結論
鉄人化ホールディングスは「カラオケの鉄人」を東京と神奈川を中心に 32 店営み、ラーメンの「直久」、まつ毛とネイルのサロン、携帯電話の販促イベントへの人材派遣も持つ会社だ。筆者の結論は「立ち直りは本物だが、値段はその先の成長まで先に払っている」である。
2026 年 8 月期は売上 105 億円、営業利益 4.2 億円と、コロナ前の水準を超えた。派遣の会社を買ったことが大きい。ただ、純利益 4.3 億円には店の売却益などが含まれ、ならすと 3 億円ほどだ。
時価総額 71 億円は、自己資本 11 億円の 6 倍を超える。自己資本が小さいのは、2017 年と 2020 年の大きな赤字で一度ほぼ消えたからだ。過去 10 年で赤字は 5 期あり、継続企業の注記が外れたのは 2024 年である。
店はすべて借りて営み、家賃は売上が落ちても減らない。営業利益率は良い年でも 4% 台にとどまる。10 年後の価値を今に引き直すと、確率で重みづけた値は今の時価総額を大きく下回る。
見方を変えるのは、営業利益率が過去の山を超えて定着した時だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、鉄人化は「事業を足して立ち直った小さな会社だが、どの事業にも守りが無い会社」だ。
10 年後もカラオケや外食、まつ毛サロンの需要はある。だが、そこで鉄人化が選ばれる理由は弱い。駅前の立地は家賃を払えば誰でも手に入り、値段を上げる力は無い。
オーナーとして見ると、利益の多くは本社の費用に消え、残りは次の店と買収に回る。家賃の約束は帳簿に載らない借金のようなもので、客が減っても払い続ける。2020 年にはそれで自己資本がほぼ消えた。
立ち直った今の利益に、成長を重ねた値段がついている。自己資本の 6 倍を超える値段には、安全域が見当たらない。
もちろん経営は努力している。不採算の店を閉め、売れる時に店を売り、借入を減らしてきた。買った派遣の会社もよく稼ぐ。
それでも、10 年持つ株主に必要なのは、他社が入ってきても崩れない利益だ。この会社の利益は、家賃と人件費が少し上がるだけで消える。値段が半分になっても、筆者は慎重なままだろう。
何で稼ぐ会社か
柱は 5 つある。売上の 3 分の 1 を占めるのがカラオケで、2026 年 8 月期の売上は 36 億円、店の段階の利益は 4.3 億円だった。都心の駅前の店が多く、アニメやゲームとの企画に特化した「コラボミックス」を地方都市にも広げている。
飲食は 24 億円。ラーメンの「直久」、名古屋の「赤から」やカニ料理の「かにざんまい」の加盟店、2025 年に買った焼き鳥の「鳥竹」などを営む。美容は 21 億円で、まつ毛パーマとネイルのサロンを首都圏と中京に 66 店持つ。
2025 年 10 月には、携帯電話会社の販売促進のイベントや店頭に人を送るヴァンクールプロモーションの株を 8 割買った。10 か月で売上 23 億円、利益 2.3 億円と、すでに全社でいちばん稼ぐ事業の 1 つになった。
どの事業も、借りた店や人の手で客に直接サービスを売る。本社の費用は年 5.4 億円かかり、事業の利益の合計 9.6 億円の半分以上を食う。小さな事業を束ねる会社の重さだ。
ほかに、着メロのサイトとヨガやダンス用の貸しスタジオもある。売上は小さいが、事業の数を増やしてコロナのような打撃に備えるのが、今の経営の考え方だ。
優良さと弱いところ
堀は浅いと見る。カラオケの曲や機械は第一興商などから借りるもので、どの店でも同じ歌が歌える。客は駅からの近さと値段で店を選ぶ。コラボの企画は人気作品の権利元しだいで、長く独り占めできるものではない。
ラーメン、まつ毛サロン、販促の派遣も、新しく始める店や会社が多い。会社自身も美容は参入の壁が低いと書いている。どの事業も、値段を上げれば客は近くの別の店に移る。
利益率は低い。全社の営業利益率は良い年でも 4% 台で、コロナの年には大きな赤字を出した。本社の費用が重く、事業の利益の半分を食う。
資本の使い方は、買収で事業を足す形だ。派遣の会社は今のところよく稼ぐが、携帯電話会社の販促の予算に頼る。売れる時に店を売って利益を出し、借入を返してきたが、配当はまだ出していない。
まとめると、どの事業も立地と人で勝負する商売で、他社にまねされにくい強みは見当たらない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
カラオケの市場は長く縮んでいる。参加する人は 20 年前の半分ほどに減り、コロナで店が減ったあとも、宴会の二次会や深夜の利用は戻りきっていない。その一方で、1 人で歌う客、アニメやアイドルの仲間で集まる客、訪日客が増えた。会社も短信で、二次会と深夜は低調だが、個人と訪日の客は戻っていると書く。
大手はビッグエコーの第一興商、まねきねこのコシダカで、どちらも数百店を持つ。鉄人は 32 店と小さく、規模で機械や仕入れの値を下げることは難しい。生き残る道は、都心の立地とコラボの企画のような、大手と違う使い方だ。
外食と美容は物価高に押される。人件費、食材、店の家賃がそろって上がり、値上げは客離れとの綱引きになる。まつ毛サロンは技術者の取り合いで、新卒を採って育てる費用がかさむ。
販促の派遣は、携帯電話会社が店頭やイベントで新しい客を取りに行く時の需要だ。キャリアは店を減らし、ネットでの契約に移っている。人を送る仕事は体を使うので機械に置き換わりにくいが、需要の元は細っていく。
どの事業でも、人件費と家賃という同じ費用が上がる。業界の全体が、値上げで費用を埋められるかを試されている。
資本政策と M&A
配当は出していない。2026 年 8 月期も 2027 年 8 月期の予想も無配だ。資本剰余金で過去の赤字を埋め、配当を出せる形に戻した段階である。株主優待は、8 月末の株主にグループの店で使える割引券と、ワインかラーメンの贈り物を渡す。費用は割引の原価で年 1 億円に届かないとみて、還元の計算には足していない。
借入は 23.6 億円、手元の現金は 14.3 億円で、純負債は 9.3 億円だ。店の差入保証金 10.3 億円は家賃の約束の大きさを示しており、帳簿の外に重い固定費がある。派遣の会社には 2 割の少数株主がいる。
財務はようやく落ち着いたが、自己資本比率は 2 割に届かず、大きな買収や増資には余裕が少ない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
立ち直りは数字に出ている。売上は 3 年で 66 億円から 105 億円に増え、営業利益は 4.2 億円と、2015 年以来の水準に戻った。2027 年 8 月期は営業利益 5.7 億円を見込む。カラオケは既存店が 104%、飲食は 108%、美容は 107% と、どの事業も客が増えている。
派遣の会社の買収は当たった。10 か月で 2.3 億円を稼ぎ、カラオケに次ぐ柱になった。カラオケへの依存が下がり、コロナのような打撃への備えにもなる。
自己資本が小さいので、利益が少し増えるだけで ROE は高い。店の売却益で借入を減らし、純負債は 9 億円まで下がった。財務が落ち着けば配当も始まる。コラボの店を地方に広げ、美容も年に 10 店ほど出せば、10 年で売上は 2 倍、利益は 3 倍になりうる。
本社の費用は事業が増えても大きくは増えない。売上が伸びるほど、本社の重さは薄まる。2008 年には営業利益率 8% 近くを出した実績もあり、事業の数がそろった今なら再び届くという見方だ。
慎重な見方
利益は薄く、もろい。全社の営業利益率は最も良かった年でも 4% 台で、過去 10 年で赤字が 5 期ある。2020 年 8 月期は 16 億円の赤字で、自己資本はほぼ消え、継続企業の注記が 4 年ついた。
どの事業にも守りが無い。カラオケは大手が数百店を持つ中で 32 店しかなく、市場は縮む。ラーメン、まつ毛サロン、販促の派遣も、参入の壁が低い。派遣は携帯電話会社の販促の予算しだいで、キャリアは店を減らしている。
家賃の約束が重い。店はすべて借りて営み、差入保証金 10 億円が示す大きさの家賃を、客が減っても払う。人件費と家賃が物価とともに上がれば、薄い利益はすぐ消える。
今期の純利益 4.3 億円には店の売却益が含まれ、ならせば 3 億円ほどだ。それに対して時価総額 71 億円は、利益の 20 倍を超える。立ち直りの先の成長まで、値段が先に払っている。
配当もまだ無く、株主が受け取るものは今のところ割引券だけだ。
どちらに重みを置いたか
立ち直りが本物であることは両者とも認める。分かれるのは、薄い利益が 10 年続くかだ。過去 10 年の赤字の多さと家賃の固定費の重さから、慎重な見方を少し厚くした。
全社の営業利益率が 2 期続けて 5% を超える、配当を始めて続ける、といった変化が見えれば楽観側を厚くする。カラオケの既存店が前年を割り続ければ、悲観側をさらに厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した株価時価総額 440 円59 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 56 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 213 円28 億円、今との差 −60.2%、 期待の年率 −0.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,021 円136 億円 | 112 円15 億円 | +111.8% | +7.8% | 91 円12 億円 |
| やや楽観 | 20% | 698 円93 億円 | 90 円12 億円 | +47.2% | +3.9% | 158 円21 億円 |
| 中立 | 38% | 473 円63 億円 | 67 円9 億円 | +1.0% | +0.1% | 205 円27 億円 |
| やや悲観 | 22% | 161 円21 億円 | 15 円2 億円 | −67.1% | −10.5% | 39 円5 億円 |
| 悲観 | 12% | 30 円4 億円 | 0 円0 億円 | −94.4% | −25.0% | 4 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 440 円59 億円 | 56 円7 億円 | −7.3% | −0.8% | 496 円66 億円 |
今の株価時価総額 535 円71 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:コラボの店と美容が全国に広がり、派遣も新しい業界をつかむ。利益率は 6% 台へ 利益 8 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 1,021 円136 億円
コラボミックスが地方都市で受け、カラオケの客は 2 割増える。人気作品との企画で単価も物価より上がり、店の利益率は 13% 台に乗る。
美容は年に 4 店ずつ増え、100 店に届く。飲食も直久と鳥竹が店を増やす。派遣は携帯電話のほかに、家電や保険の販促にも広がる。
本社の費用は物価ほどは増えず、全社の営業利益は 13 億円、利益率は 6% 台になる。配当を始め、10 年で 15 億円を払う。
それでも ROE は 1 割台半ばで、借りた店で営む以上、利益の多くは次の店に回る。少数株主に渡る派遣の利益の 2 割も、株主の取り分を少し削る。
- カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス):数量 240(年間の延べ来店客数(万人・推定))× 価格 0.25(1 人あたり売上(万円・名目・推定))→ 売上 59 億円・営業利益 8 億円。客数 1.20 倍・単価 1.36 倍
- 飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか):数量 32.0(店数(直営換算・推定))× 価格 1.60(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。店数 1.60 倍・1 店の売上 1.33 倍
- 美容(Rich to・Bianca):数量 100(店数)× 価格 0.43(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。店数 1.52 倍・1 店の売上 1.36 倍
- 人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%):数量 800(年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算))× 価格 0.06(1 人あたり年間売上(億円・名目・推定))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。人数 1.58 倍(12 か月換算 610 人比 1.31 倍)・単価 1.33 倍
- メディア・レンタルスペースほか:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 1.50(一式あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 37.9% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 19.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.35 倍、時価総額 119 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:全社の営業利益率 6% 台は 2008 年以来で、15 年以上届いていない。出店と買収がすべて当たる必要があり、1 割に満たない重みとした。
やや楽観 20% やや楽観:どの事業も少しずつ店を増やし、利益率は 4% 台後半に 利益 6 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 698 円93 億円
カラオケは地方のコラボの店で客を 1 割強増やし、単価も物価並みに上がる。店の利益率は 12% 台を保つ。
飲食は 28 店、美容は 90 店まで増える。派遣は携帯電話の販促の需要が細る分を、別の業界の仕事で埋めて人数を増やす。
本社の費用は物価とともに増えるが、売上の伸びがそれを上回る。営業利益は 9 億円台、利益率は 4% 台後半になる。
純利益は 6 億円近くになり、配当を始めて 10 年で 12 億円を払う。
それでも借りた店で営む形は変わらず、家賃の上昇は毎年の利益から引かれる。ROE は 1 割台前半で、資本コストを少し上回る程度だ。
- カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス):数量 225(年間の延べ来店客数(万人・推定))× 価格 0.24(1 人あたり売上(万円・名目・推定))→ 売上 54 億円・営業利益 7 億円。客数 1.12 倍・単価 1.33 倍
- 飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか):数量 28.0(店数(直営換算・推定))× 価格 1.58(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。店数 1.40 倍・1 店の売上 1.32 倍
- 美容(Rich to・Bianca):数量 90.0(店数)× 価格 0.42(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。店数 1.36 倍・1 店の売上 1.33 倍
- 人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%):数量 700(年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算))× 価格 0.06(1 人あたり年間売上(億円・名目・推定))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。人数 1.38 倍(12 か月換算 610 人比 1.15 倍)・単価 1.31 倍
- メディア・レンタルスペースほか:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 1.30(一式あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 29.9% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 16.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.72 倍、時価総額 80 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/08 期はどの事業も既存店が前年を上回り、会社は 2027/08 期に営業利益 5.7 億円を見込む。この勢いがおおむね続く筋として 2 割とした。
中立 38% 中立:店は少しずつ増えるが、家賃と人件費に押され、利益率は 4% 前後にとどまる 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 473 円63 億円
カラオケは、二次会や深夜の客が戻らない一方、1 人や仲間の客と訪日客で客数を 5% 増やす。単価は物価に少し届かない 1.30 倍。家賃と人件費が上がり、店の利益率は 12% のままだ。
飲食は 26 店、美容は 85 店に増える。派遣は携帯電話の店が減る分を他の業界で埋め、人数はほぼ今の水準を保つ。単価は物価に少し届かず、利益率は 9% に下がる。
本社の費用は物価とともに 1.3 倍の 7 億円になる。全社の営業利益は 6.7 億円、利益率は 4% 前後だ。純利益は 4 億円で、数年後に配当を始め、10 年で 9 億円を払う。
ROE は 1 割を少し超えるが、資本コストとの差は小さく、利益を積んでも価値はあまり増えない。
- カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス):数量 210(年間の延べ来店客数(万人・推定))× 価格 0.23(1 人あたり売上(万円・名目・推定))→ 売上 49 億円・営業利益 6 億円。客数 1.05 倍・単価 1.30 倍
- 飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか):数量 26.0(店数(直営換算・推定))× 価格 1.56(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。店数 1.30 倍・1 店の売上 1.30 倍
- 美容(Rich to・Bianca):数量 85.0(店数)× 価格 0.41(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。店数 1.29 倍・1 店の売上 1.30 倍
- 人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%):数量 600(年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算))× 価格 0.06(1 人あたり年間売上(億円・名目・推定))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。人数 1.18 倍(12 か月換算 610 人比 0.98 倍)・単価 1.30 倍
- メディア・レンタルスペースほか:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 1.20(一式あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.6% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.93 倍、時価総額 52 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:立ち直った今の形が続き、出店の伸びと費用の上昇が打ち消し合う姿。過去の山の利益率 4% 台を超えない置き方で、いちばん起きやすい筋として 4 割弱とした。
やや悲観 22% やや悲観:家賃と人件費の上昇に値上げが追いつかず、全社はほぼ利益が出ない 利益 0 億円 · PBR 2.3 倍 · 株価時価総額 161 円21 億円
カラオケの客は 1 割減り、値上げは物価に届かない。家賃と人件費は上がり続け、店の利益率は 9% に落ちる。
飲食と美容は出店をやめ、店を守る。まつ毛サロンは技術者の取り合いで費用がかさむ。派遣は携帯電話の店の削減で人数が 3 割近く減る。
本社の費用は物価とともに増え、全社の営業利益はほぼゼロになる。利払いを引くと純利益はわずかで、配当は細い。
価値の支えは、まだ稼ぐ事業を他社に譲る値くらいになる。借りた店の家賃は残るので、店を閉めても費用はすぐには消えない。
自己資本は少し積み上がるが、それを生む事業の利益は細く、株主の持ち分の値打ちは帳簿を下回る。
- カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス):数量 180(年間の延べ来店客数(万人・推定))× 価格 0.22(1 人あたり売上(万円・名目・推定))→ 売上 40 億円・営業利益 4 億円。客数 0.90 倍・単価 1.22 倍
- 飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか):数量 22.0(店数(直営換算・推定))× 価格 1.45(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。店数 1.10 倍・1 店の売上 1.21 倍
- 美容(Rich to・Bianca):数量 70.0(店数)× 価格 0.38(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。店数 1.06 倍・1 店の売上 1.20 倍
- 人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%):数量 450(年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算))× 価格 0.06(1 人あたり年間売上(億円・名目・推定))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。人数 0.89 倍(12 か月換算 610 人比 0.74 倍)・単価 1.22 倍
- メディア・レンタルスペースほか:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 1.00(一式あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:時価総額 15 億円は床の資産(floor_assets_oku)で決めた。稼ぐ力はほぼ無い。検査は facts の 2025/08 期の自己資本 6.4 億円を今とするため、それに掛けて PBR 2.34 倍と書いた。最新の 2026/08 期の自己資本 10.7 億円に対しては 1.4 倍、この筋書きの自己資本 24 億円に対しては 0.6 倍。市場の値付けからは置いていない。EV でも見た:営業利益 0.9 億円に純負債 約 9〜13 億円を足すと EV÷営業利益は 20 倍を超えるが、利益が細った年の値で、価値は利益の倍率ではなく床の資産で見ている。
確率:全社の利益率は過去 10 年の大半で 2% を下回り、赤字の期も 5 期ある。本社の費用が事業の利益の半分を食う形は変わっていない。楽観側より厚い 2 割強とした。
悲観 12% 悲観:外出の消費が細り、家賃の固定費で赤字が続く。自己資本はまた消えかける 利益 −5 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 30 円4 億円
景気の後退や新しい感染症で、宴会と外食の客が大きく減る。カラオケの客は 3 割減り、店の利益はほぼ消える。
美容は技術者が辞めて赤字になり、派遣は携帯電話の店の削減で半分に縮む。家賃は売上が落ちても減らず、閉店には原状回復の費用がかかる。
全社は赤字が続き、減損で自己資本は 3 億円まで削られる。配当は出せない。借入の返済のために増資を迫られ、株主の持ち分は薄まる。
残る価値は、派遣の事業を譲る値と、閉店で戻る差入保証金から借入を引いたわずかな額だけだ。
コロナの時と同じく、継続企業の注記がつく恐れもある。株主に残る価値は小さい。
- カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス):数量 140(年間の延べ来店客数(万人・推定))× 価格 0.20(1 人あたり売上(万円・名目・推定))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。客数 0.70 倍・単価 1.11 倍
- 飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか):数量 16.0(店数(直営換算・推定))× 価格 1.35(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。店数 0.80 倍・1 店の売上 1.13 倍
- 美容(Rich to・Bianca):数量 50.0(店数)× 価格 0.35(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。店数 0.76 倍・1 店の売上 1.11 倍
- 人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%):数量 300(年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算))× 価格 0.05(1 人あたり年間売上(億円・名目・推定))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。人数 0.59 倍(12 か月換算 610 人比 0.49 倍)・単価 1.11 倍
- メディア・レンタルスペースほか:数量 1.0(事業の数(一式))× 価格 0.80(一式あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。一式
倍率:時価総額 4 億円は床の資産(floor_assets_oku)で決めた。赤字なので PER は使わない。検査は facts の 2025/08 期の自己資本 6.4 億円を今とするため、それに掛けて PBR 0.62 倍と書いた(最新の 10.7 億円に対しては 0.37 倍)。
確率:2017 年と 2020 年に自己資本がほぼ消えた実績があり、全店が借りた店で家賃は減らせない。構造的に負ける筋として 1 割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
カラオケ(カラオケの鉄人・コラボミックス)
東京 16 店・神奈川 9 店ほか計 32 店。アニメ・ゲームとの企画店を地方都市に出店中。
| 数量年間の延べ来店客数(万人・推定) | 価格1 人あたり売上(万円・名目・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 200 | 0.18 | 36 | 4 |
| 10 年後 中立 | 210 | 0.23 | 49 | 6 |
取り方:売上 36.0 億円・利益 4.33 億円は 2026/08 期の短信。客数は開示が無く、客単価を 0.18 万円と推定して逆算。
飲食(直久・赤から・かにざんまい・鳥竹ほか)
ラーメンの直久、加盟店の赤から・かにざんまい・京都勝牛、焼き鳥の鳥竹など約 20 店。
| 数量店数(直営換算・推定) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 20.0 | 1.20 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 1.56 | 41 | 3 |
取り方:売上 24.03 億円・利益 1.71 億円は短信。直営 18 店に加盟・受託の分を足して 20 店換算とし、1 店あたりを逆算。
美容(Rich to・Bianca)
まつ毛パーマ・まつ毛エクステとネイルのサロン。首都圏 54 店・中京 12 店。
| 数量店数 | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 66.0 | 0.32 | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 0.41 | 35 | 2 |
取り方:売上 20.87 億円・利益 0.92 億円・店数 66 は短信。1 店あたりを逆算。
人材派遣・イベント(ヴァンクールプロモーション、80%)
携帯電話会社の販売促進のイベント・店頭への人材派遣。2025/11 から連結。
| 数量年平均の稼働人数(人・推定。2026/08 期は 10 か月分の換算) | 価格1 人あたり年間売上(億円・名目・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 507 | 0.05 | 23 | 2 |
| 10 年後 中立 | 600 | 0.06 | 35 | 3 |
取り方:売上 22.83 億円・利益 2.26 億円(10 か月)は短信。1 人あたり年 0.045 億円と推定し、12 か月にならすと約 610 人。
メディア・レンタルスペースほか
携帯向けの着メロのサイト、ヨガ・ダンス用のレンタルスタジオ。
| 数量事業の数(一式) | 価格一式あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 1.0 | 0.88 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 1.20 | 1 | 0 |
取り方:メディア 0.52 億円(利益 0.45)とその他 0.36 億円(損失 0.04)の合計。小さいので一式で置いた。
リスクと懸念
家賃の固定費
店はすべて借りて営み、差入保証金は 10 億円ある。家賃は売上が落ちても減らず、契約の更新のたびに上がっている。2028 年からの新しいリース会計で、帳簿にも大きな負債として載る。
外出の消費の急な落ち込み
カラオケと外食は、景気の後退や感染症で真っ先に削られる。2020 年 8 月期は 16 億円の赤字で、自己資本がほぼ消えた。
人件費と人手
店の人手、まつ毛サロンの技術者、派遣の人材のどれも取り合いが続く。最低賃金は年 3% 前後で上がり、値上げが追いつかなければ薄い利益は消える。
派遣の需要の元
派遣の売上は携帯電話会社の販売促進の予算に頼る。キャリアは店を減らしネットの契約に移っており、需要の元が細る。買った会社の業績が落ちれば、のれんの減損も出る。
本社の費用と買収
本社の費用は年 5.4 億円で、事業の利益の半分以上を食う。事業を足す買収を続けており、高く買えば利益は増えず借入だけが増える。
今後の分かれ目
- 全社の営業利益率が 2 期続けて 5% を超える
- やや楽観を厚くする。本社の費用の重さが薄まった証拠になる。
- 配当を始め、続ける
- 還元の額を見直す。財務が落ち着いた印として、悲観を少し薄くする。
- カラオケの既存店が 2 期続けて前年を割る
- 中立のカラオケの客数を 1.05 倍から 0.95 倍に下げ、やや悲観を厚くする。
- 派遣の売上が携帯電話の販促の縮小で 2 割以上減る
- 中立の派遣の人数を下げ、のれんの減損の筋を悲観に足す。
- 借入を増やして大きな買収をする
- 買った値段と利益を見て、借金の重さ(k の借金の分)を見直す。
見ておくもの
- カラオケ・飲食・美容の既存店の売上
- 派遣の売上と携帯電話会社の販促の動き
- 本社の費用(全社費用)
- 純有利子負債と差入保証金
- 配当の開始
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k から式で置いた。中立の ROE は約 11% で k 9.5% をわずかに上回り、正当化 PER は 11.7 倍。その上限近くにした。自己資本の 6 倍を超える今の値段は使っていない。家賃は今と同じく営業費用に入れた形で 10 年後もそろえ、新しいリース会計で形が変わることは数字に混ぜていない。株主優待は年 1 億円未満と見て還元に足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→14.35 倍・やや楽観 PER 12→13.72 倍・中立 PER 11.5→12.93 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.5% を足して 9.0%。今は黒字で継続企業の注記も外れたので、傾いた会社の上乗せはしない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 9.50%。