結論
GMOメディアは「ポイントタウン」などの自社媒体を土台に、プログラミング教室と美容クリニックの送客・業務支援へ領域を広げる会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。豊富な現金と高い配当には価値があるが、広告収益の値決め力は弱く、医療・教育の成長だけで全社の十年先を支え切れるとはまだ言えない。
2025年の営業利益は約9億円と過去最高圏に達した。しかし翌2026年上期には広告単価の下落と大口取引の条件変更が響き、営業利益が前年同期から約38%減った。Google Asia Pacific向けの売上は2025年に連結全体の約20%を占める。市場全体の広告費が伸びても、媒体側の取り分が増えるとは限らない実例だ。
一方、コエテコの教室掲載の厚さ、美容医療の予約・電子カルテの導入基盤は軽視できない。2026年には美容クリニック向けシステムの導入先が千院を超え、業界特化型事業の粗利益も増えている。ただし、検索を経由する送客や人が操作する業務画面の一部は、AIエージェントに置き換わる。顧客数よりも有料契約の維持と実際の単価が大切になる。
純現金約34億円のうち、ポイント交換債務や広告代金の決済に必要な部分を除いても、株主に帰属し得る余力はある。2026年からの配当性向65%と自己資本配当率5%の併用は、その価値を具体化する。ただ、五つの事業の筋書きと還元を確率で重ねた現在価値は約55億円で、足元の時価総額約67億円を二割弱下回る。強い下値資産を認めても、十分な安全域がある値段とは判断しない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に問うべきは、ポイントと送客の取引を十年先も他社より有利な条件で仲介できるか、である。登録会員が多いだけでは堀にならない。広告主の発注単価、還元ポイントの負担、検索プラットフォームの配分に利益が左右されるなら、売上を伸ばすための費用も増えやすい。直近の減益にその弱さが表れている。
それでも捨て難い事業はある。コエテコの比較・口コミ情報は保護者の選択を助け、美容医療の患者集客から電子カルテへつながる関係は、事業者の毎日の運営に踏み込める。特に医療記録や予約が一体化した顧客はすぐには移れない。ただし導入院数の増加と高い増分資本利回りは同義ではない。無償導入や安価な入口商品を含むなら、院当たり売上と解約率を継続して確かめる必要がある。
株主利益を考えると、ソフトウェアは重い工場を要しない半面、開発者の人件費、広告による顧客獲得、セキュリティ対応、M&Aに継続投資が必要だ。2025年の高ROEだけから高い永続成長を見込むべきではなく、AIで画面の操作が不要になる部分にはさらに保守的でありたい。資本コストを上回る新規投資の実績が長期で見えない以上、稼いだ現金を配当に回す方が所有者には確実だ。
純現金約34億円は価値の大きな支えだが、ポイント交換引当金だけでも約8億円あり、広告代金の決済と運転資金を考えれば全額を直ちに自由配当できない。事業に不要と考える部分と、顧客への債務を支える部分を分けて初めて安全域を測れる。筆者は、経営が業界特化型事業を伸ばしながら配当を守る筋書きには価値を認める。ただ現状の値段はその成功を既に相当見込み、失敗したときの余白は十分ではない。
何で稼ぐ会社か
収益の柱はメディア事業とソリューション事業だ。2025年は前者が約64.35億円、後者が約6.80億円を売り上げ、営業利益の大半もメディアから生まれた。メディアの内訳は広告取引が約39.50億円、課金取引が約22.56億円、その他が約2.29億円である。したがって単純な広告代理店でも純粋な月額課金ソフト会社でもない。
「ポイントタウン」は会員の購買やサービス申込みに応じた広告成果報酬を受け取り、一部をポイントで還元する。「ゲソてん」や「かんたんゲームボックス」はゲーム内課金と広告視聴・送客を組み合わせ、提携媒体にもゲームを供給する。2025年時点のポイントタウン累計登録者は約950万人、ゲームの月間利用者や提携媒体の積み上げは収益の入口だ。ただし累計会員は毎月稼ぐ利用者と異なり、広告単価が下がれば人数が多くても利益は細る。
教育分野の「コエテコ」は教室や受講希望者を結び付け、広告・成果報酬のほか「コエテコマネージャー」「コエテコカレッジ」などの教室向けサービスで稼ぐ。2025年末のプログラミング教室掲載数は約1.3万件で、口コミ・教材・地域情報の蓄積が集客を支える。しかし掲載数そのものが課金契約数ではない。
美容分野では「キレイパス」の施術チケット・送客と、「キレイパスコネクト」「MEDIBASE」の予約・電子カルテ・顧客管理を組み合わせる。2025年にMEDIBASE事業を取得し、2026年には関連システムの導入院数が千院を超えた。医療記録を扱う業務には乗り換えの手間があるが、全導入先が同額の有料契約を結んでいるわけではない。
ソリューション事業の「GMOリピータス」は外部企業のポイント制度や顧客再来訪の仕組みを支援し、「アフィタウン」は広告成果を仲介する。収益は案件条件や広告主の直販化で動く。実際に2026年上期は大型パートナーの条件見直しで同事業が営業赤字へ転じた。利益の安定を測るには、提携社数だけでなく顧客別売上と運用工数も見る必要がある。
優良さと弱いところ
最大の強みは、消費者を集めるメディアと、その先の教室・クリニックの業務を押さえる機能を持つことだ。広告だけで終わる媒体より顧客への提案範囲は広く、コエテコの掲載教室と口コミの蓄積も後発には一朝一夕で再現しにくい。ただし、こうした接点が顧客による値上げの受容に直結したという長期の実績は乏しい。
ポイントとゲームの堀は狭い。利用者はモッピーやハピタス、楽天などの特典を容易に比べられ、ポイント原資は実質的に広告主が決める。2025年の主要販売先Google Asia Pacificへの依存も約20%あり、検索アルゴリズムや広告配分を同社自身で変えられない。コエテコがAI検索の引用元に選ばれても、引用が予約や申込みに転換するかは別問題である。
美容医療の電子カルテには記録保存や操作教育という切り替え負担がある。そこは単なる広告媒体より長く残り得るが、全サービスで年間5%未満の解約率や法改正に伴う値上げ実績が開示されているわけではない。記録の正本という強い堀を会社全体へ広げるのは早計だ。先行するmedicalforceなども院数を伸ばしている。
資本効率も見た目ほど一直線ではない。2025年のROEは約21%だが、2019〜2020年に赤字を経験し、過去十年の中央値は約10%である。2025年には美容医療向けソフトウェアの新規投資と事業取得が重なったが、追加投下資本が資本コストを超える利益を継続的に生むかは検証途中だ。強い財務と還元方針は評価しつつ、経済的な堀は領域ごとに異なる普通の会社と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のインターネット広告はまだ伸びている。電通による2025年のインターネット広告費は約4兆459億円、媒体費は約3兆3,093億円だ。これに対しGMOメディアの連結広告取引収益は約44億円で、広い媒体費市場との単純比率は約0.13%にすぎない。ただし同社が実際に争うゲーム広告・ポイント送客の狭い市場は公表された同一定義の統計がなく、この数字を正確な市場シェアとは呼べない。
ポイント発行市場も大きい。矢野経済研究所は2024年度の国内ポイント発行額を約2.8兆円と推計するが、これはGMOメディアが取り得る広告手数料の市場ではない。モッピー、ハピタス、楽天ポイントなどは会員の時間と還元率を争う競合だ。ポイント経済圏の取引が拡大しても、利用者獲得費や還元率の上昇によって媒体の実質利益率が下がる可能性がある。
教育ではコエテコが2025年末に約1.3万教室を掲載し、2023年の指定領域調査で教室掲載数首位の評価を得ている。国内子ども向けプログラミング教室市場は2024年に約253億円とされるが、これは授業料市場であって同社の広告・紹介料市場とは異なる。塾ナビなどの比較媒体、教室自身のSNS発信、さらにAIによる教室選びが競合となる。2026年のAI検索引用順位での強さも、送客市場の収益シェアを保証しない。
美容医療は施術市場と院内システム市場を分けるべきだ。国内美容医療の施術市場は2024年に約6,310億円規模と推計されるが、同社が狙うのはそのうち患者獲得や管理ソフトへの支出だ。2026年にはキレイパス系の導入千院超に対しmedicalforceも約800院と公表し、院数の定義や料金が違うため厳密な比較シェアは出せない。医療記録の統合には参入障壁がある半面、標準化とAIによる画面操作の省略は価格を抑える。
長期的には検索エンジンからAIエージェントへ情報収集が移り、広告の一部は検索結果を開かず完結する。GMOメディアの媒体が引用されてもクリック数は減り得る。名目物価が十年で約34%上がる前提でも、中立の広告・業務ソフト単価はそれほど上がらないと考える。市場の拡大より、同社が実際に確保できる取引数と手数料が勝負になる。
資本政策と M&A
配当の約束は具体的だ。2025年から連結配当性向65%以上とし、2026年からは自己資本配当率(DOE)5%とのいずれか高い額を配当する方針に改めた。2026年には約0.6億円の自社株買いも実行し、少数株主に現金を戻す姿勢は確認できる。株主優待のビットコイン付与は原価未開示のため、年0.05億円、十年0.5億円を還元に仮計上した。
中期の成長物語は、媒体広告への依存を減らし、美容・教育の継続課金を厚くすることだ。2026年の会社通期予想は売上75億円、営業利益9.5億円、純利益5.8億円だが、2027〜2028年を通じた売上・利益・ROEの確定数値目標や自社株買い総額については数字の約束なしと区別する。2026年上期の進捗を見れば、単年度計画にも回復への実行が必要だ。
過去には「くまポン」を取り込み、2024年に趣味なびを子会社化し、2025年にMEDIBASE事業を約2.6億円の投資支出を伴って取得した。2025年の営業キャッシュフローは約8.6億円、投資キャッシュフローは約3.2億円の流出である。事業取得による顧客基盤の拡張は合理的だが、のれんや無形資産を含む投資の利回りは今後の有料契約から判断すべきだ。
親会社GMOインターネットグループの保有比率は六割超で、グループ内取引と将来の資本再編には少数株主の立場から注意が要る。実際のTOBや上場廃止計画は確認できないため、買収プレミアムを本質価値に上乗せしない。支配株主がいても増配と買い戻しの実績があるので、余剰現金の株主への戻り方は原則全額を評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
広告への依存度が高かった会社は、すでに顧客接点を医療・教育の業務へ移している。2026年上期に全社利益が減る中でも、業界特化型の売上総利益が前年同期比約20%増えた事実は重い。美容クリニック向けの導入院数は千院を突破し、「MEDIBASE」の電子カルテと「キレイパスコネクト」の患者管理を同じ顧客へ販売できる。予約・会計・カルテが連動する仕組みでは、導入後に競合へ移る手間が増し、単なる集客媒体より利益の持続性が高くなる。
コエテコも単なる検索流入の集まりではない。教室掲載の網羅性と口コミの蓄積を持ち、2026年にはAIによる教室相談機能を公開した。AI検索からの引用頻度でも教育分野の上位に入り、検索の形式が変わっても信頼される情報源として残れる可能性がある。教室向けの予約・運営ソフトが広がれば、送客収益が弱まっても契約収益が補える。
ポイント・ゲーム事業には大規模な提携網がある。既存のLINEミニアプリや外部媒体へのゲーム供給を広げれば、自社サイトへの検索流入が減っても遊ぶ利用者をつなぎ止められる。広告単価が戻れば固定費の増加より売上総利益の回復が速く、利益率は再び高まる。全社の純現金と65%以上の配当方針を合わせれば、増資を伴わず成長投資と還元を並行できる。親会社が強い支配権を持っていても近年の増配と自社株買いは確認され、支配株主の存在だけで余った現金を無価値とする必要はない。
慎重な見方
広告・ポイントの経済性は自社だけで決められない。2025年にはGoogle Asia Pacificが連結売上の約20%を占め、2026年上期には広告の単価下落によって媒体売上が減った。ネット広告市場全体が伸びている時期でさえ利益が減るなら、巨額の市場規模を取り分増加の根拠にできない。ユーザーは少し高い還元率を示す他社へ簡単に移れるうえ、サイト訪問の入口を握る検索・SNS事業者が配分を変えれば、積み上げた会員数の多くは収益にならない。
もっと根本的なのはAIエージェント代替だ。教室比較はAIが希望条件を聞いて候補を提示し、予約まで済ませられる。コエテコが情報源として引用されても、広告や成果報酬を受け取る機会が減る可能性がある。クリニックの予約やカルテそのものは残っても、人が画面を操作するソフトはAIが横断的に扱えるようになる。UIの席数や月額単価に依存した収益は、規制対応や記録移管という明確な壁がない部分から削られる。
成長の果実を買収で補う道にも不確実さがある。2025年のMEDIBASE取得後にのれんと顧客関連資産が積み上がり、競合medicalforceなども医療機関の導入を拡大している。システムを取り込んだだけで価格支配力は生まれない。2026年上期のソリューション事業は、大口顧客との条件変更で赤字に転じた。利益の変動が激しい会社に、直近最高益と高ROEが十年以上続くという前提を払うのは危うい。現金は多いがポイント引当金・決済資金があり、必要なら配当方針も改められる。
どちらに重みを置いたか
事業の分岐点を決めるのは、美容医療・教育の有料継続収益が広告減少をどこまで埋めるかである。現時点では導入院数と掲載教室数の伸びが確認できる半面、2026年上期の全社利益は明確に減った。慎重側をやや厚くしたのはAI代替という一般論を繰り返し数えたからではなく、Google向け売上の集中、大口パートナーの条件変更、医療の増分利回りが未確定という固有の事情による。下側二つを41%、上側二つを30%とする一方、現金とDOEによる下支えは全ての筋書きに残した。結果として現在価値は時価総額を約18%下回り、判定はやや割高になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 4,513 円81 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1,948 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 3,353 円60 億円、今との差 −4.7%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 8,413 円150 億円 | 3,233 円58 億円 | +230.9% | +15.7% | 1,398 円25 億円 |
| やや楽観 | 18% | 6,717 円120 億円 | 2,573 円46 億円 | +163.9% | +12.4% | 1,672 円30 億円 |
| 中立 | 29% | 4,651 円83 億円 | 2,081 円37 億円 | +91.2% | +8.2% | 1,952 円35 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,567 円46 億円 | 1,616 円29 億円 | +18.8% | +2.2% | 1,046 円19 億円 |
| 悲観 | 16% | 1,902 円34 億円 | 559 円10 億円 | −30.1% | −3.9% | 394 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,513 円81 億円 | 1,948 円35 億円 | +83.6% | +7.6% | 6,461 円116 億円 |
今の株価時価総額 3,520 円63 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 提携ゲーム網と医療記録の顧客接点が残る 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,413 円150 億円
ポイント・ゲームの提携網が予定どおり増え、LINEミニアプリなど既存の販路から利用者を獲得できる。広告市場全体の拡大に過度に依存せず、既存媒体の稼働利用者が十年で小幅に増え、広告主が質のよい成果に支払う単価も回復する。ポイント還元費用の管理が進み、広告の売上増が営業利益へ比較的大きく波及する。
コエテコは幅広い教室情報と口コミによって選択の起点に残る。ただしAIの相談機能自体の収益増は開示されていないので、教育の掲載・有料相当数量は現状以上に膨らませない。美容はMEDIBASEによる電子カルテの継続とキレイパスの患者送客が結び付き、院当たり収益が維持される。院数が大きく増えるという願望には頼らない。
経営は新たな大型買収や希薄化を避け、ソフトウェアの改善と会員基盤の再利用に資本を振り向ける。十年後の売上は約95億円、営業利益は約14億円となる。配当性向65%以上の配当と小規模な買い戻しが続き、十年間に株主へ約58億円が戻る。
- ポイント・ゲーム・総合メディア:数量 385(ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量))× 価格 0.18(稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み))→ 売上 69 億円・営業利益 10 億円。ゲームの既存提携網で利用者増、名目単価は1.30倍。自社媒体枠はAI広告運用受託とは別型。
- コエテコ・学習関連DX:数量 13,081(プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない))× 価格 0.00(掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。教室収益相当件数は増やさず、送客と管理の混合単価は1.14倍。
- キレイパス・美容医療DX:数量 750(美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院))× 価格 0.01(推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。医療の有料換算院数を増やさず、単価は1.15倍。AIで新規売上が伸びる想定は入れない。
- GMOリピータス・アフィタウン:数量 10.0(提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計))× 価格 0.73(1収益換算契約当たり年売上(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。提携契約の換算数量は据え置き、手数料率の緩やかな持ち直し。
倍率:資本コスト8.25%・長期名目g1.0%。余剰現金12億円の税後利息0.168億円を純利益9.80億円から控除した事業利益9.632億円と、余剰現金を除いた事業自己資本43.0億円を使う。事業ROE22.40%、普通の堀の残存率1/2からRONIC15.32%、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.893倍。楽観から中立は上限自体を使い、事業利益×倍率+戻り方1.0の余剰現金で時価総額を計算した。現在のPERは参照していない。
確率:上側でも広告媒体の利用者が拡大する余地はあるが、既存の提携チャネルを伸ばしつつ教育・美容の有料収益を保つという複数の条件が必要で、12%にとどめる。
やや楽観 18% 既存接点の活用で媒体利益が再拡大 利益 7 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,717 円120 億円
広告ゲームの利用者数は概ね横ばいで、減った検索流入を提携媒体が補う。広告単価は物価の上昇には追い付かないが、2026年に見られた急落からは持ち直す。ポイント付与の原価率も悪化せず、広告・課金がゆっくり増益に戻る。GMOリピータスでは2026年に進んでいた新規提携先が一部稼働し、単一の大口取引に依存した構造が和らぐ。
コエテコは教室の募集や運営の一部をAIエージェントが担うため、掲載教室のうち収益につながる数量は小幅に減る。それでも比較情報の信頼と予約の仕組みが残り、教室向け課金が送客料減少を吸収する。美容クリニックでも既存院へのカルテ・予約機能の提供が続くが、導入院数を楽観的に増やさず、収益換算の数量を横ばい程度にとどめる。
大きな追加買収による規模拡大は狙わず、2025年までに取得した事業の統合を優先する。営業利益は約10億円、純利益は約7億円に達する。利益の多くを還元し、十年の配当と買い戻しで約46億円が株主に帰属する。
- ポイント・ゲーム・総合メディア:数量 340(ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量))× 価格 0.17(稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み))→ 売上 56 億円・営業利益 7 億円。媒体利用者は97%、単価は物価を下回る1.20倍。
- コエテコ・学習関連DX:数量 12,000(プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない))× 価格 0.00(掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。教室の利用相当数量は92%、価格1.14倍。
- キレイパス・美容医療DX:数量 750(美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院))× 価格 0.01(推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。収益換算院数は横ばい、名目単価1.12倍。
- GMOリピータス・アフィタウン:数量 9.0(提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計))× 価格 0.72(1収益換算契約当たり年売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。提携契約は90%、契約単価は約1.06倍。
倍率:資本コスト8.25%・長期名目g1.0%。余剰現金12億円の税後利息0.168億円を純利益7.35億円から控除した事業利益7.182億円と、余剰現金を除いた事業自己資本42.3億円を使う。事業ROE16.98%、普通の堀の残存率1/2からRONIC12.62%、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.700倍。手で上限から割り引かず、事業利益×倍率+余剰現金12億円を株式価値とする。
確率:既存の美容・教育顧客の定着とメディア新チャネルによる持ち直しは現実味がある一方、2026年上期の広告不振を踏まえて18%とする。
中立 29% 検索流入の目減りをストック収益が一部補う 利益 5 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,651 円83 億円
広告ゲームの利用者は十年で約17%減る。価格は物価上昇を大幅に下回る一方、既存のポイント・ゲーム課金が残るため売上の落ち込みは利用者減ほど大きくならない。ポイントタウンと外部のゲーム媒体は残るが、Googleや広告主の条件で利益率は最高益期を下回る。国内のネット広告費そのものが伸びても、同社の広告成果報酬が同じ率で増えるとは考えない。
コエテコは教室掲載・送客の数量が約二割減る。AIによる教室選びが普及する一方、教室運営の予約・管理には一部の継続収益が残る。美容医療はカルテ記録に一定の乗り換え負担があり、契約院当たり売上を保つが、管理画面のAI代替を受けて収益対象院数は一割ほど減る。ソリューションは広告運用とポイントCRMの自動化で顧客当たりの収益が細る。
会社は大型の増資を避け、MEDIBASE事業取得後の統合を進める。売上は約64億円、営業利益は約6億円、純利益は約5億円に着地する。過去より低い利益でもDOEと配当性向の方針が機能し、十年間で約37億円を還元する。
- ポイント・ゲーム・総合メディア:数量 290(ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量))× 価格 0.15(稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み))→ 売上 44 億円・営業利益 4 億円。媒体の実質稼働利用者は83%、広告・課金の単価1.10倍。
- コエテコ・学習関連DX:数量 10,465(プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない))× 価格 0.00(掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替で教室の有効数量80%、単価1.11倍。
- キレイパス・美容医療DX:数量 675(美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院))× 価格 0.01(推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。カルテ記録は残るが画面型SaaSとして収益換算院数90%、単価1.10倍。
- GMOリピータス・アフィタウン:数量 7.0(提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計))× 価格 0.72(1収益換算契約当たり年売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。広告の運用代替とポイントCRMの省人化で数量70%、単価約1.06倍。
倍率:資本コスト8.25%・長期名目g1.0%。余剰現金12億円の税後利息0.168億円を純利益4.66億円から控除した事業利益4.492億円と、余剰現金を除いた事業自己資本38.1億円を使う。事業ROE11.79%、普通の堀の残存率1/2からRONIC10.02%、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.417倍。長期の高成長を仮定せず上限そのものを使い、事業利益×倍率+余剰現金12億円とする。
確率:2025年の媒体利益率を永続させず、教育・美容の既存導入基盤は残す。2026年上期の減益とストック粗利益の増加を同時に認める中心ケースとして29%。下に寄せる理由:Google向け取引集中とソリューション大口案件の条件変更が現に利益を押し下げたため。
やや悲観 25% 広告の取り分と業務ソフトの単価が低下 利益 2 億円 · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,567 円46 億円
AIが比較サイトを経由せず消費者の選択と予約を助けるようになり、コエテコの掲載・収益対象教室は約三割減る。教室側は業務ソフトの席数を絞り、成果報酬も値下げを求める。美容医療では電子カルテ自体の記録は維持されるが、競合システムの低価格プランとAI連携が浸透し、有料換算の院数と実質単価がともに弱る。
ポイント・ゲームは検索流入と広告視聴の頻度が落ち、実質の稼働利用者が約三割減る。提携媒体の拡張で減少を完全には止められない。GMOリピータスでは大口顧客の直販化が続き、受託運用の人手を減らしても手数料の下落を埋め切れない。会社はMEDIBASEに追加投資しつつ、営業費を削減して小幅な黒字を維持する。
十年後の売上は約51億円、営業利益は約3億円となる。利益成長が止まったため事業の再投資余地は乏しいが、それまでに確保した利益から配当を続ける。終点の株式価値は、残る稼ぐ力だけでは現金の床を少し上回る程度に縮む。
- ポイント・ゲーム・総合メディア:数量 240(ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量))× 価格 0.14(稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み))→ 売上 34 億円・営業利益 2 億円。利用者69%、単価はほぼ横ばい。
- コエテコ・学習関連DX:数量 9,000(プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない))× 価格 0.00(掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。教育の有効数量69%、単価1.05倍。
- キレイパス・美容医療DX:数量 600(美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院))× 価格 0.01(推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。医療収益院数80%、単価1.04倍。
- GMOリピータス・アフィタウン:数量 5.8(提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計))× 価格 0.69(1収益換算契約当たり年売上(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。運用・広告仲介の数量58%、単価ほぼ横ばい。
倍率:やや悲観は歴史的PBRでなく、営業実態の稼ぐ力と換価資産の大きい方から決める。資本コストk=8.25%に対し、余剰現金9億円を除いた事業ROE5.71%は劣る。純利益2.25億円から余剰現金の税後利息0.126億円を除いた稼ぐ力を1÷kで評価すると約25.75億円となり、残存余剰現金9億円を合わせて約34.75億円。これは現在の純現金33.6億円の資産床をわずかに上回る。PBR1.11022倍は現在の自己資本31.3億円を分母とした換算値で、将来の自己資本に掛けない。
確率:2026年上期に観測された広告単価下落、ソリューション契約条件の変化が数年間続き、教育・医療の有料契約も競争にさらされる現実的な下振れとして25%。
悲観 16% 媒体とSaaSの双方が競争に敗れる 利益 −2 億円 · PBR 1.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,902 円34 億円
検索と広告の仲介をAIエージェントが迂回し、ポイント・ゲームの広告成果報酬は半分以下へ落ちる。消費者は還元率のよい決済経済圏へ移り、同社が抱えてきた媒体数は売上の防波堤にならない。コエテコの情報はAIの回答に引用されても送客収益が生じず、教室向けの画面操作ソフトも料金維持に失敗する。
美容医療では電子カルテの保存機能だけは残るものの、競合の共通基盤へ院が集約され、キレイパスとMEDIBASEの統合効果は失われる。過去の事業取得で計上したのれんや顧客関連資産を減損し、2026年の新規提携も大口顧客の流出を埋められない。売上は約30億円まで縮み、営業赤字へ転落する。
会社は事業を縮小して資金流出を止める。配当は不振の初期に支払う分が中心で、後半にはDOE方針の見直しも避けられない。稼ぐ力の価値は乏しくなるが、現在の純現金を出発点とした換価可能な資産を保全できるケースとし、十年後の株式価値は約34億円にとどまる。
- ポイント・ゲーム・総合メディア:数量 150(ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量))× 価格 0.12(稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。媒体利用者43%、名目単価88%、還元負担が残り営業赤字。
- コエテコ・学習関連DX:数量 6,800(プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない))× 価格 0.00(掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。教室の収益対象は約半分に減り、比較送客と画面型ソフトの収益性を失う。
- キレイパス・美容医療DX:数量 450(美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院))× 価格 0.01(推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。医療記録は残るが競合への乗り換えと価格競争で収益換算院数60%。
- GMOリピータス・アフィタウン:数量 4.0(提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計))× 価格 0.72(1収益換算契約当たり年売上(億円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。広告運用・顧客管理の自動化と大口契約喪失で数量40%。
倍率:営業赤字が続き稼ぐ力の評価はほぼ消える。将来の増加自己資本ではなく、現在の自己資本31.3億円を基準とする換価資産約34億円の床から逆算した表示上のPBRである。減損対象ののれん・顧客関連資産は換価価値に入れない。資産の維持は事業縮小と運転資金の回収によるものとし、収益の上振れは評価しない。
確率:Googleへの売上集中と媒体流入の構造変化が同時に悪化し、ソフト事業も価格競争で回復しない複合的な構造負けを16%と見る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ポイント・ゲーム・総合メディア
ポイントタウン、ゲソてん、かんたんゲームボックス等。自社・提携媒体で広告成果、ゲーム課金、ポイント還元を仲介する。
| 数量ゲーム媒体の推計月間実質稼働利用者に相当する万人(ポイント会員と重複を含む代理数量) | 価格稼働利用者相当1万人当たりの年売上(億円/万人、広告・課金込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 350 | 0.14 | 48 | 6 |
| 10 年後 中立 | 290 | 0.15 | 44 | 4 |
取り方:2025年の会社公式報告メディア売上64.352億円から、後記の教育7億円・美容医療9億円の推計額を差し引き、残り48.35億円をポイント・ゲーム等とする。公式開示ではメディアの広告39.501億円・課金22.564億円の区別までで、事業別売上の実数は出ない。2024年末の広告ゲーム月間利用者384万人と2025年の減少傾向を参照し、2025年の稼働換算350万人を推計。1万人当たり0.138143億円は他のポイント利用者分を含めた代理的な年収益で、会員単価の公式値ではない。ポイントタウン累計会員950万人は数量に使わない。媒体広告の型と判断し、AIによる検索流入減を数量に反映する。資料:https://pdf.irpocket.com/C6180/LseR/ixR3/Ih2D.pdf
コエテコ・学習関連DX
プログラミング教室の比較・送客と、コエテコマネージャー、リザーブ、カレッジ等の予約・教室運営。
| 数量プログラミング教室等の掲載件数(件。実際の有料契約数ではない) | 価格掲載教室1件当たりの送客・業務サービス年間総合売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13,081 | 0.00 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10,465 | 0.00 | 6 | 1 |
取り方:2025年末のコエテコ掲載約13,081件(会社事業説明資料)を実際の数量の代理とし、教育関連の媒体・DX売上7.0億円は正式な事業別開示がないため、メディア売上64.352億円と2025年4Q業界特化型粗利益比率30.8%を手掛かりにした分析上の仮配分である。1件当たり約5.35万円は成果報酬とソフト売上も合算する見かけ単価であり掲載料ではない。AI検索で送客量が減り、教室運営画面もAIエージェントに代替され得るため、中立の実質数量0.8倍・単価1.11倍を使う。資料:https://pdf.irpocket.com/C6180/YpwX/QByy/bCkU.pdf
キレイパス・美容医療DX
美容医療施術の送客・予約決済と、キレイパスコネクト、MEDIBASEのクリニック向け顧客・カルテ管理。
| 数量美容医療の推定収益対象クリニック換算数(院) | 価格推計収益対象1院当たりの年間送客・課金・システム売上(億円/院) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 750 | 0.01 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 675 | 0.01 | 9 | 1 |
取り方:2024年のキレイパス系契約約555院と2026年8月の導入1,000院超を参考に、2025年の年間収益換算院数を750院と補間した推計であり公式の有料契約院数ではない。美容医療の売上9億円は会社のメディアセグメントにある課金・送客とDX売上の一部を割り振った独自推計で、院当たり年120万円は施術チケットの通過分も含む代理単価だ。電子カルテ記録の継続性は認めるが、法的移行の年数や年5%未満の解約率など二件以上の堀証拠がないため、業務画面型SaaSを主と扱い中立で数量0.9倍、価格1.1倍とする。資料:https://beauty.gmo/news/20260824.html
GMOリピータス・アフィタウン
企業のポイントCRM運用支援、成果報酬型広告の仲介、受託開発・運用。広告運用受託と画面型ソフトを含む。
| 数量提携企業・媒体の収益換算契約数(件、推計) | 価格1収益換算契約当たり年売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 0.68 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 0.72 | 5 | 0 |
取り方:2025年有報のソリューション事業売上6.798億円と営業利益0.8664億円は実績。売上内訳は広告取引4.479億円、課金0.407億円、その他受託1.912億円。収益規模が異なる契約の合算単位として10件の提携企業・媒体相当を暫定採用し、平均0.68億円は実際の1社当たり請求額ではない。広告の制作・買付・運用の約66%相当はAIによる数量減、残るポイントCRM・開発も画面型SaaS/工数代替と区分し、中立の実質数量0.7倍・価格1.06倍を使う。資料:https://j-lic.com/companies/6180/segments
リスクと懸念
AIエージェント代替による送客・業務画面の価値低下
検索結果から比較サイトへ移動せず、AIが教室選びやクリニック予約まで済ませると、コエテコとキレイパスが持つ情報の価値と収益化が分離する。操作画面型SaaSの一部もAIが横断的に操作するようになり、席数・画面利用料を維持しにくい。中立では教育の有効数量を約二割、ソリューションの数量を約三割削減して織り込んでいる。
Google等への広告売上集中と広告単価低下
2025年にはGoogle Asia Pacific向け売上が全社のおよそ二割を占めた。2026年上期の減益にも広告単価の下落が響いており、インターネット広告市場全体が拡大しても同社媒体の取り分が増えるとは限らない。検索・広告配信の変更はポイント還元原資と営業利益率に同時に波及する。
大口提携先の契約変更と収益集中
ソリューション事業は2026年上期に大口パートナーの契約条件見直しで営業赤字となった。提携先が広告運用を内製化し、CRMをAIで自動化すれば、売上だけでなく固定人件費を負担した営業利益が大きく揺れる。既存契約数ではなく取引先別の粗利益と継続年数を見る必要がある。
美容医療DXの競争と買収投資の回収
MEDIBASEの電子カルテには一定の切り替え負担があるが、medicalforceなど競合も導入院数を広げている。導入先が増えても無料枠や低単価契約が多ければ追加投資の利回りは改善しない。のれん・顧客関連資産の減損が生じる場合、事業の収益力と自己資本の両方を見直す必要がある。
ポイント債務・余剰現金と支配株主の資本配分
純現金約34億円は下値の支えだが、ポイント交換引当金や広告決済に必要な流動性も含むため、全額を自由配当できるとは限らない。親会社の支配下では大型買収、グループ内取引、資本再編の条件を少数株主が決めにくい。増配と自己株買いの実績が続くかを監視する。
高ROEの反転と配当原資の減少
2025年のROEは約21%だが、過去には赤字期があり、2026年上期も営業減益となった。配当性向65%以上は純利益の変動を株主還元へ伝える仕組みである。利益が縮めばDOEの下支えがあっても持続可能な配当には限界があり、事業収益を上回る還元が続けば現金の床は薄れる。
今後の分かれ目
- ポイント・ゲームの月間稼働利用者が減少を止め、広告単価も二期以上回復したら
- メディア事業の数量と価格の前提を上方修正し、やや楽観側の確率を引き上げる。ただしポイント還元率を引き上げて維持しているだけなら利益率の改善を確認する。
- コエテコの教室送客単価と有料管理契約がAI検索普及後も増加したら
- 教育の実質数量と長期成長率を再評価する。検索流入ではなく、教室の支払う継続料金と解約率が改善したかを優先する。
- キレイパスコネクトとMEDIBASEの有料契約院数・院当たり売上がともに伸びたら
- 医療業務の切り替え障壁と増分資本利回りが確認できるため、医療セグメントの利益率と堀の判断を上方修正する。単なる導入先数の公表だけでは修正しない。
- GMOリピータス等で大口契約の条件悪化が続き、営業赤字が定着したら
- ソリューションの数量と採算を悲観側へ寄せ、事業縮小や追加費用を反映する。売上回復より営業キャッシュフローが重要となる。
- 配当性向65%以上とDOE5%の方針が撤回されたり、買収で現金が大きく減ったら
- 余剰現金の株主への帰属と十年間の還元額を再評価する。とくに支配株主との取引条件や取得事業の投下資本利益率を確認する。
見ておくもの
- ポイント・ゲームの月間利用者と広告成果単価の推移
- Google Asia Pacific向け売上比率と大口提携先の契約条件
- コエテコの教室掲載件数、有料管理契約、送客から申込みへの転換率
- キレイパスコネクトとMEDIBASEの有料導入院数、解約率、院当たり収益
- 業界特化型事業の売上総利益と全社の営業利益率
- 配当性向65%以上・DOE5%と自己株買いの継続
- 事業取得に伴うのれん・顧客関連資産の減損と営業キャッシュフロー
倍率と資本コストの決め方
足元の株価と過去のPERを参照せず、ポイント・ゲームの稼働換算利用者、コエテコ掲載教室、美容の収益換算院数、ソリューションの契約換算数量に各単価を掛け、十年後の利益を積み上げた。成長の根拠が開示されない部分は数量増を見込まず、AI代替は十年の数量・価格とg_long1%へ反映し、kの寿命には重ねていない。資本コストは基本7.5%と品質調整0.75%による8.25%。楽観から中立のPERはROEとRONICによる正当化上限をそのまま使い、余剰現金12億円を別に足した。悲観側では現在の純現金33.6億円と稼ぐ力を照合し、将来の自己資本を床のPBRへ掛けない。予想と実績の区別、広告・教育・美容の売上仮配分、会社の開示しない数量についての推定をhowに明記した。日本基準の新リース会計基準の適用後も、十年後の営業費用は従来の表示との比較可能性を保つ前提で測る。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、利益循環・値決め力・純現金を反映した品質上乗せ0.75%を加える。個別の買収失敗やAI代替はkに二重上乗せしない。