結論
SBIグローバルアセットマネジメントは、SBI グループの投信運用会社を束ねる持株会社だ。運用残高は約 14 兆円、国内で 9 位。2026 年 9 月 30 日には、SBIインシュアランスグループ(7326)を吸収合併する基本合意を結んだ。相手の 1 株に 3.53 株を渡し、新株は約 8,762 万株。今の株数の約 6 割が増え、効力は 2027 年 4 月 1 日の予定だ。
この分析は、合併が終わった後の会社で置いた。運用と、損保・生保・少額短期保険の三つの保険が一つになる。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、筋書きの時価総額と還元にはこの係数を掛けた。
運用の強みは、SBI 証券という積み立ての入口だ。弱みは、インデックスの信託報酬の引き下げ競争と、相場への連動である。保険は利益が薄く、団信の取引先と親会社への依存がある。筆者は、保険の取り込みで利益の質は下がるが、買値が高すぎない限り、運用の割安さが残ると見る。
中立の筋書きでは、合併後の 10 年後の純利益は 170 億円ほど。取り分を 61% にして割り戻しても、価値は今の時価総額を上回る。悲観では運用の純現金と保険の売れる価値が床になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、運用会社は良い事業になりうる。工場も在庫も要らず、残高が増えれば収入が増え、資本をほとんど食わない。
堀はどうか。筆者は、販売の入口を押さえている点を評価する。SBI 証券という口座網は、10 年先も簡単には崩れない。逆に、インデックスの運用そのものには堀がない。報酬率は競争で下がり続ける。
経営は誠実で、配当を増やし続ける。一方、買収のたびに株を出し、保険会社との合併でも新株を大量に出す。その価格が公正かは、親会社と取引する立場から見えにくい。オーナーの目で見れば、ここが最大の不安だ。
安全域は、今の値段にある。今の時価総額は会社予想の純利益の 18 倍で、純現金が時価総額の 26% を占める。10 年の筋書きを重みづけると、価値は今を大きく上回る。悲観でも、純現金が下値を支える。
この見立ては、報酬率が大きく下がらないことが前提だ。
合併は、買う側の株主にとって価格が全てだ。新株は今の運用会社の株の約 6 割にあたる量で、払う価値は約 530 億円。受け取る保険会社の本質価値は、中立で約 570 億円と、ほぼ同じかやや高く見える。親会社が両方を握る取引なので、公正さは外から確かめにくい。筆者は取り分 61% をそのまま数字に入れ、この疑いは安全域で受けた。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は単純だ。投資信託を預かって運用し、残高に一定の率をかけた信託報酬を受け取る。残高が増えれば収入が増え、市場が下がれば減る。
子会社は 3 つに分かれる。SBIアセットマネジメントは、SBI・V シリーズなどのインデックス型と、債券・海外の商品が中心だ。SBI岡三アセットマネジメントは、2025 年に株式交付で加わり、残高は約 2.4 兆円。レオス・キャピタルワークスは、ひふみ投信で知られるアクティブ運用の会社で、2025 年 12 月に合併した。ひふみのマザーファンドは約 1 兆円、ロボアドバイザーの ROBOPRO は約 4,000 億円ある。
売上は 2026 年 3 月期が約 279 億円で、会社は 2027 年 3 月期に約 420 億円を見込む。差の大半は買収の取り込みで、利益率は 20% 前後だ。報酬率は全体で約 0.3%。インデックスは 0.1% を割る商品もあり、アクティブや直販の 0.5〜1.0% が全体を引き上げる。
SBI グループの証券会社が、積み立ての入口として強いことが肝になる。ここに自社のファンドを並べられる点が、運用会社としての強みだ。
合併後は保険が加わる。SBI損保はネット専用の自動車保険が主力で、保有契約は約 140 万件。SBI生命は住宅ローンに付く団信が主力で、被保険者は約 73 万人。少額短期保険 6 社は約 105 万件を持つ。保険の売上は合わせて約 1,400 億円と運用より大きいが、利益は 36 億円ほどと薄い。運用の売上 279 億円で利益 52 億円と比べると、同じ規模の売上でも稼ぎの質が違う。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、販売の入口を押さえていることにある。SBI 証券は国内最大級のネット証券で、積み立ての資金が自社のファンドに自然に流れる。運用会社だけを持つ競合は、この入口を持たない。
ただし堀は運用の質ではなく流通の力で、広くはない。インデックスの報酬率は、競合の三菱 UFJ アセットマネジメントとの引き下げ競争で下がり続けている。値段を自分で決められない商品が多い。
資本の使い方は、素直で堅実だ。配当は 17 期連続で増やし、増配を続ける方針を掲げる。買収は株式交換が中心で、現金を大きく減らさない。一方で、買収のたびに株数が増える。2025 年だけで 2 社を取り込み、のれんが膨らんでいる。今後は、買った会社を使いこなせるかが問われる。
親会社である SBI グループの影響は強く、利益相反の疑いを持たれる取引も出てくる。保険持株会社との合併も同じ線上にある。
資本効率は、買収前は ROE が 10% 前後で、市場連動の収益を考えれば平凡だった。統合後は 15% に向かう予想だ。
保険は、堀の質が運用と違う。ネット専用の自動車保険は価格が丸見えで、値段を市場に決められる。団信は取引先の金融機関に頼り、大口が引受を移すと契約が大きく減る。利益率は 2% に届かない。運用の資本の軽さと、保険の規制資本の重さが一つの会社に同居するので、合併後の資本効率は運用だけの時より下がる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の投資信託は、残高が約 212 兆円と過去最高になった(2026 年 8 月末)。2026 年上期の純流入は 12.5 兆円で、新 NISA の積み立てが支えている。ただし残高の増加の多くは、市場の値上がりによるものだ。
主役は低コストのインデックス型だ。eMAXIS Slim は、競合が報酬率を下げれば追随すると公言する。S&P500 連動の信託報酬は、0.08% 台まで下がった。この水準では運用会社の利益はほとんど残らない。
そこで各社は、残高を取る力と、高い報酬率の商品の両方を狙う。アクティブ運用、私募、直販、暗号資産などだ。SBI も 2030 年にオルタナティブ 4 兆円、デジタル 3 兆円、直販 1 兆円を掲げる。
構造の変化も大きい。国内の人口は減るが、家計の金融資産は預金に偏っていて、投資へ回る余地が大きい。一方で、海外の大手運用会社が日本で低い手数料の商品を出せば、価格競争は一段と厳しくなる。生成 AI は運用の事務や営業支援の費用を下げ、運用会社の利益率を押し上げる側に働く。
再編もこの業界の本線だ。小さな運用会社が単独で生き残るのは難しく、SBI は買い手に回った。
ネット保険の市場は、自動車保険を中心に価格競争が厳しい。災害が増え、再保険や修理費も上がるので、保険料の引き上げが追いつくかが利益を決める。団信は住宅ローンの残高と金利に左右され、取引先の入れ替えで契約が動く。運用と保険を一つの経営の下に置き、運用収益を保険の資産に取り込む狙いは理屈として通るが、この効果は筋書きに上乗せしていない。
資本政策と M&A
配当は 17 期連続で増やし、18 期連続の増配を基本方針にしている。2027 年 3 月期の中間配当は 8 期連続の増配になる。利益のうち 7 割近くを配当に回してきた。
資本の使い方で最も大きいのは、買収だ。2022 年に新生インベストメント・マネジメントを取り込み、2025 年 8 月に SBI 岡三アセット、同年 12 月にレオスを加えた。運用残高は 2 年ほどで約 2 倍になった。
次の大きな動きは、SBI インシュアランスグループ(7326)との合併だ。2026 年 9 月 30 日に基本合意を結び、4765 が存続、7326 が消滅する。7326 の 1 株に 3.53 株を渡し、新株は 87,615,969 株の予定。7326 は 2027 年 3 月 30 日に上場廃止、効力は 2027 年 4 月 1 日の予定で、比率は重大な変更があれば協議して変える旨が付いている。
今の株数 138,206,200 株は、合併後 225,822,169 株になる。今の株主の取り分は約 61% だ。新株の価値は今の価格で約 530 億円で、7326 の時価総額 524 億円とほぼ釣り合う。ただ、7326 の自己資本は 479 億円、ROE は 6% で、運用会社の ROE を大きく下回る。狙いは運用と保険を一つの経営の下に置くことだが、保険は資本の拘束が重く、資本効率を下げうる。この分析は合併後の会社で置いた。
親会社の SBI グループの影響が強く、第三者による買収はほぼ起きないと見る。
点検済み:比べる過去の営業利益率(18〜33%)は運用会社だけの時のもので、今回の10年後は損保・生保・少短を取り込んだ合併後の会社(売上が約12倍)の全体。中立の全社営業利益率8.1%は過去より低く、山を超えていない(走査上の見かけの超えは売上の基準の違い)。運用事業は22%で、今(18.5%)と会社の来期予想(20.2%)の範囲。
点検済み(費用点検):外費用 37→4 億円は、未連結の保険 3 社(合併後に入る)の利益が今の数字に無い差で、本社費の削減ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
運用残高は 2 年で約 2 倍の 14 兆円になり、売上は 14 期連続で増え、経常利益は 17 期連続で増えている。3 社が統合し、まだ数字に全部は出ていない。2027 年 3 月期の会社予想は純利益 47 億円で、前期の 31 億円から 5 割増える。
積み立て投資は始まったばかりだ。家計の金融資産の半分以上は預金で、少しの移動で何兆円もの資金が動く。SBI 証券という入口が、その資金を自社のファンドに運ぶ。
報酬率は下がるが、直販は 1% で、オルタナティブや暗号資産の商品も報酬率が高い。AI で事務や営業の費用を 5 年で大きく減らせば、利益率は 25% に届く。会社の目標は 2030 年に営業利益 375 億円で、今の約 7 倍だ。
保険との統合は、運用起点の保険商品という新しい市場を作る。グループの規模は大きくなり、買収の力も増す。
運用会社の統合は規模の利益が出やすい。システムも管理部門も、残高が倍になっても人は倍にならない。経常利益が 17 期連続で増えてきた実績は、この会社の費用の管理が堅いことの証拠でもある。10 年先の価値は今を大きく上回る。
慎重な見方
主力のインデックス型は、信託報酬が 0.08% 台まで下がった。競合が下げれば追随する方針の競争相手がいて、ここに利益はほとんど残らない。残高が増えても、報酬率の低下がそれを食う。
残高の増加の多くは、市場の値上がりだ。相場が 3 割下がれば、残高も収入も同じように下がる。人件費と広告費は下がらず、利益はもっと大きく減る。
岡三とレオスの買収は、のれんを大きくした。ひふみは資金の流出が続いた時期があり、成績が崩れれば減損が出る。AI でコストを半分にするという計画は、実績がない。
保険持株会社との合併では、親会社と近い会社どうしが株を交換する。新株は発行済みの約 6 割にもなる。保険の資本拘束は運用会社の ROE を下げ、利益の質も変わる。親会社の意向が強く、少数株主の利益が後回しにならないか疑わしい。
過去 10 年の ROE は 11% で、特別に優れた会社ではなかった。
そもそも、売上の急な増加は買収で作った面が大きい。買って残高を足すのは誰にでもできるが、買った会社の運用成績と顧客を維持できるかは別の話だ。積み立てブームがピークを過ぎれば、増収の勢いも落ちる。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分が強いと見る。積み立ての流入と SBI 証券の入口は本物で、3 社統合の利益はまだ半分しか出ていない。ただし報酬率の低下と相場の崩れは確実に来るので、中立の利益成長は会社計画より低く置いた。確率は中立を最大にし、やや楽観とやや悲観はほぼ同じ厚みにした。悲観の確率は 14% と少し厚く置いた。保険との合併は、比率 3.53 株が出たので合併後の会社で置き、今の株主の取り分 61% を掛けた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,414 円1,954 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 295 円408 億円)。 今の値に割り戻すと 929 円1,284 億円、今との差 +55.1%、 期待の年率 +11.1%(資本コスト 7.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,359 円4,642 億円 | 507 円700 億円 | +545.3% | +20.5% | 387 円534 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,232 円3,085 億円 | 396 円548 億円 | +338.8% | +15.9% | 578 円799 億円 |
| 中立 | 32% | 1,418 円1,959 億円 | 306 円423 億円 | +187.8% | +11.1% | 552 円762 億円 |
| やや悲観 | 22% | 501 円693 億円 | 209 円288 億円 | +18.5% | +1.7% | 156 円216 億円 |
| 悲観 | 14% | 164 円226 億円 | 97 円134 億円 | −56.5% | −8.0% | 37 円50 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,414 円1,954 億円 | 295 円408 億円 | +185.3% | +11.1% | 1,709 円2,362 億円 |
今の株価時価総額 599 円828 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 運用残高が 50 兆円級に育ち、AI で利益率も大きく上がる 利益 358 億円 · PER 21.2 倍 · 株価時価総額 3,359 円4,642 億円
10 年の間にグループの運用残高は名目で 50 兆円規模に達する。新 NISA に続く積み立ての習慣が根づき、SBI 証券の口座網がそのまま資金の入口になる。非上場株や不動産などの私募、暗号資産に連動した商品、証券会社を通さない直販といった報酬率の高い商品が全体の 2 割を占め、平均の報酬率は今より上向く。ひふみのようなアクティブ運用は運用成績が追い風になり、流出が止まる。AI による業務の作り直しも進み、固定費の伸びが売上の伸びを大きく下回る。運用会社の買収も当たり、統合のたびに管理費が減る。利益率は 27% まで上がり、利益の伸びが売上を上回る。保険との統合は運用起点の商品を生み、残高をさらに押し上げる。 【合併後】7326 を取り込んだ会社全体の姿。保険の三つの事業(損保・生保・少短)の利益 104 億円が加わり、運用との合計で純利益は 358 億円。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、時価総額と還元にはこの係数が掛かる。
- 資産運用(投信運用 3 社):数量 36.0(平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円))× 価格 42.2%(報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化)→ 売上 1,520 億円・営業利益 410 億円。M&A とオルタナで高報酬の残高が増える
- 損害保険(SBI損保):数量 220(保有契約件数(万件))× 価格 4.63(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 1,018 億円・営業利益 71 億円。損保 220 万件 × 1 件 4.62 万円、利益率 7%
- 生命保険(SBI生命):数量 130(保有契約件数(万件、団信は被保険者数))× 価格 11(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 1,386 億円・営業利益 49 億円。生保 130 万件 × 1 件 10.7 万円、利益率 3.5%
- 少額短期保険(少短 6 社):数量 140(保有契約件数(万件))× 価格 4.78(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 670 億円・営業利益 30 億円。少短 140 万件 × 1 件 4.78 万円、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 358 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.0% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.2 倍。全体の PER 21.17 倍、時価総額 7,585 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:積み立てと M&A の両方が当たる前提で、10 年すべてが噛み合う確率は高くない。
やや楽観 22% 積み立ての流れが続き、グループの販売網で残高を伸ばす 利益 252 億円 · PER 20.0 倍 · 株価時価総額 2,232 円3,085 億円
積み立て投資が定着し、国内の投信市場は名目で年 8% 前後の伸びを保つ。グループは SBI 証券から流れ込む資金を取りこぼさず、残高は実質でも今の 2 倍強になる。インデックス型の報酬率は下がり続けるが、ひふみや岡三のアクティブ運用、ロボアドバイザー、直販が薄まりを補い、実質の報酬率は少し下がる程度で収まる。3 社の統合で重複する管理部門や運用基盤が整理され、利益率は 25% まで上がる。大型の買収はないが、小さな M&A で品ぞろえを足していく。会社が掲げる 2030 年の目標には届かないが、10 年では堅実に二桁近い利益成長を続ける。 【合併後】7326 を取り込んだ会社全体の姿。保険の三つの事業(損保・生保・少短)の利益 77 億円が加わり、運用との合計で純利益は 252 億円。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、時価総額と還元にはこの係数が掛かる。
- 資産運用(投信運用 3 社):数量 30.0(平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円))× 価格 39.0%(報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化)→ 売上 1,170 億円・営業利益 292 億円。積み立て需要とグループ送客で残高が伸びる
- 損害保険(SBI損保):数量 200(保有契約件数(万件))× 価格 4.49(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 898 億円・営業利益 54 億円。損保 200 万件 × 1 件 4.55 万円、利益率 6%
- 生命保険(SBI生命):数量 118(保有契約件数(万件、団信は被保険者数))× 価格 10(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 1,221 億円・営業利益 37 億円。生保 118 万件 × 1 件 10.4 万円、利益率 3%
- 少額短期保険(少短 6 社):数量 132(保有契約件数(万件))× 価格 4.65(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 613 億円・営業利益 22 億円。少短 132 万件 × 1 件 4.65 万円、利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 252 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.3% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.0 倍。全体の PER 19.97 倍、時価総額 5,040 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:積み立て需要は人口減でも続き、グループの販売網の強さは本物。会社の計画の方向に近い見方で、確率は中立に次いで置く。
中立 32% 残高は市場と積み立てで伸びるが、報酬率の低下がじわじわ効く 利益 174 億円 · PER 18.4 倍 · 株価時価総額 1,418 円1,959 億円
市場の値上がりと積み立ての流入で、残高は実質でも 1.7 倍ほどに増える。ただし国内の積み立てブームは今がピークに近く、流入の勢いは年を追って落ち着く。インデックスの報酬率は競争で下がり続け、アクティブや直販の増加でも全部は埋まらない。実質の報酬率は 1 割ほど下がる。コスト面では 3 社統合と AI の活用で利益率が 22% まで上がるが、会社が目指す 25% には届かない。人件費は物価で上がり、運用担当者の確保にも金がかかる。配当は利益の 7 割弱を保つ。大きな成功も失敗もない、堅実な 10 年になる。 【合併後】7326 を取り込んだ会社全体の姿。保険の三つの事業(損保・生保・少短)の利益 59 億円が加わり、運用との合計で純利益は 174 億円。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、時価総額と還元にはこの係数が掛かる。
- 資産運用(投信運用 3 社):数量 24.0(平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円))× 価格 36.2%(報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化)→ 売上 868 億円・営業利益 191 億円。市場と積み立てで残高が増え、報酬率は微減
- 損害保険(SBI損保):数量 185(保有契約件数(万件))× 価格 4.49(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 831 億円・営業利益 42 億円。損保 185 万件 × 1 件 4.49 万円、利益率 5%
- 生命保険(SBI生命):数量 105(保有契約件数(万件、団信は被保険者数))× 価格 10(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 1,086 億円・営業利益 27 億円。生保 105 万件 × 1 件 10.35 万円、利益率 2.5%
- 少額短期保険(少短 6 社):数量 125(保有契約件数(万件))× 価格 4.58(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 572 億円・営業利益 17 億円。少短 125 万件 × 1 件 4.58 万円、利益率 3%
倍率:事業の純利益 174 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.4 倍。全体の PER 18.4 倍、時価総額 3,202 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:残高は伸びるが報酬率が下がる、いちばん起きそうな筋。強気も慎重も、この筋に収れんすると見て最大の確率を置いた。
やや悲観 22% 手数料競争と相場の停滞で、伸びが鈍る 利益 88 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 501 円693 億円
積み立ての流入は新 NISA の最初の数年に比べて細り、残高の伸びは市場の値上がりが主になる。2 度ほどの相場の調整で、運用残高が 3 割近く減る年も出る。手数料の引き下げ競争は米国株や全世界株のインデックスで続き、報酬率の低下を高報酬の商品で補いきれない。ひふみなどアクティブ運用は成績が振るわず、流出が続く。3 社統合の効果は出るが、利益率は 18% と今とほぼ変わらない。保険との統合でも、運用と保険の相乗効果が思ったほど出ない。利益は伸びるが、物価の上昇を少し上回る程度にとどまる。親会社の意向が優先され、少数株主の取り分が見劣りする場面も出る。会社の計画は先送りになる。 【合併後】7326 を取り込んだ会社全体の姿。保険の三つの事業(損保・生保・少短)の利益 24 億円が加わり、運用との合計で純利益は 88 億円。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、時価総額と還元にはこの係数が掛かる。
- 資産運用(投信運用 3 社):数量 18.5(平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円))× 価格 33.0%(報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化)→ 売上 610 億円・営業利益 110 億円。積み立ての勢いが落ち、報酬率も下がる
- 損害保険(SBI損保):数量 150(保有契約件数(万件))× 価格 4.09(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 613 億円・営業利益 18 億円。損保 150 万件 × 1 件 4.09 万円、利益率 3%
- 生命保険(SBI生命):数量 85.0(保有契約件数(万件、団信は被保険者数))× 価格 9.55(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 812 億円・営業利益 12 億円。生保 85 万件 × 1 件 9.55 万円、利益率 1.5%
- 少額短期保険(少短 6 社):数量 112(保有契約件数(万件))× 価格 4.10(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 459 億円・営業利益 7 億円。少短 112 万件 × 1 件 4.10 万円、利益率 1.5%
倍率:運用会社と保険会社を別々に式で評価して足した(運用 PER 11.5 倍・保険 PER 8.0 倍)。合併後の会社の PER は 12.85 倍で、運用の比重が大きいほど高くなる。合併後の ROE から出した正当化 PER の上限の範囲に収まる。
確率:積み立てブームの減速と手数料競争は、すでに見えている流れ。相場の調整も 10 年には必ず混ざる。
悲観 14% 相場の崩れと手数料ゼロ競争が重なり、のれんも傷む 利益 22 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 164 円226 億円
リーマン級の相場の崩れが 10 年の途中で起き、運用残高が 4 割近く目減りする。同時に、主力のインデックス型で信託報酬がほぼゼロまで下がる。海外の大手が低い手数料で日本に入り、SBI のファンドも追随せざるを得ない。ひふみなどのアクティブ運用は資金が流れ出し、取得したときののれんの一部が減損になる。AI の導入で人件費は減らせても、売上の減り方のほうが大きい。保険との統合は運用の失敗を保険の資本に持ち込み、グループの資本を痛める。利益率は 11% まで落ち、もはや成長する資産運用会社ではなくなる。 【合併後】7326 を取り込んだ会社全体の姿。保険の三つの事業(損保・生保・少短)の利益 2 億円が加わり、運用との合計で純利益は 22 億円。今の株主の取り分は合併後の株数の約 61% で、時価総額と還元にはこの係数が掛かる。
- 資産運用(投信運用 3 社):数量 12.0(平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円))× 価格 27.3%(報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化)→ 売上 328 億円・営業利益 36 億円。残高が伸びず報酬率が大きく下がる
- 損害保険(SBI損保):数量 125(保有契約件数(万件))× 価格 3.52(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 440 億円・営業利益 2 億円。損保 125 万件 × 1 件 3.52 万円、利益率 0.5%
- 生命保険(SBI生命):数量 55.0(保有契約件数(万件、団信は被保険者数))× 価格 8.76(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 482 億円・営業利益 2 億円。生保 55 万件 × 1 件 8.75 万円、利益率 0.5%
- 少額短期保険(少短 6 社):数量 95.0(保有契約件数(万件))× 価格 3.76(1 件あたり年間収益(万円))→ 売上 357 億円・営業利益 2 億円。少短 95 万件 × 1 件 3.76 万円、利益率 0.5%
倍率:悲観は構造的な負けで置く。稼ぐ力(純利益 22 億円 ÷ k 7%)は約 270 億円にとどまり、運用会社の純現金(約 200 億円)と保険会社の売れる価値(約 170 億円)の合計 370 億円が床になる。値はこの床の資産で付ける。ROE は k を大きく下回り、PER は純利益に対して高く見えるが、利益ではなく床の資産が値段を決める筋書きである。
確率:相場の崩れ、手数料ゼロ競争、買収ののれん減損は同時に起きる可能性がある。インデックス中心の収益構造は価格の力が弱く、5% 未満には置けない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
資産運用(投信運用 3 社)
SBIアセットマネジメント・SBI岡三アセットマネジメント・レオスの投信運用。残高に報酬率をかけて収入を得る。
| 数量平均運用残高(実質、今の物価換算・兆円) | 価格報酬率(%)× 物価指数(今を 1.0)× 実質の報酬率の変化 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.3 | 30.0% | 279 | 52 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 36.2% | 868 | 191 |
取り方:2026 年 3 月期の売上 279 億円を、平均運用残高の推定 9.3 兆円(期末は 12 兆円前後。岡三は 2025 年 8 月、レオスは 12 月から取り込み)で割り、報酬率を約 0.30% とした。会社の予想(2027 年 3 月期の売上 420 億円÷約 14 兆円)も 0.30% で整合する。営業利益は 52 億円。先の残高は実質で置き、物価の分は価格に 10 年で 1.34 倍として入れた。実質の報酬率は、インデックスの低下を直販やアクティブの増加が埋めきれず、中立で 1 割下がると置いた。
損害保険(SBI損保)
ネット専用の自動車保険を主力に、火災・傷害・ペットなども売る損保。
| 数量保有契約件数(万件) | 価格1 件あたり年間収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 140 | 3.35 | 468 | 20 |
| 10 年後 中立 | 185 | 4.49 | 831 | 42 |
取り方:有報の保有契約 139.7 万件(2026/03 末)と、損保のセグメント収益 468.2 億円から割り戻して 1 件 3.35 万円とした。収益には運用益も入るので、純粋な保険料ではない。利益 20.15 億円は有報のセグメント利益。数量は実質の件数、価格は 1 件あたりの値段の指数。
生命保険(SBI生命)
住宅ローンに付く団信が主力。ネット専用の定期保険・就業不能保険も売る生保。
| 数量保有契約件数(万件、団信は被保険者数) | 価格1 件あたり年間収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 72.5 | 7.96 | 577 | 10 |
| 10 年後 中立 | 105 | 10 | 1,086 | 27 |
取り方:有報の保有契約 72.5 万件(団信の被保険者数を含む)と、生保のセグメント収益 577.05 億円から割り戻して 1 件 7.96 万円とした。団信は借入残高に応じ保険料が大きく、個人保険より 1 件の収益が大きい。利益 9.75 億円は有報のセグメント利益で、収益の 1.7%。
少額短期保険(少短 6 社)
家財・ペット・シニア向け生命・医療共済を扱う少額短期保険の 6 社。
| 数量保有契約件数(万件) | 価格1 件あたり年間収益(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 105 | 3.42 | 360 | 7 |
| 10 年後 中立 | 125 | 4.58 | 572 | 17 |
取り方:有報の保有契約 105.4 万件と、少短のセグメント収益 360.04 億円から割り戻して 1 件 3.42 万円とした。利益 6.56 億円は有報のセグメント利益で、収益の 1.8%。件数の伸びは前年比 1.3% と小さい。
リスクと懸念
信託報酬の引き下げ競争
主力のインデックス型は、eMAXIS Slim が競合の引き下げに追随する方針を持ち、S&P500 連動で 0.08% 台まで下がった。残高が増えても報酬率の低下が利益を食う構造で、アクティブや直販でどこまで埋められるかが 10 年の利益の幅を決める。
相場の下落
収入は残高に連動する。残高の増加の多くは市場の値上がりによるもので、相場が 3〜4 割下がれば収入も同じ割合で減る。固定費は下がらないため、利益は収入以上に減る。
保険会社との合併(比率と資本効率)
比率は基本合意で、重大な変更があれば協議して変わる。新株は今の株数の約 6 割で、取り分は 61% に下がる。保険は ROE が 6% と低く、規制資本が重いので、合併後の資本効率は運用だけの時より下がる。親会社が双方に関わる取引で、価格の公正さは外から確かめにくい。効力は 2027 年 4 月 1 日の予定だ。
買収の統合とのれん
2025 年に岡三とレオスを取り込み、運用残高は約 2 倍になった。のれんや無形資産が膨らみ、ひふみの成績が崩れて資金が流出すれば減損になる。3 社の管理部門と運用基盤をまとめきれなければ、会社の言うコスト削減も絵に終わる。
親会社の影響と利益相反
SBI グループの影響が強く、自社のファンドを証券会社の商品棚で優遇する構図や、グループ内の取引は、少数株主の利益と食い違いうる。ガバナンスの透明性が、この会社の値付けを左右する。
人材の確保と人件費
運用担当者や営業担当者の報酬は物価と同じかそれ以上に上がる。ひふみのように運用者個人の評判が収益を支える商品では、担当者の離脱が残高の流出に直結する。
今後の分かれ目
- S&P500 連動など主力インデックスの信託報酬がさらに下がったら
- 実質の報酬率の低下を中立の想定より大きく見る。悲観側の確率を上げる。
- 直販やオルタナティブの残高が会社の目標どおり伸びたら
- 平均の報酬率が上向き、やや楽観の筋書きに近づく。強気側の確率を上げる。
- ひふみや岡三のアクティブ運用で資金の流出が続いたら
- のれんの減損と報酬率の低下を意識し、やや悲観側の確率を上げる。
- 合併の比率が基本合意から変わったり、最終契約で条件が悪化したら
- 取り分 61% が動く。新株が増えれば取り分が下がり、価値は取り分に比例して減る。
- 相場が 3 割下がり運用残高が目減りしたら
- 収入の落ち方は残高に連動する。落ち込みの深さと期間を見て、悲観側の確率を見直す。
- 3 社の統合後に営業利益率が 22% を超えて定着したら
- コスト削減が実績になった証拠。利益率の想定を上げる。
見ておくもの
- 運用残高(3 社合計)の月次の推移と、積み立ての純流入
- 平均の報酬率(運用報酬÷平均残高)の動き
- 営業利益率(2027 年 3 月期は約 20%)の推移
- ひふみ・岡三の資金流出入と運用成績
- 合併の最終契約と比率・新株数、保険 3 社の契約件数と団信の取引先
- のれん・無形資産の残高と減損の有無
倍率と資本コストの決め方
10 年後の運用残高(実質)と報酬率を先に置き、そこから売上・営業利益・純利益を出して、倍率は式(RONIC と g から出す正当化 PER の 7〜9 割)で決めた。今の株価や過去の PER に寄せていない。今の時価総額は最後に比べただけ。純現金 218 億円は余剰としては分けず、利益で測った。新リース会計基準は事務所の賃借だけで影響が小さいが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を費用に入れた形)でそろえた。保険持株会社との合併は、基本合意の比率(3.53 株)と新株数が出たので、合併後の会社(運用+保険)で置いた。運用と保険を別々に式で評価して足し、今の株主の取り分 61% を係数で掛けた。合併の相乗効果は足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 16.04→21.17 倍・やや楽観 PER 14.83→19.97 倍・中立 PER 12.54→18.4 倍・やや悲観 PER 10.54→12.85 倍・悲観 PER 18.29→17.05 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.65% = 8.15%。事業は傾いていないので extra は置かない。合併の実行は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.15% → 7.00%。