結論
スタメンは、職場の情報共有と従業員エンゲージメントを支える「TUNAG」を主力とし、オンラインコミュニティの「FANTS」も育てる成長企業である。筆者の結論は割高だ。導入企業の増加は本物だが、人が画面を操作する業務ソフトを10年後も同じ値段で売れる保証はなく、純現金の厚さを考慮しても現在の時価総額には十分な安全域がない。
TUNAGは2026年9月に1,500社、170万IDを超え、会社が示す継続率は99%に達する。労働組合向けの展開も400組合に広がった。2026年の業績予想は増収増益に修正され、2029年の売上高100〜120億円を目指す経営陣の意欲にも根拠がある。
しかし、現在の契約純増を2035年まで外挿するのは危険だ。AIエージェントが情報配信、申請処理、研修設計、コミュニティ運営をまとめて引き受ければ、従業員向けの画面と席数が課金対象であり続けるとは限らない。
将来価値を左右するのは市場成長率よりも、顧客の仕事の流れに入り込んだ独自データを料金交渉力へ変えられるかどうかだ。現時点では解約の少なさという強い証拠がある一方、法令上の記録の正本や価格引き上げの反復実績は確認できない。さらに、役員向けの長期貸付金が自社株式を担保としているため、帳簿上の資産を現金と同じ確実さで評価できない。
成功の余地は残すが、見通しの難しさを曖昧な高成長倍率で隠さない。確率と資本コストで割り引いた適正時価総額は約27億円で、現在の約55億円をおよそ52%下回る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、従業員の働きがいや社内の情報共有という需要が10年後にも残ることと、現在のTUNAGの形が10年後にも必要とされることを分けて考える。前者はかなり確かだが、後者の確度は低い。生成AIが会話から必要な規程を検索し、申請を実行し、従業員の声を集約するなら、利用者がアプリを開く時間は減る。過去の契約純増を未来の永久成長と取り違えるべきではない。
一方で、TUNAGの99%という継続率と労働組合での浸透には、顧客との関係が積み上がる力がある。現場における情報の伝達や仲間同士の信頼には、人の承認や対話が必要だ。自動化できる操作を料金の源泉とするのではなく、組織の意思決定と記録の責任を引き受ける基盤へ発展すれば、堀が深まる可能性はある。
その場合は再投資の利回りも上がるだろう。しかし現時点の開示だけでは、それを10年続く超過収益と認める材料が足りない。
株主が使える利益は会計上の純利益そのものではない。営業努力と製品改良に再投資が必要であり、顧客獲得を維持する費用も無視できない。純現金は安心材料だが、前受金に対応する役務提供義務と役員向け貸付金の回収条件を考慮しなければならない。
新株予約権による希薄化も小さく織り込む。低い資本負担で顧客が長く残る魅力は評価しても、将来の価格決定権が実証されるまでは高い買値を正当化しない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はTUNAGの企業向けサブスクリプションである。飲食、物流、小売など、仕事中にパソコンの前にいない従業員にも社内情報、福利厚生、申請手続き、職場の取り組みを届ける。利用企業ごとの月額収益が基本の物差しであり、導入社数と平均月額収益を掛ければ収益の骨格がつかめる。
2025年の期末導入社数は1,344社、平均月額収益は約20.2万円で、2026年6月には1,460社となった。170万IDは利用の広がりを示すが、IDごとに独立して課金するとは限らないため、企業数と二重に売上へ足してはならない。
TUNAGには月額利用料のほか、初期設定、導入定着支援、研修、コンサルティングなどの非継続収入がある。会社開示の2025年のストック売上比率85.7%を使い、定期利用料と非ストック部分を分けている。前者は企業の業務画面に依存するSaaS、後者は担当者の工数で提供するサービスであり、AIによる代替のされ方は異なる。
2026年に打ち出したAI活用支援や労働組合向けAIサービスも、この二つの間でどのような成果報酬に変わるかが問われる。現時点で金額を伴う独立したAI収益の実績は確認できず、将来売上を先取りしない。
FANTSは講師、クリエイター、事業者が有料コミュニティを開き、会員を管理し、コンテンツやサービスを販売するための基盤だ。2025年末の566件から2026年6月には667件に増えた。月額利用料と付帯収入を合わせて収益となり、2025年にストック比率は66.1%となった。
第三のサービスWatchyはパソコンの資産情報や操作ログを集め、情報漏えい対策と労務管理を支える小規模な事業である。2026年9月には200社以上への導入を公表しており、契約単価は端末台数と利用機能数に応じる。会社の法定開示は実質的に単一報告セグメントのため、この分析の四区分と各利益額は公式セグメント値ではなく、開示KPIと収益構成に基づく推計だ。
優良さと弱いところ
スタメンの最も価値ある資産は、顧客企業の日常業務に入り込んだ利用習慣である。TUNAGの公称継続率99%は、いったん現場に定着すると簡単には捨てられないことを示す。紙の掲示板や連絡網から移行した企業には、現場の投稿、施策の履歴、従業員の反応が蓄積する。
労働組合という専門領域へ入り込んだことも販売効率を高める。ただし、継続率の定義や対象期間には確認の余地があり、永続的な囲い込みの証明とまでは言えない。
堀、つまり競合が簡単に奪えない優位性は「運用の定着」であって、業界を独占する記録基盤ではない。Microsoft TeamsやViva、LINE WORKS、SmartHR、Uniposなどは、既に顧客が使用する社内システムへ同種の機能を組み込める。顧客がAIエージェントから直接情報を受け取り、申請を依頼するようになれば、画面に人を集める発想そのものが弱くなる。
会社の独自データの説明は評価する。Watchyの端末操作ログも独自の記録だが、サービス規模が小さく、法対応の義務、移行に年単位かかる証明、継続的な値上げ実績のうち二つ以上は確認できないため、全社を強い独占的な堀とは認定しない。
自己資本に対する利益率は2025年に14%へ改善したが、積み上がった新規顧客獲得費や開発費を考えると、増分投資の収益率を確定するには早い。現預金が借入金を上回る財務は強みである。一方、2025年末の役員向け長期貸付金5.5億円は、自己資本のおよそ4割に当たり、担保は同社株95万株である。株価が下がるほど回収余力も弱くなる関係にあり、株主が自由に使える現金とは明確に分けて評価する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
従業員の定着、人的資本の開示、現場の人手不足は、TUNAGが解決する課題を長く残す。ITRによれば国内の従業員エンゲージメント関連市場は2024年度に161.2億円、2025年度には約195億円へ拡大する見込みであった。矢野経済研究所が2026年に公表した診断・サーベイクラウドの2025年市場は133.2億円で、定義が違う。
TUNAGは社内SNSや申請業務まで含むため、どちらの調査とも完全には一致しない。2025年のTUNAG継続収益の推計約28.6億円をITRの広義市場と対比すれば約15%だが、これは市場シェアの確定値ではなく、競争圏の大きさを測る目安に過ぎない。
競争ではMicrosoft、LINE WORKS、SmartHR、Unipos、カオナビ系の人事サービスなどが、既存顧客との接点と開発資金の双方で手強い。ITRの調査では最大手が市場の3割以上を占めるが、その社名やTUNAGと同一範囲のシェアは公開資料から特定できない。一方、労働組合向けは具体的な足場がある。
2026年10月にTUNAG for UNIONの利用が400組合を超えた。厚生労働省集計の2025年の労働組合数22,244に対し約1.8%に相当するが、単位組合と上部組織が混在するため厳密な浸透率ではない。人口減少のなかでも営業余地は残る。
FANTSが相手にする有料コミュニティでは、DMMオンラインサロンが2025年末時点で1,600以上の稼働サロンを持ち、Faniconは3,800のコミュニティ開設数を掲げる。FANTSの667件は存在感を増しているが、各社の累計と稼働中の定義がそろわないため正確な市場シェアは測れない。Watchyに近接する国内の統合端末管理市場はITRによると2025年度565.3億円で、Microsoft Intune、LANSCOPE、SKYSEA Client Viewなどが競争相手になる。ただしPCログ管理だけの市場ではないので同社のシェアをこの母数から確定できない。
成長率の高さだけで競争優位は判断できない。今後10年はAIが投稿の制作、会員対応、業務申請を代行し、既存の画面型SaaSを低価格化する。反対に、実在の職場やファン同士の人間関係そのものはAIでは完全に置き換えられず、この部分に残る支払意思が長期の下支えとなる。
資本政策と M&A
経営陣は自前の開発と営業組織の拡充で事業を伸ばしてきた。大型M&Aによる利益の上積みを主な実績として示しているわけではなく、2025年の説明では今後の事業拡張に買収も活用したいと述べている。価格を間違えたソフトウェア企業の買収は、のれんを残して顧客を失うため、将来の買収益を中立の利益には織り込まない。社外取締役の増員や人材登用は評価するが、買収の投下資本利益率が資本コストを超えたかどうかは実績ができてから判定する。
中期方針は2029年に売上高100〜120億円、営業利益10〜14億円、売上高成長率年30〜40%を目指す。説明会での営業利益の口頭説明は10〜12億円で、資料の図表より狭い。中長期の配当性向は30%が目標であり、自己株買いの金額や総還元性向の明確な約束はない。
2023年から配当を始め、2025年の配当は増え、2026年予想も引き上げられた。利益をすべて内部留保する経営ではないが、還元率50%以上の実績もないため、将来の余剰現金が株主へ戻る割合は慎重に見る。
見逃せないのは役員向け貸付金である。2025年末に5.5億円が計上され、同社株95万株が担保となっている。2026年半ばにも大部分が残る。
自社株を担保とする信用供与は事業再投資と異なり、株価低迷時に損失が膨らみうる。今後のM&Aより先に、この資金がどの条件で回収されるのかを株主へ説明し、確実に回収することが資本配分の規律を測る試金石になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
TUNAGは単なる社内掲示板ではない。情報配信から福利厚生、申請、エンゲージメント施策までを一つにまとめ、現場の社員が毎日触れる仕事の入口になろうとしている。継続率99%と2026年9月の1,500社という実績は、見込み客への宣伝文句ではなく顧客が使い続けている結果だ。
労働組合向けには400組合の利用実績があり、現場への導入方法を熟知している。人口減少による人手不足が深まるほど、離職防止や職場改善への支出は景気に左右されにくくなる。
2026年上期の営業利益は前年の倍を超えた。成長投資を続けながら利益率を引き上げたことは、商品を一度作れば複数顧客に配れるソフトウェアの経済性を示す。FANTSも566件から667件へと運営数が増え、収益モデルを月額課金に変えることで安定収入を厚くしている。
TUNAGの福利厚生とFANTSのクリエイターのサービスを結び付ければ、互いの顧客基盤が獲得費用を下げる。巨大な競合が手薄なノンデスクワーカーや労働組合を深く掘る戦略には、規模だけでは測れない勝ち筋がある。
AIは脅威であると同時に、従業員の手間を省く機能を提供できる機会でもある。既存顧客の部署や承認手続きに関するデータを活用すれば、汎用AIだけでは踏み込めない権限管理や組織内の合意形成を支援できる。ここから対価を得られれば、操作画面を売る会社から業務の実行を受け持つ会社に変わる。自社開発の余地、純現金、既存顧客との接点を合わせると、事業が消えると決めつけるのは早い。
慎重な見方
高い継続率を高い値上げ力と同一視してはいけない。TUNAGの平均月額収益は2025年末の約20.2万円から2026年6月の19.9万円へわずかに低下しており、顧客が増えても単価が自動的に上がるわけではない。人事情報や給与の法定原簿のように、失うと法令違反になる記録を独占しているわけでもない。Microsoft、LINE WORKS、SmartHRなどが同じ業務を既存アプリへ取り込むなら、顧客は追加料金を払って別の画面を開く必要を感じなくなる。
AIエージェントは、社内制度の問い合わせや申請処理、簡単な研修の作成、コミュニティの投稿や入会案内まで代行する。これは単にソフトの作業時間を短くするのではなく、席課金、導入支援の工数課金という収益単位を減らす変化だ。2026年にAI関連の提供を始めたことは事実だが、その対価がどれだけ継続収益になったかは数字で示されていない。
新しい商品を名乗っただけで10年後の減収を埋められると考えることはできない。FANTSもDMMオンラインサロンやFaniconなどの規模の大きな相手と競争し、会員への直販手段が増えるほど仲介料には値下げ圧力がかかる。
財務の問題も看過できない。役員向けの5.5億円の貸付金は現預金ではなく、その担保である自社株の価格が下がると回収可能額も落ちる。2029年の売上高目標は達成できたとしても、そこから2035年にかけて業務画面の利用が構造的に減れば、蓄積した開発人員と固定費が営業利益を削る。株主が取り戻せる価値は、会社の希望する市場規模ではなく、現金の回収と残った事業の稼ぎで決まる。
どちらに重みを置いたか
直近の導入社数、継続率、利益率改善については強気の主張を認める。しかし、法定記録や価格改定の実績に裏付けられた強い堀はまだなく、役員貸付の回収とAIによる収益単位の変化が10年の読みを難しくする。確率は楽観・やや楽観の合計30%に対し、やや悲観・悲観を39%とし、わずかに下側を厚くした。
中立の数量には既にAI代替を織り込み、確率で同じ減収を二重に数えていない。純現金と継続配当を評価しても、算出した本質価値は現在の時価総額を大きく下回るため、結論は割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 505 円44 億円(+ 還元の換算額還元の合計 92 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 302 円27 億円、今との差 −53.0%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 1,167 円102 億円 | 180 円16 億円 | +109.6% | +8.4% | 162 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 875 円77 億円 | 135 円12 億円 | +57.1% | +5.0% | 182 円16 億円 |
| 中立 | 31% | 480 円42 億円 | 101 円9 億円 | −9.6% | −1.1% | 180 円16 億円 |
| やや悲観 | 25% | 158 円14 億円 | 45 円4 億円 | −68.4% | −11.9% | 51 円4 億円 |
| 悲観 | 14% | 133 円12 億円 | 23 円2 億円 | −75.7% | −13.9% | 22 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 505 円44 億円 | 92 円8 億円 | −7.2% | −0.8% | 596 円52 億円 |
今の株価時価総額 643 円56 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 利用定着と省人化を両立 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,167 円102 億円
TUNAGの2026年以降の新規導入は労働組合や現場企業を中心に進み、一時的には会社の中期計画に近づく。労働組合の総数を2035年に約2万組合と仮定すると、TUNAG for UNIONが600組合ほどを維持してシェアを約3%へ上げる。2035年にはAIによって情報共有画面の利用者が減るが、同社は複雑な権限管理と社内の合意形成を支える基盤として顧客関係を保ち、2025年に近い契約企業数を維持する。月額単価も強い値上げではなく、運用定着に見合った範囲の上昇となる。
FANTSはクリエイターの集客とTUNAGベネフィットとの連携が機能し、既存コミュニティの残存率が高まる。導入支援はAIで効率化され、案件数こそ増えないが、複雑な案件に絞ることで単価と粗利益を維持する。Watchyは大きな収益源にならないものの赤字負担が縮む。開発人員の生産性向上で営業利益率が改善し、経営陣は高額買収を避けて配当も継続する。
2025年を上回る全社売上は実現しても、2035年の売上構成はもはや過去の席課金の単純延長ではない。会社が語る独自データの強みが実際の契約の継続と再投資利回りに転換された結果として、上側の価値が生まれる。
- TUNAGの継続利用料:数量 1,230(年度平均の利用企業数(社))× 価格 0.00(企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 11 億円。TUNAG継続料は操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- TUNAGの導入支援・研修等:数量 300(年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。人月・工数型の導入支援、研修と設定作業。数量は実質、単価は名目。
- FANTSコミュニティ基盤:数量 440(年度平均の運営コミュニティ数(件))× 価格 0.00(1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。会員運営の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- Watchy IT資産・ログ管理:数量 5,600(契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計))× 価格 0.00(PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。PC操作ログ・資産管理の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替で2035年より先の名目成長率g_long=0%。RONIC=k+通常の堀で残る超過利益の半分×(事業ROE−k)とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k≒12.90倍を上限そのものに採用。今の市場PERや他社倍率は根拠に使わない。余剰現金の税後受取利息は利益から差し引き、帳簿現金に株主への戻り方0.75を別に掛ける。
確率:2026年の導入増加・99%の継続率が先々も効く最善の見通し。ただし金額が確認できたAIの新規独立売上はないので、強気でも操作画面型SaaSと工数型の数量を2025年水準超には増やさない。
やや楽観 18% 高い継続率を守りつつ成熟 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 875 円77 億円
ノンデスクワーカーと労働組合に対するTUNAGの営業活動が奏功し、2029年頃まで会社の成長目標を追う。労働組合向けは約520組合、同市場の約2.6%を得るが、業界全体での独占には至らない。その後はMicrosoftなど大手の統合業務アプリとAIエージェントが普及し、余分な画面への支出は抑制される。しかし、既存顧客の情報共有と組織施策の運用に同社が必要とされ、契約企業数の減少は小幅にとどまる。
FANTSも料金体系を月額中心へ変更した効果で運営者が残り、競合との価格差を限定できる。研修や導入支援は定型部分が自動化されるが、現場に合わせた支援は生き残る。拡大期に投じた開発費の一部が実を結び、販管費を物価上昇に合わせて増やしても全社では二桁の営業利益率を保つ。
経営陣は大きな買収に踏み込まず、財務余力を再投資と配当に分ける。顧客との関係性は残るものの、規制で守られた独占企業ではないため、2035年からさらに強く成長することは前提にしない。
- TUNAGの継続利用料:数量 1,169(年度平均の利用企業数(社))× 価格 0.00(企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 9 億円。TUNAG継続料は操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- TUNAGの導入支援・研修等:数量 285(年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型の導入支援、研修と設定作業。数量は実質、単価は名目。
- FANTSコミュニティ基盤:数量 405(年度平均の運営コミュニティ数(件))× 価格 0.00(1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。会員運営の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- Watchy IT資産・ログ管理:数量 5,040(契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計))× 価格 0.00(PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。PC操作ログ・資産管理の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替で2035年より先の名目成長率g_long=0%。RONIC=k+通常の堀で残る超過利益の半分×(事業ROE−k)とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k≒12.90倍を上限そのものに採用。今の市場PERや他社倍率は根拠に使わない。余剰現金の税後受取利息は利益から差し引き、帳簿現金に株主への戻り方0.75を別に掛ける。
確率:TUNAGの継続率と労働組合の専門営業を評価する一方、大手の既存システムへの統合が進むと想定する。強気はサービス数量を2025年以下に制限し、値上げはSaaSの10年1.15倍以下にとどめる。
中立 31% 導入拡大のあとAIに収益単位を奪われる 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 480 円42 億円
TUNAGの導入企業は当面増え、2026年上期の好調な受注や会社の2029年目標は短期の事業展開を後押しする。ただし、2030年代に入ると汎用AIエージェントが社内通知の要約、申請の実行、研修の定型作業を統合し、企業が複数の業務画面に払う料金を減らす。TUNAGの契約企業数は2025年の通年平均の約8割に戻り、名目単価の上昇も10年で約1割にとどまる。労働組合向けは約400組合を維持しても、2035年の組合総数を約2万と仮定したシェアは約2%にとどまる。
初期導入・研修はAIで工数が減り、案件数は2025年の約65%となる。価格は人件費の上昇をすべて転嫁できず、現場への定着支援の付加価値だけが残る。FANTSはDMMオンラインサロンやFaniconと競い、コミュニティ数が8割に減るが、既存の長期契約と一部の単発売上は維持する。Watchyも大手IT資産管理ソフトへの機能統合で契約端末数を減らす。
開発と営業の共通費は物価とともに上がり、AIによる作業効率改善だけでこれを相殺できない。それでも継続課金と顧客基盤によって営業黒字を守り、配当を減らさず資金を残す。留保利益で自己資本は膨らむため、10年後のROEは過去の中央値より低い。
- TUNAGの継続利用料:数量 984(年度平均の利用企業数(社))× 価格 0.00(企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 7 億円。TUNAG継続料は操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- TUNAGの導入支援・研修等:数量 195(年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型の導入支援、研修と設定作業。数量は実質、単価は名目。
- FANTSコミュニティ基盤:数量 352(年度平均の運営コミュニティ数(件))× 価格 0.00(1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。会員運営の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- Watchy IT資産・ログ管理:数量 4,200(契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計))× 価格 0.00(PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。PC操作ログ・資産管理の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替で2035年より先の名目成長率g_long=0%。RONIC=k+通常の堀で残る超過利益の半分×(事業ROE−k)とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k≒12.90倍を上限そのものに採用。今の市場PERや他社倍率は根拠に使わない。余剰現金の税後受取利息は利益から差し引き、帳簿現金に株主への戻り方0.75を別に掛ける。
確率:AI代替の型に従いTUNAG・FANTS・Watchyの数量をおおむね0.75〜0.80倍、SaaS単価を1.10倍前後、工数型案件数を0.65倍とする。2026年の成長実績は途中の利益に認めるが、2035年まで無条件に続かない。
やや悲観 25% 大手への機能吸収で利益が細る 利益 0 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 158 円14 億円
職場向け情報共有の基本機能はMicrosoftやLINE WORKSなどに吸収され、TUNAGは特徴ある一部の顧客にしか追加契約を維持できなくなる。労働組合分野の顧客関係は残るが、申請や通知の大半がAIから直接実行されるため、契約社数は2025年の約7割、名目単価もわずかな上昇にとどまる。労働組合向けも約270組合となり、仮定した2035年の組合母数に対するシェアは約1.4%へ下がる。企業が連絡機能を追加契約する理由が弱まり、販売費は簡単に減らせない。
FANTSも大規模なファンコミュニティ基盤やクリエイターの直販に押され、単発販売の手数料率が縮む。導入支援は定型の研修と業務設計が自動化され、案件数が2025年の55%に減る。2029年に向けて採用した人材と開発組織は整理しきれず、全社の利益率は大幅に低下する。
ただし、これまでの事業の黒字と現金の積み上げが残り、会社が直ちに消えるわけではない。役員貸付の一部に回収遅延が起きても、現預金で事業を続けられる。価値は現在の簿価よりも、売れる資産と乏しい稼ぐ力が中心となる。
- TUNAGの継続利用料:数量 861(年度平均の利用企業数(社))× 価格 0.00(企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 4 億円。TUNAG継続料は操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- TUNAGの導入支援・研修等:数量 165(年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型の導入支援、研修と設定作業。数量は実質、単価は名目。
- FANTSコミュニティ基盤:数量 308(年度平均の運営コミュニティ数(件))× 価格 0.00(1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。会員運営の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- Watchy IT資産・ログ管理:数量 3,360(契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計))× 価格 0.00(PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。PC操作ログ・資産管理の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替で2035年より先の名目成長率g_long=0%。RONIC=k+通常の堀で残る超過利益の半分×(事業ROE−k)とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=1/k≒12.90倍を上限そのものに採用。今の市場PERや他社倍率は根拠に使わない。余剰現金の税後受取利息は利益から差し引き、帳簿現金に株主への戻り方0.75を別に掛ける。
確率:既存の大手業務サービスやクラウドの機能統合とAIによる工数代替が同時に進み、サービス数量が長く減る事態を想定する。継続率の現状が良いため即座に消滅する可能性とは分けて評価する。
悲観 14% 画面の役割を失い構造的赤字 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 133 円12 億円
顧客企業は従業員の質問・申請・連絡をAIエージェントに一本化し、TUNAGの操作画面を独立して購入する必要がなくなる。残るのは導入初期に深く使い込んだ企業や一部の労働組合で、契約企業数は2025年の約半分、単価も名目で低下する。労働組合向けは約150組合に縮み、同市場のシェアも1%未満となる。研修や設定支援は顧客がAIで自動化し、従来の工数課金の大半を失う。
FANTSではクリエイターが既存SNSや決済基盤へ移り、会員管理の販売手数料が下がる。WatchyのIT資産・端末ログ管理は大手の統合管理基盤へ吸収される。会社全体の売上は2025年の約半分まで落ち、固定費を減らしても営業赤字となる。株価が低迷することで担保に取った自社株の価値も下落し、役員向け貸付金の一部に損失を認識する可能性が高まる。
それでも現金の残高と回収できる運転資産が一定の価値を残すため、ここでは直ちに倒産するとまでは決めない。営業赤字に利益倍率を掛けず、2025年時点の自己資本と純現金を目安に悲観の価値を測る。
- TUNAGの継続利用料:数量 650(年度平均の利用企業数(社))× 価格 0.00(企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。TUNAG継続料は操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- TUNAGの導入支援・研修等:数量 120(年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計))× 価格 0.02(1案件当たり売上(億円/件、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型の導入支援、研修と設定作業。数量は実質、単価は名目。
- FANTSコミュニティ基盤:数量 250(年度平均の運営コミュニティ数(件))× 価格 0.00(1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。会員運営の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
- Watchy IT資産・ログ管理:数量 3,200(契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計))× 価格 0.00(PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。PC操作ログ・資産管理の操作画面SaaS型。数量は実質、単価は名目。
倍率:営業赤字2.35億円にPERは適用できない。今の自己資本14.8億円と純現金10.6億円の実現可能額を床として見て、今の自己資本に対し0.80倍を掛ける。2035年の自己資本14.0億円には掛けず、自社株担保の役員向け貸付5.5億円は換金可能な資産から除く。
確率:AI操作への全面移行、既存SaaS大手による統合、クリエイター直販への移行が同時に起きる厳しい構造的敗北。現時点の99%という継続率からみて必然ではないが、10年の技術変化と担保資産への波及を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
TUNAGの継続利用料
職場向け情報共有・エンゲージメントと申請支援のSaaS。顧客企業の利用契約数と企業当たり平均月額利用料が稼ぎの源。
| 数量年度平均の利用企業数(社) | 価格企業当たり月額の継続利用料(億円/社・月、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,230 | 0.00 | 29 | 6 |
| 10 年後 中立 | 984 | 0.00 | 25 | 7 |
取り方:2025年の四半期末企業数1,116・1,195・1,266・1,344社の平均約1,230社、2025年末平均MRR約20.2万円、TUNAGのストック売上比率85.7%を使用。通年平均継続単価は約19.4万円と推定。2025年のTUNAG推計売上33.4億円×ストック率85.7%≒28.6億円を満たす。2026年9月末は1,500社、継続率公称99%。営業利益は全社からの分析者配賦で公式セグメント利益ではない。AIエージェント代替の型は「席課金・操作画面SaaS」。
TUNAGの導入支援・研修等
初期設定、研修、運用定着、コンサルティングなど月額利用料以外の売上。人の工数に依存する部分が多い。
| 数量年当たり支援・導入案件数(件、分析者推計) | 価格1案件当たり売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 300 | 0.02 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 195 | 0.02 | 4 | 1 |
取り方:TUNAG全体の2025年売上を約33.4億円と分析上推計し、ストック比率85.7%以外の約4.77億円を非ストックとする。案件数の個別公表がないため、年300件×約159万円/件は検算用の明示的な推計で、会社の正式な受注件数・単価ではない。初期導入・支援収入を含み、2026年提供のAI支援は売上額開示がないので上乗せしない。AI代替の型は「人月・工数サービス」。
FANTSコミュニティ基盤
クリエイター・スクール運営者らの有料コミュニティの運営システム。月額利用料に単発売上・収益分配を含む。
| 数量年度平均の運営コミュニティ数(件) | 価格1コミュニティ当たり月額換算売上(億円/件・月、名目、単発収入込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 440 | 0.00 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 352 | 0.00 | 4 | 0 |
取り方:2025年の四半期末件数288・414・490・566の平均約440件。期末平均MRRは5.8万円だがストック売上比率は66.1%なので、期中平均の継続料約5.7万円を66.1%で割り戻し、単発収益込みの月額換算8.7万円と推定。2026年6月は667件・平均MRR6.0万円。利益は共通費配賦前の推計。AI代替の型は「操作画面SaaS」。
Watchy IT資産・ログ管理
企業内パソコンのIT資産台帳、操作ログ、情報漏えい対策と労務管理を支える小規模SaaS。
| 数量契約端末の稼働PC台数(台・年平均、推計) | 価格PC1台当たり全機能平均の月額売上(億円/台・月、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,600 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,200 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:Watchyは会社の公式サイトで2026年9月に200社以上と開示し、実売価はPC1台・1機能50円からである。2025年の個別PC契約台数・売上高は未公表であり、会社の説明における小規模売上を0.2億円と推計した上で、年平均5,600台×複数機能込み平均月300円に分解した。競争市場はIT資産管理・ログ管理で、AI代替型は一応画面型SaaSとするが、端末ログの収集需要は継続する可能性がある。
リスクと懸念
AI エージェント代替
TUNAG、FANTS、Watchyは人が画面で通知を読み、申請し、投稿を管理する設計に依存する。汎用AIが権限を得て直接処理を実行すれば、企業の契約IDや追加画面への支払いが細る。導入・研修サービスも工数で販売する限り代替される。中立ではSaaS数量を今の70〜90%、人月型を55〜75%へ縮める考え方を採用し、10年より先の成長率も名目0%に抑える。
役員向け貸付金と担保価値の連動
2025年末の役員向け長期貸付金5.5億円は、自社株95万株への質権が担保である。自社株の市場価格が下がるほど回収見込額が低下する構造にあり、2025年の有価証券報告書も将来の貸倒引当金の可能性を明記する。純現金の算定にこの貸付金を加えず、悲観では一部損失を想定する。
大手業務基盤との機能重複
Microsoft Teams・Viva、LINE WORKS、SmartHRなどの既存業務基盤が連絡、申請、従業員調査を統合すると、TUNAGを別に契約する必要性が薄れる。継続率99%だけでは価格交渉力は確定しない。平均MRRの低下が続けば顧客獲得数が増えても利益は伸びず、製品への増分投資の収益率が資本コストを割り込む。
FANTSのプラットフォーム間競争
DMMオンラインサロンは1,600以上の稼働サロンを公表し、Faniconも多数の開設コミュニティを持つ。FANTSが会員管理とコンテンツ販売を便利にしても、クリエイターがSNSや独自決済へ移れば収益分配率や月額料に下押し圧力がかかる。2025年のストック比率66.1%は改善だが、契約の長期固定を保証しない。
固定的な開発・営業費用とM&A
会社は2029年に売上100〜120億円を目指すが、採用や製品開発を先行させれば減収局面でも費用がすぐに減らない。買収によるポートフォリオ拡大は構想段階で、価格やのれん負担の実績評価ができない。将来の買収や新株予約権の行使による既存株主の取り分減少も、経営規律が試される。
情報管理と外部委託先
従業員やコミュニティ会員のデータを扱うため、本人の同意、権限設定、外部クラウドの管理が欠かせない。2026年10月には外部サービスを経由した情報への不正アクセス可能性を会社が公表したが、TUNAG本体の侵害が判明したという事実ではない。事故の範囲を区別して監視し、深刻な漏えいなら解約率と獲得費用の双方を見直す。
今後の分かれ目
- TUNAGの公称継続率99%が維持され、平均月額収益も継続的に上がる実績が3年以上確認できたら
- 運用上の切り替え費用と値決め力の両方に証拠がそろい、AI下でも契約数量と名目単価の中立前提を引き上げる。法定記録の正本に近づくかも確認する。
- 2029年の売上100〜120億円と営業利益10〜14億円が達成されたら
- 事業拡大の実行力を認める。ただし一時的な成長だけで10年後の永久成長率は変えず、契約の純増、解約、投下資本当たり利益が持続するかを追加検証する。
- TUNAGの企業数が増えるのに平均MRRが年率3%以上下がり、既存顧客の利用画面がAIへ移行したら
- 席・画面型の価格低下が現実化したと判断し、中立の単価を引き下げ、やや悲観の実現可能性を再点検する。
- AI支援や労働組合AIの継続売上が会社の開示で億円単位となり、粗利率と継続率も確認できたら
- 未検証の新規AI事業を別の数量・価格で積み上げる余地ができる。初めて成長側シナリオでAI由来の数量増を正当化できる。
- 役員向け貸付金の返済が進み、担保の同社株を処分せず現金回収が確認できたら
- 現在の帳簿資産の質とガバナンスの懸念が軽くなり、悲観での資産評価損と割引率ではなく主に下側確率を見直す。
- FANTSの月額ストック比率が80%を超え、既存コミュニティの退会・価格低下が抑えられたら
- DMMオンラインサロンやFaniconに対して定着した用途を確保したとみなし、FANTS数量と利益率の中心前提を引き上げる。
見ておくもの
- TUNAGの利用企業数、平均MRR、継続率の定義と解約率、170万IDの実稼働・課金転換
- TUNAG for UNIONの導入組合数と厚生労働省が公表する労働組合母数
- FANTSの運営コミュニティ数・平均MRR・ストック売上比率と既存コミュニティ継続率
- TUNAGの非ストック売上・人件費・開発費、2029年中期財務目標への進捗
- AIエージェント型製品の顧客実収益額と稼働実績、既存SaaSとの置き換え・共存
- 役員向け貸付金の残高・返済状況・自社株担保95万株の時価と引当金
- 契約負債、純現金、配当性向、発行済株式・新株予約権、買収に伴うのれん
- 外部委託先を含む個人情報保護事故とサービス解約への波及
倍率と資本コストの決め方
現時点の株価629円と株数8,781,400株から得る時価総額は約55.24億円であるが、数量・単価・営業利益率・資本コストを決める段階では用いていない。2025年の企業数・コミュニティ件数・ストック比率から四つの収益区分を独立に組み立て、2035年の売上を得た。数量は実質、価格は名目で、AI代替をSaaSの顧客数と単価、工数型の案件数にのみ反映した。長期成長率を名目0%とするため、楽観から中立の正当化PERは資本コスト7.75%の逆数12.90倍となる。現在のPERや同業の倍率は参照していない。悲観では2025年の自己資本14.8億円を床のPBRの分母に用い、2035年に積み上がった自己資本に床倍率を掛けていない。余剰現金は将来の残高から利息利益を除き、株主に戻る割合75%だけを足した。2027年開始事業年度からの新リース会計に伴う貸借対照表の表示変更は、ここでは家賃を営業費用として扱う同一基準にそろえた。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基準に、実績利益変動に+0.5ポイント、純現金に−0.25ポイントを適用し資本コスト7.75%とする。役員貸付とAI代替は個別の筋書きで扱う。
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