結論
テラテクノロジーは、公共、通信、情報サービス、金融、製造業向けに業務システムを開発する独立系のITサービス会社である。筆者は、AIによる開発工数の減少を厳しく織り込んでも、現在の時価総額には一定の安全域があり、10年価値では「やや割安」とみる。ただし、その理由は今後も売上が高成長するからではない。すでに蓄積した現金、利益を出し続ける既存顧客との関係、配当による還元が価値を支えているからだ。
最大の強みは、単発の開発案件を繰り返すだけでなく、顧客の基幹業務を理解し、後継案件や改修案件を継続的に受注していることである。前年度から続く案件などの売上割合は94.0%に達する。一方、これは解約率6%の継続課金サービスを意味しない。案件の発注権限も、システムの記録やデータの所有権も顧客側にある。技術者の工数で売上を作る仕組みそのものは、AIエージェントの普及によって大きく変わりうる。
2026年3月期は売上高47.49億円、営業利益5.56億円、純利益4.13億円であった。長期の中立では、数量に相当する販売工数の減少が値上げを上回り、10年後の売上高は約39.6億円、営業利益は約3.3億円に縮む。それでも、財務の強さが企業の存続と株主還元を支えると考える。現預金には現金同等物として集計されない長めの定期預金も含まれるため、その価値を見落としてはならない。
もっとも、安いからというだけで永久保有に向く会社ではない。富士通とTISへの売上依存が大きく、直接契約の割合はなお32.0%にとどまる。AIによって発注者が開発工程を内製化し、仲介する大手SI企業が外注費を削れば、今の利益率は維持できない。10年後に見たいのは技術者数の増加ではなく、顧客の成果に対して直接対価を受け取る能力と、積み上がる現金を適切に株主へ返す経営である。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主が最初に確認すべきことは、10年後にも顧客が何に対してお金を払うかである。顧客が買うのはプログラムを書く時間ではなく、銀行の取引が正しく処理されること、通信認証が止まらないこと、行政システムが法改正に対応することである。これらの成果への需要は続く。しかし、その成果を生む人間の工数は、今より大幅に減る可能性が高い。テラテクノロジーが今の売上形態を守れると決めつけることはできない。
同社が築いているのは顧客との仕事上の信頼であり、他社が決して入れない独占的な要塞ではない。長期案件で顧客固有の仕様を知る技術者には価値があるが、仕様の理解やテストまでAIが助けるなら、その価値の一部は顧客側へ移る。94.0%という継続受注の数字は評価するものの、顧客が外注する工数の総量を守る証拠ではない。資本コストを超える増分利益が続くという主張には、直接契約の拡大と成果物への価格転換を実績で示してもらう必要がある。
それでも、企業価値がゼロに近づくような評価は適切でない。会社には借入に頼らず蓄えた現預金があり、既存案件から生じる利益もある。売上が縮んだ場合に採用を抑え、固定費を調整し、不要な買収を避ければ、事業は小さくなっても現金を残しうる。売上成長率よりも、手元の資金を毀損しない経営規律のほうが、将来の株主利益を大きく左右するだろう。
現在の時価総額は約34.5億円である。悲観的な業界変化を織り込んだ五つの将来像を資本コストで割り戻し、新株予約権による希薄化も考慮すると、長期の本質価値は現在を約14%上回る。安全域はあるが、十分に厚いとまでは言い切れない。長期保有に値するかを決めるのは、AI時代にも顧客から価格を取る力が残るか、そして現金を持て余さず還元できるかである。
何で稼ぐ会社か
同社は会計上、システム開発事業の単一セグメントである。ただし、需要の性質が異なるため、価値の分析では会社が開示する五つの顧客分野を分けて考える。2026年3月期の売上高は、公共7.13億円、通信7.07億円、情報サービス17.20億円、金融5.48億円、製造その他10.61億円である。いずれも顧客の業務を理解し、設計、開発、改修、運用支援を担う点が共通している。
最大の情報サービス分野では、クラウド、業務システム、電子商取引などの開発需要を受ける。通信分野では通信基盤や認証関連のシステムに関わり、公共分野では行政関連の継続的なシステム更新を担う。金融分野には業務処理や決済に関係する開発が含まれ、製造その他では組み込みソフトウェアやIoT関連の技術が使われる。いずれも高い専門知識を要するが、完成したシステムの利用料が自動的に同社へ入り続ける事業ではない。
2026年3月期末の開発技術者は342人で、採用と育成が供給能力を決めてきた。資格保有や顧客業務への習熟が、難しい案件を任される根拠になる。直接取引比率は前期の28.6%から32.0%に上昇し、売上総利益率も23.9%から24.7%へ改善した。これは商流を短くして付加価値を取り込む動きとして評価できるが、個々の契約の値上げ率や、工数削減分を同社が利益として獲得した額は開示されていない。
「ChatCo!」など独自サービスへの取り組みもある。しかし、その売上額、継続課金の契約数、解約率が区分開示されていないため、独立した高収益ソフトウェア企業として評価する根拠はまだ薄い。本分析では製造その他に含まれる小規模な取り組みとして扱い、販売工数に依存する収益の性格を変えるほどの比重は認めない。
五分野の数量は、実際の従業員数ではなく、外注先の作業や請負契約を含めた「販売人月相当」で推計した。推計した年間約5462人月は、社内技術者342人の年間稼働可能月数を超えるが、管理、外注、請負の売上も含むためである。これは開示された実受注人月ではなく、契約単価を使って売上を分解するための代理変数である。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、顧客業務に入り込んだ経験と、担当者を長期にわたって育てる仕組みにある。継続受注に関係する売上が94.0%を占めることから、既存顧客の次期案件を獲得する力はある。情報処理関連資格の保有率や新卒入社者の定着率も高く、人材の入れ替わりで技術と顧客知識が失われやすい中小SI企業としては、品質を保つ基盤を持っている。
ただし、その強みは独占的な堀ではない。顧客との取引が続いても、契約ごとに価格を交渉される。富士通とTISという有力SI企業が主要な発注元であり、同社が最終顧客に直接値段を提示できない案件も多い。前年度からの継続受注率の高さを、解約不能な保守契約や法令上の独占的な記録基盤と同一視してはならない。堀は「普通」と判定する。
2026年3月期の営業利益率11.7%は、独立系の開発会社として一定の実力を示す。過去の売上拡大にもかかわらず赤字期は確認されず、ROEも近年は二桁を維持してきた。増分利益を生むために大規模な工場や設備を必要としないため、技術者の育成と稼働率の改善が高い資本効率につながりやすい。一方、将来の採用人数を増やすことが、そのまま高い増分ROICを保証する時代ではなくなった。
財務は際立って堅い。2026年3月期の自己資本は27.53億円、自己資本比率は76.4%であり、現金及び預金は24.45億円に達する。このうち5.35億円は現金同等物に含まれない定期預金である。大きな有利子負債がないため、金利上昇は資金繰りの脅威になりにくい。むしろ短期金利が2%へ上昇すれば、余資の受取利息が利益を補う。ただし、預金の厚さは将来の事業競争力そのものを証明するものではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は、企業の基幹システム更新、クラウド移行、データ活用によって拡大してきた。IDC Japanの調査に基づく2024年の国内ITサービス市場は約7.02兆円で、2029年には約9.66兆円への拡大が見込まれている。しかし、この名目市場予測を2036年まで機械的に延長することはできない。AIエージェントは、従来なら人が行った仕様書作成、プログラム作成、テスト、データ移行の工数を削る可能性があるためだ。
競争の中心には富士通、日立製作所、NEC、NTTデータなどの大手SI企業があり、金融や企業向けの高度な案件ではTIS、野村総合研究所、SCSKなども競う。大手は顧客接点と大型契約の統括能力を持ち、テラテクノロジーは専門技術と既存案件の継続性で受注する立場にある。発注元でもある大手が開発基盤をAIで標準化すれば、同社への外注工数が減る。反対に、顧客業務を理解した専門家の重要性が上がれば、直接契約を増やす機会にもなる。
2026年3月期の売上高を国内ITサービス市場と単純比較すると、同社のシェアは約0.068%にすぎない。会社の五分野別に対応する公的な市場シェア統計は確認できないため、市場規模の分野別配分は分析上の仮定にとどめる。国内市場を公共15%、通信8%、情報サービス27%、金融20%、製造その他30%と仮に分けた場合、同社の推計シェアは順に約0.068%、0.126%、0.091%、0.039%、0.050%となる。競合各社の五分野別シェアも同じ定義では開示されておらず、数字を装って埋めることはしない。
市場全体の名目規模が拡大しても、その成長を人月売上として同社が獲得するとは限らない。長期の中立では、五分野とも販売工数が10年で現在の61〜74%に減少すると考える。値段は名目で上がるが、物価上昇の全額を転嫁できない分野もある。この数量減少は、AIがシステム開発の需要そのものをなくすという意味ではない。顧客が同じ成果を得るために購入する人間の作業時間が減る、という事業モデルの変化である。
資本政策と M&A
会社は2027年3月期に売上高49.76億円、営業利益5.77億円、当期純利益4.15億円を見込んでいる。株主還元では配当性向35%以上を目安とし、同年度の配当予想は年間90円である。2026年3月期の配当は89円、2025年3月期は69円であり、増配の実績はある。ただし、独立した複数年の中期経営計画について、2030年などを期限とする売上高、営業利益、ROEの確定した数値目標は確認できず、数字の約束なしと扱う。DOE、総還元性向、自社株買い金額についても、明確な長期の数値の約束は確認できない。
経営資源の中心は人材であり、採用と研修に現金を使う構造である。知識工学など地域の技術基盤も事業に組み込んでいるが、近年の大型買収を成長の前提にする根拠はない。2027年3月期第1四半期は人材関連の先行費用によって営業利益率が落ちており、採用が増えれば必ず増分利益が出るわけではないことを示した。今後の買収も、取得した技術者数ではなく、取得額に対してどれほど長期の税引後利益が残るかで評価すべきだ。
2026年3月期末の現預金24.45億円のうち、事業運営に必要な人件費や外注費などの支払い約3か月分として10.45億円を確保し、余剰現金を14.0億円と評価する。創業者側の持株比率は高く、少数株主が余資の使途を決められるわけではない。一方、直近には増配があるため、余剰現金が半分しか株主に帰属しないとみなす条件も満たさない。長期に積み上がる現金は、帳簿額の75%が最終的に株主価値になると考える。
新株予約権にも注意が必要だ。2026年6月末の発行済株式180万1000株に対し、自己株式は12万3200株で、現時点の流通株式ベースは167万7800株である。残る自己株式が新株予約権の行使に充てられる場合、既存株主の経済的持分は希薄化する。この影響は五つの筋書きすべてに反映した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の競争力を過小評価してはならない。公共、通信、金融のシステムは、一度稼働すると小さな変更にも顧客の業務知識と厳格な確認を要する。AIがコードを速く作れても、障害を起こさない設計や本番環境での責任は消えない。顧客に特有の仕様を知る人材を継続して配置できることは、単純なコーディング会社にはない強みである。
前年度案件の継続受注に関係する売上が94.0%に達することは、少なくとも顧客との関係が短期の価格競争だけで決まっていない証拠である。技術者の資格保有や高い定着率も、長く使うシステムに必要な品質を支える。直接契約比率が上がり、粗利益率が改善しているという変化もある。大手SI企業の下請けから最終顧客の相談相手へ移るにつれて、少ない工数でも成果に応じた利益を得られる余地がある。
さらに、売上を生むのに重い設備投資を必要としない。既存顧客への理解を深めるための研修や資格取得は費用として処理されるが、成功すれば次の案件に生きる。財務は無借金に近く、現預金の厚さが採用と研究開発の失敗を吸収する。今後も売上と利益が増えれば、会社を拡大するだけでなく、配当を引き上げて少数株主の取り分を増やすことができる。
AIによって開発工程が短くなるとしても、顧客が保有する古いシステムの刷新需要はなくならない。むしろ少人数で難しい案件を処理できれば、中小企業の機動力が利点になる。最も良い場合には、工数そのものは増えなくても名目の契約単価が上がり、直接受注の増加によって営業利益が拡大する。今の株式価値が大きな成長を前提にしていないことは、この上振れを評価する理由になる。
慎重な見方
高い継続受注比率に安心するのは危険である。94.0%は継続課金契約の更新率ではなく、前年度に存在した案件や後継・同種案件の売上割合である。案件が続いても、そこで購入される人月が半分になれば売上は減る。保守的な公共や金融の顧客であっても、費用削減を優先する時期には外注契約の見直しが進む。
富士通とTISで売上の33.5%を占める取引構造も弱点である。二社は同社の技術を買う顧客であると同時に、自ら開発効率を改善し、他の協力会社へ案件を移す判断を下せる大手SI企業でもある。同社が最終顧客へ直接契約する比率は32.0%であり、残る商流では価格交渉力に限界がある。AIエージェントが標準工程を自動化すると、まず発注側が必要な外注人月を減らす可能性がある。
足元の営業利益率も維持が保証されたものではない。開発要員の採用を増やしてから案件を獲得するまでには時間がかかり、待機人員が増えれば固定的な人件費が利益を削る。2027年3月期第1四半期の利益率低下は、その弱さを示す。技術者が優秀であっても、顧客の業務仕様を独占しているわけではなく、既存システムを所有する会社でもない。独自ソフトウェアの収益額が開示されていない以上、AI時代に高成長の製品会社へ転換できると予想する根拠はない。
財務の厚さも万能ではない。現金があるからといって、少数株主が希望する時期に全額を受け取れるわけではない。採用、低収益の新製品、大型買収に使われれば、帳簿上の現金は将来の利益にならず消える。売上が縮んでも人件費や品質管理費がすぐに減らなければ、営業赤字は起こりうる。株式に払う価格を判断する際には、現在の利益だけでなく、顧客が発注する工数そのものの寿命を厳しく問うべきである。
どちらに重みを置いたか
事業モデルの寿命については慎重な見方の根拠が強い。中立でも販売工数が縮むと考え、やや悲観と悲観の合計確率を39%、上側を29%とした。下側への傾きは、富士通とTISへの売上集中、直接契約比率の低さ、足元の先行費用負担という会社固有の事実による。AI代替による工数減少はすでに各筋書きの数量に入れており、確率で同じ損失を重複して計上しない。一方、現預金と継続案件の利益を考慮すると、株主価値は事業利益だけから想像するほど低くない。結論は大幅な割安ではなく、約14%の安全域を持つ「やや割安」である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,717 円62 億円(+ 還元の換算額還元の合計 707 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 2,344 円39 億円、今との差 +16.5%、 期待の年率 +9.1%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 7,339 円123 億円 | 1,320 円22 億円 | +330.4% | +17.8% | 779 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 6,013 円101 億円 | 1,018 円17 億円 | +249.5% | +14.9% | 1,406 円24 億円 |
| 中立 | 32% | 3,489 円59 億円 | 697 円12 億円 | +108.1% | +8.5% | 1,340 円22 億円 |
| やや悲観 | 26% | 2,174 円36 億円 | 550 円9 億円 | +35.4% | +3.5% | 708 円12 億円 |
| 悲観 | 13% | 1,321 円22 億円 | 139 円2 億円 | −27.4% | −3.3% | 190 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,717 円62 億円 | 707 円12 億円 | +119.8% | +9.1% | 4,423 円74 億円 |
今の株価時価総額 2,012 円34 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 直接契約と高度案件が工数減少を補う 利益 8 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7,339 円123 億円
AIによってコード作成やテストに要する時間は減るが、同社は顧客の課題を解き、稼働後の責任も担う仕事へ移る。公共分野では法改正や基幹システムの更新、通信分野では認証基盤の高度化、金融分野では決済とセキュリティの需要が続く。技術者の高い定着率が顧客業務への理解を深め、直接契約比率が大きく上がる。
情報サービス分野でも、顧客が自社開発する部分と外部の専門家に任せる部分の役割が明確になる。案件の価格は単純なコーディング人月ではなく、設計や品質への責任を評価した水準で決まる。その結果、AIが開発効率を高めても販売人月相当の総量を維持し、名目単価も物価相当の上昇を実現する。営業利益率は現在を上回り、固定費の増加を吸収する。
無理な大型買収は行わず、技術者の育成と既存顧客の深掘りを優先する。長期の配当を増やしながら現金も積み上がり、財務上の安全域が拡大する。なお、この筋書きでもAI関連の新しい独立商品から大きな売上が生まれるとは想定しない。これまでの受託関係を高度な契約へ転換することだけで成立する上振れである。
- 公共:数量 839(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。販売人月は現在比1.00倍、単価は1.34倍。直接契約が増えて共通費控除前利益率18%。
- 通信:数量 744(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。専門性を保ち、人月は1.00倍、単価1.34倍。共通費控除前利益率20%。
- 情報サービス:数量 2,024(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。人月1.00倍、単価1.34倍。成果責任のある案件へ移行。
- 金融:数量 577(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。人月1.00倍、単価1.34倍。高度な品質保証の対価を維持。
- 製造その他:数量 1,278(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。人月1.00倍、単価1.34倍。組み込み開発の専門性を生かす。
倍率:2036年以降の名目成長率g_longはAIエージェント代替を反映して0%、資本コストkは7.25%。RONICはkと将来の事業ROEから評価するが、gが0%なので、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0725=13.79倍となる。営業からの税引後利益は純利益7.76億円から余剰現金45.07億円の税後利息約0.63億円を除いて測り、余剰現金の75%を別に足す。過去や現在の株式市場の倍率は使用しない。
確率:全五分野で現在と同程度の販売人月を維持し、物価分の単価上昇も通すには、直接契約と高度な案件への転換を継続的に成功させる必要がある。AI自体を独立商品として大きく売った実績は確認できないため、楽観でも数量の増加は見込まない。
やや楽観 20% 工数は減るが、直接契約と専門性で収益を維持 利益 6 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,013 円101 億円
開発工程の自動化で、これまで何人も必要だった仕事が少人数で終わるようになる。情報サービス分野では比較的標準化しやすい開発が減り、販売人月が現在を下回る。公共や金融でも同じ圧力が生じるが、既存システムの改修と本番環境の品質保証では専門家の関与が残る。通信分野は固有の技術要件が多く、他の分野より数量減少が浅い。
同社は人材採用の伸びを抑え、単価の低い再委託案件を見直す。直接契約比率を引き上げて顧客との議論に入り、業務設計、移行計画、障害対応までを一体で受注する。物価の上昇をおおむね単価に反映できるため、販売人月の減少ほど売上高は落ちない。高い技術者定着率が、採用し直す費用と顧客知識の喪失を防ぐ。
事業拡大のための大型買収はなく、採用と育成に使う資金を抑えることで現金を厚く保つ。配当性向の目安を守りながら株主に利益を戻し、2036年も既存顧客から安定した利益を得る。事業の堀は強い独占へ変わるわけではないが、規模に頼らない堅実な開発会社として生き残る。
- 公共:数量 755(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。人月0.90倍、単価1.31倍。共通費控除前利益率17.5%。
- 通信:数量 699(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。人月0.94倍、単価1.32倍。認証基盤の専門性が残る。
- 情報サービス:数量 1,700(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。人月0.84倍、単価1.30倍。標準的な開発工数が先に減る。
- 金融:数量 542(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。人月0.94倍、単価1.32倍。品質保証と顧客業務への習熟を評価。
- 製造その他:数量 1,150(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。人月0.90倍、単価1.31倍。組み込み関連の受注を維持。
倍率:長期名目成長率0%、k7.25%のため正当化PERは13.79倍。人月の減少と単価の変化は2036年の営業利益に反映済みであり、倍率にも同じ縮小を掛けない。純利益から2036年の余剰現金44.38億円に対する税後受取利息約0.62億円を除き、事業の稼ぐ力にPERを適用する。余剰現金は75%を株主価値へ加算する。
確率:販売人月が現在の84〜94%へ減ることを受け入れつつ、通信と金融を中心に単価を上げる筋書き。直接契約比率と粗利益率が既に改善している事実を評価するが、その進捗を過大には見込まない。
中立 32% AIが販売工数を削り、利益は縮むが事業は継続 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,489 円59 億円
顧客のシステム需要はなくならないが、その需要を満たすために購入される人間の開発工数は減る。情報サービス分野では画面、業務処理、テストの自動化が進み、最も大きな販売人月の減少が起こる。通信では認証基盤の専門性が残るものの、顧客自身のAI開発基盤が標準工程を内製化する。公共と金融も、業務知識は必要だが、同じ人数を継続的に発注する理由は弱くなる。
同社は採用計画を修正し、技術者を顧客折衝と品質責任へ振り向ける。直接契約は緩やかに増えるが、富士通とTISを含む大手経由の案件も引き続き多い。物価上昇に伴う人件費を単価に転嫁する交渉は続くものの、顧客がAIによる工数削減を値段に反映させるため、単価上昇は物価に届かない。売上高は約39.6億円へ縮み、営業利益率も約8%になる。
過去の高いROEは、利益の減少と利益留保による自己資本の増加によって低下する。会社は大きな買収を行わず、配当性向35%程度を維持する。営業からの利益と預金利息が合わせて利益を支え、余剰資金は増える。かつての成長企業ではなくなるが、顧客のシステムを理解して守る会社として存続する10年である。
- 公共:数量 621(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。人月0.74倍、単価1.25倍。公共調達の価格制約で物価1.34倍に届かない。
- 通信:数量 498(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月0.67倍、単価1.25倍。通信事業者の開発効率化が外注数量を減らす。
- 情報サービス:数量 1,235(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。人月0.61倍、単価1.22倍。標準的な業務開発のAI代替が最も進む。
- 金融:数量 427(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。人月0.74倍、単価1.26倍。品質保証は残るが作業時間は減る。
- 製造その他:数量 895(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。人月0.70倍、単価1.24倍。組み込み開発にも自動化が広がる。
倍率:AI代替で2036年以降の名目成長率を0%とし、資本コスト7.25%から正当化PERを13.79倍とする。中立の純利益3.05億円には、10年間の利益留保で増えた余剰現金37.32億円の税後利息約0.52億円が含まれる。したがって事業利益約2.53億円にPERを適用し、余剰現金37.32億円の75%を加える。約50.86億円の自己資本は利益累積から配当を控除したもので、現金の蓄積によって全社ROEは約6%に低下する。株式市場の過去の倍率は参照しない。
確率:全五分野を人月・工数型と分類し、数量が10年で現在の61〜74%に縮むとみる。これはAI代替の中立レンジ0.55〜0.75倍の範囲内である。値上げは物価上昇の全額には届かず、既存顧客との関係が損失を和らげる。
やや悲観 26% 大手元請けの内製化で発注工数が大幅に減少 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,174 円36 億円
大手SI企業はAIエージェントを社内開発基盤の標準機能に組み込み、発注する協力会社の数と人月を減らしていく。テラテクノロジーには顧客システムに詳しい人材が残るが、かつて十人で担当した開発を少人数で進める契約へ更新される。特に情報サービスと通信では代替が早く、販売人月は現在の半分程度になる。直接契約の拡大も、元請け経由の受注減を補い切れない。
収益力を保つために採用を縮小し、外注費も削るが、研修、品質管理、管理部門には一定の費用が残る。顧客は開発効率の改善分を値下げとして要求し、名目単価の上昇は10年間の物価上昇より大幅に小さくなる。技術者の離職を抑えるため、人件費を機械的に引き下げることも難しい。営業利益は小さくなり、売上高は約26.3億円に縮む。
独自サービスや企業買収による急回復は見込まない。それでも借入の少なさと既存顧客との関係によって、会社がただちに資金難に陥るわけではない。株主還元は業績に応じて縮小し、内部留保を優先する。長期の競争優位は薄れるが、限られた専門分野で事業を続ける姿である。
- 公共:数量 462(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人月0.55倍、単価1.12倍。公共調達も外注工数削減が進む。
- 通信:数量 357(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人月0.48倍、単価1.12倍。通信事業者の内製化が進展。
- 情報サービス:数量 911(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。人月0.45倍、単価1.10倍。標準的な開発契約が失われる。
- 金融:数量 317(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月0.55倍、単価1.14倍。高い品質要求は一部の契約を守る。
- 製造その他:数量 665(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月0.52倍、単価1.12倍。組み込み開発への自動化が進む。
倍率:長期名目成長率0%、資本コスト7.25%とし、継続できる事業利益の資本還元価値を1÷kで測る。AIによる失注、採算低下、固定費負担はすでに営業利益1.27億円に反映されているため、倍率で同じ減価を繰り返さない。2036年の余剰現金32.39億円に対する税後利息約0.45億円を純利益から除き、余剰現金の75%を別に計上する。
確率:下に寄せる理由:主要な富士通とTISへの売上集中が高く、直接契約は32%である。大手元請けが自らAI開発基盤を整備した場合、同社は案件そのものを失わなくても購入工数の削減を強く受ける。数量へのAI影響はこの筋書きに入れ、確率で重ねて減価しない。
悲観 13% 人月商売の競争力を失い、現金価値が最後の支え 利益 −1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,321 円22 億円
生成AIと自律的な開発エージェントが標準的なシステム改修の大部分を担い、同社が売ってきた開発人月は大幅に減る。富士通やTISなどの大手元請けは自社の開発基盤を統合し、協力会社に発注するのは少数の特殊工程だけになる。金融や公共でも品質確認の責任は残るが、仕事量は大きく縮む。新規開発と後継案件の受注単価も上がらず、従来型の人月商売としての魅力を失う。
会社は人員を縮小し、事業所と管理費を削減するが、技術者の雇用調整には時間がかかる。縮小する案件を既存社員で分担するため稼働率が下がり、固定的な管理費と教育費が利益を圧迫する。売上高は約17.4億円に減少し、営業赤字に転じる。ChatCo!などの自社サービスが失われた開発売上を埋めるほど成長する証拠もなく、M&Aによる救済も前提にしない。
当初の数年に得た利益の一部は配当されるが、業績悪化後は還元を抑えて現金を守る。会社は小規模な保守開発を続けても、かつての成長力と価格交渉力を失う。株主価値を支えるのは将来の赤字事業に高い倍率を与えることではなく、現在保有する現預金と回収可能な債権など、実際に売却・回収できる資産である。
- 公共:数量 285(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月0.34倍、単価1.05倍。公共案件も大手の内製化を受ける。
- 通信:数量 223(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月0.30倍、単価1.04倍。通信基盤関連の外注需要が急減。
- 情報サービス:数量 648(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人月0.32倍、単価1.02倍。汎用的な受託開発の値段がほぼ据え置かれる。
- 金融:数量 219(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月0.38倍、単価1.08倍。専門性の残る案件も数量が縮む。
- 製造その他:数量 537(年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計))× 価格 0.01(販売人月相当あたりの売上(億円/人月))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。人月0.42倍、単価1.07倍。組み込み関連だけ一定量が残る。
倍率:2036年には営業赤字で将来の恒常的な事業利益が見込めないため、PERではなく回収可能な資産の床23.80億円を使う。現在の自己資本27.53億円に対するPBRは約0.864倍である。過去の市場PBRの底から決めた倍率ではない。赤字企業が10年間生き残るための現金消費は筋書きに反映するが、のれんを含まない回収可能資産が最終的な評価の基準になる。
確率:主要元請けの内製化、AI開発基盤の標準化、低単価の専門業者への切り替えが同時に進む構造的な敗北を想定する。既存顧客の継続受注に一定の抵抗力があるため最頻シナリオとはしないが、受託開発に売上が集中しているため無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
公共
行政・公共分野向けの業務システム開発、更新、改修。既存案件の業務知識が継続受注を支えるが、発注側や元請けによる工数削減を受ける。
| 数量年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計) | 価格販売人月相当あたりの売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 839 | 0.01 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 621 | 0.01 | 7 | 1 |
取り方:会社資料の公共向け売上7.13243億円を使用。実際の受注人月・平均契約単価は非開示なので、公共系開発の専門性と国内SES案件の月額単価分布を参考に85万円/人月を仮定し、売上を割って839.1販売人月相当と推計した。市場規模は国内ITサービス市場70205億円の15%を公共需要とする分析上の仮定で約10531億円、同社の推計シェアは0.068%。分野別の実測市場シェアではない。分野別営業利益は非開示のため、共通費控除前の仮定利益率16%による参考値である。AIエージェント代替の型は人月・工数で売るSI受託であり、記録の正本の型ではない。
通信
通信ネットワーク、認証、関連業務システムの開発と改修。技術的な専門性はあるが、通信事業者の投資計画と内製化方針に左右される。
| 数量年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計) | 価格販売人月相当あたりの売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 744 | 0.01 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 498 | 0.01 | 6 | 1 |
取り方:会社資料の通信向け売上7.06566億円を使用。認証や通信基盤の開発難度を反映した契約単価95万円/人月を分析上の仮定とし、743.8販売人月相当と推計した。国内ITサービス市場の8%を通信分野と仮定すると市場規模は約5616億円、推計シェアは約0.126%。この市場配分と単価は会社やIDCの開示値ではない。分野別営業利益は非開示のため、共通費控除前利益率17%を仮定した。AI代替の型は人月・工数のSI受託であり、通信会社の持つ顧客情報を同社独自の記録基盤としては評価しない。
情報サービス
クラウド、企業向け業務システム、電子商取引や情報流通に関わる受託開発。全社最大の顧客分野。
| 数量年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計) | 価格販売人月相当あたりの売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,024 | 0.01 | 17 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,235 | 0.01 | 13 | 2 |
取り方:会社資料に開示された情報サービス分野売上17.20380億円が出発点。クラウドと業務システムの混在を考慮し、85万円/人月を仮定すると約2024販売人月相当になる。国内ITサービス市場の27%をこの分野に対応させる分析上の市場規模は約18955億円で、推計シェアは約0.091%。市場の業種別内訳、数量、単価はいずれも会社非開示の推計であり、実際の案件件数を示さない。分野別利益は共通費控除前利益率15%の仮定。AI代替の型は人月・工数のSI受託とし、画面操作や標準コードの自動化を大きく受ける。
金融
金融機関の業務処理、決済関連、周辺システムの開発と改修。品質要求は高いが、台帳や顧客記録を自ら所有する事業ではない。
| 数量年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計) | 価格販売人月相当あたりの売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 577 | 0.01 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 427 | 0.01 | 5 | 1 |
取り方:会社開示の金融向け売上5.47855億円を使用。品質保証や顧客業務への習熟が求められるため、契約単価95万円/人月を仮定して約577販売人月相当とした。国内ITサービス市場の20%を金融向けとする市場規模約14041億円に対して推計シェアは約0.039%。この分野配分と単価は実測値ではない。営業利益は分野別に非開示なので共通費控除前17%を仮定した。顧客の金融記録を開発受託会社が独占する証拠はなく、AIエージェント代替では人月・工数の型を採用する。
製造その他
製造業の業務システム、組み込み開発、IoT関連、その他の開発。独自サービスへの取り組みも含まれるが、独立した製品売上は確認できない。
| 数量年間販売人月相当(自社・協力会社・請負を含む推計) | 価格販売人月相当あたりの売上(億円/人月) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,278 | 0.01 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 895 | 0.01 | 9 | 1 |
取り方:会社資料の製造その他売上10.60977億円を使用。組み込み開発と一般的な業務システムの混合を反映し、83万円/人月を仮定して約1278販売人月相当とする。国内ITサービス市場の30%を製造その他に配分する仮の市場規模約21062億円に対し推計シェアは約0.050%。分野別利益は非開示なので共通費控除前12%とした。独自サービスChatCo!等の契約数、解約率、売上が非開示であるため、記録の正本の堀に相当する売上比率を確認できず、全体を人月・工数の型で慎重に評価する。
リスクと懸念
AI エージェント代替
システム設計、プログラミング、テスト、仕様書作成などの標準工程は、AIエージェントによる自動化が進む可能性が高い。顧客が求める機能は減らなくても、購入する人月が減れば同社の売上は縮む。全五分野を人月・工数で売るSI受託型とし、中立で販売人月が10年後に0.61〜0.74倍となるリスクを反映した。記録の正本を所有する企業のような継続成長は前提にしない。
富士通とTISへの売上集中
2026年3月期は富士通が売上の17.8%、TISが15.7%を占める。二社合計で33.5%に達し、直接契約比率は32.0%にとどまる。元請けがAI開発基盤を導入して協力会社への発注を絞ると、同社は顧客との関係が続いていても数量を失う。主要取引先の外注政策が変化した場合は、複数分野に同時に打撃が及ぶ可能性がある。
採用先行と稼働率の悪化
技術者の採用、研修、資格取得への支出は、将来の案件獲得に先行する。需要が予想ほど増えなければ待機時間が生まれ、人件費の固定性が営業利益を圧迫する。2027年3月期第1四半期には利益率低下が見られ、技術者数の増加と増分利益は同じではないことが分かる。AIによって必要人員が少なくなる局面では、採用計画を見直す速さが資本効率を左右する。
継続受注率の解釈を誤る危険
94.0%という数字は前年度からの継続案件や後継・同種案件に関連する売上の割合であり、解約率6%を示すものではない。仕事が続いても顧客が買う工数や単価は変わりうる。これを規制で守られた契約収益や独自データの所有権と同じ堀として評価すると、AI代替や元請けによる内製化の影響を過小評価することになる。
余剰現金の資本配分
現預金の厚さは企業の存続を支えるが、すべてが自動的に少数株主へ返るわけではない。大規模買収、新規サービスへの過剰投資、収益力の低下を補うための固定費支出で現金が減れば、資産価値による下支えは弱くなる。創業者側の持株比率が高いため、少数株主の希望する時期に還元を実行できる保証はない。配当政策の維持と資本配分の規律が重要である。
株式希薄化と資産価値の過大評価
新株予約権の行使によって既存株主の持分が薄まる可能性があるため、現在の株数のままで2036年の価値を割り戻すのは危険である。また、定期預金を含む現預金の額を確認することは重要だが、売掛金、契約資産、保険積立金などは帳簿額どおりに全額換金できるとは限らない。悲観の床は負債を控除し、回収率に保守的な割引を加えて評価した。
今後の分かれ目
- 直接契約比率が32%から50%超へ継続的に上昇し、売上総利益率も改善したら
- 元請けに依存しない価格決定力が強まった証拠となる。販売人月の減少を抑える、または工数減少を契約単価で補える可能性を評価し、やや楽観以上の筋書きの確率を引き上げる。
- AIを用いた開発の成果報酬契約や独自製品について、売上金額と粗利益が継続的に開示されたら
- 新しい事業形態が実際の収益になった部分だけを人月型から分離する。売上金額、契約更新率、顧客の移行負担を確認し、証拠に応じて数量減少と長期成長率を再評価する。単なるAI導入の発表では評価を上げない。
- 富士通またはTIS向け売上が大幅に減少し、他の直接取引で補えなかったら
- 元請けの内製化や調達変更が現実化したと判断する。各分野の販売人月を下方修正し、やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 開発技術者数が増える一方で稼働率や一人当たり粗利益が下がり続けたら
- 採用費用が高い増分利益に結びついていないと考える。中立の利益率を引き下げ、10年の利益留保額と余剰現金の積み上がりを見直す。
- 配当性向35%以上の目安が維持され、さらに継続的な自社株買いまたは大幅増配が確認されたら
- 余剰現金の株主への帰属を75%から100%に見直す余地が生まれる。ただし、自己株式を新株予約権に交付する行為と、既存株主の持分を増やす純粋な自社株買いは区別する。
- 営業利益が赤字に転じ、現預金も数年続けて減少したら
- 現金を回収可能な床として見る前提を点検する。採用抑制、固定費削減、事業縮小の実行状況を確認し、現金消費が続けば悲観の資産価値自体を引き下げる。
見ておくもの
- 富士通・TIS・ソフトバンク等の主要顧客別売上比率と大手元請け経由の案件比率
- 最終顧客との直接契約比率、契約単価、売上総利益率の推移
- 開発技術者数、稼働率、一人当たり売上高と粗利益、採用・研修費用
- 前年度からの継続受注に関係する売上割合と、実際の受注人月・案件単価の開示
- AIによる開発工数削減率と、その効率化利益を誰が取得しているか
- 現金及び預金と現金同等物の差額、定期預金、営業キャッシュフロー、配当総額
- 新株予約権の行使状況、自己株式数、配当性向と資本配分の変化
- ChatCo!等の独自サービスについての契約数、売上高、解約率、継続粗利益
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去のPERを起点にせず、会社開示の五分野別売上を人月相当の数量と名目単価に分け、AIエージェント代替の中立レンジを各分野に適用した。単価には今後10年の物価上昇を一度だけ含め、数量の側には含めない。共通費は2026年3月期の推計額約1.57億円を物価上昇に沿って約2.10億円に増やした。純利益は営業利益と受取利息から求め、配当後に積み上がる現金を利益の倍率評価から切り離す。2036年以降の成長率は0%、資本コストは7.25%とし、正当化PERは13.79倍である。悲観では赤字事業に倍率を付けず、回収可能な資産から価値を求めた。株式の希薄化と配当の時間価値も反映する。五つの筋書きの割引現在価値は既存株主持分ベースで約39.32億円、2026年10月23日の時価総額34.53億円との差は約+13.9%となる。この結論に近づくよう数量、倍率、確率を逆算していない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の資本コスト7.5%から、厚い純現金による財務上の強さだけ0.25ポイント下げ、7.25%とした。会社固有の顧客集中やAI代替は事業シナリオで扱い、資本コストには加算しない。