結論
アスマークは企業の市場調査を請け負い、調査対象者の募集、インタビュー、ネット調査を組み合わせて売る会社だ。長く持つ株主の見方では、現在の時価総額には安全域が乏しく、結論は「割高」である。調査協力者を実際に集める基盤には価値がある。しかし企業が欲しいのは調査票や集計表ではなく、判断のための確かな証拠であり、その作業の一部はAIエージェントによって安く、速く提供されるようになる。
2025年11月期は売上44.2億円、営業利益2.8億円だった。2026年10月15日には同年11月期の計画が売上45億円、営業利益0.7億円、純利益0.35億円へ下方修正された。人員増強だけでなく、定性調査の外注費増と買収後の費用が重なり、売上が横ばいでも利益が大きく消えている。2026年8月末の純現金は約11.2億円あり、すぐに資金繰りが尽きる会社ではないが、現金の厚みと利益の持続力を混同してはならない。
10年後も商品を実際に使わせる試験や特殊な条件の回答者を集める仕事は残るとみる。反対に定型アンケート、回答の要約、分析の下請けは顧客による内製化と自動化が進む。会社は海外調査、HRテック、データ分析へ進むが、まだ元の調査事業に依存している。強気の条件はAIで作業を省くことではなく、省いた費用以上の価値を顧客から受け取れることである。
中立では調査件数の減少を一部の単価上昇で補うにとどまり、自己資本利益率はかつての高水準に戻らない。確率を加えた現在価値は約13.4億円で、足元の時価総額約27.8億円を約52%下回る。買収やAI事業化を成功とみなして先払いするより、受注と現金還元の実績を追うほうが合理的である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、調査会社の価値は登録した人数の大きさより、客が翌年も同じ調査会社に頼む理由で決まる。アスマークの調査協力者の網、調査設計、現場の運営は軽視できない。しかし普通のネット調査は、顧客がAIエージェントを使って準備から集計まで行えるほど中間工程の価値が下がる。実際の回答者を保証できる仕事だけが価格を守るのであれば、会社全体に高い成長率を付けるのは危うい。
オーナー利益を見ると、営業利益が現金に変わる前に、外注費、調査協力者への謝礼、社員の採用、システムの保守が必要になる。2026年には顧客と社員を増やす投資が先行し、利益は急減した。投資が未来の案件数と単価を押し上げて初めて株主のための再投資になる。資本が軽いからといって、限界利益のすべてが自由に分配できるわけではない。
足元の純現金は株主にとって保険であり、負債の借り換えリスクは小さい。ただし買収を積み重ねれば帳簿の現金がのれんへ変わり、運転資金の余裕も薄くなる。リーン・ニシカタの技術と販売網の組み合わせには可能性があるが、買収後の実際の高収益がまだ十分には示されていない。将来のAIエージェント事業は構想段階の価値と、販売額が確認できた価値を分けて考えるべきだ。
買い続けられる会社とは、技術が変わっても顧客からの支払いが途切れず、増やした資本が高い収益を生む会社である。アスマークはそこに挑戦する段階にあり、完成された独占企業ではない。株価に安全域があるかという最後の問いには、足元の収益回復と買収後の資本効率が確認されるまでは慎重な答えになる。
何で稼ぐ会社か
収入の中心は、企業が消費者の意見や製品の使い心地を確かめるための調査である。国内の事業会社、広告代理店、同業の調査会社から発注を受ける。2025年の単体リサーチ売上は約40億円で、ネット調査13.25億円、定性インタビュー14.95億円、対象者募集6.37億円、ホームユーステストなど5.41億円に分かれる。海外リサーチ約4.42億円はこれらの商品売上に含まれるため、別の売上として重ねて数えない。
同社が実際に保有する調査モニターは105万人規模で、提携パネルの利用可能人数は1,800万人と説明する。珍しい属性の人を探し、本人を確認し、会場や自宅で試してもらう仕事には実務の手間がある。特にホームユーステストと対面調査は、文章を自動生成できても本物の体験を代替しにくい。一方、通常のアンケート画面作成、配信、集計、報告書作成では人間の手作業に対価を払う理由が薄くなる。
事業を数で追うには受注社数だけでは足りない。2025年の受注企業は1,119社、開示された平均受注単価は約69.1万円だった。単体調査売上から逆算すれば年間約5,800件、1社当たり5件強の発注に相当する。商品ごとの件数は非開示なので、商品の売上をこの共通単価で割った推定であり、実際には対面調査とネット調査で価格差がある。
小さいが別の収益源がHRテックである。「せきなび」は座席管理のサービスで、公開価格は原則として1利用者当たり月300円、最低月額3万円である。「ASQ」「CHeck」などの人事調査サービスも売る。導入約250社、利用者約2万人との公表値はすべて有料利用者という意味ではない。2025年のHR売上は1.74億円にすぎず、人数から全売上を割った値は有料席の実単価ではない。
2026年1月にはリーン・ニシカタを取得し、高度な分析業務を増やした。2025年の連結子会社等の売上差額は2.44億円で、新たな買収先の2025年売上1.61億円はまだこの内訳に含まれない。買収で取扱領域は広がったが、課題解決のコンサルティングは人の工数を売る側面が強い。開示上の正式な報告セグメントは単一であり、以下の商品別の利益は会社開示値ではなく採算検討用の推定である。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手が容易には奪えない強みは、調査モニターの募集網と現場運営の積み重ねにある。自社パネル105万人と外部提携網があり、特殊な属性の人を期限内に集める力は顧客にとって便利だ。ISO20252に相当する品質規格の認証も取得している。ただし認証は他社にも開かれ、提携パネルも独占資産ではない。マクロミルやクロス・マーケティングも大きな募集網を持つため、価格を自由に決められる独占とは呼べない。
2025年までは一部の大口顧客の深耕で平均受注単価が上がったが、それはサービス単価を一律に値上げできた証拠ではない。高単価の定性調査が増えれば平均値は上がる。2026年にはまさに商品構成が変化し、外注比率の上昇が利益を削った。売上が増えても追加の営業利益が残らない現状は、増分の資本効率が高いと断定できないことを示す。
2021年から2023年の高いROEは事業の伸びと自己資本の小ささが重なった結果である。上場後は現金と自己資本が厚くなり、2025年にはROEが約13%に落ちた。2026年には利益水準がさらに低下する見通しだ。稼いだ資金を社員や買収に戻すだけでは、資本コストを超える増分利益が生じたことにはならない。特に分析業務を新たに受託するほど、採用と外注管理の難しさが増す。
HRテックは継続課金という利点があるものの、席の配置や所在確認は汎用の勤務管理・予定表との競合を避けにくい。実際の解約率、更新率、値上げ継続率は確認できない。調査パネルにも法的な記録の正本や年単位の乗換規制はないため、AIリスクの緩い分類を適用するだけの証拠は2つそろわない。財務の強さは認めるが、事業の堀は狭くなりやすい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本マーケティング・リサーチ協会の2026年公表資料では、2025年度の国内市場調査市場は2,775億円で、前年から名目1.8%の増加だった。物価上昇を除くと約1.4%の縮小である。従来型の調査市場2,439億円の内訳は、パネル調査789億円、個別案件1,555億円、その他95億円である。個別案件のうちインターネット調査は861億円だった。これらは業界の市場区分であり、アスマークの商品分類と完全には一致しない。
同社の単体調査売上約40億円は国内市場全体の約1.4%に相当し、ネット調査13.25億円は業界のインターネット調査市場の約1.5%に相当する。後者には調査の海外分や分類差が残るため、厳密な市場シェアではなく規模感である。競合はインテージ、マクロミル、クロス・マーケティング、GMO系の調査会社で、ネット調査ではマクロミルが国内首位を訴求する。インテージには継続的な購買・小売データがあり、アスマークとは顧客の乗り換え費用も違う。
市場全体が物価を上回って実質成長するとは考えにくい。AIエージェントに質問案、集計、比較表、報告の下書きを任せれば、従来は発注していた単純調査を顧客が自社で終えられる。2026年の同社説明でも簡易なネット調査の需要減少が指摘された。反対に、実物を飲食・使用した結果や、希少な条件に合う本物の回答者は、合成データでは信頼を得にくい。この非対称性が商品別の数量見通しを分ける。
海外の案件にはアジア市場への進出余地があるが、現地調査会社との提携は独占網ではない。2026年8月までのグローバルリサーチ売上は前年を下回り、世界の成長をそのまま自社の成長に置き換えることはできない。HRの座席管理も競合の勤怠・人事ソフトに統合される可能性がある。席管理の専用市場について比較可能な公的規模統計は見当たらず、導入社数の公表だけから占有率を断定しない。なお、JMRAは市場調査周辺のデータ分析まで広げた国内インサイト産業を約5,038億円と推計するが、これは別市場の加算先であって調査市場と重複して足せない。
資本政策と M&A
経営陣は成長投資と安定配当を同時に掲げる。2024年11月期に中間・期末配当を始め、その後も増配した。公表する株主還元の数値目標は総還元性向30%以上であり、2026年11月期も業績下方修正後の配当予想を据え置いた。しかし2026年の予想純利益0.35億円に対し配当総額は約0.9億円に達し、継続できる利益水準とは言い難い。無理な還元の維持より、新規投資の収益性を示すべき局面である。
2025年の事業説明資料は、国内調査の自動化、海外調査の拡大、HRテック、データ分析の育成を軸に据える。中長期のROE目標は20%で、当初の2026年11月期計画は売上47億円、営業利益2億円だった。2026年10月に会社はこれを売上45億円、営業利益0.7億円へ修正した。2027年以降の再加速を描く一方、達成年を定めた売上・営業利益の中期3か年数値目標や自社株買い金額の約束は確認できない。
2026年1月には分析会社リーン・ニシカタを約1.95億円で取得した。同社の直前期売上は1.61億円、純利益は0.08億円で、過去に債務超過の年度もあった。買収額は対象の帳簿純資産からみて小さくなく、のれん償却が足元の利益に表れている。営業担当を移して案件を開拓するだけでなく、買収に払った資金を上回る余剰利益が長期に残るかを確かめたい。
筆頭株主の保有は約4割で、少数株主が資金の使途を直接決めることはできない。一方、2024年以降の増配という実績があるため現金の戻りをゼロとはみない。ただし自己株式の大幅な取得実績は確認できず、過去5年の配当性向中央値も5割を超えないため、余剰資金が額面どおり株主に戻ると決めつけない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
企業はAIが答えた平均的な消費者像ではなく、本物の消費者が実物を使い、なぜ買うかを知りたい。アスマークには大きな調査協力者の募集網があり、対象者探しの速さと調査運営の信頼は一朝一夕では模倣できない。特に定性インタビュー、ホームユーステスト、希少属性の採用では、機械の分析が増えるほど元になる一次データの真正性が大切になる。2026年のネット調査の弱さも、実地調査の受注増で埋められる可能性がある。
会社がAIで自社の集計・準備作業を削減できれば、人件費の上昇下でも単価を引き上げずに利益を残せる。すでに会社は顧客の深耕に向けて営業人員を増やし、一定規模以上の発注顧客を増やす方針を示している。海外では東南アジアの現地調査網を作り、国内で築いた品質管理の手順を持ち込める。調査件数を守りながら、物価分の価格を転嫁する道もある。
HRテックには席管理の継続利用があり、導入企業で他の従業員調査サービスを追加販売できる。リーン・ニシカタの分析者が調査結果を顧客の事業課題に結びつければ、従来の集計下請けから抜け出す可能性もある。大きな借入金を抱えないため、短期的な利益低下があっても改革を試す時間がある。必要なのは劇的な件数増ではなく、商品構成改善と固定費吸収による利益率の回復である。
慎重な見方
国内調査市場はすでに実質では縮み始めている。市場規模の伸びより速いのは、調査票作成、回答集計、標準的なレポート作成の自動化である。企業がAIエージェントにこの一連の作業を任せれば、従来調査会社に請求書を払っていた部分が顧客の社内工程になる。大手は独自の継続購買データや顧客基盤を持ち、価格競争になったとき小規模な受託事業者が守れる単価は限られる。
会社の開示が警告になっている。2025年は増収でも営業減益となり、2026年は第三四半期累計の営業利益が前年同期から約9割減った。定性調査の割合が高くなっても外注費が増え、売上から残る利益は減った。人を増やす先行投資はいつか回収できるかもしれないが、件数の低迷が続けば賃金と家賃だけが確実に増える。年々高くなる費用を小さな調査会社が価格に転嫁するのは容易ではない。
「せきなび」は便利だが、所在管理は大規模な勤怠・人事システムや業務用のAI秘書に組み込める。実利用者数がすべて有料席数ではない以上、利用者の伸びをそのまま収益に換算できない。分析会社の買収も、競合他社がAIで分析業務を自動化すれば人材の取得だけでは収益性を守れない。現金残高は見かけの下支えになるが、赤字の補填や高値の買収に使われれば株主の手には届かない。
どちらに重みを置いたか
実地調査に本物の需要が残るという指摘は説得力がある。自社パネルと営業基盤があり、会社全体が消えるとみる必要はない。一方、2026年の大幅な計画下方修正、外注費増、AIによる簡易ネット調査の減少は抽象的な不安ではなく実際の業績に表れた。下側の確率を高める理由はこの会社固有の採算悪化であり、AIの縮みを確率だけで再度引いたものではない。やや悲観と悲観を合わせて48%とし、現金があっても回収できない再投資が生じる可能性を重視した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/11 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,179 円25 億円(+ 還元の換算額還元の合計 375 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 1,291 円15 億円、今との差 −46.8%、 期待の年率 +0.6%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,969 円69 億円 | 777 円9 億円 | +178.0% | +11.7% | 540 円6 億円 |
| やや楽観 | 15% | 3,583 円42 億円 | 518 円6 億円 | +69.0% | +5.8% | 615 円7 億円 |
| 中立 | 29% | 2,212 円26 億円 | 432 円5 億円 | +8.9% | +0.9% | 767 円9 億円 |
| やや悲観 | 30% | 1,162 円13 億円 | 293 円3 億円 | −40.0% | −5.5% | 437 円5 億円 |
| 悲観 | 18% | 969 円11 億円 | 121 円1 億円 | −55.1% | −8.1% | 196 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,179 円25 億円 | 375 円4 億円 | +5.2% | +0.6% | 2,554 円30 億円 |
今の株価時価総額 2,427 円28 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 実地調査を守り、工程自動化で収益回復 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,969 円69 億円
大手メーカーや官公庁は、生成された疑似回答ではなく実物に触れた人の言葉を必要とし続ける。アスマークは調査モニターの本人確認、少数の希少属性の募集、会場・自宅試験を強みとして守る。すべての主力商品の案件数を実質で維持しながら、実際の証拠を得る難しさに応じて価格改定も進む。国内市場が伸び悩む中でもシェアを失わず、同業他社の調査案件を取り込む。
自社の集計や設問作成、依頼処理にはAIを導入し、人手は実地作業に集中する。会社はAIエージェントによる課題解決を構想しているが、有料製品の売上実績は確認できないため、架空のAI新規受注で数量が増えることは見込まない。営業の深耕と外注管理が同時に改善し、採用済みの人員を効率よく使えるため、過去の営業利益水準を大きく超える。
リーン・ニシカタの分析力が顧客の課題を深く理解する営業に役立ち、追加買収でも高値づかみがない。HRテックは利用者の増加より更新率と採算を優先し、定着する契約を積む。成果が出た利益の一定部分は配当などに戻り、なお余剰資金を持ち続ける。AIによって稼働工数が減っても利益を守れた、最も良い10年となる。
- ネットリサーチ:数量 1,918(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.34倍。
- 定性インタビュー:数量 2,164(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.34倍。
- モニターリクルート:数量 922(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.34倍。
- ホームユーステスト・その他:数量 783(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.33倍。
- HRテック(せきなび・ASQ・CHeck):数量 250(HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用))× 価格 0.01(HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.15倍。
- 連結子会社・データ分析サービス:数量 122(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.03(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量1.00倍、名目単価1.34倍。
倍率:AIエージェント代替により10年以降の名目成長g_long=0%。k=7.75%、堀は弱く、事業ROEは14.6%。成長を新規投資で上乗せしないので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷7.75%≈12.9倍の上限そのもの。2026年に確認した余剰現金5億円の利息税後0.07億円を事業利益から控除し、余剰現金に戻り方75%を掛けた3.75億円を一度だけ加える。
確率:実地調査の件数を維持し、全商品で受託の単価改善と原価効率化を同時に達成するには、営業・AI導入・買収統合の多方面で成果が必要なため8%にとどめる。
やや楽観 15% 実地調査が強く、固定費負担が軽くなる 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,583 円42 億円
顧客企業は単純なネット調査を減らす一方、新製品テストや個別インタビューは継続して発注する。既存パネルの応募率を維持し、同社は高単価で現場運営の難しい仕事に営業資源を集中する。ネット調査の案件数は減るが、定性調査とホームユーステストの減少は相対的に小さく、競合に奪われる市場シェアを抑えられる。
2026年の人員増強は早い段階では利益を圧迫するものの、大口顧客のリピートで一人当たり売上が回復する。調査協力者の募集や報告の事務作業を機械化し、外注費率の高止まりも徐々に収まる。客が成果を評価する実地調査では物価に近い値上げが通るが、ネット調査と席管理の値上げは限られる。
リーン・ニシカタのデータ分析はリサーチ顧客向けに販路を広げるが、人月の受託という性質は残る。追加M&Aは小規模に抑え、過去のような高いROEへの完全復帰までは期待しない。実地調査の堀はある程度保ち、利益と配当が段階的に回復する。
- ネットリサーチ:数量 1,534(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.80倍、名目単価1.26倍。
- 定性インタビュー:数量 1,904(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。2025年比で案件・契約数量0.88倍、名目単価1.32倍。
- モニターリクルート:数量 802(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.87倍、名目単価1.30倍。
- ホームユーステスト・その他:数量 705(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.90倍、名目単価1.30倍。
- HRテック(せきなび・ASQ・CHeck):数量 230(HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用))× 価格 0.01(HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.92倍、名目単価1.12倍。
- 連結子会社・データ分析サービス:数量 105(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.03(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.86倍、名目単価1.30倍。
倍率:AIエージェント代替により10年以降の名目成長g_long=0%。k=7.75%、堀は弱く、事業ROEは10.7%。成長を新規投資で上乗せしないので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷7.75%≈12.9倍の上限そのもの。2026年に確認した余剰現金5億円の利息税後0.07億円を事業利益から控除し、余剰現金に戻り方75%を掛けた3.75億円を一度だけ加える。
確率:パネル品質と大口顧客営業が効けば十分起こりうるが、ネット調査と座席管理のAI競争を抑える必要があり、可能性は中立より低い。
中立 29% ネット調査減、実地調査が支える 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,212 円26 億円
2036年にも企業の製品開発には消費者から集めた実際の回答が欠かせない。しかし定型的なアンケートの設計、対象者への連絡、集計、レポート作成はAIエージェントがこなすようになり、外部の調査会社に委託する件数は減る。ネット調査の案件数量は現在の55%、対面インタビューは75%、対象者募集は72%となる。単価は品質管理と物価の分だけ上がるが、ネット調査やHRテックでは物価を完全に転嫁できない。
国内のリサーチ市場は名目では残っても、調査の中間工程から生じる売上は相対的に失われる。アスマークの単体調査売上が国内市場に占める割合も、約1.4%から約1%へと下がる。特殊な回答者の確保や実物を使う試験は競争力として残るものの、マクロミルやインテージなど大手が価格を引き下げれば無条件の値上げはできない。
2026年の経費増は一定程度解消し、利益率は低水準から戻る。ただし人件費と外注費も上がるため、かつてのROEには復帰しない。データ分析買収による新しい収益はごく一部にとどまり、HRテックは横ばい圏の貢献となる。安定配当の意思は残るが、利益を超えた支払いを長期に続けることは想定しない。
- ネットリサーチ:数量 1,055(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.55倍、名目単価1.15倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
- 定性インタビュー:数量 1,623(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.75倍、名目単価1.28倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
- モニターリクルート:数量 664(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.72倍、名目単価1.25倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
- ホームユーステスト・その他:数量 587(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.75倍、名目単価1.25倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
- HRテック(せきなび・ASQ・CHeck):数量 200(HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用))× 価格 0.01(HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.80倍、名目単価1.10倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
- 連結子会社・データ分析サービス:数量 79.0(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.02(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.65倍、名目単価1.24倍。AIエージェント代替を案件側に反映し、請求単価の物価転嫁力を商品ごとに区別。
倍率:AIエージェント代替により10年以降の名目成長g_long=0%。k=7.75%、堀は弱く、事業ROEは4.8%。成長を新規投資で上乗せしないので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷7.75%≈12.9倍の上限そのもの。2026年に確認した余剰現金5億円の利息税後0.07億円を事業利益から控除し、余剰現金に戻り方75%を掛けた3.75億円を一度だけ加える。
確率:実際の回答者への需要は残るが定型調査の内製化が進む。2026年の費用増を全額回収せず、中立でも縮む案件と単価の抑制を織り込む。
やや悲観 30% 顧客内製化が進み、稼ぎが薄くなる 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,162 円13 億円
顧客のマーケティング部門でAIエージェントの利用が普及し、定型調査の発注は半分以下になる。広告代理店や同業の調査会社からのパネル需要も弱まり、アスマークが得意とした間接受注で値引き要求が強くなる。インタビューや商品テストは残るが、自社モニターを持つ競合による価格競争で受注は減り、国内市場シェアは1%を下回る。
売上規模が縮み、増員によって膨らんだ固定費を抱えたままでは収益を保てない。会社は拠点や営業配置を見直し、採用を抑え、従来の事務作業をAIで省力化する。これにより営業黒字だけは守るものの、外注先と社員への支払いは重く、利益を積み増す余裕は小さい。HRテックは無料プランとの競合で価格が伸びず、データ分析は少数の案件に頼る。
買収した分析事業の売上は伸び悩む。追加買収には慎重になり、予定していた増配を途中で見直す。手元にある現金は守りに使われ、一部は人員整理と事業立て直しの費用に回る。倒産するわけではないが、優良な成長企業としての値付けはできなくなる。
- ネットリサーチ:数量 767(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.40倍、名目単価1.08倍。
- 定性インタビュー:数量 1,255(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.58倍、名目単価1.18倍。
- モニターリクルート:数量 470(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.51倍、名目単価1.14倍。
- ホームユーステスト・その他:数量 470(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.60倍、名目単価1.15倍。
- HRテック(せきなび・ASQ・CHeck):数量 168(HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用))× 価格 0.01(HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.67倍、名目単価1.04倍。
- 連結子会社・データ分析サービス:数量 59.0(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.02(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.48倍、名目単価1.10倍。
倍率:やや悲観では回復した事業のROEが資本コスト7.75%に届かず、継続利益に成長価値を認めない。g_long=0%でPERの上限は1÷k=12.90倍。今の余剰現金5億円は支出で0.75倍の3.75億円に減り、その利息0.0525億円を控除した利益にPERを掛け、現金の株主への戻り方75%を適用する。市場の過去倍率ではない。
確率:下に寄せる理由:2026年の大幅下方修正と外注・賃金・のれん費用の重さが既に確認され、簡易ネット調査の減少も会社が説明しているため。AI縮小の想定自体は中立数量に織り込み済み。
悲観 18% 価格競争と買収負担で堀を失う 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 969 円11 億円
顧客はAIエージェントと大手調査会社のセルフサービス商品を標準にし、アスマークへのネット調査発注は現在の3分の1程度となる。実地調査も大手の募集網へ移り、調査員と協力者を集める強みが競争上の十分な差にならない。高単価のインタビュー、モニター募集、ホームユーステストまで件数が大きく減り、調査売上は現在の半分前後に沈む。
値上げはほぼ通らず、社員と外注の単価が上がる。調査パネル維持の費用、個人情報保護のための管理費、拠点維持費を削り切れない。HRの席課金は勤怠・予定表ソフトに組み込まれ、データ分析はAIを利用する大手コンサルや顧客自身との競争で赤字化する。2026年に取得した分析会社の資産にも減損が生じうる。
経営は配当を大幅に減らし、不採算サービスを閉じ、残る取引先に集中する。損失拡大で資金が尽きる前に縮小均衡を図るため、10年後の損益は辛うじて黒字だが、その小さな利益に成長の値付けはできない。事業としての魅力より、回収可能な現金と資産が残るかどうかが株価の中心になる。
- ネットリサーチ:数量 671(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.35倍、名目単価1.05倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
- 定性インタビュー:数量 1,039(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。2025年比で案件・契約数量0.48倍、名目単価1.09倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
- モニターリクルート:数量 415(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.45倍、名目単価1.03倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
- ホームユーステスト・その他:数量 392(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.01(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.50倍、名目単価1.06倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
- HRテック(せきなび・ASQ・CHeck):数量 125(HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用))× 価格 0.01(HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.50倍、名目単価1.00倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
- 連結子会社・データ分析サービス:数量 49.0(調査・分析の推定案件数(件/年))× 価格 0.02(1案件当たり平均請求額(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。2025年比で案件・契約数量0.40倍、名目単価1.00倍。価格競争、リストラと顧客の内製化が同時進行。
倍率:構造的な市場シェア低下で事業の収益価値は小さい。2026年8月末の現預金13.27億円から借入金2.07億円を除いた約11.2億円を最低限の資産の目安とし、営業用ののれんや繰延税金資産には清算価値を認めない。2025年11月期の今の自己資本15.8億円に、回収可能な資産の割合0.71を掛ける。2036年に積もった自己資本にPBRを掛けず、過去の市場PBRを根拠にしない。
確率:不適切な価格競争や新規買収の失敗が重なり、調査売上がおおむね半減する構造的敗北。純現金に一定の床があるが、10年で営業の優位がなくなる可能性は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ネットリサーチ
定型的なオンラインアンケートの設計・配信・集計。AIエージェント代替の対象となる情報・調査サービス。
| 数量調査・分析の推定案件数(件/年) | 価格1案件当たり平均請求額(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1,918 | 0.01 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,055 | 0.01 | 8 | 1 |
取り方:2025年の商品別開示は13.25億円。会社の全受注平均単価69.1万円を一件当たりの便宜的単価とし、約1,918件に換算。実案件件数と商品固有の平均価格は未開示。国内インターネット調査市場861億円との単純比較は約1.5%だが海外分・区分差を含む。AI型は人月・情報調査。
定性インタビュー
グループ面談・一対一インタビューや会場での調査を運営。対人接触は残るが企画・集計は自動化される。
| 数量調査・分析の推定案件数(件/年) | 価格1案件当たり平均請求額(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 2,164 | 0.01 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,623 | 0.01 | 14 | 1 |
取り方:2025年の定性インタビュー開示14.95億円を全受注平均69.1万円で約2,164件に換算。面談件数や回答者数、案件固有の価格は非開示。現場の面談価値は残るが、大半は工数・案件単位の調査受託であり、中立数量はAI人月型の上端。
モニターリクルート
希少属性に合う消費者や専門家の募集・本人確認・調査運営を請け負う。
| 数量調査・分析の推定案件数(件/年) | 価格1案件当たり平均請求額(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 922 | 0.01 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 664 | 0.01 | 6 | 1 |
取り方:2025年の商品別売上6.37億円÷共通受注平均69.1万円で約922案件と推定。自社パネル105万人、提携約1,800万人の実在回答者網を使用。顧客別人数や案件単価は未開示。AIが設計と連絡を代替するため案件数量は中立で縮小。
ホームユーステスト・その他
商品を実際に試して評価する調査とその他の実査・調査関連サービス。
| 数量調査・分析の推定案件数(件/年) | 価格1案件当たり平均請求額(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 783 | 0.01 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 587 | 0.01 | 5 | 0 |
取り方:2025年の商品別売上はホームユーステスト3.56億円、その他1.85億円。合計5.41億円を全受注平均69.1万円で約783案件に換算。実物試験は合成回答では代用できないが、調査の設計、募集、報告はAIによって効率化される。
HRテック(せきなび・ASQ・CHeck)
座席管理の月額利用料と従業員調査・ハラスメント対策支援。操作画面・席課金と調査業務の混合。
| 数量HR導入企業数相当(社・公開値を代理変数に使用) | 価格HR全商品の導入企業数当たり年売上(億円/社、実ARPUではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 250 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:2025年単体HRテック売上1.74億円。2026年公表の「せきなび」導入約250社を売上の便宜的な分母に使い、全HRサービスの1導入社当たり年約69.6万円に換算した。これは有料せきなびの実ARPUではない。せきなび実価格は1席月300円・最低月3万円、利用者累計約2万人(無料ユーザーを含み得る)。中立は席課金AI型。
連結子会社・データ分析サービス
連結子会社の受託調査とデータ分析・課題解決コンサルティング。2026年取得のリーン・ニシカタを含む方向へ展開。
| 数量調査・分析の推定案件数(件/年) | 価格1案件当たり平均請求額(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 122 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 79.0 | 0.02 | 2 | 0 |
取り方:2025年連結売上44.16億円から単体リサーチ39.98億円とHR1.74億円を引いた残差2.44億円。分析委託一件200万円を仮定して約122件に換算した値で、受注件数・利益とも非開示。2026年1月取得のリーン・ニシカタは直前期売上1.61億円で、2025年残差に含まれず、当面の連結寄与は会社見通しで小さい。AI人月型で扱い、新AIエージェント商品の販売額は未確認。
リスクと懸念
AIエージェント代替
アンケート設計、回答収集の手配、集計、報告書の定型部分は人月・工数で売る情報サービスである。AIエージェントがこれらを社内化すると、ネット調査の案件が減り、受託単価にも値下げ圧力がかかる。データ分析コンサルと座席管理の画面にも同じ圧力が及ぶ。独自データや解約率などが確認できる「記録の正本」は認定できず、中立の数量と将来のgに織り込んだ。
外注比率と社員人件費
2026年の増収下で営業利益が激減したのは、需要不足だけではなく定性調査の増加による外注比率上昇と増員が重なったためである。AI化で作業を省いても、実地調査に必要な人員、謝礼、場所、品質確認の費用まで消えるわけではない。固定費吸収に失敗すれば、案件単価が上がっても営業利益は戻らない。
パネル品質と個人情報保護
自社パネル105万人という表示だけでは、実際に回答する活性会員数と回答の真正性はわからない。ボット回答、重複登録、属性の偏りが増えれば、本人確認と検品の費用が増す。個人情報保護法への対応や情報漏えい対策も不可欠で、信頼が崩れた場合は調査会社としての顧客関係を短期間で失う可能性がある。
データ分析会社の買収採算
リーン・ニシカタは買収価格約1.95億円に対し、取得前の2025年純利益が0.08億円で、過去には債務超過もあった。販売先の拡張は事業機会を増やすが、のれん償却と採用費が先行する。売上の拡大だけで買収対価が回収されたとは言えず、追加M&Aが続けば現金の床も縮む。
HRテックの席課金と統合リスク
せきなびは月額300円の席課金を掲げるが、無料版があり利用人数の全てが課金対象とは限らない。勤務場所や予定を知らせる機能は既存グループウエアやAI秘書にも搭載できる。価格改定、解約率、有料席数が確認できないまま利用者数の拡大だけを利益に変換すれば、長期価値を過大評価する。
純現金と配当の錯覚
2025年の純現金13.9億円は2026年の買収と借入を経て減った。業績の大幅な下方修正後も年間配当の計画を維持したため、予想利益より配当の方が大きい。資本効率の低い買収や赤字補填が続くと、現金を帳簿どおり少数株主が回収できない。オーナー持分と配当実績を分けて評価する必要がある。
調査需要と大口顧客の偏り
食品・自動車メーカー、広告代理店、調査会社の発注は新製品開発や広告費の削減で変動する。年間大口顧客の目標達成が遅れると、増員した営業体制の費用だけが残る。市場規模が名目で増えても、予算がAI内製化へ移れば外部調査会社が受ける案件の数量は減りうる。
今後の分かれ目
- 単体ネット調査売上が2年連続で前年比5%以上減少し、実地調査でも埋められなくなったら
- AI代替の加速とシェア低下を確認し、中立の案件数を下げる。やや悲観側の比重を大きくする。
- 大口顧客数が会社目標の年間192社を超え、その後も1社当たり注文回数が増えたら
- 顧客深耕が固定費を回収する証拠になる。単価が商品構成だけでなく実質的に上がったかも確かめ、利益率を見直す。
- 定性調査の外注費率が2026年から反転し、営業利益率が3年続けて8%を超えたら
- 実地作業と自動化を両立できた証拠として強気側の利益率と確率を上げる。
- せきなびの有料契約席数、更新率、解約率、平均実収単価が継続して公表されたら
- 無料ユーザーの宣伝値ではなく、継続課金の純増と解約状況でHR事業を独立して再評価する。
- リーン・ニシカタを含む分析事業の受注・利益が買収対価に対して十分に増えたら
- 成長投資が資本コストを上回る証拠となる。AIエージェント商品の外販額が金額付きで示された場合だけ、その製品の数量上振れを認める。
- 現預金の減少が続き、純現金が5億円を下回ったら
- 下値の資産床と余剰現金を引き下げ、配当維持より事業存続の資金繰りを優先して考える。
- 営業利益の回復を伴わない追加買収や株式による資金調達が発表されたら
- 取得価格とのれん、希薄化後の既存株主の取り分を検証し、利益増だけを理由に価値を上げない。
見ておくもの
- 2026/11通期の最新修正計画(売上45億円、営業利益0.7億円、純利益0.35億円)の達成と2027年の反転
- ネット調査/定性インタビュー/リクルート/ホームユーステストの商品別売上と外注比率
- 年間受注企業数、受注単価、大口顧客数(目標192社)と案件数/企業
- JMRAの調査市場全体2,775億円・従来型2,439億円およびインターネット調査861億円の実質成長率
- せきなびの有料席数と解約率、ASQ・CHeckを含むHR売上と営業採算
- リーン・ニシカタを含むデータ分析部門の受注高・営業利益・のれん償却費
- 純現金残高、増配・自社株買いと買収に使った資金額
倍率と資本コストの決め方
基準となる株価・株数は添付の2026年10月22日現在をそのまま使った。中立売上は2025年の商品別実績と受注平均単価から推計した件数×名目単価で計算し、物価は単価側だけに含めた。2026年10月の大幅下方修正は利益回復の道筋と確率に反映した。倍率は直近PERや同業の市場倍率ではなく、資本コスト7.75%、中長期成長率0%から導く正当化PER12.9倍を楽観〜中立の上限そのままに採用した。現金を利益に混ぜて二重に高評価しないよう利息相当額を控除した。悲観のPBRは2036年に積み上がった自己資本には掛けず、2025年11月期の自己資本を分母にする。悲観の床には2026年8月末の借入控除後の純現金約11.2億円を使い、以前の13.9億円を古いまま採用しなかった。新リース会計基準で事務所賃借に関する資産・負債の表示が変わっても、各シナリオの家賃は従来どおり営業費用に含め、価値を二重に動かさない。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%を基礎に、事業の価格競争と実績で確認できる現金の強さを対称的に反映した。個別の買収失敗は確率で扱う。