結論
タイミーは、企業が必要な時間だけ働き手を確保できるスポットワーク市場を切り開いた企業である。物流倉庫や小売店、飲食店などの現場で、求人から勤務、給与の立替払いまでを一つの仕組みで結ぶ。筆者の結論は「割高」だ。事業の強さは認めるが、現在の時価総額約1,477億円は、10年後の成熟した収益力から見た本質価値を大きく上回る。
強みは、働き手と企業の双方が集まることで利便性が増すネットワーク効果にある。2026年7月末の登録ワーカーは1,472万人を超え、登録事業所は48.8万拠点を超える。実際の募集に対する稼働率も86.3%と高い。大手のメルカリが競合サービスから撤退したことは、登録者を集めるだけでは十分な求人と勤務実績を生み出せない難しさを示している。
ただし、強いネットワークが高い手数料を永久に保証するわけではない。タイミーの収入は働き手への給与などに対する手数料が中心で、物流の大口顧客には戦略的な割引も行われている。AIエージェントが企業の求人管理や複数サービスの比較を代行すれば、仲介の使いやすさだけでは差別化しにくくなる。人手不足は続いても、仲介会社の取り分が同じように伸びるとは限らない。
2025年10月期の売上高は約343億円、営業利益は約68億円だった。決算期変更に伴う2026年4月までの直近12か月参考値では売上高約388億円、営業利益約73億円へ拡大している。2027年4月期も増収増益の会社予想だが、長期の評価では現在の高成長をそのまま延ばさない。中立では10年後の売上高約816億円、純利益約112億円を見込む。それでも将来価値を資本コストで現在に戻し、下振れの可能性を含めると、本質価値は約760億円、現在の時価総額を約49%下回る。優れた事業と、株主がいま払うべき値段は別の問題である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、タイミーは事業として魅力がある。人手が必要になったとき、企業が確実に働き手を見つけられる仕組みは社会に必要だ。利用者が増えるほど求人が集まり、求人が増えるほど利用者も集まる。この循環は広告を大量に打つだけでは作れず、積み上げた勤務履歴も後発企業には簡単に再現できない。
ただし、良い事業が常に良い投資先になるわけではない。株主が長年にわたって受け取れる利益は、会計上の純利益だけでなく、顧客獲得、技術更新、決済の資金繰り、現場支援に必要な再投資を考えた後の利益である。タイミーは固定資産が少ない反面、ワーカーの利用を維持するマーケティング費用と大手顧客の対応人員を必要とする。これらを減らし過ぎればネットワークの質が下がるため、利益のすべてが自由な現金とはいえない。
さらに、手数料率を自ら決め続けられるかが難しい。企業にとっては必要な人数が集まればよく、同等の稼働率を持つ競合が現れれば、より安い手数料を選ぶ余地が生まれる。AIが採用の作業を効率化しても、浮いた費用がタイミーの利益になるとは限らない。むしろ企業側に返され、仲介手数料の低下につながる可能性がある。
筆者は、この会社の将来そのものを悲観していない。中立でも取引時間は増え、10年後の利益は現在より大きくなると考える。しかし、今の時価総額を正当化するには、成長の持続に加え、高い手数料と利益率、株主への適切な還元が長く両立する必要がある。少しでも前提が外れた場合に守ってくれる安全域は十分ではない。事業を持ち続けたいと思えることと、その事業をいくらで所有するかは分けて判断すべきである。
何で稼ぐ会社か
タイミーの主力事業は、数時間から一日単位で働きたい個人と、人手を必要とする企業を直接結ぶプラットフォームである。雇用契約は原則として求人企業と働き手の間で成立し、タイミーは求人の掲載、本人確認、勤務実績の管理、給与の立替払いなどを支える。企業が支払う給与・交通費などの流通総額に対し、平均で3割弱の手数料を受け取る仕組みだ。派遣会社のように働き手全員を自社で雇用して給与を売上原価に計上する事業とは、収益の構造が異なる。
2026年4月までの直近12か月では、スポットワーク手数料の約45%を物流が占める。物流では倉庫内の仕分け、梱包、搬入などの繁閑に合わせて募集が発生する。小売は約26%を占め、スーパーやドラッグストアなどの日々の品出しや繁忙期の応援需要が中心だ。飲食は約15%で、調理補助や接客、給食・食堂運営などを対象とする。介護福祉はまだ小さいが、有資格者の募集や業務の切り出しを通じて成長している。
取引の原資は、実際に働いた時間と時給の積である。登録ワーカー数そのものが売上を生むわけではない。企業が何時間募集し、どれだけ充足し、その労働に対してどの程度の手数料を取れるかで収益が決まる。2026年5〜7月期の稼働実績は約2,623万時間、賃金総額は約314億円だった。季節変動が大きいため、この一四半期だけを年間に延ばさず、業界別の直近4四半期の手数料収入から数量を推計した。
周辺事業には、物流現場の運営支援や業務請負を行うタイミーソリューションズと、勤務履歴を活用して正社員採用につなげるタイミーキャリアプラスがある。さらに2026年8月から長期アルバイト採用サポートプランを本格展開した。現場で一度働いた人を継続雇用へつなぐ仕組みで、従来の求人広告費を取り込む狙いがある。
筆者が注目するのは、短時間労働の仲介だけでなく、現場の人手配置そのものへ事業が深く入り込めるかである。Field Managerによる受入支援や、大手顧客との業務改善は、単純なアプリの置き換えを難しくする。一方、請負や採用支援は人件費を伴い、主力プラットフォームほど高い利益率が出るとは限らない。周辺事業の売上が増えても、その利益の質を区別して評価する必要がある。
優良さと弱いところ
タイミーには、競争相手が簡単には複製できない強みがある。企業にとって求人を掲載する価値は、応募が集まり、実際に働き手が来てくれることにある。働き手にとっては、希望する時間と場所に十分な求人があることが重要だ。この二つが相互に増える循環が、同社のネットワーク効果を生んでいる。
その強さは利用実績からも確かめられる。2026年4月時点のリピートワーカー率は約65%、無断欠勤率は約0.2%と開示されている。勤務履歴、職種経験、評価、資格などのデータも蓄積され、企業は初めて会う人の働きぶりを事前に推測しやすくなる。物流現場で受入手順や配置を最適化するサービスは、単なる求人掲載よりも乗り換えの手間を増やす。
ただし、堀の中心は利用者数と現場での履行実績であり、独占的な許認可や法令上の記録システムではない。企業は複数の求人サービスを使い分けられる。実際、物流の大口顧客には手数料の戦略的割引が行われており、継続的な値上げを通せるという証拠は乏しい。高い稼働率と約3割の手数料を、永久に維持できるものとして扱うのは危険である。
資本効率は高い。主力事業は工場や大規模設備を持たず、既存のアプリと企業網を使って取引を増やせるため、追加取引の限界利益が大きい。2025年10月期のROEは約37%である。ただし上場までの急成長期の数字であり、競争が激しくなった後の増分ROICまで同じ水準になるとは限らない。
総合的には強い堀を認めるが、無条件の価格支配力は認めない。今後の投資効率を決めるのは、獲得済みの企業から取引時間を増やせるか、新規ワーカー獲得費用を抑えられるか、そして手数料率の下落を現場支援の価値で補えるかである。堀が残っても、利益率の低下と成長の成熟は同時に起こりうる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のスポットワーク市場は、既存のアルバイト、派遣、求人広告から労働需要を取り込んで成長している。タイミーが公表した市場推計では、2025年度のプラットフォーム手数料市場は約526億円で、2030年度には約1,180億円へ拡大する可能性が示された。ただし、これは市場規模の推計であり、タイミー自身の2030年度売上目標ではない。別の賃金総額ベースの調査では、2025年の市場規模は約1,503億円とされており、手数料市場と賃金総額を混同してはいけない。
直近12か月のタイミーのスポットワーク手数料収入は約376億円である。これを2025年度の手数料市場推計と比べると約7割に相当するが、対象期間が完全には一致せず、市場推計自体も同社のデータに依存するため、厳密な市場シェアではない。競合にはパーソルグループのシェアフル、ディップのスポットバイトル、LINEヤフーのLINEスキマニなどがある。主要3アプリのiPhone利用率調査ではタイミーが約7割、シェアフルが約2割強、スポットバイトルが1割弱という結果もあるが、利用率は売上シェアではなく、その他の競合も含まない。
メルカリ ハロは2025年12月にサービスを終了した。大きな消費者基盤を持つ企業であっても、企業側の求人、働き手の稼働、賃金の決済を同時に確立するのは難しい。この撤退はタイミーのネットワークの強さを示す一方、競争が将来なくなることまでは保証しない。既存の求人媒体や派遣会社は顧客関係を持ち、手数料を下げて参入する余地もある。
人手不足そのものは長期の追い風だ。高齢化と人口減少により、小売、飲食、介護などでは必要な時間だけ人を確保したい需要が残る。しかし物流ではロボット、倉庫自動化、配送網の再編が労働時間を減らしうる。小売でもセルフレジや省人化が進む。したがって労働需要の総量が伸びなくてもスポットワークへの移行で市場が拡大する一方、その浸透が一巡すれば成長率は鈍化する。
AIエージェントによる影響も一様ではない。荷物を運び、商品を並べ、介護現場で身体を動かす仕事は、デジタルな事務作業ほど直ちには代替されない。一方、求人文の作成、募集管理、候補者の比較、日程調整、採用事務は自動化されやすい。AIが企業側の購買代理人として複数サービスを使い分ければ、単一アプリへの依存も弱まる。
法制度にも注意が要る。厚生労働省はスポットワークの労働契約や労務管理に関する留意事項を公表している。求人企業と労働者の契約成立、キャンセル、労働条件の明示などについて管理負担が増える可能性がある。規制対応の品質は参入障壁になりうるが、手数料や広告費を圧迫する可能性もある。筆者は、市場全体の拡大よりも、成熟後にタイミーがどれほどの取り分を守れるかを重視する。
資本政策と M&A
資本配分では、成長投資を優先し、使い切れなかった資金を株主に戻す方針が明確になってきた。2026年6月公表の事業計画では、スポットワークの強化と隣接領域のM&Aを最優先とし、投資で未消化となった現金について自社株買いを選好すると説明している。M&Aは1案件につき数億円から数十億円程度を想定し、物流請負や業界特化の人材サービスが対象となる。
実際、2026年には約12.8億円の自己株取得を実施した。これは還元を始めた証拠だが、過去5年を通じて高い総還元性向を維持した実績とはいえない。配当は創業以来実施しておらず、2027年4月期の年間配当予想もゼロである。配当性向、DOE、総還元性向について確定的な数値目標はなく、今後の利益が自動的に株主へ戻る保証はない。
中期計画に相当する2026年6月の事業計画は、2030年度のスポットワーク市場を1,180億円と推計しているが、独立した3年間の連結売上高・営業利益・ROEの確約目標は示していない。直近の2027年4月期予想は、売上高476.13億〜488.23億円、営業利益88.21億〜97.46億円、純利益60.02億〜69.27億円である。これは単年度の会社計画であり、10年の価値を保証する数字ではない。
M&Aには慎重さが必要だ。スキマワークスの取得を通じて請負事業へ進出した一方、韓国Neederへの出資では2026年4月期に約3.5億円の減損が発生した。創業からまだ10年に満たず、大型買収を何度も成功させた実績はない。現場支援を買うことで顧客との関係を深められる反面、低利益率の労働集約事業を積み上げれば資本効率は落ちる。
2026年7月末には現預金が約160億円、借入金が約130億円あり、純現金は約30億円だった。ただし賃金の立替金が約121億円あるため、現預金をすべて余剰資金とはみなせない。10年の還元は業績に応じた自己株取得を中心に想定し、資金を実際に株主に戻す割合は慎重に評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
タイミーは日本のスポットワーク市場において、最も強いネットワークを築いている。登録ワーカーが1,472万人を超え、求人側の事業所数も48万拠点を超える規模は、新規参入企業にとって高い壁となる。メルカリ ハロの撤退は、単に登録者を集めるだけでは事業が成立しないことを示した。実際に人が働き、企業が満足し、次の求人につながる循環を作った企業が最後に強くなる。
市場の成長余地も大きい。2025年度の手数料市場は約526億円にすぎず、国内の既存派遣・求人広告・人材紹介にははるかに大きな予算がある。タイミーがその一部を取り込むだけでも売上を伸ばせる。物流ではField Managerによる現場支援、小売では日常業務への組み込み、介護では有資格者の開拓が進む。これらは単に求人を増やすよりも深く顧客業務へ入り込む取り組みだ。
新規事業にも可能性がある。勤務履歴をもとに適性が分かった人を長期アルバイトや正社員として採用できれば、求人広告と人材紹介の予算を取り込める。特に長期アルバイト採用サポートプランは既存の営業網を使えるため、追加売上の限界利益が大きい可能性がある。創業時に獲得した顧客基盤を使って複数のサービスを販売できることは、後発企業との決定的な差になりうる。
現場の身体的な労働はAIエージェントが直ちに置き換えられない。人口減少による人手不足が続く限り、必要な時間に働き手を確保するサービスの価値は残る。マッチング技術が進歩すれば稼働率が高まり、無断欠勤や事務負担も減らせる。大きな設備投資を必要としないプラットフォームが成長を維持できれば、株主が受け取る現金も大幅に増やせる。
慎重な見方
現在の優位性は強いが、顧客が高い手数料を払い続ける理由には限界がある。タイミーが仲介する労働の多くは、物流倉庫の仕分け、小売の品出し、飲食の補助作業などである。仕事そのものの技能差が小さければ、顧客は同じ人数をより安く確保できる手段を探す。既に物流の大口顧客には戦略的な手数料割引が行われている。取引量が増えるほど大手顧客の交渉力が強まる可能性がある。
競争相手も消えていない。シェアフルはパーソルの顧客基盤を持ち、スポットバイトルは既存の求人媒体と営業網を使える。企業が複数のサービスを同時に利用し、AIエージェントに募集と価格比較を任せるようになれば、タイミーの操作画面そのものの価値は下がる。働き手の情報や勤務評価は残っても、仲介手数料に対する価格圧力は避けられない。
主力の物流は景気や荷動きの影響を受ける。2027年4月期第1四半期には、一部の大手顧客の取扱量減少などが成長を鈍らせた。長期的には倉庫ロボットや自動仕分け設備が普及し、必要な単純作業時間そのものが減る可能性がある。小売や飲食でも省人化が進み、人口減少が必ずしも仲介労働時間の増加を意味するわけではない。
また、周辺事業はプラットフォームほど資本効率が高くない。請負業務には人員配置と現場運営の費用が必要で、採用支援にはAIによる代替リスクがある。買収で規模を拡大しても、営業利益率が下がり、のれんや出資先の減損が生じれば株主価値は増えない。現在の株価は、こうした競争と資本配分の不確実性を十分に補っていない。
どちらに重みを置いたか
事業の競争力では強気の見方に分があるが、現在の価格に対する安全域では慎重な見方を重視する。ネットワーク効果は本物であり、物理的な現場需要も続くため、主力事業が一気に消えるとは考えない。一方、手数料の値上げ実績は乏しく、大口物流顧客への依存と周辺事業の投資効率には不確実性がある。確率は楽観側26%、中立35%、悲観側39%とし、下側へ13ポイント寄せた。AIエージェント代替は数量・手数料と長期成長率に反映済みであり、確率や資本コストで重ねて減点しない。下側を厚くした理由は、顧客集中とM&A・新規事業の実行リスクである。中立では10年後も成長企業だが、その利益を割り引くと現時点の時価総額には届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2037/04 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,510 円1,506 億円(+ 還元の換算額還元の合計 218 円218 億円)。 今の値に割り戻すと 848 円846 億円、今との差 −40.8%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,568 円3,559 億円 | 521 円520 億円 | +185.8% | +12.1% | 327 円326 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,683 円2,675 億円 | 361 円360 億円 | +112.7% | +8.5% | 548 円546 億円 |
| 中立 | 35% | 1,792 円1,788 億円 | 236 円235 億円 | +41.7% | +3.8% | 710 円708 億円 |
| やや悲観 | 24% | 421 円420 億円 | 115 円115 億円 | −62.5% | −10.2% | 129 円128 億円 |
| 悲観 | 15% | 86 円86 億円 | 10 円10 億円 | −93.3% | −24.3% | 14 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,510 円1,506 億円 | 218 円218 億円 | +20.7% | +2.0% | 1,728 円1,723 億円 |
今の株価時価総額 1,431 円1,427 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 全国の現場基盤を押さえ、隣接市場への拡張にも成功 利益 225 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,568 円3,559 億円
タイミーはスポットワークの首位を保ち、企業の採用と現場人員配置を支える主要な基盤へ成長する。物流ではField Managerと請負を組み合わせ、これまで短期人材を使いにくかった業務にも入り込む。小売ではドラッグストアや大手チェーンとの共同運営が広がり、介護では資格確認と勤務評価の蓄積が新規参入を難しくする。地方の働き手も増え、全国で成立する労働時間が大きく伸びる。
スポットワークの手数料市場は2037年に約2,600億円まで拡大する。シェアフルやスポットバイトルとの競争は続くが、タイミーは企業側の利用深度と現場実績で約半分の市場を確保する。現在より仲介単価は上がるものの、物価上昇のすべてを手数料に転嫁するわけではない。むしろ現場の受入負荷を下げ、顧客が総人件費で便益を感じることで取引を守る。
スキマワークスを通じて得た請負の知見を活用し、M&Aは小規模な現場業務会社の取得に絞る。長期アルバイト採用とキャリア支援も、勤務履歴という独自データによって一定の成果を出す。AIは管理業務を効率化するが、身体的な仕事の需要は残る。営業利益率は全社で約23%に達し、余剰資金による自社株買いも進む。ネットワークの堀が広がり、高い増分利益率が持続した10年になる。
- 物流・倉庫スポットワーク:数量 126(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 402(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 507 億円・営業利益 127 億円。成立時間が現在の2.5倍。現場運営の統合で取引増、手数料相当額は1時間402円。
- 小売スポットワーク:数量 86.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 393(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 338 億円・営業利益 81 億円。大手チェーンと地方店舗へ浸透し、労働時間は約3倍。
- 飲食・給食スポットワーク:数量 33.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 402(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 133 億円・営業利益 29 億円。外食と給食の需要を獲得し、取引時間は約2倍。
- 介護福祉スポットワーク:数量 35.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 520(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 182 億円・営業利益 44 億円。有資格者の確保と業務切り出しが進み、約9倍の成立時間。
- その他現場スポットワーク:数量 33.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 420(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 139 億円・営業利益 30 億円。宿泊・新職種・地方で約3倍の成立時間。
- タイミーソリューションズ・現場請負:数量 2.2(請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算))× 価格 3,350(提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む))→ 売上 74 億円・営業利益 6 億円。請負・現場支援を拡大するが、現場人件費が残るため利益率は低め。
- タイミーキャリアプラス・長期採用支援:数量 3,000(年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算))× 価格 0.01(成約換算1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 5 億円。長期採用支援の普及を含む成約換算。AI競争により単価は実質で低下。
倍率:資本コスト8.0%、10年後のROE約20.5%、強いネットワークの堀により超過収益が残る割合を2/3とする。RONICは約16.3%。AIエージェント代替と市場成熟を反映したg_long2.0%から、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は14.62倍。現在の市場PERは参照せず、算式の上限そのものを採用する。
確率:強いネットワークを維持しながら、介護・小売・物流の全分野で取引時間を大幅に増やし、請負と採用支援まで黒字拡大させる必要がある。既存市場の成長と複数の新事業の成功が重なるため、上振れは大きいが確率は限定する。
やや楽観 18% 主要現場で利用が定着し、採用周辺サービスも利益に貢献 利益 169 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,683 円2,675 億円
タイミーは全国の現場に浸透し、物流と小売の大手顧客で日常的な人員配置手段として使われる。物流の一部では自動化が進むが、荷量の変動に対応する短時間労働は残る。介護ではベネッセキャリオスとの連携をきっかけに有資格者の稼働が増え、飲食も給食・食堂運営などで安定した需要を得る。働き手の勤務履歴が蓄積し、企業が経験者を再募集しやすくなる。
国内スポットワークの手数料市場は2037年に約2,300億円へ成長する。タイミーは競合によるシェア低下を受けながらも約47%の市場を維持する。手数料は現在より緩やかに増えるが、人件費全体のインフレ率には届かない。それでも成立時間が増えるため、プラットフォームの利益額は着実に拡大する。
現場請負は大手物流顧客を中心に成長し、採用支援も勤務データを使った特色を維持する。ただし、AIによる採用事務の自動化や競合サービスの普及で、周辺事業が独占的な利益を得ることはない。M&Aは近接領域に限られ、重大な減損は避けられる。余剰資金の一部を自己株買いに回し、主力の強みを維持しながら成長を続ける。
- 物流・倉庫スポットワーク:数量 115(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 385(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 443 億円・営業利益 102 億円。成立時間約2.3倍、手数料相当額385円。大手顧客への割引は残る。
- 小売スポットワーク:数量 75.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 385(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 289 億円・営業利益 66 億円。小売の継続利用が進み、取引時間は約2.6倍。
- 飲食・給食スポットワーク:数量 28.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 380(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 106 億円・営業利益 21 億円。給食など新たな用途が加わり、約1.7倍の成立時間。
- 介護福祉スポットワーク:数量 26.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 465(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 121 億円・営業利益 27 億円。介護の専門職・補助職で約7倍の成立時間。
- その他現場スポットワーク:数量 25.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 396(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 20 億円。宿泊や地方の求人で約2.3倍の成立時間。
- タイミーソリューションズ・現場請負:数量 1.5(請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算))× 価格 3,100(提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む))→ 売上 47 億円・営業利益 3 億円。請負の規模拡大に対し、現場人件費と管理費の負担が残る。
- タイミーキャリアプラス・長期採用支援:数量 2,000(年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算))× 価格 0.01(成約換算1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 3 億円。成果報酬・月額採用支援が一定規模に育つが、AI競争で単価上昇は抑制。
倍率:ROEは約17.2%、kは8.0%。強い堀の残存割合2/3からRONIC約14.15%を得る。AIエージェント代替を反映した長期名目g2.0%で正当化PERは14.31倍となり、その上限を採用する。高成長期の市場評価を倍率には引き継がない。
確率:物流と小売での利用拡大、介護の立ち上がりは現在の施策の延長で実現しうる。ただし、競合参入と手数料の割引を受けながら高い利益率を保つ必要があるため、中立より低い確率とする。
中立 35% 市場は拡大するが、シェアと手数料が徐々に低下する 利益 112 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,792 円1,788 億円
国内のスポットワーク市場は、慢性的な人手不足と企業の柔軟な人員配置需要に支えられて拡大する。タイミーも主力の物流と小売で成立時間を増やし、介護では新しい職種へ進出する。現場の勤務実績が蓄積するためネットワークの強みは残るが、競合企業も求人と働き手を確保し、企業は複数のサービスを利用するようになる。物流では倉庫自動化、小売ではセルフレジなどが普及し、国内の単純作業時間の増加には限界が現れる。
スポットワークの手数料市場は2037年に約1,700億円へ成長する。タイミーの市場シェアは現在の高水準から約45%へ下がる。これは事業の失敗ではなく、市場が大きくなる過程で他社も成長する結果だ。給与水準は10年間の物価上昇を反映して上がるが、企業が支払う仲介手数料率は大口割引と競争で低下する。成立1時間当たりの手数料収入は、現在と比べて小幅な増加にとどまる。
周辺事業ではタイミーソリューションズが一定の黒字化を達成し、採用支援にも利用者が付く。ただし、AIエージェントによる求人作成や候補者選定の自動化が進み、採用管理画面や事務作業の料金には強い値下げ圧力がかかる。請負は人件費が増えるため高い利益率にならず、全社営業利益率は約20%で落ち着く。会社は利益の一部を自己株買いに回すものの、成長投資を優先して資本を積み上げる。堀は残るが、成長率と資本効率は創業後の急拡大期から成熟企業の水準へ移る。
- 物流・倉庫スポットワーク:数量 90.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 357(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 321 億円・営業利益 67 億円。成立時間は現在の約1.8倍。名目給与は上がるが手数料率が下がり、1時間当たり収入は約6%増にとどまる。
- 小売スポットワーク:数量 59.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 365(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 215 億円・営業利益 45 億円。取引時間は約2.1倍。店舗への浸透が続くが、料金は競争により物価ほど上がらない。
- 飲食・給食スポットワーク:数量 20.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 358(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 13 億円。飲食の省人化と店舗数の伸び悩みで、成立時間は約1.24倍。
- 介護福祉スポットワーク:数量 18.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 437(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 16 億円。高齢化と職種開拓で成立時間は約4.7倍。ただし資格職の供給制約が残る。
- その他現場スポットワーク:数量 22.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 372(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 16 億円。地方・宿泊等で約2倍の成立時間。一般事務のAI代替を差し引く。
- タイミーソリューションズ・現場請負:数量 1.1(請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算))× 価格 2,900(提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。現場労働の請負は拡大するが、管理事務工数はAI代替で約0.65倍へ縮小。営業利益率は3%。
- タイミーキャリアプラス・長期採用支援:数量 1,500(年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算))× 価格 0.01(成約換算1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。勤務履歴を使った長期採用サービスの新規市場開拓を含む。既存の画面・事務部分はAI代替、料金は物価上昇に届かない。
倍率:10年後のROEは111.94÷820で約13.65%、資本コスト8.0%を上回る。強いネットワークの堀の残存割合2/3から、増分資本のRONICは約11.77%。名目長期gは2.0%とし、正当化PER=(1−0.02÷0.1177)÷(0.08−0.02)は約13.83倍。これを上限そのものとして採用し、現在や同業の市場PERによる調整はしない。
確率:スポットワークへの移行は続くものの、2025年の急成長率を10年間維持するのは難しい。下に寄せる理由:物流の大口顧客による募集変動、戦略的手数料割引、請負・採用周辺事業の投資効率の不確実性がある。AIによる代替は数量・価格・gに織り込んでおり、確率では重複計上しない。
やや悲観 24% 競争と現場省人化で成長が止まり、利益率も低下 利益 29 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 421 円420 億円
スポットワーク市場は広がるものの、タイミーのシェアは約3割へ低下する。企業が複数サービスを使い分け、大手企業との契約更新では手数料の割引が常態化する。物流では大手顧客の荷量変動に加え、自動仕分けや倉庫ロボットの導入が進み、従来ほどスポットワーカーを募集しなくなる。小売や飲食でも省人化が進み、求人の総量が思うように増えない。
国内スポットワーク市場の手数料総額は2037年に約1,300億円と見込むが、タイミーが取り込める収入は現在と大きく変わらない。給与の名目額は上昇しても、競争による手数料率の低下がその効果を打ち消す。マッチングや勤務履歴の基盤は残るためサービスは継続するが、企業にとって複数ある調達先の一つという地位に近づく。
タイミーソリューションズの現場請負では、人件費上昇と顧客の価格交渉により収益性が悪化する。採用支援はAIエージェントが求人作成、候補者抽出、連絡などを担うようになり、独自データがあっても料金を維持しにくくなる。M&Aで買った事業にも利益改善が見られず、追加投資を抑制する。連結営業利益率は約10%まで下がり、株主還元も規模を縮小する。
- 物流・倉庫スポットワーク:数量 55.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 305(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 168 億円・営業利益 20 億円。成立時間は微増にとどまり、手数料率低下により名目の1時間当たり収入も減る。
- 小売スポットワーク:数量 33.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 308(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 102 億円・営業利益 12 億円。店舗省人化と競争で売上はほぼ横ばい。
- 飲食・給食スポットワーク:数量 14.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 308(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。利用時間減少と手数料値引きで現在より縮小。
- 介護福祉スポットワーク:数量 9.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 376(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 34 億円・営業利益 4 億円。需要は増えるが、有資格ワーカーの確保と競合が制約。
- その他現場スポットワーク:数量 12.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 310(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。一般事務などのAI代替で、取引時間は現在付近にとどまる。
- タイミーソリューションズ・現場請負:数量 0.5(請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算))× 価格 2,500(提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。受注縮小と管理費負担で赤字が続く。
- タイミーキャリアプラス・長期採用支援:数量 700(年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算))× 価格 0.01(成約換算1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。採用支援の料金下落とAI代替で赤字が続く。
倍率:ROE約5.5%が資本コスト8.0%を下回り、新規投資は価値を増やさない。稼ぐ力の上限1÷k=12.5倍から、競争による収益不安定と再投資負担を考えて10倍とする。過去の谷の市場PER・PBRから選ばず、事業の純利益と資産の床から評価する。
確率:シェアフルやスポットバイトルなどが顧客を奪い、大手顧客の手数料交渉が強まる展開は現実的である。物流の取扱数量が伸び悩み、請負や採用支援の赤字改善も遅れるため、中立に次ぐ重みを置く。
悲観 15% 仲介手数料の優位を失い、資産価値が主な支えになる 利益 7 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 86 円86 億円
競合企業が求人と働き手の双方を確保し、タイミーのネットワークに依存しなくても現場人材を調達できる環境になる。企業側のAIエージェントは求人条件の作成から候補者の比較、複数サービスへの同時掲載までを自動化する。物流の単純作業は自動化設備に置き換えられ、残る仕事も低い仲介手数料を要求される。タイミーの登録者数は大きくても、実際に稼働する利用者と求人の厚みが減るため、かつてのネットワーク効果が弱まる。
国内スポットワークの手数料市場は2037年に約900億円にとどまり、タイミーのシェアは約18%へ下がる。現在より成立時間が減り、1時間当たりの手数料収入も大幅に減る。介護など一部では身体的な労働需要が残るが、資格職での優位も競合に奪われる。全体の売上高は現在の半分以下となり、過去の高い営業利益率は維持できない。
請負と採用支援では赤字が続き、買収した事業や投資の一部を減損する。途中の赤字と撤退費用が先行期の利益を吸収し、自己資本はほぼ現在の水準にとどまる。最後には小さな黒字事業として存続するが、もはや高い資本効率を持つプラットフォーム企業とはいえない。株主還元はほぼ止まり、企業価値は継続利益よりも現金と回収可能な債権に支えられる。この厳しい場合では、将来利益の高い倍率ではなく、売れる資産を中心に評価する。
- 物流・倉庫スポットワーク:数量 30.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 238(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 6 億円。成立時間は現在の約6割、1時間当たり手数料は約7割へ縮小。
- 小売スポットワーク:数量 16.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 237(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。競争と省人化で数量が大幅に減少。
- 飲食・給食スポットワーク:数量 8.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 240(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。需要縮小と値引きにより薄利化。
- 介護福祉スポットワーク:数量 5.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 318(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。介護需要は残るが、資格職の供給と競争が制約。
- その他現場スポットワーク:数量 7.0(年間成立労働時間(百万時間))× 価格 240(成立労働1時間当たり手数料(円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。AIによる事務職需要の減少と競争で縮小。
- タイミーソリューションズ・現場請負:数量 0.3(請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算))× 価格 2,200(提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む))→ 売上 6 億円・営業利益 −1 億円。請負契約減少と固定人員の費用で赤字。
- タイミーキャリアプラス・長期採用支援:数量 100(年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算))× 価格 0.01(成約換算1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。採用仲介・画面課金の競争力を失い、ほぼ撤退規模。
倍率:10年後のROEは約3.9%に低下し、資本コスト8.0%を大きく下回る。純利益6.64億円の継続利益価値は約83億円で、回収可能資産の推定床約85億円を下回るため、資産の床を中心に評価する。SCHEMA §1-3に従い、床のPBRを掛ける分母は10年後の自己資本170.14億円ではなく、basis.fy_nowである2025年10月期の現在自己資本145.2億円とする。現在自己資本145.2億円にPBR0.59を掛けると時価総額は85.67億円となり、推定した回収可能資産の床85億円をわずかに上回る。10年後のequity_oku170.14億円はROEの計算にのみ使用し、悲観の床には掛けない。PBR0.59は過去の市場底値ではなく、純現金・回収可能債権・撤退費用から求めた資産価値を現在自己資本で割り戻した評価倍率である。
確率:主力物流の省人化と競合の手数料攻勢が重なり、ネットワークの優位を構造的に失う厳しい場合を想定する。現場そのものは残るため完全消滅とはしないが、プラットフォーム利益の大部分が失われる尾のリスクを無視しない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
物流・倉庫スポットワーク
仕分け、梱包、搬入、出荷作業など、物流拠点で働く時間に対するマッチング手数料。最大の収益源であり、大口顧客の荷動きと利用深度が数量を左右する。
| 数量年間成立労働時間(百万時間) | 価格成立労働1時間当たり手数料(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 50.4 | 336 | 170 | 35 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 357 | 321 | 67 |
取り方:2026年6月11日の事業計画に掲載された2025年5月〜2026年4月の物流スポットワーク手数料4四半期、36.04億・41.76億・48.48億・43.21億円を合算して169.49億円。時間数は直接の業界別開示がないため、物流の平均賃金を時給1,180円、手数料率を28.5%と仮定し、1時間当たり336.3円から50.4百万時間と逆算した推計である。1百万時間×1円=0.01億円。平均テイクレートと業界別売上は会社開示、業界別時給と営業利益配分は推定。現場の身体労働が中心でPROMPT_AI_RISKの現場型だが、求人・日程調整の事務部分にはAIエージェント代替を反映する。
小売スポットワーク
スーパー、ドラッグストア、コンビニなどの品出し、販売補助、繁忙期応援を中心とする。店舗での継続利用と採用支援への展開余地がある。
| 数量年間成立労働時間(百万時間) | 価格成立労働1時間当たり手数料(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 28.5 | 342 | 97 | 21 |
| 10 年後 中立 | 59.0 | 365 | 215 | 45 |
取り方:会社の四半期別小売スポットワーク手数料21.88億・24.04億・26.22億・25.19億円を合算して97.33億円。時給1,200円と手数料率28.5%を仮定し、1時間当たり342円から28.46百万時間を推計した。直近の平均時給公表値を参考にした業界別推定であり、実際の小売限定の時給や利益率を会社が保証しているわけではない。現場作業型として数量を見つつ、AIによる採用事務省力化とセルフレジによる労働需要減少を考慮する。
飲食・給食スポットワーク
飲食店や給食・食堂運営の接客、調理補助、洗い場などを対象とする。景気、外食需要、人件費負担に敏感で、手数料の値上げ余地は限られる。
| 数量年間成立労働時間(百万時間) | 価格成立労働1時間当たり手数料(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 16.1 | 342 | 55 | 11 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 358 | 72 | 13 |
取り方:2025年5月〜2026年4月の飲食手数料13.74億・13.84億・14.54億・13.07億円の合計55.19億円を採用。時給1,200円、手数料率28.5%の仮定から成立時間を推定した。2027年4月期第1四半期には飲食の売上成長がプラスへ転じたが、過去の減速も踏まえて10年の数量成長は小売・介護より抑える。現場型であり、注文・会計のAI化は現場時間の需要減として反映する。
介護福祉スポットワーク
介護施設等の有資格者や補助作業の短時間就労を支援する。高齢化に伴う需要増がある一方、資格確認、研修、利用者の安全管理が参入障壁になる。
| 数量年間成立労働時間(百万時間) | 価格成立労働1時間当たり手数料(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 3.8 | 406 | 15 | 3 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 437 | 79 | 16 |
取り方:会社が独立開示した介護福祉の四半期手数料3.13億・3.66億・4.03億・4.67億円を合計し15.49億円とした。資格職の割合が高いことから時給1,450円、手数料率28%を推定し、1時間当たり406円、成立時間3.815百万時間と組み立てた。高齢化とベネッセキャリオスとの提携は数量増の根拠だが、業界の有資格者不足と競合参入を上限とする。実際の資格職割合・時給は未開示のため推定である。
その他現場スポットワーク
宿泊、イベント、生活関連サービスなどのスポットワーク。新しい職種や地方への浸透が成長機会となる。
| 数量年間成立労働時間(百万時間) | 価格成立労働1時間当たり手数料(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 10.9 | 356 | 39 | 9 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 372 | 82 | 16 |
取り方:会社開示のその他業界手数料8.17億・10.20億・10.72億・9.64億円を合計して38.73億円とする。平均時給1,250円と手数料率28.5%を仮定し、成立時間10.872百万時間と推定した。実際には複数職種を含むため単価は加重平均の近似である。宿泊・イベントなど身体的な作業を中心とするが、一般事務等のAIエージェント代替に弱い仕事も含まれるため、10年の手数料価格に競争圧力を加える。
タイミーソリューションズ・現場請負
現場の業務請負、受入支援、運営改善などを提供する。マッチングだけでなく人員配置と現場管理を含み、労働集約的な費用構造を持つ。
| 数量請負・現場支援の年間提供時間(百万時間換算) | 価格提供1時間当たり売上(円・名目、管理料等を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 0.4 | 2,500 | 9 | −4 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 2,900 | 30 | 1 |
取り方:直近12か月の連結売上約388.3億円から、開示済みのスポットワーク手数料約376.2億円を差し引くと周辺事業等は約12.1億円となる。タイミーキャリアプラス等に約3億円を推定配分し、請負・現場支援を約9.1億円とした分析上の推定で、法定報告セグメントの数値ではない。人件費込みの売上を1時間2,500円と仮定して換算した。主力は現場の身体的労働だが、管理・事務部分約25%は人月・工数型のAI代替対象とし、中立でその事務工数を約0.65倍へ縮める一方、現場提供時間の拡大を分けて考える。
タイミーキャリアプラス・長期採用支援
勤務履歴を使った正社員紹介、長期アルバイト採用の支援、月額課金の採用プランなどを扱う。成果報酬と採用管理の利用料を組み合わせる。
| 数量年間採用成約換算件数(件、月額契約売上を成約相当に換算) | 価格成約換算1件当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 250 | 0.01 | 3 | −2 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 0.01 | 17 | 1 |
取り方:周辺事業等の約12.1億円から請負・現場支援に約9.1億円を推定配分した残り3億円を起点とする。正社員紹介手数料の想定単価約120万円を用い250件相当とした推計である。2026年8月に本格展開した長期アルバイト採用サポートプランは直近12か月の実績には含まれず、将来の収入は成約換算に含める。同プランの月額2万〜4万円の基本料金は会社開示。成果報酬型の紹介と席課金型の採用管理を含むため、AIエージェントによる候補者選定・求人作成・画面操作の代替が大きい。10年後の単価は物価上昇に届かず、周辺事業の強気な市場拡大を全社の高成長と同一視しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と仲介手数料の低下
AIエージェントが求人文の作成、募集時間の最適化、候補者の比較、採用管理、複数サービスへの発注を自動化すれば、企業が個々の求人アプリの操作画面に依存する必要は減る。物流・小売・介護など現場の身体労働は直ちにはなくならないが、その調達手数料に対する価格競争は強まりうる。タイミーキャリアプラスや長期採用の席課金・事務支援は特に代替圧力を受ける。中立では物価上昇に比べて成立1時間当たりの手数料上昇を大幅に抑え、長期gにも反映する。
物流の大口顧客と荷動きへの依存
物流はスポットワーク手数料の約45%を占め、顧客の出荷量や倉庫運営方針による影響を大きく受ける。2027年4月期第1四半期には、冷夏、中東情勢の影響、一部大手顧客の取扱数量減少が会社から説明された。荷動きの変化で募集人数が減れば、アプリの品質が改善していても売上が減る。さらに大口顧客は手数料交渉力が強く、取引量増加と単価下落が同時に起こりうる。
スポットワークの規制・労務管理
スポットワークでは求人企業と働き手の間に直接雇用契約が成立するため、労働条件の明示、休業手当、キャンセル、賃金支払いなどの実務を適切に扱う必要がある。厚生労働省は利用者と企業向けの留意事項を公表している。法令対応が厳格化すれば確認・管理の費用が増え、気軽な募集の利便性が下がる可能性がある。適切な対応が業界標準になれば強みになる一方、不適切な運用が信頼を損なえばネットワークにも影響する。
現場自動化と労働需要そのものの減少
スポットワークは働き手の数だけでなく、企業が必要とする労働時間で成り立っている。物流では自動仕分け、搬送ロボット、倉庫管理技術が普及し、小売ではセルフレジや在庫管理の自動化が進む。人手不足が続いても、生産性向上によって特定の単純作業が減る可能性がある。タイミーが利用割合を高めても、対象となる仕事の総量が減れば成立時間の成長率には上限が生まれる。
M&Aと低収益の請負事業への拡張
請負や現場運営サービスは顧客との接点を深めるが、運営人員と現場管理費が必要であり、主力のマッチング手数料ほど高い資本効率を期待しにくい。M&Aによって連結売上高が増えても、営業利益率や投下資本利益率が下がれば株主価値は増えない。韓国Neederへの出資では減損が発生しており、隣接領域への投資の成功を当然視しない。今後の買収では取得価格、のれん、実際の現金利益を継続して確認する必要がある。
登録者数と実際の稼働の違い
登録ワーカー数や登録事業所数は規模を示すが、その全員が日々取引しているわけではない。売上を直接生むのは実際に成立した勤務時間と手数料である。登録者が増えても稼働率が下がり、広告費を増やさなければ仕事が埋まらなくなれば、ネットワークの経済性は悪化する。市場が成熟するほど新規登録数より、アクティブ事業所数、同一職場へのリピート、広告費当たりの成立時間が重要になる。
今後の分かれ目
- 物流の成立労働時間が継続して前年比2桁成長し、手数料率も下げ止まったら
- 大口顧客の深掘りが機能していると判断し、中立の物流数量と収益性を上方修正する。値下げによる一時的な取引増なのかを併せて確認する。
- 全社平均テイクレートが現在の約29%から25%以下へ低下し、成立時間の伸びも鈍化したら
- 価格競争がネットワークの強さを侵食している可能性を重視し、やや悲観・悲観の筋書きへ比重を移す。
- 介護福祉の成立時間が数年間高成長を維持し、稼働率と利益率も改善したら
- 単なる新規登録の増加ではなく、資格職の安定したマッチング基盤ができた証拠として、介護の数量前提と堀の持続性を上方修正する。
- 長期アルバイト採用サポートプランが継続的な月額収入を伸ばし、低い解約率と高い限界利益率を数字で示したら
- 採用周辺事業の利益前提を引き上げる。ただしAIエージェントが代替する採用管理機能と、勤務実績という独自データの価値を分けて評価する。
- M&A後の請負事業で営業赤字が続き、のれんや出資先の減損が繰り返されたら
- 成長投資の増分ROICが資本コストを下回っていると判断し、周辺事業の長期利益率を引き下げる。株主還元の代わりに価値を壊す投資が続く可能性も評価へ反映する。
- 年間の自己株買いと配当が安定して純利益の過半を株主へ戻すようになったら
- 株主に帰属する現金の回収可能性が高まったとみて、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地がある。事業の利益成長率自体を還元だけで上方修正しない。
見ておくもの
- 四半期の流通総額、平均テイクレート、スポットワーク手数料売上高の関係
- 物流・小売・飲食・介護福祉の業界別成立時間と手数料売上の推移
- アクティブ事業所数、1事業所当たり流通総額、稼働率、リピートワーカー率
- 物流Field Manager導入拠点の流通総額の伸びと、大口顧客への割引率
- タイミーソリューションズとタイミーキャリアプラスの営業損益、M&Aの取得額と減損
- 長期アルバイト採用サポートプランの有料導入拠点、解約率、追加販売の限界利益
- 厚生労働省のスポットワークに関する労務管理規制と、現場自動化の進展
- 株主還元額、自己株取得株数、利益剰余金、立替金、借入金の増減
倍率と資本コストの決め方
数量は会社開示の2025年5月〜2026年4月の業界別スポットワーク手数料を起点に、平均時給と手数料率から実際の成立時間へ換算した。物価3%は将来の名目時給に含め、数量には含めない。中立では賃金の上昇にもかかわらず、競争とAIエージェント代替で手数料率が下がるため、1時間当たりの収入は小幅な上昇にとどまる。2026年4月期は決算期変更により6か月決算であるため、直近12か月参考値を使用した。株価と株数の基準は添付の2026年10月23日を維持し、資産の床は新しい2026年7月末の貸借対照表で確認した。倍率はk8%、長期g2%、ROE、強い堀の残存割合2/3から求め、現在の市場PERや同業の倍率には合わせていない。将来のROEは利益と還元による自己資本の変化を反映する。AIの影響は数量・手数料・gに入れ、資本コストの寿命項目では重ねない。悲観のPBRについては、10年後の自己資本170.14億円ではなく、SCHEMA §1-3に従い、2025年10月期の現在自己資本145.2億円を分母に使用する。PBR0.59による悲観時価総額は約85.67億円となり、推定した回収可能資産の床85億円を下回らない。2027年以後の新リース会計による表示変化も、事業の現金収益と混同しない。会社の事業価値を先に積み上げた結果、現在の時価総額とは大きな差が生じたが、その差を縮めるための逆算はしていない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通基準7.5%に品質調整+0.5%を加え、資本コストを8.0%とする。βや時価総額による上乗せは使わず、M&Aや個別の競争リスクは筋書きと確率に反映する。