結論
HOUSEIは新聞・出版業界の基幹システムを出発点に、企業向け受託開発、海外IT、顔認証を使う無人店舗運営へと事業を広げた会社だ。長く持つ株主の立場では、現時点の評価は「割高」と考える。理由は、売上高よりもはるかに小さい稼ぐ力と、主力の人月型事業をAIエージェントが削る可能性である。
2025年の売上高は約48億円あるが、営業利益は約0.4億円、最終損益はのれん減損もあって約1.9億円の赤字だった。2026年上期も営業赤字で、会社が掲げる通期の大幅回復には下期だけで約3.2億円の営業利益が必要となる。新製品が売れても、開発費、海外拠点の固定費、買収先の管理費を回収できなければ、株主に帰属する利益は増えない。
強みも確かにある。日々停止できない紙面制作の業務知識は簡単には買えず、無人店舗の実導入は2025年末の47店舗から拡大した。ただし、新聞社の予算が細ることと、顔認証・予約システムで大手IT企業に対抗し続けることは別の課題である。利用継続率や製品別粗利が開示されず、この二つを盤石な堀と呼ぶには早い。
中立では、10年間の受託工数が縮む一方、無人店舗が緩やかに補い、将来の営業利益は約1.7億円にとどまると考える。今の純現金は損失を吸収する力になるが、2026年上期には現預金が既に減っている。五つの筋書きを資本コストで割り引くと、適正な時価総額は約11億円となり、約23億円の現在価値から大きな安全域は認めにくい。
バリュー投資の観点から
長期の株主が買うのは、コードを書く人の頭数ではない。10年後にも必要とされ、競争相手が値下げしても顧客が離れず、再投資の後に現金が残る事業の取り分である。その基準では、HOUSEIの新聞システムには一定の魅力がある。新聞が毎日発行される限り、紙面制作と配信の基幹系を安定して動かす必要はなくならない。
ただし、必要であることと高い収益率で売れることは違う。部数が減った新聞社には値上げに応じる余地が乏しく、AIエージェントが保守や開発の工数を減らせば、同じ顧客との契約を維持しても売上は減りうる。自社でしか保有しないデータの蓄積、契約の解約率、成功した継続値上げを示す数字がないため、弱い堀として考える。
無人店舗は今の会社の中で最も分かりやすい新しい収益源だ。人手不足という顧客の切実な問題を、実際に動く設備と運用で解決する。導入店数が増えるほど販売店や工事会社との関係が強くなる可能性はあるが、機器の再販売と低採算の個別開発に終わるなら、資本効率は上がらない。販売した後も稼ぐ保守料や決済関連の継続収益こそ確認したい。
株価が自己資本を下回ることだけで割安とは呼べない。資本に対する利益率が要求利回りに足りないなら、帳簿上の1億円が事業価値の1億円になるわけではない。買収の減損が起きた会社では、次の再投資も厳しく評価する。私は、業績改善の一時的な予想よりも、現実の経常的なオーナー利益が積み上がり、現金が株主に戻る行動を長く見たい。
何で稼ぐ会社か
HOUSEIの収益の大半は、人が開発や保守の仕事を進めて得る対価だ。2025年の国内IT事業の外部売上は約41.9億円で、そのうち準委任・保守が22.3億円、請負が14.3億円を占めた。国内のプロダクトは1.9億円、その他が3.4億円であり、会社の製品紹介に比べて契約実態は役務提供に偏っている。営業利益は国内セグメント全体でも約0.15億円しか残らなかった。
新聞向けには紙面制作、広告管理、販売管理、画像管理、ニュース配信などを提供する。紙面を毎日確実に出すために、顧客はシステムの切替えに慎重であり、保守契約は一定の継続性を持つ。メディア以外にも大手システム開発会社、製造、金融、医療などへ人材と技術を供給する。国内技術者の不足を補う中国の開発拠点は、品質と費用の両面で役立つが、為替や賃金にも左右される。
海外ITの外部売上は約5.9億円で、請負・準委任が約3.7億円、製品が約2.2億円である。中国などの金融情報システム、印刷・画像処理ソフト、メディア関連サービスが主な対象となる。2026年上期は海外事業で約1.1億円の営業赤字を計上し、国内の回復を打ち消した。連結内の中国向け開発委託と海外売上を二重に数えないことが必要だ。
別の成長の芽が顔認証サービスWelcomIDによる無人店舗支援だ。書店やスポーツ施設の入退室を制御し、営業時間を延ばしつつ人件費を抑える。2025年末は47店への導入が示され、2026年9月には三洋堂書店だけで66店舗中40店舗に採用された。設置や運用の売上単価は未開示なので、店舗数と推定年間収入を別に考える必要がある。AI関連のimpraiや教育事業もあるが、収益の規模を主力事業と同列に扱える証拠はまだない。
優良さと弱いところ
同社の強みは、新聞社の基幹業務を知り、複数の部署をまたぐシステムを保守してきた経験にある。新聞発行が止まれば顧客の事業に直接響くため、既存の取引先が小さな値引きだけで乗り換える可能性は低い。クラウド型の新しい紙面管理にも新規顧客があり、古い設備の更新需要を取り込める余地は残る。しかし、年間解約率が5%を下回る証拠や、規制対応に伴う値上げの実績は公開資料から確認できない。
強い堀を認めるには、切替費用が高いという説明だけでは足りない。顧客独自の業務に入り込んだ保守でも、AIによる仕様書作成、テスト、運用監視が進めば必要な工数そのものは減る。媒体側の予算が減れば、仕事の継続と単価の維持は別問題になる。自社製品のAI化が進んでも、有料利用の実績が示されなければ失われる人月収入を補えるとは断定できない。
資本効率の弱さはすでに数字に表れている。自己資本約31億円に対して、直近数年間の利益水準は小さく、過去のROE中央値も約4%と株主の資本コストを下回る。研究開発費が2025年に約1.9億円かかった一方、営業利益はその5分の1ほどだった。アイードののれん減損は、買収時に期待した超過収益が実現しなかった警告である。
純現金があるのは救いだが、売掛金と未請求の契約資産が大きく、自由に配れる現金の全額ではない。2026年上期には現預金が減少した。無人店舗では導入実績が本物である反面、顧客の収益改善と同社の継続課金率を確認しないうちは、顔認証技術だけを独占的な優位と見るべきではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場は2025年に約7.5兆円とされ、基幹システムの刷新やクラウド移行が予算の中心となる。HOUSEIの国内売上はこの市場の0.06%弱に相当し、システムインテグレーター全体での交渉力は小さい。NTTデータ、TIS、BIPROGY、NECなどの大手と、多数の専門会社が競合する。個社の市場定義が異なるため、これら競合の比較可能なシェアは公表されておらず、推測で数字を与えない。
新聞社向けの市場は、普通のITサービス市場とは逆に縮みつつある。日本新聞協会によれば新聞総発行部数は2025年に約2487万部で、前年から6.6%減少した。加盟日刊紙はおよそ104紙で、紙面・広告・販売の仕組みを刷新する需要は残るが、発行社数と予算そのものには上限がある。既存メーカーの富士通、NEC、出版社向けの専門ソフト各社に加え、新聞社の内製化も競争相手になる。HOUSEIの新聞社向け売上と顧客数の全貌、同業者の市場シェアは非開示であり、単独首位とは仮定しない。
さらに、ソフトを作る手段が大きく変わる。AIエージェントは設計、プログラミング、テスト、操作、報告をつなぐため、従来の人月や操作画面で売る仕事の数量を減らす。中立では人月型の仕事量を10年でおよそ3割減らし、単価の引上げも物価程度に抑える。市場全体のIT投資が拡大しても、それが既存の受託会社の利益増に直結するとは限らない。
無人店舗は反対に、現場の入退室や省人化という物理的な課題を解く。全国の書店は2026年春に約1万店舗まで減っており、機器の導入先としての母数は限定的だが、ジムや他の小売店にも用途がある。三洋堂書店66店舗のうち40店舗に採用された事実は同一顧客内での成果であって、市場全体のシェアではない。競合は既存の入退室管理会社、警備会社、決済端末会社と大手クラウド企業であり、継続課金の条件と導入コストが長期の勝敗を決める。
資本政策と M&A
経営が抱える最大の課題は、成長投資の成果を利益として株主に戻せていないことだ。2025年にはアイードに係るのれん減損を約2.1億円計上し、その他の減損も生じた。買収による事業拡大の失敗は一度限りの損益項目として終わっても、投じた資本を回収できなかった事実は残る。海外子会社の赤字と、新しい物流事業への投資にも採算管理が必要になる。
株主還元の実績はゼロではない。2024年に約0.9億円、2025年に約0.5億円の自己株取得があり、配当は2025年に約0.2億円だった。2026年の配当予想も年額約0.2億円に相当し、実際の利益が減れば買戻しを継続する保証はない。会社の事業計画には事業別の戦略目標はあるが、複数年度の売上高・営業利益・ROEや、DOE・配当性向・総還元性向についての拘束力ある数字の約束は見当たらない。2026年単年度の52億円売上、2.4億円営業利益は中期目標とは区別すべきだ。
配当が高水準というほどではなく、自社株の純減率も長期で5%には届かない。余剰現金が株主にすべて戻ると断定せず、戻り方を75%とする。今後の大型買収は、現金が潤沢という理由だけで正当化されない。減損後の投下資本利益率が資本コストを安定して上回り、そのうえで残額を株主に返す経営が望ましい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
HOUSEIには、国内大手が簡単に手を出せない細かな業務の専門性がある。新聞の紙面制作や広告管理を止めずに更新する仕事には、長年の顧客理解が要る。紙の部数が減っても電子版と印刷版を統合する必要があり、古いシステムのクラウド化は新しい受注を生む。2025年には新聞社向けの新規顧客獲得も示されており、すべての仕事が市場の縮小率に合わせて消えるわけではない。
無人店舗にも具体的な導入がある。三洋堂書店では66店舗中40店舗まで採用が進み、夜間の入店と営業時間の延長を実現した。この商品を他の書店、会員制施設、フィットネスクラブ、無人販売へ展開できれば、設置台数の増加と保守・課金が組み合わさる。2025年末47店舗という小さな出発点からの数倍成長なら、国内システム開発の仕事量が減っても会社全体を補える。
中国で培った開発能力は国内の人手不足に対応でき、海外の印刷・金融ソフトは別の顧客基盤になりうる。2025年の最終赤字には約2.6億円の特別損失が含まれ、本業が恒常的に同額の現金を失ったわけではない。2026年上期の赤字が本社移転と海外の一時的な混乱を含むなら、その後の粗利回復は速いかもしれない。
こうした改善が重なれば、10年先には単価の上昇と製品の比率拡大が営業利益率を押し上げる。2025年時点の現預金は借金を上回り、当面の開発投資を自己資金で賄える。投資対象としての魅力を決めるのは、この資金を高い限界利益率の製品へ移し、買収の減損を繰り返さない経営が実現するかどうかだ。
慎重な見方
HOUSEIの中心には、AIエージェントに仕事の単位を奪われやすい事業がある。開示された準委任・保守と請負だけで売上の大半に達する。従来なら数人月を使った設計書作成、開発、テスト、運用報告を少人数が機械と進めれば、発注側の必要工数は減る。価格を維持しても請求できる時間が減り、競合が成果物単位の価格を下げれば単価も守れない。
新聞社向けの顧客基盤は、切り替えに慎重な顧客を抱える点では強いが、その顧客自身が縮小している。紙の新聞は前年比で6%を超える部数減が続き、経営統合や内製化が進めば契約数も減りうる。AIがニュースの要約や広告制作まで代替する局面では、媒体の予算とシステム需要の両方が圧迫される。
海外事業の利益が崩れたことも軽くない。2026年上期に海外IT事業で営業赤字が膨らみ、連結でも損失となった。中国の人件費と通貨、現地競争、管理負担を同社は直接は制御できない。プロダクトの売上はまだ小さく、無人店舗の導入が増えても、機器の値引きや設置費の負担で利益が残らない可能性がある。競争相手は警備や決済の既存大手であり、独自の顧客ネットワークを独占しているわけではない。
何よりも、買収による無形資産を事業の安全域とみなせない。実際にアイードののれんは減損され、なお残るのれんには将来の失敗リスクがある。2025年末に14億円を超えた現預金は、2026年上期には約10億円へ減少した。営業損失が続けば、帳簿上の純資産を株主に返せる前に事業維持費として失われる。
どちらに重みを置いたか
実店舗の導入という強い材料があるため、会社の将来を一律に否定するべきではない。ただし、全体の売上構成では人月・請負が圧倒的で、現時点の製品売上だけで置き換えるには規模の差がある。加えて、2025年の買収減損と2026年上期の海外赤字は、この会社固有の資本配分と採算の問題だ。したがって上側25%に対し下側43%と慎重な筋書きを厚くするが、中立の工数減少を確率や資本コストで再び罰することはしない。現株価と本質価値との差は会社への嫌悪ではなく、事業価値として稼げる利益とその不確実性による。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 349 円23 億円(+ 還元の換算額還元の合計 36 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 186 円12 億円、今との差 −45.6%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,003 円67 億円 | 90 円6 億円 | +218.6% | +13.0% | 87 円6 億円 |
| やや楽観 | 17% | 585 円39 億円 | 69 円5 億円 | +90.5% | +7.1% | 111 円7 億円 |
| 中立 | 32% | 303 円20 億円 | 45 円3 億円 | +1.3% | +0.1% | 111 円7 億円 |
| やや悲観 | 27% | 183 円12 億円 | 10 円1 億円 | −43.8% | −5.7% | 52 円3 億円 |
| 悲観 | 16% | 146 円10 億円 | 3 円0 億円 | −56.4% | −8.0% | 24 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 349 円23 億円 | 36 円2 億円 | +12.4% | +1.2% | 386 円26 億円 |
今の株価時価総額 343 円23 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 無人店舗が全国へ普及し、受託も高付加価値化 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,003 円67 億円
無人店舗の仕組みが書店以外のジム、小売、各種会員施設へ広がり、2035年には稼働相当450店に到達する。三洋堂書店での導入実績が販売店・工事会社との協業につながり、単なる顔認証機器の売切りではなく保守や運用にも収入が残る。国内の準委任・請負の工数はAIによってわずかに減るものの、新聞基幹系の切替需要と高度な統合作業では単価が保たれる。
中国拠点の赤字は解消し、過去の買収に関する重いのれん償却も時間とともに減る。製品の売上構成が高まる一方、研究開発費や販売管理費を抑え、営業利益率が過去の実績を上回る。2025年に開示した無人店舗47店から大幅に広がることが最も大きな前提であり、大型競合に対して取引継続率と運用採算を確立しなければ実現しない。AIそのものを売る売上の実額は確認できないため、人月収入がAIで増えるという想定は含めない。
- 国内IT・準委任と保守:数量 186(換算年稼働技術者数(人年、推定))× 価格 0.16(年換算の受注単価(億円/人年))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。新聞社の複雑な移行需要が残り、数量0.98倍×単価1.34倍。
- 国内IT・受託請負:数量 22.8(標準開発案件換算(件/年、推定))× 価格 0.80(標準案件当たり売上(億円/件))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。AI工数削減に耐える高難度開発へ転換し数量0.95倍。
- 国内IT・無人店舗ソリューション:数量 450(年度末稼働相当店舗数(店舗))× 価格 0.02(設置と保守の年換算売上(億円/店))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。実導入47店から450店。設置後の保守も採算化。
- 国内IT・AI・教育等の製品:数量 350(年間ライセンス契約換算(契約、推定))× 価格 0.00(年間契約売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。独自商品が一部定着しても画面型は数量増を認めず。
- 国内IT・その他ソリューション:数量 38.0(年換算個別サービス束(束、推定))× 価格 0.11(年間束当たり売上(億円/束))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。個別運用支援は0.95倍の需要と値上げ。
- 海外IT・請負および準委任:数量 57.0(換算海外案件・人年単位(単位、推定))× 価格 0.08(換算売上単価(億円/単位))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。中国の固定費削減で数量0.95倍・採算回復。
- 海外IT・製品ライセンス:数量 150(年間ソフト販売契約換算(契約、推定))× 価格 0.02(契約当たり売上(億円/契約))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。海外ソフトは数量を維持し販売価格1.15倍。
倍率:資本コストk=8.0%、長期成長率g_long=0%(AIエージェント代替の人月縮小)で、10年末ROE=9.34%。堀は弱く、RONIC=k+1/3×(ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.5倍が式の上限。時価総額は(純利益4.8771億円−余剰現金2億円の税後受取利息0.028億円)×12.5+余剰現金2億円×戻り方0.75=62.1138億円。過去の市場PERは使っていない。
確率:無人店舗450店への拡販と中国採算回復の連続成功が必要で、2025年の製品別利益も明らかでないため8%に限る。2025年末47店という出発点と、2026年の実導入増加は確認できる。
やや楽観 17% 無人店舗300店と受託事業の採算回復 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 585 円39 億円
新聞社の制作システムはクラウド化が進み、既存顧客からの継続案件に加えて新規の刷新案件も獲得する。ただし、AIで設計・テストの時間が減るため、国内の受託工数は10年間でおよそ2割縮む。単価は物価並みに上昇するが、新しい業務を増やすことで数量の減少を一部補うにとどまる。
無人店舗は三洋堂書店以外にも導入が進み、2035年の稼働相当数は300店となる。導入後の運用・保守の利益が残り、海外の印刷・金融ソフトも固定費に見合う収益を出す。買収に係るのれんの追加減損はなく、拙速な買収を避けて研究開発を既存商品の改良に集中する。全体の利益は回復するが、受託中心の会社から高収益ソフト会社へ一足飛びに変わるわけではなく、資本に対する利益率はなお低い。
- 国内IT・準委任と保守:数量 156(換算年稼働技術者数(人年、推定))× 価格 0.15(年換算の受注単価(億円/人年))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。人月数量0.82倍を値上げと顧客維持で補填。
- 国内IT・受託請負:数量 19.7(標準開発案件換算(件/年、推定))× 価格 0.77(標準案件当たり売上(億円/件))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。AI削減で案件換算0.82倍。
- 国内IT・無人店舗ソリューション:数量 300(年度末稼働相当店舗数(店舗))× 価格 0.02(設置と保守の年換算売上(億円/店))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。300店に拡大、継続保守を積み上げる。
- 国内IT・AI・教育等の製品:数量 315(年間ライセンス契約換算(契約、推定))× 価格 0.00(年間契約売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面型の数量0.90倍、価格1.12倍。
- 国内IT・その他ソリューション:数量 32.0(年換算個別サービス束(束、推定))× 価格 0.11(年間束当たり売上(億円/束))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。技術者支援の数量0.80倍。
- 海外IT・請負および準委任:数量 49.2(換算海外案件・人年単位(単位、推定))× 価格 0.08(換算売上単価(億円/単位))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。中国売上を0.82倍の案件量で維持。
- 海外IT・製品ライセンス:数量 135(年間ソフト販売契約換算(契約、推定))× 価格 0.02(契約当たり売上(億円/契約))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。ライセンス数量0.90倍。
倍率:資本コストk=8.0%、長期成長率g_long=0%(AIエージェント代替の人月縮小)で、10年末ROE=6.32%。堀は弱く、RONIC=k+1/3×(ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.5倍が式の上限。時価総額は(純利益2.7032億円−余剰現金2億円の税後受取利息0.028億円)×12.5+余剰現金2億円×戻り方0.75=34.9400億円。過去の市場PERは使っていない。
確率:三洋堂の40店舗導入という実績は販路の説明力になるが、他チェーンで繰り返せるかは未証明。海外赤字が解消する場合でも受託数量は減るため17%。
中立 32% 工数減を店舗の導入拡大で部分補填 利益 1 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 303 円20 億円
新聞社向け基幹システムの保守は残るが、紙媒体の縮小とAIエージェントによる開発の省力化が進む。国内の準委任・保守の実質稼働量は2025年の68%、請負案件換算は67%まで下がる。工数が減った分の一部は名目単価の上昇で補えるが、労務費も物価とともに上がる。継続顧客の存在は倒産の回避には役立っても、利益率を大きく引き上げない。
無人店舗は実績を踏まえて180店まで広がる。2026年の三洋堂への導入拡大は出発点になるものの、大手チェーンの一社依存からの脱却は緩やかで、工事・保守の費用もかかる。海外の工数型と画面型ソフトも縮小し、中国拠点の大きな赤字はおさまるが高収益には戻らない。買収を抑制し、保守的な配当と小規模な自社株取得を続けるため、自己資本は増えてもROEは株主の資本コストに届かない。
- 国内IT・準委任と保守:数量 129(換算年稼働技術者数(人年、推定))× 価格 0.15(年換算の受注単価(億円/人年))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。人月型0.68倍、価格1.30倍。
- 国内IT・受託請負:数量 16.1(標準開発案件換算(件/年、推定))× 価格 0.75(標準案件当たり売上(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。請負型0.67倍、価格1.26倍。
- 国内IT・無人店舗ソリューション:数量 180(年度末稼働相当店舗数(店舗))× 価格 0.02(設置と保守の年換算売上(億円/店))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2025末47店から2035年180店へ。
- 国内IT・AI・教育等の製品:数量 280(年間ライセンス契約換算(契約、推定))× 価格 0.00(年間契約売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIが画面を飛ばし契約換算0.80倍。
- 国内IT・その他ソリューション:数量 28.0(年換算個別サービス束(束、推定))× 価格 0.11(年間束当たり売上(億円/束))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。工数0.70倍、単価1.25倍。
- 海外IT・請負および準委任:数量 40.2(換算海外案件・人年単位(単位、推定))× 価格 0.08(換算売上単価(億円/単位))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。海外受託0.67倍、現地競争で薄利。
- 海外IT・製品ライセンス:数量 120(年間ソフト販売契約換算(契約、推定))× 価格 0.02(契約当たり売上(億円/契約))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外ソフト数量0.80倍、単価1.10倍。
倍率:資本コストk=8.0%、長期成長率g_long=0%(AIエージェント代替の人月縮小)で、10年末ROE=3.33%。堀は弱く、RONIC=k+1/3×(ROE−k)だが、g=0のため正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.5倍が式の上限。時価総額は(純利益1.2324億円−余剰現金2億円の税後受取利息0.028億円)×12.5+余剰現金2億円×戻り方0.75=16.5550億円。過去の市場PERは使っていない。
確率:2025年の契約種別内訳に合わせて約9割を人月・画面型の代替対象とし、減る工数を無人店舗が部分補填する中心シナリオ。下に寄せる理由:買収減損と2026年上期の海外赤字を認めつつ、代替工数の縮小を数量で既に反映しているので32%を保つ。
やや悲観 27% 新聞と中国の重荷が残り損益赤字 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 183 円12 億円
新聞各社の経営統合と業務内製化が進み、紙面制作と広告管理の外部委託予算が一段と減る。AIエージェントが仕様書、検証、保守の仕事を直接進めることで、国内の役務数量は現在の55~60%程度になる。単価の引上げも競争で物価に届かず、採用済み技術者や海外拠点の固定費を縮めきれない。
無人店舗は既存書店から他業態への販路を広げられず、95店舗前後で停滞する。大型チェーンが決済と入退室を一体提供する他社に切り替え、単価と導入粗利が圧迫される。2025年に傷んだ買収資産は追加投資に結びつかず、持分売却や事業整理を迫られるが、配当を細く続けた後は一時停止する。持続的な純利益を認めにくいため、時価総額は過去の株価倍率ではなく、売掛金、現金、売却可能資産の回収額で測る。
- 国内IT・準委任と保守:数量 105(換算年稼働技術者数(人年、推定))× 価格 0.13(年換算の受注単価(億円/人年))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。新聞社の統廃合で数量0.55倍。
- 国内IT・受託請負:数量 13.9(標準開発案件換算(件/年、推定))× 価格 0.67(標準案件当たり売上(億円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。標準案件0.58倍、採算割れ。
- 国内IT・無人店舗ソリューション:数量 95.0(年度末稼働相当店舗数(店舗))× 価格 0.02(設置と保守の年換算売上(億円/店))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。95店で伸び止まる。
- 国内IT・AI・教育等の製品:数量 252(年間ライセンス契約換算(契約、推定))× 価格 0.00(年間契約売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面型0.72倍、固定開発費を回収できず。
- 国内IT・その他ソリューション:数量 24.0(年換算個別サービス束(束、推定))× 価格 0.09(年間束当たり売上(億円/束))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。工数0.60倍、価格1.10倍。
- 海外IT・請負および準委任:数量 33.0(換算海外案件・人年単位(単位、推定))× 価格 0.07(換算売上単価(億円/単位))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。中国の請負数量0.55倍で赤字。
- 海外IT・製品ライセンス:数量 105(年間ソフト販売契約換算(契約、推定))× 価格 0.02(契約当たり売上(億円/契約))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外ソフト数量0.70倍で赤字。
倍率:売上31.98億円で本業は営業赤字。現在自己資本約30.6億円にPBR0.40を適用し、床12.0億円を上回る12.24億円とした。2025年の現金14.2億円、売掛・契約債権の概ね81%回収11.0億円、設備等5.0億円から全負債17.1億円と処分費約1.1億円を控除する。のれん約6.3億円と自社ソフトは換価価値ゼロとする。
確率:下に寄せる理由:新聞社の発行部数減に加え、アイードののれん減損と中国海外事業の赤字というHOUSEI固有の傷がある。既存顧客の継続だけでは利益を守れず27%。
悲観 16% 人月モデルの崩壊と買収資産の処分 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 146 円10 億円
新聞社の紙面と広告の市場は縮み、共通クラウドやAIエージェントが基幹システムの開発・運用を低価格化する。顧客は残っても、人月契約の実質工数は2025年の4割前後に落ちる。海外では中国の現地競合に案件を奪われ、金融や印刷の画面型ソフトにも低価格の代替品が増える。売上は現状の半分以下となり、固定費と撤退費用を吸収できない。
無人店舗では三洋堂以外の大型展開が実らず、既存の設備も更新時に他社へ移される。製品への投資と過去の買収に残るのれんを減損し、株主への配当は早い段階で止まる。2026年上期に見られた現預金の減少が長期化し、株主は利益の復活より、整理できる資産がどれだけ残るかを気にするようになる。企業全体の営業赤字が続くため稼ぐ力に正の値を与えず、資産の税後回収額を価値の下限として考える。
- 国内IT・準委任と保守:数量 79.8(換算年稼働技術者数(人年、推定))× 価格 0.12(年換算の受注単価(億円/人年))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。市場縮小とAI代替で工数0.42倍。
- 国内IT・受託請負:数量 10.3(標準開発案件換算(件/年、推定))× 価格 0.61(標準案件当たり売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。案件0.43倍、外注費が固定化。
- 国内IT・無人店舗ソリューション:数量 45.0(年度末稼働相当店舗数(店舗))× 価格 0.01(設置と保守の年換算売上(億円/店))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。45店へ減り設備更新にも失敗。
- 国内IT・AI・教育等の製品:数量 175(年間ライセンス契約換算(契約、推定))× 価格 0.00(年間契約売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面型数量0.50倍、単価も下落。
- 国内IT・その他ソリューション:数量 18.0(年換算個別サービス束(束、推定))× 価格 0.09(年間束当たり売上(億円/束))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。工数0.45倍、運用採算崩壊。
- 海外IT・請負および準委任:数量 24.0(換算海外案件・人年単位(単位、推定))× 価格 0.06(換算売上単価(億円/単位))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。海外案件0.40倍、撤退費用発生。
- 海外IT・製品ライセンス:数量 67.5(年間ソフト販売契約換算(契約、推定))× 価格 0.01(契約当たり売上(億円/契約))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。海外ソフト数量0.45倍、値下げ。
倍率:売上は2025年比約45%の21.29億円、営業損失2.31億円。資産回収の算定は2025年現預金14.2億円+売掛・契約債権13.5億円の約71%回収9.6億円+有形固定資産8.3億円の半額4.1億円−全負債17.1億円−撤退費用1.1億円=約9.7億円。のれん6.3億円・無形ソフト・繰延税金資産は床に算入しない。現在自己資本30.6億円の0.32倍=9.792億円で床をわずかに上回る。10年の損失で換価額がさらに減る余地はリスクに明示。
確率:下に寄せる理由:人月型が収入の大半で、AI代替後の競争に加え、現預金が2026年上期に減少したため資産の取り崩しも生じ得る。ただし直近ではGC注記がなく純現金もあるので16%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内IT・準委任と保守
新聞基幹系の運用保守、大手IT企業向け準委任、業務支援。人月・工数で売るAI代替型。
| 数量換算年稼働技術者数(人年、推定) | 価格年換算の受注単価(億円/人年) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 190 | 0.12 | 22 | 1 |
| 10 年後 中立 | 129 | 0.15 | 20 | 1 |
取り方:2025/12決算短信の国内準委任及び保守の外部売上2,228,847千円を採用。保守契約数と実技術者数は非開示。中国拠点を含む実働投入量の便宜的な換算190人年に割り戻し、単価約1,173万円/人年と推定した。2025年に約411人の国内外技術者がいるが、こちらは全社総人員であってこの契約の実人数ではない。利益は契約別非開示のため国内セグメント利益に合わせた分析上の按分。AI代替型なので中立の換算数量は10年で0.68倍、名目価格は1.30倍。
国内IT・受託請負
メディア、金融、製造向けの個別開発やシステム刷新。成果物受渡しも実際は工数に依存する。
| 数量標準開発案件換算(件/年、推定) | 価格標準案件当たり売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 24.0 | 0.59 | 14 | 0 |
| 10 年後 中立 | 16.1 | 0.75 | 12 | 0 |
取り方:2025/12決算短信の国内請負外部売上1,427,420千円を採用。案件実数が出ないため年間24件の中型システム案件相当と見なし、換算単価約5,948万円とした。案件の規模差を標準化した分析用単位であり、24社を受注したという意味ではない。原価超過を含む利益按分は推計。AI代替型で中立数量は0.67倍、単価は1.26倍。
国内IT・無人店舗ソリューション
WelcomIDによる書店、ジム等の顔認証・入退室、無人開閉店支援。実際の店舗設備を伴う。
| 数量年度末稼働相当店舗数(店舗) | 価格設置と保守の年換算売上(億円/店) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 47.0 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 180 | 0.02 | 3 | 0 |
取り方:2025年12月期決算短信に三洋堂書店27店、その他20店の合計47店舗へ導入と記載。製品別売上非開示のため、国内プロダクト売上1.92756億円のうち0.70億円を無人店舗向けと試算し、1店舗当たり年換算149万円とした。導入時一括収入を年率換算した近似であり継続課金額の開示ではない。2026年9月の三洋堂40/66店は翌期に属し2025年度の47店に混ぜていない。物理設備を伴うのでAI代替の人月数量制限は適用しない。
国内IT・AI・教育等の製品
imprai、英語学習Aied、ニュース制作支援、クラウド型管理画面など。画面・利用者課金に近いリスク型。
| 数量年間ライセンス契約換算(契約、推定) | 価格年間契約売上(億円/契約) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 350 | 0.00 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 280 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:国内プロダクト売上1.92756億円から無人店舗への推定0.70億円を控除して1.22756億円と推計した。製品別利用者数・単価・解約率は非開示なので350契約換算は分析用で実契約数ではない。これらには席課金と一括ライセンスも混在するが、操作画面を飛ばすAIエージェント代替型として中立数量0.80倍、価格1.10倍。2025年の研究開発費と固定費の負担をこの部分に一部按分した。
国内IT・その他ソリューション
国内その他契約のIT支援・技術提供。独立した物理設備の売上が確認できない部分は工数型とする。
| 数量年換算個別サービス束(束、推定) | 価格年間束当たり売上(億円/束) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 0.08 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.11 | 3 | 0 |
取り方:2025年12月期決算短信の国内その他338,046千円を採用。細目の数量・単価が開示されず、年40束の個別サービス提供に換算して推定単価約845万円とした。会社が公表した契約数ではなく、部門間の按分を避けた事業内容の近似。AI代替が予想される情報・事務支援に準じ、中立数量0.70倍、名目価格1.25倍。
海外IT・請負および準委任
中国・香港の金融、新聞、企業向けソフト開発と保守。グループ内委託売上を除く外部顧客分。
| 数量換算海外案件・人年単位(単位、推定) | 価格換算売上単価(億円/単位) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 60.0 | 0.06 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.2 | 0.08 | 3 | 0 |
取り方:2025年の海外外部顧客売上のうち請負318,023千円と準委任保守53,500千円の合計3.71523億円を採用。中国の外部向け60人年・案件単位という混合の換算で単価を逆算しており、実際の従業員数ではない。子会社の国内向け役務の内部取引10億円程度はセグメント間で消去しここでは重ねない。AI代替と現地競争を織り込み中立数量0.67倍、価格1.25倍。
海外IT・製品ライセンス
中国系印刷・画像処理ソフトや金融関連プロダクトの外部販売。操作画面と導入支援を伴う。
| 数量年間ソフト販売契約換算(契約、推定) | 価格契約当たり売上(億円/契約) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.02 | 2 | 0 |
取り方:2025年海外プロダクト売上220,692千円を使用。公表契約件数がないので150契約相当として換算単価約147万円とした。特定顧客の単独契約数やライセンス数を表すものではない。独自データ・規制対応の強い堀について二つの公開証拠がないため画面型のAI代替枠とし、中立の契約換算数量0.80倍、価格1.10倍。
リスクと懸念
AIエージェント代替
準委任・保守と請負の合計が連結売上の約84%を占め、独立した成果物課金に転換できた契約は開示されていない。AIエージェントが設計、コード作成、テスト、運用をつなげれば、仕事の数量が直接減る。新聞基幹系に切替費用があっても利用工数は守られず、利益の成長率を10年先も高く見積もれない。
新聞業界の構造的縮小
新聞総発行部数は2025年に前年比6.6%減であり、新聞社の利益とIT予算は人口減少や紙離れの影響を受ける。印刷とデジタル双方のシステム維持は必要だが、顧客の統合や開発内製化が進めば保守の契約件数も減る。顧客数や新聞社向け売上だけが開示されない点は監視の障害になる。
海外事業と人民元・人件費
2026年上期に海外ITで約1.1億円の営業損失が発生し、国内事業の利益を打ち消した。中国のIT市場競争、開発人件費、人民元と円の費用差、現地法人のガバナンスは国内投資家に見えにくい。外部顧客への売上と国内グループ向けの委託売上を混同すると、市場規模も利益率も過大に見積もる。
買収減損と資本配分
2025年にアイードののれん約2.1億円を減損し、その他の減損も生じた。残るのれんは資本として帳簿にあるが、売却して返金される資産とは限らない。赤字先の追加買収や新規の物流事業投資が増えれば、純現金と自己資本が減少して悲観時の資産価値まで小さくなりうる。
無人店舗の一社依存と採算
三洋堂書店での採用は実需の証拠だが、同一チェーン内の40店舗という実績を日本の小売市場のシェアと取り違えてはいけない。設置費用、顔認証の保守、個人情報保護対応、警備や決済の競合によって、導入店数が増えても粗利率が上がらない場合がある。製品単位の売上と継続課金の非開示が予測の弱点だ。
現金残高と資産床の変化
2025年末には純現金約8.8億円があったが、2026年上期には現預金が14.2億円から約10.1億円へ減った。契約資産や未収売上は現金化までに時間がかかり、退職給付・前受金・借入金などの支払も残る。悲観時の床として計算した売れる資産の額は清算を確約する数字ではなく、赤字が続けばさらに低くなる。
今後の分かれ目
- 2026年末の営業利益が会社予想2.4億円に近づき、海外事業も黒字化したら
- 海外の損失が構造的でないかを再点検する。無人店舗を除く人月数量の減少前提は維持しつつ、上側の採算回復の可能性を引き上げる。
- 無人店舗の導入拠点が200店を超え、製品別売上と設置後の継続粗利率が開示されたら
- 中立の物理設備部門の数量と営業利益率を見直す。台数の増加だけではなく、リース・保守・課金で再投資後の現金が残るかを評価する。
- 国内の準委任・請負売上が価格上昇を除いて前年より10%以上落ちる状況が続いたら
- AIエージェント代替による工数減少が前倒しで起きていると見て、中立の数量をさらに削る。保守契約の解約と既存契約の単価改定を分けて調べる。
- 新聞向けの実顧客数と解約率が開示され、5%未満の解約率と継続的な値上げが確認できたら
- 証拠が二つそろう部分だけ強い堀として再評価する。契約の正本に当たる収益を他の受託売上から切り分けてAI代替率を修正する。
- 営業キャッシュフローの赤字が続き現預金が一段と減ったら
- 自由余剰現金を再推計し、悲観の換価床を引き下げる。会社の解散を仮定せず、運転資金と現地子会社への資金流出を優先して控除する。
- 追加買収や新設子会社に多額の資本を配分したら
- 増分投下資本利益率と買収のれんを四半期ごとに追う。資本コストに満たない案件なら株主還元に回すべき金額として中立と下側の確率を修正する。
- 株主への配当・自己株取得が税後利益の過半にわたり継続したら
- 溜まった余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ見直す。ただし毎年の設備投資・開発費・借入返済後に余る資金の範囲を上限にする。
見ておくもの
- 国内ITの準委任・請負・プロダクトの契約種別売上と前年比
- 新聞社向け稼働顧客数、契約解約率、継続値上げの実績
- 無人店舗WelcomIDの導入店舗数、三洋堂以外のチェーン数、稼働後の収益
- 国内と海外のセグメント営業利益、およびセグメント間消去額
- 営業キャッシュフロー、契約資産、売上債権と現預金
- 研究開発費、のれん償却額、追加減損と新規買収の回収率
- AI製品の実売上と人月契約から成果課金への移行割合
- 2026年通期の営業利益2.4億円達成状況と期末配当・自社株数
倍率と資本コストの決め方
2025年の契約類型の外部顧客売上を起点に、工数型・画面型・無人店舗の数量と価格を分離した。店数47店は実績であり、店舗向け売上0.70億円とライセンス数は非開示なので推計と明記した。AI代替の効果は10年間の数量減少と長期成長率0%にだけ入れ、資本コストの寿命や確率で二重に罰していない。PER12.5倍はk8%・g0%の正当化式そのもので、市場のPER・過去のPBRから逆算しない。悲観は現在自己資本30.6億円を基礎とするPBRを資産回収額で検算し、10年後の積み上げ自己資本に掛けていない。2027年以後の新リース会計が純負債を見かけ上変えても、賃料の費用性は維持する。現在の時価総額を最後に比較した。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、値決め力の弱さ0.5%を加える。会社固有の買収減損は筋書きに入れ、追加の資本コストでは重複させない。