結論
ウェルネットは、コンビニでの払込票による支払いを代行する決済会社である。筆者の結論は、適正だ。大きく割安でも割高でもない。現金133億円に目を奪われるが、そのほとんどは顧客に渡す前の預り金で、会社のものではない。
2026年6月期の売上は101億円で、前期より8%減った。大口の取引が減ったのが原因だ。営業利益は14億円、純利益は11億円。ROEは12%台で、財務に借金はない。
事業の核は、コンビニ約5万5千店の網を使った収納代行だ。単価は小さいが、件数が積み上がると安定する。弱みは、大口2社が売上の3割を占めること、払込票が電子決済に置き換わる流れだ。
10年の中立では、件数が横ばいで単価が物価より遅れて上がり、純利益は14億円ほどになる。金利が上がり、預り金の運用益が増えるのは追い風だ。
配当は性向5割以上の方針で、株主への返し方は明快だ。ただ、それが値段を押し上げる力は限られる。
なお株価の動きは、短期の決算より大口の動向に左右されやすい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「現金が厚く見えるが、自分のお金ではない」。133億円の現金は、収納代行預り金89億円と預り金50億円にほぼ見合う。時価総額117億円に対する純現金118億円という見かけは、割安の根拠にならない。
オーナー利益、つまり再投資を引いた手取りは、純利益に近い。工場がなく、システム開発は年2.6億円ほどで、償却と同程度だ。このため、利益の多くを配当に回せる。
堀、つまり他社がまねできない強みは、コンビニとの接続網と、長年の運用の信用だ。ただ大口2社が3割を占め、競合も多い。ブランドで値段を決める会社ではない。
経営は株主に誠実だ。下限DOE5%と性向50%以上を明示している。一方、投資事業組合への投資や電子マネーなど、本業から離れた事業への資本配分は、評価がつかない。
安全域は、自前の資産にある。悲観でも56億円ほどの床はある。ただ、今の値段の半分で、払う値段に見合うかは微妙だ。割安とも割高とも言えず、筆者の結論は適正である。
何で稼ぐ会社か
ウェルネットは、決済と認証を一つの事業として営む。主な商品は4つある。
一つ目は、コンビニ払込票やE-ビリングによる収納代行だ。通販や公共料金の事業者が客から代金を集める時に、客がコンビニで払い、ウェルネットが集めて事業者へ渡す。コンビニ約5万5千店で24時間使える。
二つ目は、事業者から個人への送金代行。三つ目は、スマホの電子マネー。四つ目は、バス会社向けの電子チケット「バスもり!」などの交通DXだ。BPOやプリペイドカードの販売もある。
手数料は、初期費用、月額の基本料金、決済ごとの手数料の3つで取る。
主な顧客は、アマゾンジャパンが売上の15.6%、海外向けの決済会社KOMOJUが14.2%。2社で約3割になる。従業員は137人で、平均年収は608万円。
貸借対照表を見ると、現金預金133億円に対し、収納代行預り金が89億円、預り金が50億円ある。これは顧客に渡す前のお金で、会社が自由に使えるお金ではない。
拠点は東京の本社が中心で、システムは自社で開発し、運用も自社で担う。
売上の大半は手数料収入で、在庫を持たない。
優良さと弱いところ
優良さは、普通と見る。強みは、コンビニ約5万5千店との提携網、長く積み上げた事務とシステム、借金がなく財務が堅いことだ。
収納代行は、決済のたびに小さな手数料が入る安定した商売だ。規制の許認可と、コンビニとの接続という入口があり、新規参入は簡単ではない。ただ会社自身が、参入障壁は高くなく競争は激化していると書く。
弱みは3つある。大口2社で売上の3割を占めること、払込票の件数が構造的に減ること、手数料が競争で上がりにくいことだ。2026年6月期は、大口の取扱減少で売上が8%減った。
資本効率は悪くない。ROEは2025年6月期に12.3%、2026年6月期に11.8%。営業利益率は2013年6月期の20%から落ち込み、近年は14%まで戻した。
経営は、配当の下限をDOE5%、性向50%以上と明示している。2030年に利益規模を倍増する中計も出した。ただ倍増の中身は、電子マネーなど未知の事業への期待が大きい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の収納代行は、コンビニ払込票、ペイジー、口座振替、クレジットカード、QRコード決済と、方式が割れている。ウェルネットはコンビニ向けの専門で、競合にはSBペイメントサービス、GMOペイメントゲートウェイ、ペイジェント、ゼウスなど、決済の大手が並ぶ。
数量は、払込票の件数が構造的に減る側にある。通販のスマホ決済、カード、QRの普及で、コンビニで払う場面は少しずつ縮む。一方で、請求書を電子化したE-ビリングや、払込票を使わない後払いは伸びる。筆者は、全体の件数は10年でほぼ横ばいと見る。
価格は、1件あたりの手数料だ。競争で据え置かれやすく、コンビニへの手数料と人件費は物価で上がる。物価ほどの値上げは通りにくい。
金利は逆風でなく追い風だ。顧客の預り金を預金で運用するため、金利が上がると運用益が増える。
循環のどこにいるかといえば、今期は減収減益のあと、会社予想は増収増益に戻る局面にある。ただ上期は減収減益の見通しで、回復は力強くない。
要するに、全体の需要は縮む側に傾き、金利だけが追い風という構図である。
資本政策と M&A
資本政策は、配当の下限をDOE5%(純資産に対する配当の割合)、配当性向は50%以上とする。2026年6月期の配当総額は約5.6億円、性向は51.7%。2027年6月期も増配を予想する。
自社株買いの実績は目立たない。投資有価証券は2026年6月期に7億円を新たに取得した。投資事業組合の運用益が、前年の経常利益を押し上げた形跡がある。本業の利益と分けて見る必要がある。
大株主は三井住友銀行が約4.9%、東京中小企業投資育成が約3.3%。支配株主はいない。10年のうちの買収の確率は約26%とされるが、買収価格が本質価値を上回るかは別の問題だ。
新リース会計基準の影響は小さいとみる。固定費はシステムと人件費が中心だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
安定した商売で、財務が強い。借金はなく、現金は厚い。コンビニ約5万5千店の網は一朝一夕には作れない。決済のたびに手数料が入る商売なので、景気に左右されにくい。
金利の上昇は追い風だ。顧客から預かるお金が約140億円あり、預金金利が上がれば運用益がそのまま増える。物価が3%で上がる世界では、取引額も増え、手数料の取り分も増える。
今期の会社予想は増収増益に戻る。中計は2030年6月期までの利益の倍増を掲げ、電子マネー、交通向けの電子チケット、BPOに力を入れる。配当は性向50%以上で、増配が続いている。
大口の通販会社や海外向け決済会社は、一度仕組みを入れると変えにくい。直販の拡大で利益率も上がる。新しい電子チケットは、バス会社の人手不足を背景に導入が広がる。
財務の厚みがあるので、投資や買収で新しい柱を買う余力も十分にある。
景気後退でも決済の件数は大きく崩れにくく、利益が底堅い点も強みである。
慎重な見方
払込票は縮む商売だ。通販のスマホ決済、カード、QRの普及で、コンビニで払う場面は減る。会社自身が、参入障壁は高くなく競争は激化していると書く。決済の大手が、より安い手数料で攻めてくる。
大口への依存も重い。アマゾンジャパンとKOMOJUの2社で売上の3割。どちらかが取引を絞れば、利益は大きく減る。2026年6月期は、大口の取扱減少で売上が8%減った。
現金の厚さは見かけにすぎない。預り金は合計139億円で現金133億円を上回り、自由に使えるお金ではない。金融機関の経営状態もリスクだ。
中計の利益倍増は、電子マネーなど未知の事業に頼る。投資事業組合への投資や投資有価証券の取得は、本業の外の運用で、成果がまだ見えない。物価が上がる世界では、システムと人件費の固定費が先に膨らむ。
市場が小さく、一つの失敗で利益が大きく動く点も見逃せない。
成長の源泉が見えにくく、評価が上がる材料に乏しい点も弱みである。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、安定した商売と金利の追い風、増配を描く。慎重な見方は、払込票の縮みと大口依存、現金の見かけを突く。どちらにも理があるが、払込票の縮みという構造の指摘のほうがやや強い。
このため中立は、件数が横ばいで単価が物価より遅れて上がる姿に置き、確率はやや悲観を厚く置いた。現金は顧客の預り金なので、余った現金には数えていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 969 円184 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 335 円64 億円)。 今の値に割り戻すと 674 円128 億円、今との差 +9.5%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 8.1%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,896 円360 億円 | 485 円92 億円 | +286.5% | +14.5% | 143 円27 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,493 円283 億円 | 422 円80 億円 | +210.8% | +12.0% | 345 円65 億円 |
| 中立 | 38% | 1,125 円213 億円 | 369 円70 億円 | +142.5% | +9.3% | 568 円108 億円 |
| やや悲観 | 28% | 465 円88 億円 | 264 円50 億円 | +18.2% | +1.7% | 204 円39 億円 |
| 悲観 | 10% | 293 円56 億円 | 158 円30 億円 | −26.8% | −3.1% | 45 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 969 円184 億円 | 335 円64 億円 | +111.7% | +7.8% | 1,304 円247 億円 |
今の株価時価総額 616 円117 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.1% を下回るほど割高。
楽観 6% 電子マネーと交通DXが育ち、新しい稼ぎ頭になる 利益 23 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 1,896 円360 億円
電子マネー、バスなど交通事業者向けの電子チケット、BPOが育ち、コンビニ決済に次ぐ収益の柱になる。取扱件数は実質で3割増え、手数料の単価も物価に近く上がる。
大口の通販会社や海外向け決済会社との取引は続き、新しい顧客も増えて依存度は下がる。直販の比率が上がり、営業利益率は17%に乗る。
預り金の運用益も、金利の上昇で増える。純利益は23億円に迫り、会社の中計が掲げる利益の倍増を上回る。配当は性向50%以上の方針で、10年で92億円を返す。
新しい柱の立ち上がりが遅れる危険は残るが、この筋書きでは計画どおりに進む。
- 決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX):数量 1.3(年間の取扱件数(億件・推定))× 価格 1.34(1件あたり売上の指数(今を1.00))→ 売上 175 億円・営業利益 30 億円。利益率17.0%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.8% が k 8.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍。全体の PER 15.64 倍、時価総額 360 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大口2社への依存を薄め、電子マネーや交通向けの新事業が収益に乗る必要がある。中計は利益倍増を掲げるが、足もとは減収だった。薄めに置いた。
やや楽観 18% 直販の拡大と電子チケットで緩やかに伸びる 利益 18 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 1,493 円283 億円
直販チャネルの拡大で手数料の取りこぼしが減り、利益率が上がる。コンビニ決済の件数は電子ペイメントへ流れる分を電子請求書が補い、全体で実質1割強増える。
バス会社向けの電子チケットは、導入先が増えて小さな柱になる。単価は物価に少し遅れて上がり、10年で1.30倍。営業利益率は15%台に乗る。
預り金の運用益が金利の上昇で増え、純利益は18億円ほどになる。配当は性向5割を保ち、10年で80億円を返す。
電子マネーの伸びは緩やかで、大きな新規案件には頼らない。
配当の下限は守られ、株主への返しは安定して続く。
- 決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX):数量 1.2(年間の取扱件数(億件・推定))× 価格 1.30(1件あたり売上の指数(今を1.00))→ 売上 150 億円・営業利益 23 億円。利益率15.5%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 8.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 15.02 倍、時価総額 276 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期の会社予想は増収増益に戻り、直販の拡大は計画に入っている。無理のない上振れとして厚めに置いた。
中立 38% 中立:件数は横ばい、単価は物価より遅れて上がる 利益 14 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 1,125 円213 億円
コンビニ払込票の件数は、電子マネーやQRコードへ流れて減る。一方、電子請求書や送金、交通向けのサービスが補い、取扱件数は実質でほぼ横ばいになる。
手数料の単価は、競合との値下げ圧力で物価に追いつかず、10年で1.25倍にとどまる。コンビニに払う手数料は物価で上がるので、利益率は13%台で伸び悩む。
金利が上がって預り金の運用益が増え、純利益は14億円ほど。配当は性向5割以上の方針で、10年で70億円を返す。自己資本が厚くなり、ROEは9%台。
新しい事業は育つものの、全体の利益を大きく押し上げるほどではない。
- 決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX):数量 1.0(年間の取扱件数(億件・推定))× 価格 1.25(1件あたり売上の指数(今を1.00))→ 売上 126 億円・営業利益 17 億円。利益率13.5%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 8.05% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.3 倍、時価総額 199 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の予想は今期が増収増益、中計は利益規模の倍増を掲げる。ただ足もとは減収で、競争も激しい。計画の一部だけを実現する姿を中心に置いた。
やや悲観 28% 払込票の縮みと値下げ競争で緩やかに悪化 利益 8 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 465 円88 億円
払込票が電子マネーやQRコードへ流れる速度が速まり、取扱件数は実質で2割減る。大口の通販会社が自社の決済へ切り替え、売上の一部を失う。
競合の値下げで手数料の単価は物価に届かず、10年で1.15倍にとどまる。システム投資と人件費の固定費は残り、営業利益率は10%に下がる。
預り金の運用益は増えるが、本業の減益を補いきれない。純利益は8億円台に下がり、配当は性向5割を守りながら10年で50億円にとどまる。
新しい事業の立ち上がりも遅れ、減る分を補うには足りない。
人件費の上昇が先に響き、利益率の回復には時間がかかる。
- 決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX):数量 0.8(年間の取扱件数(億件・推定))× 価格 1.15(1件あたり売上の指数(今を1.00))→ 売上 93 億円・営業利益 9 億円。利益率10.0%
倍率:事業のROEは約6%でkを下回り、上限は1÷k=12.0倍。利益が減る筋書きなので、上限の約7割の8倍に置いた。
確率:コンビニ払込票の減少は構造的で、大口2社で売上の3割を占める。会社自身も競争の激化をリスクに挙げる。慎重な見方を強く見て厚めに置いた。
悲観 10% 大口2社の離反と払込票の急減 利益 2 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 293 円56 億円
アマゾンと海外向け決済会社の両方が取引を絞り、売上の3割が消える。同時に、払込票が電子決済へ急速に移り、取扱件数は実質で45%減る。
手数料は競争で物価の3分の1ほどしか上がらない。システムと人件費の固定費は重く、営業利益率は3%に落ちる。純利益は2億円ほどで、配当は大きく減らす。10年の返却は30億円にとどまる。
底を支えるのは自前の資産だ。顧客の預り金は返す約束なので、自社のものは数えない。残る運転資金と、自社の有形資産と投資有価証券が下支えとなる。
金利の上昇による運用益も、本業の落ち込みの前では小さな支えにとどまる。
- 決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX):数量 0.6(年間の取扱件数(億件・推定))× 価格 1.05(1件あたり売上の指数(今を1.00))→ 売上 58 億円・営業利益 2 億円。利益率3.0%
倍率:床は今の自己資本92.6億円に掛けるPBR0.60倍(約56億円)。事業の利益は薄く、売れる資産で値が付く。
確率:大口2社が取引を絞り、同時にコンビニ払込票が急に減る必要がある。会社の売上の3割が大口2社なので、無視できない確率を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
決済・認証事業(コンビニ決済・送金・電子マネー・交通DX)
コンビニ払込票やE-ビリングの収納代行を中心に、送金、電子マネー、バスなど交通向けの電子チケット、BPOを提供する。単一セグメント。
| 数量年間の取扱件数(億件・推定) | 価格1件あたり売上の指数(今を1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.0 | 1.00 | 101 | 14 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 1.25 | 126 | 17 |
取り方:取扱件数は開示がなく、売上100.6億円を1件あたり約1億分の100の手数料と置いて、年1.0億件と推定した(推定)。価格は手数料と月額料金を合わせた1件あたり売上の指数。営業利益は14.1億円。
リスクと懸念
大口2社への依存
アマゾンジャパンが売上の15.6%、KOMOJUが14.2%で、2社で約3割。どちらかが取引を絞ったり、自社の決済に切り替えたりすれば、利益は大きく減る。2026年6月期は大口の取扱減少で売上が8%減った。
払込票の構造的な縮み
スマホ決済、クレジットカード、QRコード決済の普及で、コンビニで払う場面は減る。電子請求書で補うが、一件あたりの手数料は下がりやすい。会社自身が、競争は激化していると書いている。
預り金の保管と金融機関の経営
現金133億円の多くは顧客の預り金。保管する金融機関の経営が傾けば、預り金の返還に影響が出る。資金決済法などの規制も強まる方向にある。
法規制とコンビニ依存
割賦販売法、資金決済法、犯罪収益移転防止法などの規制を受ける。コンビニ各社の手数料や提携条件が変わると、収益が左右される。システムの障害や不正も信用を損なう。
本業外への投資
投資有価証券に2026年6月期は7億円を新たに投じた。投資事業組合の運用益が、前年の経常利益を押し上げた形跡がある。本業と分けて見ないと、利益の質を読み違える。
AIによる自動化と人件費
BPOや運用の事務は生成AIで自動化が進み、委託料に値下げ圧力がかかる。一方、システムを守る人材は不足し、人件費は物価で上がる。利益率の維持は簡単ではない。
今後の分かれ目
- 電子マネーや交通向け電子チケットの売上が、全体の1割を超えたら
- 新しい柱が育った証拠なので、強気側に確率を寄せる。
- 大口2社のどちらかが取引を絞ったら
- 売上の1〜2割が失われるので、悲観側の確率を上げる。
- 短期金利が3%を超えて預り金の運用益が大きく増えたら
- 営業外の利益が増えるので、中立の純利益を上方修正する。
- 競合が手数料を大きく引き下げたら
- 単価が物価に届かなくなるので、やや悲観側に重みを移す。
- 自社株買いや特別配当など、資本を戻す策が出たら
- 資本効率が上がるので、強気側へ確率を寄せる。
見ておくもの
- 取扱件数(払込票・電子請求書・送金)
- 大口2社の売上比率
- 預り金の残高と運用益
- 電子マネー・交通DXの売上
- 手数料の単価と営業利益率
- 配当性向とDOE、自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。事業のROEがkを超える中立は、正当化PERの12.7倍と下限の1÷k=12.0倍があり、下限の12倍にした。今の株価と同業の倍率は見ていない。顧客の預り金は余った現金に立てず、悲観の床も預り金を除いた自前の資産から置いた。10年後の数字は、新リース会計基準を入れず今と同じ形でそろえた。取扱件数は開示がなく、売上からの推定である。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→15.64 倍・やや楽観 PER 12.5→15.02 倍・中立 PER 12→14.3 倍)。
資本コスト 8.1% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まりv2)。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.30% → 8.05%。