結論
マーソは、人間ドック・健康診断の予約サイトと、医療機関・企業・自治体向けの予約管理システムを営む会社である。結論は割高だ。施設網という実物の強みはあるが、検索経由で集客する商売の弱さと、稼いだ現金が少数株主に戻るかという不確実性が、現在の時価総額に見合わない。
2025年末に掲載医療施設は1,906、年間予約取扱高は118億円に達した。ところが個人予約はGoogleの検索変更とAI検索に押され、同年の連結営業損益は赤字に転落した。2026年上期には法人予約が伸び、四半期の取扱高は前年同期を21.5%上回ったが、通期の会社予想はなお営業赤字である。掲載数の伸びを利益の伸びと取り違えてはならない。
2021~22年の高収益はワクチン予約という一時的な需要が大きく、平時の稼ぐ力ではない。10年後の中立では、法人経由の予約が個人検索の弱さを補っても、競争と開発費を差し引いた純利益は約1.1億円にとどまると見る。強気の売上成長をそのまま利益率と永久成長に掛け合わせることはしない。
2025年末の純現金は約17億円と厚い。ただし無配で、上位10株主が8割超を保有する。現金の全額を今の少数株主が自由に取り出せる前提にはできない。5通りの将来を資本コストで割り引いた価値は約10.2億円で、約30億円の時価総額をおよそ66%下回る。好転の可能性より、今払う値段の安全域の不足を重く見る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、掲載施設が増えたという朗報を聞いたあとに、その新しい施設がいくらの現金を増やしたのかを確かめるだろう。マーソでは施設網が厚くなったにもかかわらず、2025年の予約取扱高は前年を下回った。検索アルゴリズムひとつで予約数が揺れる事実は、顧客への到達経路を完全には所有していないことを示す。これは10年単位で利益を予測する際の重要な弱さだ。
対照的に、医療施設で実際に検査を行うこと、企業が従業員の健康診断を手配することは、AIが普及しても消えない。多数の健診プランと予約枠をつなぐ機能は残るはずである。ただし機能が必要であることと、特定の仲介会社が高い手数料を受け取り続けられることは別だ。保険者に近い販路を他社が持つ以上、マーソが主導権を持ち続けると決めつけない。
純現金が多い会社を評価する際にも、口座残高と株主の自由になるお金を混同しない。無配のまま新興企業への出資を重ねれば、財務的な安全性は残っても資本効率は下がり得る。新しい開発投資が資本コストを上回ることを証明するか、利用しない現金を継続して返すかのどちらかが必要だ。現在はその約束がない。
2026年の法人予約の伸びには確かな希望がある。だが、それを10年後も続く高収益と同一視すべきではない。事業の必要性、堀の強さ、資本配分、最後に支払う値段を順に考えると、価値に比べた安全域は大きく不足している。事業が生き残ると予想することは、今の株価を正当化することとは違う。
何で稼ぐ会社か
会社の開示上はヘルステック事業の単一セグメントだが、収入の性質は異なる。2025年売上約10.8億円のうち、予約が約6.1億円、広告が約3.0億円、DXが約1.6億円である。ワクチン関連はほぼ終了したため、長期の主力には数えない。受診者が無料で予約し、医療施設や法人などが手数料やシステム利用料を支払う構造だ。
予約サービスの中核はMRSO.jpと医療施設向けMRSである。受診実績に対する手数料率はおおむね6~10%で、予約から受診までのキャンセルは平均約20%と会社が説明する。2025年の取扱高118億円に対する実際の予約売上は約5.2%であり、取扱高すべてが売上になるわけではない。保険会社や健保組合の会員を送客する法人予約は、検索順位に頼らない新しい入口となる。
広告は掲載医療施設への有料枠、販促企画などから固定的な掲載料を得る。サイトの掲載施設1,906すべてが有料広告主なのではないため、施設当たり広告売上は便宜的な平均値としてしか使えない。予約サービスで集めた受診希望者の需要を広告へつなぐが、来訪が減れば二つの売上が同時に傷む。
DXは病院・法人向けのMRSO-Plus、Health-Plusなどと、自治体向けMRSO住民健診を含む。2025年末の開示上、医療施設・法人向けは16アカウント、行政向けは85アカウントで、売上はそれぞれ約1.02億円と約0.62億円だった。受託開発案件が混ざり、継続課金だけの安定した売上ではない。2024年の大型案件終了で減収した事実はその弱点を示す。
優良さと弱いところ
最も確かな競争力は、掲載医療施設の広さと、健診コース・空き枠・予約導線を組み合わせた取引の経験にある。施設数は2023年の1,366から2025年の1,906へ増え、2026年6月には2,012となった。施設が増すと受診者の選択肢が広がり、予約が増せば施設にとって掲載の意味が増す。小さいながらネットワーク効果はある。
ただし、この強みは独占的ではない。2024年から2025年にかけて施設数が増えたのに予約取扱高は減り、集客を自社で支配できないことが明らかになった。個別施設が自社で予約を受ける道も、企業や健保がイーウェルなどの代行業者を通す道も残る。6~10%という手数料の持続や値上げ実績、顧客の解約率は十分には開示されていない。堀は存在するが、広く深いとまでは言えない。
DXのうち、画面操作や定型的な開発工数に値段が付く部分はAIエージェントに置き換えられやすい。健診結果や予約情報のデータは価値があるものの、移行に年単位を要することや年5%未満の解約率、法改正に伴う継続的な値上げなどの独立した証拠が二つ以上そろわない。医療施設・法人向けと行政向けのDXは、規制対応の記録の正本として高く評価しない。
財務は強い。自己資本約19.5億円に対して純現金約16.8億円で、有利子負債の借換えに追われる会社ではない。しかし、2025年の研究開発費は約0.74億円であり、新しい法人予約の販路構築にも費用が要る。感染症特需を除いた増分の投下資本利益率が資本コストを超えたと断言できる実績はまだ薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
矢野経済研究所による2025年度の国内健診・人間ドック市場は約9,810億円で、前年比の伸びは1.3%にとどまる。企業健診や特定健診には制度に支えられた需要があり、予防への関心も続く。しかし対象人口が減る日本で、受診者の実数が毎年大きく増える業界ではない。10年間の名目市場の増加は主として単価上昇であり、予約件数の伸びは会社がシェアを奪うことでしか生まれにくい。
マーソの2025年取扱高約118億円は、この広い健診市場全体の約1.2%に相当する。ただし分母には企業が直接手配する法定健診なども含むため、これは市場全体への浸透度の目安であって、オンライン予約サイト内の厳密なシェアではない。会社の比較資料では掲載数が競合する個人予約サイトを上回るが、施設の重複掲載もある。サイトの掲載シェアを実際の取扱高シェアと取り違えてはいけない。
法人健診は会社資料で約6,000億円の市場とされる。マーソはイーウェル、ベネフィット・ワン、SHIFTなどとの提携を通じて企業や保険者への入口を増やしている。一方、イーウェルやバリューHR、EPARK人間ドック、健診を直接受け付ける医療施設、健保の内製システムも競争相手になる。企業契約の入口を相手に握られると、送客量が増えても一件当たりの取り分を下げざるを得ない。各社の取扱高ベースのシェアには比較可能な開示がなく、推定で埋めない。
技術上の転換は、検索サイトを人が操作する時代から、AIが健診候補の比較と予約の実行まで担う時代への移行である。MRSO.jpを訪れずに予約が完結すれば個人集客と広告が減るが、提携先の予約執行システムとして残れば取引手数料は得られる。どちらの入口を握るかが、10年後の価値を分ける。中立では市場全体の実質数量をおおむね横ばいとし、法人経由の獲得で同社の予約数量だけが増える。
資本政策と M&A
設立以来の資本配分は、ワクチン予約で得た資金を予防医療の本業と開発投資へ振り向けるものだった。2024年にはベトナムに開発子会社を設け、AI画像診断のエルピクセルや健康関連の新興企業に出資し、2025年にはAI・DX関連ファンドにも出資した。出資先の実現利益や増分ROICはまだ検証できず、大型買収による売上増は見込まない。
2025年には約0.49億円で44,200株の自社株を取得し、発行済株式の約1.2%に相当する株数を減らした。これは評価できる一方、配当はなく、会社の配当方針も実施時期を約束していない。2024年に導入した株主優待は、保有株数と期間に応じたマーソギフト券であり、実際の利用額は非開示だ。ここでは年約0.03億円の会社負担を仮定し、10年の還元に含めた。
2026年3月の成長可能性資料は2026年12月期の売上12.62億円と営業損失0.76億円を示すが、複数年の売上・利益・ROE目標はなく、配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い金額にも数字の約束はない。上位10株主の保有比率は2025年末で84.34%と高く、社長と関係先の影響力が大きい。過去5年に2%以上の株数削減も増配もなく、余剰現金の少数株主への戻り方は慎重に半分と評価する。
公開買付けによる買収や非公開化は将来の選択肢だが、2026年10月時点で実施予定の事実は確認できない。魅力的な買収価格が必ず提示されると期待して価値を上げることはしない。新株予約権は2025年末に潜在株式252,020株があったものの、行使価格は1,334円または1,800円で期限が近い。現在の価格を基準に全量を機械的に希薄化させない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マーソの核は検索サイトではなく、健診を受け付ける医療施設のネットワークと予約執行の仕組みである。2025年末に1,906だった掲載施設は2026年6月には2,012となり、受診希望者の需要と医療機関の空き枠を結ぶ能力は高まっている。受診者の生活圏、検査項目、費用に応じた比較と予約は、数多くの施設とつながった事業者に有利だ。健診の手配を自動化するAIエージェントにとっても、確実に枠を確保できる予約先は必要になる。仲介を外されるだけでなく、取引の実行基盤として選ばれる可能性がある。
法人向けは2025年4月に本格化した新しい販路で、2026年上期の法人予約取扱高は前年同期比で大きく伸びた。健保・福利厚生のイーウェル、ベネフィット・ワン、SHIFTなどとの提携が広がれば、検索の順位とは別の流入が生まれる。2025年の年間予約取扱高118億円は国内健診市場のごく一部にすぎず、既存需要の一部をデジタル予約へ移すだけでも伸びしろが大きい。
固定費の多い小規模プラットフォームには、予約増が利益へ大きく効く構造もある。2021~23年に大きな利益を出した実績があり、ソフトウエア開発と施設への接続が無駄になるとは限らない。法人予約の取扱高が着実に積み重なり、広告も掲載施設数に沿って伸びれば、特需を除いても営業利益率が20%台に達する余地がある。純現金に借換え負担がないため、その変化を待つ時間もある。さらに、提携先との関係が深まれば、買収や資本提携の対象として価値が顕在化する可能性もある。
慎重な見方
掲載施設が増えることと、客がマーソ経由で予約をすることは同義ではない。実際に2025年は施設数を229増やしたのに予約取扱高が減った。会社自身がGoogle検索とAI検索による個人予約の不振を説明している。医療機関の情報を比較し、候補を探し、利用者に提案する作業はAIエージェントが得意とする部分であり、検索結果から集客する仲介サイトにとっては構造的な脅威だ。予約執行のAPIを持っていても、受診者や保険者の意思決定を握れなければ料金を上げられない。
法人向けの相手も受け身ではない。イーウェルやベネフィット・ワンは健保や企業との契約を持ち、医療施設との調整にも慣れている。マーソが販路を借りて予約数を伸ばすほど、取り分を決める交渉力は先方へ移ることがある。行政向けの契約も86ではなく85前後のアカウントで停滞し、医療施設向け開発は大型案件の終了で売上が減った。画面中心のソフトと受託開発はAIで代替可能な部分が大きく、永続する高利益率を前提にできない。
過去に営業利益が9億円前後あったからといって、現在の予約事業にも同じ利益を求めてはならない。ワクチン特需が終わった2025年に営業赤字となり、2026年も会社は赤字を予想する。さらに、16億円を超える純現金は事業の損失や不確かな少数出資に使われ得る。支配株主の存在と無配の実績を考えれば、少数株主が現金の全額をすぐ受け取ると期待するのは楽観的だ。事業が残っても資本コストを稼がなければ、帳簿上の資産と株主の価値には差が生まれる。
どちらに重みを置いたか
必要な健診需要と施設網の存在は認めるが、利益を取る力については慎重な見方が勝る。2026年の法人予約拡大は重要な反証である一方、利益への転換と継続率がまだ確認できない。確率は上側28%、中立32%、下側40%とした。下に寄せる理由は検索の既往減収に加え、法人顧客との手数料交渉、無配下での現金配分という会社固有の未解決問題であり、AIリスクを資本コストにも重ねていない。事業の構造的な負けは床の資産価値にも反映したが、検索流入の悪化だけを理由に悲観確率を追加で重ねてはいない。比較対象の同業より財務が厚くても、売上の持続性と現金への支配権は別の問題として評価した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 624 円22 億円(+ 還元の換算額還元の合計 16 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 293 円10 億円、今との差 −65.0%、 期待の年率 −2.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,653 円58 億円 | 54 円2 億円 | +103.7% | +7.5% | 171 円6 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,007 円35 億円 | 31 円1 億円 | +23.9% | +2.2% | 187 円7 億円 |
| 中立 | 32% | 491 円17 億円 | 9 円0 億円 | −40.4% | −5.1% | 160 円6 億円 |
| やや悲観 | 26% | 342 円12 億円 | 7 円0 億円 | −58.4% | −8.5% | 91 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 222 円8 億円 | 4 円0 億円 | −73.0% | −12.3% | 32 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 624 円22 億円 | 16 円1 億円 | −23.7% | −2.7% | 640 円22 億円 |
今の株価時価総額 838 円29 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 法人健診の予約基盤として定着 利益 4 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,653 円58 億円
健保組合や企業の健診手配が紙や電話から予約APIへ移り、マーソはイーウェル、ベネフィット・ワンなどとの提携を太くする。医療施設への接続を自社で維持し、健診予約の実行を担うため、AIエージェントが検査の候補を見つけても予約の取引収入は失わない。市場自体の受診者数は大きく増えないが、同社が受け持つ予約件数は年間54万件へ増える。施設数も2,600まで広がり、広告は検索よりも施設の販促・送客契約として残る。
DXについては、医療機関向けの受託開発がAIで効率化されるが、過去にないAI売上を作り出したとは仮定しない。医療施設・法人向けの有償アカウントは16を保ち、行政向けは85で維持する。法人予約の標準化と自社開発によって手数料の粗い利益が増し、費用も膨らむが営業利益率は20%強へ回復する。現金を大きな買収に使わず、若干の自社株買いと優待を続ける。2035年の事業純利益が4億円台に達しても、2021年の特需並みの高利益を永続させることは考えない。
- 健診予約・送客手数料:数量 540,000(年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算))× 価格 3,650(予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後))→ 売上 20 億円・営業利益 12 億円。法人健診で取扱シェア拡大。費用増を吸収して寄与率約60%。
- 医療施設向け広告・販促:数量 2,600(MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理))× 価格 208,000(掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み))→ 売上 5 億円・営業利益 4 億円。広告の有償率と平均売上が高まる上位筋書き。
- 医療施設・法人向けDX:数量 16.0(期末医療施設・法人DXアカウント数(契約))× 価格 7,300,000(1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI型に該当するDXの数量は増やさず、単価のみ上昇。
- 自治体向け住民健診DX:数量 85.0(期末自治体DXアカウント数(契約))× 価格 835,000(1アカウント当たり年間売上(円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有償85契約を維持し、単価は物価の一部だけ転嫁。
- 終了したワクチン関連:数量 0.0(残余契約数(件・便宜的))× 価格 966,000(残余1契約当たり収入(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。終了事業は再燃を前提にしない。
倍率:k8.25%、長期名目g1%、堀は通常で超過利潤の持続割合1/2。現金11億円とその税後受取利息0.154億円を除いた事業利益4.046億円を、事業自己資本25.2億円で除すとROE約16.06%。RONIC=8.25%+半分×(16.06%−8.25%)=12.15%、正当化PER=(1−1%÷12.15%)÷(8.25%−1%)=12.66。時価総額=(4.2−0.154)×12.66+11×0.5=56.72億円。市場PERは参照しない。
確率:法人予約の急拡大が10年続き、保険者側との接続でも収益分配率を維持し、個人予約の検索損失を完全に補う複合的な成功を要する。上昇余地は大きいが連続して達成する確率は限定的。
やや楽観 18% 法人チャネルが検索の弱さを補う 利益 3 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,007 円35 億円
法人健診の手配が着実に電子化し、保険者や福利厚生の提携先から安定した予約が流入する。個人予約はAIによる検索の変化に押されるが、マーソは医療施設の予約枠を確保する窓口として残る。2025年に比べて予約件数は43万件まで増え、広告も施設数2,400までの広がりで成長する。施設が増える分、予約枠の品質やキャンセル対応に費用を使うため、数量増のすべては利益にならない。
企業の健診管理システムはAIを使う他社製品と競争し、医療施設・法人向けDXの契約数は15へ、行政向けは80へ小幅に減る。それでも受注案件の選別によって採算を維持できる。資金は自社の接続基盤を強める開発と販売に使い、大型の買収は行わない。将来の利益成長は足元からの回復と法人予約の市場浸透によるもので、ワクチン事業の再来によるものではない。営業利益は3億円台半ばへ回復するが、価格を自由に決める独占的な地位にはならない。
- 健診予約・送客手数料:数量 430,000(年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算))× 価格 3,450(予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後))→ 売上 15 億円・営業利益 8 億円。法人予約への取引構成変化で数量増、単価は物価並み。
- 医療施設向け広告・販促:数量 2,400(MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理))× 価格 197,000(掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み))→ 売上 5 億円・営業利益 4 億円。掲載数増で広告を維持、検索依存による値付け限界は残る。
- 医療施設・法人向けDX:数量 15.0(期末医療施設・法人DXアカウント数(契約))× 価格 7,200,000(1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面中心・受託型の数量は現状以下。
- 自治体向け住民健診DX:数量 80.0(期末自治体DXアカウント数(契約))× 価格 810,000(1アカウント当たり年間売上(円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。80契約、予算の制約で単価は物価に追いつかない。
- 終了したワクチン関連:数量 0.0(残余契約数(件・便宜的))× 価格 966,000(残余1契約当たり収入(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。終了した予約特需は復活させない。
倍率:事業利益2.346億円、現金を除く自己資本19.8億円でROE11.85%。k8.25%、堀通常でRONIC10.05%、g_long名目1%から正当化PER12.42倍となる。時価総額=(2.5−0.154)×12.42+11×0.5=34.64億円。ROE超過分は再投資先で半分に薄れる。
確率:2026年上期の法人予約増勢と2000超の掲載施設は実績があり、受診者の移行も進み得る。ただし導入先の数と売上寄与の継続はまだ確認途上なので楽観より高いが過半ではない。
中立 32% 予約は伸びるが利益率は平凡に着地 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 491 円17 億円
健康診断を受ける国内人口は減少しても、企業・健保が予約を外部へ委ねる流れは続く。マーソはイーウェルなどの販路を経由する予約を増やすが、提携先との分配交渉で一件当たりの値上げは物価を少し下回る。2025年に約23.6万件と推計した予約は、2035年には32.5万件となる。これは国内の検査件数が大幅に増える予想ではなく、会社の取扱シェアが約1.2%から約1.7%へ高まる見通しである。
広告は施設数が2,150に増える一方で、AI検索による来訪の減少が単価を抑える。DXの医療施設・法人向けアカウントは16から13、行政向けは85から70へ減り、既存の人手を使う開発の単価も十分には上がらない。予約基盤を保つには研究開発と情報保護の負担が残り、名目の人件費や販促費も増える。営業利益率は一桁台後半に落ち着き、純利益約1.1億円では資本コストに届かない。大きな買収も恒常配当開始も見込まず、少額の優待だけを続ける。
- 健診予約・送客手数料:数量 325,000(年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算))× 価格 3,350(予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。市場の実質件数は横ばい、法人経由のシェア上昇で予約32.5万件。価格1.30倍は物価1.34倍以下。
- 医療施設向け広告・販促:数量 2,150(MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理))× 価格 185,000(掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み))→ 売上 4 億円・営業利益 3 億円。掲載数は増すが有償率と広告価格にAI検索の圧力。
- 医療施設・法人向けDX:数量 13.0(期末医療施設・法人DXアカウント数(契約))× 価格 7,000,000(1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で数量は現状の0.81倍、価格は1.10倍。
- 自治体向け住民健診DX:数量 70.0(期末自治体DXアカウント数(契約))× 価格 780,000(1アカウント当たり年間売上(円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI対応が進み数量は0.82倍、価格は1.07倍。
- 終了したワクチン関連:数量 0.0(残余契約数(件・便宜的))× 価格 966,000(残余1契約当たり収入(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ワクチン一時需要は除く。
倍率:事業利益1.12−0.154=0.966億円、現金を除く事業自己資本24.8−11=13.8億円、事業ROE約7.0%でk8.25%に届かない。成長投資の超過利益を見込めないためPER上限1÷k=12.12倍をそのまま用いる。現金価値11×0.5を別に足し、(1.12−0.154)×12.12+5.5=17.21億円。過去の市場倍率や谷のPBRを使わない。
確率:2026年上期の法人予約拡大を一部持続させる一方、検索流入は回復しきらず、DX契約もAI代替で緩やかに減るという会社固有の証拠を両方反映した最頻の見通し。
やや悲観 26% 法人化に苦戦し小幅黒字しか残らない 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 342 円12 億円
個人予約のサイト流入が弱く、法人向けも提携先が予約実行を自前で行うようになる。マーソは医療施設のデータと一部の予約導線を保つが、受診者と施設の両側から直接選ばれる力を失う。予約件数は20.5万件まで減り、手数料の実効単価も高くならない。医療施設の広告主はAIが要約した回答で集客できると考え、掲載施設数が1,550へ縮むにつれ広告収入も減る。
自治体は低コストのクラウドやAIエージェントへ段階的に移り、行政向け契約は60となる。医療施設・法人DXの11契約は残っても、新規受託開発の規模が縮小する。会社は人員と販促費を削り、運転資金を守るために大きな開発を控える。いったん営業赤字から立ち直っても、2035年の営業利益はわずかに黒字という姿になる。買収されて高い価格が付くとは想定せず、価値の中心は処分できる現金に移る。過去の自己資本が額面どおり増え続けるとは見ない。
- 健診予約・送客手数料:数量 205,000(年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算))× 価格 2,830(予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。B2B顧客が予約機能を内製し、数量も手数料の実効価格も低迷。
- 医療施設向け広告・販促:数量 1,550(MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理))× 価格 150,000(掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。掲載施設と来訪が減り広告の有償化率も悪化。
- 医療施設・法人向けDX:数量 11.0(期末医療施設・法人DXアカウント数(契約))× 価格 6,600,000(1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発受託の縮小で利益率低下。
- 自治体向け住民健診DX:数量 60.0(期末自治体DXアカウント数(契約))× 価格 750,000(1アカウント当たり年間売上(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。行政更新で競合へ一部移行。
- 終了したワクチン関連:数量 0.0(残余契約数(件・便宜的))× 価格 966,000(残余1契約当たり収入(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。終了済み。
倍率:収益力だけなら純利益0.24÷k8.25%に余剰現金の部分を加えても価値は乏しい。売却可能な金融資産から事業上の負担を引いた床12.0億円を採用する。床のPBR=12.0÷2025年末の自己資本19.5=0.61538倍であり、2035年まで積み上がった自己資本に掛けていない。中立の将来PBR17.21÷24.8=0.69倍より低い。
確率:法人向けの実務をイーウェル等が内製し、予約手数料の交渉力が弱まる可能性がある。検索依存の縮小だけではなく、会社固有の販路主導権喪失を追加した筋書き。
悲観 14% 予約基盤の地位を失い現金を取り崩す 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 222 円8 億円
健診予約の入口はAIの代理サービスと企業・健保の直接接続へ移り、マーソを経由する必要が薄くなる。施設側は予約枠を複数の業者へ配り、手数料率に敏感になる。予約件数は13万件へ落ち、広告を買う意義も薄れ、掲載施設は1,200まで縮む。医療機関にとっては健診を実施する本業が残るが、マーソにとっての仲介利益は小さくなる。
DXの医療施設・法人契約は9、行政契約は45に減る。生成AIによる画面の代替だけでなく、自治体が共通の予約基盤へ統合する政策変更が重なる。会社は固定費を減らすために人員と拠点を縮小しても、個人情報の保護とシステム終了の費用が残る。2035年には営業赤字が続き、10年間の累計損失と優待費用で自己資本を傷める。現金を抱えたまま非公開化されるといった救済は織り込まず、売れる預金から負債・閉鎖費を控除した価値だけを見る。
- 健診予約・送客手数料:数量 130,000(年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算))× 価格 2,560(予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。予約件数は現在推計の約半分、実効手数料もほぼ据え置き。
- 医療施設向け広告・販促:数量 1,200(MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理))× 価格 122,000(掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。検索流入が途絶え広告主が離脱。
- 医療施設・法人向けDX:数量 9.0(期末医療施設・法人DXアカウント数(契約))× 価格 5,600,000(1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託開発・画面SaaSの売上縮小。
- 自治体向け住民健診DX:数量 45.0(期末自治体DXアカウント数(契約))× 価格 650,000(1アカウント当たり年間売上(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。共通システムへの統合で失注。
- 終了したワクチン関連:数量 0.0(残余契約数(件・便宜的))× 価格 966,000(残余1契約当たり収入(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。復活を想定しない。
倍率:赤字のため利益にPERを掛けない。現時点の自己資本19.5億円を分母にし、事業継続に要る現金と負債・閉鎖費を引いた売却可能資産7.8億円÷19.5億円=PBR0.40倍。過去の市場のPBR最安値を参照せず、2035年の自己資本12.8億円を倍率の土台にしない。
確率:AI代理予約と大手健診代行会社による直結が同時に進み、予約網の集客力まで損なわれる重複失敗。2025年の検索流入悪化は実証済みだが、施設網の全面崩壊までは認めないので14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
健診予約・送客手数料
MRSO.jpとMRS経由の個人・法人予約。受診が成立した金額に応じて医療施設などから手数料を得る。
| 数量年間健診予約件数(件・仮定平均受診額から換算) | 価格予約1件当たりの実効手数料収入(円・キャンセル反映後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 236,128 | 2,580 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 325,000 | 3,350 | 11 | 5 |
取り方:有報の予約売上609,279千円、会社資料の予約取扱高11,806,412千円を使用。平均検査価格を開示外の仮定5万円とすると約23.61万件、実効収入は約2,580円/件。取扱高に対する収益化率5.16%は、平均キャンセル率20%と受診実績への手数料6~10%から導かれる約6.45%の受診時手数料と整合する。数量・平均価格は推計であり、売上額そのものだけが実績。営業利益は区分別非開示のため本社共通費控除前の内部推定寄与額。
医療施設向け広告・販促
自社予約媒体の広告掲載料や販促企画の固定報酬。広告運用受託ではなく自社媒体の利用者流入に依存する。
| 数量MRSO.jp掲載医療施設数(施設・有償広告主数の代理) | 価格掲載施設1施設当たりの年間広告売上換算(円・有償率込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,906 | 159,543 | 3 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,150 | 185,000 | 4 | 3 |
取り方:広告売上304,089千円を掲載施設1,906で除した平均年16.0万円。施設数は広告料金を払う施設数ではなく無料掲載も含むため、広告を実際に購入した施設の単価と混同しない。2035年の数量変化はネットワーク・掲載需要を示し、価格変化に有償化率と広告料金、AI検索による流入の悪化を含めた。営業利益は推定寄与額。
医療施設・法人向けDX
MRSO-Plus、Health-Plus、法人向け健診管理と個別受託開発。画面操作・工数売上がAIに置き換わる部分を含む。
| 数量期末医療施設・法人DXアカウント数(契約) | 価格1アカウント当たり年間売上(円・開発一時金を含む平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 16.0 | 6,359,375 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 7,000,000 | 1 | 0 |
取り方:2026年3月会社資料の医療施設・法人向け2025年売上約102百万円、稼働16アカウントを使用。開示グラフは百万円丸めのため、DX全体の実額163,750千円から行政向け概数62百万円を引いた101,750千円を採用。開発案件の多寡で単価が振れる。AIエージェント代替の席・画面型と人月開発の混合として、中立10年の数量13/16=0.81倍、価格700万円/636万円=1.10倍、g_longはこの部分では0%以下を想定。営業利益は推定。
自治体向け住民健診DX
自治体の住民健診予約・管理ソフトと導入支援。現在課金されるアカウントと過去の累計導入自治体数を区別する。
| 数量期末自治体DXアカウント数(契約) | 価格1アカウント当たり年間売上(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 85.0 | 729,412 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 780,000 | 1 | 0 |
取り方:会社資料の2025年行政向けDX売上約62百万円と85アカウントから計算。500超の自治体への導入実績は過去累積であり現在の有償顧客数として使わない。AIエージェント代替の画面・定型業務型として中立10年数量70/85=0.82倍、単価78万円/約73万円=1.07倍。高齢化による実需と、自治体予算競争の双方を考える。営業利益は推定。
終了したワクチン関連
新型コロナウイルス接種予約支援の残余収入。2024年にサービス提供を終了しており、継続収益と見なさない。
| 数量残余契約数(件・便宜的) | 価格残余1契約当たり収入(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 966,000 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 966,000 | 0 | 0 |
取り方:有価証券報告書の2025年ワクチン区分売上966千円を残務1件として便宜的に表示。会社は2024年に当該サービスを終了しており、将来の通常時売上はゼロ。過去の高利益率を平時の予約サービスに転用しない。
リスクと懸念
AI エージェント代替
個人が人間ドックを探すために検索サイトへ来訪するという前提は、AIによる比較・推薦・直接予約に置き換わり得る。2025年にはすでにGoogle検索とAI検索の影響が予約実績に現れた。予約サイトの送客と広告、DXの操作画面・受託開発を別々に見る必要があり、AIを新規収益源にできたとする開示額はまだない。
法人予約の入口と取り分
イーウェルやベネフィット・ワンなどとの提携は検索依存を減らすが、健保・企業との契約や医療機関の選択を最終的に握るのは相手方の場合がある。法人予約取扱高が増えても手数料率が下がれば売上は伸びない。2026年上期の約5倍という成長率は立ち上がり期の小さい母数によるもので、その後10年続く前提にしてはならない。
施設数の成長と予約取扱高の乖離
2025年は掲載施設数が増える一方で、予約取扱高が減少した。無料掲載を含む施設の増加だけでは広告の有料顧客数や実際の予約成立を証明できない。検索からの来訪、受診までの約20%のキャンセル、医療施設との料率交渉のいずれかが悪化すれば、施設を増やす営業費用だけが残る。
DXの顧客集中と受託開発の縮小
医療施設・法人DXのアカウントは16にすぎず、大型開発案件が終わった2025年には売上が急減した。行政向けの累積導入500超と現在課金中の85は異なる。AIによる画面・事務処理の代替と、自治体の共通基盤化が進むと、案件数と一件当たりの単価を同時に失う恐れがある。継続解約率や値上げ力の立証も不足する。
支配株主と余剰現金の使途
上位10株主が約84%を保有し、配当はない。2025年には約0.49億円の自社株買いを実施したが、純現金の大部分を返したわけではない。非上場ヘルスケア企業や投資ファンドへの少数出資が増えれば、帳簿の現金は将来の損失や評価損へ変わり得る。現金が多いことと少数株主に同額の価値が届くことは別である。
健診情報の保護・法規制・固定費
予約者の連絡先に加え、健診結果を扱うサービスには漏えい・誤送信・不適切なアクセスの重大なリスクがある。公的個人認証や自治体向け業務も顧客の信頼を失うと更新が難しい。事務所賃料は2025年に年約0.30億円で、売上が急減しても直ちには消えない。2028年以降の新リース会計で負債表示が変わっても経済的な家賃負担は残る。
新株予約権と低い流通株式比率
2025年末時点の新株予約権の潜在株式は約25.2万株で、当時の発行済株数の約7%だった。ただし行使価格は1,334円または1,800円で、失効期限も2026~30年と異なるため、全量が発行されるわけではない。高値での行使や新たな増資は既存株主を薄める一方、流通株式比率25.4%という薄さは売買のしにくさを生む。
今後の分かれ目
- 2027~28年に年間予約取扱高が140億円を超え、予約売上÷取扱高が5%以上を維持したら
- 法人予約が件数だけでなく実収入を生むことの証拠となる。中立の予約数量と利益率を上げる。ただし一時的な年度末集中かどうかは翌年度も確かめる。
- 法人経由の予約取扱高が全体の3分の1を超え、提携契約更新でも実効手数料が低下しなければ
- AI検索依存から予約執行の取引基盤への転換が進んだと判断し、楽観側の確率を上げる。値決め力と顧客の継続を別々に点検する。
- 掲載医療施設が2,500を超えても予約取扱高と広告売上が横ばいなら
- 施設数のネットワーク効果が収益化できていないと判断し、広告の単価と予約の取扱シェアを引き下げ、やや悲観側へ寄せる。
- DXの医療施設・法人向けアカウントが12、行政向けが65を割ったら
- 席・画面・受託業務のAI代替、または競争失注が予想より早い。中立のDX数量を下げ、共通費をどれだけ削れるかを同時に検証する。
- 継続契約の解約率5%未満、年単位のシステム移行、値上げ実績のうち二つ以上が数値で開示されたら
- 証拠があるDX部分のみ記録の正本として堀を再判定する。全社を一律に高成長・高PERへ格上げせず、その売上割合から見直す。
- 純現金が10億円を割り込む一方で配当・十分な自社株買いがなく、非上場出資が増えたら
- 余剰現金の床を下げ、資本配分の失敗を悲観側に反映する。持ち分投資の帳簿額で現金減少を埋め合わせない。
- AIを利用した新サービスに金額を伴う受注・継続売上が開示されたら
- 新規事業の売上と再投資採算を分けて検証し、初めて追加の収益源として数量モデルに組み入れる。発表や無償提供だけでは楽観を上げない。
見ておくもの
- 四半期予約取扱高と予約売上の実効手数料率(売上÷取扱高、受診までの時間差に注意)
- 個人検索流入と法人経由予約の取扱高・構成比、提携先ごとの継続状況
- MRSO.jp掲載医療施設数、有償広告契約数、施設当たり広告売上
- 予約キャンセル率、健診コース単価、保険者・企業の継続契約率
- 医療施設・法人DXの有償16アカウントと行政DX85アカウントからの増減
- 営業利益と研究開発・広告宣伝・外注費、通常事業の増分投下資本利益率
- 現金・預り金・非上場持分投資・株主還元・新株予約権の行使状況
倍率と資本コストの決め方
時価総額を起点に逆算せず、2025年の売上区分を件数×実効単価へ分解した。健診予約の件数と広告有償施設の単価は会社が直接開示しないため、平均受診額5万円と全掲載施設当たり広告売上で推定した。AIエージェント代替の制約はDXの10年数量0.81~0.82倍、単価1.07~1.10倍と長期g1%に反映し、kの寿命には重ねない。kは8.25%、正当化PERは現金を除いたROEとRONICから算出し、強気~中立は式の上限を採用した。悲観は過去のPBR底値ではなく換金可能現金の床から求めた。10年中立の自己資本約24.8億円は現在19.5億円に累計純利益約5.6億円を加え、推計の優待還元0.3億円を引く流れと整合する。5シナリオに実現性の高い法人化と既往の検索毀損を反映した結果、現在の約29.86億円に対して10年割引価値は約10.2億円、差は約マイナス66%となる。株価の円建て水準を将来の倍率決定には使っていない。事務所家賃は引き続き営業費用で扱い、新リース会計の表示変更で利益を創出しない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の計7.5%に、利益変動・値決め力・現金余力による質の調整0.75%を加算。小型株プレミアムやβ、AIリスクの二重加算はしない。