結論
セレスは、ポイントサイト「モッピー」を核に、広告仲介、通販ブランド、債権買取、暗号資産を組み合わせる企業である。筆者の結論は「やや割安」だ。ただし、株主が安心して放置できるほど大きな安全域ではなく、事業の質には著しい濃淡がある。
最大の強みは、広告主と節約志向の消費者を結ぶ自社媒体である。モッピーと2025年に取り込んだPoint Incomeは、国内ポイントサイト市場で合計約3分の1の売上規模に達した。2026年上期もモッピー会員が増え、広告の仕入れと媒体をグループ内でつなぐ効果が利益に現れている。しかし会員数はメール到達可能者の数であり、実際に使う人の数と取り違えてはいけない。
2025年の純利益25億円、2026年会社予想の純利益60億円を、そのまま10年後の稼ぐ力とはみなさない。前者はゆめみの売却益、後者はビットバンク株式の売却益が大きく、毎年繰り返せないからだ。金融事業は赤字で、D2Cの主力商品にも失速があり、買収で生じたのれんとポイントの将来交換義務は現金の自由度を下げる。
中立では2035年に売上約484億円、営業利益約63億円を想定する。会社が掲げる2030年売上600億円の道筋より慎重だが、モッピーの会員増とポイントインカムの通年寄与は認めた。5つの道筋を資本コストで現在に戻した価値は約297億円で、2026年10月22日時点の時価総額約264億円を約13%上回る。上振れの一部はまだ成功が証明されていない商品買収と金融事業に依存するため、価格差だけで強い確信を持つべきではない。
バリュー投資の観点から
長期保有でまず欲しいのは、10年後も同じ顧客が同じ理由でお金を落とし、利益のかなりの部分が株主に帰属する事業だ。その条件に最も近いのはモッピーである。会員の積み上がり、広告主との取引、Point Incomeの統合による仕入れ条件改善には再現性がある。現実に大きな追加設備を持たず高い利益を出せていることも魅力だ。しかしポイントサイトは預金口座のように移転が難しいわけではなく、安売りをすれば利用者が動く。今のシェアだけで永続的な超過利益を保証することはできない。
オーナー利益は会計上の純利益と異なる。2025年のゆめみ売却、2026年のビットバンク売却で得た利益は、一度持ち分を手放した対価である。翌年には同じ資産から再び利益を得られない。ポイント交換のために備える現金、ラボルの請求書買取原資、D2Cの在庫と広告費、買収後の管理費も、好きなだけ配当へ回せるものではない。上期の営業現金収支も点検が要る。
増分の資本収益率では、ポイントの内部投資とAD.TRACKの連携は良い投資に見える。一方、過去の暗号資産関連投資とD2Cの大型広告投下は、追加投資が必ず7%台の資本コストを超えて回るとは証明していない。ビットバンクの現金化と自社株取得枠には株主重視の姿勢はあるが、SQUIZなど次の買収の利益率を追跡して初めて評価が定まる。
現時点の値付けには約1割強の余地がある。しかし最も強い財産であるモッピーの収益が、金融の赤字と本社費で相殺される構図が続けば、余地は消える。安定した本業の利益、適正な買収価格、利益から現金への転換という三つを確認できるまでは、高い成長率だけを理由に保有を正当化しない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は成果報酬型のポイントサイトである。利用者がモッピーやPoint Incomeを経由してカード発行、口座開設、買い物などをすると、広告主から報酬が入る。利用者へ付与するポイントと集客費を差し引いた残りが事業の利益になる。金銭の決済そのものを独占しているわけではなく、広告主がどれだけ顧客獲得費を払うかと、利用者が何度訪れるかが業績を決める。
2025年のポイント事業売上は社内取引を含む管理上の数字で約201億円、営業利益は約44億円だった。モッピー売上は約169億円、9月から連結したPoint Incomeは約9億円である。自社の成果報酬仲介システムAD.TRACKは約95億円の広告取扱高を持つが、取扱高と連結上の売上高は別物だ。モッピー・ポイントインカム向けに仲介を内製化するほど、外部代理店に渡していた利幅を自社側へ取り戻せる。
D2Cでは機能性インソールのPitsole、化粧品や健康関連商品を扱う。広告で購入者を集め、商品を作って配送するため、売上を増やす際には広告費、在庫、返品対応が必要になる。2025年の売上は約49億円に縮み、2026年にはDINETTEなどのブランドに加え、SQUIZのオンライン診療サービス「Oops」を取り込んだ。医師による診療は画面操作の自動化だけで置き換えられないが、顧客獲得費を上回る継続収益はまだ十分に証明されていない。
金融ではラボルが個人事業主などの請求書を買い取り、手数料を得る。同サービスの基本手数料は請求書額面の10%で、与信判断と貸倒損失が収益性を左右する。マーキュリーのCoinTradeは暗号資産の売買・ステーキングを扱い、相場変動による保有資産の評価損も損益に出る。2025年の金融事業は増収でも約11億円の営業赤字だった。企業向け受託開発のゆめみは2025年に売却済みであり、過去の売上を2035年に延ばしてはいない。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、消費者の送客先を選べる自社媒体と、広告仲介を自社に寄せられる規模である。会社資料でモッピーは国内ポイントサイト市場の約27%、Point Incomeは約6%に相当する。両サイトの開発や広告仕入れを共通化すれば、会員を増やさなくても一件当たりの利益を高められる。2025年にポイントの利益が伸び、2026年上期も会員数が696万人へ増えたことは、この強みが絵に描いた話ではない証拠だ。
しかし、堀、つまり競争相手を近づけない力は厚くない。ポイントは他社へ交換でき、利用者はハピタスや楽天リーベイツなどを並行利用できる。会社が公表する「アクティブ会員」はメールを受け取れる会員の定義で、月間の購買者数ではない。解約率5%未満や年単位の移行負担、繰り返す値上げ実績といった強い拘束力の証拠も見当たらない。広告単価を自ら自由に決める力は限定的だ。
金融や買収先まで含めると資本効率は不安定になる。2025年にはモッピーが大きな利益を出しながら、金融の損失がその一部を消した。2026年半ばには新たな買収でのれんが約50億円に膨らみ、営業キャッシュフローも売上成長ほど増えていない。ポイント引当金は将来の交換に備える負債であり、現金残高のすべてを株主のものとして扱えない。金融機関の財務制限条項や貸倒引当金の増加にも目を配る必要がある。
2026年10月にはPoint Incomeへの不正アクセスを検知したことも公表した。認証とセキュリティへの投資が必要な媒体であり、事故があれば利用者の信頼という見えない資産が損なわれる。投資家としては「ポイント事業は良いが、グループ全体を強い堀の企業として扱わない」という区別が欠かせない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ポイントサイトの競争は、会員の数だけでなく、広告案件の条件と実際の利用回数で決まる。会社が引用する矢野経済研究所の調査では、国内ポイントサイト市場は2025年に約598億円、2028年に約685億円となる見込みだ。2025年のモッピーとPoint Incomeの比較可能な売上によるシェアは約27%と6%で、残り約3分の2をハピタス、ポイントタウン、Powl、楽天リーベイツなどが争う。個別競合の正確な売上シェアは非開示であり、順位を想像で埋めるべきではない。
数量には国内の消費者人口だけでなく、サイトへ到達する人数、広告案件を利用する回数、提携カードや口座の成約数が効く。中立では2035年の市場を2025年価格の実質で約760億円へ伸ばし、物価3%の名目価格上昇を別に考える。すると名目市場は約1,020億円で、モッピーとPoint Incomeの合計約313億円はシェア約31%に当たる。市場の成長は認めるが、統合直後の3分の1という地位がさらに拡大するとは決め付けない。
広告主はGoogle、Meta、楽天、PayPayなどの広告面とも予算を配分し、Cookie規制や広告計測方式の変更で仲介業者の優位が変わる。AIエージェントが利用者に代わって特典比較や申込みをするようになると、検索からポイントサイトを訪れる流れが細る可能性がある。自社媒体の広告枠は会員接点が残る限り価値を持つ一方、人手による広告制作・運用や代理店仲介は自動化による価格競争にさらされる。
D2Cが属する化粧品・医薬品の国内EC市場は2024年に約1兆150億円で、Pitsoleを含む靴関連などまで加えると対象領域はさらに広い。この市場全体を分母にしたシェアは大きくないが、異なる品目が混じるため正確なシェアは算出できない。競合は大手化粧品会社、機能性雑貨ブランド、Amazonや楽天で販売する独立系ブランドである。ラボルが競う債権買取は国内で数兆円規模の取扱市場があり、OLTA、GMO系、銀行系サービスとの与信と資金調達コストの競争が続く。暗号資産取引は口座が増えても、CoincheckやbitFlyerなどの取引所とのシェア競争が激しく、ビットバンク売却後の同社の持ち分はCoinTradeに限られる。
資本政策と M&A
経営陣は買収と撤退を続けてきた。受託開発を手掛けるゆめみはグループとの相乗効果が乏しく、2025年にアクセンチュア側へ売却し、約22億円の資金を回収した。ただし同年の売却益約27億円が純利益を押し上げたため、その額を恒常的な利益と誤認してはいけない。2025年にPoint Incomeを取得し、2026年にはオンライン診療のSQUIZを連結化した。買収はのれんの回収が条件だ。
2026年10月にはビットバンク株式を全て86.12億円で譲渡し、約57億円の特別利益を見込むと開示した。非事業資産の現金化だ。同時に2027年9月までの最大25億円、発行済株式約10.83%の自己株取得枠を設けた。ただし取得枠と実行額は違う。2026年上期の取得済み分は現在の自己株数に反映済みである。
新しい中期経営計画2030は売上600億円、EBITDA120億円、ROE15%以上を目標とする。事業別ではポイント売上350億円・EBITDA60億円、D2Cが150億円・20億円、金融が100億円・40億円を掲げた。だが旧2026年計画は撤回されており、2025年の会社定義のEBITDAには事業売却益が含まれる。継続的な営業利益とフリーキャッシュフローで進捗を測り直す必要がある。
2025年の配当総額は特別配当込みで約9.2億円、2026年の会社予想は約10.4億円である。株主優待も続けており、2025年末の関連引当金は約0.53億円だった。現金配当とは別の利益として還元額に見込んだ。一方、中期計画そのものには配当性向、DOE、総還元性向、自社株取得累計額について拘束力のある数値の約束はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
モッピーには、競合が短期間でまねできない規模の会員基盤と広告案件の蓄積がある。2025年末のメール到達可能な会員648万人は2026年6月に696万人となり、アプリの累計ダウンロードも10月には800万件を超えた。会社が掲げる2030年1,000万人は簡単ではないが、新生活時のカード・銀行口座需要、普段のEC還元、高い物価への生活防衛意識が複数の利用動機を提供する。2つのポイントサイトを束ねた広告仕入れは同業の小規模サイトが持たない交渉量となる。
AD.TRACKをグループの主力媒体へ深くつなぐことは、単なる広告の買い付けより優れた投資である。外部ASPに渡していた取り分を回収できれば、広告主の負担額を大きく引き上げなくても利益率が良くなる。Point Incomeは取得直後の利益率が低いが、開発やカスタマーサポートを共通化すれば改善できる。ポイント事業の営業利益がすでに40億円を超えている事実は、将来の利益改善を検討する出発点となる。
D2Cでも一度の商品の流行だけに依存しない体制ができつつある。DINETTE、イシス、SQUIZの取得で化粧品とオンライン診療へ裾野が広がり、モッピー由来の送客を自社商品に振り向けられる。ラボルは弥生との提携で事業者の資金管理の場に近づき、不正検知の高度化が貸倒率を下げれば取扱額拡大が利益に変わる。暗号資産取引所の損失も正常化すれば、過去の最大の利益圧迫要因が消える。
ビットバンクの全株売却により回収した資金は、株主還元と資本効率の改善を可能にした。会社が無理な買収を避け、還元を着実に実行するなら、10年間の利益成長と受け取る現金の両方から十分な価値が生まれる。
慎重な見方
ポイントサイトの上位シェアは安全地帯とは限らない。広告主がカードや口座開設の紹介報酬を下げれば、媒体側は利用者に還元するポイントを維持しにくくなる。Google、Meta、楽天、PayPayなどは自社の利用者を抱えており、広告の入り口を自分たちで押さえられる。AIエージェントが特典を比較して最適な申込み先へ直接送客するようになれば、ポイントサイトを人間が巡回する習慣そのものが弱まる。広告の制作と運用に関わるAD.TRACKやstudio15の仕事は、さらに直接的に自動化へさらされる。
会社のアクティブ会員はメールの送受信が可能な人数であり、継続して購買する人数の証明ではない。実際の会員離反率や、利用者が広告案件の変更にどれほど耐えるかも開示が乏しい。2026年10月にPoint Incomeが不正アクセスを検知した事実は、顧客の信頼維持が決して無償でないことを示した。ポイント引当金は2025年末に約70億円に達し、利用者への約束を履行するまでは手元資金の全てが株主に帰属するわけではない。
2025年にD2Cの売上が3割落ちたのは、ピットソールを値下げして店舗販路を広げようとした結果、広告で新規顧客を獲得する効率が悪化したためだ。商品を買収すれば自然に高利益率になるわけではない。2026年のSQUIZ取得などでのれんが約50億円となり、買収が失敗した時の損失はこれまで以上に重い。金融ではマーキュリーが暗号資産の評価損を抱え、ビットバンク売却によって将来の持分法利益という選択肢も消えた。
前の中期経営計画は撤回され、新計画の金融EBITDA目標は大きな黒字転換を必要とする。2025年と2026年の売却益を恒常的な営業利益と取り違えれば、数字は実際よりはるかに良く見える。相場が逆風となった年に資産の流動性や株主還元が保証されるわけでもない。ゆえに純現金だけを理由に大きな安全域があるとは言えない。
どちらに重みを置いたか
モッピーの現在の稼ぐ力とPoint Incomeの統合余地を考えると、事業そのものの長期価値では前向きな見方に分がある。一方、金融の黒字化、商品買収の収益化、ポイント利用者の定着には不確実性が残る。上側2筋書きの合計を27%、下側を39%とし、残る34%を中立とした。下へ寄せたのはAIの影響を重ね引きしたからではなく、暗号資産の損失、のれん減損、ポイントの信用毀損という別個の損失経路があるためだ。結果は「やや割安」だが、評価額と時価総額の差は大きくなく、買収した事業が利益を現金へ変えられるかが結論を左右する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,871 円447 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1,016 円117 億円)。 今の値に割り戻すと 2,586 円299 億円、今との差 +19.8%、 期待の年率 +9.8%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 11,635 円1,343 億円 | 2,165 円250 億円 | +539.2% | +23.5% | 1,104 円127 億円 |
| やや楽観 | 19% | 6,985 円806 億円 | 1,559 円180 億円 | +295.7% | +17.0% | 1,623 円187 億円 |
| 中立 | 34% | 3,881 円448 億円 | 1,083 円125 億円 | +129.9% | +10.1% | 1,688 円195 億円 |
| やや悲観 | 25% | 836 円96 億円 | 520 円60 億円 | −37.2% | −5.5% | 339 円39 億円 |
| 悲観 | 14% | 606 円70 億円 | 346 円40 億円 | −55.9% | −9.2% | 133 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,871 円447 億円 | 1,016 円117 億円 | +126.4% | +9.8% | 4,887 円564 億円 |
今の株価時価総額 2,159 円249 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 媒体支配力とD2Cがともに拡大 利益 90 億円 · PER 14.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11,635 円1,343 億円
モッピーはポイント獲得の入り口として一層定着し、メール到達可能な会員は1,150万人へ広がる。ポイントインカムも850万人規模へ育ち、両媒体は業界の広告案件の相当部分を扱う。アフィリエイト案件の利用回数が増え、ポイント事業の価格条件も改善する。2035年の国内ポイントサイト市場が実質で約840億円となる中、両サイトは名目市場の4割を超える売上を確保する。
D2Cでは、Pitsole以外の美容・オンライン診療ブランドが定着し、年間換算で約400万件の商品・サービス注文をさばく。商品単価の上昇だけでなく、まとめ買いと定期購入が増え、広告費の回収も改善する。ラボルは弥生などの販売チャネルから取扱いを増やし、与信モデルの精度が高まって安定黒字となる。CoinTradeも経営資源を絞って黒字を保ち、ビットバンク売却後の金融部門を再構築する。
広告代理店部分はAIエージェント代替で従来の人手を要する取扱数量が減る前提のままであり、増益の柱にはしていない。株主還元を続けても自己資本に余力が残り、事業全体が資本コストを十分超える利益を稼ぐ。成長の中身は利用者・商品注文・与信取引の増加であり、一度限りの投資売却益ではない。
- モッピー(自社ポイント媒体):数量 1,150(メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない))× 価格 0.36(会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む))→ 売上 414 億円・営業利益 120 億円。市場が拡大し会員1,150万人、1人当たり広告消費が上向く
- Point Income(取得ポイント媒体):数量 850(累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示))× 価格 0.11(累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む))→ 売上 94 億円・営業利益 19 億円。年換算850万人、2媒体の共同購買と案件調達が進む
- AD.TRACK・広告運用・その他ポイント:数量 90.0(AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース))× 価格 0.21(取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。AI代替のため2025年より取扱数量を増やさない
- D2C・オンライン診療関連:数量 400(同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定))× 価格 0.70(1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目))→ 売上 280 億円・営業利益 36 億円。年400万注文相当、価格・継続購入とも上昇
- ラボル・CoinTrade等の金融:数量 850(ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示))× 価格 0.10(換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値))→ 売上 81 億円・営業利益 15 億円。買取換算850億円、貸倒管理改善で高採算
- 旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み):数量 0.0(従業員の期間按分換算工数(人年、推定))× 価格 0.24(人年当たり受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2025年に連結離脱済み
倍率:2035年の全社ROEは19.1%、余剰現金15億円を除いた事業ROEは約19.8%。k=7.5%、普通の堀の残存割合1/2からRONIC=約13.6%、g_long=1.5%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=14.834倍をそのまま使う。特別利益を除いた純利益90億円から余剰現金利息0.21億円を外してPERを掛け、余剰現金15億円×戻り方0.75を加える。
確率:すでにモッピーの高い市場シェアがあり、自社媒体とD2Cの両方で長期に成功するにはさらに複数の販促・製品投資が必要なため、十分ありうるが一桁の確率に抑える。
やや楽観 19% 送客拡大と買収事業の収益化 利益 55 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,985 円806 億円
モッピーは会員1,000万人に達し、会社が描く会員規模の目標を数年遅れながら実現する。ポイントインカムは開発・広告営業の統合が進み、ブランドを分けたまま利益率を改善する。広告主が出す獲得報酬は実質では横ばいに近いものの、両媒体が持つ送客力により利用者当たりの売上が増える。AD.TRACKは制作・運用の自動化で既存の外部取扱が縮むが、グループ内の利益改善にはなお寄与する。
D2CはPitsoleへの依存を薄めて、化粧品とオンライン診療で年間約260万件の購入・サービス利用を得る。買収ブランドの販促投資が数年後に回収され、在庫回転も改善する。ラボルは弥生との提携と不正防止のデータ蓄積で少額請求書の買取を増やし、CoinTradeは暗号資産の価格上昇に頼らず小幅な黒字化を果たす。
旧計画撤回の経験から、経営は大きな買収を慎重に行い、ビットバンク売却資金の一部を予定どおり株主へ戻す。モッピーを中心とする継続的な利益が増え、金融やD2Cが補助的な稼ぎ手となる10年である。
- モッピー(自社ポイント媒体):数量 1,000(メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない))× 価格 0.33(会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む))→ 売上 330 億円・営業利益 87 億円。会員1,000万人と適度な実現単価上昇
- Point Income(取得ポイント媒体):数量 680(累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示))× 価格 0.09(累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む))→ 売上 59 億円・営業利益 9 億円。共同運営で黒字率を上げる
- AD.TRACK・広告運用・その他ポイント:数量 80.0(AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース))× 価格 0.21(取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。AI自動化で取扱数量は現状より減少
- D2C・オンライン診療関連:数量 260(同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定))× 価格 0.65(1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目))→ 売上 169 億円・営業利益 19 億円。年260万件、複数ブランド定着
- ラボル・CoinTrade等の金融:数量 600(ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示))× 価格 0.10(換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値))→ 売上 59 億円・営業利益 8 億円。ラボル成長と暗号資産損益正常化
- 旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み):数量 0.0(従業員の期間按分換算工数(人年、推定))× 価格 0.24(人年当たり受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。連結対象外
倍率:2035年の全社ROEは15.1%、余剰現金を除いた事業ROEは約15.7%。k=7.5%、残る割合1/2からRONIC=約11.6%、g_long=1.5%で正当化PER14.513倍。上限を手で減らさず、事業純利益(55−0.21)億円に掛けて余剰現金の株主帰属額11.25億円を別に加える。
確率:会員規模の拡大と取得ポイント媒体の利益改善には現在の増益実績という根拠があるが、金融まで安定黒字にするには与信や規制対応の継続成功が必要である。
中立 34% 媒体は拡大、金融は小幅な利益へ 利益 32 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,881 円448 億円
2035年のモッピーの会員は870万人で、2025年末より増えるが2030年1,000万人という会社目標には届くとは限らない。会員当たりの名目売上は約17%増にとどまり、10年間の物価上昇には追いつかない。AIによる特典比較や直接送客が、サイトを訪れる回数と広告条件を少しずつ圧迫するためだ。ポイントインカムは取得初年が4か月分しか入っていないことを踏まえ、年間を通じた運営と少しの利用拡大を見込む。
代理店・広告運用に当たる部分は実質取扱数量が2025年の約7割へ落ち、単価も据え置き以下となる。これはAIエージェント代替の影響を数量と単価で数えたものであり、資本コストを別に引き上げる理由にはしない。D2Cは商品の入れ替わりを繰り返しながら190万件相当の注文に到達するが、広告費と在庫費用が重く、利益率は一桁にとどまる。
金融ではラボルの請求書取扱額が増え、CoinTradeの損失は大きく改善するものの、グループ全体の重要な利益源にはならない。ゆめみは売却済みで連結売上も利益も復活させない。本社費用は人件費上昇を反映して増え、営業利益の約半分が最終利益として残る。自社株取得を含む適度な還元と資本蓄積が並存する姿である。
- モッピー(自社ポイント媒体):数量 870(メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない))× 価格 0.31(会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む))→ 売上 265 億円・営業利益 66 億円。会員870万人、実現単価の上昇は物価を下回る
- Point Income(取得ポイント媒体):数量 600(累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示))× 価格 0.08(累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む))→ 売上 47 億円・営業利益 6 億円。2025年4か月連結から通年へ、単価は緩やかな増加
- AD.TRACK・広告運用・その他ポイント:数量 66.8(AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース))× 価格 0.20(取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。AI代替の中立型。数量0.70倍、単価0.916倍
- D2C・オンライン診療関連:数量 190(同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定))× 価格 0.62(1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目))→ 売上 118 億円・営業利益 9 億円。年190万件相当、販促費を差し引いた利益率7.5%
- ラボル・CoinTrade等の金融:数量 400(ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示))× 価格 0.10(換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。買取換算400億円、金融全体の利益率4.5%
- 旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み):数量 0.0(従業員の期間按分換算工数(人年、推定))× 価格 0.24(人年当たり受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。既に売却済み
倍率:2035年のROEは10.4%、余剰現金を除く事業ROEは約11.0%。k=7.5%、堀は普通で残る割合1/2、RONIC=約9.24%、名目の長期成長g_long=1.5%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.960倍。中立のPERを上限から恣意的に値引かず、純利益31.5億円から余剰現金利息0.21億円を引いて倍率を掛け、余剰現金の0.75を加える。
確率:中心値は国内ポイントサイト市場の実質拡大を認めつつ、会員当たり収益は物価上昇を下回り、2030年会社目標の達成も前提にしない。下に寄せる理由:金融の既存赤字、D2Cの商品失速、のれんの増加というAIと独立のリスクがあり、上側27%より下側39%を厚くした。
やや悲観 25% 広告中抜きと資本収益率の低下 利益 6 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 836 円96 億円
ポイント獲得経路の一部が大手ECやAIアシスタントへ移り、モッピー会員は650万人に戻る。広告主の獲得単価は伸びず、他社より有利なポイントを付けるための負担も増える。ポイントインカムは通年連結の効果こそ残るが、統合の運営費が思うほど減らない。自社の広告仲介も制作・運用が自動化され、取扱額は2025年のほぼ半分となる。
D2Cは新しい商品への広告投資に対して継続購入が弱く、規模は拡大しても利益を失う。SQUIZなどの買収は予定した利益率に達せず、のれんの回収が問題になる。ラボルは競争で審査料率が下がり、貸倒引当が重くなる。CoinTradeの暗号資産保有リスクも小さくならない。
2026年のビットバンク売却が残した現金と、なお売却可能な資産が事業の価値を下支えするが、予定どおりの配当や買付けを続けられる余力は乏しくなる。2035年の利益は資本コストを十分下回り、株主が受け取る価値は主に残余資産と最初の数年間の還元に依存する。
- モッピー(自社ポイント媒体):数量 650(メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない))× 価格 0.27(会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む))→ 売上 176 億円・営業利益 32 億円。会員が現在に近い規模へ戻り利用単価が停滞
- Point Income(取得ポイント媒体):数量 480(累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示))× 価格 0.06(累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。統合費が残り薄利
- AD.TRACK・広告運用・その他ポイント:数量 50.0(AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース))× 価格 0.18(取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。広告運用縮小で数量・価格低下
- D2C・オンライン診療関連:数量 130(同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定))× 価格 0.55(1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目))→ 売上 72 億円・営業利益 −2 億円。広告獲得費で赤字
- ラボル・CoinTrade等の金融:数量 250(ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示))× 価格 0.09(換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値))→ 売上 23 億円・営業利益 −2 億円。貸倒・暗号資産損失が続く
- 旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み):数量 0.0(従業員の期間按分換算工数(人年、推定))× 価格 0.24(人年当たり受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み
倍率:営業黒字が残っても2035年ROEは約2.2%でk=7.5%に大きく届かない。成長に価値を付けず、元のFY2025自己資本133億円を基準に清算可能資産の見込85億円を保守的に評価するPBR0.6391倍を採用。過去の谷の市場PBRから選んだ数字ではない。
確率:ポイントサイトの自社利用が弱まり、D2Cやファクタリングの増分投資が資本コストを超えない局面は現実に起こり得る。AI数量減は中立からすでに入れ、確率は顧客獲得費や貸倒を別に反映する。
悲観 14% 媒体地位の喪失と買収負担 利益 −16 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 606 円70 億円
成果報酬広告の獲得先が大手の直販とAIエージェントの自動比較に置き換わり、モッピーのメール到達可能会員は500万人に縮む。残る会員もキャンペーン案件を選別するようになり、名目の利用者当たり売上が減る。Point Incomeは統合効果が出ず、利用者の流出と安全対策費によって赤字に転落する。広告仲介の制作・運用部分は事業量が大きく縮み、価格も下がる。
Pitsoleや買収した通販・診療ブランドは広告費の高騰と商品陳腐化で損失を出す。金融ではCoinTradeの取扱減少、規制対応費、ラボルの信用損失が重なり、営業赤字が続く。2026年に売却したビットバンクの利益を再び期待することもできない。本社は必要なシステム管理と利用者へのポイント交換義務を負い、急に固定費を減らせない。
のれんと回収が難しい投資資産を損失処理し、黒字時代の高い資本効率は失われる。それでも倒産・破産という事態までは想定せず、2026年の持分売却で得た資金の残りと換金できる資産を価値の床とする。株主還元は前半の配当と一部の自社株取得に限られ、事業の再成長を前提にしない。
- モッピー(自社ポイント媒体):数量 500(メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない))× 価格 0.21(会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む))→ 売上 105 億円・営業利益 9 億円。会員500万人、広告案件の単価と利用回数が悪化
- Point Income(取得ポイント媒体):数量 350(累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示))× 価格 0.05(累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。顧客流出・運営費により赤字
- AD.TRACK・広告運用・その他ポイント:数量 30.0(AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース))× 価格 0.16(取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。AI中抜きで数量・価格が大幅低下
- D2C・オンライン診療関連:数量 90.0(同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定))× 価格 0.52(1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 −7 億円。商品陳腐化と在庫減損
- ラボル・CoinTrade等の金融:数量 150(ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示))× 価格 0.08(換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値))→ 売上 12 億円・営業利益 −4 億円。暗号資産・与信損失が固定化
- 旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み):数量 0.0(従業員の期間按分換算工数(人年、推定))× 価格 0.24(人年当たり受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み
倍率:営業赤字が続き正当化PERを使えない。FY2025自己資本133億円を基準に、2026年売却益後の正味売却可能資産を悲観的に再計算して70億円とし、元の資本に対するPBR0.5263倍で示す。10年間の留保利益で膨らんだ自己資本にPBRを掛けていない。
確率:ポイントサイトの信頼毀損、金融損失、取得ブランド失敗が重なる構造的な敗北である。清算を前提とせず2026年に売却した投資持分と有形・流動資産の残価を保守的に測るため、低頻度でも無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
モッピー(自社ポイント媒体)
メール到達可能な会員への成果報酬広告の掲載とポイント付与。自社利用者接点を持つ広告媒体であり、代理店の広告制作・人月売上とは区別する。
| 数量メール到達可能なモッピー会員数(万人、実購買会員・MAUではない) | 価格会員1万人当たり年間広告売上(億円、成果報酬と利用頻度を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 648 | 0.26 | 169 | 41 |
| 10 年後 中立 | 870 | 0.31 | 265 | 66 |
取り方:中期経営計画2030のモッピー売上169.21億円とFY2025のアクティブ会員648万人(メール受信可能者)を使用。売上÷期末会員数で年間の簡易実現単価を求め、公式の月次・四半期ARPUと混同しない。営業利益41億円はポイント全体43.59億円を後述2領域へ分けた推定値で、会社による単独利益の公表値ではない。2025年市場598億円に対し、会社の比較用Moppy162億円はシェア27%を示す。
Point Income(取得ポイント媒体)
2025年9月から連結したポイントサイト。500万人の累計登録者を基礎に広告主への送客を行う。
| 数量累計会員数を連結対象月数で年換算した延べ有効会員(万人年、実アクティブ数非開示) | 価格累計会員換算1万人年当たり売上(億円、ポイント付与後の実現条件を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 167 | 0.06 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 600 | 0.08 | 47 | 6 |
取り方:2025年9月から12月の会社開示売上9.48億円。取得時資料の累計登録会員約500万人×連結4/12か月=166.67万人年を数量の保守的な代理変数とした。累計会員と毎月の実利用者は異なる。譲受前の前年度年間売上約35億円と2025年市場598億円から比較用シェア約6%。2025年単独営業利益0.5億円は粗利がモッピーの約半分という経営者発言を踏まえた配賦推定であり、開示値ではない。
AD.TRACK・広告運用・その他ポイント
成果報酬型の広告仲介、オファーウォール、studio15の動画・インフルエンサー広告など。AIエージェント代替のうち広告制作・運用・媒体買付の型に該当する。
| 数量AD.TRACKの年間広告取扱高(億円、重複を含む取扱ベース) | 価格取扱高1億円当たりの推定連結外部売上(億円、契約手数料率ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 95.4 | 0.22 | 21 | 2 |
| 10 年後 中立 | 66.8 | 0.20 | 13 | 1 |
取り方:AD.TRACKの会社開示の2025年取扱高95.37億円を数量として使用。ポイント外部売上199.515億円からモッピー169.21億円、Point Income9.48億円を差し引いた残り20.825億円を暫定的に対応させた。この残余にはAD.TRACK以外の媒体が含まれ、取扱高にもグループ内送客が含まれるため、価格0.21836は実際のASP手数料率ではなく分析上の換算係数。営業利益は全体からの配賦推定。中立数量は現在の70%、名目価格は現在の92%とし、AIによる代理店業務の代替を重く反映。楽観でも数量は現状以下とする。
D2C・オンライン診療関連
Pitsole、化粧品、健康食品および2026年に取得したOopsなどの自社企画・販売。実物の商品と医師の診療を伴う部分は広告運用型AI代替とは異なる。
| 数量同等購入注文・診療利用件数(万件/年、SKU混合の推定) | 価格1注文・利用相当当たりの売上(億円/万件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.49 | 49 | 1 |
| 10 年後 中立 | 190 | 0.62 | 118 | 9 |
取り方:有報・決算資料のD2C売上48.67億円・営業利益1.07億円を正とする。商品別販売件数は非開示なので、Pitsoleの自社サイト表示価格5,980円(税別)と化粧品等の混合を勘案し、年間100万件相当×実現単価4,867円という逆算した代理変数を採用した。100万件は実際の注文数ではない。2026年SQUIZ取得分の取扱いは売上の10年筋書きでのみ織り込む。物販ECの化粧品・医薬品2024年市場10,150億円は広い参考市場で、同社の厳密なシェアではない。
ラボル・CoinTrade等の金融
個人事業主向け請求書買取、暗号資産交換・ステーキング、ベンチャー投資。ビットバンク持分は2026年10月に全部売却済み。
| 数量ラボル請求書買取取扱高への換算額(億円/年、推定。暗号資産数量は非開示) | 価格換算額1億円当たり金融事業外部売上(億円、暗号資産評価損益を含む実効値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 177 | 0.10 | 17 | −11 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.10 | 40 | 2 |
取り方:金融事業の2025年売上16.90億円、営業損失10.79億円は会社開示。会社説明ではマーキュリーの売上が暗号資産評価損で約−0.82億円となり、残差のラボル等が最大約17.72億円と推定できる。ラボルの請求書買取基本手数料10%を掛け戻して取扱額177.2億円相当としたが、他の金融事業も残差に入るため実際のGMVではない。価格9.54%は金融事業全体の売上÷ラボル換算取扱額であり、契約手数料率10%と区別する。市場の国内請求書買取はROBOT PAYMENTの2025年資料による2023年約9.2兆円を比較用に使い、正確なラボルの市場シェアは非開示とする。
旧DX受託開発(ゆめみ、売却済み)
企業のシステム開発・デジタル支援。2025年中に連結から外れた人月型であり2035年の継続利益はゼロ。
| 数量従業員の期間按分換算工数(人年、推定) | 価格人年当たり受託売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 133 | 0.24 | 32 | 6 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.24 | 0 | 0 |
取り方:2025年のDX売上31.53億円、営業利益5.99億円を使用。連結除外に伴う従業員減少約318人を一時点の人員参考値とし、5か月分の工数132.5人年に換算して単価を推計した。人数と稼働期間は厳密な部門別実績ではない。人月・受託型はAIエージェント代替の影響を受けるが、2025年に売却済みなので全2035年シナリオの数量・利益を0とし、他事業へ過去売上を引き継がない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と広告収益の中抜き
自社媒体のモッピー・Point Incomeは会員への送客という価値を保てるが、人が画面で特典を探す頻度はAIの自動比較で減りうる。特にAD.TRACKやstudio15の広告制作・運用は省力化の直接の対象である。代理店型の中立取扱数量を2025年の7割、価格指標を約9割とし、10年後の成長と長期成長率の双方へ反映した。記録の正本として守られているとは評価しない。
ポイント引当金とサイバーセキュリティ
2025年末のポイント引当金は約70億円あり、会員が交換を求める現金相当の約束が存在する。ポイント付与の条件改悪は利用者の離反を招き、維持すれば広告主の値下げを自社が負担する。2026年10月にはPoint Incomeが不正アクセスを検知して緊急対策を行った。被害の範囲が未確認の事柄は決め付けず、実害と顧客離反を継続監視する。
暗号資産評価損と金融事業の信用損失
CoinTradeは暗号資産の保有評価損と交換業規制への対応費が業績を揺らす。ラボルは定額手数料を受け取れても、請求書の不正・取引先の倒産・資金調達金利の上昇で増分利益が失われる。ビットバンク株式を全て売却したため、同社の取引高拡大による持分法利益は将来の助けにならない。
D2Cの商品寿命と顧客獲得費
2025年のPitsole不振は、販路を広げるための値下げが広告の採算まで悪化させたことを示した。商品が数年単位で入れ替わる市場では、売上の高い伸びが次の商品開発費と販促費に消える可能性がある。SQUIZなどの新事業にも医療規制、医師の確保、継続購入率という別の課題がある。
買収後ののれんと資本配分
ゆめみ売却は選択と集中を示したが、Point IncomeやSQUIZ等の買収で2026年6月ののれんは約50億円へ増えた。取得後の追加利益が資本コストを下回れば、会計上の営業利益が増えてもオーナー利益は増えない。借入契約の財務制限条項、無形資産の減損、自己株買いと買収原資の競合を同時に監視する。
広告規制、プラットフォーム依存と計測変更
アフィリエイト案件は金融機関やEC事業者の広告費、広告計測、アプリ配信、ブラウザーの追跡制限に左右される。広告主が紹介報酬を直接引き下げたり、自社アプリに特典を囲い込んだりすれば、セレスは媒体の規模を維持しても単価を守れない。特にポイント還元率を下げられない場合は粗利率に圧力がかかる。
特別利益とキャッシュフローを混同する危険
2025年のゆめみ売却と2026年のビットバンク売却は、株主資産の入れ替えであり継続利益ではない。2026年上期は営業利益が増えた一方で営業キャッシュフローが約0.8億円にとどまった。ポイント引当金、売掛金、債権買取原資、在庫の増減を除いた継続的な現金収益を把握しなければ、配当余力を過大評価する。
今後の分かれ目
- モッピーの実購買・広告成約件数が毎年増え、会員数だけでなくポイント事業の粗利率も維持されたら
- 自社媒体の持続力を確認できるため中立の送客数量と単価を上方に修正する。メール到達会員の増加だけなら修正しない。
- Point IncomeでAD.TRACK経由の広告案件が計画どおり50%へ上がり、ポイント事業の営業利益率も改善したら
- 買収の増分ROICが資本コストを超える可能性が高まるため、やや楽観の重みを増やす。仕入れ比率だけの達成では判断しない。
- AD.TRACKの外部広告取扱高が連続減少し、AIが広告制作・特典比較を直結させる事例が増えたら
- 代理店部分の実質数量と単価を引き下げる。モッピーの媒体接点にも同じ変化が広がるかを別に確認する。
- ラボルが弥生などの提携チャネルで取扱額を増やし、与信損失を控除した黒字を3期続けたら
- 金融事業の恒常的な利益率を引き上げる。暗号資産評価益や投資有価証券売却益による単年度の黒字は数えない。
- D2C買収先の継続購入率が下がり、のれん減損やSQUIZの統合費用増加が発生したら
- 商品注文数と営業利益率の予想を下げ、資本配分が失敗する筋書きの確率を増やす。新規買収で損失を埋める前提は採らない。
- 2026年に設定した最大25億円の自社株買いが実際に進み、買収を上回る還元規律が定着したら
- 余剰資金の株主への戻り方を0.75から1.0へ改める条件を再点検する。取得枠の発表だけで全額を支払ったとは扱わない。
- ポイントインカムの不正アクセスについて顧客流出や補償費増加が明らかになったら
- 安全対策費と広告利用頻度を再計算し、下側の筋書きの確率を引き上げる。セキュリティ認証の取得だけを被害解消の証明にしない。
見ておくもの
- モッピーのメール到達可能会員数と実際の月間購入・広告成約件数、会員当たり広告売上
- モッピーとPoint Incomeのポイント売上・粗利率・外部ASPからAD.TRACKへの移行率
- AD.TRACK外部取扱高と広告制作・運用収益のAI自動化後の価格
- 金融事業のうちラボルの請求書買取取扱額・貸倒率・資金調達費用・部門別営業損益
- CoinTradeの自己保有暗号資産評価損益とビットバンク売却後の持分法損益ゼロの確認
- SQUIZやDINETTE等の買収先の広告費回収期間、のれん残高、増分ROIC
- 現金同等物とポイント引当金、営業キャッシュフロー、自社株買いの実際の取得額
- Point Income不正アクセスの調査・復旧状況と会員離反、実施した安全対策
倍率と資本コストの決め方
先に国内ポイントサイト市場598億円と自社の2025年比較シェア、メール到達可能会員648万人、取得済みPoint Incomeの4か月分の売上、AD.TRACK取扱高95.37億円、商品注文数と請求書買取額の推定を分けた。物価年3%は価格の側にのみ入れ、広告仲介にはAIエージェント代替による数量・単価の縮みを入れた。金融と買収に伴う一過性の売却益は将来の純利益に入れず、2026年売却後の自己資本だけ別途調整した。資本コストは基準の7.5%、10年先の名目成長は1.5%で、普通の堀の増分ROICから楽観~中立の正当化PERを導いた。今のPERや同業のPERから倍率を選んでいない。2025年の株価・株数による時価総額264.14億円との比較は最後に行い、加重現在価値297.17億円、差+12.5%となった。2027年度以降に新リース会計基準が適用されても賃借料を二重に足さず、2025年と同じ営業費用の物差しで2035年を比較する。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%に、事業の4要因の修正合計0%を加えた。個別の買収・サイバー・金融リスクは筋書きと確率に入れる。