結論
GreenBeeは、スマートフォンのバックアップ課金、機器メーカー向け組込みソフトのライセンス、系統用蓄電池の運営を営む小さな技術企業だ。結論は「やや割高」である。2026年に入って有償バックアップ契約が50万人を超えたことは実力の変化だが、その伸びが10年続く保証はない。足元の株価は、新しい事業が既存のライセンス収入の衰退を十分に補うことを期待している。
かつて同社はPC・家電用の組込み技術に依存し、売上が縮んで赤字を繰り返した。2025年には売上約9.6億円、営業利益約1.65億円へ回復し、2026年8月末のバックアップ契約は52.6万人に達した。販売を担うのは通信・携帯ショップなどの提携先で、契約獲得の伸びは確かだ。一方、月間退会率は2026年1~8月平均で1.5%あり、圧倒的な顧客固定力を示す水準ではない。
もう一つの転換が、岡山県備前市の蓄電所への大型投資である。2026年6月から卸電力市場、7月から需給調整市場で取引を始めたが、運用実績はまだ短い。市場への新規参入が膨らみ、調整力の上限価格も下がった。2025年末の豊富な現金は、2026年の蓄電所取得と自己株買いでかなり減っており、古い貸借対照表の余剰現金をそのまま安全域にはできない。
10年後にバックアップの利用者が100万人程度まで伸びる中立像でも、OS標準機能との競争、装置の更新費、薄いライセンスの堀を差し引く必要がある。確率を付けて10年後の利益と株主還元を割り引くと、現在の約23.7億円より約16%小さい価値になる。下振れ側の床は、実際の現金残高ではなく直近自己資本による代替評価である。帳簿価額を全額換金できるとは限らず、その不確実性も考慮すべきである。会社の変化を軽視せず、しかし成功が続くことを買値に先取りしない判断である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきなのは、10年後に何が確実に売れているかだ。スマートフォンの個人データを安全に保管する需要は残る。だが、その作業をGreenBeeのサービスで行う必然性は別である。端末の初期設定や復旧をOSの標準機能とAIエージェントが引き受ければ、利用者が専用サービスを選ぶ場面は減り得る。携帯販売店での紹介が続くことを、永久に使える独占的な販売権と取り違えてはいけない。
一方、会員基盤の成長を無価値と決め付けるのも誤りだ。52.6万人という実際の有償契約があり、月間課金収入も伸びた。顧客を獲得する追加費用と保存データの追加コストを差し引いても利益が積み上がるなら、成長への再投資には意味がある。ただし月1.5%の解約は継続的な顧客獲得を要求し、利益のすべてが株主に自由な現金とは限らない。
蓄電所はさらに慎重に見る。建設済みの現物資産には一定の処分価値があるが、売電・調整力収入は市場価格と規則が決め、リチウム電池の更新には再投資が要る。新しい設備の追加を「成長」と呼ぶ前に、既存設備が借入返済と電池更新を終えてなお現金を残す実績が必要だ。2026年の大規模自己株取得は株主を意識した行動として評価できるものの、長期的な還元の約束ではない。
本質価値は、成功の可能性ではなく、成功しなくても失う金額が抑えられる買値との組み合わせで決まる。純現金は最新の借入と設備購入を反映すべきで、旧来の12億円近い純現金が残ると誤認してはならない。今回の悲観評価は直近自己資本を床とする代替方式を採るが、その帳簿額で実際に資産を売れるとは限らない。事業に伸びしろはあるが、堀の持続と資本配分への確信はまだ高くないため、価格に相応の安全域を求める。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つに分かれる。DXサービスの主力「GreenBee Cloud Backup」は、スマートフォンの写真や連絡先などをクラウドへ保管する月額課金サービスである。通信・販売関連の事業者や携帯販売店を通じて契約を獲得するため、同社は小売店を自ら広げずに顧客を増やせる。ただし、消費者の支払額がそのまま同社の売上になるわけではなく、販売経路への取り分とストレージ費用が残る。RiskFinderなど他のDX製品もあるが、契約者数を開示している主力サービスが売上を左右する。
テクノロジーライセンスは、組込みブラウザー「tourbillon」、機器間転送・画面共有ソフト、4K/8K再生技術、PC向けの写真整理アプリなどをOEMメーカーへ提供する。取引先には富士通クライアントコンピューティング、NECパーソナルコンピュータ、Dynabookなどがある。機器の出荷に伴うロイヤルティに加え、個別機能の開発収入もある。2025年は事業別売上約5.93億円と最大だったが、旧来の映像再生技術を載せる製品の出荷減が続き、2026年会社計画は縮小を見込んでいる。
GXサービスにはエネルギー管理ソフトと蓄電設備関連の販売がある。これに加え、ウエストホールディングスから取得した備前市の出力1,999kW、容量8,140kWhの蓄電所を運営し、電力の時間帯間の価格差や調整力の供給で収入を得る。設備の運用予定は20年で、収入に対して充放電損失、保守、借入利息、減価償却がかかる。管理ソフトの外部販売は構想段階にあり、契約実績を先取りして価値に入れない。
開示上はソフトウェア事業の単一報告セグメントである。分析上は三事業を、会員課金、機器向けIP、受託開発、蓄電所、EMS等の五つに分けた。後二者やライセンス内訳の数量・利益率は会社の実測値ではなく、公開売上と物理容量から組み立てた推計である。
優良さと弱いところ
強みは、複雑な機器とデータを扱うソフトを自前で開発し、メーカーや携帯販売事業者との取引関係を築いてきたことだ。バックアップ契約は2025年末36.8万人から2026年8月末52.6万人へ増えた。拡販した利用者が翌月も料金を払えば積み重なる収入となり、会員規模が増すほど一定の固定開発費を広く負担できる。ただし顧客データそのものは利用者のもので、独占的なネットワークや法制度による保護ではない。
同社の堀、つまり顧客を高い利益率でつなぎ留める力はまだ弱い。バックアップの競争相手はiCloudやGoogle OneなどOSと端末に近い大手である。携帯ショップでの推奨という販売経路は利点だが、販売パートナーが競合サービスを扱えば獲得ペースが変わる。月間退会率1.5%は年換算で既存顧客のおよそ17%が離れる計算であり、「年5%未満の解約」という強い固定力の証拠に届かない。現時点で物価を超える値上げ実績も確認できない。
資本効率も長期では未証明だ。2025年のROEは高いが、2017~2023年には赤字期が重なり、過去10年のROE中央値はマイナスだった。2026年上期の純利益には税効果の寄与があり、そのまま持続的な稼ぐ力とみなせない。加えて蓄電所取得で現金が減り、借入金が増えた。機器開発からサブスクへの転換が利益率を持続的に高めるか、蓄電所の追加投資が資本コストを上回るかを、10年間の増分利益で確認する必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
スマートフォン向けバックアップは需要が消えにくいが、独立した有料アプリの取り分は増え続けるとは限らない。国内のスマートフォン普及は既に成熟している。GreenBeeの会員数は有料バックアップ市場全体に対して何%か、同業各社の有料会員数が同じ定義で公表されていないため確定できない。iCloud・Google One・通信会社の独自サービスが競合で、端末の標準機能を押さえる大手の交渉力が強い。10年間の成長は国内スマホの普及率ではなく、販売パートナー内での採用率と継続率の改善にかかる。
組込みライセンスでは、2025年暦年の国内PC出荷はJEITA参加企業で約1,095万台だった。ただしGreenBeeの契約はテレビや周辺機器にも広がり、機種別ライセンス本数がない。推定した有償IP相当本数を国内PC台数で割った比率は実際の市場シェアではない。競争相手はMicrosoft、Apple、Googleの標準OS・ブラウザー機能に加え、CyberLinkなどの映像ソフトメーカーや独自実装する機器メーカー自身である。機器台数の成長より、組込み機能が必要とされる期間とOEM価格の維持が問題となる。
蓄電池は対照的に物理インフラの市場である。会社の約2MWの設備は2026年6月末の全国の連系済み系統用蓄電池約128万kWに対して約0.16%にすぎない。接続検討案件は膨大だが稼働した容量とは違う。需給調整市場の一次調整力の上限は2024年の19.51円から2026年9月には10円へ下がった。競合設備が増えれば落札率や売電差益が細り、設備が動いても利益は減る。蓄電所を持つこと自体より、市場の制度変更に耐える運用力と償却・更新後の現金回収が価値の源になる。
資本政策と M&A
会社は2025~2027年を、組込みIP中心からバックアップとGXの継続収入へ移る期間と位置付けている。2026年12月期の公表計画は売上13.08億円、営業利益2.08億円、純利益1.82億円である。事業別ではDX7.31億円、GX1.12億円、ライセンス4.65億円を計画し、バックアップ有償会員58万人と月間退会率1.4%を目標とする。だが2027年末の売上・利益・ROEを約束した数値中計や、配当性向・DOE・総還元性向の数字の約束は見当たらない。会社の配当予想は無配である。
2026年2月には自己株式30.6万株を取得し、上期の自己株取得による現金支出は約3.34億円になった。一方、蓄電所取得に約6億円を投じ、借入残高は2026年6月に約4.30億円となった。単純な現金豊富企業から、事業投資と還元を同時に選ぶ企業へ移ったわけだ。取得済み自己株は現在の株数に織り込まれており、将来の還元に二重計上しない。
ウエストホールディングスとの資本業務提携は蓄電所の取得に結び付いた。会社はM&Aについて事業上の相乗効果がある案件に限る方針だが、追加の蓄電所建設数や資本支出の定量的な約束はない。将来の自己株買いは実績から一定額を見込むにとどめ、現金が全額すぐ株主に戻るとは考えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
バックアップ会員の増加は、構想ではなく既に料金を払う顧客の増加である。2025年末36.8万人から2026年8月末52.6万人に増え、8月の月間継続課金収入は2025年12月比で44%増となった。携帯ショップの販売網を通じるため、販売員や店舗を自社で大量に抱えずに広い市場に届く。退会率が月1%台で維持される一方、販売経路が広がれば有償利用者は100万人、さらにその先も射程に入る。バックアップの実体はデータ保管と復旧であり、画面操作をAIが代行しても保存容量や復旧の需要そのものは消えない。
組込みソフトも、長年取引するPCメーカーの製品更新で採用を維持できる。映像再生の旧製品は衰えるが、通信、機器間転送、AI PC向けの新製品へ人員を移す余地がある。大量の競争相手がいても、OEMとの試験や組込み作業には一定の切替負担がある。さらにGXではウエストホールディングスとの協業を生かし、1カ所目で得た運用知見とEMSを次の蓄電所に転用できる。運用収益がきちんと回れば、現物設備とソフトを組み合わせた事業へ進化する。
会社は2026年に大規模な自己株取得を実行した。利益が本格的に増える局面で株式数を抑える規律が続けば、増分の利益は既存株主に帰属しやすい。高い営業利益率を会員事業で保ちつつ蓄電池の損益も安定すれば、過去の赤字が続いた会社とは違う資本効率を示せる。
慎重な見方
バックアップの成長は、OSと販売代理店に挟まれた事業の拡大でもある。AppleやGoogleはバックアップを端末の標準機能と一体化でき、サービスの購入や復旧操作をAIが肩代わりするほど、別のアプリを使う理由は薄まる。携帯ショップでの紹介が変われば、契約獲得は短期間で細る。月間退会率が1.5%なら、既存契約を保つだけでも大量の新規契約が毎年必要になる。契約数の伸びだけでは販売手数料、クラウド保存費、顧客サポート費を賄えるか分からない。
テクノロジーライセンスの旧事業は、家電・PCメーカーが採用する機能そのものを減らしたり自社実装したりすれば縮む。4K/8Kの映像再生ソフトは既に出荷減が続く。受託開発はAIエージェントによる自動化で必要工数を減らされ、写真整理や画面共有といった操作中心の製品もOS側へ取り込まれやすい。独自の規制対応データや年単位の移行障壁が開示されたわけではない。
新しい蓄電所にも逆風がある。需給調整市場の価格上限は実際に引き下げられ、連系待ち案件も多い。今後多数の蓄電池が稼働すれば競争は強まり、収益が当初想定を下回っても設備の償却と借入返済は続く。2026年上期の現預金の大幅減少は、成長資金が自由に使える現金ではなくなったことを示す。大型自己株買いも一度きりで、無配の歴史から毎年の還元を当然視できない。業績が悪化した時に残るのは帳簿上の資産ではなく、実際に売却・回収できる現金と設備だけである。
どちらに重みを置いたか
有料会員の急成長と2026年の自己株買いは、以前の赤字中心の会社から変わったことを示す。だが、2026年8月の月次解約率と販売先への依存を考えると、10年後も競争優位を維持できる証拠はまだ足りない。特にライセンスの一部はAIエージェント代替に直接さらされ、蓄電所の利益は市場制度次第で大きく変わる。下に寄せる理由はこの会社固有の二つの変化である。したがってやや悲観と悲観を合計40%とし、直近自己資本を悲観の代替床とし、成長が続く中立を中心に据えた結果、10年価値は現時価総額を約16%下回った。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,845 円38 億円(+ 還元の換算額還元の合計 248 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 981 円20 億円、今との差 −18.9%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,839 円98 億円 | 688 円14 億円 | +356.8% | +18.2% | 442 円9 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,151 円64 億円 | 442 円9 億円 | +197.0% | +12.6% | 647 円13 億円 |
| 中立 | 34% | 1,920 円39 億円 | 295 円6 億円 | +83.1% | +6.8% | 753 円15 億円 |
| やや悲観 | 25% | 595 円12 億円 | 54 円1 億円 | −46.3% | −6.3% | 162 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 595 円12 億円 | 0 円0 億円 | −50.8% | −6.8% | 89 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,845 円38 億円 | 248 円5 億円 | +73.0% | +6.1% | 2,094 円43 億円 |
今の株価時価総額 1,210 円25 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 会員拡大が定着し設備も追加 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,839 円98 億円
海外OSの標準バックアップとの競争は続くが、携帯販売パートナーの紹介が広がり、有償利用者が175万人を超える。2026年の50万人台から拡大しても、販売店への手数料とデータ保存費を管理でき、規模の利益が出る。画面操作中心の技術IPは新規AI製品の売上を無根拠に見込まず、既存OEMの採用継続と製品入替えによって収益を保つ。蓄電所は1基目の稼働実績を確かめてもう1基を追加する。
月次の新規契約数と退会率が均衡に近づく時期が遅れ、上位プランも浸透する。蓄電池は資金を必要とするが、利益と借入を合わせて追加設備を取得し、拙速な増資には頼らない。従来の組込み部門から生み出した技術を小売サービスと現場制御に展開することが成功する。この筋書きは競争相手が消えることではなく、競争下でも契約獲得と価格を保つ稀な成功が重なった姿である。
- DX:GreenBee Cloud Backup等:数量 1,800,000(年間平均有償契約者数(人、実質))× 価格 153(会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 12 億円。平均有償契約者数×会社受取月単価×12。販路拡大と解約率の改善を伴う成功。
- 組込みソフト・操作系IPロイヤルティ:数量 4,800,000(ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計))× 価格 115(対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。OEM採用を維持するが、AIによる新規売上を無根拠に加算しない。
- OEM向け個別開発・サポート:数量 14,100(対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計))× 価格 10,700(開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。工数は現在より増やさず、高度な個別開発に限り単価改善。
- GX:自社系統用蓄電所:数量 2.0(稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト))× 価格 1.50(1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。同等規模を2施設運転し、電池償却と保守費を控除。
- GX:EMS・蓄電システム関連:数量 40.0(小口システム案件の換算件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり認識売上(億円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。EMS外販は少額の実物案件を積み重ねる。
倍率:資本コストk=8.5%、弱い堀の残存率1/3。10年先の事業ROEは約16.6%で、長期gはAIエージェント代替等により名目0%。RONIC=k+(ROE−k)/3を用いる正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.76倍が上限そのもの。現在の余剰現金1.0億円の税後利息0.014億円を純利益から除いてPERを掛け、現金1.0億円を戻す。市場実績の倍率は使わない。
確率:契約数が約180万人に達し、競合OSへの代替が限定され、もう一つの蓄電所にも投資できるという複数成功の同時発生なので8%。
やや楽観 18% 販売網が太り百万人台へ 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,151 円64 億円
携帯ショップ経由の新規契約は成長初期ほどの勢いこそなくなるが、利用者の更新需要と販売網の拡張に支えられて増加する。解約は一定率で続き、会員獲得費用も上がる。それでもバックアップを生活の保険と考える層が残り、上位プランの利用で一人当たりの収入も緩やかに増える。独立したバックアップはOS標準機能と競争するが、パートナー経由の需要を大きく失わない。
テクノロジーライセンスは映像再生向けの衰退を通信・共有機能の採用でおおむね相殺する。AIで開発工数が減る分は、個別開発の売上を抑える。GXでは備前市の蓄電所を安定運転し、追加の設備取得は急がない。需給調整市場の価格引下げは利益を圧迫するが、売電の裁定取引と運用改善で一部を補う。設備更新を含む支出を賄った後、利益の一部を自社株取得などで還元する。
- DX:GreenBee Cloud Backup等:数量 1,400,000(年間平均有償契約者数(人、実質))× 価格 146(会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 8 億円。会員数が増え、会社受取単価も緩やかに上昇。
- 組込みソフト・操作系IPロイヤルティ:数量 4,500,000(ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計))× 価格 113(対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。既存OEM採用が概ね続き、単価は物価上昇以下。
- OEM向け個別開発・サポート:数量 12,000(対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計))× 価格 10,200(開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替で工数は減るが高付加価値案件が残る。
- GX:自社系統用蓄電所:数量 1.0(稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト))× 価格 1.35(1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。既存1施設の運用改善で調整力価格低下を補う。
- GX:EMS・蓄電システム関連:数量 30.0(小口システム案件の換算件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり認識売上(億円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小口システム案件が増える。
倍率:資本コストk=8.5%、弱い堀の残存率1/3。10年先の事業ROEは約15.3%で、長期gはAIエージェント代替等により名目0%。RONIC=k+(ROE−k)/3を用いる正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.76倍が上限そのもの。現在の余剰現金1.0億円の税後利息0.014億円を純利益から除いてPERを掛け、現金1.0億円を戻す。市場実績の倍率は使わない。
確率:2026年までに形成した52.6万人の会員基盤とパートナー網からの自然増には根拠があるが、単価維持とGX運用成功の不確実性もあるため18%。
中立 34% データ保管は拡大し旧IPが縮む 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,920 円39 億円
バックアップは生活に必要な機能として残るが、AppleやGoogleの標準サービスと競争し続ける。販売店が取り扱う商品も増えるため、新規獲得数は2026年の水準から次第に落ち着く。月次退会率の積み重ねがあるので、契約者数は無限には伸びない。それでも現在の有償顧客が実在し、販売網もあることから、10年後の平均契約者数は約105万人まで増える。利用単価は物価累積よりやや弱い伸びにとどまる。
古い4K/8K再生ソフトは機器メーカーの採用が減り、組込みIPの対象本数も縮む。操作画面中心の機能やOEM向け開発はAIエージェント代替で数量が減る。EMS外販は実績を確認できないため小規模に限る。蓄電所は当初の1基を保有するが、需給調整市場の単価引下げを反映して収益率は低めだ。バックアップの増分利益がこうした減収を補い、健全な黒字を保つが、独占的な価格決定力までは持たない。
- DX:GreenBee Cloud Backup等:数量 1,050,000(年間平均有償契約者数(人、実質))× 価格 140(会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。平均契約105万人、会社受取単価は月140円。
- 組込みソフト・操作系IPロイヤルティ:数量 3,850,000(ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計))× 価格 108(対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替の操作画面型。実質数量は現在の約0.80倍、価格1.08倍。
- OEM向け個別開発・サポート:数量 9,200(対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計))× 価格 9,800(開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月工数型。数量は現在の約0.65倍、単価約1.225倍。
- GX:自社系統用蓄電所:数量 1.0(稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト))× 価格 1.10(1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自社運営1施設のみ。償却・更新と市場価格低下を反映。
- GX:EMS・蓄電システム関連:数量 25.0(小口システム案件の換算件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり認識売上(億円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。未契約のEMS外販を大きく見込まない。
倍率:資本コストk=8.5%、弱い堀の残存率1/3。10年先の事業ROEは約10.8%で、長期gはAIエージェント代替等により名目0%。RONIC=k+(ROE−k)/3を用いる正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.76倍が上限そのもの。現在の余剰現金1.0億円の税後利息0.014億円を純利益から除いてPERを掛け、現金1.0億円を戻す。市場実績の倍率は使わない。
確率:足元の実会員数の伸びを認めながら、年率の顧客喪失・ライセンス旧製品の縮小・市場単価低下を織り込んだ最頻想定として34%。
やや悲観 25% 会員獲得が鈍り回復も小幅 利益 1 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 595 円12 億円
携帯販売パートナーがOS標準のバックアップや競合サービスの販売を優先し、新しい契約の獲得が鈍る。従来の契約にも毎月解約が発生するため、バックアップの有償契約は現在の50万人台付近に戻る。値引きや販売手数料の増加で会社側の受取単価も伸びない。クラウド保管費を容易に減らせず、DX事業の利益率が低下する。
組込みライセンスでも4K/8K再生と画面共有の機能がOSへ組み込まれ、OEMはライセンス本数を減らす。AIエージェント代替によって受託開発工数も細る。蓄電所は運転を続けるが、調整力の落札単価低下と電池の償却で単独利益は出ない。数年の低迷で一度赤字が出た後、費用を減らして小幅な黒字へ戻す。配当はほぼ期待できず、2026年6月の自己資本を資産床の代替として評価したため、事業の稼ぐ力より床が最終価値を決める。10年間の累積純利益は約1.1億円にとどまり、同額の還元後も純資産は起点近くにとどまる。
- DX:GreenBee Cloud Backup等:数量 550,000(年間平均有償契約者数(人、実質))× 価格 116(会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。会員数は50万人台に低迷し、単価を引き上げられない。
- 組込みソフト・操作系IPロイヤルティ:数量 2,700,000(ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計))× 価格 95(対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。標準OSへの代替とOEMの内製化で本数・単価がともに低下。
- OEM向け個別開発・サポート:数量 6,500(対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計))× 価格 8,600(開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIによる開発工数削減が進み、利益はほぼ消失。
- GX:自社系統用蓄電所:数量 1.0(稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト))× 価格 0.75(1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。落札価格低下に対し固定費と償却が残る。
- GX:EMS・蓄電システム関連:数量 15.0(小口システム案件の換算件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり認識売上(億円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。EMS外販が広がらず小口案件のみ。
倍率:10年後の純利益0.52億円、自己資本12.108億円でROE約4.3%は資本コスト8.5%を下回る。純利益÷kと別評価余剰現金の合計は約6.7億円であり、継続利益の価値は資産床に届かない。そのため依頼文が許す「今の自己資本」12.108億円の代替床を採る。評価の分母と10年後の自己資本を12.108億円とし、PBR1.0倍×12.108億円=時価総額12.108億円。同じ価値へ収れんする悲観との差は、期間の還元1.1億円と事業の継続可能性に表れる。2026年6月期の直近現金残高へ更新したことを踏まえ、2025年末の純現金11.8億円をそのまま持ち越す計算はしていない。
確率:下に寄せる理由:OS標準バックアップと携帯ショップの販売方針への依存が強く、2026年の蓄電所価格制度も既に下方改定されたため、緩やかな負けに25%。
悲観 15% 販売経路を失い蓄電池も損失 利益 −1 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 595 円12 億円
通信販売網での提案商品から外れ、バックアップ契約が大きく減る。利用者はiCloudやGoogle OneのOS標準機能に乗り換え、AIエージェントによるデータ移行・復旧の自動化が独立アプリの必要性をさらに薄める。価格を維持できないまま保存・保守費用が残り、会員事業も赤字となる。10年後の全社売上は2025年の半分程度に落ちる。
家電メーカーは画面操作ソフトの多くを内製・標準化し、受託工数はAIに代替される。系統用蓄電所は調整力市場への参入増と価格上限の低下で稼げず、更新投資の先送りも難しい。当初数年の利益を後半の営業赤字と設備減損が食いつぶし、期間全体の純資産は起点付近に戻る。新しい事業投資や株主還元は止める。倒産を機械的に前提にはしない。直近自己資本を最低価値とする評価上の扱いと、金融負債・その他債務を払った後に実際に回収できる資産額は異なるため、この床は売却対価の保証ではない。
- DX:GreenBee Cloud Backup等:数量 230,000(年間平均有償契約者数(人、実質))× 価格 95(会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。OS標準サービスに顧客を奪われ、課金会員も単価も落ちる。
- 組込みソフト・操作系IPロイヤルティ:数量 1,600,000(ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計))× 価格 78(対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。組込み機能がメーカー内製とAIによる統合で減少。
- OEM向け個別開発・サポート:数量 3,500(対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計))× 価格 7,000(開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。工数課金の需要が大幅に縮み赤字化。
- GX:自社系統用蓄電所:数量 1.0(稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト))× 価格 0.30(1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。市場制度悪化と設備劣化で固定費を回収できない。
- GX:EMS・蓄電システム関連:数量 10.0(小口システム案件の換算件数(件・推計))× 価格 0.01(1案件当たり認識売上(億円、名目・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。小口システム販売も減少。
倍率:営業赤字1.4億円が定着しており事業継続利益に正の価値を認めにくい。依頼文の資産床の選択肢から2026年6月の直近自己資本12.108億円を基準とし、PBR1.0倍×自己資本12.108億円=時価総額12.108億円とする。2026年後半〜2028年までの黒字累計約5.2億円と2029〜2035年の累積赤字・減損約5.2億円が相殺する道筋を想定し、還元0の期末自己資本は起点と一致させる。現実に売却できる資産の保守的な試算は約5億円にすぎず、12.108億円は帳簿自己資本を床とするモデル上の選択で、確実に現金化できる額ではない。2025年末純現金11.8億円は2026年半ばの借入・設備購入・自己株取得前の旧残高である。
確率:下に寄せる理由:過去に複数の赤字期があり、映像ライセンスと蓄電池が同時に不振なら現金が減る。事業の縮小と資産回収に15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DX:GreenBee Cloud Backup等
携帯販売店等を通じた一般消費者向け有料データ保管・復旧。RiskFinder等の小規模サービスも含む。
| 数量年間平均有償契約者数(人、実質) | 価格会社に帰属する利用者1人当たり月間売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 251,449 | 115 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,050,000 | 140 | 18 | 5 |
取り方:会社発表の2025年DX売上3.47億円と期末契約36.8万人を起点に、実際の年平均契約数・販売店控除後ARPUが未開示のため、1人月115円を仮定して年間平均約25.15万人を逆算した。2026年8月末実測52.6万人、月次MRRは2025年12月の144%、解約率1.5%を別途確認。実販売価格ではなく会社受取額の推計で、競合の有料バックアップ市場シェアも非開示。
組込みソフト・操作系IPロイヤルティ
tourbillon、映像再生、画面共有、Reclip等のメーカー向け機器組込みライセンス。UI依存の機能を含む。
| 数量ロイヤルティ対象機器の相当本数(台、実質・推計) | 価格対象機器1台当たり認識売上(円、名目・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,800,000 | 100 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3,850,000 | 108 | 4 | 1 |
取り方:2025年のテクノロジーライセンス事業計5.93億円のうち、機器IP81%(4.80億円)、個別開発19%(1.13億円)という未開示の分析上の仮分解。100円/台とすると480万本相当。JEITAの2025年暦年国内PC約1095万台は母市場の一部にすぎず、同社の実出荷本数やPCシェアを示さない。操作中心IPはAIエージェント代替の席・画面型とみなし中立数量0.80倍、価格1.08倍、長期g0%を適用。
OEM向け個別開発・サポート
機器メーカーとの個別機能開発と関連する開発収入。人月・工数型の性質を持つ。
| 数量対価請求対象の開発工数(時間、実質・推計) | 価格開発1時間当たり平均認識売上(円、名目・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14,125 | 8,000 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9,200 | 9,800 | 1 | 0 |
取り方:ライセンス事業5.93億円から分析上のIP4.80億円を控除した1.13億円を、1時間8千円相当で1万4125時間と仮置きした。受託の実際の売上比率・時間単価は会社非開示であり、未検証の感応度用推計。人月・工数型としてAIエージェント代替の中立工数0.65倍・価格1.225倍(物価1.34倍以内)、長期g0%を適用する。
GX:自社系統用蓄電所
備前市の2MW・8.14MWh蓄電所で売電と需給調整力を取引する現物設備事業。
| 数量稼働蓄電所数(備前市と同規模の約2MWサイト) | 価格1サイトの年間売電・調整力売上(億円、名目・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 1.25 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 1.10 | 1 | 0 |
取り方:2025年末には自社運用蓄電所ゼロ。2026年2月に1カ所取得(約1,999kW、8,140kWh)、2026年6月JEPX・7月EPRXで運転開始。基準単価1.25億円/サイト年は公表実績でなく試算起点。一次調整力の2026年9月上限10円/ΔkW・30分から2MW×48コマ×365日で算出できる上限約3.50億円は24時間全量約定の非現実的な天井で、実際の約定率と他市場収益、充放電費用を分けて推定。
GX:EMS・蓄電システム関連
エネルギー管理ソフトおよび法人向け蓄電池関連機器・データロガー等。
| 数量小口システム案件の換算件数(件・推計) | 価格1案件当たり認識売上(億円、名目・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21.0 | 0.01 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2025年GX売上0.21億円は設備・EMSの少額収入。契約件数非開示のため100万円を1件相当とする21件の換算数量とした。2026年以降の自社蓄電所売上とは切り離し、未契約のEMS外販は中立では小規模にとどめる。
リスクと懸念
AIエージェント代替とOS統合
OEM向け個別開発の工数と、写真整理・画面共有など操作画面が価値の中心となる組込みIPにはAIエージェント代替を直接適用した。開発時間が減り、OS標準機能で代替できればライセンスの単価も下がる。バックアップ自体はデータ保管の実体が残るため一律の席課金SaaSとはしないが、契約や復旧の手順をAIとOSが吸収すれば選ばれにくくなる。
販売チャネル集中と退会
2026年8月末に52.6万人まで拡大した有料会員は、携帯ショップなど他社の販路を通じて獲得する。店頭の推奨方針や販売条件が変われば新規獲得は短期に落ちる。月間退会率1.5%が一定でも、既存会員が増すほど穴埋めに必要な新規加入数が膨らみ、販売手数料とストレージ費がオーナー利益を圧迫する。
需給調整市場の価格上限と参入
2026年9月から一次調整力の上限価格が10円/ΔkW・30分に下がった。稼働設備が増せば募集量に対する応札余力が増え、落札率と価格の両面で逆風が強まる。備前市の蓄電所は稼働開始から日が浅く、受注価格や実際の電池劣化、稼働停止時間、電力調達費を通期で検証できていない。20年運用計画は20年の利益保証ではない。
現預金の減少と償却・借換
2025年末の現預金約12.77億円は2026年6月に約7.25億円へ減り、借入金は約4.30億円になった。自己株取得と蓄電所購入による実行済み支出は前向きにも見えるが、運転資金と設備更新を無視して余剰現金を数えることはできない。既存電池の償却は取得原価ベースでも、10年先の交換部材と増設費用は物価上昇の影響を受ける。悲観の価値では最新自己資本を代替床に採ったが、保守的な資産売却試算は約5億円であり、簿価の全額回収を当然視してはならない。
OEMライセンスの陳腐化
旧来の4K/8Kコンテンツ再生技術を搭載する顧客製品は出荷が減少している。機器メーカーが標準OSや自社開発へ移れば、長年続いた採用関係がそのまま次世代製品へ引き継がれる保証はない。機器ごとのロイヤルティ本数や受託開発の売上が公開されないため、事業別の推定利益率も予測誤差が大きい。
小規模企業の資本配分と希薄化
2026年の約30.6万株取得で株数は減ったが、資本を固定設備へ投じる新しい段階に入った。蓄電所を追加する際は投資利回りと借入条件の検証が必要で、損失を補う増資や株式報酬による再希薄化も考えられる。将来の発行条件は未確認なので持分係数を恣意的に下げず、追加発行が決まればその時点で再評価する。
今後の分かれ目
- 有料バックアップ会員が100万人を超え、月間退会率が1.0%以下で2年以上定着したら
- 新規獲得の費用を含む継続収益が強化されたと判断し、中立の会員数量とDX営業利益率を上げる。強い堀とするには値上げ実績や解約率等の複数証拠をさらに確認する。
- 2026年の58万人目標未達や、携帯販売代理店との契約解除が公表されたら
- DXの数量増加の上限を引き下げ、やや悲観側の確率を増やす。新規契約数と解約率を別々に追い、既存契約数だけで判断しない。
- 備前市蓄電所の通期売電・調整力収益と維持費・償却・返済が開示され、投下資本利回りが8.5%を超えたら
- 蓄電池収益の不確実性を下げ、追加設備の見込額を上位筋書きに織り込む。費用控除前の売電総額だけでは増額しない。
- 需給調整市場の価格上限がさらに引き下げられ、平均落札率も低下したら
- GXの年間施設単価と営業利益率を下げ、設備の回収価値も点検して悲観の資産床を再計算する。
- 組込みライセンス売上が連続して前年比2割以上減り、代替IPの実際の受注が補えなかったら
- IPの数量を悲観レンジへ移し、OEM受託工数にもAIエージェント代替を強く反映する。
- 新規の設備取得・増資・大型買収または追加の自己株買いが決議されたら
- 発行後の既存株主比率、純現金、借入と10年の配当・買戻し額を同時に見直す。2026年の実行済み買戻しを重複計上しない。
見ておくもの
- 有料バックアップ会員の期末残高と月間純増数・新規契約数・退会率をそれぞれ確認する。
- 月間リカーリング収益の絶対金額と販売代理店控除後ARPU、保存費用率が公表されるか。
- 四半期のDX・GX・ライセンス各事業売上と新規AI搭載ライセンスの実売上額。
- 備前市の年間売電・需給調整収益、落札率、設備維持費、償却費、電池交換計画。
- EPRXの一次調整力上限と全国の系統用蓄電池の実際の連系容量。
- 有利子借入の利率と返済期限、定期預金残高、追加設備投資、自己株買い・株式報酬の実行。
倍率と資本コストの決め方
2025年末の売上を五つの収益源に分け、数量には会員・機器・工数・蓄電所を、物価や競争による変化は単価に入れた。特に実測のないOEM本数と開発工数は仮定と明示した。資本コスト8.5%、弱い堀、10年より先の名目成長0%から、楽観~中立の正当化PERを11.76倍とした。2026年の現在株価や同業の市場倍率を倍率の根拠にしていない。悲観は過去のPBR底値でなく、2026年6月の直近自己資本12.108億円を代替床にしてPBR1.0倍で評価した。現預金・借入を最新に直すと純現金は約2.953億円であり、従来の純現金約11.8億円はそのまま足さない。資産処分の保守的な回収見積りは約5億円なので、帳簿を床とする方式が下振れを過小評価し得る点も明記した。2026年の自己株買いは既に現株数へ反映されているため期間中の還元に入れ直さない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を基準に、損益変動と値決め力の弱さで計1.0ポイント上乗せした。