結論
グリーンランドリゾートは、熊本県荒尾市の遊園地「グリーンランド」を中心に、ゴルフ場、ホテル、北海道の遊園地とスキー場を営む会社だ。筆者の結論は、今の値段は割高だ。帳簿の土地は 145 億円と時価総額の 2 倍あるが、それが生む利益は年 5 億円ほどで、資本コストに遠く届かない。
稼ぎの柱は九州の遊園地で、営業利益の 7 割近くを生む。60 年の歴史と、九州で屈指の乗り物の数が強みだ。新しいジェットコースターに投資し、入園の単価も上げてきた。
弱みは客の数だ。荒尾や大牟田、北海道の岩見沢は人口が減る地域で、遊園地の客は天候にも大きく左右される。ゴルフとホテルは利益がほとんど出ていない。借金は 60 億円あり、ゴルフ会員の預り金も 21 億円残る。
10 年の中立では、客数が 1 割弱減り、単価の値上げでそれを埋めて営業利益は今と同じ 7〜8 億円にとどまる。金利の上昇で純利益は細り、価値は今の時価総額の 6 割ほどだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、グリーンランドリゾートは「土地は多いが、持ち主に残る利益が少ない会社」だ。10 年後も九州の遊園地は残るだろう。地域の定番の行楽地で、代わりの施設は簡単に作れない。
だがオーナー利益、つまり設備の更新を引いて持ち主に残る現金は薄い。遊園地の乗り物は 10〜20 年ごとに替えが要り、建築と機械の値段は物価より速く上がる。会計の償却は昔の値段のままなので、利益は実際の更新の費用より大きく見える。
帳簿の土地 145 億円は、遊園地とゴルフ場の敷地だ。事業を続ける限り売れず、売っても地方の土地に高い値は付かない。借金と預り金を返せば、株主に残るものはさらに減る。
安全域は見当たらない。PBR 0.6 倍は安く見えるが、資本の効率がこれだけ低ければ、帳簿の価値は持ち主の価値ではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの 4 割強は遊園地だ。熊本県荒尾市の「グリーンランド」は、九州最大級の遊園地で、年に 77 万人が訪れる。北海道岩見沢市の「北海道グリーンランド」と冬のスキー場を合わせ、利用者は 96 万人。入園料と乗り物の料金で稼ぎ、2025 年 12 月期の売上は 29 億円、利益は 7.7 億円だった。
ゴルフは 3 場を営み、年に 15 万人がプレーする。売上は 11 億円だが、利益は 1 億円ほどだ。会員制の 2 場には、会員から預かった金が残る。
ホテルは遊園地の隣の「ホテルブランカ」「ホテルヴェルデ」が中心で、売上は 20 億円。泊まり、宴会、レストランを合わせても利益はほぼ出ない。北海道の「ホテルサンプラザ」は 2026 年 7 月に手放した。
ほかに、遊園地の周りの土地を貸す不動産、バイオマス発電所へ燃料を入れる土木・建設資材の仕事がある。どちらも小さいが利益率は高い。本社の費用は年 4 億円ある。
資産の大半は土地で、帳簿で 145 億円ある。遊園地とゴルフ場の広い敷地を自前で持つ形だ。
優良さと弱いところ
優良さは「中の下」と筆者は見る。核にあるのは九州の遊園地の地位だ。九州で大型の遊園地は限られ、絶叫系の乗り物の数では国内でも上位に入る。家族連れと若者が車で来る、地域の定番の行楽地だ。
だが、その地位は全国の堀ではない。客の多くは九州の北部から来る。人口が減る地域で、客数は 2019 年の水準を取り戻せていない。雨や猛暑の日が続けば、客はすぐに減る。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 3.1% で、会社自身が示す株主資本コスト 12.9% に遠い。広い土地と古い施設を自前で持つため、利益に対して資本が重すぎる。ゴルフとホテルは、資本を使う割に利益をほとんど生まない。
経営は 2025 年に指名・報酬委員会と執行役員の制度を入れ、資本コストを意識した対応を毎年示している。ホテルの一部も手放した。方向は正しいが、事業の組み替えはまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のレジャーは、人の数が減る中で単価を上げる時代に入った。業界の首位のオリエンタルランドは、値上げを重ねて客 1 人あたりの売上を伸ばしてきた。地方の遊園地も、新しい乗り物とイベントで単価を上げる方向は同じだ。
ただし地方の遊園地は、首都圏や大都市の施設とは条件が違う。客の多くは車で 1〜2 時間の範囲から来る。その範囲の人口が減れば、客数は細る。九州北部では、熊本の半導体の工場の進出で働く人が増える明るい面もあるが、荒尾までの効果は限られる。
訪日客は九州でも増えているが、地方の遊園地の主な客にはなっていない。ホテルは訪日客と出張の客で稼働が上がる流れにあるが、遊園地の隣のホテルは家族連れが中心だ。
ゴルフは、団塊の世代の引退でプレーの数が細る流れにある。カートで乗り入れられる強みや、韓国での会員権の販売で客を補っている。
バイオマス発電の燃料の仕事は、再生可能エネルギーの買取の制度が続く間は安定している。
10 年で見れば、遊園地の客数は 1 割弱減り、単価は新しい乗り物で物価より少し速く上がると筆者は見る。地方の遊園地として、縮む市場でどう値上げを通すかが問われる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。会社は配当性向 30% 以上を約束し、2025 年 12 月期の配当の総額は 1.6 億円だった。年に 2 回の株主優待で、自社の遊園地やホテルの券を配る。原価で見た費用は小さい。自社株買いは行っていない。
筆頭株主は西部ガスホールディングスで、議決権の 24% を持つ。当社は西部ガスの持分法の関連会社で、社外取締役を 1 人迎えている。西部ガスが残りの株を買う話は見当たらないが、資本の関係が変わる可能性は残る。
財務は借金に頼る。2025 年末の借入は 65 億円、現金は 5 億円で、純負債は 60 億円ある。ゴルフ会員の預り金も 21 億円あり、返還を求められれば現金が出る。2025 年は新しいジェットコースターに 11 億円を投じ、短期の借入を増やした。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
遊園地は投資で客を呼べる。2025 年に新しいジェットコースターを決め、開園 60 周年の施設の刷新とイベントを進めている。新しい乗り物は若者と家族連れを呼び、入園の単価も上げられる。オリエンタルランドが示したように、レジャーは値上げの余地が大きい。九州で同じ規模の遊園地を新しく作るのは難しく、競争は限られる。
九州の北部には追い風もある。熊本の半導体の工場の進出で、働く人と所得が増えている。九州を訪れる外国人も増え続け、遊園地とホテルの客の幅が広がる。
資本の使い方も変わり始めた。北海道のホテルを手放し、指名・報酬委員会を作った。会社は資本コストを 12.9% と自ら示し、ROE の改善を約束している。採算の悪いゴルフやホテルを整理すれば、ROE は上がる。
土地は帳簿で 145 億円あり、時価総額の 2 倍を超える。筆頭株主の西部ガスが残りを買う可能性もある。今の値段は、こうした立ち直りの芽をほとんど見ていない。
慎重な見方
客の数が戻らない。遊園地の利用者は 2025 年に 96 万人で、前の年より 5 万人減った。天候のせいとされるが、地域の人口は年に 1% 近く減っており、構造的な減少だ。新しい乗り物の効果も数年で薄れる。
資本が重すぎる。帳簿の土地 145 億円と施設に対し、純利益は年 5 億円ほどしかない。ROE は 4% 台で、会社が示す資本コスト 12.9% の 3 分の 1 にすぎない。乗り物の更新には建築と機械の値上がりで今より多くの金が要り、借金はさらに増える。
金利も効く。借入 65 億円の多くは短期で、借り換えのたびに金利が上がる。利払いが 1〜2 億円増えれば、純利益の 3 割が消える。更新の投資を借金で続ける限り、この重さは軽くならない。
ゴルフ会員の預り金 21 億円は、返還を求められれば現金で払うしかない。土地は地方の遊園地とゴルフ場で、売っても高い値は付かない。帳簿の土地の大きさは、株主の価値の大きさではない。
どちらに重みを置いたか
資本の重さと客の数の細りについては、慎重な見方に分がある。新しい乗り物と九州の追い風は本物だが、資本コストに届くほどの利益は見えない。一方で、九州の遊園地は地域の定番で、急に客が消えるわけではない。中立に 38% を置き、悲観側 32%、楽観側 30% と、わずかに悲観に寄せた。事業の組み替えが進めば見直す。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 515 円53 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 130 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 314 円32 億円、今との差 −47.4%、 期待の年率 +0.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 1,023 円106 億円 | 213 円22 億円 | +107.1% | +7.6% | 111 円12 億円 |
| やや楽観 | 21% | 775 円80 億円 | 174 円18 億円 | +59.0% | +4.7% | 199 円21 億円 |
| 中立 | 38% | 530 円55 億円 | 145 円15 億円 | +13.1% | +1.2% | 257 円27 億円 |
| やや悲観 | 21% | 246 円25 億円 | 77 円8 億円 | −45.8% | −5.9% | 68 円7 億円 |
| 悲観 | 11% | 61 円6 億円 | 29 円3 億円 | −84.9% | −17.2% | 10 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 515 円53 億円 | 130 円13 億円 | +8.0% | +0.8% | 645 円67 億円 |
今の株価時価総額 597 円62 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 新しい乗り物と九州の追い風で客が増え、ゴルフとホテルも立ち直る 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,023 円106 億円
新しいジェットコースターと 60 周年の刷新が当たり、九州の北部から若者と家族連れが戻る。熊本の半導体の工場の進出で働く人が増え、訪日客も九州の行楽地に足を延ばす。遊園地の客は 10 年で 8% 増え、入園の単価は物価より速く上がる。
ゴルフは韓国の会員権の販売と平日の集客で客数を保ち、ホテルは訪日客と出張の客で稼働が上がる。採算の悪い施設の整理も進む。
乗り物の更新で償却は 5 億円前後に増えるが、売上の伸びがそれを上回る。営業利益は 15 億円に乗り、ROE は 6% 近くまで上がる。それでも資本コストには届かない。
- 遊園地:数量 104(利用者数(万人))× 価格 0.45(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 47 億円・営業利益 14 億円。利用者 1.08 倍・単価 1.52 倍
- ゴルフ:数量 14.5(利用者数(万人))× 価格 1.06(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。利用者 1.00 倍・単価 1.42 倍
- ホテル:数量 7.9(全ホテルの宿泊者数(万人・推定))× 価格 3.16(宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。サンプラザの譲渡で宿泊者が 2 割弱減った後 1.05 倍、単価 1.45 倍
- 不動産:数量 30.0(テナントの数(件・推定))× 価格 821(1 件あたりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。賃料 1.40 倍
- 土木・建設資材:数量 22.0(取扱量(万トン・推定))× 価格 0.25(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。取扱量 1.10 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:遊園地の客数が 10 年で 8% 増えるには、人口が減る地域で新しい客を呼び続ける必要がある。九州の追い風と投資の当たりが重なる形で 9%。
やや楽観 21% 値上げで客数の減りを埋め、利益は 1.5 倍 利益 7 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 775 円80 億円
遊園地の客数は 10 年で横ばいを保つ。人口の減りを新しい乗り物とイベントが埋め、入園の単価は物価より少し速く上がる。九州の訪日客も一部が流れ込む。
ゴルフは客数が少し減るが、料金の改定で売上を保つ。ホテルは家族連れと出張の客で稼働を保ち、北海道の不採算のホテルを手放した分、利益率が上がる。
乗り物の更新は続き、償却は 4.5 億円ほどに増える。営業利益は 11 億円台に乗る。金利の上昇で利払いは増えるが、純利益は 6 億円台。配当は利益の 3 割で、ROE は 4% 台後半にとどまる。土地と施設の重さは変わらず、資本コストには遠い。
- 遊園地:数量 96.5(利用者数(万人))× 価格 0.43(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 11 億円。利用者 1.00 倍・単価 1.45 倍
- ゴルフ:数量 14.1(利用者数(万人))× 価格 1.02(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。利用者 0.97 倍・単価 1.37 倍
- ホテル:数量 7.5(全ホテルの宿泊者数(万人・推定))× 価格 3.05(宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。サンプラザの譲渡で宿泊者が 2 割弱減った後 1.00 倍、単価 1.40 倍
- 不動産:数量 30.0(テナントの数(件・推定))× 価格 786(1 件あたりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。賃料 1.34 倍
- 土木・建設資材:数量 20.0(取扱量(万トン・推定))× 価格 0.25(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。取扱量 1.00 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 78 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2022〜2025 年は営業利益率 11〜14% を保った。値上げが通り、客数が横ばいを保てば届く水準で 21%。
中立 38% 客数は 1 割弱減り、値上げで埋めて利益は横ばい 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 530 円55 億円
遊園地の客数は 10 年で 7% 減る。地域の人口の減りを、新しい乗り物とイベントが半分ほど埋める。入園の単価は値上げで物価より少し速く上がり、売上は 3 割ほど増える。
ゴルフは客数が 1 割弱減り、単価は物価並み。ホテルは北海道の 1 軒を手放した後、宿泊者が少し減り、利益はほぼ出ない。本社の費用は人の賃金で 1.3 倍になる。
乗り物と施設の更新で、償却は今の 3.6 億円から 4.5 億円ほどに増える。今ある設備の償却は昔の値段のままだが、新しい設備は建築と機械の値上がりの分だけ高い。営業利益は 7〜8 億円で、今とほぼ同じだ。
借金は更新の投資で減らず、利払いは金利の上昇で 1.5 億円ほど増える。純利益は 4 億円台で、ROE は 3% 程度にとどまる。
- 遊園地:数量 89.7(利用者数(万人))× 価格 0.41(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 9 億円。利用者 0.93 倍・単価 1.38 倍
- ゴルフ:数量 13.4(利用者数(万人))× 価格 1.00(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。利用者 0.92 倍・単価 1.34 倍
- ホテル:数量 7.1(全ホテルの宿泊者数(万人・推定))× 価格 2.92(宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。サンプラザの譲渡で宿泊者が 2 割弱減った後 0.95 倍、単価 1.34 倍
- 不動産:数量 30.0(テナントの数(件・推定))× 価格 733(1 件あたりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。賃料 1.25 倍
- 土木・建設資材:数量 18.0(取扱量(万トン・推定))× 価格 0.25(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。取扱量 0.90 倍・単価 1.34 倍
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 49 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の営業利益率は −10〜14% で、コロナの後は 11〜14%。新しい乗り物の償却と本社の費用の増加で 10% 台に戻る形を中心に置き、最も起こりやすい形として 38%。
やや悲観 21% 客数が 1 割強減り、更新の費用に利益が削られる 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 246 円25 億円
遊園地の客数は 10 年で 12% 減る。新しい乗り物の効果は数年で薄れ、雨や猛暑の年が続く。入園の単価は物価に届かない。
ゴルフはプレーする人の高齢化で客が減り、ホテルは赤字すれすれになる。本社の費用は人の賃金で増える。
乗り物の更新は建築と機械の値上がりで高くつき、借金で賄うので利払いが増える。営業利益は 5 億円前後に落ち、純利益は 2 億円ほど。配当は利益の 3 割に減る。価値は稼ぐ力で決まり、土地は遊園地とゴルフ場の敷地なので売れない。借金は減らず、預り金の返還にも備える必要がある。配当も細る。
- 遊園地:数量 84.9(利用者数(万人))× 価格 0.38(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 7 億円。利用者 0.88 倍・単価 1.28 倍
- ゴルフ:数量 12.8(利用者数(万人))× 価格 0.96(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。利用者 0.88 倍・単価 1.28 倍
- ホテル:数量 6.6(全ホテルの宿泊者数(万人・推定))× 価格 2.79(宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。サンプラザの譲渡で宿泊者が 2 割弱減った後 0.88 倍、単価 1.28 倍
- 不動産:数量 30.0(テナントの数(件・推定))× 価格 704(1 件あたりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料 1.20 倍
- 土木・建設資材:数量 17.0(取扱量(万トン・推定))× 価格 0.24(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。取扱量 0.85 倍・単価 1.28 倍
倍率:事業の ROE 1.7% で、価値は稼ぐ力(純利益 2.0 億円÷k 8.5% ≒ 22 億円)まで。PER は 1÷k に近い 11.12 倍で稼ぐ力の水準。
確率:2014〜2017 年は営業利益率 3〜6% だった。客数の減りが速く、値上げが物価に届かなければ戻りうる水準で 21%。
悲観 11% 客が離れて赤字に沈み、施設を手放していく 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 61 円6 億円
地域の人口の減りが速まり、遊園地の客は 10 年で 3 割減る。新しい乗り物の投資は客を呼べず、借金だけが残る。入園の単価もほとんど上げられない。
ゴルフとホテルは赤字になり、施設を手放していく。本社の費用は削っても追いつかず、営業損失が続く。金利の上昇で利払いも増える。
土地は帳簿で 145 億円あるが、地方の遊園地とゴルフ場の敷地は高く売れない。借金 65 億円とゴルフ会員の預り金 21 億円を返すと、株主に残るものはわずかだ。60 年続いた行楽地が、地域とともに縮んでいく筋書きだ。配当もほぼ止まる。
- 遊園地:数量 67.5(利用者数(万人))× 価格 0.34(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。利用者 0.70 倍・単価 1.15 倍
- ゴルフ:数量 10.2(利用者数(万人))× 価格 0.82(1 人あたりの売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。利用者 0.70 倍・単価 1.10 倍
- ホテル:数量 5.3(全ホテルの宿泊者数(万人・推定))× 価格 2.39(宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。サンプラザの譲渡で宿泊者が 2 割弱減った後 0.70 倍、単価 1.10 倍
- 不動産:数量 30.0(テナントの数(件・推定))× 価格 587(1 件あたりの年間賃料(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。賃料 1.00 倍
- 土木・建設資材:数量 12.0(取扱量(万トン・推定))× 価格 0.22(1 トンあたりの売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。取扱量 0.60 倍・単価 1.20 倍
倍率:赤字なので PBR。稼ぐ力は無く、価値は今の自己資本 105 億円の 0.06 倍の 6.3 億円。地方の遊園地とゴルフ場の土地は売っても借金と預り金に届かない。
確率:2020〜2021 年の赤字は感染症によるもので、構造的な赤字の前例は無い。地域の人口の減りが速まり、大型の投資が外れれば起こりうるとして 11%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
遊園地
熊本県荒尾市の「グリーンランド」と、北海道岩見沢市の「北海道グリーンランド」・スキー場。
| 数量利用者数(万人) | 価格1 人あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 96.5 | 0.30 | 29 | 8 |
| 10 年後 中立 | 89.7 | 0.41 | 37 | 9 |
取り方:利用者 964,490 人(九州 769,475・北海道 195,015、2025/12 期短信)。単価は外部売上 28.61 億円÷利用者。営業利益はセグメント利益 7.66 億円。
ゴルフ
グリーンランドリゾートゴルフコース(36 ホール)と大牟田・広川の会員制 2 場。
| 数量利用者数(万人) | 価格1 人あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14.5 | 0.75 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 13.4 | 1.00 | 13 | 1 |
取り方:3 場の利用者 145,419 人(短信)。単価は外部売上 10.85 億円÷利用者。営業利益はセグメント利益 1.06 億円。
ホテル
遊園地の隣のホテルブランカ・ホテルヴェルデなど。北海道のホテルサンプラザは 2026/07 に譲渡。
| 数量全ホテルの宿泊者数(万人・推定) | 価格宿泊者 1 人あたりのホテル事業の売上(万円、宴会・料飲・日帰り入浴を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9.0 | 2.18 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7.1 | 2.92 | 21 | 1 |
取り方:ブランカとヴェルデの宿泊者 62,912 人(短信)に、サンプラザ(駅前のビジネスホテル、推定 1.5 万人)と北村温泉ホテル(推定 1.2 万人)を足して 9.0 万人と推定。単価はホテル事業の外部売上 19.59 億円÷宿泊者。営業利益は全セグメント利益から他を引いた 0.63 億円。
不動産
グリーンランドの周りの土地・建物をテナントに貸す。
| 数量テナントの数(件・推定) | 価格1 件あたりの年間賃料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 587 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 733 | 2 | 2 |
取り方:件数の開示が無いので、外部売上 1.76 億円を 30 件・1 件 587 万円と推定。営業利益はセグメント利益 1.22 億円。
土木・建設資材
バイオマス火力発電所への燃料の投入の受託と、土木・建設資材の販売。
| 数量取扱量(万トン・推定) | 価格1 トンあたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 0.19 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 0.25 | 4 | 1 |
取り方:取扱量の開示が無いので、外部売上 3.72 億円を 20 万トン・1 トン 0.19 万円前後と推定。営業利益はセグメント利益 0.98 億円。
リスクと懸念
地域の人口の減り
遊園地の客の多くは九州の北部と北海道の道央から車で来る。その範囲の人口は年に 1% 近く減る。新しい乗り物で一時は客を呼べても、10 年で見れば客数は細る。
天候
屋外の遊園地は、雨と猛暑の日が続けば客が大きく減る。2025 年と 2026 年の上期は、九州の天候不良で客数が落ち、利益が計画を下回った。
更新の投資と借金
乗り物は 10〜20 年ごとに替えが要る。建築と機械の値段は物価より速く上がり、償却を上回る投資を借金で賄うと利払いが増える。借入 65 億円の多くは短期で、金利の上昇がすぐに効く。
ゴルフ会員の預り金
会員制のゴルフ場で会員から預かった金が 21 億円ある。利息は付かないが、返還を求められれば現金で払う必要がある。プレーする人の高齢化で退会が増えれば、資金繰りに響く。
資本の効率
ROE は 4% 台で、会社が示す株主資本コスト 12.9% に遠い。採算の低いゴルフとホテルを持ち続ける限り、資本の重さは変わらない。
今後の分かれ目
- 新しいジェットコースターの開業後、遊園地の客が 100 万人を超えて定着する
- 投資で客を呼べる力が確かめられたとみて、やや楽観の確率を上げる。
- ゴルフ場やホテルの売却で借金を大きく減らす
- 資本の効率が上がるとみて、中立の ROE と倍率を引き上げる。
- 西部ガスホールディングスが持分を増やす、または残りの株の取得を提案する
- 買収の値段次第で、株主の受け取りが変わる。中立の値は事業の価値で見る。
- 遊園地の客数が 2 年続けて 90 万人を割る
- 人口の減りが速いとみて、やや悲観に寄せる。
- 借り換えの金利の上昇で利払いが 2 億円を超える
- 純利益が細るとみて、中立の純利益を引き下げる。
見ておくもの
- 遊園地の利用者数(九州・北海道)と 1 人あたりの売上
- ゴルフの利用者数と預り金の残高
- 純有利子負債と短期の借入の割合
- 設備投資と減価償却の差
- 新しい中期経営計画(2027 年〜)の ROE の目標と事業の組み替え
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k 8.5% を大きく下回るので、上限の 1÷k = 11.1 倍の 9 割前後に置いた。今の PBR 0.6 倍や過去の値付けは見ていない。中立の営業利益率 10.3% は過去 12 年の山 13.9% 以下。償却は今の 3.6 億円を取得の値段のまま残し、新しい乗り物の分だけ建築費の上昇込みで足して 4.5 億円ほどとした。土地は事業に使う敷地で、悲観の床だけで売却の値を見た。やや悲観の PBR が 0.2 倍を割る注意は、ROE が 2% を切る筋書きで稼ぐ力がその水準だからで、残した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.76 倍・やや楽観 PER 10.3→11.76 倍・中立 PER 10→11.76 倍・やや悲観 PER 10.5→11.12 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.5% = 9.0%。同じ領域の伊豆シャボテンリゾート 8.0%、コシダカ 8.5% より高いのは、借金と預り金の重さと、地方の人口の減りのため。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.50%。