結論
アトラグループは、鍼灸接骨院チェーン「ほねつぎ」を軸に、接骨院の開業と経営を支える会社だ。加盟金とロイヤリティ、請求代行、機材の通販で稼ぐ。売上は 39 億円、営業利益は 1.4 億円。玩具店の子会社ペリカンは、2026 年 3 月に全株式の譲渡を決めた。筆者の結論は「割高」。事業は縮む市場の中にあり、利益の伸びしろが小さい。
本業の A-COMS は売上 24 億円、営業利益率 7%。ほねつぎは 151 院(2024 年末)で、院数は多くない。
筆者が重く見るのは、接骨院の収入源の変化だ。健康保険から払われる療養費が減り、自費の施術へ軸足を移せない院は苦しい。支援する側の会社も、その波を被る。
純利益は 2.6 億円と営業利益より多いが、持ち合いの株の売却益が混ざっている。稼ぐ力はそれより小さい。10 年後の中立も、営業利益は 2 億円ほどにとどまると見る。回復が続くかは、もう 1 年の決算を見るまで割り引いて考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「縮む市場の脇役」に高い値は付けない。
持ち続けたい事業かと問えば、答えは慎重になる。接骨院を支える仕組みは、院が減れば細る。成長の余地は、自費施術への転換を助ける領域にあるが、そこは競合が多い。
利益の質も弱い。純利益 2.6 億円は、営業利益 1.4 億円に投資有価証券の売却益が乗ったものだ。繰り返し稼げる額は 1 億円に届かない。
安全域は、純現金に近い財務にある。ただし現金の多くは請求代行の貸付を支えるもので、株主に戻せる余りではない。
経営は、玩具店という本業から遠い事業に資金を使い、数年で手放す。資本配分の実績は、評価を押し下げる。筆者は、利益の底が見えるまで払う値段を抑える。
買う側の立場で言えば、縮む市場では成長を前提にした値段を払わない。利益を積み上げた実績が出てから評価しても遅くはない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は A-COMS 事業で、売上の 6 割を占める。接骨院の経営者が必要とするものを、ひとまとめに売る。
ほねつぎチェーンは、看板と運営の仕組みを貸す。異業種からの参入モデルは加盟金 200 万円、月額のロイヤリティ 10 万円。既存の院向けのリニューアルモデルは、加盟金 50 万円、月額 7 万円と安い。院数は 151(2024 年末)。
請求代行は、療養費の請求事務を代わりに行う。早期の現金化の貸付もある。通販の「アトラストア」は、自費施術の機材と消耗品を売る。予約や物販のシステムも提供する。デイサービスとジムのフランチャイズも手がける。
もう一つの柱だった玩具販売は、直営の店で売上 16 億円、営業損失 0.25 億円。不採算店の整理を続けた末に、全株式を譲る。
無配で、株主優待は自社商品「ほねつぎ HOT」だ。大株主は一般社団法人みどり会で、持株比率は 22%。従業員は多くなく、事業の中身は人の手間と仕組みの組み合わせである。
売上の構成は、ロイヤリティなど定額の収入と、機材の通販のような取引ごとの収入に分かれる。
優良さと弱いところ
優良さは「並の下」と見る。堀は薄く、市場は縮む。
強みは、接骨院の現場に入り込んだ仕組みだ。請求代行や予約のシステムは、院の事務に組み込まれ、乗り換えに手間がかかる。ほねつぎの看板も、開業者には分かりやすい。
弱みは三つ。一つ目は療養費の減少で、接骨院の収入の柱が細っている。二つ目は規模で、売上 24 億円では投資の余力が小さい。三つ目は利益の安定性で、営業利益は 2019〜2024 年にほぼゼロか赤字だった。
玩具店の買収は、本業と関係のない多角化で、失敗に終わった。2021 年に買って 4 年あまりで手放す。資本配分の判断としては評価できない。ただ、損失を広げる前に撤退を決めた点は前向きに見る。
財務は、現預金 11 億円に対し借入 8 億円。借入の多くは、請求代行の早期現金化の貸付を支えるためで、事業の仕入れに近い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
接骨院の市場は、成熟から縮みの段階にある。柔道整復師が開く接骨院は全国に約 5 万か所あり、この 10 年で急増した。一方、健康保険から払われる療養費は減り続けている。
背景は、不正請求への取り締まりの強化と、保険が使える対象の厳格化だ。保険の施術だけで食べていけない院が増え、自費の施術や物販への転換を迫られる。開設の要件も厳しくなり、新規の開業は減る。
この環境で、支援会社の仕事は二つに分かれる。自費への転換を助ける機材や集客の支援は需要が増す。保険の請求代行は、院が減れば縮む。
競合は、整骨院向けのシステムを出す会社や、機材の問屋、ほかのフランチャイズチェーンだ。名前の知られた競合は少なく、市場は細かく分かれている。大手のチェーンは自前で請求の仕組みを持つ。
生成 AI は、請求代行のような事務に直撃する。書類の確認と入力は、AI が最も得意とする仕事だ。
業界の 10 年の中立は、院の数が緩やかに減り、一院あたりの支払いは物価より低く上がる姿である。
分かれ目は、自費への転換を助ける領域で、独自の価値を出せるかどうかだ。
資本政策と M&A
資本政策は慎重で、還元は優待に偏る。配当は出していない。株主優待は、100 株以上で自社商品の「ほねつぎ HOT」(高価格帯の自社商品)を贈る。1 年に 1 回、12 月末が権利確定日で、費用は年 0.3 億円ほどと見る。
2025 年 12 月期は、投資有価証券の売却益を 0.9 億円計上した。持ち合いの整理が進んでいる。
玩具店ペリカンは 2021 年に買収した。2023 年に不採算店を 8 店閉め、2026 年 3 月に全株式の譲渡を決めた。売却額は確認できない。
借入は長期 8 億円、社債 0.35 億円。現預金 11 億円と合わせると純現金に近い。ただ、請求代行の貸付を支える運転資金としての性格が強い。
大株主は一般社団法人みどり会で 22%。会社の支配は安定している一方で、第三者の買収や増資は起きにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自費施術への転換は、支援会社にとって追い風だ。療養費が減るほど、院は機材や集客、予約システムに頼る。アトラは機材の通販と予約・物販のシステムを持ち、機能強化に 0.58 億円を投じている。
ほねつぎの看板は、開業を考える柔道整復師にとって分かりやすい。リニューアルモデルの加盟金は 50 万円と軽く、既存の院を取り込める。院数が 200 を超えれば、定額のロイヤリティが固定費を覆い、利益率が上がる。
玩具店の撤退で、赤字の足かせが外れ、経営資源は本業に集まる。A-COMS のセグメント利益は前年比で 4 倍になっており、回復の途上にある。
営業利益率 11% は、過去のピーク 15% には届かない。10 年で売上が 3 割伸びれば、営業利益は 4 億円を超える。
利益が戻れば、優待を続けながら配当を始める余力も生まれる。過去に優待で個人株主を集めた経験は、株主の安定にも効く。さらに、玩具店の撤退で連結の売上は 4 割減るが、利益率は大きく改善する。
慎重な見方
療養費の減少は一時的でなく、構造的だ。取り締まりと要件の厳格化が続き、接骨院の数は減る。支援会社の取引先が減れば、定額のロイヤリティも請求代行の手数料も縮む。
請求代行は、AI が最初に置き換える事務仕事だ。院が自前で AI を使えば、代行の手数料は消える。機材の通販は、大手の問屋と通販に価格で押される。
利益の底は低い。営業利益は 2019〜2024 年にほぼゼロか赤字で、2025 年の 1.4 億円は回復の途中で、繰り返せるかは分からない。純利益 2.6 億円は売却益が支えたものだ。
玩具店の失敗に象徴されるように、資本配分への信頼は低い。譲渡の価額も開示されておらず、売れても収入は小さい。
無配で優待に年 0.3 億円を使うのも、利益に対して重い。
市場が縮む中で、機材の通販や請求代行は価格競争に巻き込まれやすい。
接骨院の側も、利益が減れば支援の費用を真っ先に削る。支援会社の値上げの力は弱い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強いと判断した。自費への転換という追い風は本物だが、療養費の構造的な減少と AI による事務の置き換えが重い。玩具店からの撤退で赤字は止まるが、稼ぐ力は営業利益 2 億円に届かない。確率は、中立に 38% を置き、やや悲観と悲観を合わせて 38% とした。強気側は 24%。回復が数字で確かめられれば、上へ寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 192 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 26 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 104 円11 億円、今との差 −43.6%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 432 円44 億円 | 29 円3 億円 | +149.3% | +9.6% | 28 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 312 円32 億円 | 29 円3 億円 | +84.7% | +6.3% | 62 円6 億円 |
| 中立 | 38% | 226 円23 億円 | 29 円3 億円 | +38.1% | +3.3% | 97 円10 億円 |
| やや悲観 | 26% | 66 円7 億円 | 22 円2 億円 | −52.0% | −7.1% | 23 円2 億円 |
| 悲観 | 12% | 57 円6 億円 | 15 円2 億円 | −61.0% | −9.0% | 9 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 192 円20 億円 | 26 円3 億円 | +17.8% | +1.7% | 218 円22 億円 |
今の株価時価総額 185 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 自費への転換を取り込み、院数が増える 利益 3 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 432 円44 億円
ほねつぎは 250 院に増え、加盟のロイヤリティが積み上がる。機材と予約のシステムは、自費への転換を助ける柱になる。
請求代行は縮むが、機材と集客の支援の増加が補う。取引院は 1.15 倍、価格は物価並みの 1.34 倍。
玩具店の撤退で赤字は消え、営業利益率は 11% に乗る。営業利益は 4 億円で、過去のピークの利益率には届かない。
優待は続き、配当は小さく始まる。資本配分は本業に集中する。
接骨院の廃業が少なく、自費の市場が広がる最良の姿である。
AI は請求代行を置き換えるが、アトラはそれを自社のシステムに取り込み、手数料の減りを月額の利用料で補う。
- A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援):数量 1,380(取引のある接骨院などの延べ数(院、推定))× 価格 0.03(1 院あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。A-COMS 数量 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 11.0%
- 玩具販売(ペリカン):数量 0.0(店舗数(店、推定))× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。玩具 数量 0.00 倍・価格 1.00 倍、利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.61 倍、時価総額 35 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:療養費の減少を支援需要の増加へ変え、院数が増える筋書き。過去の利益の弱さと AI の影響から、5〜10% の下の側に置いた。
やや楽観 18% 院数は微増、利益率が戻る 利益 2 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 312 円32 億円
取引院は 1.05 倍に微増し、価格は物価に少し届かず 1.30 倍。ほねつぎのロイヤリティは定額で、物価に連れては上がりにくい。
請求代行の縮みは自費支援が補う。営業利益率は 9% に戻り、営業利益は 3 億円。
玩具店の撤退で連結の利益率が改善する。優待の費用は年 0.3 億円で続く。
配当は出さず、現金は貸付と機能強化に使う。
接骨院の数は微減にとどまり、自費の支援が伸びる。
請求代行の縮みは緩やかで、システムの利用料への切り替えが進む。会社の利益率は過去の中央値を上回る。営業利益は 3 億円ほどで、玩具店の赤字が消えた分が大きい。
- A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援):数量 1,260(取引のある接骨院などの延べ数(院、推定))× 価格 0.03(1 院あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 3 億円。A-COMS 数量 1.05 倍・価格 1.30 倍、利益率 9.0%
- 玩具販売(ペリカン):数量 0.0(店舗数(店、推定))× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。玩具 数量 0.00 倍・価格 1.00 倍、利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 1.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.36 倍、時価総額 25 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業に集中して利益率が戻る筋書き。2025 年に利益の改善が出ており、18% を置いた。
中立 38% 縮む市場で、利益は物価並みに伸びる 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 226 円23 億円
取引院は 5% 減る。療養費の縮みと AI による請求代行の置き換えで、数量は 0.95 倍にとどまる。
価格は定額の収入が多く、物価に連れて上げにくいため 1.25 倍。営業利益率は 7.5% に上がる。営業利益は 2.1 億円で、今の 1.4 億円の 1.5 倍。
玩具店は譲渡されて連結から外れる。優待は続き、年 0.3 億円を還元に数える。
現金は貸付に使われ、大きな買収はしない。
本業に絞った小さな支援会社として、黒字を保つ姿になる。
配当は出さず、優待を続けて個人株主をつなぐ。市場の縮みと利益の薄さは変わらず、評価は上がらない。営業利益は 1 億円を切り、優待の費用の重さが目立つ。
- A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援):数量 1,140(取引のある接骨院などの延べ数(院、推定))× 価格 0.02(1 院あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。A-COMS 数量 0.95 倍・価格 1.25 倍、利益率 7.5%
- 玩具販売(ペリカン):数量 0.0(店舗数(店、推定))× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。玩具 数量 0.00 倍・価格 1.00 倍、利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 18 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:接骨院の市場が縮み、支援の取引も少し減る中立の姿。利益の底が低く、確率の中心を 38% とした。
やや悲観 26% 院が減り、事務の代行が縮む 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 66 円7 億円
取引院は 2 割減る。請求代行の手数料が消え、機材も競合に押される。価格は物価に届かず 1.15 倍。
営業利益率は 4% に下がり、営業利益は 0.9 億円。ほねつぎの院数は 120 を割る。
玩具店は譲渡されるが、売却収入は小さい。優待は縮小して費用は年 0.23 億円になる。
現金は貸付の貸倒れの穴埋めに使われる。
AI を取り込めず、請求代行の縮みが利益を削る姿になる。
ほねつぎの院数は減り、看板の訴求力が落ちる。それでも財務は破綻せず、小さな黒字を保つ。営業損益は赤字にならないが、優待の費用が重くのしかかる。
- A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援):数量 960(取引のある接骨院などの延べ数(院、推定))× 価格 0.02(1 院あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。A-COMS 数量 0.80 倍・価格 1.15 倍、利益率 4.0%
- 玩具販売(ペリカン):数量 0.0(店舗数(店、推定))× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。玩具 数量 0.00 倍・価格 1.00 倍、利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力(純利益 0.6 億円)では値が付かず、現金と貸付の回収を含む売れる資産が床になる。今の自己資本の 0.4 倍の近くに置いた。
確率:療養費の減少が続き、請求代行が AI で置き換わる筋書き。市場が縮む構造を重く見て、26% を置いた。
悲観 12% 療養費が崩れ、支援の仕事が消える 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 57 円6 億円
療養費が大きく削られ、接骨院の廃業が相次ぐ。取引院は 45% 減り、価格は 1.05 倍と上がらない。
請求代行は AI に置き換わり、営業損益は赤字になる。貸付の貸倒れも出て、自己資本は減損で細る。
優待は縮小し、年 0.15 億円に下がる。事業の売却や他社への譲渡が現実になる。
稼ぐ力に値は付かず、現金と貸付金の回収が床になる。
経営は事業の売却を探るが、買い手が付く値は小さい。
優待も縮小か廃止となり、個人株主の離反が起きる。会社が続くかぎり、少数株主に現金は戻らない。10 年先に残るのは、小さな支援事業と、貸付金の回収を待つ財務である。
- A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援):数量 660(取引のある接骨院などの延べ数(院、推定))× 価格 0.02(1 院あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。A-COMS 数量 0.55 倍・価格 1.05 倍、利益率 -2.0%
- 玩具販売(ペリカン):数量 0.0(店舗数(店、推定))× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。玩具 数量 0.00 倍・価格 1.00 倍、利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力では値が付かず、売れる資産が床になる。貸倒れと減損で自己資本を 14 億円に落とし、床の近くに置いた。
確率:構造的に負ける筋書き。療養費の縮みと AI で、支援事業が半分近くに縮む。利益が薄い会社で、12% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
A-COMS 事業(接骨院の開業・経営支援)
鍼灸接骨院チェーン「ほねつぎ」の加盟、療養費の請求代行、機材・消耗品の通販、予約・物販システムなど、接骨院を支える事業。デイサービスとジムのフランチャイズも含む。
| 数量取引のある接骨院などの延べ数(院、推定) | 価格1 院あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,200 | 0.02 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,140 | 0.02 | 28 | 2 |
取り方:A-COMS 事業の売上 23.58 億円、セグメント利益 1.64 億円(開示)。院数は開示がなく、ほねつぎ 151 院(2024 年末)に請求代行・機材販売の利用院を加えて 1,200 と推定した。接骨院は全国に約 5 万か所ある。1 院あたり年 197 万円は割り算の結果。
玩具販売(ペリカン)
おもちゃ・雑貨・文具の直営店を運営する子会社。2026 年 3 月に全株式の譲渡を決めた。
| 数量店舗数(店、推定) | 価格1 店あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 45.0 | 0.35 | 16 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.35 | 0 | 0 |
取り方:玩具販売事業の売上 15.7 億円、営業損失 0.25 億円(開示)。店舗数は開示を確認できず 45 店と推定した。2026 年 3 月 31 日の取締役会で子会社の全株式の譲渡を決議しており、10 年後の数量は 0 とする。譲渡先と価額は未確認で、譲渡の収入は見込まない。
リスクと懸念
療養費の構造的な減少
健康保険から払われる療養費は減り続け、開設要件も厳しくなる。接骨院の数が減れば、加盟のロイヤリティ、請求代行、機材の取引が縮む。支援会社の売上は院の数と収入に直結する。
AI による請求代行の置き換え
療養費の請求事務は、書類の確認と入力が中心で、AI が最も得意な仕事だ。院が自前で自動化すれば、代行の手数料が消える。人の手間で売る型の事業の寿命が短くなる。
不正請求・信用失墜
加盟院の不正請求や施術事故は、チェーンの名前を傷つける。有価証券報告書もこの点をリスクに挙げる。看板が傷つけば、加盟の勧誘に響く。
玩具店の撤退
ペリカンは全株式を譲渡する決議をしたが、価額と時期は確認できない。損失の広がりはなく、売却収入も小さい。撤退の費用が残る可能性もある。
貸付の貸倒れ
請求代行の早期現金化の貸付は、院の資金繰りを前借りさせるもので、院が減れば貸倒れが出る。借入 8 億円はこの貸付を支えており、現金の自由度は小さい。
利益の振れと優待の負担
営業利益は 2019〜2024 年にほぼゼロか赤字で、回復の持続は未確認。無配のまま優待に年 0.3 億円ほどを使い、費用対効果は利益に対して重い。
今後の分かれ目
- ほねつぎの院数が 200 を超え、解約も少ない
- 定額のロイヤリティが固定費を覆い、営業利益率が上がる。やや楽観以上の確率を厚くする。
- 療養費の減少が加速し、接骨院の廃業が増える
- 取引先が減り、悲観の筋書きに寄る。
- 請求代行を自動化する AI サービスが普及する
- 代行の手数料収入が縮み、A-COMS の数量を下げる。
- ペリカンの譲渡の価額が開示され、損失が出ない
- 本業に集中した姿が確かめられ、中立の利益の確度が上がる。
- 自費施術の機材とシステムの売上が伸びる
- 縮む市場の中でも伸びる領域が確かめられ、数量を上方に見直す。
見ておくもの
- ほねつぎの院数とロイヤリティ収入
- 療養費の総額と接骨院の開設・廃業数
- A-COMS のセグメント利益率
- ペリカンの譲渡の価額と時期
- 請求代行・貸付の貸倒れ
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から決めた。中立は ROE が k を下回るので上限の 1÷k = 11.4 倍の 8 割弱、9 倍とした。療養費の減少と AI による事務の置き換えは、数量と k の寿命に入れ、g は 1% にとどめて重ねすぎないようにした。今の株価は根拠にしていない。純利益は特別利益を除く営業ベースで起点を置いた。優待は年 0.3 億円(株主数が開示になく推定)を還元に足し、自己資本の流れには入れていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.61 倍・やや楽観 PER 10→12.36 倍・中立 PER 9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 9.00%。