結論
システムインテグレータは、製造業などの基幹システム導入と、自社開発のデータベース・プロジェクト管理ソフトで稼ぐ会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。30億円を超える実質的な純現金と長年の顧客基盤は魅力だが、売上の大半を占めるERP導入の仕事が、10年後も現在と同じ工数と対価を必要とするとは考えにくい。
強みは、企業の生産・工事・原価管理という、簡単に入れ替えられない業務に入り込んでいることだ。主力のGRANDITは同社だけで約200社への導入実績があり、製品全体では1,500社を超える。プロジェクト管理のOBPM Neoは300社以上に導入され、データベース開発支援のObject Browserシリーズは累計21,000社、51万ライセンスを超える。小さな企業ながら、顧客との接点を長く積み重ねてきた。
ただし、企業の基幹システムが必要であり続けることと、その導入業務で現在と同じ利益を得られることは別問題だ。AIエージェントによって要件整理、設計、プログラム作成、テストが自動化されれば、顧客が必要とする外部工数は減る。同社自身もその変化を認め、AIを利用した開発生産性の改善と、SAP、mcframe、製造業向けAIへの事業転換を進めている。
2026年10月公表の中間決算は、ERP事業の増収と採算改善が続いていることを示した。しかし、目先の受注好調を10年間延長するのは危険だ。会社は2033年2月期に売上120億円、営業利益20億円を目指すが、その達成には新事業の成功が必要となる。中立では既存事業の工数縮小を重く見ており、10年後の事業価値は純現金によって相当程度支えられるものの、現在の時価総額に対して十分な安全域を確保するには至らない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、まずERPの導入企業が10年後にも同社を必要とするかを問う。生産、原価、会計を動かすシステムは企業活動の土台であり、突然不要になるものではない。この点で同社の事業は単純な人材派遣や一過性の受託開発より理解しやすい。しかし、その土台を維持するために何人の外部技術者へ報酬を払う必要があるかは、AIによって大きく変わる。
会社の自社製品には価値がある。OBPM Neoの月次経常収益が増えている事実は、顧客に継続して利用してもらえる力を示す。一方、売上の大半はERPの導入・開発を伴う事業であり、ソフトウエア利用料だけで巨大な利益を稼ぐ構造ではない。利益率の高い製品部分と人月に依存する部分を分けなければ、堀を過大評価することになる。
資本配分では、純現金を厚く保ちながら配当を続けてきた点を評価できる。ただし、現金が多いことと、その現金を株主のために活用できることは同じではない。将来のM&Aで高いのれんを計上したり、収益化が見えないAI開発を続けたりすれば、財務の強さは失われる。投じた資本の増分利益が資本コストを上回るかを毎年見なければならない。
現在の時価総額は、財務の安全性を考えれば極端に高いものではない。それでも、10年間の利益と還元を資本コストで割り戻すと、株主が十分な安全域を持っているとは言い切れない。筆者は、将来も残るERPの顧客関係には価値を認めるが、人月単価の維持やAI事業の成功については確信を持てない。保有し続けたいと思える条件は、開発工数に依存しない継続収入が増え、資本配分の成果が数字で確認できることである。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はERP事業である。GRANDIT、SAP Cloud ERP、mcframeを使い、製造業、建設業、卸売業、IT企業などの販売・生産・会計・原価管理システムを構築する。GRANDITは国産ERPであり、同社は製造業向け生産管理や建設業向け工事管理などの追加機能を開発してきた。ERP事業の2026年2月期売上は約46.5億円で、連結売上の84%を占める。セグメント利益は約9.9億円だが、全社費用を配賦する前の数字である。
ERPの顧客は一度導入すると、販売、在庫、会計などを結び付けたシステムを簡単には取り替えられない。これは保守、改修、周辺システムの追加受注を生む。一方、同社が販売するSAPやmcframeは他社製品であり、ソフトウエアそのものの価格や製品戦略を完全には決められない。収益の大きな部分は導入案件の規模、エンジニアの稼働、個別開発の採算によって動く。
自社製品の柱が、データベース開発支援ツールのSI Object Browserシリーズと、統合型プロジェクト管理ソフトのOBPM Neoである。前者はOracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQLなどに対応し、後者はIT開発案件の進捗、原価、収益性を横断的に管理する。2026年2月期のObject Browser事業全体の売上は8.32億円、セグメント利益は3.27億円だった。2027年2月期からは、データベース開発ツール事業とプロジェクト管理事業に報告区分が分かれた。
OBPM Neoでは2026年2月末の月次経常収益が4,082万円となり、前年末から10.7%伸びた。継続収入を持つことは強みだが、利用者数に応じた料金と操作画面を前提とした製品であるため、AIエージェントがプロジェクト管理を直接実行する時代には価格体系の変更を迫られる可能性がある。
AI事業では、従来の外観検査AIから、検図AIのKENZや製造業向けの設計・部品表自動化サービスへ重点を移した。2026年2月期の売上は0.77億円で、まだ利益を支える規模ではない。翌期中間決算では増収となったものの、AIエージェント製品単独の継続売上額は確認できず、大きな成功を前提にはできない。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、製造業の業務知識と顧客との継続的な関係である。基幹システムの導入には、個別企業の商習慣、生産工程、原価計算、既存システムとの連携を理解する必要がある。単にソフトを安く提供する競合が現れても、稼働中のERPを全面的に入れ替える判断は容易ではない。これは同社の顧客維持に有利に働く。
製品にも一定の蓄積がある。Object Browserは1997年から販売され、長期の導入実績を築いた。2025年にはデータベース開発を支援する生成AI関連の特許も取得した。しかし、累計販売本数は現在の有料利用者数ではない。年間解約率5%未満、継続的な実質値上げ、他社への移行に年単位を要することなど、強い堀を示す定量的証拠は十分に開示されていない。
財務は強い。2026年2月期末の自己資本は約44.6億円、自己資本比率は78.5%で、現金及び預金から少額の借入金を控除した純流動性は約32.1億円となる。下調べの純現金23.4億円は主に現金同等物に基づく数字であり、3か月超の定期預金約8.7億円を加える必要がある。業績悪化で直ちに資金繰りに窮する会社ではない。
弱点は再投資効率の低下だ。2022年2月期から2026年2月期にかけて自己資本は約27億円から45億円へ増えたが、営業利益は約6億円でほぼ同水準にある。留保利益が現金として積み上がった面はあるものの、増分の利益が増分資本に十分見合っているとは言い切れない。過去のROE中央値14.3%を将来も維持できると考えるべきではない。
堀は存在するが、ERPソフトの所有者、導入を請け負う会社、利用者の記録を保有する主体が必ずしも同じではない。同社の強さは業務知識と実行力にあり、独占的なデータ支配ではない。10年後の堀は、AIを使った業務変革を引き受けられるかによって広がりも狭まりもする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ERP市場は、古い基幹システムの更新需要を背景に拡大している。矢野経済研究所が2026年10月に発表した調査では、2025年のERPパッケージライセンス市場は約2,021億円だった。会社が成長戦略で使用するERP市場約3,965億円とは対象範囲が異なる。ERPのライセンス、導入、保守を混同して市場シェアを計算すると過大評価につながるため、両者は区別する必要がある。
同社ERP事業の売上46.5億円は、会社が用いる広義の市場規模の約1.2%に相当する。ただし、同社売上にはシステム導入・個別開発・関連インフラが含まれるため、これは厳密な製品シェアではない。競合にはSAP、オービック、オービックビジネスコンサルタント、日本オラクル、富士通系のERP導入事業者などがある。同一条件で比較できる競合別シェアは確認できない。
市場自体が拡大しても、受託側の売上が増えるとは限らない。日本企業には老朽化した基幹システムを更新する需要が残るが、AIエージェントが設計、コード生成、テスト、移行を短時間で実行できるようになると、必要な人月は減る。固定価格案件で生産性改善を自社利益として取り込む余地はあるものの、競争が進めば顧客が費用削減を要求する。
プロジェクト管理ソフトでは、Jira、Backlog、Redmine、Microsoft製品などが競合となる。OBPM Neoには原価や採算を企業横断で把握する強みがあるが、AIが工程表の更新や進捗報告を自動化する場合、利用者IDを増やす成長モデルには逆風となる。データベース開発支援でも、DBeaverなどの開発ツールや生成AIによる直接操作が代替候補になる。
会社資料にあるデータプラットフォーム市場約7,371億円は、Object Browserだけの直接市場ではない。累計21,000社という採用実績も、有料利用企業の市場シェアとは一致しない。比較可能な市場分母がないため、データベース開発ツールとプロジェクト管理ソフトの厳密な国内シェアは未確認とする。
同社にとっての好機は、SAPやmcframeを用いた製造業の複雑なシステム更新と、AIによる設計業務の自動化である。一方、AIの利用が増えること自体は同社の売上拡大を保証しない。顧客がAIを使って自前で開発するようになれば、IT投資市場が拡大する中でも同社の取り分は減りうる。
資本政策と M&A
経営陣は、ERP事業の収益を基盤として、自社製品とAI事業に再投資する方針を掲げている。2025年3月には製造業向け生産管理システムを手掛けるシステム開発研究所を完全子会社化した。取得対価は約3.24億円で、取得関連費用も発生した。買収によって技術者と顧客を獲得したが、導入受託の人員を増やすだけではAI時代の持続的な競争力につながらない。
過去にはEC事業を分離し、関係会社株式の売却益を計上している。採算が悪化した事業を整理した点は評価するが、AI外観検査事業についても長年の投資を経て撤退しており、新規事業の成功率を高く見積もることはできない。2025年に設立したBizSaaSや製造業向けAI事業も、投入資本に対する継続的な利益を確認する必要がある。
会社の2年経営計画は、2027年2月期に売上63億円、営業利益7億円、2028年2月期に売上71億円、営業利益8億円を目指す。2033年2月期の長期目標は売上120億円、営業利益20億円である。ROEの具体的な数値目標は確認できず、DOEや自社株買い金額の数値的な約束もない。
株主還元は連結配当性向30%を下限とし、中長期的に35%、さらに40%を目指す方針だ。2026年2月期の配当総額は約1.42億円で、2027年2月期は純利益の減少見通しに伴い減配予想となっている。したがって、累進配当は現時点で無条件の約束ではない。
新潟県産コシヒカリの株主優待も続けている。費用総額は確認できないため、対象株主数と米・配送費を用いて年間約0.12億円の現物還元を試算した。10年の還元額には、この優待の価値も含める。
上位10株主の持株比率は約56%であり、創業者らの影響力はあるが、完全な支配下にはない。増配実績がある一方、配当性向の過去5年中央値は50%に届かず、大規模な自社株買いも確認できないため、余剰現金が額面どおりすべて株主に戻るとは考えない。2026年10月までの開示では、上場廃止予定や実施中のTOB・MBOは確認されず、最新中間決算の継続企業の前提に関する注記も該当事項なしである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
システムインテグレータの優位性は、単にソフトウエアを販売していることではなく、製造業の業務の深い部分を理解していることにある。GRANDITの導入実績は同社だけで約200社あり、製造、工事、原価管理に必要な追加機能を長年蓄積してきた。SAPやmcframeを扱い始めたことで、従来は対象外だった大規模企業や製造工程にも提案できるようになった。ERP市場には老朽システムの更新需要があり、複雑な移行案件は今後も必要とされる。
AIエージェントは脅威であると同時に、生産性を高める手段でもある。同社は2026年の決算説明で、要件整理、設計、プログラム作成、テストにAIを活用し始めたと説明している。固定価格契約の中で作業時間が減れば、顧客へ引き渡す成果物の価値を維持しながら利益率を改善できる。実際にERP事業の直近中間期では増収率を上回る利益成長を実現している。
自社製品も軽視できない。OBPM Neoは300社以上の導入基盤を持ち、月次経常収益が拡大している。Object Browserには長い利用実績とAI関連特許があり、開発者の業務に根付いている。完全な独占ではなくても、既存顧客への追加機能提供やサポートには継続収益の余地がある。
財務面では、定期預金を含む純流動性が約32億円ある。多額の借金を抱える競合と違い、景気後退でも製品開発を続けられる。2033年に向けた計画の利益率改善が相応に進み、資本配分が規律を保てば、現在の評価を超える事業価値を残せる。特に、新規投資を小さな実証から段階的に進める管理が定着すれば、過去の新規事業の失敗を繰り返す可能性は下がる。
慎重な見方
最大の問題は、ERP市場の成長を同社の売上成長と同一視できないことである。基幹システムは10年後も必要だが、導入・改修・試験に必要な人間の工数は大きく減る可能性がある。顧客はAIによって安く短期間でシステムを構築できるようになれば、その利益をシステム会社にすべて渡すとは考えにくい。受託開発の単価は成果物の価値で決まり、昔と同じ人月を請求し続けられる保証はない。
自社製品についても、開発環境と利用方法の転換が速い。データベースの操作や設計支援は、AIエージェントが自然言語から直接実行する領域と重なる。Object Browserの累計51万ライセンスは過去の実績であり、現在の有料契約とその継続率を表すものではない。OBPM Neoも、人が管理画面に入力する操作をAIが代替するようになれば、利用者数に応じた課金が弱くなる。
会社はAI関連事業を成長の柱として期待しているが、過去の外観検査AIは長期間投資しても黒字化できなかった。新しい検図AIや設計支援エージェントにも競合が登場しうる。顧客の設計情報に接続できることは魅力だが、同社が独占的に保有するデータではなく、顧客や大手ソフトウエア会社が自ら同じ機能を構築する余地がある。
資本効率も課題である。自己資本が積み上がったにもかかわらず、継続的な営業利益はそれほど増えていない。今後も利益を内部留保しながら資本コストに満たない再投資を続ければ、純資産は増えても株主価値は十分増えない。純現金は損失を吸収する余裕であって、そのまま少数株主が自由に受け取れる現金ではない。会社の計画にある売上120億円は、実現するまでは価値の根拠にならない。
どちらに重みを置いたか
顧客基盤と財務の強さは確かな長所だが、10年先の利益を左右するのは、ERPの導入案件がどれだけ残り、AIによる効率化の利益を顧客と会社がどう分けるかである。中立では工数の減少を織り込み、AIによる成長は販売額の開示が不足するため大きく認めない。確率は楽観側26%、中立32%、悲観側42%とした。下に寄せた理由は、売上の84%をERP事業が占める一方、AI関連製品の収益化はまだ小さく、過去の新規事業でも撤退が発生したためである。ただし純現金が厚く、技術転換への対応余力があることから、倒産に近い極端な筋書きにはしていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 636 円69 億円(+ 還元の換算額還元の合計 131 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 392 円43 億円、今との差 −16.5%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,371 円150 億円 | 256 円28 億円 | +246.9% | +14.9% | 130 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,091 円119 億円 | 202 円22 億円 | +175.7% | +11.9% | 233 円25 億円 |
| 中立 | 32% | 676 円74 億円 | 147 円16 億円 | +75.3% | +6.4% | 263 円29 億円 |
| やや悲観 | 27% | 310 円34 億円 | 82 円9 億円 | −16.3% | −2.0% | 106 円12 億円 |
| 悲観 | 15% | 197 円22 億円 | 37 円4 億円 | −50.2% | −7.2% | 35 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 636 円69 億円 | 131 円14 億円 | +63.5% | +5.6% | 767 円84 億円 |
今の株価時価総額 469 円51 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% ERPの業務知識を守り、AIで生産性を高める 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,371 円150 億円
GRANDITを中心とする既存のERP顧客基盤を維持しながら、SAPとmcframeによる製造業向けの複雑なシステム案件を取り込む。市場全体では老朽基幹システムの更新が続き、同社は業種別アドオンと顧客理解の深さを武器に、主要顧客との取引を守る。AIによって単純な開発工数は減るが、上流の業務設計、複数システムの統合、導入責任の価値が認められ、契約単価を物価並みに引き上げられる。
OBPM Neoでは競合への流出を抑え、原価・採算管理の統合機能を強化する。Object Browserも主要データベースへの対応とAI支援機能によって利用者を維持する。価格改定や上位製品への移行が進み、両製品の利益率は高水準となる。
AI事業は既存ERP顧客への販売を拡大する機会を得るが、製品単独の継続売上実績が不足しているため、大きな新規市場の独占は前提としない。むしろ社内業務の自動化による原価低下が価値の中心となる。システム開発研究所の買収も製造業の業務知識を強める成果につながり、10年後も高い営業利益率を保つ。配当性向の引き上げと利益成長が両立する筋書きである。
- ERP事業:数量 200(年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量)× 価格 0.31(顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む))→ 売上 62 億円・営業利益 17 億円。年間案件・保守顧客相当200社を維持し、価格は約1.34倍。AIによる導入生産性改善でセグメント利益率27.5%。人月型の楽観でも数量増加は認めない。
- プロジェクト管理事業(OBPM Neo):数量 300(導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準))× 価格 0.02(1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。300社相当を維持。上位版への移行で価格は約1.15倍。追加機能と自動化で利益率50%。
- データベース開発ツール事業:数量 6,646(年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定))× 価格 0.00(1席当たり年間利用料の億円換算)→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。ライセンス換算席数を維持。価格は1.15倍、サブスクリプション化で利益率70%。
- AI事業(製造業向け自動化):数量 10.0(年間有償プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.10(1件当たり年間売上(億円・推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。新規AIの収益規模は証拠不足のため拡大を大きく見込まず、年間10件換算を維持。利益率12%。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。楽観でもAIによる工数代替が10年より先の継続的な数量成長を制約するため、正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=1/k=12.9032倍。ROEは約11.0%でkを上回るが、g=0%のため追加の成長倍率は付けない。純利益9.511億円には余剰現金22億円の税後受取利息0.308億円を含む。事業純利益9.203億円にPERを掛け、余剰現金の株主帰属割合75%を加えた。
確率:GRANDIT、SAP、mcframeを活用した顧客基盤の維持と、開発工数の削減を自社利益として取り込むことが同時に進む筋書き。会社の長期計画に近づく余地はあるが、AIの競争が強まる中でこの二つを継続的に実現する難しさから8%に抑える。
やや楽観 18% 顧客基盤をおおむね守り、採算が改善 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,091 円119 億円
ERP市場の更新需要が続き、同社は製造業を中心に一定の受注を確保する。GRANDITの依存度を下げる取り組みが進み、SAPやmcframeの導入案件が増える。AIによるコード生成やテスト自動化で必要工数は減るが、複雑な基幹システムの導入管理には人が必要とされ、受注量の落ち込みは小幅にとどまる。
OBPM Neoは競合の低価格サービスやAIエージェントと競争しながらも、原価・採算を一体管理する機能で顧客を維持する。Object Browserは新規の開発者向け販売では伸び悩むものの、既存のデータベース環境に対応する需要が残る。サブスクリプション収入が安定し、製品開発の負担も吸収できる。
AI事業では製造業の既存顧客との接点を生かして有償案件を継続するが、売上を大きく伸ばすほどの標準化と独占的な競争力はまだ示せない。新たな大型M&Aを必要とせず、既存の製品と業務知識を磨くことで経営を進める。営業利益は現在より増え、還元方針も改善するが、会社の長期目標には届かない筋書きである。
- ERP事業:数量 190(年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量)× 価格 0.30(顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 15 億円。数量0.95倍、価格約1.27倍。製造業向けの高付加価値案件を維持し、利益率26%。
- プロジェクト管理事業(OBPM Neo):数量 285(導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準))× 価格 0.02(1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。顧客数相当0.95倍、価格約1.15倍、利益率46%。
- データベース開発ツール事業:数量 6,100(年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定))× 価格 0.00(1席当たり年間利用料の億円換算)→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。年間ライセンス換算席数0.92倍、価格約1.12倍、利益率68%。
- AI事業(製造業向け自動化):数量 10.0(年間有償プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.09(1件当たり年間売上(億円・推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。継続案件の数量を維持し、価格を約1.18倍。利益率6%。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。事業ROEは資本コストを上回るが、AI代替によって人月型と席課金型の永続的な数量成長を見込まないため、正当化PER=1/k=12.9032倍。純利益7.149億円から余剰現金利息0.308億円を除いた事業利益6.841億円を評価し、余剰現金22億円の75%を加えた。
確率:ERP市場の更新需要は強く、SAP・mcframeによる顧客拡大にも一定の実績がある。ただし10年間にわたり競争力を維持する必要があるため、楽観側の中心として18%とした。
中立 32% ERPは残るが工数と席数は縮小 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 676 円74 億円
2027年から2028年にかけては、会社計画に沿ってERP売上が増える。古い基幹システムの更新需要が続き、SAPとmcframeを追加した効果も表れる。しかし、その後はAIエージェントの普及によって設計、開発、テスト、保守の工数が減り、同じ顧客数でも案件の売上規模が縮小する。製造業の複雑な業務知識は必要とされるが、導入を請け負う人月そのものの価値は低下する。
OBPM Neoは企業横断の原価・進捗管理という機能が残り、すぐには不要にならない。ただしAIが画面入力や報告作成を担うため、利用者ID数は減る。Object Browserも、主要データベースを扱う既存顧客は残るが、AIが開発ツールを直接操作することで有料ライセンス換算席数は減少する。ソフトウエアの利用単価は名目で小幅に上昇するものの、物価上昇に追いつかない。
AI事業には一定の需要があるが、製造業の設計AI市場を独占できるわけではない。外部の大手ソフトウエア企業と競合し、収益はほぼ横ばいにとどまる。会社は開発生産性の改善によってERPの利益率を支え、配当性向30〜40%程度の還元を継続する。自己資本と現金は積み上がるが、増分の利益率は低く、ROEは過去の水準を下回る。
- ERP事業:数量 140(年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量)× 価格 0.30(顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 11 億円。AIエージェント代替により数量0.70倍、価格約1.30倍。市場拡大より工数縮小が効き、利益率25.5%。
- プロジェクト管理事業(OBPM Neo):数量 246(導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準))× 価格 0.02(1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。数量0.82倍、価格約1.10倍。利用IDが減少するが、統合管理機能は残る。利益率45%。
- データベース開発ツール事業:数量 4,785(年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定))× 価格 0.00(1席当たり年間利用料の億円換算)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。数量0.72倍、価格約1.09倍。AIによるDB操作の自動化と無料ツールが競合し、利益率66%。
- AI事業(製造業向け自動化):数量 10.0(年間有償プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.08(1件当たり年間売上(億円・推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。製造業向けの案件需要は残るが、他社との競争で継続的な利益を確保できない。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。中立ROEは3.744÷70.6=5.3%でkを下回るため、PERの上限は成長を評価しない1/k=12.9032倍。AI代替を10年の数量と長期gに反映し、倍率を過去の高PERから決めない。純利益3.744億円から余剰現金22億円の税後利息0.308億円を除いた事業利益3.436億円に上限PERを掛け、余剰現金の帰属価値16.5億円を加えた。ROE低下と資本蓄積はequity_okuに反映する。
確率:短期にはERP需要が強い一方、10年では導入工数のAI代替が進む。会社の製造業知識と既存顧客基盤が収益を支えるが、過去の成長を延長せず、最も起こりやすい移行期の姿として32%とする。下に寄せる理由:ERP受託への依存度が約84%あり、新規AI事業の収益がまだ小さい。
やや悲観 27% 受託開発の縮小と自社製品の値下げ圧力 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 310 円34 億円
ERPの導入需要は残るが、AIを使った自動開発と顧客企業の内製化が広がる。SAPやmcframeの標準機能を利用する導入が増え、個別開発やテストに必要な外部工数は少なくなる。GRANDITの既存顧客もシステム更新の際に標準化を進め、同社が受け取る追加開発費は減少する。ERP市場が名目で拡大しても、同社の案件数量とシェアは低下する。
OBPM Neoは、AIエージェントが報告、進捗更新、要員配置などを代行するため、管理画面を操作する有料利用者数が減る。Object Browserでも開発者がAIを通じてデータベースを操作するようになり、従来のGUI型ツールに支払う予算が縮む。既存顧客は残るが、保守・サブスクリプション収入の拡大は止まる。
AI事業は同社の専門領域に絞って続くものの、SAPや大手AI事業者が同様の設計支援機能を提供し、価格競争が起きる。経営は配当を維持しようとするが、利益の低下に応じて総還元額を縮小せざるを得ない。純現金があるため経営危機には至らず、事業を小さくしながら継続する。しかし、ROEは資本コストを大きく下回り、株主にとっては資本を十分に働かせられない状態となる。
- ERP事業:数量 120(年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量)× 価格 0.28(顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む))→ 売上 34 億円・営業利益 8 億円。数量0.60倍、価格約1.21倍。案件縮小と価格競争が強まり、利益率24.5%。
- プロジェクト管理事業(OBPM Neo):数量 225(導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準))× 価格 0.02(1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。数量0.75倍、価格約1.05倍。席数減少と値下げ競争で利益率43%。
- データベース開発ツール事業:数量 4,120(年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定))× 価格 0.00(1席当たり年間利用料の億円換算)→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。数量0.62倍、価格約1.05倍。無料ツールとAI操作への代替で利益率60%。
- AI事業(製造業向け自動化):数量 8.0(年間有償プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.07(1件当たり年間売上(億円・推定))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI関連案件も減少し、製品開発負担が続くため赤字となる。
倍率:ROE約2.0%はk7.75%以下である。稼ぐ力の上限は純利益から余剰現金利息を引き、1/kを掛ける。やや悲観では今の余剰現金22億円の75%に当たる16.5億円を残存額とし、その税後利息0.231億円を純利益から除く。事業純利益1.083億円÷0.0775に、残存現金の帰属割合75%を適用した12.375億円を加える。資産の床26億円とも比較し、稼ぐ力の約26.35億円を採用する。
確率:ERPの工数縮小が中立より速く進み、OBPM NeoとObject Browserでも有料契約が減る。AIによる業務の自動化がソフトウエア会社の売上を減らすという構造的な転換が同時に進む可能性を27%とする。
悲観 15% AIによって開発受託が構造的に敗れる 利益 −3 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 197 円22 億円
AIエージェントが基幹システムの設計、実装、テスト、データ移行を自動で実行できるようになり、外部SI会社に必要な工数が大幅に減る。SAPや大手クラウド企業が導入自動化を進め、顧客は標準機能を使った短期導入へ移る。GRANDITを中心とする個別開発は減少し、同社が培った業務知識も大手AIモデルや競合システムへ取り込まれる。高付加価値案件の一部は残るが、売上を支えてきた人員規模を維持できない。
OBPM NeoはAIエージェントがプロジェクトの監視、報告、採算分析を直接実行する仕組みに置き換わり、利用者数が半減する。Object BrowserもAIによるデータベース開発と無料ツールへの移行によって有料席数が大きく減る。製造業向けAIでは、より大規模なソフトウエア会社が設計ツールやERPと直接連携する製品を提供し、同社は差別化を失う。
会社は開発体制の縮小と事業整理を進めるが、固定的な本社費や既存顧客への保守義務が残り、営業赤字に陥る。現金の一部は人員削減、損失補填、契約終了費用に使われる。従来の高いROEと価格決定力は失われ、事業の利益からは十分な価値を認められない。残る価値は、現金と回収できる資産を負債や整理費用と相殺したものが中心となる。
- ERP事業:数量 100(年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量)× 価格 0.25(顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む))→ 売上 25 億円・営業利益 4 億円。数量0.50倍、価格約1.08倍。導入工数と個別開発需要が消え、利益率16%。
- プロジェクト管理事業(OBPM Neo):数量 150(導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準))× 価格 0.02(1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量0.50倍、価格約0.96倍。AIエージェントによる操作代替で利益率27%。
- データベース開発ツール事業:数量 3,000(年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定))× 価格 0.00(1席当たり年間利用料の億円換算)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.45倍、価格約0.92倍。ライセンスの大幅縮小で利益率50%。
- AI事業(製造業向け自動化):数量 4.0(年間有償プロジェクト換算件数(件・推定))× 価格 0.06(1件当たり年間売上(億円・推定))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数が減り、製品開発費を回収できず赤字。
倍率:構造的な営業赤字が続くため、赤字純利益にPERを適用しない。現時点の自己資本44.6億円に対し、純現金と売れる資産の税後の床21.5億円の比率は約0.482倍となる。10年間に積み上がったと仮定する自己資本45.6億円へ床のPBRを掛けず、現在の自己資本44.6億円を分母にする。赤字事業の稼ぐ力はゼロ以下なので、換金資産の床を採用する。過去の市場PBRの谷は参照しない。
確率:ERPの導入工数が半分程度まで減り、Object BrowserとOBPM NeoもAIや低価格製品に代替される複合的な失敗を想定する。会社の厚い現金が存続を支えるため、事業の消滅を既定にはしないが、長期的な競争優位の喪失は無視できず15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ERP事業
GRANDIT、SAP Cloud ERP、mcframeを用いた基幹システム導入、カスタマイズ、関連インフラ、運用支援。売上の中心は導入案件と顧客別の業務システム開発であり、AI代替の人月・工数型を主に適用する。
| 数量年間ERP案件・保守契約の顧客社相当数。GRANDIT導入実績約200社を基準に換算した推定数量 | 価格顧客社相当1単位当たりの年間売上(億円。新規導入・追加開発・保守・関連販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 200 | 0.23 | 46 | 10 |
| 10 年後 中立 | 140 | 0.30 | 42 | 11 |
取り方:会社の2026年2月期事業報告にERP売上46.49893億円、セグメント利益9.87379億円が開示されている。GRANDITの同社導入実績約200社は会社の決算説明会による。年間の新規導入件数、平均案件金額、保守契約数は個別開示されていないため、200社を案件・保守顧客の年換算数量の代理指標とし、年間売上を200で除した約2,325万円を平均売上単価にした。200社は累計導入実績であり、当期の稼働案件数そのものではない。この差は推定の制約である。市場規模は会社説明資料で約3,965億円。同社売上はその約1.17%に相当するが、受託開発を含むため厳密な製品シェアではない。最新2027年2月期中間決算ではERP売上27.02億円、セグメント利益5.99億円に拡大している。
プロジェクト管理事業(OBPM Neo)
統合型プロジェクト管理ソフトOBPM Neoの利用料、保守、導入支援、研修。企業の開発プロジェクトの工程、要員、品質、原価、採算を管理する。AI代替の席課金・操作画面型を適用する。
| 数量導入企業数相当(社。約300社の導入実績を基準) | 価格1社相当の年間利用料・導入支援収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 300 | 0.02 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 246 | 0.02 | 6 | 3 |
取り方:会社の2026年2月期Object Browser事業売上8.31722億円を、翌期中間決算で新たに開示されたデータベース開発ツールとプロジェクト管理の売上構成比で推定分割した。プロジェクト管理部分は約6.16億円、利益は推定1.77億円とした。OBPM Neoの導入実績は300社以上、約56,000ユーザー。公開料金表では20〜40ライセンスのEnterprise Editionが月15万〜22万円である。年間平均約205万円という推定単価はこの価格帯と大きく矛盾しないが、実際には大口契約、他エディション、導入支援が混在する。MRR4,082万円は年間換算約4.90億円であり、推定売上の相当部分がストック収入であることを裏付ける。価格表:https://products.sint.co.jp/obpm/neo-release 。累計導入300社を当期有料契約数と断定しない。
データベース開発ツール事業
SI Object Browser、Object Browser ERなどの販売、ライセンス、保守、サブスクリプション。データベースの設計・開発・運用を支援する製品群で、AI代替の席課金・操作画面型を適用する。
| 数量年間ライセンス換算席数(席。実契約席数ではなく標準年額による推定) | 価格1席当たり年間利用料の億円換算 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 6,646 | 0.00 | 2 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4,785 | 0.00 | 2 | 1 |
取り方:2027年2月期中間決算で開示されたデータベース開発ツール売上1.0795億円とプロジェクト管理売上3.08355億円の比率を、2026年2月期Object Browser事業売上8.31722億円に適用した。推定売上は約2.16億円であり、利益1.50億円は両事業の収益性と最新中間期の高いツール事業利益率を参考にした推定配分である。SI Object Browserの公開サブスクリプション最低価格は1席年32,500円であり、2.16億円をこの価格で除した約6,646席を年額ライセンス換算数量とした。実際には永続ライセンス、上位製品、保守が混在するため、実利用席数を示さない。累計21,000社・51万ライセンスは歴史的な販売実績である。価格参照:https://products.sint.co.jp/siob 。
AI事業(製造業向け自動化)
検図AIのKENZ、設計・部品表関連AI、従来型画像認識サービスなど。製造業の設計業務を自動化する事業で、従来の人月受託や単純な席課金とは区別する。ただし、現段階では継続収益の規模が小さい。
| 数量年間有償プロジェクト換算件数(件・推定) | 価格1件当たり年間売上(億円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 10.0 | 0.08 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.08 | 1 | 0 |
取り方:2026年2月期のAI事業売上0.76568億円、セグメント損失0.03242億円は会社事業報告の実績。案件別売上は未開示のため、約766万円の案件10件相当として換算した推定であり、実際の有償顧客が10社という意味ではない。2026年の決算説明では検図AIの本番導入1社、概念実証5〜6社が説明された。2027年2月期中間決算のAI事業売上は0.50786億円と増加したが、既存サービスと新AIエージェント製品の売上内訳は未公表である。会社の想定対象顧客約7,000社は市場機会であって、契約数ではない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
最大の構造リスクである。ERPの導入・開発・テストは人の工数を対価としてきた部分が大きく、AIエージェントがその作業を置き換えると、顧客に必要な外部工数は減る。OBPM NeoやObject Browserも操作画面と利用者席数に依存する部分があり、AIが画面を経由せず業務を実行すると課金の根拠が弱くなる。10年の中立数量と長期成長率にこの影響を反映している。
ERP案件への高い依存
売上の約84%をERP事業が占めており、GRANDITの導入・改修案件が利益の大きな源泉になっている。SAPとmcframeへの多軸化は進むが、両者も導入受託の比率が高ければ、売上源を増やしてもAIによる工数縮小リスクを分散できない。製品別の受注、ストック収益、粗利率を分けて監視する必要がある。
自社製品の課金モデルの変化
OBPM Neoの月次経常収益は成長しているが、席課金モデルが10年後も成立する保証はない。AIが複数の利用者に代わってプロジェクト管理を実行する場合、企業が必要とするID数は減る。Object Browserもデータベースを人が操作する前提が薄れる。成果報酬や処理量課金へ移行できなければ、製品が使われ続けても売上は減りうる。
AI事業の投資回収
過去のAI外観検査事業は長期間投資を続けても十分な収益化に至らず、会社は事業転換を進めた。新しいKENZや設計支援AIにも技術開発、営業、顧客導入費用が必要となる。PoCの件数と本番契約の継続売上は異なる。製造業の顧客と接点を持つことだけを根拠に、AI事業の高成長と高利益率を約束されたものとして扱わない。
M&Aと余剰現金の資本配分
システム開発研究所の取得によって製造業への提案力は増したが、取得した人員やノウハウの収益性は今後の成果次第である。買収を重ねてのれんと固定費が増えると、純現金の厚さを失う可能性がある。株主への現金還元も配当性向30%が基本であり、余剰資金のすべてが株主に戻るとは限らない。
事業利益と一過性利益の混同
2025年2月期には関係会社株式売却益、2026年2月期には持分変動利益が計上され、純利益が通常の営業利益より高く見える時期があった。長期価値は売却益や持分変動益を繰り返し稼げることを前提にしない。2027年2月期の減益予想も、営業面だけでなく前年の一過性利益の反動を区別して読む必要がある。
今後の分かれ目
- ERP売上が増えてもエンジニア1人当たりの売上総利益が継続的に伸びたら
- AIによる生産性改善を会社が利益として取り込めている証拠となる。ERPの利益率前提を上げ、楽観側の確率を見直す。ただし売上増加が一過性の大型案件によるものかは分けて確認する。
- ERP受注の数量と単価が別々に開示され、人月依存が継続的に減少したら
- 成果報酬や継続利用料への移行が実証されれば、人月型の数量縮小を一部緩める。単に受注総額が増えただけではAI代替リスクを下げない。
- OBPM NeoのMRRが年率10%前後で伸びながら解約率が5%未満と開示されたら
- 継続率の証拠として評価し、席数の縮小幅を小さくできる。ただしAIエージェントが操作を代替しても料金を維持できるかは別に確認する。
- KENZなどAIエージェント製品の単独年間売上と有償契約数が開示され、継続的に増えたら
- AI事業の数量成長を具体的な実績に基づいて見直す。PoCや引き合いの件数だけで上方修正せず、継続売上と粗利益を伴う本番導入を確認する。
- 2033年2月期の売上120億円・営業利益20億円の計画に向け、ROEと投下資本利益率も改善したら
- 会社の成長計画が売上規模の拡大だけでなく資本効率の改善を伴っていると判断できる。自己資本の積み上がりに対して利益が増えた分を価値に加える。
- 純現金が増え続ける一方で配当性向が30%にとどまり、M&Aの利益貢献も進まなかったら
- 余剰資産の株主への戻り方を厳しく評価し、現金の蓄積を額面どおりの株主価値とは認めない。還元方針と買収後の増分利益を重視する。
見ておくもの
- ERP事業の受注高、受注残、1案件当たりの売上と開発工数
- GRANDIT、SAP、mcframeの製品別売上・粗利益構成
- エンジニア1人当たり売上総利益とAI活用による生産性改善
- OBPM NeoのMRR、契約企業数、有料ID数、解約率
- Object Browserの新規サブスクリプション契約数と永続ライセンス販売の減少率
- KENZと設計AIの本番導入企業数、継続売上高、黒字化状況
- 連結配当性向、自己株式数、余剰現金の推移
- M&A取得対価、のれん、買収後の増分営業利益
- 2033年2月期の長期計画に対する売上・営業利益・ROEの進捗
- ERP市場での競合SAP、オービック、OBC、富士通系企業の製品・価格動向
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額約53.6億円から10年後の価値を逆算していない。ERPは累計約200社の導入実績を年間顧客社相当の数量に換算し、Object Browserは最新中間期の新セグメント構成比と公開料金を用いて数量と価格を推定した。数量は実質、単価は名目とし、物価3%を二重に加算しない。AIエージェント代替は10年の工数・席数の縮小とg_long=0%に入れ、資本コストの寿命には重ねていない。
PERは市場評価を参照せず、k7.75%と長期g0%から正当化した。楽観から中立はその上限である約12.90倍を使い、悲観は現在の自己資本44.6億円と売れる資産の床を基準にした。純現金は現金同等物だけでなく定期預金も含め、投資有価証券と二重計上していない。10年の留保利益から生じる余剰現金は既存の評価規則によって別途扱うため、事業の利益倍率に混ぜて高く見せない。
2027年2月期中間決算では発行済株式から自己株式を控除した株数が10,951,019株となり、添付基準の10,917,719株から約0.3%増えている。basisは指定どおり添付の数字を使用した。新リース会計基準によって将来の貸借対照表の表示は変わりうるが、収益力の比較は従来と同じ費用認識にそろえる。長期価値を決める最大の不確実性は、市場のPERではなくAIによって顧客の支払う開発費がどこまで減るかである。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の値決め力と財務を評価したquality+0.25%を加えた。個別のAI実行リスクや買収の成否は資本コストに上乗せせず、筋書きと確率で扱う。