結論
アルバイトタイムスは、静岡県の求人情報誌DOMOから出発し、採用管理サービスのワガシャ de DOMOを収益の中心に育てた会社である。筆者の結論は割高だ。純現金の厚さと着実な配当は評価できるが、現在の事業利益が小さく、10年後まで採用支援の価格決定力を守れるとは判断できない。
2026年2月期の売上高は約47億円、営業利益は約1.6億円だった。2027年2月期の会社予想では営業利益2.8億円へ回復するが、売上の半分以上を占めるHRテックは、採用管理画面だけでなく求人原稿の制作や運用代行も売り物にしている。AIエージェントが企業の採用活動を直接処理するようになれば、顧客に必要な契約数と支払単価の双方に圧力がかかる。
一方、2026年2月期末には約17億円の純現金があり、自己資本比率は79%だった。2024年には約7.7億円の自己株式取得も実施している。現金を株主へ返す意思は確認できるが、2025年のWHOM買収で約4.7億円を投じたように、現金が将来も手つかずで残るとは限らない。事業投資の収益性と株主還元の両方を見なければならない。
中立では、既存の採用支援サービスが実質的に縮小し、10年後の営業利益は約1.1億円にとどまる。強気の筋書きでは業務効率化と地域顧客への販売拡大が奏功するが、厳しい筋書きでは採用媒体と受託業務が同時に細る。5つの筋書きから求めた現在価値は約16.5億円であり、基準時点の時価総額約30.4億円を約46%下回る。資産の厚さだけでは、この差を埋められない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の魅力は分かりやすい。大きな借金を背負わず、地方の求人顧客と長年付き合いながら、現金を蓄えてきた企業である。媒体事業は設備に多額の資金を投じなくても運営できるため、競争が緩やかな時代には高い利益率とキャッシュフローを生み出せた。2024年の大規模な自己株式取得も、現金を少数株主に還元した実績として評価できる。
しかし、長く持つ株主が買うのは現金だけではない。10年後に顧客が何のために支払い、その価格を会社自身が決められるかが問われる。ワガシャ de DOMOの利用料金には継続収入という長所があるが、利用者数よりも解約率、契約単価、顧客獲得費用が大切になる。公式サイトに掲げられた累計導入実績だけで、強い乗り換え障壁を認めることはできない。
同社が最も大きな付加価値を得ているのは、顧客が採用の手間を省けるところである。ところが、その手間をAIエージェントが直接なくしてしまえば、従来の商品設計は根本から見直しを迫られる。採用そのものはなくならないが、求人記事の制作、掲載媒体の選択、応募者の管理を別々に外注する必要は減りうる。既存サービスの販売を強化するだけでは、この変化への防御にはならない。
オーナー利益を考える際には、会計上の利益から新たな商品開発と顧客獲得に必要な投資を差し引く必要がある。WHOM買収で生じたのれんの償却は非現金費用だが、買収に使った現金は実際に会社から出ている。顧客基盤が残る限り投資額が回収できるのか、増分の資本利益率が資本コストを上回るのかを確かめたい。
筆者は現時点で、この会社を強い堀を持つ永久保有向きの事業とは評価しない。財務は厚いが、採用支援の競争優位は技術と顧客行動によって変わりやすい。利益の見通しに十分な確信が持てない以上、現金の価値と保守的な事業価値を合わせても安全域が必要である。現在の時価総額には、その安全域が見当たらない。
何で稼ぐ会社か
会社の収益源は、人材サービス事業と販促支援事業の二つである。2026年2月期の人材サービス事業は約43.1億円を売り上げ、連結売上の9割強を占めた。ここには求人情報誌DOMO、求人サイトDOMO NETとJOB、採用管理サービスのワガシャ de DOMO、採用代行会社WHOMなどが含まれる。販促支援事業は子会社リンクによるフリーペーパー取次が中心である。
最も大きい商品群はワガシャ de DOMOなどのHRテックで、2026年2月期の関連売上は約24.9億円だった。企業が採用ページを作り、Indeedなど複数の求人サイトへ求人情報を掲載できる仕組みである。原稿の制作や修正も会社側が代行する。顧客は継続的な利用料金を払い、オプション商品や提携先の広告商品も売上になる。会社の公式料金では、ライトプランは一定の契約条件の下で月額3.3万円から利用できる。
この商品には二つの収益構造が混在している。一つは採用管理システムの継続利用料で、もう一つは人が担ってきた求人広告の制作、掲載、運用の代行収入である。顧客には便利だが、AIが画面操作と求人原稿の制作を代替する場合、両方が競争にさらされる。求人検索エンジンとの連携も自社だけでは管理できない。
2025年3月に子会社化したWHOMは、外部の専門リクルーターを使って顧客企業の採用活動を代行する。2026年2月期のRPO関連売上は約3.4億円だった。採用戦略の設計や面接業務まで扱うため、顧客の仕事に深く関われるが、リクルーターへの支払いも生じる。人の稼働時間で売る部分が大きく、AI代替と人件費上昇の双方を考える必要がある。
従来型のDOMOは、静岡県内の東部、中部、西部の3版を毎週発行する求人情報誌である。2026年2月期の紙媒体売上は約6.2億円だった。求人サイト売上にはDOMO NET、JOB、TSUNORUも含まれ、地方企業との営業関係を維持している。しかし紙の広告枠、求人サイトの掲載枠、採用管理システムは競争条件が異なるため、10年の数量と単価は別々に考える必要がある。
優良さと弱いところ
最大の強みは、静岡県を中心に長年築いてきた地域企業との取引関係である。DOMOは地方の求職者に知られた媒体であり、求人広告を出す企業に対して営業担当者が採用方法まで提案できる。ワガシャ de DOMOはその顧客関係を全国向けの継続課金サービスに広げた商品である。2026年6月時点の累計導入実績は1万9千社を超えており、新規顧客を獲得してきた実績はある。
ただし、累計導入社数は現在の有料契約社数でも継続率でもない。解約率が年5%未満であることや、競合への移行に長い期間が必要であることを示す数字は確認できなかった。サービス自体は求人媒体への連携と記事作成支援を中心とし、法令上の記録の正本を独占的に預かる仕組みではない。したがって、競合が模倣しにくい強い堀として評価する証拠は足りない。
資本効率には大きな課題がある。2015年から2016年には営業利益が約10億円あったが、近年の営業利益は大きく落ち込んだ。2021年2月期には営業赤字となり、2025年2月期には子会社関連の損失などで最終赤字を計上した。2026年2月期のROEは6.6%まで戻ったものの、過去10年の中央値は約2.3%にすぎない。利益を長期にわたり資本コスト以上の利回りで再投資できる企業とは、まだ評価できない。
財務には明確な強みがある。借入への依存が小さく、純現金は自己資本の約6割を占める。この蓄えは需要低迷時の時間を買うが、事業の競争力そのものを保証しない。既存の媒体を整理し、採用支援の開発費や販売費を減らしても顧客が残るなら、利益の質は改善する。反対に、新しい商品への投資を増やしても売上が維持できなければ、現金は徐々に失われる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の求人情報提供サービス市場は、全国求人情報協会の調査で2024年度に6,661億円だった。求人検索エンジンやソーシャルリクルーティングなど、別枠で集計された新形態サービスも3,938億円ある。2025年の求人広告掲載件数は約2,887万件と公表されている。企業の採用需要は大きいが、広告の掲載場所と顧客の支払先が変化している市場である。
アルバイトタイムスの紙媒体と従来型求人サイトの売上を合わせると約10.7億円であり、全国求人情報提供サービス市場に対して単純計算で約0.16%にとどまる。ただし、会社が強い静岡県の市場だけを取り出したシェアではない。ワガシャ de DOMOを含むHRテックは別の市場にもまたがるため、すべてを求人広告市場に足して同一のシェアとして扱うことはできない。厳密な製品別市場占有率は開示資料だけでは確定できない。
競合の中心にはIndeedを持つリクルートグループ、バイトルを運営するディップ、マイナビなどの大手求人媒体がある。さらにAirワークなど、企業が自分で採用ページを作るサービスも代替手段となる。採用管理クラウド市場には多くの独立系事業者が参入している。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では、採用管理以外も含むHRTechクラウド市場は2024年度に1,385億円となった。市場全体が大きくても、既存商品の価格が上がり続ける保証はない。
足元では人手不足が続く一方、静岡県の求人需要は全国より弱い。2026年8月の有効求人倍率は全国が1.18倍、静岡県は1.08倍だった。人口減少による応募者不足は採用支援需要を支えるが、地方の企業数や求人募集数の減少は広告数量を圧迫する。10年後には、紙媒体より採用管理、さらに採用管理よりAIによる採用業務の自動実行へ価値が移る可能性がある。
AIは求職者の検索、求人原稿の作成、候補者の選別、面接日程の調整をまとめて処理できる方向に進んでいる。企業が人手不足だからこそ、採用担当者の操作する画面や外部の運用担当者を減らす誘因も強い。WHOMのような採用代行には現場判断と顧客対応が残るが、作業時間そのものを販売する部分の数量は縮みうる。業界の市場拡大をそのままアルバイトタイムスの売上成長に変換するのは危険である。
資本政策と M&A
会社は、成長性の高いHRテックへの投資と新しい採用支援事業の取得を進めている。2025年3月にはWHOMの全株式を取得し、2026年2月期には子会社株式取得による約4.7億円の支出があった。買収に伴うのれんは約4.68億円で、8年間にわたり償却する方針である。年間約0.58億円ののれん償却は当面の利益を圧迫するが、10年後には既存買収分の償却が終わっていると考えられる。ただし、買収先の稼ぐ力が落ちれば償却が終わる前に減損が生じる。
過去の還元には実績がある。2024年2月期には約7.72億円の自己株式取得を実施し、そのうち約6.72億円は公開買付けによる取得だった。2026年には自己株式を合計300万株消却した。ただし、保有済みの自己株式の消却は新たな現金支出ではないため、将来の株主還元や純現金の減少に重複して計上しない。配当は2024年2月期から継続しており、2027年2月期も年間配当を維持する予定である。
会社の配当方針は連結配当性向50%を目処とするものである。2027年2月期の会社予想は売上高50.24億円、営業利益2.80億円、純利益1.67億円であり、配当を維持する計画だ。調査した中長期方針ではHRテックの拡販とRPO事業の地域展開が掲げられているが、2028年以降の売上、営業利益、ROE、自社株買いについて確認できる数値の約束はない。
資本配分で注意したいのは、過去の高収益事業から得た現金が、収益性の低い新規事業に移る可能性である。2026年2月期の営業キャッシュフローは約4.0億円だったが、買収を含む投資キャッシュフローは約5.6億円の支出だった。今後は、増分の投資額に対する営業利益の伸びを重視する。利益を生まない投資を止めて現金を返す方が、株主にとって価値が高い場合がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ワガシャ de DOMOは単なる採用管理ソフトではなく、求人制作と複数媒体への掲載を一括して提供する採用支援サービスである。累計導入実績は1万9千社を超え、中小企業には採用担当者を専任で置けない会社が多い。画面を操作する時間を省けるだけでなく、応募数を増やす提案まで受けられることが顧客の利益になっている。大手の採用管理ソフトとは違い、こうした小口顧客への支援には地域営業と現場対応の強みが残る。
AIの導入は脅威だけとは限らない。求人記事の作成と更新を自動化できれば、顧客への販売価格を大きく下げずに制作費用を減らせる。WHOMのリクルーターも、候補者の検索や日程調整を自動化すれば、顧客への提案や面接の質を高める仕事に集中できる。これまで人の手で処理していた部分を効率化し、粗利益を守ることは可能である。
2027年2月期上期には広告販促費の抑制が利益回復につながり、通期営業利益も前期を大きく上回る計画となっている。財務面では借入負担が小さく、景気が悪化しても商品開発と営業活動を継続する時間がある。2024年に自己株式取得を行った実績を考えれば、余剰現金を株主へ戻す経営判断にも期待できる。紙媒体が縮小してもHRテックとRPOが支え、事業規模を大きく落とさず利益率を引き上げられる可能性がある。
慎重な見方
最も厳しい問題は、会社の主力商品そのものがAIの代替対象に重なっていることだ。採用管理画面への入力、求人原稿の制作、掲載先の選択、応募状況の集計は、いずれもAIエージェントが得意とする方向へ進む。ワガシャ de DOMOの機能は顧客にとって便利だが、これらの作業が企業の既存システムやAIサービスに統合されれば、別途料金を払う理由が薄れる。Indeedなど外部の求人検索媒体への依存も、顧客との間にある同社の交渉力を弱める。
WHOMのRPO事業も、採用判断に人が必要だからといって売上が守られるわけではない。これまで複数人のリクルーターが担っていた作業を少人数で処理できれば、顧客が購入する工数は減る。価格を維持できても、請求対象となる作業量が減れば売上は細る。さらに、採用業務を外注する企業が自社のAIシステムで処理するようになれば、契約そのものが失われる可能性もある。
過去の利益実績は、競争環境が大きく変わることを示している。2015年から2016年に約10億円あった営業利益は、2026年2月期には約1.6億円に落ちた。紙媒体の衰退を新しい事業で補おうとしているが、十分な資本利益率を維持できた証拠はない。WHOMの買収で生じたのれんも、買収後の成長が鈍れば減損の対象となる。
純現金は最後の支えだが、少数株主が自由に引き出せる現金ではない。経営陣が新しい人材サービスを買い続け、開発費と広告費を投じ続ければ、会計上の純資産を保ちながら株主価値を失う可能性がある。採用支援は必要な事業でも、現在の商品群が10年後に同じ形で存在するとは限らない。
どちらに重みを置いたか
財務の厚さと地方顧客への営業力では強気の見方に根拠がある。しかし、主力商品の過半が採用管理と広告制作運用に関わり、価格決定力を示す解約率や値上げ実績が不足している点では慎重な見方が優勢である。
確率は楽観とやや楽観の合計を32%、やや悲観と悲観の合計を41%とした。AIによる数量と単価の縮小は中立の事業予測に織り込み、同じ理由で資本コストや確率を過度に悪化させていない。現金が十分にあるため倒産を中心シナリオにはしないが、利益の回復だけで現在の時価総額を正当化するのは難しい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 161 円30 億円(+ 還元の換算額還元の合計 32 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 98 円18 億円、今との差 −40.0%、 期待の年率 +1.8%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 389 円71 億円 | 71 円13 億円 | +180.5% | +12.1% | 55 円10 億円 |
| やや楽観 | 20% | 260 円47 億円 | 51 円9 億円 | +89.3% | +7.3% | 62 円11 億円 |
| 中立 | 27% | 118 円22 億円 | 30 円6 億円 | −9.6% | −1.1% | 40 円7 億円 |
| やや悲観 | 25% | 81 円15 億円 | 16 円3 億円 | −40.4% | −5.4% | 24 円4 億円 |
| 悲観 | 16% | 66 円12 億円 | 7 円1 億円 | −56.0% | −8.2% | 12 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 161 円30 億円 | 32 円6 億円 | +17.9% | +1.8% | 193 円35 億円 |
今の株価時価総額 164 円30 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 地域顧客を維持しながら採用支援の効率化に成功 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 389 円71 億円
10年後もワガシャ de DOMOが中小企業の採用業務を支援するサービスとして残る。静岡県で培った営業関係を活用し、全国の地方企業に販売を広げる。採用管理画面を売るだけでなく、求人媒体との連携や企業ごとの採用条件に合う提案を続けることで、競合への顧客流出を小さく抑える。
企業はAIを利用して求人記事を作るようになるが、アルバイトタイムス自身も制作工程を効率化し、人件費と広告販促費の負担を軽くする。採用支援に必要な契約数はわずかに減るものの、既存顧客への追加販売と販路拡大によって年間の売上を維持する。大手の採用システムほど高度な機能を求めない中小企業では、相談できる担当者の存在が残る。
WHOMのRPO事業では、候補者探索などの定型作業を減らし、採用設計や面接支援に集中する。紙媒体は縮小するが、残る広告主が複数媒体への掲載を利用することで、極端な収益悪化を回避する。買収したWHOMののれん償却も終わり、会社全体の営業利益率が大きく改善する。
ただし、強気でも採用管理やRPOの契約数量が長期にわたり増え続けるとは想定しない。利益を支えるのは業務の効率化と商品構成の改善である。株主には利益の約半分を継続的に返し、純現金の厚さを守りながら経営する10年となる。
- ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品:数量 6,150(年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない))× 価格 0.00(1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円))→ 売上 28 億円・営業利益 9 億円。AI代替対象の契約数量は現状の0.98倍に抑え、継続契約の単価は1.15倍。原稿制作の効率化で直接利益率を改善する。
- WHOMの採用代行・RPO:数量 1,307(最低受託料金25万円換算の年間案件数)× 価格 0.00(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。受託案件換算数量0.95倍、単価1.32倍。人の判断を要する業務に集中する。
- 無料求人情報誌DOMO:数量 26,950(年間掲載枠回数(標準枠換算))× 価格 0.00(1掲載枠回当たり広告売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。掲載数量0.70倍、単価1.34倍。静岡の地域媒体として残る。
- DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト:数量 9,540(年間4週間掲載プラン換算件数)× 価格 0.00(1掲載プラン当たり広告売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。求人サイトの掲載数量1.10倍、単価1.34倍。地域企業との顧客関係を維持する。
- IT教育・人材紹介・その他人材サービス:数量 792(50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数)× 価格 0.01(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。教育・紹介等の案件数量0.95倍、単価1.32倍。成果につながる支援が残る。
- 販促支援・フリーペーパー取次:数量 12.9(年間取次百万部換算)× 価格 0.34(100万部当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。紙媒体取次数量0.80倍、名目単価1.34倍。事業整理で利益率を改善する。
倍率:資本コストk=7.75%、長期名目成長g=0%。ROEは約10.0%でkを上回るが、弱い堀の残存割合1/3を用いたRONICは約8.5%。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=12.90倍となる。事業純利益4.20億円から余剰現金10億円の税後受取利息0.14億円を除き、事業価値を計算したうえで余剰現金10億円を戻す。強気だからという理由で長期成長率を引き上げない。
確率:全国の中小企業向けの販売網が広がり、求人制作と採用代行の費用を大きく下げる必要がある。利益率の回復はあり得るが、現時点でAIエージェント自体を有料商品として大規模に販売した金額の開示は確認できないため、代替対象の数量が今より増える想定はしない。
やや楽観 20% 採用支援への転換で収益力を取り戻す 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 260 円47 億円
ワガシャ de DOMOは採用管理画面の提供から、企業の採用活動をまとめて支援するサービスへと変わる。求人制作や応募者への対応を効率化し、契約数量が少し減っても利益を守る。営業担当者は新規の広告枠を売るだけでなく、顧客が必要とする採用支援を提案するようになる。
既存の大手求人媒体との競争は続くが、地方の中小企業には採用業務を外注したい需要が残る。ワガシャ de DOMOは料金を抑えながら必要な機能を提供し、同社の地域営業網が顧客獲得を支える。採用支援の契約数は10年で小幅に減少するものの、商品構成の改善と名目単価の上昇が売上を下支えする。
WHOMの採用代行では、単純な応募者対応の比率が減る。人にしかできない採用設計や顧客との調整を中心に、案件単価を改善する。紙媒体とフリーペーパー取次は数量が減るが、印刷費、広告費、販売管理費の削減によって会社全体の営業利益率は改善する。
新たな大型買収に依存せず、既存の商品の改善と費用削減によって利益を増やす10年となる。会社は配当性向50%を中心に還元を続ける。純現金は維持されるが、顧客基盤が独占的な仕組みに変わるわけではないため、高い利益成長が10年後も続くとは考えない。
- ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品:数量 5,899(年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない))× 価格 0.00(1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円))→ 売上 26 億円・営業利益 8 億円。契約数量0.94倍、単価1.13倍。制作工程の省力化で直接利益率を引き上げる。
- WHOMの採用代行・RPO:数量 1,128(最低受託料金25万円換算の年間案件数)× 価格 0.00(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。案件数量0.82倍、単価1.29倍。上流の採用設計業務への移行が進む。
- 無料求人情報誌DOMO:数量 22,715(年間掲載枠回数(標準枠換算))× 価格 0.00(1掲載枠回当たり広告売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。掲載数量0.59倍、単価1.34倍。地域媒体としての地位は残る。
- DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト:数量 8,326(年間4週間掲載プラン換算件数)× 価格 0.00(1掲載プラン当たり広告売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。掲載数量0.96倍、単価1.32倍。求職者との接点を一定程度維持する。
- IT教育・人材紹介・その他人材サービス:数量 667(50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数)× 価格 0.01(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。案件数量0.80倍、単価1.30倍。教育と紹介の高付加価値部分が残る。
- 販促支援・フリーペーパー取次:数量 11.0(年間取次百万部換算)× 価格 0.33(100万部当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。取次数量0.68倍、単価1.31倍。縮小事業の経費を削減する。
倍率:k=7.75%、g_long=0%であり、10年後のROEは約6.7%とkを下回る。成長による価値の上積みは認めず、稼ぐ力のPER上限1/k=12.90倍を用いる。純利益2.52億円から余剰現金の税後利息0.14億円を除いた事業純利益に適用し、余剰現金10億円を加える。
確率:ワガシャ de DOMOの顧客基盤とWHOMの採用支援ノウハウを生かし、紙媒体の減少をある程度補う筋書き。会社が2027年2月期に営業利益回復を見込むことは裏付けとなるが、AIによる数量減少を避けるほどの強い堀は確認できないため、楽観より実現可能性を高くしつつ数量は減らす。
中立 27% 採用需要は残るが既存商品の契約数が減る 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 118 円22 億円
企業は2036年にも求人募集と人材採用を続けている。しかし、求人記事を作成する人、複数のサイトへ転記する人、応募者の情報を整理する人は大幅に少なくなっている。AIエージェントがこれらの定型業務を引き受け、企業の採用担当者は少ない操作で必要な業務を完了できるようになる。
ワガシャ de DOMOは一定の顧客を維持するが、契約数は緩やかに減る。既存のサービスを必要とする中小企業は残るものの、利用料金を物価上昇と同じ速度で引き上げることは難しい。無料または低料金の競合サービスが充実し、求人検索エンジン側の仕様変更も価格交渉力を弱める。
WHOMのRPOでは、人による対応が必要な案件は引き続き存在する。しかし、単純な採用事務が自動化されるため、従来より少ない人月で案件を処理できる。紙のDOMOとフリーペーパー取次は構造的に縮小する。求人サイトも求職者の検索行動の変化に影響され、掲載件数の増加にはつながらない。
会社は人員配置、広告費、紙媒体の発行費用を見直し、赤字に陥らない程度の営業利益を確保する。既存のWHOM買収に伴うのれん償却は10年後には終了しているが、減収で失った粗利益を完全には補えない。収益性は低く、純現金と配当が株主価値の支えとなる10年である。
- ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品:数量 5,271(年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない))× 価格 0.00(1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円))→ 売上 23 億円・営業利益 7 億円。AIエージェント代替により契約数量0.84倍、価格1.10倍。名目価格は物価上昇の1.34倍に届かない。
- WHOMの採用代行・RPO:数量 894(最低受託料金25万円換算の年間案件数)× 価格 0.00(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型として案件数量0.65倍、単価1.26倍。定型事務の自動化で請求工数が減る。
- 無料求人情報誌DOMO:数量 18,480(年間掲載枠回数(標準枠換算))× 価格 0.00(1掲載枠回当たり広告売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。広告枠の数量0.48倍、価格1.34倍。紙媒体の構造縮小が続く。
- DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト:数量 6,938(年間4週間掲載プラン換算件数)× 価格 0.00(1掲載プラン当たり広告売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。掲載数量0.80倍、価格1.25倍。求職者流入を失い、価格上昇は物価に遅れる。
- IT教育・人材紹介・その他人材サービス:数量 542(50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数)× 価格 0.01(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。教育・受託案件数量0.65倍、単価1.25倍。AIで研修・事務作業の一部が不要になる。
- 販促支援・フリーペーパー取次:数量 9.4(年間取次百万部換算)× 価格 0.32(100万部当たり売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。紙媒体の取次数量0.58倍、価格1.29倍。休刊と取次地域縮小が続く。
倍率:k=7.75%、g_long=0%、10年後ROEは約2.4%。ROEがkを下回るため、PERは稼ぐ力の上限1/k=12.90倍とする。将来の純利益0.79億円には余剰現金の税後受取利息0.14億円が含まれるため、事業利益0.65億円にPERを適用し、余剰現金10億円を別に加える。現在のPBRや同業の市場倍率を根拠にしない。
確率:採用業務そのものは残る一方、AIエージェントが求人制作と採用管理の一部を代替するという中心見通し。ワガシャ de DOMOの数量0.84倍は席課金型の中立範囲内であり、RPOの0.65倍は人月・工数型の範囲内である。2027年2月期の増益計画を否定せず、その後の構造変化を10年間で反映する。
やや悲観 25% AIによる代替が進み採用支援の収益力が落ちる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 81 円15 億円
採用支援の顧客企業は残っているが、支払先が変わる。求人原稿の制作、掲載先の選択、応募者対応をAIエージェントが一括処理するようになり、企業が従来型の採用管理サービスへ支払う予算は減る。ワガシャ de DOMOは低価格競争に巻き込まれ、契約数の減少だけでなく追加商品による売上も弱まる。
WHOMのRPO事業では、受託していた採用事務の大部分が少人数で処理できるようになる。採用方針の策定や面接支援は残るが、リクルーターが長期間稼働する契約は減る。顧客の内製化が進むことで案件獲得のための営業費用も増え、収益性を維持できない。
静岡県の求人需要は人口減少の影響を受ける。紙のDOMOは広告枠を大きく減らし、フリーペーパーの休刊も続く。企業向けの求人サイトは大手の検索サービスに顧客の流入を奪われ、地域での知名度だけでは競争を防げない。IT教育や人材紹介も、顧客の採用活動の縮小とAIによる業務効率化に影響される。
会社は人員整理と広告費の削減を進めるが、売上の減少が先行して営業赤字となる。配当は当初の数年間は維持されても、その後は減配や無配を余儀なくされる。すでにある現金は事業再編と運転資金に使われるため、10年後の価値は将来利益より換金可能な資産に近づく。
- ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品:数量 4,267(年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない))× 価格 0.00(1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円))→ 売上 17 億円・営業利益 5 億円。契約数量0.68倍、単価1.03倍。顧客の自動化によって継続課金が減る。
- WHOMの採用代行・RPO:数量 716(最低受託料金25万円換算の年間案件数)× 価格 0.00(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.52倍、単価1.13倍。人月請求の需要が大きく減少する。
- 無料求人情報誌DOMO:数量 11,550(年間掲載枠回数(標準枠換算))× 価格 0.00(1掲載枠回当たり広告売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。掲載数量0.30倍、価格1.28倍。地域の紙媒体需要が大幅に減る。
- DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト:数量 5,464(年間4週間掲載プラン換算件数)× 価格 0.00(1掲載プラン当たり広告売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。掲載数量0.63倍、単価1.18倍。大手求人検索サービスに流入を奪われる。
- IT教育・人材紹介・その他人材サービス:数量 442(50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数)× 価格 0.01(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.53倍、単価1.16倍。教育や採用支援の受託が細る。
- 販促支援・フリーペーパー取次:数量 6.9(年間取次百万部換算)× 価格 0.30(100万部当たり売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。取次数量0.43倍、価格1.20倍。取次先の休刊と拠点縮小が進む。
倍率:構造的な営業赤字のためPERではなく、現在の自己資本28.6億円を基準に資産価値を測る。PBR0.52倍による価値は約14.9億円。のれん約4.7億円は換金価値が乏しく、ソフトウェアと売掛債権にも回収・清算費用を見込む。今の純現金17.1億円の全額が株主へ直ちに戻るとは考えず、必要運転資金などを控除した約12億円を保守的な資産の床とする。積み上がった将来自己資本に床のPBRを掛けない。
確率:採用管理サービスの乗り換え障壁が強いと確認できず、Indeedなど外部媒体に依存しているため、契約数量と単価の双方で不利になる可能性がある。会社は固定費削減を進めるが、売上減少を吸収できず営業赤字に陥る。純現金によって事業継続は可能とみる。
悲観 16% 主力採用支援をAIと大手プラットフォームに奪われる 利益 −3 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 66 円12 億円
採用業務の大半は企業が使うAIエージェントや大手求人プラットフォームに統合される。企業は求人原稿を作り、複数の採用サイトに掲載し、応募者の情報を管理するために個別のサービスを契約する必要がなくなる。ワガシャ de DOMOは従来の利用目的を失い、価格を引き下げても顧客を十分に維持できない。
WHOMのリクルーターが担っていた採用事務も大部分が自動化される。人の面接判断や経営者との相談は残るが、従来のような稼働時間を販売する契約は大きく減る。教育事業にもAIを使った低価格サービスが広がり、顧客が外部へ支払う研修費用が減少する。買収した事業の将来キャッシュフローが弱まり、追加の投資を正当化できなくなる。
紙のDOMOは静岡県内で限定的な用途を残すだけになる。求人サイトへの流入も大手に集中し、フリーペーパーの休刊によって取次数量が大幅に減る。長年の地域ブランドは一部残っていても、十分な広告収入を生むことはできない。会社は既存の商品群の整理と人員削減を進めるが、事業規模が小さくなりすぎて本社の固定費を吸収できない。
10年後には継続的な営業赤字となり、利益を使った企業価値評価が難しくなる。配当は早い段階で停止し、新たな大型買収も実施しない。事業から得られる価値よりも、残存する現金と換金可能な資産の価値が中心になる。かつての高収益求人媒体企業としての優良さは失われている。
- ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品:数量 3,577(年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない))× 価格 0.00(1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。契約数量0.57倍、価格0.98倍。AIによる機能代替で既存課金が崩れる。
- WHOMの採用代行・RPO:数量 550(最低受託料金25万円換算の年間案件数)× 価格 0.00(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.40倍、単価1.07倍。人の工数への支払いが急減する。
- 無料求人情報誌DOMO:数量 9,625(年間掲載枠回数(標準枠換算))× 価格 0.00(1掲載枠回当たり広告売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。掲載数量0.25倍、価格1.23倍。発行固定費が残り赤字となる。
- DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト:数量 4,510(年間4週間掲載プラン換算件数)× 価格 0.00(1掲載プラン当たり広告売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。掲載数量0.52倍、価格1.12倍。自社サイトへの流入が減少する。
- IT教育・人材紹介・その他人材サービス:数量 359(50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数)× 価格 0.01(1案件換算当たり売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。案件数量0.43倍、単価1.10倍。教育と紹介の収益性が悪化する。
- 販促支援・フリーペーパー取次:数量 4.8(年間取次百万部換算)× 価格 0.29(100万部当たり売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。取次数量0.30倍、単価1.15倍。事業縮小でも固定費が残る。
倍率:継続的な赤字でPERによる企業価値を正当化できない。現在の自己資本28.6億円を基準にPBR0.42倍として約12.0億円を評価する。これは今の純現金17.1億円から必要運転資金と撤退費用を控除した回収可能資産の推定額に近い。WHOMののれん約4.7億円は清算価値が乏しく、帳簿の自己資本全額を床としない。悲観の自己資本17.4億円を10年間積み上げた後にPBRを掛けて床を高くすることもしない。
確率:ワガシャ de DOMOの中核機能が汎用AIと大手求人検索サービスへ取り込まれ、WHOMも受託工数を失う複合的な構造敗北を想定する。売上がほぼ半分になる筋書きだが、初期の純現金が厚いため即時倒産ではなく事業縮小と資産処分に向かう可能性を中心に考える。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ワガシャ de DOMO・HRテックと関連代販商品
採用管理システムの継続利用、求人原稿の制作・運用支援、提携求人サイトへの掲載など。操作画面への課金と広告制作運用の代行が混在するAI代替対象事業。
| 数量年間ライトプラン料金換算契約数(契約年。実際の有料稼働顧客数ではない) | 価格1契約年当たり売上(億円。現在の基準は年間39.6万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 6,275 | 0.00 | 25 | 7 |
| 10 年後 中立 | 5,271 | 0.00 | 23 | 7 |
取り方:2026年2月期の決算説明資料にあるHRテック関連売上2,485百万円を用いる。公式サイトのライトプランは月額33,000円からで、年額39.6万円とすると約6,275契約年に換算できる。これは実際の有料契約社数ではない。オプション、代販商品の売上も含まれるため、数量は同一料金契約への換算単位である。2026年6月時点の累計導入1万9千社超は稼働契約数として使わない。営業利益は人材サービス事業全体の利益から費用を推定配分したもので、商品単独の開示利益ではない。AIエージェント代替は席課金・画面型と広告制作運用型の双方に該当し、記録の正本型を認める証拠は不足している。
WHOMの採用代行・RPO
外部の専門リクルーターによる採用戦略、候補者探索、選考支援、採用業務の運用代行。人月・工数で売る仕事に該当する。
| 数量最低受託料金25万円換算の年間案件数 | 価格1案件換算当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,376 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 894 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:2026年2月期決算説明資料のRPO関連売上344百万円を用いる。WHOMの公式サイトには料金の最低額が25万円からと記載されるため、1376件の最低料金等価案件に換算した。実際の案件数や平均契約単価は非開示であり、この件数を実契約数とはみなさない。採用代行を含む広い国内人事アウトソーシング市場は大きいが、WHOMの対象範囲と完全に一致する市場規模は公表値で確認できない。AIエージェント代替の型は人月・工数型とする。
無料求人情報誌DOMO
静岡県内の東部、中部、西部で毎週発行する無料求人情報誌。広告主が掲載枠の対価を支払う。
| 数量年間掲載枠回数(標準枠換算) | 価格1掲載枠回当たり広告売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 38,500 | 0.00 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18,480 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:2026年2月期有報にある求人情報紙媒体売上616百万円を採用する。DOMO静岡版の広告価格は1週間掲載の小型枠で1.3万円から始まり、枠の大きさにより高くなる。商品構成を勘案した標準単価を1.6万円と仮定すると年間38,500枠回になる。実際の枠数は非開示であり、3地域版を毎週発行する事実と販売単価表から作った推定である。紙媒体そのものは席課金型ではないが、広告原稿制作の自動化と応募者の電子媒体移行による数量減少を反映する。
DOMO NET・JOB・TSUNORU等の従来型求人サイト
自社運営の求人情報サイトで掲載枠を販売する。保有する求職者接点が価値の源泉だが、求人検索エンジンとの競争がある。
| 数量年間4週間掲載プラン換算件数 | 価格1掲載プラン当たり広告売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 8,673 | 0.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 6,938 | 0.00 | 5 | 1 |
取り方:2026年2月期の求人情報サイト売上2,936百万円から、決算説明資料のHRテック関連売上2,485百万円を控除した約451百万円を従来型サイトの代理値とする。JOBの4週間掲載プランには5.2万円程度の商品があるため、その単価で年間約8,673件に換算した。紙媒体とのセット販売などがあるため、厳密なサイト単独取扱高や掲載件数ではない。自社媒体・プラットフォーム型として扱い、AI要約による直接流入減少も考慮する。
IT教育・人材紹介・その他人材サービス
IT未経験者向け教育、人材紹介など、主力媒体とRPO以外の人材関連サービスを含む。
| 数量50万円の受講・紹介・受託案件売上換算件数 | 価格1案件換算当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 834 | 0.01 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 542 | 0.01 | 3 | 0 |
取り方:有報のその他売上761百万円から、2026年2月期に新たに計上されたRPO関連売上344百万円を控除し、約417百万円を置く。教育と人材紹介の個別契約数・単価は公表されていないため、50万円という便宜的な案件単価を用いた売上等価件数であり、実受講者数ではない。教育は人の工数型、紹介は一部成果報酬型だが、内訳を検証できないため、成長を過大に見ない人月・工数型に準じて数量を推計する。
販促支援・フリーペーパー取次
子会社リンクが行うフリーペーパーの配布・取次および関連する販売促進支援。
| 数量年間取次百万部換算 | 価格100万部当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 16.2 | 0.25 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9.4 | 0.32 | 3 | 0 |
取り方:有報の商品別の販促支援売上404百万円を採用する。取次冊数と1冊当たりの手数料は非開示であるため、1冊25円という仮の取次収入を置くと年間約1,616万部となる。これは実際の配布部数ではなく、取次量と単価の感応度を見るための換算である。2026年2月期のセグメント利益は約0.11億円であり、売上減少時に固定費を吸収しにくい。AIよりも紙媒体の減少と取次先の休刊が主な構造リスクである。
リスクと懸念
AIエージェント代替
主力のワガシャ de DOMOは採用管理画面、求人原稿の制作、掲載先への運用を一体で提供している。これらはAIエージェントが自動実行しやすい業務であり、契約数と料金の両方が下がる可能性がある。WHOMのRPOとIT教育も人の工数を売る部分があり、AIが処理する仕事が増えれば請求できる作業量が減る。10年後の数量と長期成長率に反映したリスクである。
Indeedなど外部求人プラットフォームへの依存
ワガシャ de DOMOの価値の一部は、Indeedをはじめとする外部の求人サイトへの連携にある。連携条件や求人掲載の審査基準、検索順位、広告料金が変更されれば、アルバイトタイムスが同じサービスを提供しても応募効果が悪化する可能性がある。求職者との接点を自社で完全には支配できないことが、価格決定力の弱さにつながる。
WHOM買収の投資回収と減損
2025年のWHOM買収では約4.7億円の現金を投じ、ほぼ同規模ののれんを計上した。採用代行の売上が拡大しても、リクルーターへの支払いや顧客獲得費用が増えれば投資の利回りは低くなる。AIによって受託工数が減る場合には、事業計画と実績が乖離して減損が必要となる可能性がある。
紙媒体とフリーペーパー取次の構造縮小
DOMOの紙媒体売上と子会社リンクの取次売上は、紙の求人広告とフリーペーパーの利用減少にさらされている。発行部数や取次量が減る一方、印刷費、人件費、物流費などの固定的な負担は残る。事業を段階的に縮小できなければ、少ない売上がさらに利益を圧迫する。
余剰現金の再投資による価値毀損
純現金は財務上の強みだが、少数株主がいつでも引き出せる資産ではない。過去の自己株式取得は評価できる一方、今後の成長を求めた買収や新規事業投資が資本コストを下回る収益しか生まなければ、現金の帳簿価値と株主価値は一致しなくなる。大型投資後の利益とキャッシュフローを継続的に確認する必要がある。
地方の求人需要と固定費の不一致
静岡県内の有効求人倍率は全国を下回っており、同社の基盤となる地域の求人市場は必ずしも強くない。地方の人口減少と企業数の減少が求人広告数量を押し下げる場合、人件費や販売管理費を同じ速さで削減することは難しい。売上の小幅な変化で営業利益が大きく振れる過去の収益構造が再び表面化する可能性がある。
今後の分かれ目
- ワガシャ de DOMOの有料稼働契約数、解約率、契約単価が継続開示され、解約率が年5%未満で定着したら
- 顧客の乗り換え障壁を再評価する。実際の値上げ実績や独自データの蓄積も確認できれば、HRテック部分の長期成長率と堀の評価を引き上げる余地がある。
- HRテック事業でAIエージェントを自社の有料商品として提供し、売上または受注の金額が開示されたら
- AIが既存商品を代替するだけでなく新しい収益源になる可能性を評価する。既存商品の縮小と新商品の増分を分けて確認し、数量の前提を見直す。
- WHOMのRPO事業が売上を維持しながら、買収に伴うのれん償却後の営業利益とキャッシュフローを着実に増やしたら
- 買収投資の利回りを再評価し、RPOの利益率と将来の案件単価を引き上げる。人の稼働時間ではなく成果に基づく料金体系への転換が進んでいるかも確認する。
- 人材サービス事業の売上が減少し始めても本社費と広告販促費を十分に削減できなかったら
- 中立よりやや悲観の事業構造に近づいていると判断する。営業赤字の定着を警戒し、余剰現金の消費額と減配の可能性を見直す。
- 今後5年間で純現金が大きく減ったにもかかわらず営業利益や営業キャッシュフローが改善しなかったら
- 再投資の収益性が資本コストを下回っている可能性を強く考える。余剰現金を額面で株主価値に含める前提を再検討し、買収事業の減損と資金回収を確認する。
- 大型買収を行わず、増配または現金を伴う自社株買いによって純現金を継続して株主へ返したら
- 株主還元の信頼性を高く評価する。ただし、保有済み自己株式の消却を新規の資金還元と取り違えず、実際の配当額と取得額で判断する。
見ておくもの
- ワガシャ de DOMOの有料稼働契約数、解約率、平均契約単価。累計導入社数との違いを確認する
- HRテック売上高と連結売上構成比、および広告制作・代販商品・採用管理利用料の内訳
- WHOMのRPO売上高、受託案件数、案件単価、のれん償却前後の利益と営業キャッシュフロー
- DOMO紙媒体の広告売上、発行版数、掲載枠数、印刷費と取次量
- 人材サービス事業のセグメント利益と全社調整費用の推移
- 静岡県と全国の有効求人倍率、求人広告掲載件数、企業の採用広告費
- 自己株式の新規取得額と消却株数の区別、配当総額、純現金の残高
- AIによる採用管理・求人広告制作・候補者選別の自動化状況と、競合サービスの料金改定
- 新規M&Aの取得対価、のれん残高、減損損失、買収後の増分投下資本利益率
倍率と資本コストの決め方
将来の売上は、2026年2月期の商品別売上を起点に、採用管理、RPO、紙媒体、求人サイト、教育等、販促支援の6つに分けて数量と単価から求めた。数量は実質、価格は名目であり、物価3%による10年間の倍率1.34は価格側だけに反映する。AIエージェント代替に当たるHRテックとRPOについては、指示された中立の数量と単価の範囲を守った。
資本コストは7.75%とし、長期名目成長率は0%。楽観から中立のPERは正当化上限の約12.90倍とした。現在や過去、同業の市場PER・PBRは倍率の根拠にしていない。余剰現金10億円と、その税後利息を含む事業利益を二重に評価しないようにした。やや悲観と悲観は現在の自己資本と純現金から換金可能な資産を評価し、将来の留保利益を積み上げた自己資本に床のPBRを掛けていない。
報告制度上は2027年4月以降に始まる年度から新リース会計基準の強制適用が始まるが、10年後の営業利益は現在と同じく賃借料を費用として扱う形にそろえた。2026年10月の自己株式消却は新たな資金流出ではない。基準株価は将来利益と倍率を決めた後の比較だけに用いた。独立した中期計画の長期数値目標を確認できなかった部分は、会社の約束ではなく推定として扱った。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の質の調整+0.25%を加えた。小型株であることや株価の変動率を理由とする上乗せは使わない。