結論
Ridge-iは、大企業向けの特注AI開発、衛星画像解析、AIの保守運用で稼ぐ技術会社だ。筆者の結論は割高である。AIエージェントを導入する側の需要を取り込めても、その同じ技術が従来の開発工数と保守工数を減らすため、現在の時価総額143億円に見合う長期の株主利益を予測しにくい。
2026年7月期はSBIグループ向けの大型案件などで本業の採算が改善し、売上約30億円、営業利益5.47億円に達した。ただし、その売上には同年7月に売却した広告子会社の11.82億円が含まれる。以後は広告を外し、約80人の技術者を擁する創研情報を取り込む。単純な連結増収率より、入れ替わった事業の採算と顧客集中を見る必要がある。
強みは金融・産業・衛星の難しい業務にAIを入れる実装力だ。SBIから2026年9月に年間9.8億円のAX推進案件を受注した事実は、AIエージェントを自ら販売できる証拠であり、将来の上振れを無視できない。一方で、十年後も同じ顧客が同じように開発費を払うとは限らない。モデル提供者や顧客自身が作る仕組みに仕事が移れば、技術者数を増やして売る成長は止まる。
余裕資金は厚いが、配当の実績はなく、筆頭株主SBIと創業者側の持ち分が大きい。最近の自己株取得は前向きでも、継続的な還元姿勢の証明にはまだ足りない。十年後の五つの筋書きを事業の数量と単価から積み上げると、確率加重した現在価値は約29億円となり、株価に対する安全域が見いだせない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目に映るのは、AIという流行語ではなく、顧客が十年先も現金を払い続ける理由である。Ridge-iには、難解な現場の要件を理解し、実際の業務に組み込む力がある。SBIとの金融業務の共同開発や衛星の安全保障用途は、標準製品を入れるだけでは済まない仕事だ。AIエージェントの受注額まで開示した会社である以上、新技術に乗り遅れると決めつけるのも誤りだ。
しかし、契約を結び直す度に競争する受託業は、顧客が離れにくい基盤とは違う。案件数が伸びても、開発を自動化して必要な工数が減れば、売上に結び付くとは限らない。値上げを続けた実績や、他社が代替できないデータの権利も十分に示されていない。維持更新が必要なモデルと人材の知識は、設備を持たないから無料で育つものではない。
さらに、配当を行わず買収に資金を回す経営では、利益が株主の手に届く速度を慎重に見たい。現在の豊富な現金は損失への耐性を与えるが、買収代金や人件費として消える可能性もある。SBIは顧客であり大株主でもあるため、短期の受注額と長期の少数株主利益が必ず一致するわけではない。実際のAIエージェント契約の更新率、保守収益の伸び、買収後の投下資本利益率が続いて初めて、今より高い価値を認めたい。
何で稼ぐ会社か
同社の中核は、顧客ごとの課題を聞き、AIで解けるかを検証し、実装・改善まで引き受ける仕事である。主要顧客にはトヨタ自動車、荏原環境プラント、日本電子、SBIホールディングス、SBI証券が並び、会社は累計150社との取引を掲げる。2026年7月期のAI活用コンサルティング・開発の売上は14.52億円で、SBI向けの案件大型化が増収を支えた。企業の内部データと基幹システムをつなぐ案件は難しいが、売上の多くは専門家の工数を伴う。
人工衛星データの解析は、防災、インフラ監視、森林管理、安全保障向けに画像を読み解く。JAXAや官公庁、日立製作所との取引実績がある。2026年7月期は大型開発が保守段階に移ったため、売上が前年の2.80億円から1.66億円へ縮んだ。宇宙データそのものを独占しているのではなく、解析技術と顧客案件への参加が収益の源である。
AI保守運用は、稼働したモデルの監視、追加学習、データ分析に加え、利用台数・使用量に応じたライセンス料などを受け取る。荏原環境プラント、日本電子、セブン‐イレブン・ジャパンの継続案件があり、2026年7月期の売上は1.92億円だった。ストック性はあるが、解約率や独占的データを示す公表値はなく、会計や決済のような記録の正本とは区別したい。
事業の入れ替えも速い。2024年に買収したスターミュージック・エンタテインメントは、SNS広告制作と音楽配信を担ったが、2026年7月にSBI側へ売却した。新たに買収した創研情報は、金融・業務システム開発を担う約80人の会社で、2027年7月期の外部売上予想は8億円である。Ridge-i自身のAI開発力を増幅する狙いだが、旧来型の受託工数も同時に取り込んだ。
優良さと弱いところ
優位性は特許の独占より、難しい現場で失敗せずにAIを使える状態にする技術と信用にある。衛星画像の解析では宇宙開発利用大賞を複数回受け、製造業の画像認識や金融向け生成AIでも実運用の実績がある。SBI証券の顧客対応AIとSBIグループ全体のAX推進という大型案件は、提案資料だけでない受注の証拠になった。2026年7月期のカスタムAI事業の営業利益率が28%まで改善した点も、単なる人材派遣との違いを示す。
それでも堀は広いとはいえない。高度な案件ほど発注者の個別要件に依存し、完成後のモデル・データを顧客が管理すれば、次回は社内のAIエージェントで改修できる。継続運用の収益は増えたものの全社売上の約6%で、解約率5%未満、法対応に伴う値上げ、共同利用の業界基盤、独自データの蓄積という複数の定量証拠は確認できない。したがって会社全体を強い堀として扱わない。
財務は強い。2026年7月末には現預金35.58億円、自己資本36.99億円がある。ただし増えた自己資本にはSBI向け第三者割当と事業再編が効き、利益だけを再投資して得たものではない。営業利益率が高くても、研究開発、顧客開拓、買収、人材教育に継続的な出費が要る。買収した技術者が長く稼働し、顧客単価と再受注率を維持できるかを見なければ、増分資本利益率が資本コストを超えたとは断定できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
AI導入の市場は大きくなる。IDCは国内AI支出が2025年の約2.37兆円から2029年に約6.89兆円へ広がると予測する。ただし半導体やクラウドの費用も含む総額であり、Ridge-iが受け取れる開発費と同一ではない。JEITAが示した生成AIのソリューション・サービス市場は2025年494億円、2030年の予測は2,211億円だ。2025年の同社AIコンサル・開発売上8.96億円を機械的に比べれば約1.8%だが、従来型AIの仕事も含むため厳密な市場シェアではない。
競争相手はLaboro.AI、pluszero、エクサウィザーズ、JDSCなどの専門企業と、野村総合研究所、アクセンチュアなどの大手である。AIモデルを開発する海外のプラットフォーム企業や、顧客の内製チームも代替者になる。比較可能な細分市場の企業別シェアは公表が乏しく、競合の全社売上を流用して順位を作るべきではない。十年では大手がモデルと基盤を標準化し、個別受託会社の案件数量シェアは下がりやすい。
衛星データ活用サービスは矢野経済研究所によれば2024年度に約202億円、2030年度には340億円と予測される。同社の2025年の衛星関連売上2.80億円は2024年の市場額に対して約1.4%の参考比率だ。パスコ、日立、NEC、Synspective、QPS系企業などが競う。画像の低価格化は利用を広げる半面、解析単価を押し下げる。国土交通省は2026年9月にインフラ分野で衛星データ利用を促す方針を発表したが、官需は案件の年度差が大きい。
国内ITサービス市場は2024年に約7兆円規模で、創研情報の売上はその極めて小さな一角である。保守運用の需要は残るが、開発・テスト・仕様書作成をAIエージェントが担えば人月の市場は名目で伸びても実質工数が減る。中立ではコンサル開発、衛星解析、AI保守、既存SIの数量を十年でそれぞれ実質およそ三割前後減らす。高成長市場の数字を、そのまま同社の継続成長率にはしない。
資本政策と M&A
資本配分はまだ試験段階である。2025年9月にSBIホールディングスが第三者割当の新株39万株を約10.59億円で引き受け、創業者からの譲受け分も合わせて議決権約22.7%を持つ大株主となった。2026年には広告子会社をSBI側へ売却し、約0.88億円の売却益を計上した。同じ年に創研情報を約2億円で買収し、AI導入の現場要員と金融システム技術を確保している。高値買収を繰り返すか、収益性を上げるかが今後の分かれ目だ。
2026年9月公表の中期目標は、Ridge-i単体で2027年7月期に売上24億円・営業利益6億円、2028年に26億円・6.5億円、2029年に28億円・7億円、利益率25%を目指すというものだ。2027年7月期の連結予想は売上32億円・営業利益6.3億円・最終利益4.5億円である。ROE、配当性向、DOE、総還元性向、年間自社株買い額の中長期的な数値の約束はない。
2025年7月期、2026年7月期の配当はともにゼロで、2027年も無配予想である。ただし2026年9月には上限4.5億円、16万株の自己株取得枠を設定し、同月末までに約0.73億円、2万3,700株を買った。株主還元に踏み出したことは評価するが、まだ五年間にわたる継続的な買戻し実績とは言えない。大株主の集中とストックオプションによる希薄化も併せて見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AIを作る技術がAIで無価値になるわけではない。金融機関の顧客情報、規制、システム連携、誤回答の抑制を同時に満たす実装には、設計と運用の責任主体が必要だ。2026年にSBIホールディングスから年間9.8億円のAX推進案件を受注し、SBI証券でも約2億円規模のチャットAI開発を受注したのは、この需要が既に売上と契約になっている証拠である。単に生成AIの恩恵を予想する企業とは区別できる。
一度AIを本番環境へ導入すれば、監視、モデル更新、セキュリティ、監査対応は続く。荏原環境プラント、日本電子、セブン‐イレブン・ジャパン向けの保守運用はその原型だ。創研情報の金融システム要員を取り込むことで、AI企画から業務基盤の保守まで窓口を一つにでき、従来は大手SI会社に回っていた工事も取り込める。防衛と災害監視で衛星画像利用が本格化すれば、小さな事業が第二の柱になる余地もある。
広告事業を売り、採算のよいAIに集中した資本配分も合理的だ。2026年7月期のカスタムAI事業は営業利益率28%であり、2029年の単体目標でも25%を維持する方針を示す。将来、顧客の作業を代行するAIエージェントを繰り返し構築・運用する契約が広がれば、時間売りから成果売りへの転換が進む。短期の人月削減だけを見て、十年の案件獲得力と高い採算を否定するのは早い。
慎重な見方
受託AI企業にとって最も厳しい相手は、同業者ではなく自分たちが導入するAIエージェントだ。設計書作成、コード生成、評価、テスト、保守を自動化するほど、顧客が払う工数は減る。SBIとの大型契約がその技術の有効性を示すのと同時に、契約終了後には顧客の内製組織やモデル提供者が同種の作業を担えることも示す。年間9.8億円の案件は現在のAI開発売上と比べて大きく、特定顧客に依存した利益が永続するとは言い切れない。
衛星画像の市場は拡大しても、衛星データそのものをRidge-iが独占しているわけではない。大型開発案件が保守に移るだけで衛星売上は前年から四割減った。AI保守運用も使用量課金と追加学習を含むが、低い解約率や独占的な共通基盤の証拠はない。競合にはAI専業だけでなく、販売力の大きいNRI、アクセンチュア、日立、NEC、パスコがあり、顧客は価格交渉を行える。
資本配分も成熟企業ほど検証できない。2024年に広告会社を買い、2026年に売った判断は迅速ともいえるが、継続的な増分利益を証明したものではない。SBIの出資で厚くなった自己資本を、再び工数型SIの買収に使っている。配当ゼロで買戻しも始まったばかりのため、少数株主は経営の資金配分に依存する。高い利益率を守れても、十年で案件数量が減るなら、今の時価総額を利益で支えるのは難しい。
どちらに重みを置いたか
上振れの証拠は実際のAIエージェント受注にあり、最も強い筋書きを軽視できない。ただし、長期の利益を株主に届ける仕組みはまだ薄く、SBIへの受注集中と再編の実行リスクが残る。中立の数量には工数自動化を織り込んでおり、確率まで同じ理由で二度悪化させてはいない。確率は上側29%、下側39%と、後者をやや厚くした。価値の大半を少数の大口契約と将来のM&A成功に頼るため、現時点では慎重な見方が勝る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,433 円62 億円(+ 還元の換算額還元の合計 163 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 758 円33 億円、今との差 −75.8%、 期待の年率 −6.8%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,238 円183 億円 | 410 円18 億円 | +48.5% | +4.2% | 465 円20 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,288 円99 億円 | 273 円12 億円 | −18.2% | −2.1% | 487 円21 億円 |
| 中立 | 32% | 1,084 円47 億円 | 159 円7 億円 | −60.3% | −9.3% | 398 円17 億円 |
| やや悲観 | 25% | 655 円28 億円 | 68 円3 億円 | −76.9% | −14.1% | 181 円8 億円 |
| 悲観 | 14% | 456 円20 億円 | 16 円1 億円 | −84.9% | −17.4% | 66 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,433 円62 億円 | 163 円7 億円 | −49.0% | −6.8% | 1,596 円69 億円 |
今の株価時価総額 3,130 円135 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% AIエージェントの導入主導者として成長 利益 13 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,238 円183 億円
SBI証券などで培った金融向けの誤回答を抑えるAIが、他の銀行、保険、医療、製造業に次々と広がる。年間9.8億円のAX推進契約は単発の工数売りで終わらず、顧客の中核業務を運用し続ける契約へ転換する。Ridge-iはモデルの選定だけでなく、既存システムとの統合、監査、実利用まで一貫して責任を持ち、標準案件枠は大きく増える。これは既に金額を伴うAIエージェント受注がある会社だから認める例外的な上振れである。
創研情報の技術者は従来の単純な常駐作業からAIの現場導入へ役割を変え、採算も改善する。衛星解析では防衛とインフラ監視の官民案件が継続し、運用保守のライセンスも積み上がる。広告事業の売却によって経営資源が分散しなくなり、追加買収は低い価格で必要な技術だけを獲得する。採用・研究開発に投じた利益が資本コストを上回り、顧客は乗り換えより継続を選ぶ。
それでも十年後の先に同じ高成長が続くとは見ない。モデルの標準化が進む環境では、開発したノウハウの独占が難しいからだ。十年の間の成功を利益に織り込み、先の成長期待で再度上乗せしない。
- AI活用コンサルティング・AI開発:数量 120(標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定))× 価格 0.48(標準案件枠当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 58 億円・営業利益 18 億円。SBIの受注更新とAIエージェント導入を含む案件換算。中立は有償工数0.70倍。
- 人工衛星データAI解析:数量 6.0(年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定))× 価格 0.37(案件枠当たり受注売上(億円/件、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。衛星画像の防衛・行政案件、解析コンサルを含む。
- AI保守運用・MLOps:数量 16.0(標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定))× 価格 0.16(運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。保守・追加学習と使用量課金の混合。
- 創研情報の金融・業務系SI:数量 80.0(外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数))× 価格 0.13(年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。80人の買収先技術者による外部向け年換算案件。内部売上は除外。
- デジタルマーケティング(売却済み):数量 0.0(広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定))× 価格 0.12(枠当たり年間売上(億円/件、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年7月に売却済み。十年後の売上・利益はゼロ。
倍率:AIエージェント代替後の長期成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。moat=weak(超過収益の残存比率1/3)でRONIC=k+(ROE−k)÷3とするが、g=0では正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(k−0)=1÷0.0825=12.1212倍。今の余った現金22.00億円の税後利息22×1.4%=0.308億円を事業純利益から除き、現金の戻り方0.5を適用して時価総額=(純利益−0.308)×12.1212+11.00億円。過去・同業のPERを根拠にしない。
確率:SBIから年9.8億円のAIエージェント案件を受注しているので、長期の強い成長は単なる技術期待ではない。ただし大口案件の三倍近い横展開と高採算維持が連続する場合に限定する。
やや楽観 19% 大型案件を複数顧客に横展開 利益 7 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,288 円99 億円
SBIグループ向けの導入を実績に金融と製造業の複数社から大型案件を獲得する。AIモデルそのものは普及しても、機密データの接続と業務設計を責任を持って進める企業への需要は残る。戦略コンサルティング会社との協業も受注経路となり、標準案件枠は2026年を上回る水準を保つ。全てが継続課金になるわけではないが、一部は運用契約へ転換する。
創研情報の技術者は大口企業へのAI導入の足場になり、外部向け稼働人数を大きく減らさず単価を上げる。衛星データ解析は防衛・災害対応で需要が増すが、政府の発注が年ごとに波打つため過度な伸びは見込まない。広告事業の売却は完了しており、十年後の収益には含めない。採用力の改善で固定費の負担が軽くなり、AI事業の利益率を高く維持できる。
一方、顧客は自らエージェントを作れるようになるため、開発単価は物価以上には上げられない。持続する堀は限られ、買収と自社株買いの両立にも資本配分の制約が残る。
- AI活用コンサルティング・AI開発:数量 75.0(標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定))× 価格 0.45(標準案件枠当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 9 億円。SBIの受注更新とAIエージェント導入を含む案件換算。中立は有償工数0.70倍。
- 人工衛星データAI解析:数量 6.0(年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定))× 価格 0.36(案件枠当たり受注売上(億円/件、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。衛星画像の防衛・行政案件、解析コンサルを含む。
- AI保守運用・MLOps:数量 15.0(標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定))× 価格 0.16(運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。保守・追加学習と使用量課金の混合。
- 創研情報の金融・業務系SI:数量 73.0(外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数))× 価格 0.13(年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。80人の買収先技術者による外部向け年換算案件。内部売上は除外。
- デジタルマーケティング(売却済み):数量 0.0(広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定))× 価格 0.12(枠当たり年間売上(億円/件、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年7月に売却済み。十年後の売上・利益はゼロ。
倍率:AIエージェント代替後の長期成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。moat=weak(超過収益の残存比率1/3)でRONIC=k+(ROE−k)÷3とするが、g=0では正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(k−0)=1÷0.0825=12.1212倍。今の余った現金22.00億円の税後利息22×1.4%=0.308億円を事業純利益から除き、現金の戻り方0.5を適用して時価総額=(純利益−0.308)×12.1212+11.00億円。過去・同業のPERを根拠にしない。
確率:金融向けAIエージェントの明確な実績があり、顧客紹介によって新規案件が増える可能性は現実的。ただしSBI級の受注が常時取れるとは見ず、普及ペースを楽観の半分ほどに抑える。
中立 32% AIの導入は続くが有償工数は減る 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,084 円47 億円
金融、製造業、防災向けのAI利用は日常業務へ定着する。Ridge-iは新しい顧客の導入と既存顧客の運用を受注し続けるが、コード生成、テスト、データ整形をAIエージェント自身が担当するため、同じ成果を納める有償工数は減る。AI開発の標準案件枠は2026年の七割になり、単価は物価上昇を概ね転嫁する程度にとどまる。2027年のSBI大型案件と買収効果が一巡した後には、売上の伸びより案件の内製化が勝る。
衛星解析の市場は拡大するが、画像価格の下落と大企業の参入で受注枠が縮む。MLOpsは運用契約が続いても自動監視が進み、実質の作業量は四分の一減る。創研情報も従来の常駐エンジニアを80人維持することは難しく、52人相当の外部案件を担う。これらの受託の採算は改善と値下げ圧力が相殺する。
会社は利益の一部を人材開発と買収に使い、少額の株主還元を続ける。ブランドやデータ独占による強い堀は形成できず、十年後の株主利益の伸びは止まる。
- AI活用コンサルティング・AI開発:数量 28.0(標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定))× 価格 0.48(標準案件枠当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。SBIの受注更新とAIエージェント導入を含む案件換算。中立は有償工数0.70倍。
- 人工衛星データAI解析:数量 4.0(年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定))× 価格 0.37(案件枠当たり受注売上(億円/件、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。衛星画像の防衛・行政案件、解析コンサルを含む。
- AI保守運用・MLOps:数量 12.0(標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定))× 価格 0.16(運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。保守・追加学習と使用量課金の混合。
- 創研情報の金融・業務系SI:数量 52.0(外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数))× 価格 0.13(年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。80人の買収先技術者による外部向け年換算案件。内部売上は除外。
- デジタルマーケティング(売却済み):数量 0.0(広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定))× 価格 0.12(枠当たり年間売上(億円/件、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年7月に売却済み。十年後の売上・利益はゼロ。
倍率:AIエージェント代替後の長期成長g_long=0%、資本コストk=8.25%。moat=weak(超過収益の残存比率1/3)でRONIC=k+(ROE−k)÷3とするが、g=0では正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(k−0)=1÷0.0825=12.1212倍。今の余った現金22.00億円の税後利息22×1.4%=0.308億円を事業純利益から除き、現金の戻り方0.5を適用して時価総額=(純利益−0.308)×12.1212+11.00億円。過去・同業のPERを根拠にしない。
確率:会社には高難度案件とSBI向けの受注実績があるためAI事業が消えるとは見ない。ただし仕事の進め方そのものが変わる十年を中心とし、工数型の実質数量を約三割減らす。
やや悲観 25% 大口顧客の内製化とSI単価低下 利益 1 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 655 円28 億円
SBIのAI導入は当初予定どおり進むが、数年後には顧客側の内製チームが保守と追加開発を吸収し、大型契約が縮小する。Ridge-iは他社に販路を広げようとするが、モデル提供者が運用基盤まで提供し、受託単価が押される。AI開発の標準案件枠は2026年の半分となる。金融規制の厳しい部分は残るものの、個別開発の優位は広がらない。
衛星解析は予算の端境期が続き、案件枠と利益率が低下する。創研情報の常駐案件では顧客の開発予算の縮小を受け、外部稼働要員が半減する。広告事業は既に売却済みで損益の下支えにならず、AI運用も低採算化する。営業利益は残るが、固定人件費、共同開発費、開発したシステムの改修義務が利益を消費する。
少額の買戻しを継続しても、高い資本効率は取り戻せない。事業の成長価値より、現預金と換金できる運転資産が価値の中心になる。撤退費用を引いた資産の床で評価し、消えた超過利益を過去の高い市場倍率で救済しない。
- AI活用コンサルティング・AI開発:数量 20.0(標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定))× 価格 0.45(標準案件枠当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。SBIの受注更新とAIエージェント導入を含む案件換算。中立は有償工数0.70倍。
- 人工衛星データAI解析:数量 3.0(年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定))× 価格 0.34(案件枠当たり受注売上(億円/件、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。衛星画像の防衛・行政案件、解析コンサルを含む。
- AI保守運用・MLOps:数量 9.0(標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定))× 価格 0.14(運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。保守・追加学習と使用量課金の混合。
- 創研情報の金融・業務系SI:数量 40.0(外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数))× 価格 0.12(年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。80人の買収先技術者による外部向け年換算案件。内部売上は除外。
- デジタルマーケティング(売却済み):数量 0.0(広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定))× 価格 0.12(枠当たり年間売上(億円/件、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年7月に売却済み。十年後の売上・利益はゼロ。
倍率:採算悪化で事業利益の資本化額より純現金と換金可能資産の床が重要になる。添付factsの基準期2025年7月末自己資本21.90億円をPBRの分母とし、売れる資産の税・負債・再編費控除後の床22.00億円を反映する倍率1.00456621を使う。基準期自己資本21.90億円×PBR1.00456621=時価総額約22.00億円であり、将来の累積利益により増えた2036年の自己資本55.0億円には掛けない。床は2026年7月期の現預金35.58億円から負債・閉鎖費を控除したもので、過去の株価・PBR相場による倍率ではない。
確率:下に寄せる理由:SBIとの取引が大きく、創研情報の常駐型業務と衛星解析の官公需にも契約単位の波がある。中立に織り込んだ一般的な工数削減とは別に、顧客集中と買収採算の失敗を想定する。
悲観 14% 受託型AIの構造的な敗北 利益 −1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 456 円20 億円
SBIの大型開発が更新されず、金融機関はAIエージェントの開発・運用を内製化する。世界的なモデル提供者や大手SIがセキュリティを備えた共通基盤を安く提供し、Ridge-iが得ていた工数型の収益が大きく減る。案件枠は2026年の三割程度に落ち込み、価格も上がらない。顧客個別の工事に依存した弱い堀は失われる。
創研情報は技術者が抜け、残る常駐案件も単価競争にさらされる。衛星画像の分析は同業や顧客の標準ツールへ置き換わり、安全保障案件の更新も限られる。MLOpsは自動化され、わずかな運用料しか残らない。広告事業は既に売却しているため、過去の連結売上の半分近くを占めた収益は戻らない。人材の再配置、買収後の無形資産減損、契約終了に伴う損失が発生し、営業損益は赤字になる。
ただし借金が軽いので直ちに破綻する筋書きではない。十年の間に余裕資金の一部が赤字処理と再編に消え、残る現預金の換金価値が株主価値を支える。利益が復活することを前提とする倍率は使わず、税・債務・再編費を控除した床に限定する。
- AI活用コンサルティング・AI開発:数量 12.0(標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定))× 価格 0.36(標準案件枠当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。SBIの受注更新とAIエージェント導入を含む案件換算。中立は有償工数0.70倍。
- 人工衛星データAI解析:数量 2.0(年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定))× 価格 0.29(案件枠当たり受注売上(億円/件、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。衛星画像の防衛・行政案件、解析コンサルを含む。
- AI保守運用・MLOps:数量 6.0(標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定))× 価格 0.12(運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。保守・追加学習と使用量課金の混合。
- 創研情報の金融・業務系SI:数量 24.0(外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数))× 価格 0.10(年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。80人の買収先技術者による外部向け年換算案件。内部売上は除外。
- デジタルマーケティング(売却済み):数量 0.0(広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定))× 価格 0.12(枠当たり年間売上(億円/件、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年7月に売却済み。十年後の売上・利益はゼロ。
倍率:採算悪化で事業利益の資本化額より純現金と換金可能資産の床が重要になる。添付factsの基準期2025年7月末自己資本21.90億円をPBRの分母とし、売れる資産の税・負債・再編費控除後の床20.00億円を反映する倍率0.91324201を使う。基準期自己資本21.90億円×PBR0.91324201=時価総額約20.00億円であり、将来の累積利益により増えた2036年の自己資本51.0億円には掛けない。床は2026年7月期の現預金35.58億円から負債・閉鎖費を控除したもので、過去の株価・PBR相場による倍率ではない。
確率:金融の中核システム案件を失い、買収した技術者の稼働まで下がる複合的な失敗。会社に現金があるため短期破綻は必然ではないが、構造的に利益が消える確率を小さくし過ぎない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AI活用コンサルティング・AI開発
金融・製造業向けの高難度AI設計、生成AIエージェント開発、業務への組込み。時間・成果を組み合わせて受注する。
| 数量標準規模に換算した年間AI開発・導入案件枠(件、推定) | 価格標準案件枠当たり売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 40.0 | 0.36 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.48 | 13 | 3 |
取り方:会社の2026年7月期サービス別開示は14.528億円。受注案件の件数と単価は非開示なので、規模の異なる契約を約0.363億円の標準案件40枠へ換算した推定であり実契約40件という意味ではない。SBI向け2026年9月の年9.8億円の案件は標準案件では約27枠に相当する大型例で、単純平均の危うさを示す。2025年同サービス8.96億円、2027年予想19億円を伸びの検証点にする。営業利益配賦はAI事業の公表利益5.06億円をサービス別採算で推定。AIエージェント代替型は人月・工数、中立数量は40→28の0.70倍、価格は物価相当の1.32倍まで。JEITA生成AIサービス2025年494億円に対する2025年売上の参考比率は1.8%だが市場定義は一致しない。
人工衛星データAI解析
JAXA・省庁・民間の衛星画像を用いた防災、安全保障、環境監視、レポート・解析モデル開発。
| 数量年換算の衛星解析開発・分析案件枠(件、推定) | 価格案件枠当たり受注売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 6.0 | 0.28 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 0.37 | 1 | 0 |
取り方:会社のサービス別売上1.665億円を基準とし、公募・民間の大型解析契約は金額差が大きいため、分析上の標準案件約0.277億円を6枠と仮定した。実案件件数は非開示。2025年は2.80億円で大型案件終了により2026年は減収した。矢野経済研究所の2024年度衛星データ活用サービス202億円との参考比率は2025年売上で約1.4%、細分市場の実シェアではない。人月・調査サービスのAI代替型とし、中立数量は6→4の0.67倍、価格は約1.33倍。
AI保守運用・MLOps
稼働するAIモデルの監視、追加学習、運用保守、利用台数に応じたライセンスと一部収益分配。
| 数量標準規模に換算した年間運用契約枠(契約、推定) | 価格運用契約枠当たり年間収入(億円/契約、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 16.0 | 0.12 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 0.16 | 2 | 1 |
取り方:会社の2026年7月期サービス別売上1.923億円から、標準的な年間保守・利用契約の価格0.12億円、年換算16枠と推定。実契約件数、従量ライセンスと工数契約の構成比、解約率は非開示である。日本電子、荏原環境プラント、セブン‐イレブン・ジャパンの継続例が公表されている。基幹データの正本・規制上必須の共同基盤という二つの堀証拠はない。工数保守が中心の保守運用型とし、中立数量16→12の0.75倍、価格約1.32倍。
創研情報の金融・業務系SI
2026年買収した金融・業務系の常駐開発、プロジェクト管理、AIシステムの現場実装。
| 数量外部向け稼働技術者の年換算数(人、概数) | 価格年換算技術者1人当たり外部売上(億円/人、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/07会社予想(買収後プロフォーマ) | 80.0 | 0.10 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 52.0 | 0.13 | 7 | 0 |
取り方:2026年7月期の会社資料は買収先の技術者を約80人(PM約10人、開発者約60人など)とし、2027年7月期の創研情報の内部売上控除後の売上を8.0億円と予想している。80人×年1000万円で8.0億円と再現し、買収前の2026年連結売上には含めない。2026年末に向けたプロフォーマの出発点である。人月SIのAIエージェント代替型とし、中立数量80→52の0.65倍、価格1.32倍。業界母数は2024年国内ITサービス約7兆円、個社別の同一市場シェア非開示。
デジタルマーケティング(売却済み)
スターミュージックのSNS制作・運用と音楽配信。2026年7月に全株売却して非連結化。
| 数量広告・制作と配信を合わせた標準契約枠(件、推定) | 価格枠当たり年間売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07(売却までの実績) | 100 | 0.12 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.12 | 0 | 0 |
取り方:2026年7月期公表のデジタルマーケティング売上11.82億円、営業利益0.40億円。うちSNSマーケティング8.11億円、音楽制作配信3.71億円。案件数・原盤数の統一尺度は公表されず、標準契約100枠・1枠0.1182億円は比較専用の概数である。2026年7月末に持分を全てSBI側へ売却しているため2036年の数量・売上・利益は全筋書きでゼロ。譲渡益は2026年の一過性損益にのみ反映し二度計上しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と時間売りの同時縮小
企業がAIエージェントに仕様作成、コード生成、テスト、分析、保守作業を任せると、需要が増えても有償の工数は減る。カスタムAI・衛星の受託・常駐SI・MLOpsはいずれも影響を受ける。契約が成果報酬や継続利用料へ変わり、実際の契約更新率が示されなければ、十年先の労働投入量を現在以上に伸ばす根拠にならない。
SBI向け大型案件への依存と関連当事者取引
2026年9月の年9.8億円規模のSBI向け契約は大きな成長材料だが、同社の2026年のAIコンサル・開発売上14.52億円と比べても一社への集中度は高い。SBIは約22.7%を保有する大株主でもあり、事業上の成功と少数株主への利益配分を分けて点検する必要がある。契約期間、更新率、採算の開示が不十分なら保守的に評価する。
買収後の投下資本利益率と技術者稼働
広告子会社の売却は事業集中を進めたが、創研情報買収は技術者約80人を新たに抱える判断である。AIによる開発生産性の向上が顧客の支払単価を下げれば、常駐型開発の要員数と利益率は同時に下がる。新しい買収を年次で積み重ねれば、のれん償却・減損と資金流出が生じる。買収先の追加売上でなく増分ROICを監視したい。
衛星解析事業の案件偏重と参入企業の多さ
人工衛星データの利用が行政・防衛・防災へ拡大しても、同社が衛星そのものの所有権や全画像の独占契約を持つわけではない。2026年の衛星売上は大型案件の完了で前年比約四割減った。パスコや大手IT企業、衛星データ供給者が解析まで一体提供すれば、価格と受注シェアの両方を失うおそれがある。
未実証の継続課金と株主還元
AI保守運用は成長しているが、公開情報だけでは正確な解約率、使用量ごとの単価推移、顧客一社当たりの継続年数を確認できない。配当もなく、2026年9月に始めた自社株買いは過去の償却実績をまだ十分に持たない。余剰現金が次のM&Aに使われるか株主に戻るかで、一株に帰属する価値は大きく変わる。
ストックオプション・新株発行による希薄化
2025年のSBI向け第三者割当で株数は増えた。さらに2026年9月には潜在株式7万5千株の有償新株予約権を発行している。2026年の自己株式取得枠は希薄化対策にもなり得るが、発行と償却のどちらが勝つかは今後の実行次第である。評価はオプションが全数行使された時の既存株主の取り分を別に割り引いている。
今後の分かれ目
- SBI向け年9.8億円の大型契約が満了後も複数年更新され、同規模の他社契約が継続受注されたら
- 一時的な大口受注でなく横展開できるAIエージェント収益とみなし、カスタムAIの標準案件数量と楽観側の確率を引き上げる。
- AI活用コンサル・開発の売上は増えても標準案件当たり価格と粗利率が2期連続で下落したら
- AIエージェント代替による工数圧縮が値下げにつながったと判断し、中立の価格、営業利益率と将来の資本効率を下げる。
- AI保守運用の解約率が年5%未満で、規制対応の継続利用と価格改定の実績が複数年開示されたら
- 保守・ライセンス部分に独立した堀があるかを再検証する。定量証拠が2件以上ならその部分だけ長期成長率を上げる。
- 創研情報の外部売上8億円と案件当たり利益が定着し、投資額に対する増分利益が資本コストを上回ったら
- 買収の成果を確認してSIの利益率とM&A再投資の評価を引き上げる。ただし内部取引を重複計上しない。
- 自社株の実質減少が発行済みの2%を超え、その後も現金を株主へ戻す方針が実行されたら
- 余った現金の戻り方を0.5から0.75または1.0へ見直し、株主帰属価値を引き上げる。株式報酬として再交付される分は差し引く。
- 衛星データAI解析の大型受注が続かず、安全保障関連の売上が1億円を下回る状態が続いたら
- 衛星案件枠と利益率を引き下げ、下側の筋書きの確率を上げる。画像購入費や人員の固定費負担にも注意する。
見ておくもの
- SBIグループのAIエージェント受注額と契約更新期間・関連当事者取引額
- AI活用コンサル開発の四半期売上、粗利率、既存顧客売上率と継続契約の金額
- AI保守運用売上と利用ライセンスの比率・解約率の新規開示
- 創研情報の外部売上、稼働技術者数と買収後の営業利益率
- 衛星データAI解析の案件数、防衛・国土交通省向け受注実績
- 自己株買い実行・消却株数、ストックオプション行使、SBI・創業者の持ち株比率
倍率と資本コストの決め方
基準株価3310円と株数431万4924株から得る時価総額142.82億円は、五つの事業シナリオと正当化倍率の算出を終えた後にだけ比較した。添付の2025年7月期財務をbasisとして維持しつつ、2026年7月期に実行済みのSBI増資、広告事業売却、創研情報の買収を起点資本と将来セグメントに反映した。特に売却済み広告の売上と利益を十年後に残さず、買収したSIの2027年売上予想8億円は後発のプロフォーマと明記した。中立の数量は工数型の各サービスで0.65〜0.75倍、名目価格は約1.32倍で、AI代替を利益とg_longに織り込みkの寿命には重ねない。倍率はk8.25%、g_long0%からPER12.12倍とし、同業・自社の過去PERや現在の値段は使っていない。悲観二段階は最新現預金から負債・再編費を控除した実際の売れる資産の床で評価し、過去の安値PBRを参照していない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業の循環・価格交渉力・純現金の品質差+0.75%を加算。SBI依存やM&A不確実性は確率に織り込み、kに重複加算しない。