像・文書・診療情報を扱う医療ソフトを主力とする会社だ。長く持つ株主の見方では、基幹システムの粘り強さを評価しても、現状の時価総額は本質価値に対して割高と考える。事業の中心にあるClaioは大学病院などの複数診療科に深く入り込み、病院が長く保存する診療情報の受け皿になっている。会社が示す医療システムの解約率は創業以来2%以下であり、単なる操作画面だけを売る会社ではない。
しかし、この守りの強さを全社の成長力と取り違えてはいけない。2025年の売上の大半は医療関連で、公共の文書管理ソフトや眼科向け検査機器はまだ小さい。2026年上期は公共事業が大型案件の反動で減収となり、視野計の販売台数も1台にとどまった。2030年の成長計画は医療データの二次利用を大きな柱に据えるが、現段階の売上はコンサルティングと受託開発が中心で、独占的なデータ利用料が積み上がった実績とは違う。
金庫の中身にも注目する。2025年末の現金同等物約16億円とは別に、時価約21億円の債券を保有する。これは下値を支えるが、医療機関との関係を生み出す事業資本と同じ収益性を持つわけではない。基幹データの強みと、AIに置き換わりやすい画面・受託作業を分けて十年先を見れば、今の価格には十分な安全域がない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず十年後も病院がこの会社にお金を払う理由を考える。答えは画像や文書を保存する診療の記録であり、画面の見た目や一時的な流行ではない。誤った患者に情報が結び付けば診療に支障をきたす。導入病院が多く、解約が少なく、さまざまな診療科の記録が同じ土台に蓄積されることは、数字に表れた競争優位だ。
次の問いは、稼いだ利益をどこへ使っているかである。病院システムは高い営業利益を生み、2025年の営業キャッシュフローは約16.5億円だった。一方、医療機器とデータ事業は人材や研究開発への支出が先行する。利益を生む古い基盤が、新しい試みの損失を長く補う構図になっていないか見極めたい。資金を債券へ避難させる判断は財務の安全を守るが、資本コストを超える再投資先の証明にはならない。
近年の自社株買いと増配は株主への姿勢を変えた。だが、配当と買戻しで受け取る額が大きくても、継続事業の価値を超える値段を払えば安全域は生まれない。医療データの認定は前進であるが、医療機関が同社へ独占的な利用権を与えたことを意味しない。新規事業の高収益化を確信できる契約実績がない段階では、既存の記録基盤を丁寧に評価し、それ以外には控えめな価値しか認めない。十年先まで持てる事業だが、どんな値段でも持てる株ではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は病院に入る医療情報システムだ。Claioは画像や検査記録を電子カルテの周辺で一元管理し、C-Scanは紙と電子文書をつなぐ。REMORAは電子カルテ、DocuMakerは文書作成を担う。病院は導入時の構築費を払い、以後も保守や更新、関連製品の追加導入が続くため、単発の納品だけでは終わらない。2025年の医療事業売上は約57億円で、医療セグメントの営業利益率は3割を超えた。
医療の中身は性質が異なる。過去の診療データと接続関係を守る保存基盤は、乗り換え時に検査・診療情報の整合性を保証する必要がある。一方、文書の入力、画面操作、電子カルテ周辺の補助作業、導入時の受託開発は、AIエージェントや自動生成技術の影響を受けやすい。子会社フィッティングクラウドはCocktailAIを販売し、診療文書の生成や算定支援を進めているが、売上金額を伴う開示が不足しており、全社の置換リスクが消えたとは判断できない。
公共事業ではDocuMaker Officeを自治体と医療機関の事務部門に提供する。2025年末には約4万8千人が利用し、サービス開始後の解約は0件だった。公文書の保存と決裁の需要は続くが、職員の操作回数や契約ID数まで将来も保てるとは限らない。
ヘルステックは視線分析型視野計GAPと、新たな医療データ利活用基盤である。2025年の視野計販売は58台にとどまり、研究開発費が先行して事業は赤字だった。2025年9月に次世代医療基盤法の認定を受けたことは参入の扉を開く。しかし、認定されたのは医療情報を扱う受託事業者であり、病院データの所有権や独占販売権が移ったわけではない。
優良さと弱いところ
医療情報を長く保存する機能に、この会社の最も堅い参入障壁がある。2026年10月の開示では医療システムの導入ユーザーは2,292施設、Claioの製品導入は1,770件で、国公立大学病院での利用率は80%に達する。画像、紙の記録、電子カルテの周辺情報を横断して扱うため、利用者は単純な価格比較だけで入れ替えられない。解約率2%以下という長期実績と複数部門での共通利用が、データ保存基盤の堀を裏付ける。
それでも価格決定力は無制限ではない。病院の情報投資は入札、診療報酬改定、老朽化した院内機器の更新周期に影響される。既存顧客からの更新需要は安定するが、更新年には大型売上が集中しやすい。医療データの原本は医療機関のものであり、ファインデックスが自由に再販売できるわけではない。将来の新規利用事業にまで既存ソフトの堀を移し替えるのは早計だ。
資本効率は優れている。過去十年のROE中央値は18%で、2025年も2割を超えた。売上が二倍程度になった期間に営業利益はそれ以上に伸び、既存の病院システムへの開発投資が利益に結びついた。ただし、これから投じる資本の利回りを同じ高さとみなすことはできない。GAPと医療データ事業は先行投資中で、投資先株式の評価損も発生した。強い基幹事業と未証明の新規事業を混同しないことが、長期保有の要諦である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の医療情報システムは高齢化と診療記録の電子化に支えられる一方、病院の統廃合と財政難に制約される。会社資料が示す関連市場約5,500億円は電子カルテなども含む広い市場であり、同社の医療売上を単純に割って精密なシェアを求められない。具体的に意味があるのは国公立大学病院での80%という採用実績だ。富士フイルム、富士通Japan、NEC、ソフトウェア・サービスなどが診療情報基盤の周辺で競争するが、製品ごとの同一範囲の売上とシェアは公開されていない。
公共の文書決裁市場は、会社推計で対象市場約740億円、そのうち実際に営業可能とみる市場が約400億円だ。国内約1,700自治体のうち、2026年上期の導入先は66自治体で、自治体数ベースの到達率は4%弱となる。ただし、ここでも富士通・NEC・NTTデータなどの案件に含まれる機能の範囲が違い、売上シェアは確定できない。行政文書の保存義務は消えないが、AIが起案、決裁補助、検索を代行すれば人の利用席は減りうる。
眼科の視野計にはCarl Zeiss MeditecのHumphrey系やHaag-StreitのOctopusなど成熟した競合がいる。会社説明の世界視野計市場約500億円、国内約21億円は市場定義の確認を要する推計値だ。日本眼科医療機器協会の2025年眼科機器販売940億円はさらに広い母集団であり、同社の58台を市場占有率へ機械的に直せない。
医療データの二次利用市場は創薬や研究で拡大余地がある。もっとも、内閣府の認定一覧にはNTTデータとライフデータイニシアティブ、ICIと日鉄ソリューションズなど別の枠組みも並ぶ。JMDCやメディカル・データ・ビジョンも独自データで競う。診療データの標準化が進めば市場は広がるが、データの非独占性と権利処理の負担も同時に増える。
資本政策と M&A
経営陣は2026〜2030年の成長戦略で、2030年の売上高85.2億円、営業利益32.2億円、ROE20%超を目標に掲げた。収益全体に占める継続課金の割合も2025年の33.3%から40%以上へ引き上げる。配当性向は従来の30%目標から50%へ高め、自己資本配当率DOEに8.5%の下限を設けた。自社株買いについて将来の一定額を必ず実施する数字の約束はない。
過去の判断では、病院ソフトの自社開発やフィッティングクラウドへの出資が事業領域を広げた。他方、2025年には自己株式取得に約10億円を投じ、配当金の現金支払いは約4億円だった。還元を強めた点は評価できるが、保有する債券約20.6億円や非上場株式約1.6億円にも株主の資本が投じられている。2025年と2026年上期の投資有価証券評価損は、投資を収益に変える難しさを示した。
会社は買収を成長の必須条件としないと明言し、既存と新規の研究開発を優先する。これは無理な大型買収を避ける規律として好ましい。だが、データ事業の赤字が続く場合には、2030年の営業利益目標より資本回収率を優先してほしい。配当方針と資本効率の約束が実際の現金還元につながるかが、長期株主の次の審査となる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
医療システムの顧客基盤は、数字で見ても簡単には失われない。国公立大学病院の多くが利用し、医療システムの解約率は創業以来2%以下にとどまる。診療画像や各診療科の検査情報は病院の運営に深く結びついており、現場が単純な生成AIツールへ全面移行するとは考えにくい。むしろ記録の原本を安定して保存し、AIが使える状態へ整える需要は残る。病院の更新周期が一巡すれば、基幹商品の保守と追加導入の収益は着実に積み上がる。
同社は単なる病院ソフト企業でもない。次世代医療基盤法の認定を受け、日立製作所などと組みながら、研究者が安全な環境で医療データを分析できる基盤を整えている。医療機関から研究機関へデータを運ぶ仕事には、権利処理、安全性、医学的な意味の整合が欠かせない。許認可と病院内の接続実績を両方持つ企業は限られる。2026年の受託開発が継続的な利用契約へ転換すれば、顧客数が少なくても収益性は大きく高まる。
視線分析型視野計GAPには、従来の視野計より簡便な測定という製品上の差がある。2025年の販売台数を海外代理店網を通じて継続的に増やせれば、研究開発費を回収する余地が生まれる。2030年の配当性向50%とDOE下限8.5%が実行されれば、利益の伸びを既存株主が実際に受け取れる。資本配分の改善と医療データ事業の黒字化が重なる時、事業価値は大きく上振れする。
慎重な見方
現在の優良さは既存の病院システムが作っている。医療情報の長期保存は必要でも、医師や事務職員が開く画面の数、入力作業、文書作成、個別の受託開発が十年後も同じだけ買われるとは限らない。AIエージェントが複数の画面を飛び越えて業務を実行するようになれば、導入IDと保守契約の単価が下がる。病院そのものも人件費と診療報酬の圧迫を受けており、システム更新の入札で値上げを通せる保証はない。
新しい医療データプラットフォームへの期待には大きな飛躍がある。取得した認定はデータの受託処理を認めるもので、患者情報の所有権や独占的な利用料の保証ではない。2026年上期の新事業売上はコンサルティングと受託開発が中心だった。先行するJMDCやメディカル・データ・ビジョン、同じ制度の別の認定グループに対して、製薬企業が何をいくら払うかはまだ不明だ。人を増やして案件を取るだけなら、成長とともに利益率が上がるとは限らない。
2025年には58台売れた視野計が2026年上期には1台となった。代理店数が増えた事実を販売台数の成長と混同してはならない。さらに、非上場株式などへの投資で評価損が続き、資本配分の質にも疑問が残る。医療システムが価格競争に巻き込まれ、新規事業が赤字を垂れ流し、配当の下限も維持できなくなれば、財務の厚さだけでは株主価値の減少を止められない。
どちらに重みを置いたか
既存の診療記録基盤には強い証拠があり、会社全体を単純な業務SaaSと同じように縮小させる見方は取らない。ただし、公共のID課金と医療周辺の画面・受託作業にはAIエージェント代替を織り込んだ。さらに、医療データの独占的収益化が未確認で、GAPの販売も鈍い。下方の二筋書きに40%、上方に25%を配し、残りは医療基盤が持ちこたえる中立に振り向けた。この下方傾斜は、AIの縮小を確率でもう一度課したのではなく、新規事業の実行と資本配分に固有の不確かさによる。確率加重の現在価値は約124億円で、基準時価総額約214億円を約42%下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 801 円197 億円(+ 還元の換算額還元の合計 239 円59 億円)。 今の値に割り戻すと 555 円136 億円、今との差 −34.2%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,752 円430 億円 | 403 円99 億円 | +155.4% | +11.2% | 172 円42 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,299 円319 億円 | 326 円80 億円 | +92.6% | +7.7% | 276 円68 億円 |
| 中立 | 35% | 973 円239 億円 | 273 円67 億円 | +47.6% | +4.5% | 436 円107 億円 |
| やや悲観 | 26% | 321 円79 億円 | 163 円40 億円 | −42.7% | −6.4% | 126 円31 億円 |
| 悲観 | 14% | 115 円28 億円 | 98 円24 億円 | −74.8% | −15.5% | 30 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 801 円197 億円 | 239 円59 億円 | +23.2% | +2.4% | 1,040 円255 億円 |
今の株価時価総額 844 円207 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 病院基盤を守り、医療データの利用契約が大きく育つ 利益 27 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,752 円430 億円
診療情報の共通基盤は主要病院で残り、更新の波とクラウド接続が保守収益を支える。医療記録部分は既存導入先の維持と新規開拓が進み、画面型ソフトはAIエージェントの影響を受けても利用製品件数を保つ。フィッティングクラウドの自動化機能は個別の請負人月を増やすためではなく、病院の記録と分析環境をつなぐ補助機能として働く。
次世代医療基盤法に基づく日立などとの体制が研究機関・製薬会社との有償データ利用契約に育ち、年40案件が成立する。GAPは海外代理店からの出荷が安定し、規制対応を終えた新型検査技術とともに年間250台へ伸びる。医療データの標準化によって競争者も増えるが、データの品質保証と病院側の連携実績を持つ同社が採用を確保する。
大型買収に頼らず開発費を回収し、継続課金で利益率が高まる。経営が公約した還元方針も実際の増配と機動的な買戻しに結びつく。これらがそろえば2035年の売上は100億円を超え、営業利益は40億円に近づく。
- 医療・診療データ記録基盤:数量 1,950(Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理))× 価格 0.02(施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む))→ 売上 48 億円・営業利益 18 億円。記録原本型。既存病院の維持と新規開拓で1950件、名目単価1.34倍。
- 医療・操作型アプリ:数量 1,784(REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり))× 価格 0.01(製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み))→ 売上 24 億円・営業利益 8 億円。画面型はAI代替を受けても件数を維持し、単価1.15倍。
- 医療・受託開発と導入支援:数量 40.0(年間受託稼働量(人年換算、推定))× 価格 0.11(人年当たり契約売上(億円、推定))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。受託工数は現状の40人年を上限に、名目単価だけ上昇。
- 公共・文書決裁SaaS:数量 48,000(公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末))× 価格 0.00(利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。解約ゼロを維持しても利用IDは48,000から増やさず、単価1.15倍。
- ヘルステック・視野検査機器:数量 250(年間GAP製品販売台数(台))× 価格 0.01(販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。眼科販売網の稼働が進み年間250台、固定研究開発費回収後の利益率20%。
- ヘルステック・医療データ二次利用:数量 40.0(年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想))× 価格 0.60(契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む))→ 売上 24 億円・営業利益 10 億円。研究利用の有償契約40件。コンサル工数でなく継続利用の新収入へ転換する例外的成功。
倍率:資本コスト7.5%、独立債券20.6億円を除く事業利益約26.58億円と事業自己資本131.4億円から事業ROE約20.2%。全社の堀は普通として追加投資の超過利回りは半分残るとみてRONIC約13.85%。十年先名目成長率g1%、PER=(1-g/RONIC)/(k-g)で14.275倍。債券は税後受取利息相当0.288億円を利益から控除し、戻り方0.75で15.45億円を別途加える。
確率:病院システムが維持されることに加え、受託処理が継続的な利用料へ転換し、GAPも海外で定着するという複数の成功が必要なため8%。
やや楽観 17% データサービスが黒字化し、病院更新も続く 利益 19 億円 · PER 14.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,299 円319 億円
大学病院などの保存基盤は強い顧客関係を保ち、診療科の追加導入と病院の更新が続く。電子カルテや文書作成ではエージェントが一部の画面を置き換えるが、2025年の製品導入件数からの減少は限定的だ。大型病院での標準データ連携が進み、競合の富士通JapanやNECが電子カルテ本体を入れ替える局面でもClaioが併存する。
医療データ事業は研究契約年20件を獲得し、受託処理から利用環境の運用収益へ徐々に移行する。許認可が参入障壁として働く一方で、JMDCや他の認定グループと競争するため、データを自由に独占販売できるとは考えない。GAPは海外で150台を販売し、先行投資を回収し始める。
大きな買収をしない経営方針が守られ、会社は利益の半分程度を還元する。病院から生まれる収益を新規事業の赤字に吸い取られる時期が終わるため、2035年の営業利益は20億円台後半へ伸びる。
- 医療・診療データ記録基盤:数量 1,850(Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理))× 価格 0.02(施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む))→ 売上 44 億円・営業利益 15 億円。記録基盤1850件。名目価格は物価にやや届かない1.29倍。
- 医療・操作型アプリ:数量 1,650(REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり))× 価格 0.01(製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み))→ 売上 22 億円・営業利益 6 億円。画面アプリ件数1650、単価1.12倍。AIが需要を抑える。
- 医療・受託開発と導入支援:数量 34.0(年間受託稼働量(人年換算、推定))× 価格 0.11(人年当たり契約売上(億円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。受託工数34人年に縮小、単価1.28倍。
- 公共・文書決裁SaaS:数量 45,120(公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末))× 価格 0.00(利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。行政職員の利用ID45,120、単価1.13倍。
- ヘルステック・視野検査機器:数量 150(年間GAP製品販売台数(台))× 価格 0.01(販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。年間販売150台、研究投資の回収が進む。
- ヘルステック・医療データ二次利用:数量 20.0(年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想))× 価格 0.60(契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む))→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円。年20件の契約。認定事業者として安定した有償データ利用契約を一部獲得。
倍率:債券除外後の事業利益19.132億円、事業自己資本112.4億円、事業ROE17.0%。k7.5%、通常の堀のRONIC12.25%、g1%の正当化PER14.130倍を使用する。帳簿債券20.6億円から利益内の受取利息相当0.288億円を除外し、15.45億円を別途足す。
確率:基幹システムの保全可能性は高いが、研究利用契約の定着と機器販売回復が必要であり、上振れ側の中心を17%とした。
中立 35% 病院の記録基盤は残るが、操作業務と受託開発が細る 利益 14 億円 · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 973 円239 億円
患者記録の保存と画像検査の連携は十年後も必要とされる。主要病院ではClaioの導入を保つが、病院統合と大口システム更新の入札で件数はやや減る。画像や診療文書の原本を保存する部分には価格の引上げ余地がある一方、REMORAやDocuMakerの人が操作する画面、受託開発の工数はAIエージェントの普及で縮む。公共のDocuMaker Officeも保存義務は続くが、利用者ID数と新規構築料には価格圧力が残る。
医療データは内閣府認定を土台に、有償の利用契約を年10件まで育てる。ただし研究者の需要を束ねる初期費用がかかり、独占的なデータ資産は認めない。GAPは国内外の販売網で年間80台へ回復するが、研究開発負担は残る。会社の2030年計画に含まれるヘルステックの急拡大は十分には実現しない。
経営は大規模M&Aを控え、過剰な設備を持たず、利益のおよそ半分を配当と買戻しで戻す。営業利益は足元より小幅に増えるが、全社の資本効率は留保した自己資本が増えるため過去の水準より低下する。
- 医療・診療データ記録基盤:数量 1,682(Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理))× 価格 0.02(施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む))→ 売上 39 億円・営業利益 14 億円。診療記録の保存型。数量1682/1770で0.95倍、単価1.26倍。既存診療記録の正本と共通利用基盤の価値は維持する。
- 医療・操作型アプリ:数量 1,427(REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり))× 価格 0.01(製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。AI代替に弱い操作画面型。数量1427/1784で0.80倍、単価1.09倍。
- 医療・受託開発と導入支援:数量 26.0(年間受託稼働量(人年換算、推定))× 価格 0.11(人年当たり契約売上(億円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。数量26/40で0.65倍、単価1.25倍。成果報酬化の未確認部分に高い成長を認めない。
- 公共・文書決裁SaaS:数量 38,400(公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末))× 価格 0.00(利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。席・操作画面型。利用ID38,400/48,000で0.80倍、単価1.10倍。
- ヘルステック・視野検査機器:数量 80.0(年間GAP製品販売台数(台))× 価格 0.01(販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2026年上期1台からの回復を見込むが年間80台にとどまり、開発費を吸収できない。
- ヘルステック・医療データ二次利用:数量 10.0(年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想))× 価格 0.50(契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。年10契約。2026年の受託工数増の延長ではなく、新規の有償データ利用契約獲得を条件とする。
倍率:事業の純利益13.652億円(全社純利益13.94億円から債券利息相当0.288億円を除く)、事業自己資本100.4億円でROE13.6%。k7.5%、普通の堀で残る超過利回り半分、RONIC10.55%、10年後以降の名目g1%から正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=13.926倍。債券20.6億円は帳簿価額の75%で15.45億円を別に計上。
確率:医療基盤の高い継続率を評価する一方、新データ利用契約が2030年計画に届く証拠は弱く、価格と数量が異なる中立35%とする。
やや悲観 26% AI代替と病院予算の圧迫で付帯製品が縮小 利益 5 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 321 円79 億円
病院は診療データの原本を保存するためClaioを直ちに捨てないが、病院の統廃合と共通仕様の普及で更新時の競争が激しくなる。記録基盤の導入換算数量は2025年比で3割近く減る。文書作成と電子カルテ周辺の画面はエージェントが直接操作し、受託開発でも一人当たり生産性の上昇が工数単価へ跳ね返る。公共は契約団体が残っても実際に課金される職員席数が減る。
医療データ利用では病院側の提供手続きが進まず、研究利用契約は年2件だけに終わる。GAPは新型装置の規制対応と販売代理店の投資が空回りし、年間20台に沈む。新規事業の固定費を切れないため、営業利益率は大きく低下する。病院データの取り扱いに強い競合が現れた場合、無理な買収でシェアを取り戻そうとしないことが最低条件となる。
資本コストを下回るROEへ落ち、会社のDOE下限は業績悪化後には継続困難となる。株主還元は過去の積み上がりを利用しつつ縮小し、純現金と債券が厳しい局面を支える。
- 医療・診療データ記録基盤:数量 1,274(Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理))× 価格 0.02(施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む))→ 売上 27 億円・営業利益 7 億円。病院統合、相互接続標準化で件数1274、単価1.14倍。
- 医療・操作型アプリ:数量 981(REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり))× 価格 0.01(製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。IDと画面の代替が急進し、981件、単価1.02倍。
- 医療・受託開発と導入支援:数量 18.0(年間受託稼働量(人年換算、推定))× 価格 0.09(人年当たり契約売上(億円、推定))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。受託工数18人年、単価1.10倍。採算は損益均衡まで低下。
- 公共・文書決裁SaaS:数量 26,400(公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末))× 価格 0.00(利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。公共ID26,400、単価1.01倍、新規構築の採算は薄い。
- ヘルステック・視野検査機器:数量 20.0(年間GAP製品販売台数(台))× 価格 0.01(販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。装置20台。保守・試験・販売網の固定費が売上を上回り、営業損失1.2億円。
- ヘルステック・医療データ二次利用:数量 2.0(年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想))× 価格 0.45(契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。年2契約、売上0.9億円。専任分析・規制対応の固定費で赤字0.5億円。
倍率:全社純利益4.96億円、2035年末自己資本99億円でROE5.0%とk7.5%未満。したがってPERは稼ぐ力÷資本コストの上限13.3倍以下の10倍とし、低い資本収益率と新規事業の回収不確実性を反映させる。債券20.6億円は悪化期に簿価の0.75倍が残り、その株主への戻り方0.75を掛けて11.59億円を別計上。
確率:医療本体は残っても、周辺アプリの席数と公共の入札採算が崩れ、新規事業の赤字が続く余地が大きいため26%。
悲観 14% 記録システムまで競争に敗れ、新事業も回収不能 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 115 円28 億円
大病院のシステム更新で電子カルテ本体と画像保存が一体発注され、富士通系や医療IT大手の共通基盤へ顧客が移る。医療機関内のデータは新しい標準形式へ移行し、これまで大きかった乗り換えの手間が縮小する。診療情報の保存需要自体は残るものの、同社の既存導入件数は半分以下となり、営業利益率も過去の強さを失う。AIエージェントによる文書作成と導入作業の圧縮も付帯売上を消す。
医療データの制度認定は売上へつながらず、データ使用権と品質保証の面で競争者に出遅れる。GAPは年間数台まで販売が落ち、研究と製品保守の固定費は残る。非上場出資への追加資金も回収できず、資産の減損が起きる。小規模な買収による再建も成功せず、最終年度の営業損益は赤字になる。
配当下限は早期に見直され、配当と買戻しを止めて生存を優先する。時価総額は赤字事業に永続倍率を与えず、現金と売却可能な債券から必要運転資金と売却損失を控除した保守的な床で考える。
- 医療・診療データ記録基盤:数量 797(Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理))× 価格 0.02(施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。記録基盤も競合の共通規格に侵食され797件、単価1.07倍。
- 医療・操作型アプリ:数量 535(REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり))× 価格 0.01(製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。画面の約7割が代替され535件、名目単価据え置き。
- 医療・受託開発と導入支援:数量 10.0(年間受託稼働量(人年換算、推定))× 価格 0.09(人年当たり契約売上(億円、推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託工数10人年、値上げなし、赤字転落。
- 公共・文書決裁SaaS:数量 14,400(公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末))× 価格 0.00(利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。利用ID14,400、単価据え置き、構築原価は残る。
- ヘルステック・視野検査機器:数量 5.0(年間GAP製品販売台数(台))× 価格 0.01(販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分))→ 売上 0 億円・営業利益 −2 億円。年間5台。売上規模に対して固定費が大きく、1.5億円の営業赤字。
- ヘルステック・医療データ二次利用:数量 0.0(年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想))× 価格 0.50(契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。有償データ利用契約ゼロでも規制維持費等で1億円の営業赤字。
倍率:最終年の営業損失で純利益も0.5億円の赤字。PERの永久収益価値は付けず、2025年末の純現金・定期預金・時価付債券の換金可能額28.3億円を悲観の床とした。現在自己資本54.4億円に対するPBR0.5202倍を用い、十年間の利益蓄積による2035年の自己資本70億円には床倍率を掛けない。
確率:老舗の保存基盤が全面的に失われるには複数の競争上の失敗が必要なので14%。しかし一度崩れれば回復投資が大きく、無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
医療・診療データ記録基盤
大規模病院の診療画像・検査原本を蓄積するClaio、C-Scan等。患者記録を部門横断で保存する基盤を主として評価する。
| 数量Claio導入件数(製品導入施設件、2026年10月の近接実績で2025年を代理) | 価格施設当たり年換算売上(億円、更新一時金・保守・記録基盤関連製品を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,770 | 0.02 | 32 | 11 |
| 10 年後 中立 | 1,682 | 0.02 | 39 | 14 |
取り方:2025年医療売上56.914億円を、2026年第1四半期説明資料の製品構成比の近似でClaio系列51%とC-Scan6%に配分し32.442億円とした。2026年10月開示のClaio導入1,770件を2025年末の近接代理数量として用い、導入・保守・5〜7年ごとの更新を含む年換算単価は約183万円。製品別売上・営業利益は非開示なので利益11.2億円は分析上の配分である。医療システムの解約率2%以下と各診療科共通の診療記録保全を堀の証拠とし、AIエージェント代替区分は『記録の正本・規制対応』。中立の数量0.95倍、単価1.26倍。記録の所有権は病院にある。製品件数の出典は https://findex.co.jp/introduction/actualsales.html 、配分比率の出典は https://findex.co.jp/ir/data/pdf/briefing_20260514.pdf 。
医療・操作型アプリ
REMORA電子カルテ、DocuMaker文書作成、PiCls、関連機材等。利用者の画面操作を中心とする製品群。
| 数量REMORAとDocuMakerの合計導入製品件数(重複施設あり) | 価格製品導入1件当たり年換算売上(億円、関連機器・保守・一時納品込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,784 | 0.01 | 21 | 7 |
| 10 年後 中立 | 1,427 | 0.01 | 18 | 5 |
取り方:医療売上56.914億円の37%相当21.057億円を画面・電子カルテ・文書作成・機材付きアプリ群の推定収入とし、営業利益7.2億円を配賦した。2026年10月のREMORA994件とDocuMaker790件の合計1,784製品導入件を数量代理に使う。施設の重複があるため固有病院数ではなく製品導入件数で、年換算売上約118万円は保守・機器・一時納品を均した推定単価である。AIエージェント代替区分は『画面・ID課金型業務ソフト』。中立で数量0.80倍、名目単価1.09倍とし、文書生成や電子カルテ操作の代行が広がっても規制原本部分まで消えるとは仮定しない。
医療・受託開発と導入支援
医療ソフトの導入コンサルティングと受託開発に伴う人月・工数売上。
| 数量年間受託稼働量(人年換算、推定) | 価格人年当たり契約売上(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 0.09 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 0.11 | 3 | 0 |
取り方:医療売上の約6%、3.415億円を2026年第1四半期の『コンサルティング3%+受託開発3%』という製品構成から推定し、約40人年の課金工数と人年約854万円の契約収入に置いた。人数40は会社の実従業員数や請求人月ではなく、売上を実務の人年単価で割った換算数量である。医療セグメントの営業利益18.951億円と整合するよう利益0.551億円を配賦した。AIエージェント代替区分は『人月・工数』。中立数量0.65倍、名目単価1.25倍、十年先の工数需要は現状以下として扱う。
公共・文書決裁SaaS
自治体と医療機関事務部門向けDocuMaker Office。公文書の保存機能を持つが、利用ID・操作画面の売上を保守的に評価する。
| 数量公文書管理サービス利用ID数(人、2025年末) | 価格利用ID当たり年換算売上(億円、初期構築・保守込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 48,000 | 0.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 38,400 | 0.00 | 3 | 1 |
取り方:2025年有価証券報告書の公共売上3.55184億円、営業利益1.09897億円、利用者約48,000人を使用。売上を利用ID数で割った年換算約7,400円は初期構築・開発・運用収入も含むので公表契約単価ではない。2025年末の稼働は自治体55件と病院事務13件。2026年上期は自治体66件と病院14件、利用者約49,000人、サービス開始以来解約ゼロ。新規団体が増えてもエージェントで職員が使うIDが減りうるため、AI区分は『席・操作画面SaaS』とし、中立数量0.80倍、単価1.10倍とする。
ヘルステック・視野検査機器
GAP、GAP-screenerの販売と保守。新しい医療機器の研究開発負担を含む。
| 数量年間GAP製品販売台数(台) | 価格販売1台当たり換算収益(億円、保守分も按分) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 58.0 | 0.01 | 1 | −2 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:2025年有報に視野計GAPとGAP-screenerの年間販売58台が明記され、ヘルステック売上0.63353億円と合わせ年換算の装置・保守収益約109万円/台と推定した。販売単価そのものの開示ではなく、海外代理店経由の売上と保守を含む換算値である。ヘルステック営業損失2.1493億円のうち、機器開発・販売関連に1.60億円の赤字を推定配賦し、残り0.5493億円を新データ事業の立ち上げ費用に配賦した。2026年上期のGAP販売は1台であり、販売代理店72社の存在だけでは今後の出荷増を保証できない。機器本体はAIエージェント代替の対象外。市場の補助資料は https://www.joia.or.jp/annual_report/annual-report-2026/p6/ 。
ヘルステック・医療データ二次利用
匿名加工・仮名加工の受託と、研究機関等への安全なデータ利用環境の提供を目指す新事業。
| 数量年間有償データ利用・研究契約数(件、将来予想) | 価格契約1件当たり年間収益(億円、利用環境・サービスを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.50 | 5 | 1 |
取り方:2025年11月開始で、2025年の独立した有償データ利用売上は未計上と扱い、数量0件、売上0円。ヘルステックの未区分費用0.5493億円を新事業準備費として暫定配賦した。2026年上期には同事業のコンサルティングと受託開発による増収が開示されたが、独占的データ使用料の成約件数と単価は未公表。2035年の数量は有償のデータ利用・研究契約を新たに取れる場合だけの独立した仮説で、2026年の工数契約の自然増と混同しない。初期の収益はAIエージェント代替の『人月・工数』型であり、未確認の利用契約を無条件に『記録の正本』型とはしない。内閣府の認定は受託事業者であってデータ保有者ではない。認定内容は https://www8.cao.go.jp/iryou/nintei/nintei/jigyousya3/250930.html 。
リスクと懸念
AIエージェント代替
患者記録を安全に保存する業務は続くが、人が入力・照会・文書作成する画面と、導入支援に使う人月は置き換わりうる。医療の画面型ソフトには十年の中立数量0.80倍、工数型には0.65倍、公共のID課金にも0.80倍を織り込んだ。競争相手がAIで価格を下げれば単価も圧迫される。保存基盤の継続率を根拠に、すべての画面や人月の需要が残るとは考えない。
医療データの利用権と契約獲得
次世代医療基盤法の認定は処理を受託するための資格であり、病院のデータを自動的に所有する権利ではない。医療機関の参加、法令に沿った処理、研究・製薬企業との有償契約、データ品質の維持という複数の壁がある。先行するJMDCや他の認定事業者との競争で利用料が低下すれば、2030年計画のヘルステック売上は大幅に未達となる可能性がある。
GAPの販売停滞と研究開発負担
視野検査機器は製品としての違いがあっても、医療機関の診断手順、代理店による営業、医療機器としての規制に左右される。2025年には58台販売したが、2026年上期は1台だった。海外販売網の拡張を直ちに数量増加と評価するのは危険だ。研究開発、臨床試験、保守拠点の費用が先行するため、台数が伸びない局面では売上を超える損失が続きうる。
大病院の更新周期と医療情報の標準化
大病院では診療情報の更新が数年単位で集中し、一時的に売上と利益が大きく動く。電子カルテ本体の供給者や病院グループが画像・文書保存を統合発注するようになれば、Claioが単独で選ばれる機会は減る。データの共通仕様は顧客の相互接続を助ける一方、移行コストを下げて既存の堀を薄くする可能性もある。
債券・非上場出資と資本配分
2025年末の投資有価証券には約20.6億円の債券と約1.6億円の非上場株式が含まれる。債券は金利上昇時の時価変動を受け、非上場株式は評価損が発生した。2025年と2026年上期の損失実績を踏まえると、経営者が医療ソフトで稼いだ現金を必ず高い利回りで再投資できるとは限らない。資金を有効に使えない場合は、追加投資より還元の規律が重要になる。
病院財政と価格決定力の限界
解約率が低くても、システム更新時に値上げを通せるとは限らない。医療機関では人件費と設備費が増え、情報投資を先延ばしする圧力がある。公共事業も入札や予算年度による大型案件の反動を受ける。物価が十年間で累計約34%上昇する前提でも、画面型アプリと公共IDの中立単価はそれより低い伸びに抑え、利益率が過去最高水準で固定されないようにした。
今後の分かれ目
- 医療システムの解約率が2%以下で推移し、Claioの導入件数と保守収入が5年間増え続けたら
- 診療記録基盤の数量と価格の持続性を引き上げる。大学病院での採用率だけでなく、既存病院の更新契約と実際の単価上昇が確認できれば、全社の堀も再評価する。
- 医療データ事業で研究機関・製薬会社との複数年の有償利用契約が金額付きで開示されたら
- 単なるコンサルティングから継続的なデータ利用収益への転換を確認し、中立・やや楽観の医療データ案件数と利益率を見直す。契約金額と顧客の継続率がなければ上方修正しない。
- GAPの年間販売台数が2025年の58台を超え、研究開発費を賄える水準まで継続的に増加したら
- 機器事業の赤字継続という前提を緩める。海外代理店契約数ではなく、実際の納品台数、保守収益、機器の営業損益を基準にする。
- DocuMaker Officeの導入自治体が増えても課金ID当たり売上が継続的に低下したら
- AIエージェント代替による画面・席の価値低下が進んでいると判断する。公共事業の数量・単価を下方修正し、同じ傾向が医療の文書作成システムにも及んでいないか確認する。
- 配当性向50%とDOE8.5%の約束が実行され、保有債券の圧縮や適切な自己株式取得が継続したら
- 余剰資産の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる余地が生じる。ただし、債券を現金化して株主に戻すだけでは本業の営業利益が増えるわけではなく、二重に価値を足さない。
- 医療データや関連会社への投資で評価損が続き、2030年の営業利益32.2億円の計画が大幅未達になったら
- 新規事業の再投資利回りが資本コストを下回る証拠とみなし、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。赤字事業の縮小や撤退を実行するかどうかも資本配分の評価対象とする。
見ておくもの
- Claioの累計導入件数とユニーク医療機関数、国公立大学病院の採用率、医療システムの年間解約率
- 医療ビジネスの製品別構成比、保守・継続課金売上比率、オンプレミス更新売上の集中
- DocuMaker Officeの導入自治体・病院数、実利用ID数、解約数とID当たり売上
- GAPとGAP-screenerの年間販売台数、海外代理店経由の実売上、機器事業の営業損益
- 医療データ利用契約の件数、契約金額、継続課金比率、利用に参加する医療機関数
- 2030年の売上高85.2億円、営業利益32.2億円、ROE20%超の計画に対する実績
- 配当性向50%・DOE8.5%の履行、債券保有残高、自己株式取得額、非上場株式の評価損
倍率と資本コストの決め方
2025年の事業別売上から、会社が開示する視野計販売58台、公共ID約4万8千人、Claio等の導入件数を使って数量と年換算単価を組み立てた。医療の製品別金額と利益の配分は推定と明記し、数量に物価上昇を混ぜず、価格へ名目変化を入れた。診療記録基盤のみ規制対応・正本の型とし、画面・工数・公共IDにはAI代替の中立縮小率を適用した。倍率は現在・過去・同業の市場PERではなく、k7.5%、将来の事業ROE、通常の堀のRONIC、長期g1%から算出した。債券を余剰資産に分離し、その利息の二重計上を避けた。現金・債券の床は純現金だけに限定せず確認したが、非上場株式とソフトウェアは悲観の床から除外した。新リース会計基準による表示変更は事業の家賃負担を消さないため、十年後も賃借の固定費を営業費用に含む同じ経済的な形で比較する。確率加重現在価値約124億円と基準時価総額約214億円の差は、筋書きの作成後に初めて比較した結果である。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計を資本コストとする。企業規模と株価のβによる上乗せは行わず、個別の新規事業失敗は数量、利益率、確率に反映する。