結論
オークファンは、中古品の落札相場データ、卸売市場NETSEA、広告支援、そして中国調達の自社商品をつなぐ流通関連企業である。結論は「やや割高」だ。2025年9月期は赤字であり、保有現金の厚さだけでは、利益を再び株主のために増やせると証明できない。2026年にはライブコマースと自社ブランドを前面に出しているが、売上の拡大と株主価値の拡大は別の話である。
最大の魅力は、過去10年・約700億件と会社が説明する取引データだ。2026年には生成AIからそのデータを直接呼び出すサービスが累計100契約を超えた。データそのものへの需要は残り得るが、相場を人間が画面で検索する旧来の課金方法は、AIエージェントによって置き換えられる。契約数の公表を、有料収入や解約率の改善と読み替えてはならない。
卸売市場には売り手と買い手を集める利点がある。ただし大型競合は存在し、取扱額はかつての成長路線へ自動的に戻らない。自社商品は実物を売るためAIに直接消されにくいが、調達・在庫・広告・返品を抱えるため、売上増加ほど利益が増えない可能性がある。2028年の売上100億円目標は上振れの手掛かりであって、10年先の標準利益を保証しない。
純現金約25億円は下値の大きな支えである。それでも、現金は少数株主が直ちに引き出せる財産ではない。増分の資本収益率が資本コストを超えない投資を続ければ、その支えはゆっくり失われる。5つの筋書きを通じた現在価値は約30億円で、基準時価総額約34億円を約14%下回る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が求めるのは、今ある現金の多さだけではない。資産を事業に投じ直すたび、その資産が資本コストを超える現金を増やすかである。相場検索の古い画面と物販講習をそのまま十年間売る姿は想像しにくいが、商品ごとの成約履歴をAIが参照する社会なら、データの価値を別の形で回収する道はある。その道には利用額、更新率、価格改定の実績がまだ足りない。
卸売市場の仲介は在庫を持たない利益率の高い商売になり得る。ところが自社商品へ踏み込むと、売れ残り、返品、倉庫契約、輸入運賃、販売手数料が株主の現金を先に奪う。売上100億円を実現しても、営業利益が薄く、次の商品開発にさらに資金がかかるなら、オーナー利益は小さい。逆に、売れ続ける商品群ができ、倉庫や広告費を効率化できれば、事業の価値は従来の情報サービスに比べ大きくなる。
過去のM&Aと有価証券投資には厳しい評価が必要だ。約十年前より事業の規模が大きくなっても、自己資本に対する利益は低下した。配当がなく、優待中心の還元であることは、利益を長年保有してくれる株主に返す仕組みが弱いことを意味する。上場会社として買い付けるなら、経営者が成長目標だけでなく投下資本利益率と現金の返し方を示すまで、安全域を相当に求めたい。
筆者は悲観側でも純現金と回収可能資産を無視しない。しかし現金の保有額を、そのまま将来の受取額と混同もしない。短期間で多額の在庫を持てば床は下がる。データという小さな堀が実物の販売拡大を支え、同時に株主へ余剰資金を返せるようになるか。十年保有の成否はその二つを同時に成し遂げられるかにかかっている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは一枚岩ではない。ソリューション事業には、aucfan.comの価格検索、プロPlus、タテンポガイド、オークファンロボなどの画面・席課金と、広告運用、物販支援、研修が同居する。前者は利用契約数と料金、後者は支援企業数と年間受注額が基本単位になる。2025年9月期のソリューション外部売上は約27.9億円で、当該事業内のサービス別売上と顧客数は公表されていない。
プラットフォーム事業のNETSEAは、卸売業者と仕入れ先を仲介する。2025年のNETSEA流通額は81.19億円、終了したNETSEAオークションは1.53億円、実物の商談会OSRは27.64億円で、合計110.36億円だ。NETSEAの開示された流通手数料率は8.5~10.5%程度で、供給者の月額会費なども入る。プラットフォーム事業の外部売上16.1億円には手数料だけでなく自社商品の売上も含まれ、流通総額に単純な掛け率を適用してはならない。
転換先のD2X事業は、AP LABやKACHIKAなどの商品を中国の工場から調達し、Amazon、TikTok Shop、ライブコマースなどで販売する。これは消費者が買った点数と平均販売単価が収入を決める事業である。2026年秋のハンガー系列累計100万本超という公表は手掛かりになるが、2025年単年度の販売点数・平均価格・ブランド別利益は未開示だ。卸売の仲介と違い、売上を総額で計上する分だけ在庫負担と広告費が増える。
インキュベーション事業は出資先株式の売却や関連支援を含むため、常時反復できる手数料ではない。2025年は売上約2.57億円に対して営業損失約3.08億円だった。グループ全体では本社費約4.11億円も重く、個々の売上増だけを足して利益を予想するのは危険だ。数値モデルでは3報告区分をデータ課金、広告・運用、卸売、実物商品、投資回収へ仮に分解した。
優良さと弱いところ
価値ある資産は相場データである。中古カメラや古銭、ブランド品のように個体差が大きい商材では、過去の成約価格を確認する需要はなくならない。約700億件という蓄積は容易に再現できず、AIがデータの利用経路を変えても、データへの接続口を押さえれば収益機会は残る。ただし、低解約率、規制上の移行負担、毎年の値上げを通した実績という別々の証拠は確認できない。2024年の会員価格改定後に需要が弱含んだ点を見ても、独占的な値決め力までは認めない。
NETSEAも出品と購入の両側が集まるほど使いやすくなる。しかし競合スーパーデリバリーが年間300億円超の取扱高を持つのに対し、NETSEAとOSRを合わせても2025年は110億円程度だった。流通額が伸びずとも現金を稼げること、売り手や仕入れ先が離れないことを数字で示さない限り、強いネットワーク効果とは呼べない。D2Xの中国調達網は利点だが、同じ製品がAmazonや中国直販で容易に比較される。
資本効率の履歴は厳しい。2020年に自己資本が約81億円まで膨らんだ後、2025年には約41億円となり、ROEも直近はマイナスに沈んだ。買収・出資と新規領域への投下資本が高い増分利回りを生んだ、と断言できる実績ではない。一方、純有利子負債はマイナスで、短期に資金繰りが破綻する構造ではない。堀は会社全体では弱く、まだ残る相場データの強みを新たな課金基盤へ移せるかが分かれ目である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
対象となる市場は一つではない。経済産業省の2025年推計で国内BtoB電子商取引は560.1兆円、BtoC電子商取引は27.6兆円、うち物販は約15.8兆円だった。ただしBtoBには企業間EDIなどNETSEAの対象外も大量に含まれる。110億円の流通額を全BtoB市場で割った極小の比率を、NETSEAが獲得できる市場シェアと呼ぶべきではない。
比較可能性が比較的高い相手はラクーンのスーパーデリバリーである。同社の2026年4月期流通額は約310億円だった。NETSEA・OSRなどの2025年流通額と二者だけを並べればオークファン側は約26%となるが、決算期、商材、展示会売上、手数料構造が違い、業界全体のシェアではない。アリババ1688やAmazon Business、各メーカーの直販にも取引が分かれる。中立では買い手市場の拡大を見込む一方、同社の取扱高は実質で横ばい近くと考える。
データ検索・広告運用の市場はさらに違う。ヤフオク、メルカリの売買データへのアクセス条件が変われば、取得できる情報の範囲が揺れる。汎用AIの査定、広告制作、出品支援は、操作画面の利用と担当者の工数を減らす。ただし会社自身が2026年にMCPサーバーを公開し、AIから価格情報を呼べるようにしたことは防御の初動である。累計100契約から継続的な有料単価や利益をまだ測れない点が、10年の数量と価格を慎重にみる理由になる。
実物商品の競争相手は無数の輸入卸、Amazon出店者、SHEIN、Temuや国内プライベートブランドである。生産数量を伸ばす余地は広いが、流行や広告の仕組みが変われば、低価格で売るための販促費も増える。国内消費者数の減少と円相場150円・物価上昇3%という共通前提を考えると、実質販売点数を増やせるかどうかはブランドごとの商品力次第だ。
資本政策と M&A
経営は今、従来の流通情報サービスで稼いだ資金をライブ販売と自社ブランドへ移している。2025年12月の成長可能性資料と2026年8月の説明資料は、2028年9月期に連結売上100億円規模を目指すと示す。ただし営業利益、ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い総額について同じ強さの数値目標は確認できず、株主還元には数字の約束なしだ。会社は創業以来、現金配当を実施していないと有報で説明する。
2015年にNETSEA、2016年にReValue関連、2022年にOSR事業を買収した。規模は広がったが、近年の利益と株主資本の歩みは、投下資本の収益性が十分でなかったことを示唆する。2024年11月には自己株を約6万株取得した一方、2025年1月には譲渡制限付報酬として自己株30万株を役員らに交付した。買い付けと希薄化を切り離して美談にできない。ただし基準株数には交付済みの分を反映しているため、二重に希薄化は計上しない。
2026年には持株数・保有期間に応じたQUOカードPayと自社商品割引の優待を拡充した。会社費用は正確に開示されていないため年間約0.1億円を検証前の仮定として、10年間の株主還元に含める。筆者は増分ROICが資本コストに届くことを確かめるまで、大型買収や在庫増加よりも還元の規律を重視する。上位10株主の持分は約59.7%で、保有現金を一律半値にしてよい支配・無還元の二条件はそろわない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
独自の相場データは、AIによって陳腐化するどころか、調査画面を開かず使えるようになる。生成AIの能力が高まるほど、学習モデルだけでは把握しきれない最新の実売価格の価値が上がる。MCPサーバーの累計100契約は収益規模としては小さくても、外部の作業画面へデータを供給する方式への転換が始まった証拠である。700億件規模の履歴の持ち主と、公開情報を要約する競合は同じ位置に立っていない。
NETSEAには仕入れ先を探す中小小売店が集まり、OSRの実物商談会とデジタル流通をつなげることができる。中国義烏の調達網、国内の倉庫、リユース企業との関係を組み合わせれば、売り手も買い手も複数のサービスを使うようになる。仕入れの手間を減らすだけでなく、売れる商品を予測するために相場データを使えば、競合にない実務上の便利さをつくれる。
2026年に始まったTikTok Shopでの販売や、AP LABなどの自社商品の拡大も無視できない。ハンガー系列の累計販売100万本超は、少なくとも実物が売れた証拠だ。2028年の売上100億円という目標へ向け、広告制作や商品選定を社内AIで効率化できれば、販売量の伸びが販管費の伸びを上回る。売れるブランドを少しずつ増やせば、2035年には物販が主役になり得る。
純現金が厚く、大きな借金に縛られていない今なら、赤字事業を整理して伸びる領域へ移す余力がある。規律を持って新商品を試し、在庫回転を高めたうえで自社株を買い戻すようになれば、長期株主が受け取る価値は現在の小さな時価総額を大きく上回り得る。
慎重な見方
過去の売上成長が株主利益につながらなかったことは、最も重く受け止めるべきだ。2015年以降のM&Aで売上規模は増えたが、2025年の営業損益は赤字だった。NETSEAの流通額は減少し、手数料ビジネスとしての規模拡大が利益に結び付いたとは言い難い。新しい商売へ移るたびに資金を投じ、失敗すればまた別の成長事業へ移る循環は、長期保有には向かない。
生成AIは相場検索の操作も、広告の素材制作も、ネットショップの画面上の繰り返し作業も置き換える。旧来の会員IDや人手による業務支援に付加価値がなくなるほど、競合と価格で争わなければならない。データの件数は多くても、同じ原データが外部で再取得できるか、AI大手やマーケットプレイスが利用条件を変えるか次第で交渉力は失われる。新しいMCP商品がいくら売れているかも、まだ分からない。
自社商品の販売はさらに競争が激しい。ハンガーや生活雑貨は良い品を安く売ることで売上を伸ばせても、顧客が長年同じ銘柄を買う保証はない。Amazonの手数料、広告単価、返品率が上がれば、販売額の伸びが粗利益を吸収してしまう。為替を150円に固定しても、仕入れと国内物流の物価上昇は避けられない。借りた倉庫には販売不振の時も固定費が残る。
無配のまま新たな商品や出資先へ資金を投じ続ければ、帳簿上の純現金が多くても株主の受取額は増えない。株式報酬による既存株主の取り分にも監視が必要だ。少数株主は清算を命じる立場にないため、現在の現金を永久の下値保証と呼ぶこともできない。市場の成長より、資本配分が繰り返し失敗する危険のほうが大きい。
どちらに重みを置いたか
相場データの独自性と財務の余裕は明らかな強みだが、十年先の主力が、価格交渉力の乏しい自社商品になる点を慎重に見る。中立でも情報サービスと広告運用の数量が縮む一方、自社ブランドの立ち上げ利益は控えめである。下に寄せる理由はAIによる同じ縮小を確率でも重ねるためではない。商品在庫の失敗、広告費上昇、卸売競争、買収・投資回収の不確実性が、別の下振れ要因だからだ。上側25%に対してやや悲観・悲観を45%とし、純現金の床と大きな上振れの両方を残した結果、現在価値は時価総額より約14%小さくなった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 561 円59 億円(+ 還元の換算額還元の合計 40 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 246 円26 億円、今との差 −20.9%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 9.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,217 円233 億円 | 114 円12 億円 | +649.4% | +23.4% | 186 円20 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,008 円106 億円 | 57 円6 億円 | +242.5% | +13.6% | 181 円19 億円 |
| 中立 | 30% | 343 円36 億円 | 48 円5 億円 | +25.6% | +2.5% | 117 円12 億円 |
| やや悲観 | 27% | 247 円26 億円 | 19 円2 億円 | −14.4% | −1.6% | 72 円8 億円 |
| 悲観 | 18% | 237 円25 億円 | 8 円1 億円 | −21.5% | −2.4% | 44 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 561 円59 億円 | 40 円4 億円 | +93.1% | +7.1% | 601 円63 億円 |
今の株価時価総額 311 円33 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% データ収益化と自社商品拡大の両立 利益 18 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,217 円233 億円
独自の成約データをAIエージェントの査定や仕入れ判断に組み込む顧客が増え、月額会員の減少をMCP連携の使用料でほぼ補える。会社は累計契約100件から有料の継続顧客へ転換し、データの精度と更新頻度を武器に収益化する。ただし、2035年のデータ契約口数は2025年を上回らない。AIの普及で需要そのものが無限に増えるとの想定はしない。
中国義烏の調達網とNETSEAの卸売顧客が連携し、商談会を含む流通額は現状より増える。自社ブランドの中には繰り返し買われる生活雑貨が生まれ、累積した販売データを使って広告や生産の無駄を減らせる。TikTok Shopなどのライブ販売は流行に依存しながらも収益チャネルとして生き残り、年間販売点数は800万点へ拡大する。
既存の出資先は規律を持って回収し、不採算案件への大型の再投資を止める。商材の拡張に必要な運転資金を負担しても、利益の多くを還元できる段階に入り、既存株主は総額12億円程度の優待・買い戻し・配当を受け取る。早期の苦労に対し、十年の終わりに高い資本収益を実現した姿である。
- 相場データ・業務ソフト会員課金:数量 11,000(年間の有料契約口数相当(推計口数・年))× 価格 9.20(年間1口当たり平均売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 5 億円。AIからのデータ参照は増えるが、旧ID数量は今を超えない。単価は有料APIの収入を含む仮定で、金額実績の裏付けはない。
- 広告運用・販売支援・研修:数量 100(継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計))× 価格 2,550(顧客企業相当1社当たり年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 5 億円。広告支援は生存顧客の集約と高付加価値化で量が横ばい。AIによる制作工数の置換は残る。
- NETSEA・OSR卸売マッチング:数量 180(NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円))× 価格 0.12(流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 5 億円。卸売の実質取引量180億円、名目手数料等の比率は12%相当。
- 自社ブランド・OEM・ライブコマース:数量 8,000,000(年間販売点数(点・推計))× 価格 2,500(商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目))→ 売上 200 億円・営業利益 24 億円。年間800万点を平均2,500円で販売し、商品の反復購買で営業利益率12%。
- 出資先の売却・支援:数量 2.0(年間投資回収案件相当数(推計件))× 価格 1.50(1件相当の会計上の売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。投資売却収入は機会発生型。恒常成長を当てない。
倍率:10年後の税後の全社利益17.9億円から余剰現金10億円の利息0.14億円を除く。余剰現金を控除した事業ROEは21.68%、k8.25%、弱い堀の残存割合1/3ゆえ増分RONIC12.73%。名目の長期g1.0%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.7094倍とし、手で割り引かない。現金の株主還元価値は10×0.75=7.5億円を一度だけ足す。自己資本の道筋は2025年起点40.9億円+期間純利益合計63.0億円−配当・自社株買い・優待などの期間還元12億円=10年後91.9億円とする。純利益合計は年次曲線の仮定であり開示実績ではない。
確率:独自データの有料API化とブランド定着、在庫回転の改善、撤退規律という複数の成功が必要。AI関連収益の増分売上額は未開示なので成功を既定にせず8%。
やや楽観 17% 自社ブランドが主力事業に育つ 利益 8 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,008 円106 億円
価格検索の旧来の有料会員は徐々に減るものの、MCP経由の外部接続を商品として定着させ、データ売上を大きく毀損しない。広告制作の一部は自動化されて受注量が落ちるが、顧客の販売実績をもとにした企画支援が残り、単価は上がる。画面操作そのものを売る時代から、取引に有用な情報を供給する会社へ緩やかに移る。
NETSEAは大きくは成長しないが、対面商談会との組み合わせで仕入れ需要を維持する。D2Xのブランドがいくつか定着し、国内のECモールだけでなくSNSのライブ販売でも一定の販売量を得る。商品の回転が増えれば調達単価が下がるが、輸入物流費とプラットフォーム手数料の上昇が一部を打ち消す。
出資関連は小さくし、本社の固定費を事業規模に合わせて負担する。2025年までの無配慣行を急に反転させるわけではなく、黒字が安定した後に優待と少額の自己株取得を続ける。この場合は自社ブランドへの再投資が資本コストをやや上回り、旧来事業の縮小を補う。ただし高いブランド利益率が長く続くほどの独占力は認めない。
- 相場データ・業務ソフト会員課金:数量 10,500(年間の有料契約口数相当(推計口数・年))× 価格 9.10(年間1口当たり平均売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 4 億円。AI接続の代替売上を得るが、契約口数は2025年以下。
- 広告運用・販売支援・研修:数量 85.0(継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計))× 価格 2,250(顧客企業相当1社当たり年間売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。人の制作・運用工数の減少を数量15%減に反映。
- NETSEA・OSR卸売マッチング:数量 150(NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円))× 価格 0.11(流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。取扱高実質150億円を獲得するが競争で単価はあまり上がらない。
- 自社ブランド・OEM・ライブコマース:数量 5,000,000(年間販売点数(点・推計))× 価格 2,350(商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目))→ 売上 118 億円・営業利益 11 億円。年間500万点を販売、利益率9%。
- 出資先の売却・支援:数量 1.0(年間投資回収案件相当数(推計件))× 価格 1.20(1件相当の会計上の売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。小規模な投資回収のみ。
倍率:10年後の税後の全社利益8.1億円から余剰現金10億円の利息0.14億円を除く。余剰現金を控除した事業ROEは12.84%、k8.25%、弱い堀の残存割合1/3ゆえ増分RONIC9.78%。名目の長期g1.0%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.3827倍とし、手で割り引かない。現金の株主還元価値は10×0.75=7.5億円を一度だけ足す。自己資本の道筋は2025年起点40.9億円+期間純利益合計37.1億円−配当・自社株買い・優待などの期間還元6億円=10年後72.0億円とする。純利益合計は年次曲線の仮定であり開示実績ではない。
確率:FY2026の商品販売の拡大とFY2028の売上100億円目標から到達余地はあるが、ROICの実績はまだ確認できないため17%とする。
中立 30% 旧来事業の縮小を実物販売が埋める 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 343 円36 億円
相場データはAIの判断材料として必要だが、人が画面で検索する利用回数とID課金は減る。MCPサーバーが新しい入口となり、画面からの減収を部分的に埋める。しかし、低解約率や強いデータ利用料の実績がまだないため、年間契約口数は2025年の8割、単価は1.1倍にとどまる。広告運用や人手による物販支援は、顧客がAIを内製する分だけ実質の受注量が7割へ縮む。
NETSEAとOSRは、卸売のオンライン化の流れを受けつつもスーパーデリバリーや直接仕入れとの競争が続く。市場自体が伸びてもシェアはやや下がり、実質の流通額は2025年近辺に残る。自社商品では少数の定番品が売れるが、ヒット商品の数を無制限に増やせるわけではない。売上成長に合わせ在庫と販促費が要り、本社費も物価上昇を受ける。
2028年の売上目標は達成時期が後ろにずれ、2035年にようやく年商100億円程度の体制になる。出資損失は縮小するものの株主資本利益率は一桁前半で、資本コストに届かない。株主還元は優待と時折の自己株取得にとどまる。営業上の生き残りと高い株主価値は同じではない。
- 相場データ・業務ソフト会員課金:数量 8,800(年間の有料契約口数相当(推計口数・年))× 価格 8.80(年間1口当たり平均売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。AI代替の操作画面・席課金型。契約口数0.80倍、平均単価1.10倍。
- 広告運用・販売支援・研修:数量 70.0(継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計))× 価格 2,250(顧客企業相当1社当たり年間売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。AI代替の人月・広告運用型。受注量0.70倍、平均受注単価1.18倍。
- NETSEA・OSR卸売マッチング:数量 115(NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円))× 価格 0.11(流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。NETSEA・OSR取扱高は実質ほぼ横ばい、手数料率と会費には競争圧力。
- 自社ブランド・OEM・ライブコマース:数量 3,000,000(年間販売点数(点・推計))× 価格 2,200(商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。ヒット商品が出る一方、年間300万点・利益率6%で競争を織り込む。
- 出資先の売却・支援:数量 1.0(年間投資回収案件相当数(推計件))× 価格 0.50(1件相当の会計上の売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。継続収入とみなさず費用を残す。
倍率:10年後のROEは全社4.9%、余剰現金利息を除いた事業ROE約5.8%で資本コスト8.25%を下回る。新規投資による超過成長は数えず、PER上限1÷k=12.1212倍をそのまま適用する。純利益2.5億円から余剰現金10億円への税後受取利息0.14億円を除き、現金の回収価値7.5億円を一度だけ加える。自己資本の道筋は2025年起点40.9億円+期間純利益合計15.0億円−配当・自社株買い・優待などの期間還元5億円=10年後50.9億円とする。純利益合計は年次曲線の仮定であり開示実績ではない。
確率:過去のNETSEA取扱高減、会員価格改定後の軟調、2026年の実物商品拡大の両方を採用。高利益率の急回復はまだ未証明なので中立30%。
やや悲観 27% 卸売とブランドで伸び悩む 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 247 円26 億円
AIが出品支援と価格調査を組み込んだ業務の入口になり、相場検索の旧来の課金契約は一層減る。データの独自性は残っても、プラットフォームが収集条件を厳しくし、データを高い単価で外部提供する余地は限られる。広告運用も顧客企業の内製化が進み、安い自動運用サービスが競合となる。採算を守るため人員と業務範囲を縮小する。
NETSEAの売り手・買い手の一部が競合へ移り、OSRの商談会を加えても取引額は元の規模を維持できない。自社商品では生活雑貨の販売が続くが、広告費と返品負担が重く、ブランド育成に使った資金ほど利益は増えない。不採算商品を止め、残った定番品に絞ることで営業利益率だけは維持し、倉庫と在庫を整理して経営の現金消費を抑える。
一部投資先の売却も進まず、経営は損失拡大を避けることに重点を移す。利益はわずかに黒字だがROEは資本コストに届かず、増配の約束もない。この道筋で価値を支えるのは営業の高成長ではなく、初めから保有していた現金の一部を使わず残すことだ。
- 相場データ・業務ソフト会員課金:数量 6,600(年間の有料契約口数相当(推計口数・年))× 価格 8.10(年間1口当たり平均売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。AIによる旧会員課金の喪失が進み0.6倍の顧客。
- 広告運用・販売支援・研修:数量 50.0(継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計))× 価格 2,050(顧客企業相当1社当たり年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。広告・人手案件が半減し、単価上昇も限定。
- NETSEA・OSR卸売マッチング:数量 100(NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円))× 価格 0.11(流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。卸売シェアが低下し、認識売上比率も伸びない。
- 自社ブランド・OEM・ライブコマース:数量 2,000,000(年間販売点数(点・推計))× 価格 2,000(商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 3 億円。販売点数は伸びるが低採算SKUを切り捨て、規模を縮めても利益率8%を確保。
- 出資先の売却・支援:数量 0.0(年間投資回収案件相当数(推計件))× 価格 0.00(1件相当の会計上の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。投資売却は認めず維持費だけ残る。
倍率:構造的な減収に対し利益の正当化上限は、税後純利益1.3億円から余剰現金20億円の税後利息0.28億円を控除した稼ぐ力1.02億円÷k8.25%+現金還元価値15億円≒27.36億円。市場の過去PBRを用いずそれを下回る26億円とし、分母は積み増した将来純資産でなく現在の自己資本40.9億円とする。売却資産の保守的床24.9億円以上を確保する。自己資本の道筋は2025年起点40.9億円+期間純利益合計2.0億円−配当・自社株買い・優待などの期間還元2億円=10年後40.9億円とする。純利益合計は年次曲線の仮定であり開示実績ではない。
確率:NETSEAの競争劣位と自社商品の広告費・在庫負担が重なる可能性を考える。AIによる数量縮小自体は中立にも織り込んでおり、確率で二重に罰しない。
悲観 18% AI中抜きと在庫失敗の複合危機 利益 −4 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 237 円25 億円
相場検索とネットショップ業務をAIエージェントが直接行い、オークファンの画面課金や研修への需要が急減する。MCPサーバーは利用されても、無償の接続手段や大手EC事業者が交渉力を握り、十分な対価を得られない。広告運用の単純作業も代替され、残った契約では低価格競争が続く。個々のデータが資産として残ることと、それで会社の固定費を賄えることは別になる。
NETSEAの販売者は大規模な競合やメーカー直販に移り、実質の取扱額はほぼ半分へ細る。自社商品は流行が変わって売れ残りが増え、Amazonの手数料と返品処理、倉庫契約だけが残る。経営は商品投資を縮小し、早期に保有資産を換金するが、構造改革費用と投資有価証券の減損で最終年は営業赤字になる。
初めの数年に得た利益を後半の損失が食いつぶし、株主に支払うのは優待などの小額にとどまる。期末株主資本はほぼ起点水準とするが、資産のうちのれんやソフトを高く売れるとは考えない。倒産を前提とせず、借金控除後の現金と換金可能な資産の範囲を限界価値として残す。長期放置で損失がさらに大きければ、この床自体も下がる。
- 相場データ・業務ソフト会員課金:数量 4,400(年間の有料契約口数相当(推計口数・年))× 価格 6.80(年間1口当たり平均売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。旧会員数量は4割、単価も下落。独自データからの採算は乏しい。
- 広告運用・販売支援・研修:数量 35.0(継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計))× 価格 1,750(顧客企業相当1社当たり年間売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人手・運用案件が大幅減少し固定費負担で赤字。
- NETSEA・OSR卸売マッチング:数量 55.0(NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円))× 価格 0.08(流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。競合・直販への流出により取扱額は約半分。
- 自社ブランド・OEM・ライブコマース:数量 350,000(年間販売点数(点・推計))× 価格 1,600(商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。大量返品・販売不振で単価が下落し、在庫処理損を含む赤字。
- 出資先の売却・支援:数量 0.0(年間投資回収案件相当数(推計件))× 価格 0.00(1件相当の会計上の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 −1 億円。出資回収なし。減損・維持費。
倍率:最終年の純損失3.5億円では稼ぐ力の正当化PER価値は正にならない。投資株式・のれんの帳簿価値を床とせず、FY2025純現金約24.9億円を迅速に事業縮小して回収するという仮定下の税後実現可能資産の床とする。PBRは現在の自己資本40.9億円で割った0.608802倍で、積み増した将来純資産には掛けない。自己資本の道筋は2025年起点40.9億円+期間純利益合計0.8億円−配当・自社株買い・優待などの期間還元0.8億円=10年後40.9億円とする。純利益合計は年次曲線の仮定であり開示実績ではない。
確率:データの外部調達条件悪化、卸売の顧客流出、自社商品の商品寿命短縮、投資評価損が同時に起こる構造的な負け。純現金があるので破綻確率とは区別する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
相場データ・業務ソフト会員課金
aucfan.comの相場検索・プロPlus・ロボ・タテンポガイド等。独自データは存在するが課金の多くが画面と契約IDに結び付く。AI代替区分は操作画面・席課金であり、規制上の記録の正本とは認定しない。
| 数量年間の有料契約口数相当(推計口数・年) | 価格年間1口当たり平均売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 11,000 | 8.00 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 8,800 | 8.80 | 8 | 3 |
取り方:会社開示のプレミアム月額約0.2万円、プロPlus月額約1万円、タテンポガイド月額約2.4万円、RPAはそれ以上の料金を参照した。各会員数・内訳・実際のARPUは未開示なので有料11,000口×年平均8万円という検証前の仮定で、ソリューション外部売上27.893億円の一部へ割り当てた。2026年MCP累計契約100件は2025年度の有料口数・売上ではない。AI代替の中立は数量0.80倍、単価1.10倍にする。
広告運用・販売支援・研修
広告運用と物販事業者向け支援・研修。制作や運用に係る人的工数が価値の一部であるためAIエージェント代替の人月・広告運用型。
| 数量継続・単発を含む年間顧客企業相当数(推計) | 価格顧客企業相当1社当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 100 | 1,909 | 19 | 3 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 2,250 | 16 | 2 |
取り方:ソリューション事業の外部売上27.893億円からデータ課金仮配賦8.8億円を除いた残額を充てた。実際の広告支援契約100社と1社1,909.3万円が公表されたわけではなく、媒体費の総額・純額の扱いも要確認。AI代替の中立は企業・工数相当の数量0.70倍、単価1.18倍(CPI1.34倍未満)とする。
NETSEA・OSR卸売マッチング
企業向け卸売サイトと大阪などの対面商談会。流通額、手数料率、月会費と展示会収益が稼ぎの中心で、AIで操作は変わっても決済・物流・出展という実体は残る。
| 数量NETSEA・OSR等の年間流通額(2025年価格で測る実質億円) | 価格流通額1億円に対する会計上の認識売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 110 | 0.11 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.11 | 13 | 2 |
取り方:2025年有報にNETSEA流通額81.19億円・NETSEAオークション1.53億円・OSR27.64億円=110.36億円の実数がある。NETSEA本体の流通手数料率は8.5~10.5%と会社開示。認識売上12.105億円は報告プラットフォーム売上16.105億円から未開示の自社商品分を4億円と仮配賦した額であり、11%弱の見かけ率はNETSEAの純粋な手数料率ではない。廃止済みオークションは未来流通額に復活させない。
自社ブランド・OEM・ライブコマース
AP LABやKACHIKAを中心とする中国調達の実物商品販売。売上は販売点数と単価であり、仕入れ、倉庫、返品、広告の費用を負うためAIの直接置換対象外。
| 数量年間販売点数(点・推計) | 価格商品1点当たりの平均実現販売価格(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 200,000 | 2,000 | 4 | −1 |
| 10 年後 中立 | 3,000,000 | 2,200 | 66 | 4 |
取り方:2025年プラットフォーム外部売上16.105億円からNETSEA・OSRに仮配賦した12.105億円を差引き4億円を置く。実際の品目別売上・販売単価・点数は未公表なので20万点×2,000円は推計である。2026年10月発表のハンガー系列累計100万本は翌年度の複数時点累計で、2025年の点数ではない。物価3%と低価格競争を分ける。
出資先の売却・支援
未上場企業株式等の売却益や投資先支援。収入を生むタイミングが読めず、永続的な契約課金として扱わない。
| 数量年間投資回収案件相当数(推計件) | 価格1件相当の会計上の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 2.0 | 1.29 | 3 | −3 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 0.50 | 1 | 0 |
取り方:2025年インキュベーション外部売上2.572億円・営業損失約3.08億円を報告区分から採用。「2件×1.286億円」は正規化のための計算単位であり、実際に2件の株式売却があったという主張ではない。市場規模や固定シェアを計測できず、原則として将来の利益率を保守的にみる。
リスクと懸念
AIエージェント代替
相場検索やプロPlus、タテンポガイドなど画面・ID課金と、広告の制作・運用、物販研修の人手部分は代替が進む。情報の価値が残ることと画面利用料を回収できることは別だ。MCPの100件は累計導入で、課金総額・継続率・解約率は非開示である。中立の数量と単価、長期gに代替を反映したので、資本コストや下振れ確率へ同じ理由を再加算しない。
NETSEAの規模と競争
2025年のNETSEA流通額は81.19億円で、2023年の95.9億円から減った。OSRを合わせても、スーパーデリバリーの年間310億円規模に及ばない。手数料率だけでは差を埋められず、バイヤーが1688やメーカー直販へ移ればネットワーク効果が縮む。2026年10月にはNETSEAのアクセス障害も公表され、システム信頼性も重要な継続課題だ。
自社商品の在庫・販促・為替
D2Xの商品売上は総額計上のため伸びが大きく見えるが、仕入れ前払いと広告費、物流費、返品が伴う。国内家計の実質購買力が停滞し、Amazonなどの出店手数料が上昇すれば、販売点数が増えても営業利益率は下がる。1ドル150円を十年間の共通前提とするので為替による恣意的な上振れを置かず、中国の工場価格と国内の人件費上昇を別に考える。
投資先の評価損と資本配分
2025年はインキュベーション事業の営業損失が約3億円に達し、評価減と税効果の影響で親会社純損失が大きくなった。出資先株式の評価額はすべて現金と同等ではない。今後も投資先の選択や買収後の統合作業が失敗すれば、成長事業で稼いだ利益を相殺し、純現金の床を削る。
持分・還元政策の不一致
創業以来の無配方針を維持する一方、株主優待を拡充した。2024年末の自己株買いと2025年初の譲渡制限付株式報酬としての自己株処分は、方向が反対の資本政策である。今後の株式報酬やM&A対価に株式を使えば、利益の成長に対して旧株主の取り分が薄まるため、株数の変化を継続監視すべきだ。
純現金を床とみなす条件
FY2025純現金約24.9億円の一部は運転資金として必要で、2026年第3四半期には在庫が積み増されている。将来の倉庫契約支払い、広告立替、買収、評価損が重なれば現金は減る。悲観の床は事業撤退を適時に実施できるという仮定であり、長期に損失を放置する状態で下値が保証される意味ではない。
今後の分かれ目
- MCP経由の月次有料契約、売上高、年次解約率が公表され、実際に継続収入を積み上げ始めたら
- 情報サービスの契約数量と平均単価を上方修正する。解約率5%未満など別種の堀の証拠があれば該当部分のみ記録の正本型として再判定する。
- NETSEA単独の四半期流通額と手数料収入がともに増え、競合を上回る増勢が数年続いたら
- 卸売セグメントの実質数量とシェアを引き上げる。単に出店者が増えただけなら課金への転換を確かめる。
- 自社ブランド別の売上総利益率、広告費率、在庫回転日数が開示され、実物販売の増分ROICが8.25%を超えたら
- やや楽観以上の確率を引き上げ、売上の量よりも株主利益の積み上がりを評価する。
- 2028年の売上100億円計画に近づいても営業利益率が3%以下にとどまったら
- 売上を増やすほど価値を生むという仮説を棄却し、自社ブランドの量と利益率、余剰現金額を保守的に見直す。
- 事業投資の縮小とともに年次配当またはまとまった自己株買いの方針を定量的に示したら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直し、還元総額と自己資本の流れを同時に修正する。
- 卸売の買い手流出と棚卸資産の滞留が同時に進み、純現金が大きく減ったら
- 純現金に基づく悲観の床を減額し、損失期間と在庫処分費用を明示して下側の筋書きを再計算する。
- TOB・MBO・株式併合による上場廃止、または継続企業の前提に関する注記が新たに発生したら
- 通常の10年継続企業評価を停止し、実際の公開買付条件または存続条件に沿う別の評価へ切り替える。
見ておくもの
- MCPサーバーの有料契約数・継続率・実際の収益額と旧aucfan.com会員数の減少幅
- NETSEA、OSR各々のGMV、月額会員料と流通手数料率、スーパーデリバリーのGMVとの開き
- AP LAB・KACHIKAのSKU別販売点数、平均単価、粗利率、広告費率、返品率と在庫回転日数
- 2028年売上100億円目標の営業利益・ROICへの連動度と本社費の増減
- 純現金と投資有価証券評価損、倉庫賃借・設備投資、2027年以降の新リース会計の影響
- 自己株式の取得と処分・譲渡制限付報酬、現金配当の方針、トップ10株主持分
- 上場維持・公開買付・継続企業の前提注記の有無
倍率と資本コストの決め方
時価総額34.30億円と現在のPBR約0.84倍は結論を作るための入力に用いていない。サービスごとの実数はNETSEA・OSRの流通額だけが確認でき、データID、広告顧客数、自社販売点数の起点と細分化は明示的な仮配賦である。物価3%は価格へ置き、実質の契約口数・販売点数へ重ねない。AIエージェント代替は中立の画面課金数量0.8倍、広告・人手数量0.7倍と、それぞれの単価およびg_longだけへ反映した。kは基本7.5%と4要素の和で8.25%、独立のリスク上乗せはしない。楽観・やや楽観のPERは事業のROEから弱い堀で薄めたRONICと長期g1%による上限そのもの、中立はROEがk未満なので1÷kである。悲観側PBRは現在の自己資本40.9億円へ適用し、2025年の純現金約24.9億円を下回らせず、将来に積み上がった架空の自己資本を床としていない。株価326円は算定後の差の判定にのみ使った。既存償却を機械的に物価で増やさず、賃借倉庫の更新負担と人件費は本社費・現金留保側で考える。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を基本とし、4要素の差引+0.75%で8.25%。規模・株価変動のβ、経営の個別失敗を追加加算しない。