結論
オープンアップグループは、機械・電気・IT・建設の技術者を採用し、顧客の現場へ派遣する会社だ。旧夢真ホールディングスで、未経験者を自社で育てて送り込むのが得意である。稼ぎのほとんどはこの技術者派遣が生む。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 1,750 億円を大きく下回ると見る。技術者派遣は人数に月ごとの単価を掛ける人月の型で、AI エージェントがコードの下書きや設計補助を引き受ける側にあるからだ。
良い点もはっきりある。稼働率は 93% で、営業利益率は 7% 台から 10% に上がった。純現金で、配当は 13 期以上増やし続けている。ただ、2026 年 5 月末の在籍数は前年より 69 人少なく、会社が掲げる年 10% の増員は止まっている。
筆者は、中立で技術系の在籍が 2 割減ると置いた。単価は顧客が決める立場で、賃金の上昇を移しきれない。建設の施工管理と製造派遣は現場の体で残りやすく、そこは重く引いていない。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「悪くない商売だが、堀が浅い」と見る。
良い点から。借金が薄く、稼ぎの質は堅い。経営は還元に誠実で、自社株を割高な時に買い急ぐ様子もない。派遣は大きな設備が要らず、稼いだ利益の大半を株主に戻せる。オーナー利益に近い。
足りない点も明らかだ。10 年後に今より強いかと問われると、確信は持てない。顧客に価格を決められる事業で、生成 AI が最初に効くのは未経験者向けの下流の仕事だ。ここに会社の稼ぎの土台がある。堀が薄く、見通しの幅が広い事業は、確信を下げて見るのが原則だ。
安全域は、今の値段では広くない。かといって、割高とも言えない。純現金があり、10 年の悲観でも会社は赤字の泥沼にはならず、配当を払い続ける。値段が 3 割下がれば、安全域は十分になる。今は、持つ理由と持たない理由が釣り合っている。
見直し(AI エージェント代替):「悪くない商売だが堀が浅い」「今は持つ理由と持たない理由が釣り合う」という上の見方は、筆者は改める。下流の仕事が 10 年残る保証は薄く、中立の 10 年後の時価総額は今の 6 割ほどに下がる。資本配分の質は変わらず評価できる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は単純だ。技術者を 1 人派遣するごとに、顧客から月ごとの料金が入る。人数、稼働率、1 人当たりの単価が売上を決める。
中核は機電・IT・建設の技術者派遣で、売上の 4 分の 3 を占める。機電・IT は 667 億円、建設は 576 億円だ。建設では施工管理技士の資格取得を支援し、IT では AWS やセールスフォースなどの資格を取らせて単価を上げる。製造系の派遣・請負などのその他は 409 億円。海外は 2025 年に英国子会社を売り、ほぼなくなった。
経験者を採る競争は激しい。そこで未経験者を自社で育てる。この「量」で伸びてきたが、会社は 2024 年から「質」へ舵を切った。在籍期間を延ばし、エンゲージメントを上げ、単価を上げる伴走型だ。短期の製造・軽作業派遣が主だった英国事業を売ったのも、この方針による。2025 年には自動車の開発請負のエイセブを買った。顧客は大手メーカー、ゼネコン、IT 企業、官公庁系まで幅広く、1 社への依存は小さい。人数が増えれば売上が増える足し算のような事業で、増員のペースと稼働率が業績の変化をほぼ決める。
優良さと弱いところ
堀は普通か、やや薄いと筆者は見る。理由は 3 つある。
1 つ目。顧客が価格を決める。派遣は、料金の交渉で顧客が強い。単価を上げるには、技術者の資格取得と実績で粘るしかない。
2 つ目。育成の仕組みは強みだが、他社にまねされやすい。未経験者の採用競争が経験者ほど激しくないのは、今だけの話かもしれない。定着率は 81.8%(2024 年 3 月期時点)で、会社の目標 85% に届いていない。
3 つ目。営業利益率は 10% で、同じ技術者派遣のメイテックグループの 14% より低い。
良い点は、現金を持ち、借金が薄いことだ。自己資本比率は 62%、純現金は 132 億円。ROE は 15% 前後で、資本コストを上回る。経営は配当を累進で増やし、自社株の買い入れと消却も機動的に行っている。資本の使い方は誠実で、派手な買収はしない。弱いのは、規模が小さくなる局面での固定費の重さだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の技術者派遣は、製造派遣と違い、成長を保つ領域だ。会社が引く矢野経済研究所の資料でも、製造派遣の成長は逓減する一方、技術者派遣は伸びている。背景は、エンジニアの不足である。経済産業省の中位の見通しでは、IT 人材は 2030 年に 45 万人足りなくなる。
競合は、経験者に強いメイテックグループ、製造系に強い UT グループ、人材大手のパーソルホールディングスなど。オープンアップは未経験者の大量採用と育成で別の位置を取ってきた。
10 年の分かれ目は、生成 AI だ。設計の補助、コードの下書き、図面の作成は、AI がこなしやすい。その下働きは、まさに未経験者が現場で覚える仕事だった。顧客が AI で済ませれば、受け入れ枠は縮む。一方、AI を使いこなす技術者への需要は増える。どちらに転ぶかで、人材サービス全体の需要が決まる。
国内の労働人口は 1990 年代から下り坂にあり、採用の競争は経験者から広がっている。人口は減る。若い人の取り合いは続き、20 代の賃金は上がっている。採用費と賃金の上昇を単価に移せるかが、利益率を左右する。
見直し(AI エージェント代替):上の議論で生成 AI を「どちらに転ぶか」と中立に扱っていたが、筆者は AI エージェントによる下流の仕事の置き換えをより重く見る。10 年の中立でも、技術系の在籍は今より 2 割減ると置いた。
資本政策と M&A
還元は手厚い。配当は 2026 年 6 月期にも増え、累進配当で 13 期連続を超えた。配当性向は 50% 以上を目標にする。これに自社株買いと自己株式の消却が加わる。
M&A は小さく、機会があれば買う姿勢だ。英国の製造派遣を売り(約 9 億円)、国内で自動車開発のエイセブを買った。買う側として大きな買収はなく、減損の履歴も目立たない。
純現金は 132 億円で、時価総額の 8% ほど。派遣は給与を先に払うので、運転資金に回る分もあり、全部が余りではない。今のところ、現金の使い道が定まらない会社ではなく、還元に回して減らしている。
TOB で買われる可能性は、市場の見方で 10 年に 2 割ほどとされる。本質価値の計算には入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
人手不足は日本で構造的に続く。IT 人材は 2030 年に 45 万人不足するとされ、企業は未経験者でも受け入れざるを得ない。会社は未経験者の採用を得意とし、競争はまだ緩やかだ。
伴走型へ変えたことで、定着が改善する。在籍が延びれば、1 人当たりの粗利が増え、採用費が下がる。資格取得は IT で累計 9,000 件、建設で 5,500 件を超え、単価の上昇に結びつく。稼働率は 93% と高く、利益率は 7% 台から 10% に上がった。
AI は技術者を減らさず、AI を使う技術者への需要を増やす。会社は 13 期連続の増配、配当性向 50% 以上、自社株買いを掲げ、自己資本は軽いまま ROE は 15% を保つ。建設の施工管理は現場に立つ仕事で、AI エージェントに置き換わりにくい。英国の製造派遣を手放して事業を絞ったのも、利益率を上げる手だ。顧客の側でも、採用に何か月もかけるより、教育済みの人材を月単位で受け入れる派遣の価値は上がっている。ジョブ型の雇用が広がれば、派遣という形はむしろ追い風を受ける。
慎重な見方
在籍数は 2026 年 5 月末で前年より 69 人少ない。会社は国内エンジニアを年 10% で増やすと言いながら、足元は止まっている。2024 年に掲げた 3 万人の社員数目標は、2 万 4,000 人台と遠い。成長の物語が崩れかけている。
未経験者を受け入れる顧客は、景気が悪いとまず絞る。AI エージェントが設計補助やコードの下書きを引き受ければ、新人を育てる理由も薄れる。経験者向けの競合は選ばれ続けるが、未経験者向けは価格競争に落ちやすい。
利益率 10% はメイテックに劣り、堀は薄い。定着率は目標に届かず、採用費と育成費は重い。派遣は価格を顧客に決められる立場だ。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。会社の増益は、今のところ増員でなく利益率の改善に頼っている。過去 10 年の増員の伸びを、10 年先に延ばすのは危うい。2024 年に掲げた社員数 3 万人の目標が未達のまま、次の目標へ移ったことも気になる。計画の置き方が楽観に寄りすぎていないか、疑ってよい局面だ。
どちらに重みを置いたか
事業の質では、強気の見方が一部を押さえている。稼働率、利益率の上昇、還元の誠実さは本物だ。ただ、在籍数の頭打ちと、AI エージェントが未経験者向けの下流の仕事に効く点は、慎重な見方の指摘が重い。AI エージェントの売上が数字で出るまで、楽観にも数量 1.0 倍以上は置かない。
やや悲観と悲観を合わせて 35% を置いた。置き換えの影響は中立の数量と価格に入れたので、確率では重ねて引かない。悲観でも純現金が残るが、今の株価は増員の継続を織り込みすぎている。期待は今の値段を大きく下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,387 円1,178 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 906 円770 億円)。 今の値に割り戻すと 1,281 円1,088 億円、今との差 −37.9%、 期待の年率 +1.1%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,480 円2,107 億円 | 1,227 円1,042 億円 | +79.6% | +6.0% | 222 円189 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,152 円1,828 億円 | 1,116 円948 億円 | +58.3% | +4.7% | 654 円555 億円 |
| 中立 | 39% | 1,682 円1,429 億円 | 946 円804 億円 | +27.3% | +2.4% | 1,025 円871 億円 |
| やや悲観 | 23% | 578 円491 億円 | 731 円621 億円 | −36.5% | −4.4% | 301 円256 億円 |
| 悲観 | 12% | 156 円132 億円 | 597 円507 億円 | −63.5% | −9.6% | 90 円77 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,387 円1,178 億円 | 906 円770 億円 | +11.1% | +1.1% | 2,292 円1,948 億円 |
今の株価時価総額 2,064 円1,754 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 技術者の需要が続き、AI を使う人材として単価も上がる 利益 160 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,480 円2,107 億円
技術者不足が続き、顧客は未経験者を育てて受け入れる派遣を使い続ける。AI エージェントがコードの下書きや図面を引き受けても、それを使いこなす技術者への需要が増え、国内の在籍数は今の水準を守る。1 人当たりの売上は物価並みの 1.34 倍まで上がり、売上は約 2,280 億円と今を 3 割余り上回る。営業利益は約 223 億円で、利益率は 10% 近くを保つ。会社が掲げる年 10% の増員は戻らず、減らないことが楽観になる。配当は累進を守り、純利益の半分以上を株主に返す。英国の売却で得た資金と純現金で、国内の同業や周辺事業を小さく買う余地も残る。
- 技術者派遣(機電・IT・建設):数量 1.8(在籍する技術者の人数(万人、推定))× 価格 925(技術者 1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 1,666 億円・営業利益 192 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 12%
- 製造・その他(海外含む):数量 0.7(在籍する社員の人数(万人、推定))× 価格 912(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 611 億円・営業利益 37 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 160 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 2,059 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントを売り物にして出た売上・受注の金額開示が無く、楽観でも数量は 1.0 倍までと決めた。景気が崩れず、定着が改善し、単価が物価並みに上がる筋書きなので 6% に絞った。
やや楽観 20% IT の新人枠が縮むが、建設と製造で支える 利益 135 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,152 円1,828 億円
IT と機電では、AI エージェントが下流の仕事を引き受け、未経験者の受け入れ枠が少しずつ縮む。技術系の在籍数は今より 5% ほど減る。建設の施工管理と製造は残り、単価は物価に連れて 1.30 倍まで上がる。売上は約 2,100 億円と今を 25% ほど上回り、営業利益は約 188 億円、利益率は 9% に下がる。景気の後退を一度挟み、その年は顧客が受け入れを絞る。定着を優先して採用を抑え、増員の目標は未達のまま、返す額は小さくなる。会社は定着と単価を優先する方針を守り、増員のペースは落ちる。純現金は厚いままで、配当は累進を続けるが、増配の幅は小さくなる。自社株買いも機動的に行い、財務の余裕を株主への還元に回す。
- 技術者派遣(機電・IT・建設):数量 1.7(在籍する技術者の人数(万人、推定))× 価格 898(技術者 1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 1,535 億円・営業利益 161 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 10%
- 製造・その他(海外含む):数量 0.6(在籍する社員の人数(万人、推定))× 価格 884(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 566 億円・営業利益 31 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 135 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 1,736 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが IT と設計補助の下流の仕事を一部置き換え、新人の受け入れ枠が縮むが、建設と製造は残る筋書きの中で良い側。景気の波を一度挟むとみて、20% を置いた。
中立 39% IT の新人枠が縮み、在籍数は 2 割減る 利益 96 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,682 円1,429 億円
AI エージェントが設計補助、コードの下書き、図面づくりを引き受け、顧客は新人を育てて受け入れる理由を薄める。技術系の在籍は今より 2 割減り、約 1.44 万人になる。建設の施工管理と製造は残るので、全体では穏やかな減少にとどまる。単価は顧客が決める立場で 1.25 倍。売上は約 1,750 億円と今とほぼ同じで、営業利益率は 7.7% に下がり、約 134 億円になる。景気の後退を一度挟み、受け入れが絞られる。10 年の成長は、ここで止まる。会社は採用を絞って固定費を抑え、配当を守る方向に動く。成長を前提にした評価は、ここで終わる。
- 技術者派遣(機電・IT・建設):数量 1.4(在籍する技術者の人数(万人、推定))× 価格 863(技術者 1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 1,243 億円・営業利益 112 億円。数量 0.80 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 9%
- 製造・その他(海外含む):数量 0.6(在籍する社員の人数(万人、推定))× 価格 850(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 510 億円・営業利益 26 億円。数量 0.95 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 96 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 1,240 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが未経験者向けの下流の仕事を置き換える流れの中心の筋書き。技術系の数量 0.80 倍、価格 1.25 倍と置いた。数量と価格に入れた分を、確率と g で重ねて引いていない。
やや悲観 23% 新人の受け入れが大きく絞られ、利益が半分に落ちる 利益 47 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 578 円491 億円
AI エージェントが IT と機電の下流の仕事の大半を引き受け、顧客は新人の受け入れを大きく絞る。技術系の在籍は今の 6 割ほどに減り、約 1.1 万人になる。単価は 1.12 倍にとどまり、賃金の上昇を移しきれない。売上は約 1,270 億円と今の 4 分の 3 に縮み、営業利益率は 5% まで下がる。景気の後退も重なり、稼働率が落ちる。固定費の重さが利益を圧迫する。純現金は厚いので財務は揺らがないが、返せる額は今の半分以下になる。会社は拠点と採用を減らし、配当を守る方向に動く。成長を前提にした評価は、ここで終わる。
- 技術者派遣(機電・IT・建設):数量 1.1(在籍する技術者の人数(万人、推定))× 価格 774(技術者 1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 866 億円・営業利益 52 億円。数量 0.62 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 6%
- 製造・その他(海外含む):数量 0.5(在籍する社員の人数(万人、推定))× 価格 782(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 407 億円・営業利益 16 億円。数量 0.82 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 4%
倍率:ROE 4.7% が k 7.75% 以下。ためた利益は額面未満の価値で、PER は 1÷k = 11.4 倍を上限に ROE÷k の割合で下げて 7.43 倍。g は名目 0.0%。人月・席の型で寿命は短く、g は名目 0%(横ばい)まで。堀は普通。
確率:AI エージェントが下流の仕事を広く置き換え、単価にも値下げの圧力がかかる筋書き。派遣は景気にも弱く、23% を置いた。
悲観 12% AI エージェントが下流の仕事を置き換え、稼ぐ力が崩れる 利益 8 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 156 円132 億円
AI エージェントが下流の仕事のほぼすべてを引き受け、新人を受け入れる顧客が大きく減る。技術系の在籍は今の 45% ほど、約 8,000 人になる。単価は値下げを受け入れて 1.0 倍にとどまる。売上は約 820 億円と今の半分に縮み、営業利益はほぼゼロになる。拠点と採用を大きく減らして固定費を縮めても追いつかない。もはや優良会社ではなく、純現金と少しの事業が残るだけの会社である。株主には、手元の現金から返す形になる。10 年後の会社は、建設と製造の現場の派遣だけを扱う小さな会社になっている。配当は大きく減らし、手元の純現金を取り崩して株主に返す。成長を語る会社ではなく、残った事業を静かに続ける会社である。
- 技術者派遣(機電・IT・建設):数量 0.8(在籍する技術者の人数(万人、推定))× 価格 691(技術者 1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 559 億円・営業利益 11 億円。数量 0.45 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 2%
- 製造・その他(海外含む):数量 0.4(在籍する社員の人数(万人、推定))× 価格 680(1 人当たり年間売上(万円))→ 売上 259 億円・営業利益 3 億円。数量 0.60 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 1%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは床に使わず、純現金(約 132 億円)を今の自己資本に対する PBR で表す。
確率:AI エージェントが技術者派遣の下流の仕事をほぼ置き換え、売上が 10 年で半分になる筋書き。稼ぐ力が崩れる形で、12% を置いた。やや悲観と合わせて 35%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
技術者派遣(機電・IT・建設)
機電・IT・建設の技術者を、未経験者を含めて採用・育成し、顧客の現場へ派遣する。利益の大半を稼ぐ中核事業。
| 数量在籍する技術者の人数(万人、推定) | 価格技術者 1 人当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.8 | 691 | 1,243 | 143 |
| 10 年後 中立 | 1.4 | 863 | 1,243 | 112 |
取り方:機電・IT 667 億円と建設 576 億円の合計 1,243 億円を、技術系の在籍約 1.8 万人で割った。会社全体の在籍は 24,350 人(2026 年 5 月末)で、技術系とその他の内訳は開示がなく推定。営業利益はセグメント別が使えないので、全体 167 億円を技術系 11.5%・その他 5.8%・本社費 −1 億円に分けた推定。人数は実質の量。1 人当たり売上は賃金に連れ、中立で 10 年 1.34 倍。 AI エージェント代替の型:売上の約 74%。機電・IT・建設の技術者派遣は、人数に月ごとの単価を掛ける人月の型。うち IT と機電の設計補助は AI エージェントがコードの下書きや図面を肩代わりする側にあり、建設の施工管理は現場に立つ現場の体の型で残りやすい。混ぜて、数量は 10 年中立で 0.80 倍(人月の決まり 0.55〜0.75 と現場の体の 1.0 倍の間)、価格は、顧客が料金を決める立場で賃金の上昇を移しきれないため、物価並みの 1.34 倍でなく 1.25 倍とした。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額開示は確認できない。
製造・その他(海外含む)
製造系の派遣・請負と、その他の事業、海外。
| 数量在籍する社員の人数(万人、推定) | 価格1 人当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.6 | 680 | 432 | 25 |
| 10 年後 中立 | 0.6 | 850 | 510 | 26 |
取り方:全体 1,675 億円から技術系 1,243 億円を引いた約 432 億円(その他 409 億円・海外 7.5 億円ほか)を、在籍約 6,350 人で割った推定。人数は実質の量で、製造派遣は成長が逓減する市場。1 人当たり売上は賃金に連れ、中立で 10 年 1.34 倍。 AI エージェントの影響が小さい型:売上の約 26%。製造系の派遣・請負は工場の現場に立つ現場の体の型で、AI エージェントによる置き換えは遅い。ただし成長が逓減する市場なので、数量は中立 0.95 倍、価格は、製造系は料金の交渉で顧客が強く賃金の上昇を移しきれないため、物価並みの 1.34 倍でなく 1.25 倍とした。
リスクと懸念
AI エージェントによる下流の仕事の置き換え(AI エージェント代替)
売上の約 74% は、技術者の人数に月ごとの単価を掛ける人月の型だ。AI エージェントがコードの下書き、設計補助、図面づくりを肩代わりすれば、顧客は新人を育てて受け入れる理由を薄める。10 年の中立で技術系の在籍は 2 割減り、悲観では売上が半分に縮み、稼ぐ力が崩れる。建設の施工管理と製造派遣は現場の体で残りやすい。
在籍数の頭打ち
会社は国内エンジニアを年 10% 増やすと掲げるが、2026 年 5 月末の在籍数は前年より 69 人少ない。採用の伸びが戻らなければ、年 10% の増益という会社の物語が崩れ、倍率も縮みやすい。
生成 AI による下流の仕事の置き換え
設計補助・コードの下書き・図面作成は、AI がこなしやすい。これらは未経験者が現場で覚える仕事で、会社が売る人材の中心だ。顧客が受け入れ枠を絞れば、数量と単価の両方が効く。
景気の悪化と顧客の受け入れ縮小
派遣は景気で真っ先に絞られる。製造系は特に振れが大きく、技術系でも新人の受け入れは減る。稼働率 93% は高いが、これが落ちると固定的な育成費と営業費が利益を削る。
価格を顧客に決められる立場
人件費と採用費は物価で上がる。これを単価に移せなければ、利益率は下がる。経験者向けの競合に比べ、未経験者向けは価格競争に落ちやすい。
定着と採用のコスト
定着率は 2024 年 3 月期で 81.8% と目標の 85% に届かなかった。若者の労働観が変わるなかで、辞める人が増えれば育成の投資が回収できない。
M&A と資本配分
2025 年に自動車開発のエイセブを買った。小さな買収が続くうちは問題が小さいが、のれんが積み上がれば減損の火種になる。買収の経緯と成果は決算で確かめる必要がある。
今後の分かれ目
- AI エージェントを売り物にした売上・受注の金額が決算で開示される
- 開示が下流の仕事の減りを補う規模なら、楽観側の数量を引き上げる。開示が無い間は、数量 1.0 倍を超える筋書きは置かない。
- 国内の在籍数が前年を上回る伸びに戻る
- 会社の増員の物語が戻り、やや楽観の筋書きに近づく。
- 稼働率が 93% を割り、新人の配属が滞る
- 育成費が重くなり、やや悲観の筋書きに近づく。
- 顧客が AI を前提に新人の受け入れ枠を縮める
- 未経験者向けの需要が痩せ、悲観の筋書きに近づく。
- 定着率が 85% を超えて在籍期間が延びる
- 1 人当たりの粗利が増え、利益率の上昇が確かになる。
- 大型の M&A で未経験者向けの事業を広げる
- 成長は上振れるが、のれんの減損リスクが増える。
- 景気後退で製造・IT の顧客が受け入れを凍結する
- 稼働率が下がり、10 年の悲観・やや悲観に近づく。
見ておくもの
- 国内エンジニアの在籍数と稼働率(月次開示)
- 技術者 1 人当たりの請求単価の伸び
- 定着率と中途退職の動き
- 配当・自社株買いの方針と累進配当の継続
- のれんと買収した会社の業績
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。人月の型なので長期の g(10 年より先の名目の伸び)は 0% とし、PER は 1÷k = 11.4 倍になる。k は景気への弱さ(+0.25%)、値決め(+0.25%)、AI エージェント代替の寿命(決まりの下限寄りの +0.75%)で 8.75%。AI エージェント代替の理由は、主に中立の数量と価格に入れ、k は下限寄り、確率は 35%、g は 0% と、重ねすぎないようにした。やや悲観は ROE が k を下回るため式で PER が下がる。今の PER や同業・過去の倍率は使っていない。悲観は稼ぐ力でなく純現金の床で置いた。営業利益のセグメント別は開示がなく、全体を技術系と製造系に推定で割った。自己資本は「今+純利益−還元」で積んだ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.43→12.9 倍・やや楽観 PER 11.43→12.9 倍・中立 PER 11.43→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。