結論
Kudanは、ロボットが自分の居場所を知り、建物や工場の内部を三次元で把握するための空間知覚ソフトを開発する会社である。技術が使われる場所は十年後も増えるだろうが、現在の時価総額約136億円には商用ライセンスが大きく広がる成功が先取りされている。長期の株主にとって結論は「割高」であり、確率で重みを付けた現在価値は約33億円、現在の時価総額を約76%下回る。これは技術が役に立たないという判断ではなく、役立つことと、少数株主が十分な利益を受け取ることは別だという判断である。
2026年3月期の売上は12億円と拡大したが、営業損失は約6億円残った。しかも増収の一部は三次元スキャナーなど機器の販売前倒しで、会社自身が今後は粗利の厚いソフトに軸足を移すと説明している。2027年3月期の会社見通しも売上10.3億円、営業損失3.4億円であり、現段階では再現性のある黒字企業と呼べない。
最大の可能性は、Kudanの測位技術が顧客製品の標準部品になり、販売台数に比例してライセンスが積み上がる道だ。現場での実証と商用採用が進む一方、NVIDIAのIsaac ROSや無料のSLAM技術が顧客の選択肢を広げている。ソフトの比率、累積搭載台数、継続使用、価格改定の実績が公表されない限り、技術上の評判を強い経済的な堀と同一視できない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が買うのは、技術を研究する権利ではなく、その技術が十年後以降にも繰り返し生む現金の取り分である。Kudanには、場所を選ばず機械を動かすための優れた専門性がある。製造業やインフラの顧客は簡単な不具合でも大きな損害を受けるため、信頼できる組込み技術を採用し続ける理由もある。しかし顧客が本当に他社へ切り替えられないか、対価を値上げできるかという問いへの答えは、いまの開示だけでは弱い。
量産先の機器メーカーを十社獲得して一社当たり数千台へ展開できれば、追加売上に対して開発費を抑えられ、利益率は大きく変わる。その成功が示す増分ROICは魅力的だ。一方、採用先ごとに受託開発を繰り返し、毎年の開発費で稼ぎを使い切るなら、売上が伸びても株主のものになる利益は少ない。積み上げた純利益の一部が設備投資ではなく運転資金や赤字補填に消えることも無視できない。
経営が研究者として正しい判断をしても、少数株主にとって正しい資本配分とは限らない。赤字の長期化、希薄化、還元実績の乏しさを経た会社に、確実な利益を長年生む成熟企業と同じ信頼を与えることはできない。成功するときの価値の大きさは認めるが、失敗したときの現金の減少まで引き受ける価格には、相当に厚い安全域を求める。現状にはその安全域がない。
何で稼ぐ会社か
会社の正式な報告セグメントは空間知覚関連事業の一つだけである。ただし収益の性格は四つに分かれる。第一はVisual SLAMやLiDAR SLAMなど、カメラや距離センサーで自己位置と地図を推定する組込みソフトのライセンスである。ロボットメーカーやセンサーモジュール開発会社に採用されれば、導入された機器の台数や商用契約数に応じて収益を得られる。
第二は顧客のロボットや自律移動システムに技術を合わせ込む開発支援だ。NEDOの建設ロボット向け共同研究などもこの領域に関係するが、103億円という事業全体の研究予算をKudan自身の売上と取り違えてはならない。第三はKudan PRISMである。三次元で取得した工場、道路、建物の空間情報を現場管理や設備保全に使うソフトで、従来のデジタルツインを実務へつなぐ役割を狙っている。
第四はXGRIDSなどの三次元計測機器や関連パッケージの販売である。導入の入り口として意味があるものの、他社製の機器を含むため粗利の幅はソフトより狭い。会社は2026年3月期にソフトの粗利構成比が56%まで下がり、2027年3月期には89%まで戻る見込みとしている。これは売上構成比ではなく粗利益の内訳であり、読み違えると利益を過大評価する。
会社は四つの売上額、ライセンス本数、PRISMの有償契約数、機器の出荷台数と平均販売価格を個別には開示していない。本分析のセグメント別の実績数量と売上内訳は、売上総額とソフト・機器の方向性、業界の出荷母数から再構成した仮説である。事実としてのセグメント実績ではなく、十年後の成否を数量と単価で検査できるようにする物差しとして読む必要がある。
優良さと弱いところ
Kudanの強みは、GPSが使えない倉庫、建物内部、屋外との境目などで、異なるセンサーの情報を合わせて位置を推定できることにある。顧客の機器設計に一度深く組み込まれれば、再評価や再試験の負担が乗り換えを難しくする。MRDVSとのセンサーモジュール協業や、建設現場のサービスへの採用は、その技術が試験室だけにとどまらない証拠である。
ただし、難しい技術を作れることと、競合より高い価格を取り続けられることは同じではない。実際の契約更新率、採用製品当たりの長期収入、契約単価の引き上げ、顧客の切り替えに要する年数といった裏付けは十分に開示されていない。NVIDIAは商用ロボットにも使える高性能なVisual SLAMを公開しており、顧客側の内製化も進む。したがって堀は狭く、技術と販売経路を毎年磨き続けなければならない。
過去の収益性は厳しい。2017年以降、営業赤字の年が多く、研究開発と販売費を賄うだけの量産ライセンス収入が育っていない。純現金は約18億円、自己資本比率も高いが、2026年3月期のフリーキャッシュフローは約6億円の赤字だった。増分の投下資本利益率が資本コストを超えることは、現時点では立証されていない。強い製品を作る力は評価するが、株主のために現金を生む強い事業が完成したとは判断しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ロボットの空間認識は一時的な流行ではない。国際ロボット連盟によれば2025年に出荷された業務用サービスロボットは約25万台で、そのうち物流・搬送向けが約11.75万台を占めた。自律走行には位置推定が必要だが、全てのロボットが有料の外部SLAMを採用するわけではない。Kudanの取り分は、ロボットの完成品市場の大きさではなく、外部の技術をライセンスする台数とその対価に限られる。
SLAM技術全体の2025年世界市場は、P&S Intelligenceの推計で約4.4億ドルである。3Dスキャン市場はGrand View Researchの2025年推計で約46億ドル、デジタルツインの広義市場は数百億ドル規模だが、ソフト、機器、導入支援が混在する。こうした巨大な周辺市場をKudanの売上機会とそのまま等置しない。ロボット向けはNVIDIA、オープンソースのORB-SLAM系、メーカーの内製技術と競い、三次元計測ではHexagon、FARO、Artec 3D、NavVisなどの製品群と接する。
Kudanや競合各社のSLAMライセンス本数と世界シェアには、比較可能な公表値がない。仮に業務用サービスロボットの出荷が2036年に年70万〜80万台へ増えても、中立のKudan搭載2万本は総出荷の約3%に相当し、その実現には顧客の量産採用をいくつも勝ち取る必要がある。楽観の6.5万本はその三倍強の商用成果を要求する。なお業界統計の集計対象とKudanの対象機器は完全には一致せず、この比率は市場シェアの実測値ではない。
国内のIT受託業界と一括りにするのも誤りである。組込みSLAMの技術料は技術者の人数と必ずしも連動しないが、開発支援は人月と工数に依存する。PRISMの画面操作や三次元情報の検索・整理はAIエージェントが代替しやすい。この二つは十年後の数量を縮める一方、現場のロボットが動くための測位ソフトには別の成長余地と、別の技術競争がある。
資本政策と M&A
資本配分の採点では、過去に株主へ利益を配る前に研究開発へ多額の資金が必要だった事実を重く見る。2020年にドイツのArtisenseを連結子会社化し、2021年に完全子会社化して測位技術と研究者の層を広げたが、その後の減損や赤字も含めて、投じた資本が継続的な利益に変わったとはまだ言えない。事業投資の経済性が見える前に資金調達を重ねたため、発行株数は長期で大幅に増えた。既存株主には、会社の技術が成長しても一株当たりの持分が薄まるリスクがある。
2026年6月の事業計画が示す数値は、2027年3月期の売上10.3億円と営業損失3.4億円が中心だ。ソフト粗利構成比89%、PRISM顧客増加目標150%、展開10か国という事業上の目標もあるが、10年後の売上・利益・ROEを拘束する定量計画はない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの金額についても数字の約束なしである。
現在の手元資金は事業存続と研究開発のための安全弁であって、すぐに配れる余剰現金ではない。これまで目立った配当や自社株買いの実績もないため、将来本当に余った資金でも少数株主に戻る価値は帳簿額の75%に限って評価する。強気なら量産採用から内部資金で開発を賄えるが、悲観では新株発行で事業を続ける筋書きも必要になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
Kudanの技術が活躍する市場は確かに伸び始めている。物流や建設では人手不足が深刻で、従来の手作業をロボットと三次元データで置き換える投資には経済合理性がある。国際ロボット連盟の業務用サービスロボット出荷台数も増えており、単なる研究テーマから実際の導入へ移った。KudanがSLAMからナビゲーション、空間データ処理まで揃えれば、顧客は個々の技術をつなぎ合わせる手間を減らせる。
会社はすでに商用製品への採用を発表し、PRISMも2026年3月期に顧客数を増やした。現場での測位精度は演算速度だけでは決まらず、暗い場所や振動、反射面、異なるセンサーへの対応が欠かせない。現場の失敗事例に合わせた改良を継続できるなら、無料のアルゴリズムだけでは代替しにくい総合品質が生まれる。ロボットメーカーが大規模に同社製品を採用すれば、出荷台数に従って売上が増える高収益の事業へ移れる。
特に、機器販売は利益率の低さだけで切り捨てるべきではない。XGRIDSなどの機器を顧客の現場に入れることは、PRISMや組込みソフトの販売経路を広げる可能性がある。NEDOの共同研究も同社が技術的な役割を担う機会となる。ただし研究費の総額がそのまま同社売上になるわけではなく、量産契約を獲得して初めて利益への転換が完結する。
慎重な見方
現実には、これまでのKudanは利益で研究開発を賄えていない。2026年3月期は増収したにもかかわらず大幅な営業赤字で、増収の中身にも前倒しの機器販売が含まれる。2027年3月期も会社自身が赤字を見込む。顧客の実証実験や協業発表は数多いが、何万台に採用され、一本当たりいくらの収益が何年続くかという投資家に必要な数字は乏しい。
技術競争も甘くない。NVIDIAはIsaac ROSのVisual SLAMを公開し、ロボットメーカーにとって導入しやすい選択肢を用意している。ORB-SLAM系などのオープンソースに加え、大手顧客は測位機能を半導体やロボット制御ソフトの一部として内製できる。性能競争が続けば、Kudanの知的財産が実際に使われても、独立した有料ライセンスの単価は下がりうる。
PRISMにもAIエージェント代替という別の問題がある。人が画面で検索・編集・報告する作業は自動化され、契約席数と画面の操作価値は小さくなりうる。受託開発も工数が減れば人月課金の売上が削られる。赤字を支える資金が尽きれば増資が必要であり、技術が生き残っても既存株主の取り分が細る。この会社を大きく評価するには、販路よりも継続課金の実績を先に求めるべきだ。
どちらに重みを置いたか
技術そのものが必要になるという主張は強いが、利益をどれだけ独占できるかは未証明である。したがって上側24%、中立32%、下側44%と慎重側へ寄せた。下に寄せる理由は、直近まで続く営業赤字、実測のライセンス本数と価格の未開示、NVIDIAによる代替選択肢、過去の増資にある。組込み測位の成長と人月・画面ソフトのAI代替を同一視せず、後者は数量と長期成長率で引き、確率には同じ理由を二重に上乗せしない。十年後に黒字化する中立でも現在の価格を正当化できず、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 635 円72 億円(+ 還元の換算額還元の合計 21 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 289 円33 億円、今との差 −74.9%、 期待の年率 −5.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,257 円369 億円 | 106 円12 億円 | +192.9% | +11.6% | 269 円30 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,234 円140 億円 | 44 円5 億円 | +11.3% | +1.1% | 204 円23 億円 |
| 中立 | 32% | 371 円42 億円 | 18 円2 億円 | −66.2% | −10.4% | 124 円14 億円 |
| やや悲観 | 27% | 157 円18 億円 | 0 円0 億円 | −86.3% | −18.0% | 42 円5 億円 |
| 悲観 | 17% | 96 円11 億円 | 0 円0 億円 | −91.7% | −22.0% | 16 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 635 円72 億円 | 21 円2 億円 | −42.8% | −5.5% | 656 円74 億円 |
今の株価時価総額 1,148 円130 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 世界の量産機器で採用が連鎖する 利益 30 億円 · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,257 円369 億円
Kudanの技術が複数のロボットメーカーで標準ソフトの一部となり、量産出荷に伴う利用料が急増する。物流と建設に加えて、工場の自律走行車やセンサーモジュールが新たな柱となる。現場で性能を検証し終えた顧客が更新を続けるため、毎期の新規受託案件を追い続けなくても売上が生まれる。十年後の組込みライセンスは年間6.5万本に達する。
市場全体は拡大し続けるが、価格ではNVIDIAや内製化の圧力を受ける。そのため主要ライセンスの単価は物価上昇ほどには上がらず、利益の飛躍は台数と開発費の共通化から生まれる。PRISMの画面課金と開発受託ではAIエージェント代替を無視せず、量は現在並みにとどめる。XGRIDS経由の計測機器は導入の窓口となり、ソフトと現場データの連携が競争力になる。
研究開発費と営業費の規模が増えても粗利の伸びがそれを大幅に上回り、既存株主を大きく希薄化させずに運営できる。十年間の累積純利益から一部を還元し、事業の自立性を初めて示す。
- 組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス:数量 65,000(年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値))× 価格 0.00(商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本))→ 売上 72 億円・営業利益 57 億円。2036年に有償搭載年6.5万本。単価11万円で価格倍率1.10、主因は数量。
- 顧客別開発支援・技術実装:数量 12.0(年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定))× 価格 0.20(案件1件当たりの名目売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型は数量現状維持が上限。単価は物価3%を下回らない範囲。
- Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト:数量 20.0(有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定))× 価格 0.09(有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。画面型の有償契約数は現在並みまで。AIエージェント代替を楽観で取り消さない。
- 3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ:数量 220(年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定))× 価格 0.11(パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。販路が伸びるがハードの粗利率は16%で、量産ソフトほど稼がない。
倍率:事業の質は弱い堀、資本コストk=8.75%、十年後以降の名目成長g=1.50%を全筋書きで共通とする。2036年のROE=24.00%、増分RONIC=k+1/3×(ROE−k)=13.83%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.2975倍の上限そのものを使い、現在の市場PERを参照しない。共通販管費はadjust_okuに、将来の余剰現金があれば別途戻り方75%で評価し、過大な現金二重計上を避ける。
確率:多数の機器OEMが同社技術を量産採用し、顧客当たり数千〜数万本の契約へ発展する上振れ。個別の実証から出荷への転換だけでなく複数OEMでの連続成功が必要なため8%とした。
やや楽観 16% 複数OEMへの採用が着実に進む 利益 12 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,234 円140 億円
Kudanは欧州や日本の設備・ロボットメーカーとの取引を広げ、数社で継続的なライセンス収入が定着する。建設現場、工場、物流設備での測位と地図生成が増えるが、全ての顧客が独立した有料SLAMを採用するわけではない。年間のライセンスは3.2万本となり、技術が繰り返し売れる製品へ変わり始める。
PRISMは空間データの品質と保全業務への適合で顧客を維持するが、画面を開いて作業する席数はAIエージェントに奪われる。受託開発も成果物の価値で一定の価格を保つ一方、人月の数量を増やすことは難しい。機器販売は130台相当まで広がり、導入先でのソフト追加契約を促す。
研究開発を続けても組込みソフトの高い粗利が残り、十年後には営業黒字が定着する。買収による無理な拡大や大規模な追加増資を避け、保有する技術を利益へ変える筋書きである。
- 組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス:数量 32,000(年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値))× 価格 0.00(商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本))→ 売上 37 億円・営業利益 29 億円。有償搭載3.2万本、単価11.5万円。量産顧客を複数獲得。
- 顧客別開発支援・技術実装:数量 11.0(年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定))× 価格 0.20(案件1件当たりの名目売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型の案件数は現状未満、単価は物価上昇内。
- Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト:数量 20.0(有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定))× 価格 0.09(有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。画面型の契約件数は現状並み、単価1.125倍。
- 3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ:数量 130(年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定))× 価格 0.10(パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。三次元計測機器130台相当、機器販売の競争は残る。
倍率:事業の質は弱い堀、資本コストk=8.75%、十年後以降の名目成長g=1.50%を全筋書きで共通とする。2036年のROE=16.67%、増分RONIC=k+1/3×(ROE−k)=11.39%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.9767倍の上限そのものを使い、現在の市場PERを参照しない。共通販管費はadjust_okuに、将来の余剰現金があれば別途戻り方75%で評価し、過大な現金二重計上を避ける。
確率:すでに示された商用採用と共同開発が大手顧客の量産案件へ発展することはありうるが、長期間の単価維持と採用継続は未検証のため、上振れとして16%にとどめる。
中立 32% 組込みソフトは黒字化するが、競争が収益を抑える 利益 4 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 371 円42 億円
市場は拡大するものの、Kudanが取り込めるのは外部技術の採用を選ぶロボットやセンシング製品だけである。大口の量産採用をいくつか獲得して年間2万本のライセンスに届くが、NVIDIAと顧客の内製化に押され、値決め力は強まらない。ライセンス料は十年で10%ほどしか上がらず、利益の源泉は数量の増加である。
PRISMは会社の掲げる国数や顧客拡大の一部を実現する一方、AIエージェントが画面操作を肩代わりし、有償の契約単位は現在より減る。開発支援の案件数量も約3分の2になる。ハードウェアは採用の入り口として残るが、会社が目指すソフトへの転換で売上規模はほぼ横ばいになる。
共通の研究開発と販管費を賄ってようやく安定黒字へ移るため、成熟した大手ソフト企業ほどの利益率も堀も得られない。大規模買収や継続的な増資がなくても会社が回るようになり、後半に少額の還元が始まる。確かな利益が積み上がった会社としての評価にはまだ条件が多い。
- 組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス:数量 20,000(年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値))× 価格 0.00(商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本))→ 売上 22 億円・営業利益 17 億円。IFR2025出荷約25万台から2036年仮に年70〜80万台を想定すると本数は約3%の規模感。ただし有料SLAM利用率・適合市場は未知。
- 顧客別開発支援・技術実装:数量 8.0(年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定))× 価格 0.20(案件1件当たりの名目売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。12件→8件で数量0.67倍。AIエージェント代替の人月型0.55〜0.75倍内、価格1.30倍。
- Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト:数量 16.0(有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定))× 価格 0.09(有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。20件→16件で数量0.8倍。画面型SaaS0.70〜0.90倍内、価格1.10倍。
- 3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ:数量 70.0(年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定))× 価格 0.10(パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。会社の高粗利ソフト重視を反映し出荷85→70台、単価は1.19倍と物価以下。
倍率:事業の質は弱い堀、資本コストk=8.75%、十年後以降の名目成長g=1.50%を全筋書きで共通とする。2036年のROE=9.61%、増分RONIC=k+1/3×(ROE−k)=9.04%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.5032倍の上限そのものを使い、現在の市場PERを参照しない。共通販管費はadjust_okuに、将来の余剰現金があれば別途戻り方75%で評価し、過大な現金二重計上を避ける。
確率:物理AIの普及と既存の採用実績を見れば製品出荷が伸びる余地はあるが、無料代替や研究開発負担も残る。下に寄せる理由:会社は2027年3月期も赤字を計画し、搭載数量と価格の実測がなく、上位への一段のシェア拡大を前提にしにくいため。
やや悲観 27% 実証は続くが標準部品の座を逃す 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 157 円18 億円
Kudanの技術は一部顧客に必要とされ続けるが、世界のロボットメーカーの標準的な選択肢にはならない。NVIDIA系ソフト、内製のSLAM、他のセンサー制御技術が採用を分け合い、有料組込みライセンスは年4000本にとどまる。技術の価値は残るが、価格競争によって単価は現状より下がる。
PRISMでは三次元のデータ取得は残っても、画面での編集と検索、報告の仕事はエージェントへ移る。受託開発でも一案件に必要な工数が縮み、契約件数も減る。機器販売は採算が合う案件だけへ絞られ、研究開発費を大きく切り詰めない限り営業赤字が残る。
会社は新規株式を約200万株発行して約6億円を調達し、研究開発を縮小して存続するという仮定を加えた。既存株主の持分は約85%に下がる。十年間の損失と調達を自己資本に反映し、株主への還元はない。
- 組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス:数量 4,000(年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値))× 価格 0.00(商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。量産採用に失敗し年間4千本。単価9.5万円へ値下げ。
- 顧客別開発支援・技術実装:数量 5.0(年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定))× 価格 0.16(案件1件当たりの名目売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月需要の縮小と工数削減で案件5件、利益率も低下。
- Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト:数量 10.0(有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定))× 価格 0.08(有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面ソフトの継続契約10件に低下、価格の上昇はほぼない。
- 3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ:数量 30.0(年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定))× 価格 0.09(パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。ハード販売30台に縮み、粗利率5%に低下。
倍率:稼ぐ力は赤字でPERに意味がない。床として現在の2026/03自己資本26.2億円だけを基準に0.80倍=20.96億円。2036年の自己資本21.0億円には掛けず、過去の市場PBRではなく、事業継続に使える純現金と売れる資産の限定された価値から決める。現金の床17.9億円を上回り、中立時価総額より低い。
確率:組込みの継続採用が小規模にとどまり、案件型売上と画面型ソフトがAIエージェントに代わる筋書き。NVIDIAの技術公開と過去の長期赤字を見て、十分に起こりうる27%とした。
悲観 17% 汎用技術に置き換わり、増資で技術だけ残る 利益 −4 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 96 円11 億円
大手ロボットメーカーが測位を標準ソフトや制御半導体に取り込み、Kudanが独立した技術料を請求できる場面は極端に減る。NVIDIAとオープンソースの更新速度に追随しても、顧客は価格の安い供給源を選ぶ。組込みライセンスは年900本ほどに減り、価格も下落する。
PRISMの画面操作とデータ整理はAIエージェントが担い、顧客ごとの運用契約が大幅に縮む。受託開発の仕事も内製化で減り、残る機器販売の利幅では固定費を賄えない。Artisense由来の技術資産や特許の一部は残っても、高い値決め力を生む製品群とは見なされなくなる。
長期の損失を補うため仮に約755万株の救済増資を行い、現株主の持分が約60%に低下する。会社が完全に清算される前の残存資産と研究開発能力に価値を残すが、十年間の配当と自社株買いはない。技術の存続と株主の投資収益が切り離される展開である。
- 組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス:数量 900(年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値))× 価格 0.00(商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。有料で売れる搭載数900本、平均単価7万円まで下落。
- 顧客別開発支援・技術実装:数量 3.0(年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定))× 価格 0.13(案件1件当たりの名目売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。共同開発は年3件程度、価格は今より低下。
- Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト:数量 6.0(有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定))× 価格 0.07(有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。画面操作の価値が薄れ有料契約6件へ縮む。
- 3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ:数量 10.0(年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定))× 価格 0.07(パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。計測機器は年10台、値引き競争で低粗利。
倍率:赤字のためPERではなく現時点の自己資本26.2億円×0.69=18.078億円の残存価値を評価する。十年間に調達して減損後の2036年自己資本18.5億円へこのPBRを掛けない。2026年の純現金17.9億円とほぼ同水準の会社全体の床で、救済発行による60%の現株主取り分は最後に別途掛ける。
確率:無料・内製SLAMが標準となり、有料ソフトの製品採用が失速する構造的敗北。現金の減少と救済増資を伴う最も厳しい状況だが、技術資産の売却余地が残るため17%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
組込みSLAM・ナビゲーションの技術ライセンス
カメラ・LiDAR・慣性センサーを用いる測位ソフトを顧客機器へ組み込み、製品採用と量産に伴って利用対価を得る。実際の商用搭載本数は非開示。
| 数量年間の有償組込みライセンス本数相当(台・本。会社未開示の推定値) | 価格商用搭載1本当たりの名目ソフト利用収入(億円/本) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,800 | 0.00 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 20,000 | 0.00 | 22 | 17 |
取り方:会社の会計上の単独部門ではない。2026年3月期売上12.0億円と会社資料のSW/HW粗利構成を起点に、組込みSWを推計1.8億円と仮置きし、端末1本10万円の仮定で1800本に換算。採用本数、単価、独立売上の会社開示はない。IFRの2025年業務用サービスロボット約25万台の出荷は市場の母数確認に使用するが、対象領域・計測範囲の違いからシェアを確定しない。2026年粗利相当を75%=1.35億円とする分析上の便宜である。IFR https://ifr.org/ifr-press-releases/global-sales-of-professional-service-robots-surge-24-percent 、会社事業計画 https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260630/20260630585002.pdf 。
顧客別開発支援・技術実装
ロボットメーカー、センサー企業、官民の開発プロジェクトへの技術適用や受託開発。技術者の工数に比例し、AIエージェント代替の人月型に該当する。
| 数量年間の開発・実装案件換算数(件。非開示の推定) | 価格案件1件当たりの名目売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 0.15 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.20 | 2 | 1 |
取り方:公表される共同開発・実証の存在を踏まえて、2026年SW売上のうち約1.8億円を案件型へ推定配賦し、12件×1500万円の仮の実効単価へ展開。案件数・契約金額は非開示である。NEDOの103億円は複数社で取り組む事業全体の予算でありKudanの売上ではない。今の粗利相当12%=0.216億円を仮置きし、将来はAIエージェント代替により中立の案件数量を0.55〜0.75倍へ抑える。
Kudan PRISM・現場デジタルツインソフト
取得した三次元空間データの可視化、確認、検索、現場管理と保全に使うソフト。操作画面での作業にはAIエージェント代替が及ぶ。
| 数量有償の企業契約相当数(社・契約、開示値ではなく推定) | 価格有償契約1件当たりの年間名目ソフト利用売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20.0 | 0.08 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 0.09 | 1 | 1 |
取り方:会社開示は2026年3月期の顧客数対前年+200%、展開3か国、2027年3月期への案件継続率100%であり、顧客の絶対数・有償席数・請求額は非開示。売上を推定1.6億円とし、20件×800万円の年間契約相当へ再構成した架空の基準点である。今の粗利相当31%=0.496億円。短期間の案件継続率のみでは規制・記録の正本の堀の2条件を満たさず、AIエージェント代替の画面中心SaaS型を適用する。
3Dスキャナー・計測機器の販売パッケージ
XGRIDS等の計測機器、LiDAR搭載パッケージや周辺製品を顧客現場に届ける。ソフト採用の入り口だが、独占的な製造装置ではない。
| 数量年間の三次元計測機器パッケージ販売換算数(台。非開示の推定) | 価格パッケージ1台当たりの名目販売金額(億円/台) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 85.0 | 0.08 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 0.10 | 7 | 1 |
取り方:2026年度総売上12.0億円のうち機器を6.8億円、SWを5.2億円と推定配賦。これは会社が公表した製品別売上ではないが、2027年3月期にSW約+3.6億円、HW約−5.3億円とする会社説明の方向と整合する。85台×平均800万円は出荷実数・実際の定価でなく分析用の数量単価の仮定。機器の粗利率を仮に24%とすると1.632億円。四区分の推定粗利合計3.694億円、うちSW2.062億円=55.8%で、会社開示のソフト粗利比率56%と整合する。3Dスキャン世界市場2025年46億ドル、対象メーカーFARO・Hexagon等は https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/3d-scanning-industry による。
リスクと懸念
標準SLAMとの技術競争
NVIDIA Isaac ROSには商用ロボットでも利用可能なVisual SLAMがあり、ORB-SLAM系などの公開ソフトも進化する。測位性能が良くても、顧客が安い代替技術を機器全体に統合できればKudanの技術料と採用本数が圧迫される。価値は特許の数ではなく、継続する有償搭載契約で測る必要がある。
AI エージェント代替
開発支援の工数課金とPRISMの操作画面中心の課金は、AIエージェントによる実装・検索・編集・報告の自動化で数量が縮む。中立では受託案件を現状の約67%、PRISM有償契約相当数を80%に下げ、十年後以降の名目成長も伸びないものとする。ロボットの測位ライセンスを同じ型で機械的に縮めることはしない。
研究開発費と資金調達
過去の研究開発と販管費が粗利を超え、2027年3月期も営業損失の会社予想である。財務は純現金だが、現在の現金の多くは将来の開発と事業継続に必要だ。製品が大量出荷される前に資金を使い切れば、安値での増資や研究の縮小が起きる。悲観側の既存株主持分には資本希薄化を直接反映した。
ソフト粗利比率の回復未達
2026年3月期の増収には前倒しの機器販売が寄与し、ソフトの粗利比率は56%に下がった。会社は2027年3月期に89%までの回復を計画するが、実証案件からソフト契約への転換が遅れれば、売上の数字だけ増えても利益が残らない。機器とソフトの売上高・粗利益を分けた確認が欠かせない。
商用数量・単価が開示されない
公表された採用や顧客数の伸びには、無料の実証、初期開発、継続的な有償契約が混在しうる。組込みライセンスの本数や更新収益、契約単価が開示されないため、財務数字から量産化の進展を直接検証できない。2036年中立の2万本という数字も独立した実測ではなく、案件が量産化した場合の条件付きの予測である。
政府事業と一時的利益の読み違い
NEDO事業全体の103億円はKudanの売上保証額ではなく、共同開発に参加しただけで長期の独占収益が決まるわけではない。研究補助金と為替差益は営業黒字や高収益の実証とは異なる。ドル円150円を固定し、研究補助金が永続するとは仮定しないため、事業の限界粗利だけで研究開発費を賄えるかを観察する。
採用先と資本配分への依存
自律走行の製品化はメーカーの量産計画、センサー採用、規制・安全認証など多くの相手先事情に左右される。Artisenseの取り込みで技術を厚くした後も長期の黒字にはつながっておらず、研究開発や買収の投資効率には検証が必要だ。株数が増えれば会社の時価総額が上がっても既存株主の取り分は薄くなる。
今後の分かれ目
- 商用OEMが有償組込み本数・1本当たり利用料・契約継続率を年次で公表し、売上を照合できるようになったら
- 中立のライセンス本数と粗利率の確度を上げ、真の乗り換え費用と値上げ力が分かれば堀の判定も見直す。公表前に巨大市場の規模だけを理由に倍率を上げない。
- 2027年3月期にソフト粗利比率89%を実現し、翌期以降の通期営業黒字が補助金・為替益抜きで定着したら
- 中立の粗利益率と販管費の見通しを上方修正する。2027年3月期の売上減だけで悲観せず、機器からソフトへの実質的な移行を優先して確認する。
- NVIDIA・オープンソースの測位ソフトが主要OEMの標準採用となり、Kudanの商用利用料が引き下げられたら
- 組込みライセンス本数と単価の双方を下げ、技術的な堀をさらに弱く評価する。物理AI市場そのものが伸びてもKudanの取り分は増えない。
- PRISMの利用画面を経由しないAPI・データ連携型課金への移行が実売上として示されたら
- AIエージェントによる席数減の影響を再評価する。データ基盤の低解約率や複数年の契約更新などの開示が二つ以上確認できるまでは記録の正本型へ格上げしない。
- 追加の大型増資・新株予約権発行で発行済株式数が大きく増えたら
- 会社全体の将来利益と現株主の持分係数を分け、払い込まれる現金を会社の資産にも計上する。株数増加による一株当たり価値の低下を悲観シナリオで更新する。
- 共同研究から複数メーカーの出荷契約へ移り、搭載台数が年間数万本に近づいたら
- やや楽観以上の確率を増やす候補となる。ただし受注金額と量産開始時期、ロイヤルティ率を確認し、共同開発予算全体をKudanの売上として扱わない。
- 純現金が一年間の事業資金流出の2年分未満になり、赤字縮小も止まったら
- 存続の上乗せリスクと救済増資の確率を高め、現在の純現金をそのまま十年先の資産の床に持ち越せないものとして保守的に更新する。
見ておくもの
- 期中・期末の商用有償SLAM搭載本数、対応OEM、機器1台当たりの継続ライセンス料と解約率
- 2027年3月期のソフト粗利構成比89%と、2028年3月期以降90%以上の実績
- Kudan PRISMの有償契約絶対数、継続契約額、展開国数、画面課金とAPI・データ課金の区別
- 売上から機器・ソフトへ分けた粗利益、営業赤字縮小、研究開発費、営業キャッシュフロー
- 世界の業務用サービスロボット出荷台数と、Kudan採用製品が実際に出荷される割合
- Isaac ROS・ORB-SLAM・内製の性能改善と、有料ライセンスの価格変更
- 新株予約権の残高、増資の有無、自己株式、配当開始の条件、投資有価証券の換金可能性
倍率と資本コストの決め方
現在の株価1205円・発行済み控除後株数11328699株から時価総額を約136.5億円と確認したが、将来の売上や倍率はその水準から逆算していない。2026年の売上12億円をソフトと機器へ、さらにライセンス・受託・PRISMに分けた数量単価は会社非開示の推定であり、IFR統計や会社計画を基準として検証可能な仮定を示した。2026年のセグメント粗利相当の合計約3.694億円から共通販管費約9.494億円を差し引き、会社の営業損失5.8億円と整合させた。楽観〜中立の倍率はk8.75%、弱い堀、g1.5%、10年後のROEからの正当化PERで、市場の過去PERには寄せていない。悲観のPBRは2036年の積み上がった自己資本ではなく2026年時点26.2億円を基準にし、最終的な希薄化は別に乗じる。新リース会計基準への移行に伴う表示差は小さな賃貸事務所等についても注視し、将来利益は現行の家賃費用控除と同じ形で比較する。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%+品質0.25%+赤字継続による事業存続上の追加1.0%=8.75%。βや小型株プレミアム、現在の株価は使わない。