結論
システム・ロケーションは、自動車の現在価値と将来の残価を計算し、販売店やリース会社の商談を支える情報・業務ソフト企業である。筆者の結論は「割高」だ。独自の車価データと厚い金融資産には確かな価値があるが、現状の株価は長期の競争力維持に対して慎重さが足りない。
2026年3月期の売上は17.3億円、営業利益は6.0億円と高採算で、契約期間にわたって認識する収益が約95%を占める。大規模な設備が要らず、実際の車両取引から築いたデータを何度も提供できるのが強みだ。ただし主力CA Doctorの導入店舗は2023年3月期の1,047店から2026年3月期の928店に減った。会社が掲げた売上30億円、営業利益12億円という中期計画も大きく未達に終わった。
10年先を決めるのは、車の値決めに必要な独自データがAI時代にも必要かという問いである。価格情報そのものには残る需要があるが、営業員がソフトの画面を操作して提案書を作る工程は、AIエージェントが肩代わりし得る。2026年3月末には預金、金銭信託、債券、上場株を相応に保有する半面、大株主の支配が強く、余剰資金の還元を少数株主が決められない。10年後の価値と還元を確率で割り引いた現在価値は約33.8億円となり、基準時価総額約61.5億円を約45%下回る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の目で問うべきなのは、十年後も顧客が料金を払い続ける理由が、単なる画面の便利さを超えているかである。車の残価はリース会社の与信と収益に直接つながる。実際の流通価格に裏付けられたデータは、言葉を流暢に扱うAIだけでは生まれない。この部分は守る価値のある事業であり、長い時間をかけたデータの蓄積は無形の再取得費用を持つ。
しかし、そのデータを使う営業画面まで同じ寿命だと考えてはならない。導入店が減少している事実は値決め力の強さを疑わせる。中期計画が大幅未達でも利益率が高いのは経営の堅さだが、高収益と高成長は別物である。今後の投資が過去の資本効率を超えるかを測るには、データAPIの契約数、実際の値上げ、既存顧客の更新率を確認する必要がある。
オーナー利益の土台は、営業利益と現金創出力の差が小さく、重い工場更新投資を要しない点にある。だが株式投資で評価損が続き、潤沢な資産の利回りも本業ほど高くない。余剰資金を高い利回りで再投資できなければ、配当や自社株買いで戻す方が望ましい。支配株主がいることを理由に会社の資産を無価値とはしないが、還元の確かさを一段低く考える。
現在の時価総額は会社が持つ資産と稼ぐ力をすでにかなり評価している。買収による急成長やAI商品への転換を売上実績なく先取りせず、実現したら見方を変える余地を残す。この会社は「買える事業」ではあっても、どの値段でも長く安心して持てる株式ではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、車を売る側と買う側が「いまの値打ち」と「契約終了時の値打ち」を共通の数字で話せることだ。残価設定を誤ればリース会社には損失が生じ、販売店では提案の競争力が落ちる。そこで同社は車種、グレード、使用年数、流通実績から価格を推計し、業務で使える形にして販売している。前身から蓄積した中古車オークションの価格情報と統計処理は、一般的な営業支援画面より模倣が難しい。
法定開示上は「システム業務支援」の単一セグメントである。ただし収益認識注記で商品別売上が判明する。販売店向けのCA Doctorが4.94億円、リース等向けのシスろけっとが2.68億円、車種データベースが2.90億円、RVドクターが1.58億円、中古車在庫管理システムが1.41億円、その他が3.82億円である。商品ごとの営業利益は公表されず、分析上の利益配分は各商品のデータ蓄積、共通開発費、個別対応の重さによる推定にすぎない。
CA Doctorは販売店の提案作成や営業支援に入り込む商品だ。シスろけっとはリース事業者等の査定・契約業務に結び付き、車種データベースとRVドクターは価格算定に使うデータと分析エンジンを供給する。在庫管理システムは中古車販売の店舗運営に近く、その他には保守、関連商品、個別案件が混在する。グループのInspiration社も中古車分野に関わるため、その他をすべて純粋な受託開発と決めつけることはできない。
2026年3月期は顧客への継続的なサービス提供に伴う売上が約16.43億円に達した。自動車販売店が毎月使う限り収入は続くが、更新のときに画面操作の価値を問われる点は通常のサブスクリプションと変わらない。海外事業もあるが、法定開示では海外売上は小さい。国内のリース、販売、オートローンの商流が収益の大部分を決める。
優良さと弱いところ
優良さの中心は、過去の車両取引に基づく残価推定データと、顧客の商談・リース業務に入り込んだ製品群である。一般的な文書作成や在庫画面だけではないため、安い汎用ソフトが出たとしても同じ精度の車価情報を直ちに用意できるとは限らない。2026年3月期の営業利益率34.9%と営業キャッシュフロー約6.6億円は、小さな資本で価値を販売できることを物語る。
一方、堀が広がっている証拠は弱い。CA Doctor導入店舗数は3年前から減り、公開された解約率、更新時の値上げ成功率、移行に年単位を要するという証拠も見当たらない。販売店の業務フローとの親和性や価格データの独自性は評価するが、業界全体が離れられない共同利用基盤や法定記録の正本と同列には扱えない。AI代替の厳しい前提を独自データ以外の画面型商品に適用する理由はここにある。
過去10年のROE中央値は10.8%だが、足元は7%台である。事業自体の採算低下だけでなく、利益を積み上げた自己資本が増えた影響が大きい。預金や有価証券に余力がある反面、そのまま滞留すれば増分ROEは資本コストを超えない。2026年3月期の投資有価証券評価損1.35億円、前年の同様の損失は、事業の高い粗利益が株主利益にすべて残るわけではないことを示している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
自動車の価値を予測する情報需要は、国内で車の保有台数が急増しなくても存在する。日本自動車リース協会連合会の集計では、会員のリース車保有台数は2026年3月末に約437万台となり、前年を2.3%上回った。2025暦年の新車販売に占めるリース契約は約77万台、16.8%である。保有から利用への変化は残価計算を増やすが、人口減少と国内新車市場の成熟を打ち消して爆発的に伸びる市場ではない。
販売店向けの営業支援市場も母数を確認できる。日本自動車販売協会連合会の2025年調査では会員ディーラーの販売拠点が約1万3,590店ある。CA Doctor導入928店はこの母数の約6.8%に相当するが、会員外店舗や中古車店も対象になり得るため、これは市場シェアの確定値ではなく普及度を測る参考比率である。現在の売上を導入店数で割った年額約53万円を全拠点に外挿すると、同じ価格体系の直接的な販売店支援需要は約72億円となる。ただし製品単価は未開示で、この数は潜在市場の粗い上限であって調査機関の公表市場規模ではない。
価格査定データではUSSやオークネットの流通情報、プロトコーポレーションのグーネット、リクルートのカーセンサー、メーカー・金融機関の自前モデルが代替・競争相手となる。それぞれ取引所、広告、査定、商談支援で役割が違い、同一市場の売上シェアを足し合わせることはできない。競合各社の車価推定APIに限定した売上と占有率は確認できず、同社の正確な市場シェアも不明だ。
最大の変化はAIエージェントが営業提案、在庫更新、データ照会を直接実行することである。独自の取引データを供給するAPIなら残れるが、担当者が画面を開いて処理する契約は減り、利用者単位の課金にも下押しが生じる。販売店の減少が続く中、車種データを持つ会社と業務画面を提供する会社の価値は今後さらに分かれる。
資本政策と M&A
過去の資本配分は、稼ぐ事業を守りながら資産を蓄えた一方、成長投資の成果を十分に証明できていない。2021年に公表した中期計画「Change Digits 2025」は2026年3月期に売上30億円、営業利益12億円、営業利益率40%、ROE12〜15%を目指した。実績は売上17.33億円、営業利益6.04億円、ROE7%台で、経営計画の信頼性を割り引く必要がある。次期の同等の数値目標は確認できず、従来計画の株主還元欄にも総還元性向や自社株買い額の数字の約束はない。
現行の配当方針は連結配当性向30%程度を目標とし、2026年3月期は実績45.1%だった。過去の増配はあるものの、自己株買いの実績は乏しい。2026年9月にはQUOカード優待を拡充したため、株主に届く価値には優待も含まれる。約千人規模の株主構成を踏まえて優待原価を年0.04億円ほどと推計し、10年の累積還元に含める。
2026年3月末の現預金13.51億円、流動有価証券11.50億円、上場株8.82億円は、会社規模に比べて大きい。買収したInspirationの収益貢献はあるが、のれんと顧客関連資産が残り、投資有価証券では評価損も出た。上位二つの大株主持分は約70%、上位10先は約87%に達する。少数株主は余剰資産の使途を決めにくいため、現金と持ち合い株が額面どおり直ちに還元されるとは考えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
独自の車両残価データの価値を、業務画面の価値と分けて見れば成長余地はなおある。日本のリース車保有台数は増え、EV、ハイブリッド車、バッテリー寿命、下取り時の輸出価格によって中古車の予測は一層難しくなる。情報の精度が金融機関の損失率に結び付くなら、顧客は安さだけで業者を替えられない。車種データベースとRVドクターは2026年3月期に合計4億円台の収入があり、画面を経由せずAPIとして供給できればAI普及後も価格情報の卸売りで生き残る。
直近ではシスろけっとと車種データベースの売上が前年より増加しており、すべての製品が衰退しているわけではない。共通システムの内製化で営業利益率も改善した。さらに現預金、金銭信託、債券、上場株が厚く、悪化局面にも開発を続けられる。新規契約を奪い合うよりも、既存の車価エンジンを顧客の基幹システムに組み込む形へ転換できれば、利益率の維持と配当の持続は可能だ。会社に数字で確認できるAI新規事業の受注がない以上、そこから爆発的な売上を期待する必要はない。
慎重な見方
本当に強い顧客基盤なら、主力の導入店舗数が長く減り続ける理由を説明しなければならない。CA Doctorは1,047店から928店へ減少し、2021年の計画にあった1,500店には遠く及ばなかった。売上30億円という目標に対して実績は17億円台にとどまり、新規事業の育成にも時間を要している。営業利益率が高いのは、価格決定力の強さだけでなく研究開発や販売拡大が十分進んでいない結果かもしれない。
AIエージェントは販売員の画面操作と提案書作成を自動化し、既存のユーザー課金を席単位からデータ照会単位へ変える。自動車メーカー、リース大手、オークション運営会社は豊富な車両データを持ち、AIを使えば独自の残価モデルを内製化しやすくなる。車種データそのものも自由に値上げできるわけではない。販売店の統廃合が続くなら、導入店数はさらに減りかねない。
株主にとっては資産の使い方も不安だ。過去2年の投資有価証券評価損と強い議決権支配を踏まえると、簿価の大半を少数株主がすぐ現金化できるわけではない。リース市場が多少伸びても、ソフトの料金体系そのものが壊れれば売上は半分近くまで縮み得る。
どちらに重みを置いたか
価格データに独自性があり資産も厚いため、事業が消えてゼロになる見方は採らない。ただし導入店の実際の減少と中期計画の大幅未達は、楽観を制限する会社固有の証拠である。上振れ27%に対し、やや悲観と悲観を合わせて40%とした。AIによる画面代替はすでに中立の数量と長期成長率へ入れており、確率と資本コストで同じ理由を重ねて引いていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,686 円59 億円(+ 還元の換算額還元の合計 330 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 1,092 円39 億円、今との差 −37.4%、 期待の年率 +1.6%(資本コスト 7.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,511 円89 億円 | 482 円17 億円 | +71.5% | +6.1% | 269 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,275 円80 億円 | 436 円15 億円 | +55.4% | +5.0% | 488 円17 億円 |
| 中立 | 33% | 1,892 円67 億円 | 357 円13 億円 | +28.9% | +2.8% | 742 円26 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,161 円41 億円 | 255 円9 億円 | −18.9% | −2.3% | 354 円12 億円 |
| 悲観 | 15% | 905 円32 億円 | 179 円6 億円 | −37.9% | −5.0% | 162 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,686 円59 億円 | 330 円12 億円 | +15.5% | +1.6% | 2,016 円71 億円 |
今の株価時価総額 1,745 円62 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% データ卸売りとして価値を守る 利益 5 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,511 円89 億円
金融機関やリース会社が残価を自動算出するようになっても、検証済みの車両取引データへの需要は残る。シスろけっと、車種データベース、RVドクターは顧客の基幹システムに情報を渡す役割を維持し、通常の業務画面の契約減少も軽微にとどまる。CA Doctorの導入先減少に歯止めがかかり、顧客が評価情報の品質に対価を払う。
自動車リース保有台数は緩やかに増え、残価推定はEVや輸出相場の変化に対応して高度化する。USS、オークネット、大手リース会社の自前モデルとの競争は続くが、同社の蓄積データは置き換えられない。会社は無理な大型買収をせず、システム内製化で高い営業利益率を守り、配当も増やす。AI商品による未開示の新規収益は加えず、既存契約の維持だけで価値を説明できる場合だ。
- CA Doctor:数量 919(導入販売店数(店舗))× 価格 0.01(導入1店舗あたり年間の契約売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。実質店舗数は現在の99%、単価は115%。画面型の数量増加を仮定しない。
- シスろけっと:数量 118(契約企業相当数(推定社))× 価格 0.03(推定1企業相当あたり年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。実質契約数98%、単価115%。リース業務との連携を保つ。
- 車種データベース:数量 200(法人ライセンス相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間情報料(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約数100%、単価115%。独自データを維持する上位想定。
- RVドクター:数量 120(法人利用契約相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間査定料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約数100%、単価115%。残価予測のデータ需要を維持。
- 中古車在庫管理システム:数量 588(店舗ライセンス相当数(推定店舗))× 価格 0.00(推定1店舗あたり年間利用料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。店舗契約数98%、単価115%。AI代替は軽微にとどまる。
- その他・保守・関連サービス:数量 186(年次サービス契約相当数(推定件))× 価格 0.03(推定1契約相当の年間売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。実質サービス量98%、単価132%。工数型の数量成長は見込まない。
倍率:現在の時価総額や同業PERは参照しない。k=7.0%、g_long=名目0%のため、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.07−0)=14.29倍。10年後の純利益4.51億円から余剰流動資産20.5億円が生む税後利息約0.287億円と上場政策株の税後配当約0.216億円を別建てにする。余剰現金には戻り方0.75を掛ける。上場株8.82億円は10年間物価3%で評価額が動くとした税後の資産額に戻り方0.75を掛け、配当の利益倍率との二重計上を除去する。10年中の内部留保で増える現金は手入力で二重に足さない。
確率:実際の車価データをAPIで売り続け、ユーザー数の減少を料金と低い開発費で吸収する上位の筋書き。ただし未確認のAI新規売上を前提としない。
やや楽観 18% 車価情報は強く画面は小幅縮小 利益 4 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,275 円80 億円
AIが提案書や社内処理の一部を担うようになっても、リース契約の開始時と終了時に必要な車両価格の照会は残る。車種データベースは提供先を維持し、RVドクターも現在に近い契約規模を保つ。一方、CA Doctorと在庫管理の利用契約はやや減るため、全社では画面依存度が下がる。
顧客内製化を進める大手企業とはAPIの料金と精度をめぐって競うが、データ更新の手間を考えて自前への全面移行は限定的となる。中小の販売店の統廃合が進んでも、残った店舗への販売効率は改善する。Inspirationの保守的な収益貢献と内製化によるコストの低下も続く。現預金は買収で大きく損なわず、増配と優待による還元が徐々に厚くなる。
- CA Doctor:数量 817(導入販売店数(店舗))× 価格 0.01(導入1店舗あたり年間の契約売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。実質店舗数88%、単価114%。導入店の減少を一部の単価改定で補う。
- シスろけっと:数量 108(契約企業相当数(推定社))× 価格 0.03(推定1企業相当あたり年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約数90%、単価113%。主要機能は残るが席課金は減る。
- 車種データベース:数量 196(法人ライセンス相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間情報料(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約数98%、単価115%。データ料金は比較的守られる。
- RVドクター:数量 115(法人利用契約相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間査定料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約数は約96%、単価115%。残価計算への需要が続く。
- 中古車在庫管理システム:数量 540(店舗ライセンス相当数(推定店舗))× 価格 0.00(推定1店舗あたり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。店舗契約数90%、単価112%。販売店集約が数量を抑える。
- その他・保守・関連サービス:数量 162(年次サービス契約相当数(推定件))× 価格 0.03(推定1契約相当の年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。実質サービス量約85%、単価130%。保守は残るが工数収入は減る。
倍率:現在の市場PERではなく、k7%と名目g_long0%から正当化PER上限14.29倍を使用する。事業の純利益から余剰現金の税後利息と政策保有株の税後配当を分離し、流動性資産20.5億円と上場株8.82億円を別建て評価する。株主への戻り方0.75、上場株の物価3%上昇と含み益税約30%を反映し、配当の二重計上を除く。業務画面の契約数減少は純利益とg_longに織り込み済みなので、さらに倍率を恣意的に割り引かない。
確率:独自DBと残価エンジンの収入は保ち、販売店画面の縮みを運用合理化で補う展開。直近のデータ売上増が続く一方、CAの回復は限定的とした。
中立 33% 独自データは残るが画面需要が減る 利益 3 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,892 円67 億円
十年後も車の査定には実売価格の裏付けが必要で、車種データベースとRVドクターは現在の九割前後の契約数を保つ。ただし人が画面を開く前提のCA Doctor、シスろけっと、在庫管理の利用規模は二割ほど細る。その他の個別開発や運用支援は、AIが作業工程を短縮するため、従来と同じ人員や契約量を請求できない。
車種データに蓄積の強みはあるが、顧客の基幹業務を離れられない形で独占するまでには至らない。販売店の減少やリース大手の内製化を相手に、値上げの余地も物価の全額には届かない。全社売上は名目でも2026年の水準をやや下回り、営業利益率も二十%台半ばへ落ち着く。それでも本業は黒字を保ち、多くの期間は配当を続けられる。成長のための大型買収や、未実現のAI新商品の売上は当てにしない。
- CA Doctor:数量 724(導入販売店数(店舗))× 価格 0.01(導入1店舗あたり年間の契約売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。店舗数は現在の78%、名目単価110%。AI代替で店舗・席の利用が減る。
- シスろけっと:数量 96.0(契約企業相当数(推定社))× 価格 0.02(推定1企業相当あたり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。実質契約数80%、単価110%。画面操作の契約需要が縮む。
- 車種データベース:数量 180(法人ライセンス相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間情報料(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。情報提供契約90%、単価115%。独自データの価値が一定程度残る。
- RVドクター:数量 106(法人利用契約相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間査定料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。契約数約88%、単価115%。大手顧客の内製化が徐々に進む。
- 中古車在庫管理システム:数量 468(店舗ライセンス相当数(推定店舗))× 価格 0.00(推定1店舗あたり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。店舗数78%、単価108%。AIと店舗統廃合による二重の数量圧力。
- その他・保守・関連サービス:数量 129(年次サービス契約相当数(推定件))× 価格 0.03(推定1契約相当の年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。サービス量は現在の約68%、名目単価125%。工数型のAI代替範囲に収める。
倍率:中立の純利益2.74億円、自己資本60.24億円でROEは約4.5%となり、資本コスト7.0%に届かない。この場合の利益倍率の上限は1÷k=14.29倍である。AIエージェント代替を考慮した10年より先の名目成長率は0%で、過去や同業の市場PERを参照しない。現在の余剰現金20.5億円は税後利息を純利益から除いて戻り方0.75で評価し、上場株8.82億円は含み益への税と戻り方を反映して別建て加算する。保有株の配当を二重評価しない。
確率:下に寄せる理由:中期計画の30億円目標未達とCA Doctor928店への減少が確認でき、独自データの守りだけで全商品の契約増を説明できない。AIの数量圧力は既にこの中立に織り込み、確率で重ねない。
やや悲観 25% リース会社内製化と販売店統廃合 利益 1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,161 円41 億円
大型リース会社と自動車メーカーが独自の残価モデルを改良し、外部のデータ使用料を削り始める。価格予測の精度はある程度評価されるため車種データベースは一気には消えないが、契約数は減る。商談支援や在庫更新の画面はAIエージェントが使うAPIへ統合され、販売店の統廃合も重なる。CA Doctorの店舗数はさらに四割近く減少する。
稼働件数が落ちてもデータの維持、営業、セキュリティ対応には費用がかかり、高採算の構造は薄れる。商品改修のための費用を削れず、残る現金の一部が更新投資や小規模買収に回る。上場株や金銭信託に支えられて財務危機は起こらないが、少数株主がその資産の即時配分を求めることは難しい。配当と優待は減額を含めて続ける。
利益の稼ぐ力は現在より大幅に小さくなり、事業継続の価値だけでは十分な評価を得られない。もっとも、過去に蓄積した預金や有価証券、回収可能な営業債権は残る。今後積み上がる自己資本を額面どおり評価するのではなく、現在保有する資産を売却した場合の税後価値が事業価値の下支えとなる筋書きである。
- CA Doctor:数量 603(導入販売店数(店舗))× 価格 0.01(導入1店舗あたり年間の契約売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。実質店舗数65%、単価104%。競合とAIに押され値上げは限定的。
- シスろけっと:数量 82.0(契約企業相当数(推定社))× 価格 0.02(推定1企業相当あたり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約数約68%、単価105%。リース会社が一部を内製化。
- 車種データベース:数量 144(法人ライセンス相当数(推定契約))× 価格 0.02(推定1契約あたり年間情報料(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。法人契約数72%、単価110%。データの独自性だけでは契約を守り切れない。
- RVドクター:数量 86.0(法人利用契約相当数(推定契約))× 価格 0.01(推定1契約あたり年間査定料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数約72%、単価110%。内製モデルとの競争が強まる。
- 中古車在庫管理システム:数量 390(店舗ライセンス相当数(推定店舗))× 価格 0.00(推定1店舗あたり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。店舗契約数65%、単価103%。必要な保守費用が残る。
- その他・保守・関連サービス:数量 105(年次サービス契約相当数(推定件))× 価格 0.02(推定1契約相当の年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。工数型を含む契約量55%、単価117%。請求可能な作業が縮小。
倍率:修正前の時価総額36.36億円は、稼ぐ力から求めた価値約24億円と検査上の資産の床約14億円の双方を超えていたため採用しない。今回の32.32億円は将来の自己資本55.75億円に倍率を掛けたものではなく、現時点で売却可能な資産の税後換金価値を基礎とする。現在の自己資本40.4億円に対する表示上の倍率が0.80倍となるが、過去の市場PBRや谷のPBRは参照していない。現在の自己資本から回収困難なのれん0.63億円、顧客関連資産3.50億円、ソフトウエア等0.98億円を除き、さらに売却・撤退費用約3.0億円を差し引いた税後の資産価値を評価する。稼ぐ力約24億円より資産の換金価値約32.32億円が大きいため、後者を採用する。将来の留保利益を床へ加えず、資産と利益を二重に評価しない。
確率:リース関連市場の成長だけでは利用社数の減少を補えず、画面型の席課金とデータ使用料の双方に値下げ圧力が及ぶ可能性を考えた。
悲観 15% 画面収入が半減し堀が破れる 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 905 円32 億円
営業員が商談のたびに製品を操作する習慣がなくなり、CA Doctorと在庫管理の画面は多くの販売店で不要となる。車種データやRVドクターの取引情報も、USSやオークネットをはじめとする流通網と自動車金融大手が直接配信する。顧客は独自のAIモデルに切り替え、同社から買うデータの量と値段をともに減らす。海外展開や買収による穴埋めも奏功しない。
売上高は現在の半分を下回り、人員、システム維持、顧客対応の固定費を吸収できなくなる。営業利益はほぼ消え、ソフトウエアや買収した顧客関連資産の減損が発生する。潤沢な預金、短期運用商品、上場株が会社の存続を支えるが、少数株主の手取り価値は簿価の全部ではない。既に留保した利益を清算の床に重ねて数えず、税金と撤退費を引いた資産価値で損失の底を測る。
- CA Doctor:数量 436(導入販売店数(店舗))× 価格 0.00(導入1店舗あたり年間の契約売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。店舗数は47%、単価90%。商談支援画面の優位を失う。
- シスろけっと:数量 59.0(契約企業相当数(推定社))× 価格 0.02(推定1企業相当あたり年間売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は約49%、単価93%。内製化により主要機能が不要になる。
- 車種データベース:数量 104(法人ライセンス相当数(推定契約))× 価格 0.01(推定1契約あたり年間情報料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数52%、単価95%。他社データが代替する。
- RVドクター:数量 62.0(法人利用契約相当数(推定契約))× 価格 0.01(推定1契約あたり年間査定料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数約52%、単価95%。残価モデルの独自性が薄れる。
- 中古車在庫管理システム:数量 282(店舗ライセンス相当数(推定店舗))× 価格 0.00(推定1店舗あたり年間利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。店舗数47%、単価90%。維持費が収入を上回る。
- その他・保守・関連サービス:数量 76.0(年次サービス契約相当数(推定件))× 価格 0.02(推定1契約相当の年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約量40%、単価108%。個別対応の固定費を回収できない。
倍率:営業損益がほぼゼロで利益倍率から存続価値を作りにくいため、現在の自己資本40.4億円に税後換金価値を示す0.79倍を掛けて31.92億円とする。今後10年に積み上がる自己資本40.0億円に同じPBRを掛けるためではない。データ事業ののれんと顧客関連資産等を除き、支配株主の下でも売却可能な金融資産・実物資産を根拠にした床であり、過去の市場PBRは使用しない。
確率:AIエージェントによる直接処理と大口顧客の価格モデル内製化が同時に起き、保守契約を含む売上が現在の約45%に縮む構造的な負けを想定した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
CA Doctor
販売店の残価提案・商談支援。主に利用者が画面を操作する業務ソフト。
| 数量導入販売店数(店舗) | 価格導入1店舗あたり年間の契約売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 928 | 0.01 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 724 | 0.01 | 4 | 1 |
取り方:店舗928は2026年3月期説明資料の実績。売上4.94274億円は有報の収益認識注記。年額単価=4.94274億円÷928店=約53万円を混合平均として逆算。自販連販売拠点13,590店は2025年の市場母数で、現状のカバー率は約6.8%。型は画面・席課金SaaS。営業利益の配分は推定であり、会社が開示する商品別利益ではない。
シスろけっと
リース会社や金融事業者の車両取引・査定・業務支援。
| 数量契約企業相当数(推定社) | 価格推定1企業相当あたり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.02 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 96.0 | 0.02 | 2 | 1 |
取り方:売上2.67827億円は有報の収益認識注記から。会社説明会資料では「単品売上」3.27億円との別指標があり、定義差を確認できないので法定売上を正とする。契約企業数は非開示のため年120社を仮定した換算で、実際の導入社数とは異なる。参考に日本自動車リース協会連合会の報告事業者250社があり、金融会社や販売店も顧客に含む。社単価は逆算値。実質数量の基準を固定し、AIに代替される業務画面型として扱う。
車種データベース
車種別・年式別の情報と市場価格を提供するデータ製品。
| 数量法人ライセンス相当数(推定契約) | 価格推定1契約あたり年間情報料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 0.01 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 180 | 0.02 | 3 | 1 |
取り方:売上2.90352億円は有報。有料ライセンス数は未公表なので200契約を仮定した換算。母市場はリース協会の報告事業者250社にメーカー・販売系企業や金融機関を加えた広い法人市場で、実際のシェアは不明。AI代替型は「独自データを含む情報サービス」。価格データの蓄積は確認できるが低解約率等の第二の強い堀の証拠がなく、正本型の上限は使わない。
RVドクター
オークション等の実績を用いて車両の将来残価を推計する製品。
| 数量法人利用契約相当数(推定契約) | 価格推定1契約あたり年間査定料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.01 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 106 | 0.02 | 2 | 1 |
取り方:売上1.58466億円は有報。法人利用契約は未公表のため年120件相当を仮定した単価換算。実務上の数量は残価を計算するリース車約437万台の一部が対象だが、処理件数の公表はなく台数を売上に直接掛けない。業種内のオークションデータは堀の1証拠だが、低解約率などの追加証拠がなく情報サービス型の保守的前提にする。
中古車在庫管理システム
中古車店の在庫と販売情報を管理する業務画面。
| 数量店舗ライセンス相当数(推定店舗) | 価格推定1店舗あたり年間利用料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 468 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:売上1.40928億円は有報。実店舗契約数は未開示なので600店相当を仮置きし、年間約23.5万円/店舗に相当。自販連13,590販売拠点と中古車専門店が母市場だが、後者も含めた母数を検証できず占有率は計算できない。業務画面の操作をAIが代替する席課金型として厳しく扱う。
その他・保守・関連サービス
商品保守、関連製品、Inspiration等の付帯サービス、個別対応が混在。
| 数量年次サービス契約相当数(推定件) | 価格推定1契約相当の年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 190 | 0.02 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 129 | 0.03 | 3 | 1 |
取り方:その他3.81622億円は有報。中身の製品別売上と工数が非開示なので、190件の年間サービス契約相当に置き換えた推定。厳密な受託比率は確定できず、感応度分析では半分程度を工数型、残りを保守・関連製品とみなす。中立数量190→129件は工数型0.55〜0.75倍の厳しい範囲に合わせ、価格上昇率は人件費・物価の範囲内とする。
リスクと懸念
AI エージェント代替
CA Doctor、シスろけっと、中古車在庫管理は、人が画面を操作して査定・提案・更新をする価値を売っている。AIエージェントが顧客の基幹システムから直接APIを呼べば、席数と画面利用料が減る。独自の車価データにも需要は残るが、その分まで画面の契約数が守られるわけではない。中立で契約量の縮小と弱い単価上昇を織り込む。
独自データの内製化と競争
中古車オークションの取引データを握る事業者や大手リース会社、メーカー系列金融会社は、自社で残価推定モデルを構築できる。USSやオークネットのデータ供給、汎用AIモデルの進歩が重なると、従来の分析エンジンに払う料金が減る。低い解約率や再値上げの定量実績が開示されていないため、強い正本の堀を確定できない。
主力製品の店舗減少と市場縮小
CA Doctorの導入店舗数は2023年3月期1,047店から2026年3月期928店へ減少した。国内の販売店拠点数も減少しており、新車需要の高成長だけを頼りにはできない。継続課金売上が大きいことは強みだが、既存店舗の解約や統廃合が一定の速度を超えると、システム費を吸収する利益率が急速に落ちる。
中期計画の未達と投資効率
中期計画は売上30億円、営業利益12億円、CA Doctor1,500店舗などを掲げたが、大幅な未達となった。今後の新商品も契約数や料金の裏付けが出るまで成長率には加えない。Inspiration取得による顧客関連資産やのれんは残り、将来の需要が想定を下回れば減損する。計画発表と利益の実現を混同することが最大の資本配分上の危険である。
支配株主と滞留資産
有価証券報告書によれば上位二つの株主持分は約70%、上位10先では約87%である。現預金や金銭信託だけでなく政策保有株も厚いが、少数株主の意思では売却や自社株買いを決められない。2025年3月期と2026年3月期には投資有価証券の評価損が続いたため、保有しているというだけで額面全額を株主の価値に算入するのは危険だ。
自動車流通・リース残価の変化
中古車の輸出先の規制、円相場、EVの中古時価、バッテリー劣化、金融会社の残価リスク管理が予測モデルの精度を左右する。リース保有台数は増えているが、車種や販売ルートの変化が急になると従来の価格系列は古くなる。AI対応を含むデータ更新への再投資を惜しめば優位を失い、費用を増やせば短期の営業利益率が圧迫される。
今後の分かれ目
- CA Doctor導入店舗数が928店からさらに二年連続で減り、800店を割ったら
- 画面型商品の更新率が想定以下と判断し、やや悲観側の契約量と利益率を引き下げる。単なる営業施策の失敗ではなく堀の後退として捉える。
- 車種データベースとRVドクターの合計売上が継続して年率5%以上増え、API単独契約比率が開示されたら
- 画面ではなく独自データそのものが対価を得ている証拠となり、データ部分の数量と価格、さらに正本の判定に必要な顧客維持率を再点検する。
- 売上に対する営業利益率が30%を割り、その後も回復しなければ
- 中立で想定した固定費とAI代替の圧力が早く発生していると判断する。契約数ではなく採算と投資キャッシュフローの持続性を先に修正する。
- 政策保有上場株の縮減または5億円以上の自己株買いが発表・実施されたら
- 余剰現金や持ち合い株の株主への戻り方を0.75から1.0に近づけ、事業本体の成長とは別に資産価値の回収確度を引き上げる。
- リース車保有台数が減少へ転じ、大手リース会社による残価モデルの内製化が公表されたら
- データ製品の対象市場と契約数の両方を下方修正する。特にRVドクターの料金維持が難しくなり、資産を除いた営業事業の価値を厳しく見る。
- 2026年3月期の投資有価証券評価損に続き、複数年度で類似損失が続いたら
- 余剰資産を安全な現金と同じには扱わず、政策保有株の換金価値と資本配分への信頼を引き下げる。純利益が営業利益に比べて低い状態が恒常化するかも調べる。
見ておくもの
- CA Doctor導入店舗数(2026年3月期928店)と新規導入・退店の内訳
- 車種データベースおよびRVドクターの製品別売上とAPI提供契約数
- リース協会の全国リース車保有台数と新車のリース契約比率
- 国内ディーラー販売拠点数、顧客であるリース会社の残価モデル内製化
- 商品別解約率、既存契約の値上げとAIエージェント対応による課金形態の変化
- 営業利益率、開発費、営業キャッシュフロー、のれん・顧客関連資産の減損
- 保有現預金・金銭信託・上場政策株の額と株主還元、自社株買いの実施
倍率と資本コストの決め方
起点の株価・発行済株式は添付の2026年10月22日値のみを使い、商品別の数量と単価を先に推計した。CA Doctorのみ実績928店舗を数量に使い、他の契約数は非開示なので協会の業界母数を参考に明示した換算数量とした。AIエージェント代替は中立の画面型数量0.78〜0.80倍、データ型0.88〜0.90倍、工数混在型0.68倍、10年より先のg=0%に反映済みで、kの寿命加算をしない。楽観から中立のPERは市場の過去倍率を参照せず、k7%・g0%の正当化上限14.29倍。悲観側は現在の自己資本40.4億円を起点に、売却不能な無形資産と処分費用を引いた資産の税後価値を明示した。やや悲観の時価総額を36.36億円から32.32億円へ修正し、稼ぐ力約24億円と税後資産床32.32億円の大きい方を超えないことを確認した。悲観は31.92億円で、やや悲観より低い。10年間に留保した自己資本にPBRを掛けない。上場株の利息・配当の二重計上を除き、戻り方0.75と現預金以外の流動性資産を反映した。新リース会計基準による使用権資産とリース負債の両建てが2028年3月期以降に生じ得るが、営業費用を同じ表示基準で比較し、金利以外の二重な価値調整はしていない。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%+株式リスクプレミアム4.5%=7.5%を起点に、利益の過去の安定性を−0.5%として合計7.0%。β・規模・AI個別リスクの追加上乗せはしない。