結論
Geolocation Technologyは、IPアドレスからアクセス元の地域、企業、通信環境などを推定する独自データベースを持つ小型の情報サービス会社である。筆者の結論は「割高」だ。IP情報を継続収集する技術には価値があるが、長く持つ株主に帰属する利益と現在の時価総額との間には大きな隔たりがある。
主力の「SURFPOINT」と「どこどこJP」は、顧客のシステムに組み込まれるデータ基盤であり、単なる操作画面を売る業務ソフトとは違う。2026年6月期のサブスクリプション売上は5.89億円、前期比9.9%増だった。金融機関の不正対策、企業アクセスの分析、広告配信などに使われ、25年にわたるデータ収集の蓄積が競争上の強みになっている。AIが判断する時代になっても、判断材料となる正確な外部データには需要が残る可能性が高い。
ただし、データの価値と株主の利益は同じではない。2022年6月期に21%を超えた営業利益率は低下を続け、2026年6月期には営業赤字となった。サブスクリプションが増収でも、人員、データ基盤、本社拡張への投資が利益を上回っている。経営陣は2030年6月期に売上高30億円、営業利益率30%を目指すが、直近の売上高から4年で約4.2倍にする必要がある。現時点で、その規模の受注やAI関連の新規売上は確認できない。
10年後の中立では売上高約7.55億円、営業利益約0.70億円、純利益約0.43億円を見込む。データ事業の値上げや生産性改善は認める一方、AIエージェントが調査・分析・制作を代替し、海外データ事業者との競争が続くと考える。確率加重後の現在価値は約5.29億円で、基準時価総額15.86億円を約66.7%下回る。
現預金が厚く、差し迫った資金繰り危機は見えない。だが現金が十分あることだけでは、現在の企業価値を正当化できない。長期株主にとって問うべきなのは、データという資産を再投資によって高収益に変え、その利益を株主に還元できるかである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まずこの会社が何を持っているのかを分けて考える必要がある。現預金は明確に数えられる資産である。IPアドレスに情報を結びつける独自データベースも価値ある資産だが、売却できる金額が確認できない限り、その開発費や技術的な希少性をそのまま企業価値に足してはいけない。
次に考えるのは、事業が今後10年間に生み出すオーナー利益である。主力サブスクリプションが伸びても、データの更新、人材、システム、営業に費用がかかる。2026年の現実は、増収にもかかわらず赤字だった。利益が安定してから必要な再投資を差し引き、さらに余る現金こそ株主の取り分になる。
SURFPOINTの強みは無視できない。多様な属性を日々更新する仕組みには時間がかかり、顧客の運用システムに組み込まれれば一定の継続性も期待できる。ただし、海外の大手事業者を排除するほどの独占性はない。顧客単価の上昇は評価するが、低解約率と長期的な値上げ力が数字で十分に証明されるまでは、強い堀として高く買う理由にはしにくい。
再投資の利回りも厳しく見るべきである。2026年の開発投資が将来の受注と利益を増やすなら価値は生まれるが、人件費や維持費が先行し続ければ株主の現金を消費するだけになる。2030年の壮大な目標より、既存データ事業での増分利益、顧客の継続、投下資本に対する現金利益を確認したい。
最終的には価格と安全域の問題になる。現在の時価総額は約15.86億円で、足元は赤字である。純現金が厚く、良いデータを持つ会社であることと、どんな価格でも保有に値することは別だ。筆者は、長期の成長が相当程度実証されるか、価格に十分な安全域が生まれるまでは慎重に評価する。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はIP Geolocation事業である。インターネット上のIPアドレスに、地域、企業・組織、回線種別、通信環境、匿名化リスクなどの属性を結びつける。独自データベース「SURFPOINT」が情報の土台となり、「どこどこJP」はAPIを通じて顧客のシステムへ情報を届ける。APIはソフト同士がデータを受け渡す仕組みであり、利用者が画面を操作しなくてもサービスを提供できる。
会社によれば、SURFPOINTには膨大なIPv4・IPv6関連情報が収録され、IPアドレスに100項目以上の属性を結びつけている。自動収集だけでなく、専門調査員による確認や大手通信事業者からのフィードバックを使い、日々データを更新する。こうした継続的な収集・検証は、単にAIモデルを動かすだけでは再現できない部分である。
顧客は金融、広告、マーケティング、通信、Webサービスなどに広がる。金融機関では不審な接続元の判定に、法人向け営業ではアクセス企業の推定に、配信事業者では地域制限や広告の出し分けに使われる。料金はデータ利用契約、月額API利用料、利用量に応じた課金などで構成される。主力は人員数に比例する席課金ではなく、組織やシステムの利用に対する課金である。
2026年6月期の売上高7.10億円のうち、サブスクリプションが5.895億円で約83%を占める。広告配信サービスは0.146億円、Web制作・各種受託開発は1.047億円、その他事業は0.018億円だった。会計上の報告セグメントはIP Geolocation事業とその他事業だが、10年先の代替リスクが違うため、分析ではデータ利用、広告配信、Web受託その他の3つに分ける。
広告配信では、IP情報を使って地域や組織を絞る「どこどこad」を提供している。Web受託では企業サイト制作、SEO支援、各種開発を行い、地域施策向けの「てくてくスタンプ」なども手掛ける。これらはデータ事業より人の作業に依存し、AIによる代替の影響を受けやすい。
新サービスの「SURFPOINT AI Expansion」は、アクセスログに属性を付け、AI開発に使う構造化データを提供する。方向性は既存データの強みと合っているが、独立した売上や受注金額は開示で確認できない。将来の成長候補と、すでに利益を生む事業とは区別して評価する。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、IPアドレスを起点にした独自データの蓄積である。会社は長年にわたり調査・更新を続け、地域や企業の属性を細かく判定してきた。25周年時点の公表値には、累計APIキー発行約1.07万件、累計APIリクエスト約696億回という利用実績がある。ただし、いずれも累計値であり、現在の有料契約社数や継続率を直接示すものではない。
顧客の不正検知やアクセス分析へ組み込まれれば、データ供給元の変更には判定精度の検証とシステムの調整が必要になる。どこどこJPには最長16年の契約例もあり、長期利用される製品だと分かる。2026年には顧客単価の改善とMRRの増加も確認できた。MRRは毎月継続して発生する売上であり、この増加は収益基盤の改善を示す。
しかし、堀が強固だと断定するには証拠が足りない。年率5%未満といった低解約率の継続的な数値開示は確認できず、2026年6月期の有報では、どこどこJPの解約件数が想定を上回ったと説明されている。顧客単価の上昇にも新料金プランや大型契約の影響が含まれ、同じ製品を一律に値上げしても顧客が残る力とは区別する必要がある。
また、MaxMind、IPinfo、DB-IP、Digital Elementなど世界には有力な競合がいる。SURFPOINTはGeoIP2互換形式でも提供されており、既存の競合製品から乗り換えやすい設計になっている。これは営業上の長所だが、競合へ戻る技術的な障壁も高くないことを意味する。
資本効率も課題である。2022年には高い営業利益率を出したが、その後は売上が伸び悩む中で利益率が下がり、2026年には赤字となった。過去の一時的な高ROEより、現在の投資からどれだけ増分利益が生まれるかを重視したい。独自データという堀の芽はあるが、今はそれを持続的な超過利益に変えたとまでは言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
IP Geolocation市場は、インターネットのアクセス元を把握するためのデータ基盤市場である。主な用途は広告の地域ターゲティング、企業アクセス分析、不正取引対策、コンテンツの地域制限などだ。セキュリティと認証への利用が広がる一方、AIによる広告運用や分析の自動化は既存サービスの収益構造を変え始めている。
市場規模の推計には大きな定義差がある。The Insight Partnersは狭義のIP Geolocation Solutions市場を2025年に約1億2,457万ドル、2034年に約2億1,869万ドルと推計する。1ドル150円では2025年に約187億円となる。これに対し、広告分析など周辺サービスを広く含む別の調査では数十億ドル規模になる。両者を同じ市場として扱わず、本分析のデータ事業は狭義の市場を参考にする。
狭義市場に現在のサブスクリプション売上を単純に対応させると、世界市場に対する比率は約3%となる。ただし、同社の売上には国内特有の企業データやログ解析も含まれるため、これは比較用の概算であって確定したシェアではない。競合上位3社で約35%とする市場調査もあるが、個別企業の監査済みシェアは確認できない。国内だけの市場規模と同社シェアも非開示であり、国内首位や独占を数値で認定することは避ける。
市場の需要量は拡大する可能性があるが、すべての事業者が同じように成長するわけではない。MaxMindやIPinfoはグローバルなAPI・データ販売を展開し、クラウド大手やCDN事業者も位置情報や脅威情報を提供する。顧客が複数の情報源を照合するようになれば、単独データの価格交渉力は弱まる。IPv6、VPN、プロキシ、モバイル回線の普及も正確な地域・組織判定を難しくする。
広告配信については、電通の2025年調査で国内インターネット広告媒体費が3兆3,093億円とされる。ただし同社の広告配信売上は0.146億円にすぎず、媒体費全体から見れば極めて小さい。Google、Meta、LINEヤフーなどの大規模広告基盤や、国内のDSP事業者との規模の差は大きい。Web制作・SEO支援は競争相手が非常に多く、AIで制作費用が下がるため、業界全体の需要増加をそのまま同社の案件数増加には使えない。
10年後の市場自体は存続すると考える。しかし、位置情報の精度、企業判定の品質、リアルタイム更新、価格、外部システムとの接続の容易さによってシェアは動く。会社が世界市場の成長率に追随できるとみなすより、国内で築いたデータの優位を維持できるかを見極める方が重要である。
資本政策と M&A
資本配分で最大の論点は、利益の回復がまだ見えない段階でどこまで投資を続けるかである。2026年6月期にはソフトウエアなど無形固定資産へ約0.56億円を投じ、営業キャッシュフローは約0.53億円のマイナス、投資キャッシュフローは約0.75億円のマイナスとなった。人員増強や本社拡張の影響もあり、現預金は前期末の約6.21億円から約4.79億円へ減った。
経営陣の成長ビジョン「REBOOT303030」は、2030年6月期に売上高30億円、営業利益率30%を目指すものだ。達成すれば営業利益は9億円になる。会社自身が業績予想ではないと明記した目標であり、現状の利益から見ると極めて大きな変化が必要になる。ROEの具体的な目標値は確認できない。
株主還元では2026年6月期に約0.159億円の配当を実施し、2027年6月期も同水準を予定している。2024年以降は配当水準を引き上げた実績がある一方、純利益が大幅に落ちた2026年にも配当を維持したため、利益を超える還元となった。中期ビジョンにはDOE、総還元性向、自社株買い金額について数字の約束なし。配当性向の長期的な固定目標も確認できない。
株主優待では保有株式数に応じてQUOカードと静岡県の特産品を提供する。2026年制度では100株以上に1,000円分のQUOカード、300株以上には5,000円相当の特産品が加わり、1,000株以上では特産品を2品選べる。株主数約1,659人と保有階層から年間原価を約0.02〜0.03億円と概算し、10年間の株主への経済的還元に加える。実際の原価と申込率は非開示なので推定である。
上位10株主で約71%を保有し、支配は比較的集中している。ただし過去5年には増配があるため、余剰現金の株主への戻り方を極端に低く評価する条件は満たさない。自社株買いによる大規模な株数減少は確認できない。2026年末時点の残存ストックオプションには2,000株の潜在希薄化があり、既存株主の取り分に小さく反映する。
大型買収で成長を実現してきた会社ではなく、これまでの中心はデータとサービスの内製開発である。今後も買収より本業の収益化を優先する方が合理的だ。取得した無形資産に見合う利益が生まれなければ、将来の償却費と減損が株主価値を削る。買収やTOBによる上振れを基本の価値には含めない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
SURFPOINTは簡単に作れるデータベースではない。IPアドレスに地域、企業、回線、利用環境などの情報を結びつけ、日々更新するには、多数の情報源と長年の蓄積が要る。会社は通信事業者からのフィードバックや自社調査を組み合わせ、独自の判定技術を発達させてきた。これまでの累計API利用実績と長期契約の存在は、単に珍しい技術ではなく、顧客に使われている製品であることを示している。
AIの普及は必ずしも脅威だけではない。AIが不正取引を判定し、広告を選び、金融機関の接続リスクを評価するようになるほど、アクセス元の情報を外部から取得する必要性は残る。AI自身が正確なIPの履歴を調査して持っているわけではないため、独立したデータ供給者として生き残る余地は十分にある。
2026年6月期のサブスクリプションは増収で、MRRも伸びた。複数サイト契約や企業データの高度化に伴う顧客単価の改善も確認できる。現在の赤字は、データ・システム基盤と人員への先行投資による部分が大きい。投資が落ち着き、固定費の増加を抑えられれば、追加売上の多くが利益に変わる可能性がある。
2025年に提供を始めたAI開発向けのデータ拡張や、金融機関向け不正対策の高度化は、既存資産を新たな用途に売る機会になる。広告制作やWeb受託への依存を減らし、データ提供の割合をさらに高めることができれば、収益構造は改善する。大手企業による買収対象となる可能性もあるが、買収価格を前提にしなくても、収益基盤の改善には期待できる。
2026年の収益低迷が一時的で、独自データの利用が維持され、生産性向上が定着すれば、10年後には営業利益率20%を超える企業として生き残る道がある。財務の安全性も高く、無理な借入に頼らず事業構造を変えられることは強みだ。
慎重な見方
技術の独自性と利益の独自性を混同してはいけない。世界にはMaxMind、IPinfo、Digital Element、DB-IPなどの競合があり、IPアドレスから地域や企業情報を推定するサービスそのものは珍しくない。SURFPOINTの日本企業データに強みがあっても、顧客が必要とする精度と価格を別の供給元が満たせば、切り替えは可能である。実際、同社自身が競合製品のデータ形式との互換性を売りにしている。
2026年にはサブスクリプションが伸びた一方で、解約件数は想定を上回った。契約の強さを示す年率解約率の継続的な数値も確認できない。顧客単価の改善は大型案件や上位プランによるもので、既存顧客に一律の価格引き上げを続けられる証拠ではない。
AIによる代替はWeb制作やSEO支援だけでなく、情報サービスにも及ぶ。アクセス解析、企業情報の整理、広告の出し分けなどはAIエージェントが自動化し、従来の画面やレポートを必要としなくなる。顧客が複数のデータ源を統合して利用すれば、個別APIの値下げ圧力も強まる。AI開発向け製品が新しい売上を生み出す可能性はあるが、その受注金額を裏付ける開示はまだない。
経営の目標も慎重に見る必要がある。売上高7億円程度の会社が、わずか4年ほどで30億円に達するには、既存の成長率とは次元の違う拡大が必要になる。2026年の投資で現金が減った事実に対し、2030年の利益を保証する契約や確定受注は確認できない。
純現金は厚いが、赤字を補填しながら固定配当と優待を続ければ現金は減る。株主がその現金を自由に使えるわけでもない。上位株主への支配集中と小さい流通市場も、少数株主の資本配分への影響力を制限する。最悪の場合はデータの販売額が縮み、維持費だけが残る事業へ変わり得る。
どちらに重みを置いたか
データの独自性は評価できるが、資本効率と値上げ力の実績では慎重な見方が勝る。2026年の営業赤字、想定を上回る解約、2030年目標と足元実績の大きな隔たりが判断の中心である。確率は楽観側29%、中立31%、悲観側40%と下に寄せた。下に寄せる理由はAIという一般論だけではなく、実際の利益率低下と先行投資の収益化が未確認であることだ。AI代替による縮小は数量と長期成長率にも反映しており、資本コストには重ねていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 539 円9 億円(+ 還元の換算額還元の合計 113 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 333 円5 億円、今との差 −67.0%、 期待の年率 −4.6%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 1,319 円21 億円 | 175 円3 億円 | +48.3% | +4.3% | 164 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 841 円13 億円 | 126 円2 億円 | −4.1% | −0.4% | 174 円3 億円 |
| 中立 | 31% | 435 円7 億円 | 116 円2 億円 | −45.3% | −6.4% | 171 円3 億円 |
| やや悲観 | 26% | 287 円5 億円 | 120 円2 億円 | −59.6% | −9.8% | 106 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 233 円4 億円 | 26 円0 億円 | −74.3% | −13.2% | 36 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 539 円9 億円 | 113 円2 億円 | −35.4% | −4.6% | 651 円10 億円 |
今の株価時価総額 1,008 円16 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 独自データの価値が残り、開発投資の回収が進む 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,319 円21 億円
SURFPOINTが国内の企業属性データとセキュリティ判定で高い信頼を維持する。金融機関、通信事業者、Webサービス事業者は、AIによる自動判定に必要な外部情報として同社のデータを使い続ける。海外のMaxMindやIPinfoとの価格競争は残るが、国内の企業識別、回線判定、匿名化リスク情報では差別化を保つ。
2026年に強化したデータ収集・サービス基盤が実用化され、保守負担を抑えながら高機能のデータを提供できるようになる。マルチサイトプランや高機能オプションも定着し、利用単価が上がる。AI関連サービスも既存データの活用を助けるが、独立した新規受注額が未確認なので、顧客数量を現在より増やす利益は織り込まない。
Web受託は既存の取引関係を維持し、制作工程ではAIを活用して人員当たりの利益を改善する。広告配信は大手媒体にシェアを奪われず、地域ターゲティングに限定した小規模な収益源として残る。営業利益率は約26%まで改善する。
資本配分では高額な買収を避け、開発投資の回収を優先する。余剰現金の一部は配当などで株主に戻り、自己資本も積み上がる。データの堀は維持されるが、世界市場の拡大が大手競合にも分配されるため、世界シェアの大幅拡大は前提にしない。10年後の時価総額は約21億円まで増える。
- IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション:数量 819(年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない)× 価格 0.01(年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算)→ 売上 8 億円・営業利益 6 億円。AI代替の条件に従い実質契約換算数量1.00倍を上限、価格1.34倍。貢献利益率77%はデータ基盤の共通化による上振れ。世界市場に対する概算シェアは2%台前半まで低下する可能性を残す。
- IPターゲティング広告配信:数量 365(年間広告表示回数(百万インプレッション、推定))× 価格 0.00(広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。広告表示数量1.00倍、実効CPM据え置き。AIによる収益急拡大は見込まない。
- Web制作・受託開発・その他:数量 112(Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定))× 価格 0.01(換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件換算数量1.00倍、単価1.34倍。受託業務のAI活用で貢献利益率が改善するが、数量増加は見込まない。
倍率:資本コストk7.75%、2036年以降の名目g_long0%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.903倍。事業のROEは約13.9%でkを上回るが、g_longが0%のため再投資の超過収益を将来成長として追加しない。純利益1.52億円から余剰現金2.4億円の税後利息0.0336億円を控除し、残額に12.903倍を適用。余剰現金2.4億円には戻り方0.75を掛けた1.8億円を足す。2027〜2036年の純利益合計約8.14億円、現金配当・自社株買い等約2.54億円により自己資本は約10.90億円。株主優待原価は純利益で費用処理済みのため自己資本から再控除しない。
確率:SURFPOINTの精度と独自情報が金融・認証用途で評価され、顧客単価の上昇と固定費効率改善が同時に実現する筋書き。ただし、新規AI製品の売上金額は未確認であり、数量を現在より増やさず、成功確率を11%にとどめる。
やや楽観 18% データ販売の単価改善と生産性向上が定着 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 841 円13 億円
SURFPOINTとどこどこJPが国内の金融機関や法人向け分析サービスで一定の位置を守る。企業判定と不正検知の精度は向上し、顧客の利用範囲も広がる。国内向けのデータ品質ではMaxMindなどの海外競合に対抗できるが、価格だけでなく機能や接続方式でも競争が続く。
2026年までの投資が徐々に収益に結びつき、人員の増加を抑えながらサービスを維持できるようになる。新料金プランによる単価改善は続くが、顧客の内製化や海外データへの移行で契約換算数量は緩やかに減る。AI関連の新製品は既存契約の高度化には役立つものの、新しい巨大な売上の柱にはならない。
広告配信ではターゲティング情報の強みを使い、収益源を維持する。Web制作・受託はAIによって人手が減るため案件数が減少するが、工程の効率化で採算は改善する。会社全体としては営業利益率が約17.5%に回復し、開発投資と利益のバランスが取れるようになる。
2030年の売上高30億円には届かないが、経営は大型買収による無理な拡張に進まない。投資回収を重視し、安定した配当と必要に応じた追加還元を続ける。データ提供事業者としての独自性は残り、10年後の時価総額は約13.4億円になる。
- IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション:数量 786(年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない)× 価格 0.01(年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算)→ 売上 7 億円・営業利益 5 億円。数量0.96倍、価格1.30倍。利用単価の改善を認めるが、海外競合への一部移行を織り込む。
- IPターゲティング広告配信:数量 292(年間広告表示回数(百万インプレッション、推定))× 価格 0.00(広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。表示数量0.80倍、単価据え置き。国内の狭い用途で維持。
- Web制作・受託開発・その他:数量 91.9(Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定))× 価格 0.01(換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件換算数量0.82倍、単価1.30倍。AIによる案件減少と制作効率改善が併存。
倍率:k7.75%、g_long0%、正当化PER12.903倍。ROE約11.3%は資本コストを上回るが、10年後以降の名目成長は認めない。純利益0.93億円から余剰現金利息0.0336億円を控除し、PERを掛け、余剰現金の戻り方を反映した1.8億円を足す。2027〜2036年の累計純利益約4.70億円から現金還元約1.75億円を差し引き、自己資本8.25億円とする。
確率:既存のサブスクリプション成長、上位プランの導入、国内企業データへの需要を評価する。ただし世界市場の伸びをすべて獲得できるわけではなく、Web受託の数量減少も残るため18%とする。
中立 31% 独自データは残るが、高収益企業には戻り切らない 利益 0 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 435 円7 億円
SURFPOINTの日本企業データと不正検知向け情報には、2036年にも一定の需要がある。顧客はAPIを利用して金融、広告、アクセス分析の機能を提供し続ける。しかし、MaxMindやIPinfo、クラウド事業者との競争により、データ供給元を分散する動きも進む。位置情報市場そのものが拡大しても、同社の契約数量は現在より少なくなる。
既存顧客の上位プラン利用とデータ属性の充実により、契約換算単価は上がる。ただし、物価上昇率をそのまま転嫁できるほどの独占力はない。AIエージェントがアクセス解析や情報整理を代行するため、レポートや画面の付加価値は薄れる。データそのものは売れ続けるが、価格上昇は10年間の物価上昇を下回る。
Web受託は案件数が減り、広告配信も大手プラットフォームとの競争で規模が縮む。2026年の先行投資は一部回収されるものの、継続的なデータ更新と開発を止めることはできない。会社は人員配置を見直し、AIを利用して社内の作業を削減する。これにより営業黒字は保つが、利益率は約9%で落ち着く。
大型M&Aによる売上拡大やTOBによる特別利益は織り込まない。配当は概ね現状の水準を維持するが、積極的な自社株買いまでは想定しない。2030年の30億円という売上目標には届かず、2036年の売上は約7.55億円にとどまる。事業としては存続し、独自データの価値も残るが、株主が得られる収益は緩やかなものになる。
- IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション:数量 737(年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない)× 価格 0.01(年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算)→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。独自DB型に準じた保守的な扱い。数量0.90倍、価格1.23倍。市場が成長しても同社の概算シェアは約3%から2%弱へ低下する想定。
- IPターゲティング広告配信:数量 237(年間広告表示回数(百万インプレッション、推定))× 価格 0.00(広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。広告運用型。表示数量0.65倍、実効CPM1.00倍。AIによる制作・運用の代替と配信競争を織り込む。
- Web制作・受託開発・その他:数量 72.8(Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定))× 価格 0.01(換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型。案件換算数量0.65倍、価格1.34倍。業務自動化と価格競争が数量を減らす。
倍率:k7.75%、g_long0%による正当化PER12.903倍。2036年のROEは約6.8%でkを下回るため、新規投資が高い成長価値を生む前提を置かず、稼ぐ力の上限1÷kをそのまま使用する。純利益0.43億円から余剰現金利息0.0336億円を除いた事業純利益0.3964億円にPERを掛け、余剰現金2.4億円の75%である1.8億円を足す。2027〜2036年の純利益合計2.60億円、現金配当等1.60億円として自己資本は5.30+2.60−1.60=6.30億円。株主優待の推定原価0.25億円はpayoutに含むが、利益で費用計上済みなので自己資本から二重控除しない。
確率:2026年のサブスクリプション増収と2027年の黒字回復予想を認める一方、AIによる調査・制作代替、海外データとの価格競争、想定を上回った解約件数を考慮する。独自データの需要は残るが、市場成長をそのまま取れない中立として31%。
やや悲観 26% データ価格への圧力が強まり、収益が低迷 利益 0 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 287 円5 億円
企業のアクセス分析は、複数のデータベースとAIエージェントを組み合わせる方向へ進む。顧客は位置情報や企業属性を取得し続けるが、一社のデータだけに依存しなくなる。MaxMind、IPinfo、クラウド大手のデータ提供機能が使いやすくなり、国内の企業識別でも価格比較が一般化する。
SURFPOINTは日本語の企業データに強みを残すものの、顧客の一部を失う。既存契約の上位プラン化と物価上昇で単価は上がるが、数量の減少を補い切れない。会社が新しく展開するAI向けデータ提供も既存契約の置き換えを補う程度で、大規模な収益には育たない。
Web制作・SEO支援ではAIエージェントによる自動化が進み、受託する案件数が減る。広告配信でも広告主の運用内製化や大規模プラットフォームへの集中が進み、取扱量が細る。会社は人員や拠点費を削減し、サービスを維持できる費用構造へ移行する。営業利益はわずかに残るが、高ROE事業に戻ることはできない。
株主還元は現状程度を長く続けるものの、事業に利益が蓄積しない。大規模な買収はせず、保有現金を事業維持と投資に使う。データ資産は一部残るため直ちに破綻する企業にはならないが、利益に基づく価値は小さくなる。10年後の時価総額は現時点の換金可能資産に近づく。
- IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション:数量 589(年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない)× 価格 0.01(年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算)→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。数量0.72倍、価格1.15倍。海外データへの顧客移行と単価圧力で、主力も減収となる。
- IPターゲティング広告配信:数量 164(年間広告表示回数(百万インプレッション、推定))× 価格 0.00(広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。表示数量0.45倍、実効CPM0.90倍。運用広告の競争激化。
- Web制作・受託開発・その他:数量 56.0(Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定))× 価格 0.01(換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.50倍、単価1.20倍。人手を要する受託が縮小。
倍率:悲観側のPBRは現在の自己資本5.30億円を分母として使い、将来の留保利益を積んだ大きな簿価に掛けない。k7.75%に対して2036年のROE約5.2%は低い。稼ぐ力の上限は、純利益0.275億円からやや悲観時の余剰現金1.8億円に対応する税後利息0.0252億円を控除し、1÷kを掛け、現金の75%である1.35億円を加えた約4.573億円。資産床3.70億円との大きい方を上限とし、4.57億円を採用する。2027〜2036年の累計純利益約1.705億円をおおむね現金還元するため、自己資本は現在の約5.30億円を維持する。
確率:海外API事業者への移行とAIによる分析サービス代替が進み、現状のデータ利用の一部が失われる筋書き。2026年に解約件数が会社想定を超え、先行投資で利益を失った事実から26%とする。
悲観 14% 海外データとAIへの代替が進み、事業の優位を失う 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 233 円4 億円
海外のデータ事業者が日本企業の識別精度を高め、価格も下げる。VPNや匿名化通信の普及によってIPアドレスだけでは利用者の地域や所属を正確に把握しにくくなり、顧客は複数の情報源を組み合わせて判定するようになる。SURFPOINTは独自の技術を維持しているが、顧客が不可欠な基盤とはみなさなくなる。
AIエージェントは広告運用、アクセス分析、Web制作、SEO支援を大幅に自動化する。データ提供も大手クラウドやセキュリティサービスに組み込まれるため、同社が単独で料金を得られる範囲は狭くなる。会社は主要顧客を失い、サブスクリプション収益は現在の半分程度に縮小する。
人員とオフィス費用の削減を進めるが、データ更新、セキュリティ、システム維持の最低費用は残る。新しいAI関連製品への投資も大きな収益を生まず、過去のソフトウエア投資には減損リスクが生じる。営業赤字が続く局面では配当を削減・停止し、現金を維持する経営に転換する。
大型買収による救済を当然の前提にはしない。独自データの一部に価値は残るとしても、継続的な利益を高く評価することはできない。残る価値は現時点で換金可能な金融資産、売掛金、少額の有形資産を中心に考える。10年後の時価総額は約3.70億円で、事業価値より資産床が支える筋書きになる。
- IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション:数量 409(年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない)× 価格 0.01(年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量0.50倍、価格1.00倍。顧客離反とAPIのコモディティ化を反映。
- IPターゲティング広告配信:数量 73.0(年間広告表示回数(百万インプレッション、推定))× 価格 0.00(広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。表示数量0.20倍、実効CPM0.80倍。小規模なサービスのみ残存。
- Web制作・受託開発・その他:数量 24.6(Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定))× 価格 0.01(換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.22倍、単価1.00倍。制作の自動化で市場での存在感を失う。
倍率:継続事業の純利益は赤字なのでPERでは評価しない。現在の現預金4.787億円に、売掛金の回収可能額約0.646億円、有形資産の換金額約0.066億円、返還可能な敷金等約0.024億円を加え、負債総額約1.811億円と換金費用約0.012億円を控除し、保守的に3.70億円を資産床とする。ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定約0.678億円は、競争優位を失った場合に第三者への売却価値が実証できないため床から除外する。繰延税金資産や前払費用も換金資産として数えない。PBRの分母は今の自己資本5.30億円である。今後10年の利益・配当が概ね相殺し、将来の自己資本が大きく増えない前提。余剰現金をさらに別建てで足すことはせず、床との二重計上を避ける。
確率:主力データの競争優位が弱まり、Web受託と広告配信も大きく縮む構造的な負け筋。継続企業としての規模縮小と資産価値の毀損を想定するが、現状の純現金が厚いため、直ちに倒産する筋書きにはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IP位置情報・企業属性データ/サブスクリプション
SURFPOINT、どこどこJP、らくらくログ解析を中心とするデータ利用契約。企業、金融、広告、セキュリティ分野でAPIやデータを提供し、継続利用料を得る。
| 数量年間有料契約換算数。月額6万円の標準契約に換算した数であり、実際の契約社数ではない | 価格年間契約換算単価(億円/契約・年)。1契約は月額6万円換算 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 819 | 0.01 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 737 | 0.01 | 7 | 4 |
取り方:2026年6月期有報のサブスクリプション売上589,476千円を直接使用。会社は実際の有料契約社数と契約平均単価の絶対値を開示していないため、公式のどこどこJP料金表(月額12,000円からのシングルサイト、48,000円からのマルチサイト、REST APIや企業向けの個別契約)を参照し、月額6万円の有料契約換算とする。5.89476億円÷年72万円=約818.7契約相当で、これは実契約数ではない。期末MRR49.0百万円とも整合する。会社の実際の単価分布には大口ライセンスや従量料金があり、推定には不確実性がある。営業利益はサービス別非開示のため、データ販売の直接費用控除後、本社共通費控除前の貢献利益として3.30億円を仮置きし、共通費で調整する。AIエージェント代替では独自DB型の要素が強いが、正本の認定条件を十分に満たさないため、中立数量0.90倍、価格1.23倍、g_long0%を採用。2027年の料金改定は予定されているが、実績としては扱わない。料金表:https://www.docodoco.jp/price/ 、製品情報:https://www.geolocation.co.jp/service/ 、実績:https://www.geolocation.co.jp/ir/
IPターゲティング広告配信
どこどこadなどを通じた地域・企業属性に基づく広告配信。広告表示回数と広告主の出稿単価が収益を決める。
| 数量年間広告表示回数(百万インプレッション、推定) | 価格広告表示100万回当たりの売上(億円)。現在の想定CPMは40円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 365 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 237 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2026年6月期有報の広告配信売上14,607千円を使用。どこどこad公式資料によればCPM課金で、最低単価は1,000表示当たり20円。実績CPMは非開示なので40円と仮定し、約3.65億表示を逆算した推定数量である。広告枠の買付費や配信費を控除する前提で貢献利益0.05億円を推定し、本社共通費は別に扱う。会社公表の月間配信可能在庫約17億表示と比較すると、推定実績は利用可能量の一部にとどまるが、在庫全体が同社の収入になるわけではない。AIエージェント代替では広告の制作・運用・買付に該当し、中立表示数量0.65倍、実効CPM据え置き、g_long0%。料金資料:https://www.docodocoad.jp/dsp/faq/ 、配信仕様:https://www.docodocoad.jp/dsp/area/
Web制作・受託開発・その他
Webサイト・ランディングページ制作、SEO支援、受託開発などの人的サービス。ごく少額のその他事業収入もここに含める。
| 数量Webサイト全面リニューアル換算案件数(年間、推定) | 価格換算案件当たり売上(億円)。会社の公開する制作料金下限95万円を基準とする | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 112 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 72.8 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:2026年6月期有報のWeb制作・各種受託開発売上104,656千円に、その他事業1,756千円を加えた106,412千円を使用。Web制作の公式案内は全面リニューアル95万円から、ランディングページ25万円からであり、SEO支援には継続契約もある。実際の案件数と平均単価は非開示のため、全面リニューアル95万円相当を1単位として約112件に換算した。その他事業0.018億円をこの単位に吸収したことは計算上の簡略化であり、実際に112件受注したという意味ではない。貢献利益0.26億円はサービス別利益非開示に伴う推定である。AIエージェント代替では人月・工数型に該当し、中立数量0.65倍、価格1.34倍、g_long0%。料金の根拠:https://www.geolocation.co.jp/btobsite/
リスクと懸念
AIエージェント代替
AIが情報収集、Web制作、広告運用、アクセス分析を実行するようになれば、人の作業量や画面操作を基準にしたサービスの必要性が減る。主力のIPデータはAIの入力情報として残り得るが、情報サービスへの値下げ圧力は避けにくい。中立ではデータ契約換算数量を0.90倍、Web受託を0.65倍、広告表示を0.65倍とし、2036年以降の名目成長を0%として評価した。
IP情報の精度低下と代替データの普及
VPN、プロキシ、モバイル回線、IPv6の普及は、IPアドレスだけで利用者の所在地や企業を判定することを難しくする。MaxMind、IPinfo、Digital Elementなどが国内データの精度を高めれば、同社の優位は縮む。住所や本人情報との関係について過度な推定が許されなくなる規制変更も、商品の用途と販売単価を制約する。
先行投資と固定費負担
2026年6月期には約0.56億円を無形固定資産へ投じ、人員増強と本社拡張も行った。その結果、営業赤字と営業キャッシュフローのマイナスが発生している。投資から十分な売上が生まれなければ、新しいソフトウエアの償却費が将来利益を圧迫する。開発を止められない事業であるため、赤字期にも維持費が残りやすい。
2030年成長目標と現実の乖離
2030年6月期の売上高30億円、営業利益率30%という目標は、直近の実績とは大きく離れている。単なる価格改定や小規模な契約増だけでは到達できず、新しい用途、顧客、大型案件などの実績が必要となる。目標そのものは業績予想ではないと会社が明記している。売上や利益の増加が数値で確認できる前に、目標達成後の収益を価値へ織り込むのは危険である。
支配集中と流動性・希薄化
上位10株主が約71%を保有し、福証Q-Boardの小型銘柄であるため、少数株主が資本配分に影響を与える余地は限られる。流通株式が少なく、企業価値が変わらなくても需給によって市場価格が大きく動き得る。過去には株式の新規発行とストックオプション行使による株数増加があり、残存オプションについても小さいながら既存株主の希薄化を考慮する必要がある。
配当・優待と現金流出
2026年6月期は赤字でも配当を維持し、株主優待も拡充した。株主還元自体は評価できるが、利益と営業キャッシュフローが回復しないまま続ければ、将来の開発投資に使える現金が減っていく。配当と優待を経済的な還元として数える一方、配当を維持するための借入や増資が必要になる事態は避けなければならない。
今後の分かれ目
- サブスクリプションの期末MRRが2年以上連続して二桁増加し、解約率も低い水準で数値開示されたら
- データ事業の数量減少前提を緩める。年率5%未満の解約率など、強い堀を裏付ける別の証拠も確認できれば、長期成長率と資本効率を再評価する。
- SURFPOINT AI ExpansionなどのAI向けデータサービスで受注・売上金額が開示され、既存事業と別の収益源として伸びたら
- AIが新たな需要を生む根拠として、楽観側の数量と利益を上方修正する。単なるサービス開始発表や導入件数だけでは新しい利益を評価しない。
- 2027年6月期の黒字回復予想が未達となり、営業キャッシュフローの赤字が続いたら
- 開発投資の回収に対する信頼を下げる。保有現金の減少を反映し、悲観側の資産床と中立の収益力を改めて計算する。
- 2030年に向けて売上高が明確な高成長へ転じ、営業利益率も継続的に改善したら
- 売上の増加要因を契約数量、単価、大型ライセンス、M&Aに分けて確認する。再現性のある増分利益が得られている部分だけ将来価値を引き上げる。
- MaxMindやIPinfoなどとの競争で大型契約の解約や価格引き下げが続いたら
- 主力データの数量と価格をともに下げ、やや悲観・悲観の比重を増やす。国内企業データの差別化が実際に収益を守れているかを確認する。
- 配当維持とソフトウエア開発投資が重なり、現預金が大幅に減少したら
- 余剰現金2.4億円の前提を削減し、床の換金可能資産も更新する。資金調達による希薄化が必要になれば、既存株主の取り分を別途引き下げる。
見ておくもの
- サブスクリプション売上、四半期末MRR、純増契約数、解約件数と解約率
- SURFPOINTおよびどこどこJPの顧客平均単価と新料金プランの浸透
- 金融・セキュリティ用途の大型契約、利用量と継続率
- SURFPOINT AI Expansionの売上金額、契約先数、継続収益化の有無
- Web制作・受託開発売上と案件粗利益率
- 営業利益、営業キャッシュフロー、無形固定資産への投資額
- 現預金残高、前受金、配当、優待費用、自社株買い、ストックオプション行使
- MaxMind・IPinfoなどとの精度・価格競争、IPv6・匿名化通信への対応
- 2030年REBOOT303030の目標に対する実績の進捗
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場のPERを使わず、2026年6月期の開示売上をサブスクリプション、広告配信、Web受託その他に分けて数量と価格を推定した。実際の契約数や広告表示数は非開示のため、公式料金表から換算数量を作った点に不確実性がある。中立では独自IPデータの価値を認めながらも、AI代替による数量減少と値上げ制約を反映した。10年後のPERは市場の過去倍率でなく、資本コスト7.75%と2036年以降の名目成長率0%による正当化式から12.903倍とした。余剰現金は事業純利益からその利息を除いて別に加え、二重計上していない。悲観側のPBRは現在の自己資本5.30億円を基準とし、将来の蓄積自己資本に掛けていない。悲観の3.70億円は、現時点の売却可能資産から負債を引き、換金を確認できない無形資産を除いた床である。新リース会計基準で将来の貸借対照表の表示が変わっても、賃借料を費用とする現在の損益ベースで比較する。確率加重後の現在価値は約5.29億円で、基準時価総額約15.86億円との差は約-66.7%となる。結論は「割高」であり、現在の市場価格へ逆算して倍率や確率を調整していない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%に、事業の質の調整+0.25%を加える。直近期は赤字だが、純現金が厚く翌期黒字予想もあるため、財務危機による追加上乗せは行わない。AI代替や経営目標の未達は収益と確率で扱う。