結論
Kaizen Platformは、企業のウェブサイト改善、動画制作、デジタルマーケティング、システム開発を手掛ける会社である。筆者の結論は「割高」だ。純現金は厚いが、事業の稼ぐ力が弱く、株主がその現金を受け取れる道筋もまだ見えない。
2025年12月期の売上高は約43.5億円だったが、営業利益は約0.3億円にとどまった。プロフェッショナル事業が売上の約90%を占め、その事業は営業赤字である。収益を支えたのは小規模なクラウド事業だった。2026年上期には再び連結営業赤字に転落し、会社自身が生成AIによる小中規模の制作案件の減少を説明している。これは将来の脅威というより、すでに現れている需要構造の変化だ。
会社は受託制作からAIを使った業務変革支援へ移ろうとしている。Kaizen AI CloudやKaizen Insight Agentの提供も始めた。クラウド売上が伸びている点は評価できるが、新しいAI製品だけでどれだけ稼ぎ、どれだけ顧客を囲い込めるかはまだ明らかでない。開示された成果と、今後の期待は区別したい。
一方、財務には見落としやすい価値がある。2025年末の現金同等物から借入金を差し引いた純現金は約12.7億円だが、3か月超の定期預金も含めると約22.5億円になる。これは現在の時価総額約18億円を上回る。しかし、運転資金を残し、収益不振が長引く費用と現金の回収可能性を考える必要がある。
10年後の5つの筋書きを確率で評価し、資本コストと潜在的な希薄化を反映した本質価値は約10.5億円となった。現在の時価総額より約41%低い。資産の厚みは倒れにくさを支えるが、それだけでは長く持つ株主に十分な収益をもたらさない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、まず10年後にも顧客が自発的に高い料金を払ってくれるかを問う。サイト改善そのものは残る仕事だが、制作・運用を人に頼む必要性は弱まっている。顧客がAIを使って同じ改善を実行できるようになれば、外部の制作会社が持つ技術や人材の価値は目減りする。現時点で、その競争を避けられるほど深い堀はない。
クラウドには別の可能性がある。企業のサイトに一度組み込まれた実行基盤が、独自の顧客データや業務処理と結びつけば、長く使われる製品になりうる。2025年の営業黒字化は、その可能性を示した。ただし、競合からの切り替えを防ぐ強さを証明するには、継続率、利用企業の増加、契約単価の推移、実際の営業キャッシュフローを数年分見たい。
稼いだ利益を再投資する際の利回りには、現状では高い評価を与えにくい。買収で得た事業は売上を増やしたが、資本コストを十分に上回る利益を継続して生んでいない。新たなAI関連投資についても、受注の発表と株主に帰属する現金の増加は区別する。赤字の事業を縮小して余剰資金を守る選択も、立派な資本配分である。
一方で、この会社を単なる赤字のIT企業として扱うのも間違いだ。3か月超の定期預金を含む純現金は、現在の時価総額より大きい。借入負担も相対的に軽く、直ちに資金繰りで追い込まれる姿ではない。しかし、現金を保有している会社の少数株主は、それを自由に引き出せない。配当がなく、買収や赤字補填に使われれば、帳簿上の価値がそのまま株主の価値にはならない。
筆者が払いたいのは、現金の額面に加えて将来の高収益を無条件に認める価格ではない。実際に利益を稼ぎ、資本を効率的に使い、株主へ戻す経路が見えて初めて安全域が広がる。現在は事業の再構築が途上にあり、長期保有に必要な予測可能性が不足している。
何で稼ぐ会社か
事業はプロフェッショナルとクラウドの2つに分かれる。売上の約90%を占めるプロフェッショナルでは、企業のサイト改善、動画制作、マーケティング運用、DXコンサルティング、システム開発を請け負う。大企業のデジタル部門やマーケティング担当者が顧客であり、案件の継続、制作量、外部専門人材の稼働、案件単価が収益を決める。
国内の制作・開発体制にはディーゼロやKaizen Tech Agentが組み込まれている。自社社員だけでなく、外部のデザイナーや技術者も活用する。固定的な人員を増やさず多様な需要に応えられる反面、顧客にとって外部委託先を替える選択肢も多い。2025年の国内プロフェッショナル売上は約37.5億円、米国売上は約1.6億円だった。米国事業については2026年3月末を予定日として休止が決議され、今後の売上構成には含めにくい。
クラウドでは、サイト改善やA/Bテストを支えるKAIZEN ENGINEを軸に、データ分析や顧客体験の改善機能を提供する。2025年の売上は約4.46億円で、営業利益は約1.21億円だった。2024年までの赤字から大きく改善した背景には、売上の伸びに加えて償却負担の終了がある。したがって、利益改善の全部を継続的な価格決定力とみなすことはできない。
2026年にはKAIZEN ENGINE for Extension、Kaizen AI Cloud、Kaizen Insight Agentを投入した。既存システムに大規模な改修を施さずAIを業務に組み込む発想は、導入の手間を減らす。2026年上期のクラウド売上は前年同期比約25%増えた。ただし、同時に先行開発などの負担も発生し、同事業の利益率は前年から低下している。
顧客数には注意が要る。2025年の有価証券報告書にある全社の取引顧客数は545である。一方、決算説明資料の事業別指標には、プロフェッショナル7,707件、クラウド2,424件という年間累計の取引アカウント数が登場する。後者は同じ会社が複数回計上される延べ取引単位であり、7,707社の独立した顧客が存在するという意味ではない。数量予測には、この違いを保ったまま用いる。
優良さと弱いところ
同社の強みは、制作、開発、データ分析を一体で請け負い、顧客の改善施策を比較的速く実行できることである。サイト改善の実績や顧客との関係、外部人材のネットワークには価値がある。クラウドが既存サイトに組み込まれていれば、乗り換えには一定の検証や再設定も必要になる。しかし、他社がまねできない規制上の地位や、業界全体が依存する記録基盤は確認できない。
価格決定力には厳しい証拠がある。2025年の国内プロフェッショナルでは、年間累計の取引アカウント数が増えた一方、開示された平均売上単価は前年の約60.3万円から約48.7万円に下がった。件数を増やしても売上と利益を守れなかったという事実は、単価交渉力が強くないことを示す。2026年には生成AIによって小中規模の制作案件が減っていると会社自身が述べた。
クラウドはより評価できる。2025年に売上が増え、営業黒字への転換を果たした。2026年にもAI関連機能が売上に寄与し始めている。ただし、解約率が年5%未満であるという定量的証拠や、法令対応のために導入を続けなければならない性質、値上げを長期にわたり通した実績は確認できない。独自データの蓄積も、競争相手を長く排除できるかという点では立証が足りない。
資本効率も弱い。2020年以降、営業利益が安定して積み上がる状態になっておらず、過去6年のROE中央値は約マイナス1.9%である。2025年のROEも約1%にすぎない。買収によって売上規模は広がったが、新たに投じた資本が株主資本コストを超えて稼ぐことはまだ示されていない。
純現金と約70%の自己資本比率は明確な長所だ。それでも、競争上の堀は弱いと判断する。財務の安全性と事業の優良さを同じものとして扱わず、追加投資が価値を生むかを厳しく見たい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
企業のデジタル顧客接点を改善する需要自体は、10年後にも残るだろう。高齢化が進む日本でも、企業は既存顧客の維持、問い合わせの削減、購買率の改善、業務の省人化を求め続ける。ただし、需要があることと、その仕事を外注制作会社が今の料金体系で受注できることは別問題である。
会社の2025年決算説明資料では、顧客接点DXの国内市場について、2023年の約5,051億円から2030年の約9,451億円への拡大見通しを紹介している。この統計を同じ価格水準で延長すると、2025年市場は約6,040億円になる。これに対する同社の国内売上約42億円は、単純比較で約0.7%である。市場の範囲と同社の事業区分は完全には一致しないため、公認のシェアではなく規模感を示す試算だ。
プロフェッショナルの競争相手には、電通デジタル、サイバーエージェント、トランスコスモスなどのデジタル支援会社がいる。大企業向けの業務変革ではアクセンチュアなどとも案件が重なる。クラウドではAdobe Target、Optimizely、AB Tasty、VWOなどの改善・実験ツールが比較対象となる。これらの企業は事業区分や会計上の売上範囲が異なり、同じ分母で比較できる個社シェアは確認できなかった。競合のシェアを数字だけで作ることはしない。
最大の変化はAIエージェント代替である。バナー制作、動画の編集、サイトの改修案、広告運用の調整、テスト結果の分析は、人が時間をかけて納品する仕事から、顧客がAIに指示して実行する仕事へ移りうる。制作市場ではすでに小規模案件の減少が表れている。デジタル市場全体の金額が拡大しても、人月や制作物ごとの外注需要が増えるとは限らない。
クラウドも安全地帯ではない。従来は人が管理画面でテストを設定し、結果を読んで次の施策を決めた。その一連の操作をAIエージェントが直接実行すれば、管理画面そのものの価値と席数が減る可能性がある。一方、サイトの実行基盤や企業固有のデータ連携が残れば、クラウド提供者が一定の価値を取る余地はある。
業界全体のDX投資は拡大しても、同社が取り込める外注工数は縮むという見方を中立に据える。プロフェッショナルの数量は今後10年で約65%、クラウドの利用単位は約80%になる。会社が既存事業をAIで効率化するだけでは、顧客の支払額を維持できない。成果に応じた課金へ転換し、顧客にとって不可欠なデータ連携を握れるかが市場内の立ち位置を左右する。
資本政策と M&A
経営は買収によって事業領域を広げてきた。2021年にディーゼロを子会社化し、2023年には完全子会社とした。2022年にはハイウェルを買収し、その後残りの持分も取得した。これによりウェブ制作とエンジニアリングの人材・顧客基盤が加わったが、2025年末には約4.61億円ののれんが残っている。売上規模の増加に比べて営業利益とROEの改善は小さく、過去の買収が高い増分資本利益率を生んだとは言い難い。
米国事業は、事業の一部をSepteni Americaへ移した後、収益改善の不確実性が高いとして2026年に休止を決めた。拡大を追うだけでなく撤退を判断したことは評価できる。しかし、過去の海外投資が長期の株主利益に結びつかなかったことも確かである。
2025年と2026年予想の年間配当はゼロである。継続的な大規模自社株買いの実績も確認できず、株主への現金還元は乏しい。2026年12月期の単年度予想は売上高46億円、営業利益0.4億円、純利益0.2億円だが、2026年上期は営業損失約1.17億円だった。下期の利益回復を前提とする計画の達成には不確実性がある。
確認した事業計画・成長可能性に関する説明では、複数年の中期経営計画として売上高、営業利益、ROE、ROICを数値で約束する方針は確認できなかった。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの金額についても数字の約束なしである。
手元資金をAI製品の開発と収益性の低い事業の立て直しに使う判断には合理性がある。ただし、再投資の利回りが資本コストを超えなければ、株主還元のほうが価値を守る。今後の増資や新株予約権の行使による希薄化も、既存株主の取り分として監視したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社の見方を変える最大の材料は、純現金の厚さとクラウド事業の収益性である。2025年末の現金・預金から借入金を引いた額は約22.5億円で、時価総額より大きい。資金繰りに追われず製品開発と事業整理を進められる財務余力があり、収益構造さえ改善すれば企業価値が大きく変わる余地がある。
クラウドは2025年に売上を約33%伸ばし、営業利益約1.21億円を生んだ。2026年上期も売上成長が続き、生成AI関連の機能がすでに収益へ寄与し始めている。KAIZEN ENGINEの導入企業に対して、新たな分析機能やAIエージェントを追加販売できれば、既存顧客への販売効率が上がる可能性がある。顧客ごとのデータ連携が深まれば、競合への切り替えも簡単ではなくなる。
プロフェッショナルは制作会社から企業のAI実装を支援する会社へ変わりつつある。大量の小口制作案件を追うより、複雑なシステムを持つ大企業に高単価の開発・業務変革サービスを提供するほうが、少ない案件数でも利益を出せる。ディーゼロとKaizen Tech Agentの人材を組み合わせれば、企画から実装まで対応できる。2026年の米国事業休止も、経営資源を国内に集中する契機となる。
案件数が従来より少なくなっても、低採算案件を整理して採算を改善できれば、プロフェッショナルは利益を生む事業に変わる。クラウドが高い利益率を維持し、受託部門が黒字を定着させれば、現在の小さな利益から大きく伸びる余地がある。さらに配当や自社株買いが始まれば、これまで株主に届かなかった現金の価値も顕在化しうる。
慎重な見方
最大の問題は、会社の主力商品が技術によって安く作れるようになっていることだ。ウェブページの制作、動画編集、広告施策の立案、成果の分析は、AIが最も早く仕事を奪う領域に近い。すでに2026年上期の説明で、小中規模の制作案件が大幅に減っていると会社自身が認めている。これは景気循環だけでは説明しにくい構造的な変化である。
売上の約90%を占めるプロフェッショナルが営業赤字という事実は重い。2025年には国内取引の件数が増えても、平均単価の低下で売上が減った。案件の組み合わせを高単価に変える戦略は理解できるが、アクセンチュアや大手デジタル代理店との競争も厳しくなる。AI実装支援の需要が増えても、そこから十分な利益を得られる保証はない。
クラウドの堀も、まだ証明されたとはいえない。A/Bテストやウェブ分析は、AIエージェントが管理画面を経由せず直接実行できる仕事でもある。Adobeなどの大手プラットフォームが同様の機能を標準搭載すれば、小規模な独立サービスの価格決定力は弱まる。2025年のクラウド黒字化には償却負担の終了という要素も含まれ、今後の開発費が増えても同じ利益率が続くとは限らない。
純現金の多さも、それだけでは投資成果を約束しない。2026年上期の赤字が続けば資金は減り、のれんを含む資産の換金価値も帳簿どおりとは限らない。これまで配当と大規模自社株買いの実績が乏しく、再投資による高いROEも確認できない。10年先の株主に必要なのは、現金残高ではなく現金を生む仕組みと、その現金を受け取れる確かな経路である。
どちらに重みを置いたか
財務の余力とクラウドの成長は評価するが、現段階では慎重な見方が強い。中立でも主力の受託件数は減り、利益率の回復は小幅にとどまる。確率は楽観側23%、中立31%、悲観側46%とした。下に寄せたのはAIリスクを確率でも重ねたためではなく、2026年上期の実際の営業赤字、米国事業の休止、過去の低い資本効率、還元実績の不足を踏まえたためである。
その結果、現在の純現金の厚さを評価しても、10年後の利益と株主への還元を割り引いた価値は現在の時価総額を下回る。見直しのきっかけは、AI商品の発表そのものではなく、継続的な顧客収益、営業利益、資本効率、株主還元が数字として改善することである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 140 円24 億円(+ 還元の換算額還元の合計 2 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 62 円11 億円、今との差 −39.0%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 367 円63 億円 | 11 円2 億円 | +274.8% | +14.5% | 30 円5 億円 |
| やや楽観 | 15% | 253 円43 億円 | 6 円1 億円 | +156.1% | +10.0% | 39 円7 億円 |
| 中立 | 31% | 104 円18 億円 | 0 円0 億円 | +2.6% | +0.3% | 32 円5 億円 |
| やや悲観 | 28% | 90 円15 億円 | 0 円0 億円 | −10.9% | −1.1% | 25 円4 億円 |
| 悲観 | 18% | 84 円14 億円 | 0 円0 億円 | −16.5% | −1.8% | 15 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 140 円24 億円 | 2 円0 億円 | +40.2% | +3.5% | 142 円24 億円 |
今の株価時価総額 101 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% AI実装への転換が成功し、利益を生む事業に変わる 利益 4 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 367 円63 億円
プロフェッショナルは小規模な制作案件への依存から抜け、大企業のAI実装、データ連携、業務改善の支援へ重心を移す。ディーゼロとKaizen Tech Agentの開発体制が機能し、案件数は今より減っても、複雑な案件を効率よく実行できるようになる。米国事業の休止で不採算の海外業務も整理され、国内の顧客基盤に資源が集中する。
クラウドはKAIZEN ENGINEの導入企業に対して、AIによる分析や業務実行機能を追加販売する。AdobeやOptimizelyなどとの競争は続くが、既存システムに手を加えず導入できる利便性が評価され、現在の利用単位をほぼ維持する。利用企業のデータ連携が深まることで、価格を維持しながら高い利益率を実現する。
大型買収に頼らず既存事業を再構築し、営業キャッシュフローを積み上げる。事業への再投資と並行して、初めて小規模な株主還元も行う。もっとも、AIによる顧客側の自動化を前提としているため、最も明るい筋書きでも制作・受託の数量が昔の水準を超えるとは考えない。事業の強さは件数拡大ではなく、残る仕事から利益を取れる能力として現れる。
- プロフェッショナル:数量 7,090(国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる)× 価格 0.01(延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円)→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。延べ取引数量は2025年の約92%。AI実装・高難度開発への構成転換で採算を改善する。価格は2025年換算単価の約1.31倍。
- クラウド:数量 2,424(年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる)× 価格 0.00(延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。数量は現在と同じでAIエージェント代替の楽観上限を守る。名目単価は約1.15倍、利益率は30%。
倍率:資本コスト8.75%、10年より先の名目成長率g=0%。事業のROEは約9.3%でkをやや上回り、弱い堀の残存割合1/3からRONICは約8.9%となる。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.43倍をそのまま採用する。時価総額は余剰現金24億円に対応する税後利息0.336億円を純利益から除き、(4.4−0.336)×11.4286+24×0.75=約64.45億円。自己資本は現在約29.8億円から10年間の累積利益約19億円、還元2億円、潜在的な行使払込約0.3億円を反映した概算である。
確率:制作市場の縮小を上回る収益構造の改善と、クラウドの高収益維持の両方が必要である。AI関連新製品の独立した販売額はまだ確認できず、従来型の案件減少も始まっているため、実現可能性は限定的と考える。
やや楽観 15% 高単価案件への転換が進み、収益力が持ち直す 利益 3 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 253 円43 億円
企業のAI実装需要は継続し、プロフェッショナルが制作・マーケティングの受託から、顧客のデータやシステムを扱う開発支援へ移る。取引数量は減るものの、高付加価値案件への絞り込みで単価と利益率が改善する。顧客がAIを直接使って小さな制作作業を済ませる流れは止まらないが、既存システムとの接続や業務設計には外部の支援が残る。
クラウドでは、既存のサイト改善サービスにAI機能を組み合わせ、取引単位の減少を一定程度抑える。継続契約と利用量に応じた収益を取り込めるものの、海外大手の製品との価格競争は続く。2025年の利益率を完全に維持するのではなく、新たな開発費と顧客支援の費用を差し引いた収益性に落ち着く。
米国事業の撤退と国内事業の再編により、資本を使う領域が絞られる。利益を蓄積しながら、限定的な株主還元を開始する。ただし、過去の買収で生じたのれんを埋め合わせるほど高い増分資本利益率が長期間続くかはなお不透明であり、経営の規律が改善を左右する。
- プロフェッショナル:数量 6,166(国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる)× 価格 0.01(延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円)→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。延べ取引数量は2025年の約80%、名目単価は約1.28倍。高難度開発の比率上昇で営業利益率5.5%。
- クラウド:数量 2,182(年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる)× 価格 0.00(延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。延べ取引数量は2025年の約90%、単価は約1.15倍。開発投資後の利益率24%。
倍率:資本コスト8.75%、長期の名目成長率0%、弱い堀の残存割合1/3。10年後ROEは約6.6%で資本コストを下回るため、正当化PERの上限は1/k=11.43倍である。余剰現金22億円の税後利息0.308億円を除く事業利益に上限PERを使い、(2.75−0.308)×11.4286+22×0.75=約44.41億円。自己資本は10年間の累積利益約12.6億円から還元1億円を引き、行使払込を加えた概算。
確率:AI実装支援への転換と国内顧客の深耕には一定の事業基盤がある。既存のクラウド売上成長も追い風だが、主力の制作案件減少と大手競合との競争を考えれば、収益改善の成功はまだ確認段階にある。
中立 31% 制作の数量減少を受け入れ、小幅黒字を維持する 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 104 円18 億円
顧客接点DXの市場全体は広がるが、AIが制作・運用・分析の多くを自動化し、外部への発注工数は減る。プロフェッショナルは大型案件とAI実装支援を残すものの、小中規模の制作需要の喪失を完全には埋められない。案件数は10年間で現在の約65%になり、物価上昇の一部を単価に転嫁することで売上の落ち込みを和らげる。
クラウドは既存顧客と一定の利用量を維持するが、操作画面や分析機能がAIエージェントに置き換わるため、取引単位は減る。Kaizen AI Cloudなどの機能は既存契約の価値を守る役割を果たすものの、新製品だけで大きな市場シェアを獲得するとは見込まない。海外の大手ツールや企業内製のAIとの競争が続き、値上げは限定的となる。
米国事業の休止で不要な費用を抑え、国内の制作・開発体制を再編する。プロフェッショナルはわずかに黒字を確保し、利益の大部分をクラウドが生む。買収は抑制し、利益は事業と手元資金に残す。安定配当を始めるほどの強い現金創出力には届かず、株主にとっては資産の厚みに支えられた、低収益の小規模IT企業としての10年になる。
- プロフェッショナル:数量 5,010(国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる)× 価格 0.01(延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円)→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。延べ取引数量は2025年の約65%。国内制作の減少を大型案件で一部補い、価格は約1.28倍。営業利益率は0.5%にとどまる。
- クラウド:数量 1,939(年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる)× 価格 0.00(延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。取引数量は2025年の約80%、名目単価は約1.10倍。AI機能の開発・保守負担を反映して営業利益率18%。
倍率:資本コスト8.75%、長期名目成長率0%。10年後ROEは約2.2%でk未満となり、成長への再投資が価値を増やすとは認めず、正当化PERの上限1/k=11.43倍を採用する。余剰現金16.5億円の税後利息0.231億円を除き、(0.74−0.231)×11.4286+16.5×0.75=約18.19億円。10年の累積純利益は約3.2億円、株主還元はゼロ、潜在的な行使払込約0.3億円を想定する。足元の赤字と2026年の事業休止費用を経たうえで、2035年に小幅利益が残る見立てである。
確率:主力の制作需要減少は既に開示に現れている一方、クラウドには実際の売上と営業利益がある。大規模な成長を前提とせず、受託事業は損益均衡に近づき、クラウドが全社の小幅利益を支える状態を中心とする。
やや悲観 28% 価格競争が強まり、主力の赤字が残る 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 90 円15 億円
生成AIを使った制作の内製化が大企業にも広がり、外注先に残る仕事は複雑なシステム開発や一部のブランド施策に限られていく。プロフェッショナルの取引数量は現在の約55%へ減る。高い専門性が必要な案件では料金を守れるものの、制作・広告運用の手数料競争と外部人材の固定的な確保費用が重なり、主力部門の赤字が解消しない。
クラウドでも、顧客が汎用AIと大手プラットフォームの機能を使うようになる。独立したA/Bテストツールへの予算配分は縮み、解約や利用縮小が積み重なる。既存顧客のデータ連携を支える契約は残るが、新しい顧客の獲得費用が上がり、利益率は低下する。Kaizen AI Cloudの機能改善だけでは、既存のサービスをまとめて置き換える競合に対抗しきれない。
2026年の米国事業休止に続き、国内でも一部のサービスや拠点を縮小する。会社が持つ預金によって運転資金は確保されるが、赤字の補填と契約整理に現金が使われる。大きな買収は行わず、配当や自社株買いも再開できない。帳簿上の自己資本は残るものの、事業の稼ぐ力が弱いため、株主価値は換金可能な資産の水準に近づく。
- プロフェッショナル:数量 4,239(国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる)× 価格 0.01(延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円)→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。取引数量は2025年の約55%。名目単価は約1.22倍でも固定費を吸収できず、営業利益率マイナス2%。
- クラウド:数量 1,697(年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる)× 価格 0.00(延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。取引数量は2025年の約70%、単価は約1.05倍。解約と競争の影響で営業利益率12%。
倍率:営業赤字が残る筋書きのため利益倍率を用いず、2035年末に換金できる純現金を株主価値の中心とする。2025年末の定期預金込み純現金約22.50億円から、10年間の赤字補填と国内事業の整理・契約清算・運転資金への追加支出を合計約6.7億円と見積もり、残額15.8億円を実体資産の床とした。2025年末の自己資本約29.83億円を倍率の分母に使い、PBRは15.8÷29.83=約0.530倍である。10年後の帳簿自己資本24.3億円を積み上げてから床の倍率を掛けない。のれん約4.61億円や売却価格の裏付けのない投資持分約1.12億円を換金資産へ加算しない。中立の時価総額18.19億円÷10年後の自己資本33.3億円=約0.546倍を下回り、過去の市場PBRも根拠にしていない。
確率:2026年上期のプロフェッショナル事業は実際に大きな営業赤字だった。AIによる小規模案件の減少に加え、事業再編の固定費が残れば黒字化に時間を要する。定期預金を含む純現金があるため、事業縮小が直ちに財務危機につながるとは考えない。
悲観 18% 受託事業が構造的に競争力を失い、現金を消耗する 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 84 円14 億円
企業は広告素材やサイト改善の多くをAIエージェントに直接指示し、制作・運用の外注件数が構造的に減る。プロフェッショナルは高付加価値の開発案件にも参入するが、大手SIやコンサルティング会社との差別化に失敗する。既存顧客の取引が減り、稼働率の低下と外注管理費用が重荷になる。取引数量は2025年の半分を下回り、赤字から抜けられない。
クラウドではAdobeなどの大手製品にAI実験・分析機能が取り込まれ、顧客は追加の独立サービスを契約する理由を失う。自社のAI機能も汎用モデルとの競争で差別化できず、利用単位と単価がともに下がる。サイトに埋め込まれた既存の契約は一部残るが、製品開発と顧客支援の費用を賄えるほどの利益を生まない。
国内事業の人員整理や事業売却が続き、追加のれん減損も起こりうる。今ある定期預金と預金残高は、長期の損失補填と撤退費用で減少する。新たな大型M&Aをする余力も乏しく、株主還元はゼロのままとなる。会社そのものは存続しても、事業の価値が薄れ、残った換金可能な資産が株主価値の大部分を占める。
この筋書きでは、営業赤字の会社に成長倍率を付けない。将来の帳簿上の自己資本に過去の市場PBRを掛けることも避け、営業損失を経た後に実際に残る現金性資産を価値の中心とする。
- プロフェッショナル:数量 3,468(国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる)× 価格 0.01(延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円)→ 売上 19 億円・営業利益 −1 億円。取引数量は2025年の約45%。名目単価も約1.07倍にとどまり、固定費と撤退費用の負担で営業利益率マイナス6%。
- クラウド:数量 1,333(年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる)× 価格 0.00(延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。利用数量は約55%、単価も2025年未満。独立した改善ツールの競争力を失い営業損益は均衡。
倍率:受託事業の赤字とクラウドの低迷が長引き、利益による継続企業価値を認めにくい筋書きである。定期預金込み純現金約22.50億円のうち、10年間の営業赤字や事業縮小・撤退費用で約7.7億円を使い、2035年末に残る換金可能な純現金約14.8億円を株主価値とする。今の自己資本約29.83億円に対するPBRは14.8÷29.83=約0.496倍であり、中立の約0.546倍より明確に低い。将来の帳簿自己資本20.8億円に床の倍率を掛けて価値を増やさず、のれん約4.61億円や売却の根拠がない投資持分も床に加算しない。帳簿自己資本が減る程度と現金の減り方が異なるのは、のれんの減損など現金支出を伴わない損失も含むためである。
確率:AIによる制作代替が広範囲に定着し、クラウドも大手ソフトウェアと顧客内製に押される複合的な失敗を想定する。現時点では厚い現金と一部の長期顧客があるため即時の資金不足までは前提としないが、10年の事業再建失敗は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プロフェッショナル
国内外のサイト改善、動画制作、デジタル広告・マーケティング支援、DXコンサルティング、システム開発を請け負う。案件・工数・外部専門人材の稼働に売上が連動する。
| 数量国内の年間累計取引アカウント延べ件数。実顧客社数とは異なる | 価格延べ取引アカウント1件当たりの売上高。国内ARPUに米国売上を換算配賦した億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,707 | 0.01 | 39 | −1 |
| 10 年後 中立 | 5,010 | 0.01 | 32 | 0 |
取り方:2025年12月期決算説明資料のプロフェッショナル国内取引アカウント累計7,707件、国内ARPU約48.7万円、国内売上37.53483億円を使用した。米国売上1.55255億円を足したセグメント全体の39.08739億円を同じ国内取引回数で割り、モデル上の換算単価を約50.72万円とした。実際に米国で7,707件の取引があったという意味ではない。米国事業は2026年に休止したため、将来の海外売上を当然には見込まない。AIエージェント代替の分類は人月・工数型および広告の制作・運用型で、全社売上の89.8%に相当する。中立の実質数量は現在の約0.65倍、名目単価は約1.28倍であり、AI代替の指定範囲に収めた。人件費の物価上昇は単価側にのみ入れ、外注制作・広告運用の値下げ圧力との相殺を見込む。
クラウド
KAIZEN ENGINEを中心としたサイト改善・A/Bテスト・分析機能と、Kaizen AI CloudなどのAI関連機能を提供する。
| 数量年間累計のクラウド取引アカウント延べ件数。ユニーク顧客社数とは異なる | 価格延べ取引アカウント1件当たりクラウド売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,424 | 0.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,939 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:2025年12月期決算説明資料のクラウド取引アカウント累計2,424件とARPU約18.4万円を基礎にした。売上高4.46061億円を2,424件で割った実績単価は約18.40万円である。2025年に売上高は前年比約33%増えたが、償却終了による利益押し上げもあった。2026年上期にはAI関連機能を加えて売上が前年比約25%増えた一方、開発投資の負担が増えた。AIエージェント代替の分類は、管理画面・分析操作に価値を持つSaaS型とする。低解約率や法令対応の拘束力など、記録の正本として扱う証拠は不足する。中立の数量は現在の0.80倍、単価は1.10倍で、指定のSaaS型範囲内とする。AI製品だけの受注額・売上額が確認できないため、楽観でも数量が現在を上回る想定にはしない。
リスクと懸念
AI エージェント代替による主力事業の数量減少
売上の約9割を占めるプロフェッショナルは、制作、マーケティング運用、コンサルティング、開発工数を顧客へ販売する性質が強い。生成AIが企画から制作、効果測定まで担うと、顧客が支払う外注工数そのものが減る。2026年上期には小中規模の制作案件の減少が会社説明に現れており、将来の可能性ではなく実際に進む変化として扱う。
クラウドの利用画面が不要になるリスク
KAIZEN ENGINEのA/Bテストや改善分析には利用実績があるが、AIエージェントが企業のデータを読み、画面を介さず施策を実行すれば、独立したツールに払う料金が減る。法令上の記録基盤や業界共同の必須システムという証拠はなく、Adobeなどの大手製品が類似機能を標準搭載することにもさらされる。
買収資産の収益力不足とのれん減損
ディーゼロやハイウェルの取得によって売上規模は拡大したが、連結営業利益は小さく、取得資本を十分に回収できたとは判断しにくい。2025年末には約4.61億円ののれんが残っており、事業再建が遅れれば減損の可能性がある。減損は現金支出を直ちに伴わなくても、過去の資本配分が株主に価値を生まなかったことを示す。
純現金が株主に戻らないリスク
定期預金を含む純現金は2025年末で約22.50億円あり、現在の時価総額より大きい。しかし会社には運転資金が必要で、事業再編とAI開発にも資金を使う。配当はゼロで、継続的な大規模自社株買いの実績もない。少数株主が現金を直ちに受け取れるわけではなく、赤字が続く間に資産が減る可能性を無視できない。
2026年の業績計画未達と固定費の重さ
2026年12月期の会社予想は営業利益0.4億円だが、上期は約1.17億円の営業損失だった。下期に約1.57億円の営業利益を確保する必要があり、売上計上の後ろ倒しが解消しないと計画達成は難しい。プロフェッショナルの外注費や人員費用が案件の減少に合わせて十分に下がらなければ、赤字は翌期以降にも持ち越される。
新株予約権と資本調達による希薄化
過去の有価証券報告書には、低い行使価額の新株予約権が残っている。行使による現金流入は会社にとって資金源だが、既存株主の持分比率は減る。業績の回復が遅れて将来の追加増資が必要になれば、希薄化はさらに進む。会社全体の企業価値と今の株主が受け取る取り分を分けて考える必要がある。
今後の分かれ目
- クラウドの売上成長が2年以上続き、開発投資後も営業利益率20%以上が維持されたら
- AI新製品が既存顧客への追加販売として機能している証拠になる。クラウドの数量減少を緩め、やや楽観側の確率を上げる。ただし、継続率と独立したAI製品売上の開示も確認する。
- プロフェッショナルの国内取引件数の減少が止まり、営業利益率が継続して5%を超えたら
- 低採算制作から高付加価値の開発・AI実装へ転換した可能性が高まる。主力事業の利益率と累積純利益を引き上げ、企業価値を再評価する。
- 2026年下期に必要な営業利益約1.57億円を確保できず、翌期もプロフェッショナルが赤字だったら
- 再編の遅れが一時的な売上計上時期の問題ではない可能性が高まる。中立の営業利益率を引き下げ、やや悲観と悲観の重みを増やす。
- 定期預金を含む純現金が20億円を下回り、営業キャッシュフローも赤字が続いたら
- 資産の下値が減るため、悲観の床を引き下げる。研究開発や買収への支出と、運転資金の流出を分けて確認する。
- ROEが8.75%を継続的に超え、増分の投下資本利益率も資本コストを上回ったら
- これまで立証できなかった資本配分の改善を認められる。事業利益と将来の再投資価値を見直すが、一過性の減損戻入れや費用削減だけによるROE上昇とは区別する。
- 配当性向や総還元性向の数値目標を公表し、実際に増配または相応の自社株買いを続けたら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる根拠になる。現金の価値が直接株主に届くため、事業利益が変わらなくても本質価値は上昇する。
見ておくもの
- 四半期ごとのプロフェッショナル国内取引アカウント数とARPUの推移。制作案件減少と高単価案件への転換を分けて確認する。
- クラウドの取引アカウント数、ARPU、営業利益率、継続率。AI新製品の独立した受注金額・売上金額の開示も確認する。
- プロフェッショナルの営業損益。2026年上期の約1.60億円のセグメント損失から実際に回復しているか。
- 現金及び預金、3か月超の定期預金、有利子負債、営業キャッシュフローを合わせた実質純現金の推移。
- ディーゼロ、Kaizen Tech Agentなどの取得事業の採算と、のれん残高・減損の有無。
- 配当、自社株買い、ストックオプション行使、追加増資の実施状況。
- AI実装支援の成果報酬契約や継続課金契約の売上比率。人月・工数での販売から実際に脱却しているか。
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や同業のPER・PBRを将来倍率の根拠にしていない。2025年の事業別取引数量と単価から、AI代替による実質数量の減少と名目単価、事業別利益率を積み上げた。楽観から中立のPERは、資本コスト8.75%、長期成長0%、弱い堀による上限11.43倍とし、恣意的な追加割引をしていない。赤字のやや悲観と悲観は、現在の自己資本約29.83億円をPBRの分母とし、将来の帳簿自己資本には掛けない。それぞれの現金流出後の換金可能資産を15.8億円、14.8億円と見込み、PBR約0.530倍、約0.496倍は中立の約0.546倍より低い。過去のPBRの底は使わず、株数は指定された17,096,811株を維持する。潜在的な希薄化はholder_shareで処理した。新リース会計基準による表示変更があっても、家賃の経済的負担を消さずに比較する。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。基本7.5%に、過去の利益変動+0.5%、価格交渉力の弱さ+0.5%、純現金の厚さ-0.25%を反映して8.25%。実際の事業再建局面に伴う追加0.5%を加え、株主資本コストは8.75%とする。