結論
テクミラホールディングスは、AIソフトウェア、IoT機器、ゲーム、健康関連サービスを傘下に持つ複合型のIT企業である。長く持つ株主の見方では、現在の時価総額約31億円に対して本質価値は約18億円と考え、結論は「割高」だ。帳簿上の自己資本は約60億円あるが、その半分を下回る時価総額だけで割安とは判断できない。価値を決めるのは、10年後も残る利益と、それを生むために必要な資本である。
同社には事業をつくる力がある。ネオスは法人向けソフトウェアやゲームを開発し、JENESISは企業向け機器の受託開発・製造を担う。2026年には新作ゲーム「カルドセプト ビギンズ」が販売を伸ばし、OfficeBotなどのSaaSも拡大している。2027年2月期上期の売上は約53億円まで回復した。ただし連結営業損益はなお赤字で、売上の増加が株主の利益に十分つながったとは言い難い。
最大の論点は、事業の組み合わせではなく、資本を増やすほど利益が増える仕組みをつくれるかだ。受託開発と画面操作型SaaSはAIエージェントに代替される可能性が高い。端末事業は中国での製造、部材価格、為替、顧客の発注数量に左右される。ゲームはヒット作が生まれれば利益が伸びるが、発売間隔やライセンス条件で成績が変わる。
中立の2036年2月期は売上約115億円、営業利益約3億円、純利益約2億円を見込む。物価上昇を含めれば売上の実質的な成長は乏しく、ROEも資本コストに届かない。上振れするには、端末事業の採算改善とゲームの継続的なヒットが必要になる。業績回復の可能性は否定しないが、それを確実な株主価値として先取りするのは早い。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主がこの会社を買うなら、最初に問うべきことは、10年後も同じ顧客から利益を得られるかである。JENESISがつくる機器には現物の需要が残る。ゲームにも人が楽しむという変わらない需要がある。しかし、顧客が同じ製造委託先、同じゲーム開発者、同じAIソフトウェアを選び続ける保証はない。今ある売上を長期の所有者利益とみなすのは危険だ。
本当の堀がある会社は、値上げしても顧客が離れにくく、追加投資の一部が高い利回りで利益を生む。テクミラは新事業を生むことには成功してきたが、事業を増やした結果として安定した高ROEを実現したわけではない。新規開発に必要な人材、販路開拓、ソフトウェアの更新、端末の在庫を考えれば、純利益のすべてを自由に配れる状態とは言えない。利益が細い時期にも必要な開発費は残る。
一方、経営が資本配分を変える余地はある。採算の低い受託開発を縮小し、端末製造の運転資金を圧縮し、継続課金のうち本当に解約されにくい製品へ集中すれば、同じ売上規模でも株主の利益は増える。ゲームの成功で得た現金を低収益事業に再投入せず、還元に回す選択もできる。これは強いシナリオを支える重要な道筋だ。
ただし、実現していない改善に大きな価値を払うべきではない。約60億円の自己資本には、のれんや開発ソフトウェアなど、事業が失敗すれば回収しにくい資産が含まれる。帳簿の厚さよりも、将来の純利益を資本コストで評価する方が株主の安全域を正しく表す。筆者は、収益性が継続して改善し、余剰資本が実際に還元されるまでは慎重な評価が妥当だと考える。
何で稼ぐ会社か
事業は公式開示上、AI&クラウド、IoT&デバイス、ライフデザインの3つに分かれる。2026年2月期の売上構成は、それぞれ約25億円、約53億円、約26億円だった。事業の性質が大きく異なるため、長期評価ではAI&クラウドをSaaSと受託開発に、ライフデザインをゲームと健康・決済・採用関連に分けて考える。
AI&クラウドでは、ネオスが法人向けAIチャットサービス「OfficeBot」や「SMARTアドレス帳」などを提供する。利用企業から継続的に料金を受け取るサービスと、顧客ごとのシステム開発を請け負う仕事が混在する。新たに「OfficeAI社員」も提供しているが、サービスの発表と、十分な利益を伴う継続契約の獲得は別の話だ。独立したAIエージェント収益の規模は確認できず、既存受託業務が置き換わるリスクを先に織り込む。
IoT&デバイスの中核はJENESISである。顧客企業が企画する通信端末、見守り機器、タブレットなどを設計・製造するODM事業に加え、aiwaブランドの端末も販売する。顧客の製品が売れるほど端末の受注数量が増えるが、顧客は製造委託先を変更できる。中国・ベトナムなどの生産拠点を使うため、部品調達や人民元の動きも利益率を左右する。
ライフデザインには性質の異なる仕事が集まる。ゲームでは「クレヨンしんちゃん」シリーズの販売実績があり、2026年7月発売の「カルドセプト ビギンズ」も初期の販売成果を公表した。一方、Wellmiraの「カロママプラス」、医療向け「KarteConnect」、決済関連サービス、Retoolの採用支援などは、法人への導入、継続利用、追加開発から収益を得る。これらをゲームと同じ利益率で評価するのは危険だ。
グループには共通管理費、のれん償却、開発投資がある。2026年2月期は各事業の利益を足すと相応の額になるのに、連結営業利益は約0.7億円にとどまった。子会社それぞれの売上拡大より、最終的に親会社株主へ残る利益を見なければならない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、一つの技術に依存せず、新しい製品やサービスを形にしてきた経験である。携帯電話向けコンテンツから法人向け開発へ、さらにIoT端末、ゲーム、AIサービスへと事業を変えてきた。製品開発力と、JENESISが持つ設計から製造までの対応力には顧客から選ばれる理由がある。ただし、こうした実行力と、価格を自由に引き上げられる堀は同じではない。
SaaSは継続契約が増えれば顧客獲得費を回収しやすくなる。しかし、OfficeBotやアドレス帳について、年間解約率5%未満、数年を要する移行作業、法令対応を伴う記録の正本、値上げ後の解約抑制といった堀の証拠を複数確認できない。KDDIの販売料金改定は参考になるが、それだけでテクミラ自身の値上げ力を立証できない。医療・健康データも、独自データの蓄積が収益上の排他的な優位につながっているとまでは判断できない。
IoTは顧客との共同開発により次の製品を受注しやすい面がある。ただし、製造技術、調達網、価格で競う事業であり、強いブランド独占ではない。aiwaも低価格帯の端末市場でアップル、レノボ、国内外の製造・販売事業者と競合する。ゲームの開発・海外展開には成功例があるが、外部キャラクターの権利に依存する作品では、ヒットによる利益がすべて自社の恒久的な資産になるわけではない。
資本効率には厳しい評価が必要だ。2020年2月期の営業利益は約9億円だったが、2026年2月期は約1億円である。この間、自己資本は約49億円から約60億円へ増えた。買収やソフトウェア開発への投資を続けても、増分の資本が安定的に資本コストを上回る利益を生んだとは言えない。2026年2月期の純有利子負債は約1億円で極端な財務危機ではないが、過去の純現金が縮んだ点も無視できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内ITサービス市場はIDCの2024年推計で約7兆205億円であり、基幹システムの刷新やクラウド移行によって需要が支えられている。富士通の統合報告書に掲載されたIDCの同年の数値では、富士通の国内ITサービス売上は約1兆4,225億円で市場の約20%に相当し、日立製作所、NEC、NTTデータはそれぞれ約17%の規模である。テクミラのAI&クラウド売上約25億円はこの市場の約0.04%にすぎず、価格を主導する立場ではない。ただし、会社のセグメントとIDCの市場定義は一致しないため、この比率は規模を知るための参考値である。
AIアプリケーションには成長市場がある。富士キメラ総研は国内の対話型生成AIアプリケーション市場を2025年度約132億円、2029年度約498億円と予測している。しかし、市場全体の成長が既存のSaaS事業者の成長になるとは限らない。Microsoft 365 Copilot、GoogleのGemini、企業内で動くAIエージェント、PKSHAなどの国内専業者が同じ法人予算を争う。利用者が操作画面を開かなくなれば、顧客数と利用単価の関係そのものが変わる。
IoT&デバイスでは、MM総研による2025年度の国内タブレット出荷台数は811万台で、アップルが約61%を占める。同調査は2026年度の出荷減少も予測しており、教育端末の更新特需を恒久需要とみなすべきではない。テクミラはGPS端末や受託製造も扱うため、タブレットの市場占有率を直接求めることはできない。競争相手は国内端末ブランドだけでなく、中国・台湾の大規模ODM事業者や顧客自身の調達部門でもある。10年後の数量は、市場全体の拡大よりも、既存顧客の次期製品を継続受注できるかに左右される。
ゲームでは、2025年の国内ゲームコンテンツ市場が約2.59兆円に達している。ただし、同社の売上は世界市場も含み、国内市場との単純な比率はシェアにならない。任天堂や大手パブリッシャーに比べると規模はごく小さく、個々の作品の出来と権利条件が収益を決める。Wellmiraが関わる法人向けヘルスケアソリューション市場については、2025年度約394億円という調査があるものの、医療、決済、採用支援を含む同社のライフデザイン売上とは範囲が一致しない。
産業全体に共通する変化は、物価が年3%上がっても顧客が同じ価格上昇を受け入れるとは限らないことだ。端末の部材費は上がり、受託開発の工数はAIで減り、SaaSの利用画面はエージェントに置き換わる。むしろ数量が減っても顧客の仕事に残るサービスを持てる会社と、単なる作業の請負先にとどまる会社の差が開く10年になる。
資本政策と M&A
2023年に公表した2028年2月期を目標とする中期経営計画では、売上高140億円、EBITDA22.7億円、経常利益14億円、純利益8.5億円、ROE10.7%を掲げていた。5年間の営業キャッシュフロー約50億円を見込み、事業投資30億円、M&A・ベンチャー投資20億円、配当と自社株買いを含む株主還元10億円を構想した。配当性向は約20%を目安とし、目標年度の配当総額約1.7億円、DOE約2.1%という数字も示していた。
ところが2026年2月期の純利益は赤字で、2027年2月期上期も営業損失が残った。旧計画の達成には当初の想定を大きく超える回復が要る。会社は計画を見直しており、2026年10月時点では改定後の新たな数値目標を約束していない。公表予定は同年12月とされている。足元の年間配当総額は約0.6億円であり、かつて示した還元目標への進捗にも距離がある。
JENESISの取得、Wellmiraの連結、Retoolへの出資など、M&Aは新領域への参入を支えてきた。一方で、複数の事業を維持する管理費とのれんが増え、買収後の利益改善には時間を要している。2026年2月期の貸借対照表には、のれん約12億円とソフトウェア・開発中ソフトウェア合計約14億円が計上されている。これらは将来の収益化を前提とした資産で、失敗したときの換金価値は低い。
大株主の一人が約16%を保有するが、会社を強く支配する65%以上の株主持分が確認される状況ではない。過去5年間には配当実績がある一方、大規模な継続的自社株買いや高い総還元性向は確認できない。将来積み上がる余剰現金が株主へ戻る割合は75%として評価する。設備や開発費に投じた現金が、帳簿上の資産ではなく十分な利益として戻ってくるかが経営の試験になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
テクミラは単なる人月売りのIT企業ではない。JENESISは企画、設計、製造、量産管理を横断でき、顧客の次世代IoT製品に深く関わる。aiwaの販売が黒字へ転じ、ベトナムを含む調達・生産拠点の多様化も進んだ。中国製造への依存を下げながら、見守り端末やAI対応タブレットを継続受注できれば、部材価格の上昇を吸収する力が育つ。端末事業の売上が伸び、薄い利益率も改善する可能性がある。
ゲームでも実績が生まれている。「クレヨンしんちゃん」作品群の累計販売実績に加え、「カルドセプト ビギンズ」は発売後の初期販売が好調だった。家庭用ゲーム市場が新型機への移行期を迎える中、海外向けの販売と既存タイトルの長期販売を組み合わせれば、作品ごとの収益を積み上げられる。ゲームは開発費を回収した後の追加販売から利益が出やすい。新作を継続的に供給できる体制が整えば、ライフデザイン事業の採算は現在より安定する。
AI&クラウドでもOfficeBotの導入は拡大している。受託開発の工数が減ること自体は避けられなくても、AIを使った高度な導入支援に仕事を移し、SaaSの提供単価を守れる可能性がある。健康関連サービスが法人の福利厚生や医療現場に定着すれば、端末とゲーム以外にも継続収益が生まれる。複数の事業で営業黒字が広がれば、グループの共通費を吸収し、資本効率は改善する。
2023年の中期計画は未達の色が濃いが、計画が遅れていることと事業に価値がないことは違う。投資の成果が数年遅れて現れ、経営が不採算事業を整理できれば、連結利益は急回復し得る。10年の間に買収や事業再編による改善が進み、株主還元も増えれば、現在の時価総額を上回る企業価値が実現する。
慎重な見方
事業の多角化は、強みの分散ではなく管理費の積み重ねになっている可能性がある。2020年2月期には約9億円の営業利益を稼いだが、その後、自己資本が増えたにもかかわらず利益は大きく減った。子会社を増やして売上を積み上げても、のれん償却、ソフトウェア開発、間接部門の費用が残れば、株主の利益は増えない。低いROEが一時的ではなく経営構造を反映しているなら、帳簿価額まで株価が戻る理由はない。
AIエージェント代替は特に深刻だ。受託開発の仕事は、人がコードを書き、テストし、画面をつくる工数で価格が決まりやすい。AIがその工程を短縮すれば、顧客は従来と同じ人月を買わない。OfficeBotのような検索・対話サービスも、MicrosoftやGoogleの標準機能、企業内の独自エージェントに吸収され得る。医療や採用のソフトウェアにも同じ圧力がある。現在の顧客接点が10年後の継続収益に変わるとは限らない。
端末事業では、自社の製品がヒットするかを顧客が左右し、製造コストは部材メーカーと為替に左右される。2026年の決算説明でも、人民元の高止まりや半導体メモリ価格の上昇が利益を圧迫する要因として挙げられた。大手ODMやブランドメーカーに対抗して値上げできる力は限定的だ。ゲームも新作の発売がない年度には売上が減り、人気キャラクターの権利を永久に保有しているわけではない。
2028年に純利益8.5億円を稼ぐという旧計画と、直近の赤字には大きな隔たりがある。投資先の収益化が遅れれば、開発ソフトウェアやのれんが減損される。現金はあっても借入金と運転資金の約束があり、株主が資産を自由に売却できるわけではない。事業が構造的に競争力を失った場合の価値は、自己資本60億円より相当に低くなり得る。
どちらに重みを置いたか
新製品を生む力と事業再編の余地は評価できるが、安定した高収益を示す実績では慎重な見方が勝る。とりわけ、AIエージェントに置き換わる売上が無視できないこと、端末事業の価格決定力が弱いこと、買収後も連結利益率が低いことが重い。上側の確率を27%、下側を42%とし、中立31%を挟んで下に寄せる。これはAIによる縮小を確率で二重に引いた結果ではなく、事業別の縮小を中立の数量に反映したうえで、M&Aの資本配分失敗と端末・ゲームの変動リスクを別に評価したためである。低PBRに対して割安の結論を先に決めず、最終的な価値と時価総額の差から「割高」と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 273 円33 億円(+ 還元の換算額還元の合計 47 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 152 円18 億円、今との差 −36.8%、 期待の年率 +3.1%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 910 円110 億円 | 99 円12 億円 | +318.9% | +16.7% | 101 円12 億円 |
| やや楽観 | 17% | 451 円54 億円 | 66 円8 億円 | +114.8% | +8.6% | 88 円11 億円 |
| 中立 | 31% | 199 円24 億円 | 50 円6 億円 | +3.0% | +0.3% | 77 円9 億円 |
| やや悲観 | 27% | 118 円14 億円 | 33 円4 億円 | −37.4% | −5.1% | 41 円5 億円 |
| 悲観 | 15% | 80 円10 億円 | 12 円2 億円 | −61.6% | −9.6% | 14 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 273 円33 億円 | 47 円6 億円 | +33.0% | +3.1% | 321 円39 億円 |
今の株価時価総額 241 円29 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 端末の量産とゲームの連続ヒットが利益を生む 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 910 円110 億円
JENESISは見守り機器や業務用AI対応端末の受託製造で既存顧客との関係を強める。ベトナムなどの生産拠点活用と部品調達の改善が進み、端末換算台数は現在より大きく増える。aiwaは低価格帯で販売数量を確保しつつ、商品構成を改善する。IoT&デバイスは大型の受注を積み重ね、グループ利益の柱になる。
ゲームでは、既存作品の長期販売に加えて新作の成功が続く。「カルドセプト ビギンズ」の後にも海外で販売できる作品が生まれ、作品開発の費用を十分に回収する。Wellmiraなどのサービスも採算が改善し、赤字事業への資金投入が減る。M&Aは既存事業の補強に限り、大きな減損を伴わない。
AIソフトウェアが市場全体として伸びても、AIエージェントによる作業代替は避けられない。受託開発の数量は縮小し、SaaSの契約換算数量もほぼ横ばいにとどまる。それでも、より難度の高い導入支援や顧客業務への組み込みによって価格を維持する。端末とゲームから得る利益が間接費を吸収し、2036年には営業利益約14億円、純利益約9億円を稼ぐ。この成績が続けば資本コストを上回るROEを回復し、配当と自社株買いの余地も広がる。
- AI&クラウド:法人SaaS・AI検索:数量 490(法人年間契約換算件数(件、分析上の推計))× 価格 1,955,000(1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。契約換算数量0.98倍、単価1.15倍。AI代替を免れる想定ではなく、収益性の高い顧客へ集中する。
- AI&クラウド:受託開発・AI導入支援:数量 103(年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計))× 価格 17,944,830(技術者1人年当たりの実現売上(円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。技術者換算数量0.82倍、単価1.34倍。複雑な導入案件への移行が進む。
- IoT&デバイス:ODM・aiwa端末:数量 320,000(端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計))× 価格 37,064(1台換算当たり売上(円、名目))→ 売上 119 億円・営業利益 10 億円。端末数量1.60倍、単価1.40倍。大型ODM案件と生産効率改善が同時に進む。
- ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ:数量 360,000(ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計))× 価格 6,300(1件換算当たり正味売上(円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。有料コンテンツ換算数量1.80倍、単価1.40倍。新作と海外展開の成功が継続する。
- ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech:数量 137(法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計))× 価格 13,972,515(1案件換算当たり年間売上(円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。案件換算数量0.98倍、単価1.16倍。法人向け事業を採算のよい案件へ絞る。
倍率:2036年のROEは9.29÷98.4=約9.44%で資本コスト8.5%を上回る。堀はweakなので超過収益が残る割合を1/3とし、RONICは約8.81%。10年より先の名目gを1.0%とした正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限約11.82倍を使う。現在のPERや同業の取引倍率は用いない。
確率:ODMの大型継続受注、aiwaの収益改善、新作ゲームの継続的成功、グループ管理費の吸収が同時に実現する場合である。複数の異なる事業で成功が必要なため、上振れの可能性は認めつつ低い確率にとどめる。
やや楽観 17% 端末採算が改善し、新作ゲームも続く 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 451 円54 億円
ODMは顧客の次期端末を安定して受注し、部材調達の混乱も平常化する。販売台数は現在より増えるが、世界の大手製造事業者から顧客を大量に奪うほどの拡大ではない。aiwaはタブレットと周辺機器の販売を続け、極端な在庫損失を出さない運営に近づく。IoT事業の利益率は緩やかに改善する。
ゲームは新作を定期的に発売でき、旧作の海外販売も利益を支える。ただし、すべての作品がヒットするわけではなく、開発費の回収に時間がかかる年度も残る。健康・医療・採用の法人サービスは収益化が進むが、大規模な標準プラットフォームになるほどではない。M&Aで売上を増やすよりも、既存子会社の利益改善が経営の中心になる。
AIエージェントが受託開発の作業量を減らし、AI検索サービスにも価格競争が生じる。それでも、会社は得意な顧客業種を絞って一定の単価を維持する。10年後の営業利益は約7億円、純利益は約5億円となり、現在より明らかに稼ぐ力が強まる。ただし積み上がった自己資本に対してROEはなお資本コスト未満であり、すべての留保利益を高い価値で評価できる段階には届かない。
- AI&クラウド:法人SaaS・AI検索:数量 460(法人年間契約換算件数(件、分析上の推計))× 価格 1,921,000(1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。数量0.92倍、価格1.13倍。既存法人顧客を維持して粗利を確保する。
- AI&クラウド:受託開発・AI導入支援:数量 93.8(年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計))× 価格 17,409,163(技術者1人年当たりの実現売上(円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量0.75倍、価格1.30倍。人月の減少を高付加価値案件で部分的に補う。
- IoT&デバイス:ODM・aiwa端末:数量 250,000(端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計))× 価格 35,740(1台換算当たり売上(円、名目))→ 売上 89 億円・営業利益 7 億円。数量1.25倍、価格1.35倍。ODM受注とaiwaの商品構成が改善する。
- ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ:数量 260,000(ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計))× 価格 6,120(1件換算当たり正味売上(円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。数量1.30倍、価格1.36倍。新作が継続的に市場へ出る。
- ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech:数量 126(法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計))× 価格 13,852,062(1案件換算当たり年間売上(円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。数量0.90倍、価格1.15倍。不採算の個別開発を抑え黒字を維持する。
倍率:2036年のROEは約5.62%でk8.5%に届かない。超過収益を伴わない再投資に成長価値を認めず、利益の稼ぐ力の上限1÷k=11.7647倍を適用する。g_long1%による成長価値を重ねて加算しない。
確率:aiwaの黒字化、ODMの生産効率改善、新作ゲームの発売実績には一定の裏付けがある。一方、連結利益の改善はまだ初期段階であり、強気側の中心には据えない。
中立 31% 端末とゲームは残るが、連結利益は薄い 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 199 円24 億円
JENESISは既存顧客への端末供給を維持するが、受注が特定製品に偏るため数量は大きく増えない。物価上昇に伴う価格改定は進むものの、部材費も上がり、ODMの利益率改善は緩やかにとどまる。aiwaは端末事業の一部として存続するが、強い価格決定力を持つブランドには育たない。
ゲームでは定期的に新作が発売され、旧作の配信も収益を支える。作品による当たり外れがあるため、連結全体を恒久的な高利益率企業に変えるほどの貢献は見込まない。WellmiraやRetoolなどの法人向けサービスは一定の顧客を維持するが、導入支援の工数減少と汎用AI機能との競争により、数量を伸ばすことが難しくなる。
AI&クラウドの受託開発では、AIによって必要な人月が減る。SaaSも企業の画面操作を前提とした部分がエージェントに代替され、契約換算数量は減少する。料金は多少上昇しても物価全体には追いつかない。会社は人員配置と外注費を調整し、管理費を抑制するが、複数の事業を維持するコストは残る。
結果として売上高は約115億円、営業利益は約3億円、純利益は約2億円となる。売上は現在を上回るが、物価上昇を除けば事業規模は縮小している。ROEは過去10年の中央値に近い低水準であり、成長のために資本を使っても高い収益を得られない。現在の連結体制が存続する、慎重な中心シナリオである。
- AI&クラウド:法人SaaS・AI検索:数量 410(法人年間契約換算件数(件、分析上の推計))× 価格 1,870,000(1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替の席・操作画面型。数量0.82倍、単価1.10倍。
- AI&クラウド:受託開発・AI導入支援:数量 80.0(年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計))× 価格 17,007,413(技術者1人年当たりの実現売上(円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型。数量0.64倍、単価1.27倍。
- IoT&デバイス:ODM・aiwa端末:数量 188,000(端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計))× 価格 34,416(1台換算当たり売上(円、名目))→ 売上 65 億円・営業利益 5 億円。現物製造型。実質数量0.94倍、単価1.30倍。
- ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ:数量 230,000(ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計))× 価格 6,030(1件換算当たり正味売上(円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。ゲーム・コンテンツ換算数量1.15倍、単価1.34倍。
- ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech:数量 109(法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計))× 価格 13,490,704(1案件換算当たり年間売上(円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。業務SaaSと導入支援の混合型。数量0.78倍、単価1.12倍。
倍率:2036年のROEは2.04÷71.4=約2.86%で、資本コスト8.5%を大きく下回る。再投資による追加の価値を認めず、稼ぐ力に対する上限1÷k=11.7647倍を使う。過去や現在のPBRの低さは倍率の根拠としない。
確率:端末の需要とゲームの新作投入は続く一方、AIエージェントが人月・席型事業の数量を削り、間接費の負担も残るという中心的な見通しである。経営計画の大幅達成も、事業崩壊も中立の前提にはしない。
やや悲観 27% AI代替と端末競争で採算が再び悪化する 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 118 円14 億円
受託開発では、顧客がAIエージェントを使って新しいシステムをつくるようになり、外注する人月を大きく減らす。OfficeBotなどの対話型ソフトウェアにも汎用AI製品との価格競争が広がる。契約更新の際に利用企業の一部が他社へ移り、値上げは難しくなる。医療や採用関連の法人サービスも、販売費を十分に回収できない案件が残る。
IoT&デバイスでは、主要顧客の新機種投入が遅れ、製造委託先の見直しが起きる。数量の低下を補おうとして安い案件を受注するため、部材高を販売価格に転嫁できない。aiwaも市場シェアを広げられず、販促費と在庫管理の負担が残る。ゲームは新作の販売が想定を下回り、開発費を回収するまでに時間がかかる。
会社は人員や拠点を見直すが、ソフトウェア開発、顧客対応、グループ管理の費用をすぐには減らせない。過去のM&Aで取得した事業の一部を整理し、のれんや開発ソフトウェアの価値も見直す。売上は約87億円となり、営業損失約3億円、純損失約2億円が続く。
配当は縮小され、利益を稼がない資産に対する評価も厳しくなる。ただし、端末とゲームにはなお取引先や作品価値があり、会社が直ちに消滅する状態ではない。事業継続価値と売却可能な資産の双方を意識し、時価総額は現在より大幅に小さい水準となる。
- AI&クラウド:法人SaaS・AI検索:数量 360(法人年間契約換算件数(件、分析上の推計))× 価格 1,734,000(1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。契約換算数量0.72倍、価格1.02倍。更新時の値下げ圧力が強まる。
- AI&クラウド:受託開発・AI導入支援:数量 65.0(年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計))× 価格 15,668,247(技術者1人年当たりの実現売上(円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。人年数量0.52倍、価格1.17倍。稼働率も低下する。
- IoT&デバイス:ODM・aiwa端末:数量 156,000(端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計))× 価格 32,298(1台換算当たり売上(円、名目))→ 売上 50 億円・営業利益 2 億円。数量0.78倍、価格1.22倍。価格転嫁と在庫管理が難しくなる。
- ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ:数量 150,000(ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計))× 価格 5,535(1件換算当たり正味売上(円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍、単価1.23倍。新作の販売が弱い。
- ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech:数量 91.0(法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計))× 価格 12,527,082(1案件換算当たり年間売上(円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.65倍、価格1.04倍。利益をほとんど残せない。
倍率:赤字が続くためPERではなく、将来の自己資本53.4億円に対する事業の処分・再編価値で評価する。PBR0.266は53.4億円のうち回収可能とみる部分から求めた評価で、過去の市場PBRを根拠にしていない。時価総額14.20億円は、現時点の純現金と売却可能資産から見積もる約9.5億円の保守的な床を上回る。
確率:下に寄せる理由:過去に赤字を繰り返し、直近も受託開発の需要鈍化と高い共通費が確認される。AI代替による中立の縮小だけでなく、ODM顧客の減少やゲーム開発の失敗が重なる会社固有のリスクを反映する。
悲観 15% 主力顧客と製品競争力を失い、資産処分が価値の中心になる 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 80 円10 億円
AIエージェントが法人システムの開発、検索、操作を広く引き受け、顧客は従来の人月契約や独立したAIチャット画面を必要としなくなる。ネオスの受託開発規模は大幅に縮小し、OfficeBotの継続契約も減る。健康・採用関連ソフトウェアでは顧客数が減り、顧客企業への個別開発や販売支援の費用が売上に見合わなくなる。
JENESISは主要ODM顧客の機種更新を失い、競合する大規模メーカーへの発注移管が進む。aiwaも量販市場で十分なブランド力を築けず、販売台数が減る。ゲームではヒット作の後継を継続的に生み出せず、コンテンツの長期販売収入も縮小する。会社は不採算事業の閉鎖、拠点縮小、保有資産の売却を進める。
売上は現在のおよそ半分の約53億円となり、営業損失は約4億円、純損失は約3億円に達する。残る管理費はなお重く、開発中ソフトウェアやのれんの減損も避けられない。配当は早期に縮小し、累計還元は限定的となる。増資が必要になる場合には既存株主の取り分がさらに薄まる可能性もあるが、ここでは未確定の希薄化を時価総額に機械的に織り込まない。
この状態では成長を前提とした利益倍率に意味はない。現金、回収可能な債権、在庫、投資資産などを売って債務と処分費用を支払った後に残る額が価値の中心となる。完全な倒産・無価値は基本の悲観にせず、売却可能資産を保守的に数えた水準を床として扱う。
- AI&クラウド:法人SaaS・AI検索:数量 260(法人年間契約換算件数(件、分析上の推計))× 価格 1,445,000(1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。契約換算数量0.52倍、価格0.85倍。AI標準機能への代替が進む。
- AI&クラウド:受託開発・AI導入支援:数量 45.0(年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計))× 価格 12,722,081(技術者1人年当たりの実現売上(円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人年数量0.36倍、価格0.95倍。開発受託の事業規模が崩れる。
- IoT&デバイス:ODM・aiwa端末:数量 110,000(端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計))× 価格 27,798(1台換算当たり売上(円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。数量0.55倍、価格1.05倍。主要顧客喪失と価格競争が起きる。
- ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ:数量 100,000(ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計))× 価格 4,950(1件換算当たり正味売上(円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量0.50倍、単価1.10倍。開発費の回収が難しい。
- ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech:数量 70.0(法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計))× 価格 10,840,744(1案件換算当たり年間売上(円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.50倍、単価0.90倍。法人サービスの採算が崩れる。
倍率:営業赤字と純損失が続き、継続的な利益からPERを求められない。2036年の自己資本40.6億円には換金できない無形資産や事業継続費用がなお含まれるため、回収可能性に基づくPBR0.238を用いる。40.6×0.238=9.6628億円で、純現金と売れる資産の税後・費用控除後の保守的な床9.5億円をわずかに上回る。過去の安値PBRは使わない。
確率:AI受託・SaaSの収益モデルが崩れ、端末の大口顧客も失い、ゲーム新作が不振になる複合的な負け筋である。過去の赤字経験と買収・開発資産の厚さを踏まえ、発生確率を小さくしすぎない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AI&クラウド:法人SaaS・AI検索
OfficeBot、SMARTアドレス帳などの継続課金サービス。企業単位の契約と利用者単位の料金が混在する。
| 数量法人年間契約換算件数(件、分析上の推計) | 価格1契約換算件当たり年間実現売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 500 | 1,700,000 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 410 | 1,870,000 | 8 | 2 |
取り方:会社のAI&クラウド売上25.23958億円のうち、SaaS相当8.5億円を分析上推計した。OfficeBotは月額10万円台からの提供例があり、SMARTアドレス帳には利用者ごとの料金体系があるが、会社は製品別契約社数と売上を開示していない。年間契約500件換算、平均170万円という数量と価格は実績の開示値ではなく、サービスの料金水準と販売形態から組み立てたもの。AIエージェント代替の分類は、BOT単位課金を含む操作画面・対話型SaaSであり、中立の数量は現在の0.82倍、価格は1.10倍とする。法令対応の正本型に格上げする証拠は不足する。
AI&クラウド:受託開発・AI導入支援
顧客企業向けのDX・システム開発、AI機能の組み込み、個別導入・運用支援。
| 数量年間稼働技術者換算人数(人年、分析上の推計) | 価格技術者1人年当たりの実現売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 125 | 13,391,664 | 17 | 0 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 17,007,413 | 14 | 1 |
取り方:AI&クラウドの公式売上25.23958億円から、SaaS相当の推計8.5億円を除いた16.73958億円を受託・導入支援の分析区分とする。グループ従業員501人には製造・ゲーム・管理部門も含まれるため、受託向け125人年、1人年約1339万円という推計を使用した。人数・単価は会社の開示値ではない。AIエージェント代替の分類は人月・工数型。中立で数量0.64倍、価格1.27倍とし、顧客の内製化と自動生成による請求工数の減少を反映する。
IoT&デバイス:ODM・aiwa端末
JENESISによる通信・見守り端末、タブレット等の設計製造とaiwaブランド製品の販売。
| 数量端末換算生産・販売台数(台、分析上の推計) | 価格1台換算当たり売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 200,000 | 26,474 | 53 | 3 |
| 10 年後 中立 | 188,000 | 34,416 | 65 | 5 |
取り方:公式のIoT&デバイス売上52.94794億円を起点とする。会社はODM端末、タブレット、GPS機器などの合計販売台数と平均単価を開示していない。20万台換算、約2.65万円という数量・単価は、国内タブレット市場811万台というMM総研の統計と、同社が比較的低価格の端末や専用機を扱う事実から構築した推計である。GPS・海外・法人受託製造が混在するため、20万台を国内タブレットの実シェアへ読み替えない。AIエージェントが代替する人月・席・広告ではなく現物の製造事業なので代替型の対象外とする。中立の実質数量0.94倍、単価1.30倍とし、部材高と顧客の価格交渉を考慮して物価上昇率を下回る価格改定にとどめる。
ライフデザイン:ゲーム・キッズコンテンツ
家庭用ゲームの企画・開発・販売、海外配信、既存ゲームの長期販売と関連コンテンツ。
| 数量ゲーム販売・有料コンテンツ換算件数(件、分析上の推計) | 価格1件換算当たり正味売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 200,000 | 4,500 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 230,000 | 6,030 | 14 | 2 |
取り方:ライフデザイン売上25.86338億円のうちゲーム相当を9億円と推計した。『クレヨンしんちゃん』ゲームシリーズが約5年間で累計110万本を販売したという公表値から、旧作・海外販売・関連コンテンツを含めて年間20万本相当の販売換算数量を採用する。1件4500円は販売手数料・流通・販売地域を含む正味売上の推計であり、個別作品の実勢販売価格ではない。2026年7月発売の新作は2026年2月期の売上に含まれない。ゲーム作品の最終需要はAIエージェントに直接置き換わらないため、人月型の数量制約は適用しない。
ライフデザイン:HealthTech・医療・決済・HRTech
Wellmiraのカロママプラス、KarteConnect、決済サービス、Retoolの採用・人材関連ソフトウェアなど。
| 数量法人年間稼働案件換算件数(件、分析上の推計) | 価格1案件換算当たり年間売上(円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 140 | 12,045,271 | 17 | −2 |
| 10 年後 中立 | 109 | 13,490,704 | 15 | 1 |
取り方:公式ライフデザイン売上25.86338億円から、ゲーム相当の推計9億円を差し引いた16.86338億円を法人向けHealthTech・医療・決済・採用関連の分析区分とする。企業・医療機関等との年間案件140件、平均約1205万円を契約換算値として仮定した。個別顧客数、案件平均単価、サブスク比率は非開示なので、会社の実績件数と混同しない。操作画面中心のSaaSと人の導入・運用支援が混在するAIエージェント代替対象である。中立の数量0.78倍、価格1.12倍は、席課金型と人月型の混合として保守的に設定した。医療データという名称だけでは『記録の正本』型の条件を満たさない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
受託開発は人月・工数で、OfficeBotなどは法人による操作・対話を前提とするソフトウェアとして収益化している部分がある。AIエージェントが開発、資料検索、システム操作を肩代わりすれば、従来と同じ技術者数や契約ID数を販売できなくなる。健康・採用関連サービスの一般的な事務機能にも代替圧力が及ぶ。独自データや規制対応という堀が立証されない部分では、過去の市場成長率を10年先へ延長しない。
ODMの顧客集中と部材・為替リスク
2026年2月期はダイワボウ情報システム、ソラコム向けの売上がそれぞれ全社の1割を超える規模だった。大口顧客の次期端末が他社製造へ移れば、設備と人員の固定費を抱えたまま受注数量が減る。中国で調達・製造する部品の人民元建てコスト、メモリなどの価格上昇は、顧客との単価交渉が遅れるほど利益率を傷める。
ゲームの発売間隔とライセンスへの依存
「クレヨンしんちゃん」シリーズや「カルドセプト ビギンズ」の成功は評価できるが、作品の人気と権利条件が将来の販売本数を左右する。外部キャラクターの利用権は永続的な独占資産とは限らず、開発費も先に発生する。新作の発売がない年度には既存作品の販売減少が業績へ現れるため、一度のヒットを継続的な高利益として評価しない。
買収・開発投資の資本効率
JENESIS、Wellmira、Retoolなどをグループに加え、事業領域を広げてきたが、連結利益率は低いままである。管理費やのれん償却が各事業の利益を吸収すれば、売上拡大は株主価値を増やさない。開発中ソフトウェアの資産計上は将来の利益を前提とし、収益化が遅れれば減損と追加投資の両方が起きる。新しいM&Aを増やすより、既存事業の投下資本利益率を確認すべきだ。
財務と帳簿上の安全域の取り違え
自己資本約60億円に対して時価総額が約31億円と小さいが、自己資本の中にはのれんや開発ソフトウェアなど事業継続を前提にした資産が含まれる。現金約29億円だけを見ても、借入金約30億円や買掛金などの負債を無視できない。事業が赤字になれば現金は運転資金と撤退費用に使われるため、PBR1倍を回復することが当然とは言えない。
経営計画の遅延と株主還元
2023年の中期経営計画は2028年2月期に純利益8.5億円、ROE10.7%を目指したが、2026年2月期は純損失となった。改定計画は2026年10月時点で未公表であり、従来の目標と足元の利益の隔たりを慎重に扱う必要がある。新たな投資を続けても利益が回復せず、配当と自社株買いも増えなければ、少数株主が享受する価値は帳簿上の蓄積を下回る。
HealthTech・採用関連事業の顧客定着
健康アプリや医療支援、採用支援には需要があるが、利用者が増えることと導入企業が高い料金を継続して払うことは別である。医療機関や法人の業務システムへの組み込みには営業費用がかかり、汎用AIや競合サービスへの切り替えも起こり得る。解約率、導入企業当たり売上、追加契約の採算が開示されるまでは、健康データを保有しているという理由だけで強い堀とは扱わない。
今後の分かれ目
- 改定中期経営計画で、営業利益・純利益・ROEに加え、M&A投資額と配当・自社株買いの数字が具体的に示されたら
- 旧計画との違いを精査し、投資額に対して利益と現金がどれだけ増えるかを確認する。還元の具体的な約束と実行が伴えば、余剰現金の株主帰属割合を見直す。
- AI&クラウドの受託売上が縮小しても、SaaSの契約数・解約率・継続課金売上が改善し、連結営業利益も増えたら
- AIエージェント代替を乗り越えた部分について数量・価格の見通しを上方修正する。ただし、AIサービスの発表だけでは楽観側に移さず、実際の契約金額と利益を確認する。
- JENESISの主要顧客から次期製品の継続受注が確認でき、ODMの数量増と原価率低下が同時に続いたら
- IoT&デバイスの楽観側の実質数量と営業利益率を引き上げる。一方、顧客が製造委託先を変更した場合は数量を直ちに引き下げる。
- ゲームの新作が複数年度にわたり販売を伸ばし、開発費を回収した後の継続利益が確認できたら
- ライフデザインの数量と利益率を上方修正する。新作の初動本数だけでなく、海外販売、追加配信、ライセンス条件、開発費回収の実績を見る。
- 連結営業利益率が継続して5%を超え、投下資本の増加を伴わずに現金収支も改善したら
- 不採算事業と共通管理費の問題が構造的に改善したと考え、中立の利益を引き上げる。売上成長だけでなく、増分ROICが資本コストを上回ったかを重視する。
- のれん・開発ソフトウェアの大きな減損、または新たな株式発行を伴うM&Aが発表されたら
- 資産回収額と既存株主の取り分を再評価する。希薄化が確定した場合はholder_shareを明示して各筋書きの価値を見直し、帳簿の自己資本を安全域として扱わない。
見ておくもの
- 2026年12月を目処とした改定中期経営計画の公表、2028年2月期目標と株主還元数値の有無
- AI&クラウドのSaaS売上成長率、実際の契約社数・解約率・顧客単価
- 受託開発の技術者稼働率、単価、AI導入支援の受注額と粗利益
- JENESISのODM受注数量、大口顧客の次期製品採用、中国元・部材価格の影響
- aiwa事業の四半期利益、端末在庫残高、販促費と返品の動向
- 新作ゲームの累計販売本数、地域別販売、発売間隔と開発費回収
- Wellmira・Retool・KarteConnectの法人導入数、継続契約と採算
- 連結営業利益と経常利益の差、のれん償却・開発費・営業キャッシュフロー
- 借入金、投資有価証券、開発中ソフトウェア、のれんの残高推移
- 配当総額、自社株買い実績、発行済株式数から自己株式を控除した株数の変化
倍率と資本コストの決め方
株価257円、株数12069552株から現在の時価総額は31.01874864億円となるが、この値をセグメントの数量・価格、利益率、倍率を決める根拠には使っていない。公式の3セグメント売上を、SaaS、受託、端末、ゲーム、法人サービスの5つに分け、未開示の数量・価格は推計と明示した。中立ではAI代替対象の数量を契約型0.82倍、受託型0.64倍、法人ソフト混合型0.78倍とし、物価上昇は価格にのみ含めた。端末は現物需要、ゲームは作品販売で別に評価した。
資本コストは基本7.5%に利益変動と値決め力の合計1.0%を加えた8.5%である。10年後より先の成長率は1.0%、堀はweakとし、楽観でROEがkを超える場合はRONICに基づく正当化PER、やや楽観・中立でROEがk以下の場合は1÷kの上限をそのまま使った。やや悲観・悲観では赤字事業の稼ぐ力と売却可能資産を確認し、過去のPBRの底は使用していない。
5つの確率は楽観10%、やや楽観17%、中立31%、やや悲観27%、悲観15%。時価総額と期間中の還元をkで割り引くと現在の本質価値は約18.4億円で、現在の時価総額より約40.7%低い。株式分割や自己株の二重控除はしていない。2027年4月以後開始年度からの新リース会計では資産・負債の表示が変わり得るが、将来の営業利益は現行と比較可能な費用区分で考えた。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業の利益変動と価格決定力の弱さから合計1.0%を加えた。規模や株価βを理由にした上乗せはしない。直近の連結純損失は続くが、営業損益は通期で黒字を維持し、保有現金もあるため、存続懸念に対する追加上乗せはしない。
同じ業種(情報・通信業)の AI 分析
読んだ資料
- テクミラホールディングス 2027年2月期第2四半期決算説明資料(2026年10月15日)
- テクミラホールディングス 2026年2月期有価証券報告書・財務開示
- テクミラホールディングス 2023年公表の中期経営計画原文
- テクミラホールディングス 経営トップメッセージ・事業進捗
- IDC Japanの国内ITサービス市場調査と富士通統合レポート2025
- MM総研 2025年度国内タブレット端末出荷台数調査
- 富士キメラ総研 2026年生成AI・AIエージェント市場調査
- KADOKAWA ファミ通ゲーム白書2026 国内ゲーム市場調査
- デロイト トーマツ ミック経済研究所 法人向けヘルスケアソリューション市場調査