結論
デジタル・インフォメーション・テクノロジー(DIT)は、企業の業務システム、運用、車載ソフトの開発・検証を支える独立系のIT会社である。長期保有を前提にした結論は「割高」だ。長年の増収と高い資本効率は本物だが、売上の大半を人の作業時間に結び付けて請求する仕組みが、これからの10年では弱点になる。
2026年6月期は売上約256億円、営業利益約31億円で、純現金は約59億円ある。運用や安全に関わる検証は一朝一夕に顧客が乗り換えられない。一方、業務開発と組込み開発では、AIエージェントが仕様整理、コード作成、試験を代行するほど、同じ仕事を終えるための請求工数が減る。顧客のIT予算が増え続けても、DITの取り分が増えるとは限らない。
xoBlosの導入企業は累計580社を超え、WebARGUSも独自の防御技術を持つ。しかし、両製品を合わせたプロダクト分野は全社売上の8%ほどであり、長期の解約率や継続値上げ実績は確認できない。自社製品が受託開発に代わる収益の柱へ育つかが、今後の分かれ目になる。
5つの筋書きを現時点に割り戻すと、適正な企業全体の株式価値は約206億円で、基準時価総額約318億円を約35%下回る。現金と還元を見落とした割高判定ではない。技術者の時間を売る形から、顧客に残る成果と不可欠な機能を売る形へ転換できた証拠がそろうまでは、長く持つ株主が十分な安全域を確認できる値段ではない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の視点では、まず10年後の顧客が何にお金を払うかを考える。システムを安全に動かす責任、実機で確かめる検証、止めてはいけない業務を引き受ける信用は残る。しかし、何時間プログラムを書いたか、何人を運用に配置したかという料金の物差しは残るとは限らない。売上が過去10年のように伸びた事実より、顧客が同じ成果に同じ金額を支払う理由を持つかが本質的だ。
DITは重たい設備をほとんど必要とせず、自己資本に対して高い利益を上げてきた。顧客と現場で培った信頼も資産である。とはいえ、その信頼を使って再投資した時の収益性が、AIエージェントの普及後にも高いとは証明されていない。追加採用による売上拡大は、今後は新しいコード生成能力よりも、顧客の業務責任を負う力によって差がつく。
資本配分では、内部留保を何でも成長投資に回すより、成果連動契約やセキュリティ技術に使い、採算が合わなければ株主へ戻す規律を求める。経営陣が配当を増やしている点は評価するが、買収した事業やソフトの販売権を持つことは、競争から守られた利益を持つことと同じではない。純現金の一部には価値があるが、全額をいつでも株主が引き出せると考えるのも誤りだ。
最も難しいのは2036年以降の寿命である。保守と実機試験は続いても、利益の大半を生む仕事の量が縮むなら、10年後の利益に永続的な成長を加えて高く値付けするのはできない。今の価格は、良い経営と強い財務を既に相当買っている。会社の質は認めても、その先の変化に対する安全域まで十分だとは認められない。
何で稼ぐ会社か
DITの収入源は六つの仕事に分けると見通しやすい。業務システム開発は通信、公共、ERP、医薬関連の顧客から設計・開発を受託する。運用サポートは稼働済みのシステムを監視・保守し、クラウドやデータ分析も支える。両者で売上の約55%を占め、顧客の継続案件を土台に技術者の稼働から収入を得る。
次の約33%は組込みシステムの開発と検証である。自動車の制御・先進運転支援、半導体、産業機器向けのソフトを作り、専門機材を用いた試験や実車・実地でのフィールドテストも受ける。組込み検証には現物に触れなければ終わらない工程があるため、机上のソフト開発と同じ速度では代替されない。ただし、試験項目の生成や判定はAIと自動化設備に置き換わる。
残るプロダクト分野には、改ざん検知・復旧のWebARGUS、ランサムウェア対策のSentinelARGUS、Excel業務を自動化するxoBlos、データ変換のxFormly、電子契約周辺開発、ジャングルのソフト販売が含まれる。ライセンス、保守、個別開発、再販が混在し、純粋な定額課金だけではない。システム販売は中小企業向けの「楽一」や機器・保守を扱い、全社の約4%だ。
会社が開示する利益の正式な区分は、ソフトウェア開発とシステム販売の二つに限られる。六つの売上は開示されるが、それぞれの営業利益、稼働契約数、単価、解約率はそろっていない。したがって数量の起点は、実際の従業員数、業界の人月単価、製品の公表料金から請求工数や契約件数を推定する必要がある。売上高をそのまま数量に言い換えたわけではなく、推定の幅は価値判断の不確かさとして残す。
優良さと弱いところ
優良さの根拠は、難しい現場に人を送り込み、長期間にわたり仕事を任されてきたことだ。2026年6月期の連結従業員は1,585人で、受託分野は専門家の経験と納期を守る信用が収益を支える。運用サポートは主要顧客内の取引割合が伸び、車載検証には実機設備と現場経験がある。乗り換えには手順の移管や安全性の再確認が必要だが、代替不能というほどではない。2026年9月にはQNXのパートナープログラムにも参加した。安全性の高い組込み領域への接点になるが、契約売上の金額はまだ確認できない。
資本効率は目立つ。2016年から2026年に純利益は約4億円から約21億円へ、自己資本は約20億円から約91億円へ増えた。両者の増分で粗く測った自己資本の稼ぎは2割を上回り、通常の株主資本コストを大きく超える。ただし人材育成費や研究開発の多くは費用として処理されるため、帳簿上の増分ROICをそのまま再投資の将来利回りとみなすのは危険だ。顧客がAIによる生産性改善分を価格交渉で取り戻せば、過去の効率は維持できない。
値決め力を示す証拠は限定的だ。システム販売では「楽一」保守料金の改定に成功したが、受託開発全般で継続的に物価を超える単価引き上げを通した記録は見つからない。xoBlosの導入累計580社超は強みの芽であって、年5%未満の解約率、法改正ごとの値上げ、顧客の原本データを預かる共通基盤といった堀の証拠ではない。独自製品を持つ普通の堀であり、広く深い独占的な堀とは判定しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のITサービスへの支出は増えている。IDC Japanの予測では2024年の国内市場は約7兆円、2029年は約9.7兆円で、古い基幹システムの刷新とクラウド移行が需要を支える。しかし、この市場規模は企業が支払う金額であって、発注する技術者の人数や工数を保証しない。AIエージェントが開発・試験・運用の作業を統合すると、市場全体の案件数が増えても人月の単価や作業量は圧縮されうる。
DITの業務開発と運用の売上は約141億円で、2025年の国内ITサービス市場推計約7.5兆円の約0.19%にすぎない。NTTデータ、TIS、BIPROGY、DTS、システナなど大手・中堅と、各顧客の内製部隊が競争相手だ。参考として2026年3月期の連結売上を約7.5兆円の市場で単純に割ると、TISは約8%、BIPROGYは約6%、システナは約1%となる。これらには機器販売や海外取引などが含まれ、公式の同一定義による競合シェアではない。2036年の国内市場を2030年前後からは物価程度の成長とする独自試算でも、中立のDITの取り分は約0.10%へ落ちる計算になる。
車載・組込みには別の潮流がある。矢野経済研究所は外部開発・半導体メーカー等を含む国内車載ソフト市場を2025年約6,790億円、2030年約1兆118億円と見込む。DITの組込み開発・検証の売上約83億円を丸ごと割れば約1.2%だが、DITには車載以外の案件も含まれるため実際の車載シェアの上限的な比較であり、確定シェアではない。ソフトウェア定義車両への移行は試験需要を増やす半面、自動車メーカーによる内製化と共通プラットフォーム化も促す。
自社製品の戦場でも規模差は大きい。xoBlosはMicrosoft Power AutomateやUiPathに、WebARGUSは大手セキュリティベンダーの多層防御に囲まれる。国内情報セキュリティ市場全体は2兆円に近く、仮に同社のプロダクト売上を全額算入しても約0.11%にとどまるが、実際には別の製品も含むため固有のシェアはもっと小さい。10年で市場が拡大しても、標準プラットフォームを握る側に価値が移る可能性を中心に考えるべきだ。
資本政策と M&A
株主還元は着実に前進した。会社は配当性向50%以上を基本方針とし、2027年6月期も増配と記念配当を含む配当方針を示している。2024年には約4.8億円の自社株式を取得した。2026年6月期の純利益は前年から減ったが、配当は増えた。長く持つ株主にとって評価できる一方、5年の配当性向の中央値は約4割で、恒常的な総還元性向100%を約束したわけではない。
2025~2027年の中期計画は最終年度の売上267億円、営業利益32億円、利益率約12%、ROE25%以上を目標とし、配当性向50%以上を掲げる。原計画には営業キャッシュフロー100億円規模の使途として、M&A30億円、研究開発・事業強化・人材・設備35億円、株主還元35億円という配分構想がある。ただしこれは実行済みの買収や自社株買いの確約額ではない。2030年の売上500億円、営業利益50億円という長期目標は、AIによる業態変化を受けて見直しを検討中である。
シンプリズム、ジャングル、システム・プロダクトの買収や出資で人材と販路を広げたが、買収案件別の投入資本利益率は開示されていない。直近期には投資先の評価損も生じた。純現金約59億円は魅力だが、預金以外の投資有価証券をすべて換金できる余剰資金とは扱わない。利益の伸びと買収後の統合費用を比べ、資本コストを超える再投資が続くかを確認したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
DITには、画面を作るだけの開発会社とは違う長所がある。車載制御の組込みや実機検証では、メーカーごとの安全基準、試験設備、現場の不具合履歴が仕事の障壁になる。運用サポートでは顧客の稼働環境を理解した担当者を頻繁に入れ替えることは難しい。AIがコードを作れても、停止したシステムの責任を誰が負うかという問題は解けない。その部分の価値に顧客が引き続きお金を払えば、作業時間が減っても利益率を保てる。
自社製品も見過ごせない。WebARGUSの改ざん検知・瞬間復旧は、攻撃が高度化するほど需要が強まりうる。xoBlosはExcelと周辺システムとのデータ連携に入り込み、累計導入企業が580社を超えた。大手顧客が複数部門へ利用を広げれば、新規契約を大量に取らなくてもライセンス・保守を積み上げられる。組込み向けのRezOTやAIによる検証支援も、既存顧客へ売る入口にはなる。
また、直近の純現金は約59億円と厚く、ほぼ無借金のため、開発単価の転換期でも資金調達に追われにくい。会社は配当性向50%以上を掲げており、従業員育成と研究開発に使いきれない現金が還元される余地がある。人月課金を維持するのではなく、請け負う結果の責任と安全性を売る契約へ切り替えられれば、10年後に高い利益率を維持する道はある。ただしAI製品の売上金額が確認できない現状では、新事業の大幅増収を前提にせずとも、既存取引の維持と物価に沿った価格改定だけで上振れ余地を説明できる。
慎重な見方
DITの主力は、AIエージェントが直接攻める仕事である。業務システム開発、運用サポート、組込みソフト開発、検証の大部分は、人が設計し、書き、動かし、調べることに対価が支払われる。AIの普及で工数が半分になれば、顧客は従来の請求時間を当然とは受け入れない。社内の開発担当をAIで増強した大企業が外注を減らし、外注を続ける場合も受注側に価格引き下げを求める。受託側が自動化で得た生産性の利益を独り占めする仕組みはない。
会社に固有の脆さもある。2026年6月期は組込み分野の自動車関連顧客が投資を絞り、米国のEV関連試験案件も影響を受けた。受注残高は前年から減少しており、現在の案件がそのまま10年間続く保証はない。プロダクト分野ではxoBlosの売切りライセンスの反動や個別開発の追加工数が利益を圧迫した。成果物の追加対応が続けば、AI導入がむしろ案件採算の管理を難しくする。
自社製品を持つことだけでは広い堀にならない。xoBlosはデータの正本を預かる金融基盤ではなく、Excel処理を効率化する道具だ。Microsoftの業務自動化やAIエージェントが直接ファイルを処理するなら、利用者が操作する画面と席数の価値は細る。WebARGUSにも世界的なセキュリティ大手との比較がある。累計導入企業数の増加だけで、既存顧客の解約率、値上げの受容度、法令上の必須性は証明できない。買収で売上高を積み増せても、統合失敗やのれんの減損が起きれば株主の資本を減らしかねない。
どちらに重みを置いたか
保守の継続性、実機試験の必要性、純現金の厚さでは強い根拠がある。一方、全社の約9割が人の工数に近い収益である事実と、自社製品の堀を裏付ける解約率・値上げ実績の不足は、10年の価値を慎重にする理由だ。下側の確率は合計38%、上側は30%とした。中立の工数縮小と長期成長ゼロにはAI代替をすでに反映し、下側へ寄せた追加の理由は、車載需要の投資抑制、受注残の減少、個別案件の採算問題というDIT固有の事実である。最終的な価値が今の時価総額を約35%下回るのは、利益を生む技術を否定するためではなく、収益の形が変わるリスクと株主に戻る現金の両方を評価した結果だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 932 円275 億円(+ 還元の換算額還元の合計 336 円99 億円)。 今の値に割り戻すと 700 円206 億円、今との差 −32.8%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 1,907 円562 億円 | 550 円162 億円 | +136.0% | +10.4% | 295 円87 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,502 円443 億円 | 448 円132 億円 | +87.4% | +7.5% | 351 円103 億円 |
| 中立 | 32% | 983 円290 億円 | 356 円105 億円 | +28.7% | +3.0% | 429 円126 億円 |
| やや悲観 | 25% | 322 円95 億円 | 251 円74 億円 | −44.9% | −7.2% | 143 円42 億円 |
| 悲観 | 13% | 292 円86 億円 | 98 円29 億円 | −62.5% | −10.3% | 51 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 932 円275 億円 | 336 円99 億円 | +21.9% | +2.3% | 1,269 円374 億円 |
今の株価時価総額 1,041 円307 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 顧客の責任を引き受け、工数減少を利益率で吸収 利益 38 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,907 円562 億円
運用の現場で障害対応を任され、組込み検証では実機と安全性の責任を長期契約で引き受ける。AIが設計やコードを作る時間を短くしても、顧客は完成した仕組みの検証と責任分担に料金を払い続ける。DITは固定価格や成果に応じた契約を増やし、削減できた工数の利益を自社にも残す。取引を失わない範囲で物価に沿った価格改定が進み、開発・運用・検証の稼働工数は現状のほぼ9~10割を保つ。
WebARGUSの復旧機能とxoBlosの既存利用企業への横展開は収益を支え、車載以外の産業機器・防衛の試験案件にも広がる。もっとも、売上金額が開示されたAIエージェント商品は見当たらないため、新事業が突然急成長することは見込まない。自社株買いと配当を続ける一方、M&Aは専門家を確保できる小規模案件に絞る。
競争相手は依然として大手SIや顧客の内製チームだが、現場責任と安全基準が切り替え費用になる。投じる資本は少なく、利益率が一段改善する。長期の堀が独占へ変わるわけではなく、顧客の信頼を現金へ変える経営が続いた成功例となる。
- 業務システム開発:数量 518(有償開発人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.21(1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円))→ 売上 111 億円・営業利益 17 億円。数量は2026年の0.99倍、名目単価は1.34倍。通信・ERP等の請求工数。成果報酬への移行が証明されない限りAI代替の型を適用。国内ITサービス市場を2029年9兆6,625億円以降は年3%の名目成長とすると、2036年約11.9兆円に対する業務+運用の合算市場比は約0.16%(2025年約0.19%、市場定義の違いを含む参考値)。
- 運用サポート:数量 380(運用・保守有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.19(1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円))→ 売上 74 億円・営業利益 11 億円。数量は2026年の0.96倍、名目単価は1.34倍。運用自動化で請求工数が縮小するが、障害対応責任は残る。
- 組込みシステム開発:数量 349(組込み開発有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.23(1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円))→ 売上 80 億円・営業利益 14 億円。数量は2026年の0.99倍、名目単価は1.34倍。車載・半導体に加え産業機器へ分散、なお開発は工数型。組込み+検証を全額車載に見立てた市場比は2036年の車載協力会社側名目市場試算に対して約0.91%で、非車載売上を含むため上限的な比較にすぎない。
- 組込みシステム検証:数量 154(実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計))× 価格 0.20(1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。数量は2026年の0.99倍、名目単価は1.34倍。現物・フィールド試験の残存需要を反映し工数減少を開発より緩めた。
- プロダクトソリューション:数量 702(ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。数量は2026年の0.99倍、名目単価は1.15倍。xoBlos席・操作画面とWebARGUS防御ライセンスの混合。正本型に格上げしない。
- システム販売:数量 326(楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計))× 価格 0.04(1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。数量は2026年の1.00倍、名目単価は1.32倍。楽一の席・画面部分は圧力、PC更新と訪問保守は物価要因が残る。
倍率:AIエージェント代替で2036年以降のg_long=0%とするため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はRONICの高さによらず1÷資本コスト7.25%=13.793倍となる。PERを市場の過去倍率から選ばず、この式の上限そのものにする。余剰現金60億円の税後利息0.840億円はPERを掛ける利益から除き、現金の戻り方75%を別建てで足す。
確率:車載・運用の専門性を成果物の価値に結び付け、AIの省力化利益を顧客と分けつつ利益率を高める難しい転換が必要なため12%に限る。新AI商品の数値化された売上はないので数量拡大を前提にしない。
やや楽観 18% 工数は減るが保守・実機試験の単価を守る 利益 30 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,502 円443 億円
2027年までの会社計画はおおむね達成し、業務システムの刷新と運用支援の案件は続く。AIにより技術者一人が終えられる仕事が増え、顧客も開発・テストの見積工数を削り始める。それでも重要システムの保守と実機試験は受託側の責任が残り、DITは請求工数を現状の8~9割前後にとどめる。単価改定は進むが、画面中心のxoBlosでは価格上昇が物価を下回る。
メーカーの車載投資は波を打つものの、医療機器や産業機器で閑散期を埋める。WebARGUSの更新契約と導入時の支援収入が残り、プロダクト分野が売上減少の一部を補う。買収は運用人材・技術分野の補完に限り、買収前の高収益を無条件に引き継ぐとは考えない。
開発の自動化による工数減少が始まっても、現場の経験を有する会社には発注が残る。利益率は仕事を選ぶ力と費用の管理によって現状を上回り、配当も継続する。ただし市場全体の成長ほど同社の売上は増えず、長期では需要を独占できる事業ではない。
- 業務システム開発:数量 455(有償開発人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.21(1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円))→ 売上 98 億円・営業利益 13 億円。数量は2026年の0.87倍、名目単価は1.34倍。通信・ERP等の請求工数。成果報酬への移行が証明されない限りAI代替の型を適用。2036年の国内ITサービス市場約11.9兆円に対する業務+運用の合算市場比は約0.14%。
- 運用サポート:数量 337(運用・保守有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.19(1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円))→ 売上 64 億円・営業利益 8 億円。数量は2026年の0.85倍、名目単価は1.32倍。運用自動化で請求工数が縮小するが、障害対応責任は残る。
- 組込みシステム開発:数量 310(組込み開発有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.23(1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円))→ 売上 71 億円・営業利益 11 億円。数量は2026年の0.88倍、名目単価は1.34倍。車載・半導体に加え産業機器へ分散、なお開発は工数型。2036年の車載協力会社側市場試算に対する組込み+検証の売上比は約0.82%。非車載売上を含む上限的比較。
- 組込みシステム検証:数量 143(実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計))× 価格 0.20(1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円))→ 売上 28 億円・営業利益 4 億円。数量は2026年の0.92倍、名目単価は1.33倍。現物・フィールド試験の残存需要を反映し工数減少を開発より緩めた。
- プロダクトソリューション:数量 652(ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。数量は2026年の0.92倍、名目単価は1.12倍。xoBlos席・操作画面とWebARGUS防御ライセンスの混合。正本型に格上げしない。
- システム販売:数量 326(楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計))× 価格 0.04(1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。数量は2026年の1.00倍、名目単価は1.30倍。楽一の席・画面部分は圧力、PC更新と訪問保守は物価要因が残る。
倍率:AIエージェント代替で2036年以降のg_long=0%とするため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はRONICの高さによらず1÷資本コスト7.25%=13.793倍となる。PERを市場の過去倍率から選ばず、この式の上限そのものにする。余剰現金53億円の税後利息0.742億円はPERを掛ける利益から除き、現金の戻り方75%を別建てで足す。
確率:既存顧客の運用責任と車載試験を生かして工数の減少を緩める実現余地はあるが、物価に沿う値上げを広く通す根拠が弱いため、上限を広げず18%とする。
中立 32% AIが工数を減らし、市場拡大より取り分が縮む 利益 19 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 983 円290 億円
企業のIT投資は続き、基幹系の更新と車載のソフト化も進む。だが発注者はAIエージェントを社内で使い、設計から試験までに必要な作業をまとめて自動化する。DITは継続顧客を保ちつつも請求できる工数を失い、業務開発では現在の約65%、運用では約62%が残る。組込みの設計は約70%、実機検証は約75%までの縮小にとどめ、物価上昇の大半は単価に反映される。
xoBlosやxFormlyでは既存導入先の一部がAI経由の処理へ移り、契約数と実質単価が細る。WebARGUSのセキュリティ機能は引き続き必要だが、プロダクト売上全体を押し上げるほどの独占性はない。システム販売にはPC更新と保守が残る一方、席数に結び付くソフト部分は減る。
採用拡大より人材の再教育と固定費削減が中心となり、全社売上は約225億円へ下がる。利益率は現在の最高水準を超えず、長期の純利益も現状に近いところで止まる。株主還元を続けても利益の留保で自己資本が積み上がり、ROEは低下する。IT産業が成長していても会社の取り分は減るという筋書きである。
- 業務システム開発:数量 340(有償開発人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.21(1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円))→ 売上 72 億円・営業利益 8 億円。数量は2026年の0.65倍、名目単価は1.32倍。通信・ERP等の請求工数。成果報酬への移行が証明されない限りAI代替の型を適用。2036年の国内ITサービス市場約11.9兆円に対する業務+運用の合算市場比は約0.10%で、2025年の約0.19%から低下。
- 運用サポート:数量 246(運用・保守有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.19(1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円))→ 売上 46 億円・営業利益 5 億円。数量は2026年の0.62倍、名目単価は1.28倍。運用自動化で請求工数が縮小するが、障害対応責任は残る。
- 組込みシステム開発:数量 247(組込み開発有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.22(1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円))→ 売上 55 億円・営業利益 7 億円。数量は2026年の0.70倍、名目単価は1.30倍。車載・半導体に加え産業機器へ分散、なお開発は工数型。2036年の車載協力会社側市場試算に対する組込み+検証の売上比は約0.64%。非車載売上を含む上限的比較。
- 組込みシステム検証:数量 116(実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計))× 価格 0.20(1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。数量は2026年の0.75倍、名目単価は1.30倍。現物・フィールド試験の残存需要を反映し工数減少を開発より緩めた。
- プロダクトソリューション:数量 581(ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。数量は2026年の0.82倍、名目単価は1.10倍。xoBlos席・操作画面とWebARGUS防御ライセンスの混合。正本型に格上げしない。
- システム販売:数量 293(楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計))× 価格 0.04(1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。数量は2026年の0.90倍、名目単価は1.25倍。楽一の席・画面部分は圧力、PC更新と訪問保守は物価要因が残る。
倍率:AIエージェント代替で2036年以降のg_long=0%とするため、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はRONICの高さによらず1÷資本コスト7.25%=13.793倍となる。PERを市場の過去倍率から選ばず、この式の上限そのものにする。余剰現金43億円の税後利息0.602億円はPERを掛ける利益から除き、現金の戻り方75%を別建てで足す。
確率:人月・工数型の4分野が大半を占めるため、AI代替の定めに沿って数量を10年で0.62~0.75倍、価格を物価相当以下とした。足元の運用拡大と実機検証の残存需要が、急崩壊を避ける中心的な根拠になる。
やや悲観 25% 外注工数の半減と値決め力低下が重なる 利益 8 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 322 円95 億円
大企業は社内のAI開発基盤を共通化し、定型コード作成、運用監視、試験項目の作成を自社で実施する。外注が残るのは障害対応や難しい組込み分野だが、大手SIが顧客との直接契約を握り、DITは下請け工数を競争入札で埋める比率が上がる。業務システムの請求工数は半分以下、運用サポートは4割に下がり、単価上昇も人件費の物価上昇に届かない。
自動車関連の投資抑制が長引き、半導体や産業機器の追加案件では不足分を補えない。実機検証は残るものの、自動化した設備が少人数で同じ試験を終える。xoBlosの一部顧客はAIとMicrosoftの標準機能へ移り、セキュリティ製品は売れても商流の拡大には至らない。買収先の統合負担と、採用済み人員の教育・配置転換費用も残る。
売上が約150億円へ下がる間、販管費は直ちに比例して減らせない。費用を圧縮して倒産は避けるが、営業利益は現状の3分の1程度になり、自己資本の稼ぎは資本コストを下回る。増配の余地は細り、還元総額も縮小する。
- 業務システム開発:数量 251(有償開発人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.20(1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円))→ 売上 49 億円・営業利益 4 億円。数量は2026年の0.48倍、名目単価は1.22倍。通信・ERP等の請求工数。成果報酬への移行が証明されない限りAI代替の型を適用。2036年の国内ITサービス市場約11.9兆円に対する業務+運用の合算市場比は約0.06%。
- 運用サポート:数量 159(運用・保守有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.17(1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。数量は2026年の0.40倍、名目単価は1.18倍。運用自動化で請求工数が縮小するが、障害対応責任は残る。
- 組込みシステム開発:数量 176(組込み開発有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.20(1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。数量は2026年の0.50倍、名目単価は1.20倍。車載・半導体に加え産業機器へ分散、なお開発は工数型。2036年の車載協力会社側市場試算に対する組込み+検証の売上比は約0.44%。非車載売上を含む上限的比較。
- 組込みシステム検証:数量 93.1(実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計))× 価格 0.18(1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量は2026年の0.60倍、名目単価は1.23倍。現物・フィールド試験の残存需要を反映し工数減少を開発より緩めた。
- プロダクトソリューション:数量 475(ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。数量は2026年の0.67倍、名目単価は1.02倍。xoBlos席・操作画面とWebARGUS防御ライセンスの混合。正本型に格上げしない。
- システム販売:数量 228(楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計))× 価格 0.04(1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量は2026年の0.70倍、名目単価は1.20倍。楽一の席・画面部分は圧力、PC更新と訪問保守は物価要因が残る。
倍率:10年後ROEが約5.4%と資本コスト7.25%を下回り、成長への再投資は価値を増やさない。g_long=0%の基本上限1÷k≈13.79倍を下回る10.0倍を、顧客の内製化と買収損失により収益の継続性が弱くなる構造敗北に限って適用。市場の過去PERは使わず、余剰現金22億円の税後利息を外して戻り率75%で別建て加算する。
確率:下に寄せる理由:2026年の車載・半導体関連顧客の投資縮減、EV案件の早期終了、受注残高の前年同期比約9%減、プロダクト個別案件の追加工数が確認され、AIによる工数減少以外の事業固有の下振れがある。
悲観 13% 工数市場そのものが壊れ、資産回収が価値の中心 利益 2 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 292 円86 億円
大手顧客は自社のAIエージェントと共通プラットフォームで開発・運用・試験をまとめ、外注の仕事量を急激に減らす。DITの業務開発の工数は約3分の1、運用は約3割まで下がる。車載でもソフトウェア定義車両の共通化が進み、従来の顧客ごとの小さな開発会社の役割が消える。実機試験は残るが、装置と自動判定の導入で人が請求できる時間は半分以下となる。
xoBlosの操作画面や席単位の課金はAIがファイルを直接処理する仕組みに代替され、製品分野は大きく細る。WebARGUSの防御技術は残るものの世界的大手との価格競争が厳しく、全社の収益を救う規模にはならない。人材の配置転換と買収先の事業整理で一時的な損失が発生し、利益は現在の1割程度まで落ち込む。
財務余力から即座の破綻は想定しない。しかし、営業利益に高い永続価値を付ける段階ではなく、今ある現金と回収可能な資産が価値の中心になる。のれんなどを除いた現時点の自己資本を悲観の床として守り、株主に戻る配当も減益に応じて大きく縮む。
- 業務システム開発:数量 178(有償開発人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.18(1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。数量は2026年の0.34倍、名目単価は1.14倍。通信・ERP等の請求工数。成果報酬への移行が証明されない限りAI代替の型を適用。2036年の国内ITサービス市場約11.9兆円に対する業務+運用の合算市場比は約0.04%。
- 運用サポート:数量 119(運用・保守有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.16(1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。数量は2026年の0.30倍、名目単価は1.10倍。運用自動化で請求工数が縮小するが、障害対応責任は残る。
- 組込みシステム開発:数量 134(組込み開発有償人年(請求工数換算、推計))× 価格 0.19(1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。数量は2026年の0.38倍、名目単価は1.14倍。車載・半導体に加え産業機器へ分散、なお開発は工数型。2036年の車載協力会社側市場試算に対する組込み+検証の売上比は約0.31%。非車載売上を含む上限的比較。
- 組込みシステム検証:数量 66.7(実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計))× 価格 0.18(1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。数量は2026年の0.43倍、名目単価は1.17倍。現物・フィールド試験の残存需要を反映し工数減少を開発より緩めた。
- プロダクトソリューション:数量 319(ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。数量は2026年の0.45倍、名目単価は0.90倍。xoBlos席・操作画面とWebARGUS防御ライセンスの混合。正本型に格上げしない。
- システム販売:数量 179(楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計))× 価格 0.03(1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量は2026年の0.55倍、名目単価は1.10倍。楽一の席・画面部分は圧力、PC更新と訪問保守は物価要因が残る。
倍率:業務の大部分を失い10年後のROEは資本コストより大幅に低い。純利益を持続成長する収益として評価せず、現時点の自己資本90.6億円に対する0.95倍で約86億円とする。悲観の資産の床は、現時点の自己資本90.6億円から買収のれん約4.8億円とその他無形資産約0.3億円を控除した85.5億円で、時価総額86億円はこれを上回る。2036年の積み上がった自己資本には掛けていない。
確率:AI工数代替に加え、主要顧客による開発内製化、車載のプラットフォーム統合、自社製品の席課金縮小、M&A減損が同時に起きる事業の構造敗北を13%とする。赤字・営業停止を既定にするわけではなく資産の床を確保する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
業務システム開発
企業の通信・ERP・公共・医薬関連の受託システム開発。請求工数の縮小はAIエージェント代替リスクそのもの。
| 数量有償開発人年(請求工数換算、推計) | 価格1有償人年当たり売上(億円。16百万円=1人月約133万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 523 | 0.16 | 84 | 9 |
| 10 年後 中立 | 340 | 0.21 | 72 | 8 |
取り方:2026年6月期の開示売上83.71億円、売上総利益22.11億円が起点。外部の受託開発見積り人月100万~250万円(https://www.siainc.jp/topic/outsourced-development-cost-factors-2025)を参考に、その範囲内のDIT推定単価として年額16.0百万円とし、売上÷年額から有償人年523.2を逆算した。連結従業員1,585人、うちソフトウェア部門1,484人と整合する範囲だが、人年は従業員実数ではなく外注・稼働率を含む請求工数であり、実契約件数の開示はない。営業利益9.13億円は有報のソフト開発セグメント利益29.18億円を各分野の開示売上総利益比で配分した推定で、分野別の公表営業利益ではない。AIエージェント代替の型は「人月・工数型」。参考:IDC Japanの2024年国内ITサービス市場約7.0兆円、2029年予測9.66兆円(https://smb-cloud.org/?p=1765)。2025年名目市場約7.5兆円に業務+運用141.17億円を割ると約0.19%。市場シェアは2分野を合算した同種支出の近似であり受託と保守が混在する。競合の売上高は会社公表の2026年3月期連結売上で、TIS5,964.79億円(https://www.tisi.jp/ir/highlights/actual/)、BIPROGY4,336.86億円(https://www.biprogy.com/com/com.html)、システナ944億円(https://www.systena.co.jp/ir/highlight/sales.html)。海外・物販を含むため数値は比較上限の目安であって同一市場における競合の正式なシェアではない。
運用サポート
企業システムの運用、クラウド整備、データ分析、Power Platform周辺の支援。監視自動化と顧客の内製化に晒される。
| 数量運用・保守有償人年(請求工数換算、推計) | 価格1有償人年当たり売上(億円。14.5百万円=1人月約121万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 396 | 0.15 | 57 | 6 |
| 10 年後 中立 | 246 | 0.19 | 46 | 5 |
取り方:2026年6月期の開示売上57.46億円、売上総利益15.02億円が起点。外部の受託開発見積り人月100万~250万円(https://www.siainc.jp/topic/outsourced-development-cost-factors-2025)を参考に、その範囲内のDIT推定単価として年額14.5百万円とし、売上÷年額から有償人年396.3を逆算した。連結従業員1,585人、うちソフトウェア部門1,484人と整合する範囲だが、人年は従業員実数ではなく外注・稼働率を含む請求工数であり、実契約件数の開示はない。営業利益6.20億円は有報のソフト開発セグメント利益29.18億円を各分野の開示売上総利益比で配分した推定で、分野別の公表営業利益ではない。AIエージェント代替の型は「人月・工数型」。
組込みシステム開発
車載制御・ADAS、半導体・産業機器などの制御ソフト開発。安全知識は残るがコード作成工数は減る。
| 数量組込み開発有償人年(請求工数換算、推計) | 価格1有償人年当たり売上(億円。17百万円=1人月約142万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 353 | 0.17 | 60 | 8 |
| 10 年後 中立 | 247 | 0.22 | 55 | 7 |
取り方:2026年6月期の開示売上59.97億円、売上総利益18.71億円が起点。外部の受託開発見積り人月100万~250万円(https://www.siainc.jp/topic/outsourced-development-cost-factors-2025)を参考に、その範囲内のDIT推定単価として年額17.0百万円とし、売上÷年額から有償人年352.8を逆算した。連結従業員1,585人、うちソフトウェア部門1,484人と整合する範囲だが、人年は従業員実数ではなく外注・稼働率を含む請求工数であり、実契約件数の開示はない。営業利益7.72億円は有報のソフト開発セグメント利益29.18億円を各分野の開示売上総利益比で配分した推定で、分野別の公表営業利益ではない。AIエージェント代替の型は「人月・工数型」。参考:矢野経済研究所の2025年協力会社側国内車載ソフト市場6,790億円、2030年予測1兆118億円(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3878)。組込み開発+検証の売上83.24億円÷2025年市場6,790億円=約1.23%は車載以外の案件も含むため市場比の上限的な近似であり厳密なシェアではない。
組込みシステム検証
車載・医療・産業機器等のラボ試験、現場試験、第三者検証。現物作業が含まれるが試験設計・判定は自動化する。
| 数量実機検証の有償人年(試験機器稼働を含む請求工数換算、推計) | 価格1有償人年当たり売上(億円。15百万円=1人月125万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 155 | 0.15 | 23 | 3 |
| 10 年後 中立 | 116 | 0.20 | 23 | 2 |
取り方:2026年6月期の開示売上23.27億円、売上総利益6.61億円が起点。外部の受託開発見積り人月100万~250万円(https://www.siainc.jp/topic/outsourced-development-cost-factors-2025)を参考に、その範囲内のDIT推定単価として年額15.0百万円とし、売上÷年額から有償人年155.1を逆算した。連結従業員1,585人、うちソフトウェア部門1,484人と整合する範囲だが、人年は従業員実数ではなく外注・稼働率を含む請求工数であり、実契約件数の開示はない。営業利益2.73億円は有報のソフト開発セグメント利益29.18億円を各分野の開示売上総利益比で配分した推定で、分野別の公表営業利益ではない。AIエージェント代替の型は「工数型と実機検証の混合」。
プロダクトソリューション
xoBlos、WebARGUS、SentinelARGUS、xFormly、電子契約周辺開発、ジャングル製品販売を含む。商品別売上や更新契約数は非開示。
| 数量ライセンス・導入・保守の300万円案件相当件数/年(推計) | 価格1案件相当売上(億円、300万円換算。個別商品単価ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 709 | 0.03 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 581 | 0.03 | 19 | 3 |
取り方:会社開示の分野売上21.26億円、売上総利益8.23億円を使う。xoBlos公式料金は端末年36万円、サーバー年60万円から、導入支援パックは300万円との別資料がある。ただし製品群にはWebARGUS、ジャングル再販、受託開発も含まれ商品別内訳が非開示のため、売上を300万円で割った708.7件は統一額面の「契約相当単位」であって実際の年契約数ではない。xoBlos累計580社は年間契約と異なるため分母に使わない。営業利益3.40億円は売上総利益比按分による推計。AIエージェント代替の型は「席・操作画面型とセキュリティ型の混合」。独自の正本DBや解約率5%未満など二つ以上の証拠が無く「記録の正本」型にはしない。公式の端末年36万円・サーバー年60万円からの価格(https://www.xoblos.com/product/index.html)、累計580社超の実績(https://xoblos.com/)、導入パック300万円の説明(https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2026/06/260603_3916.html)を参考にした。国内情報セキュリティ市場1兆9,471億円との比較では、この分野の全売上を仮に使っても0.11%が上限(https://www.yanoict.com/summary/show/id/808)。
システム販売
中小企業向け「楽一」、周辺PC、保守・訪問支援の複合販売。機器需要と利用者の操作画面依存が混ざる。
| 数量楽一・機器・保守の300万円販売契約相当件数/年(推計) | 価格1販売契約相当売上(億円、300万円換算。商品ごとの実取引件数ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 326 | 0.03 | 10 | 1 |
| 10 年後 中立 | 293 | 0.04 | 11 | 2 |
取り方:売上9.78億円、売上総利益3.43億円は会社開示。楽一、PC、保守の各販売数・価格は非開示なので、複合取引1件300万円と仮定して326件相当へ換算した。300万円は楽一の正式価格を意味しない仮定であり、複合単価が半額・倍なら数量推定は倍・半分になる。システム販売の公表セグメント利益1.345億円を採用し、社内取引消去との差は丸めに収める。AI代替では席・画面操作の部分を弱めに、PCや訪問保守は物価に近い単価で区別する。2026年6月期に楽一の保守価格改定が実際に行われており、競争上の値上げ余地があるのは主としてこの販売・保守の部分と判断する。
リスクと懸念
AI エージェント代替と人月単価の意味の変化
業務開発・運用・組込み・検証を合わせると売上の約88%が人月や工数と密接に結び付く。顧客がAIエージェントでコード作成、監視、検査を内製化すると、技術者不足でも外注工数は減る。中立の請求工数縮小と2036年以降の名目成長ゼロにこの影響を反映済みで、資本コストの寿命や確率へ機械的に重ね掛けしていない。固定価格・成果報酬案件への実際の移行額が最大の反証になる。
車載・半導体の発注周期と内製化
2026年6月期には車載と半導体関連の顧客が投資を絞り、米国子会社でもEV案件の見直しが発生した。SDV化は開発量を増やしても、自動車会社が共通プラットフォームとソフト内製部隊を持てば、DITの外部委託シェアを押し下げる。売上の約3分の1を占める組込み分野は、景気循環だけでなく受注の担い手が変わる危険を抱える。
xoBlos・楽一の画面とライセンス課金の代替
xoBlosは累計580社以上の導入を誇るが、現在の席数、商品単位の更新売上、解約率、法改正に合わせた値上げの継続実績は開示されていない。AIがExcelやCSVを直接扱うほど、利用者が画面を通して操作する対価を維持しにくい。システム販売には機器・訪問保守が残る一方、楽一のソフト部分は同様に標準クラウドとの競争を受ける。
受注残高の減少と個別案件の不採算化
2026年6月期末の受注残高は約50億円で、前年同期の約91%へ減った。電子契約周辺の個別開発では追加対応が発生し、プロダクトの総利益が減った。AIで開発手順が変われば見積工数・検収条件のずれが増えやすく、固定価格契約で追加作業を会社側が負担すると、売上高が横ばいでも利益を大きく失う可能性がある。
M&A・非流動資産と現金の還元可能性
シンプリズム、ジャングル、システム・プロダクトの統合が新しい顧客を作る一方、人材流出や減損を生むこともある。直近期には投資有価証券評価損が発生した。純現金をすべて余剰として評価せず、運転資金を残して28億円のみを分離した。買収資金へ積み上がる現金と、少数株主への配当・自社株買いとして戻る現金の違いを点検すべきだ。
案件集中・人材の技能転換・価格転嫁
業務開発では公共の高単価案件の反動が生じ、運用では一部大口顧客内でシェアを取ることで伸びた。専門知識の蓄積は強みだが、主要顧客が内製化すると影響も大きい。従来のコード技術者をAIの成果検証・顧客業務設計へ転換する教育費は先に必要であり、単価改定が伴わなければ人件費だけが上がり続ける。
今後の分かれ目
- 業務開発・運用の成果報酬・固定価格契約の構成比と売上が開示され、実際に増え続けたら
- 人月工数の縮小が全額売上減にならない証拠として数量と営業利益率を上方修正する。AI商品やAI代理業務で売上・受注の金額まで確認できて初めて楽観側の数量拡大を認める。
- xoBlosやWebARGUSの年間解約率が5%未満で、価格改定と大手顧客の利用増が複数年続いたら
- 切り替え費用と値決め力が数量で確認できるため、該当するプロダクト部分のみ堀と長期成長率を見直す。全社の人月事業まで自動的に強い堀へ格上げしない。
- 車載・半導体関連の受注残が再び増え、実機検証・産業機器案件が非車載の柱になったら
- 組込み開発と検証の請求工数を中立より上げて見積もる。逆に自動車会社の共通基盤内製化が進むなら、やや悲観側の数量を優先する。
- 受注残高が連続して前年割れし、ソフトウェア開発の売上総利益率も2年続けて下がったら
- 大口顧客の内製化または外注単価の圧縮が始まったと判断する。中立の工数縮小を前倒しし、固定費の残存を踏まえて利益率と還元額を下方修正する。
- M&A実行後の案件別売上総利益と投下資本利益率が開示され、資本コストを超えることが確認できたら
- 余剰現金を成長投資へ再配分する価値を認め、将来現金残高と営業利益率を整合的に見直す。逆に評価損やのれん減損が重なれば悲観確率を高める。
- 配当性向50%以上が継続し、株数がさらに実質5%以上減ったら
- 余剰現金の株主への戻り方を現在の0.75から1.0へ引き上げる。ただし配当・自社株買いは再投資余力からの資金流出でもあるため、自己資本と余剰現金から同額を控除する。
見ておくもの
- 業務システム開発・運用サポートの売上総利益額と利益率、1人当たり受注・売上の推移
- 組込み開発・検証の車載比率、実機試験の受注と米国EV関連案件の回復
- 有報の受注高・受注残高、追加工数・不採算案件の開示、採用・外注依存の変化
- xoBlosの純増契約数・解約率・更新額、WebARGUSの継続売上、価格改定の実績
- 成果報酬・固定価格契約への切り替えと、AIエージェント製品の実売上・実受注額
- 取得企業ごとの投入資本回収、自社株買い・配当と投資有価証券評価損の推移
- 2028~2030年中期計画における2030年売上500億円目標の修正幅とROE・還元目標
倍率と資本コストの決め方
2026年10月22日の価格と自己株式控除後の29,462,866株から現在の時価総額は318.49億円。株価を見る前に各分野の請求人年・契約相当件数と名目単価を10年分積んだ。人月型の中立数量は0.62~0.75倍、席・画面型の製品0.82倍とし、AIの影響は数量とg_long=0%へだけ反映した。資本コストは7.25%、楽観~中立の正当化PERは将来利益からの式の上限約13.793倍で、現時点・過去・同業のPERは参照していない。2036年のシナリオ別時価総額と10年間還元額を、前者は10年、後者は平均5年で7.25%割引すると、加重本質価値は206.25億円、現在との差は-35.2%となる。純現金と将来留保のうち株主に戻る見込みのある現金は、金利所得との二重計上を除いて加えた。悲観の時価総額86.07億円はのれん等を除いた自己資本の床85.5億円を超える。日本基準の2027年以後の新リース基準によるBS表示変更は、経済的な価値そのものと混同しない。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%による基準7.5%から、純現金の厚さを表す0.25ポイントだけ引く。個別の買収やAI代替の失敗は利益の筋書きに反映し、資本コストには加算しない。