結論
Smile Holdingsは首都圏の認可保育園と高価格帯の幼児教育を核に、介護、産後ケア、海外教育へ領域を広げる会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。WITHホールディングスの買収で施設網は一挙に広がったが、買収の代金と負債を抱えた後の収益力は、まだ損益計算書で通年確認できない。高額ののれんを抱える会社に、計画どおりの成長を先取りした値段を払うべきではない。
2026年3月期の売上高は145億円、営業利益は3.7億円である。一方、買収先の直近年度を単純合算した売上高は約277億円、営業利益は約10億円となる。ただし、これは買収資金の利息、統合費用、のれん償却のすべてを反映した利益ではない。2026年6月末には金融負債が約198億円に達し、現預金を除いた純金融負債は約146億円に膨らんだ。この変化こそ、過去の財務だけでは見えない最大の論点である。
10年後も保育士が子どもに向き合う仕事は必要だ。しかし国内の保育利用児童数は既に減り始め、認可保育の料金は行政が左右する。高級教育と産後ケアには値決めの余地があるものの、全社の利益を左右するほど育つには出店費用と人材を要する。中立では既存園の充足率改善と買収後の着実な合理化を認める一方、契約のない海外買収の利益は織り込まない。
10年後の中立の時価総額は約134億円まで増える。ただし時間価値と途中の配当を考えると、中立でさえ現在の約86億円を大幅には超えない。財務制限条項、借換金利、出生数の減少を考えた5つの筋書きの確率加重では、現在価値は約75億円となる。差はおよそマイナス12%であり、安全域は十分ではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「社会的に必要な仕事」と「株主に大きな利益を残す事業」を分けて考える必要がある。保育園は十年後も欠かせない。行政との取引実績、地域の立地、保育士の採用力も簡単には複製できない。一方で、料金の多くは公定価格で決まり、賃金が上がっても全額を値上げで取り返せるとは限らない。ブランドだけで高い資本利益率を守れる事業ではない。
所有者に残る利益は、保育士への処遇改善、老朽園の更新、退去時の原状回復、ホテルの設備投資、借入返済を差し引いた後の現金で測るべきである。減価償却費だけを戻して全額を自由に配れる現金と考えれば、施設運営の固定費を見誤る。現在の配当や優待は魅力的に映るが、借換えが済まず純金融負債が重い段階では、借金で還元を先払いしているような状態が続く危険もある。
経営が試されるのは買収の後である。大きくなった園の給食、採用、購買、事務を一体化し、追加の投資から資本コストを上回る利益を上げられれば、規模は堀に変わる。反対に、買収による売上の倍増だけでは1株当たりの価値は増えない。中立では改善を認めるが、海外M&Aまで成功した楽観を買値に含めない。
筆者が長く保有する条件は、好立地の園が空室を減らし続けることと、借入元本が営業キャッシュフローで確実に減ることである。純資産より大きなのれんを持つ以上、帳簿の自己資本は暴落時の現金の床にはならない。計画が実行されるまで評価を急がず、利益率と残る借金を照らして安全域を求めるのが合理的だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの土台は認可保育園である。キッズガーデンに加え、2026年5月に傘下へ入れたWITH、アンジェリカなどを合わせ、6月末の運営施設数は184、在籍児童数は1万856人に達した。認可保育園は園児を預かる対価として、保護者負担と公定価格に基づく公費を受け取る。稼働児童数と年齢別の配置基準が収益を決め、定員が埋まるほど既存の家賃や職員配置を生かせる。公定価格があるため、一般の消費者向けサービスのように自由に値上げすることはできない。
買収前の2026年3月期は、認可保育が124.68億円、プレミアム教育が16.88億円、国際教育が2.69億円、建築デザインを中心とするファミリーサポートが0.92億円を売り上げた。これらは会社の補足領域であり、法定の報告セグメントは単一である。プレップスクール、学童、スイミングスクールは富裕層に独自カリキュラムを販売する。国際教育はグローバルスクールと留学支援を担い、保育とは異なる価格設定ができる。
WITHグループの直近年度売上高131.62億円は、買収前の会計期間に属する参考実績である。2026年6月末の貸借対照表には買収が反映されているが、第1四半期の売上・利益には入っていない。第2四半期以降の連結開始によって事業規模が跳ね上がるため、前年同期比だけを成長率と見ると実力を誤る。買収先には給食管理、保育人材、療育、介護の機能もあり、親会社の園との内部取引を外部売上に二重計上しないことが大切だ。
2026年6月には17室の産後ケアホテル「Villa Mom」が開業した。宿泊日数に応じた料金を得るが、助産師と保育士の常駐、人件費、建物の固定費が重い。海外ではアジアを中心とする保育・教育会社の買収を探している。ただし、対象会社や取得価格が未確定のため、現時点でその収入はゼロである。産後ケアと海外事業は伸びしろがある反面、まず投下資金が戻るかを確かめるべき領域である。
優良さと弱いところ
保育事業の強みは、建物、運営許認可、保育士の採用、地域の保護者との信頼を一度にそろえねばならない点にある。人気園の定員が埋まれば近隣の新規参入者は簡単に園児を奪えない。キッズガーデンの高級幼児教育にも一定のブランドがある。ただし、解約率の低さを保証する契約や、全国一律に値上げできる独占権はない。保護者が選ぶ地域ごとの商売であり、堀は強いというより、場所によって濃淡がある。
利益の質には慎重でありたい。2020年から2023年にかけて営業赤字が続いた時期にも、認可施設の開設補助金などが経常利益を支えた。近年は新規開設に頼らず充足率を高める方向へ移り、営業利益は黒字になった。しかし、保育士の賃上げ、欠員補充、教材の更新、施設修繕には毎年現金が要る。数字上の減価償却費が設備更新の現金支出と一致するわけでもない。
最大の弱点は買収後の財務である。2026年6月末ののれんは約117億円で、自己資本約61億円を上回る。金融負債約198億円に対し現預金は約52億円で、加えてリース債務もある。WITHの買収価額121.41億円に対し、買収先の前期営業利益は6.6億円だった。単純比率は税・金利・統合費用前で約5.4%にとどまり、資本コストを超える再投資だったとはまだ証明できない。
借入は変動金利で、短期の大型借換えと純資産・経常損益に関する財務制限条項がある。人を採り、稼働率を上げ、共通費を節約する実行力には評価の余地があるが、事業から得る追加利益が借入金利と買収費用を上回り、さらに株主の資本コストを超えるまでは、本物の複利成長と呼びにくい。買収を重ねるより、まず既存の184施設から現金を回収することが重要である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の保育所等利用児童数は2026年4月時点で約265万人、定員は約302万人、充足率は87.7%だった。待機児童は2,435人にまで減っており、保育園の不足より、地域や年齢による需給の偏りが課題になっている。出生数の減少は10年後の全国利用児童数を押し下げる。一方、共働き世帯の増加と都市部への人口集中により、首都圏の人気園では依然として入園需要が強い。全国需要の減少をそのまま同社の園児減少率に当てはめるのは適切でない。
競争相手には日本保育サービスを展開するJPホールディングス、グローバルキッズCOMPANY、ポピンズ、ライクキッズ、AIAIグループがいる。いずれも施設の立地、職員確保、保護者の評判、行政との関係で競う。買収後の同社グループ1万856人を全国の利用児童約265万人で割ると約0.41%になるが、分子には認可外教育の児童も含まれるため、厳密な認可保育市場シェアではない。競合他社も認可外や学童を含む施設数を公表しており、各社の全国児童シェアを同じ基準で断定できない。会社の中期計画が引用する国内の保育・幼児教育市場規模は約5兆円、海外の保育サービス市場は約55兆円である。ただし対象範囲と基準時点が異なり、海外の大きさを同社の獲得可能市場とそのまま同一視しない。
中立の2036年には国内保育利用児童が約230万人まで減ると仮定する。その中で同社の既存・買収園の利用児童は計1万550人程度を維持し、人口減で淘汰される小規模園から相対的に選ばれることで、参考シェアは約0.46%へ微増する。楽観では充足率の改善でこれが1万2,100人となり、悲観では不採算園の閉鎖で8,100人に減る。公定価格の上昇は物価3%に完全連動する保証がないため、単価には政府の処遇改善策と予算制約を織り込む。
産後ケアには自治体の利用補助拡大と富裕層の宿泊需要があるが、17室のホテルを増やすには1施設当たり5億〜8億円程度の建設・設備投資が必要と会社は説明している。保育と異なり価格を決める自由は大きいものの、室稼働率と常駐人員の固定費に業績が振れる。海外市場は国内より大きいが、進出先の規制、出資比率、買値、現地経営人材が未確定であり、市場規模の大きさだけで売上を約束できない。
資本政策と M&A
2026年5月、WITHホールディングスの全株式を121.41億円で取得した。買収と既存債務の借換え、諸費用のため三菱UFJ銀行から167.65億円を変動金利で借り、契約上の期間は1年である。2027年3月期以降には純資産を基準期の75%以上に維持し、経常赤字を出さない財務制限条項が付く。借換え後の年限と利率が決まらない限り、将来の利益は安心できない。大きなのれんが収益力に見合わなければ、減損が自己資本と借入条件を同時に傷つける。
2026年6月30日公表の中期経営計画は、2031年3月期の売上500億円、営業利益50億円を掲げる。その間の2027年3月期は売上255億円、営業利益10億円、2028年3月期は285億円、15億円を見込む。2031年の海外売上比率30%も構想に含むが、必要な海外買収はまだ確定していない。ROEの数値目標と自社株買いの金額の約束は確認できない。
株主還元は積極的だ。2027年3月期の配当総額は基準株数換算で約3.36億円、計画利益に対する配当性向は153.2%であり、利益以上を配る。2028年3月期は増益予想に伴い配当性向48.4%を示す。買収前の説明資料にはDOE5.0%との記載もあるが、統合後の恒久的な下限とは扱わない。300株を6カ月保有する株主向けの年間3万円相当のデジタル優待も約束する一方、その実費総額は未開示だ。財務健全化と還元拡大を同時に続けられるかが経営の資本配分の試験になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
保育園の運営を一から築くには、許認可を取得し、建物を確保し、保育士を採用して、長年の評判を育てねばならない。WITHグループの100施設を加えたことで、同社は都市部で園を選ぶ保護者、保育士、給食事業者のいずれに対しても存在感を増した。児童数が全国で減っても、人口が集中する首都圏の既存園を高い充足率で運営できれば、遠方の新園を建設しなくても利益が増える。現に2026年3月期は買収の一過性費用を除く営業利益が6.6億円に達し、従来の利益水準より力強く改善した。
買収先の前年営業利益6.6億円を合わせ、2028年3月期には統合費用が一巡して営業利益15億円を見込む。購買、採用、給与計算、施設開発の共同化が実現すれば、人件費が増える局面でも共通管理費を節約できる。人口減少局面では小規模事業者が閉園し、設備と人材を持つ運営会社に地域の需要が集まる可能性も高い。児童数のシェアが伸びれば、公定価格の範囲内でも収益率を高められる。
高級プレップスクールのブランドを家庭全体に広げる構想も捨てがたい。産後ケアホテルは開業当初から予約が入り、客室単価が高い。学童、国際教育、介護、療育と接点を増やせば、1世帯が長く顧客になる。さらにアジアの保育施設を適切な価格で買収し、収益と現金回収が伴うなら、国内の少子化から離れた成長の道も開ける。借入を長期化でき、のれんの回収可能性が裏づけられれば、現在の株主に大きな上振れが残る。
慎重な見方
この会社の売上倍増は、既存事業が急成長した結果ではなく、借金を使った買収の結果である。2026年6月末には、現預金を差し引く前の金融負債が約198億円に達し、のれんは117億円を超えた。買収先の直近営業利益と買収対価を単純に比べると約5%にすぎない。そこから税、支払利息、のれん償却、施設修繕を負担した後に、株主が要求する利回りが本当に残るのか。まだ十分な実績がない。
短期の大型借入には変動金利と財務制限条項がある。金利が数%上がるだけで負担は数億円単位で変わり、認可保育の薄い利益率を消しかねない。預金にも利息は付くが、借入総額と現預金を一つに相殺して金利影響をゼロと見積もることはできない。借換え条件が悪化した時には、配当や優待より銀行への返済が優先される。仮に減損が重なれば、帳簿の純資産も頼りにしにくい。
少子化で全国の保育充足率は下がり、都市部でも園ごとに明暗が分かれる。稼働率の落ちた園は家賃や配置人員をすぐには減らせず、公定価格も物価上昇を自動で吸収しない。高級教育は競合校との値段比べが起こり、産後ケアは一棟当たりの投資額が大きい。海外買収は対象、買値、取得資金が未確定で、成功する前から2031年の利益を当然視すべきではない。研修、建築デザインの事務、給食管理ソフトなどはAIエージェント代替にもさらされ、周辺事業の期待収益を膨らませる根拠にはならない。
どちらに重みを置いたか
認可保育の継続性と首都圏の運営基盤は評価できるが、長く持つ株主には財務の弱さが勝る。やや悲観と悲観を合計46%、楽観とやや楽観を21%とし、中立を33%とした。下に寄せる理由は、買収後の純金融負債約146億円、117億円ののれん、変動金利の短期借入と財務制限条項である。AI代替リスクだけで確率や資本コストを二重に引き下げたわけではない。中立の2036年営業利益は約23億円と改善を認めつつ、未確定の海外買収は計上しない。確率加重した現在価値は約75億円で、約86億円の時価総額に対してやや割高という結論になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,948 円126 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1,046 円34 億円)。 今の値に割り戻すと 2,348 円75 億円、今との差 −12.7%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 14,829 円475 億円 | 2,497 円80 億円 | +544.3% | +23.4% | 1,213 円39 億円 |
| やや楽観 | 14% | 8,142 円261 億円 | 1,717 円55 億円 | +266.6% | +15.9% | 1,380 円44 億円 |
| 中立 | 33% | 4,190 円134 億円 | 1,124 円36 億円 | +97.6% | +8.1% | 1,754 円56 億円 |
| やや悲観 | 28% | 1,334 円43 億円 | 749 円24 億円 | −22.5% | −3.0% | 583 円19 億円 |
| 悲観 | 18% | 75 円2 億円 | 281 円9 億円 | −86.8% | −25.7% | 64 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,948 円126 億円 | 1,046 円34 億円 | +85.7% | +7.3% | 4,994 円160 億円 |
今の株価時価総額 2,689 円86 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 国内統合とアジア展開がともに成功 利益 39 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 14,829 円475 億円
首都圏の人気園では園児の定員充足率が高まり、もともとのキッズガーデンと買収したWITH・アンジェリカ双方の採用と給食調達が一体化する。園児数はそれぞれ5,900人、6,200人となり、全国市場が縮む中でも地域シェアを伸ばす。行政の処遇改善財源が途切れず、認可保育の受入単価は緩やかに上がる。高級プレップスクールも都心で9校相当まで増え、価格競争に巻き込まれず顧客を維持する。
産後ケアホテルは17室換算で5施設に広がり、年2万1,000室泊を販売する。運営が軌道に乗ったことで新設投資の回収が進み、既存の高級教育事業から顧客を送る導線もできる。保育と給食・現場人材を支える外部顧客も拡大する。アジアで複数の教育施設の取得が成立し、海外で年108億円の売上を得るが、管理費と現地金融費用も負担する。AIによる設計事務の省人化は価格引下げと人員効率を相殺し、既存の設計契約数は増えない。
海外買収の資金調達と国内借入の長期化がともに成功し、資産回収を損なわず投資を続けられる。2036年には営業利益が70億円を超え、営業現金で借入と更新投資を賄う。これは国内運営改善と海外取得の双方がうまく運ぶ高いハードルの筋書きである。
- 認可保育(買収前のキッズガーデン系):数量 5,900(在籍児童数(人、期末数量の代理))× 価格 0.03(児童1人当たり年間受入額(億円、名目))→ 売上 204 億円・営業利益 28 億円。人気園の充足率が高まり、保育士の処遇改善に沿って受入単価も上がる。
- 取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護:数量 6,200(買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用))× 価格 0.03(買収先の年間売上÷児童数(億円、名目))→ 売上 214 億円・営業利益 28 億円。買収した保育園の稼働率と購買・採用の効率が改善し、介護等を含む収益率も上昇する。
- 高価格帯の幼児教育・学童:数量 9.0(代表的なプレップスクール施設換算(校))× 価格 4.30(代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 8 億円。高級教育のブランドが保たれ、9校相当の事業規模で高い営業利益率を確保する。
- 国内国際教育・留学支援:数量 9.0(グローバルスクール換算拠点(校))× 価格 2.40(1校換算当たりの国際教育年間売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。国内国際教育の拠点が増え、情報・手配事務のAI代替を吸収する。
- 産後ケアホテル Villa Mom:数量 21,000(販売室泊数(室・泊))× 価格 0.00(一室一泊当たり売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 7 億円。17室換算で5施設程度を運営し、稼働率と客室単価がともに高まる。
- 建築デザイン・業務受託:数量 4.0(年間受託案件数(件、推定))× 価格 0.33(1案件当たりの売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を織り込み、既存の受託数量は増えない。
- 外部向け給食・人材・療育・保育支援:数量 450(グループ外の年間取引施設数(施設、推定))× 価格 0.06(外部施設1件当たりの年間受取額(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 4 億円。現場の給食・人材支援を中心に外部顧客が増える。画面操作型ソフトには単価圧力が残る。
- 未取得の海外保育・教育会社:数量 18.0(取得した海外運営拠点の換算数(拠点))× 価格 6.00(海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 16 億円。未契約のアジア事業について、買収成立と現地統合の成功を条件に計上する。
倍率:資本コストk=9.0%、10年より先の名目成長g=1.5%、通常の堀(超過利益が半分残る)を使う。将来ROE25.74%から増分資本収益率RONIC=k+0.5×(ROE−k)=17.37%とし、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.182倍の上限をそのまま採用する。2036年純利益39億円×PERで、現在の市場倍率は使わない。10年間の純利益累計170億円と還元累計80億円から期末自己資本を61.5+170−80=151.5億円とする。金融費用・税等は純利益に反映済みで、負債を時価総額から二重控除しない。
確率:認可保育の充足率と公定価格が改善し、ホテル運営と海外M&Aまで成功する必要がある。資金調達と現地統合の同時達成は難しく、7%にとどめる。
やや楽観 14% 既存園充足と小規模成長投資が進む 利益 22 億円 · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,142 円261 億円
国内の既存園は大きな新設をせず充足率が改善し、買収先の園児数も緩やかに増える。管理機能の統合で採用と購買に無駄が減り、保育士の賃上げ後にも営業利益率を守れる。認可保育の売上は保護者の人数より公定価格の改定によって増え、人口減少の中でも選ばれる園が利益を伸ばす。プレミアム教育は8校相当、国際教育は7拠点相当になり、採算の悪かった新規事業も固定費を吸収する。
産後ケアホテルは3施設程度の収益基盤となり、年間1万4,500室泊を売る。高い宿泊単価を維持できることで事業が黒字化する。海外では小規模な教育関連施設を買収し、売上20億円を得るが、大きな事業買収はしない。周辺の給食・人材支援は現場業務で顧客を増やし、画面操作中心のソフト販売には値下げ圧力が残る。
変動金利借入の借換えは成立し、元本は少しずつ減る。2031年に掲げる50億円の営業利益には届かない時期があっても、2036年には40億円台まで回復する。成長の根拠は買収直後の会計上の連結増加ではなく、統合後に利益が残ることにある。
- 認可保育(買収前のキッズガーデン系):数量 5,550(在籍児童数(人、期末数量の代理))× 価格 0.03(児童1人当たり年間受入額(億円、名目))→ 売上 182 億円・営業利益 24 億円。既存園の充足率が改善し、実質児童数と名目受入単価が増える。
- 取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護:数量 5,950(買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用))× 価格 0.03(買収先の年間売上÷児童数(億円、名目))→ 売上 196 億円・営業利益 24 億円。買収先園の充足率が改善し、施設共通費と採用費が減る。
- 高価格帯の幼児教育・学童:数量 8.0(代表的なプレップスクール施設換算(校))× 価格 4.00(代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 5 億円。高級教育を8校相当へ拡張する。
- 国内国際教育・留学支援:数量 7.0(グローバルスクール換算拠点(校))× 価格 1.90(1校換算当たりの国際教育年間売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。国内国際教育の拠点増を見込むが、留学相談のAI代替による競争も残る。
- 産後ケアホテル Villa Mom:数量 14,500(販売室泊数(室・泊))× 価格 0.00(一室一泊当たり売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。17室換算で3施設程度の稼働が進み、産後ケアが営業黒字化する。
- 建築デザイン・業務受託:数量 3.5(年間受託案件数(件、推定))× 価格 0.32(1案件当たりの売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIによる事務工数縮小を数量に反映し、単価も物価上昇の範囲内とする。
- 外部向け給食・人材・療育・保育支援:数量 240(グループ外の年間取引施設数(施設、推定))× 価格 0.07(外部施設1件当たりの年間受取額(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。外部向けの給食・現場人材サービスが広がる。
- 未取得の海外保育・教育会社:数量 4.0(取得した海外運営拠点の換算数(拠点))× 価格 5.00(海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。小規模な海外教育事業の買収が成立する条件付きの売上。
倍率:資本コストk=9.0%、長期名目成長g=1.5%、通常の堀が半分残る前提を使う。2036年のROE18.11%からRONICは13.56%となり、正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.8577倍の上限そのものを採用する。10年間の純利益累計115億円、配当・自社株取得・優待の評価上の還元累計55億円を想定し、自己資本は61.5+115−55=121.5億円。海外事業の追加借入利息と統合費用は2036年純利益22億円に反映し、資金調達が無料とはみなさない。
確率:WITH統合で規模の経済が働く可能性は現実的だが、産後ケアの黒字化と小規模海外案件の成功まで必要であり、計画全達成ほど確実ではない。
中立 33% 国内需要を保ち、統合効果を着実に回収 利益 12 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,190 円134 億円
認可保育の全国需要は減るが、東京都心や人口流入地域では人気園の利用が続く。キッズガーデン系は5,100人、買収したWITH系は5,450人程度の在籍を保ち、グループ全体の保育児童数はほぼ横ばいとなる。公定価格は職員の処遇改善を通じて徐々に上がるが、物価と同じ割合で費用が補填されるとは限らない。賃金上昇分を充足率改善と省力化である程度吸収する。
高級教育は価格を急激に上げられず、プレミアム事業が7校相当、国際教育が5拠点相当となる。2026年開業の産後ケアホテルは17室換算で2施設、年間8,500室泊を販売し、営業黒字は小幅にとどまる。保育サポートは外部120施設ほどとの取引を想定するが、給食システムや管理事務にはAIエージェントによる省人化と単価圧力がある。建築デザインの受託数量は現状の4件相当から3件へ減る。
海外事業は投資案件の内容が不明なため売上を計上しない。買収後の統合は進むが劇的ではなく、管理費とのれん償却を負担して2036年の営業利益は約23億円になる。税後利益は金融費用を差し引いて約12億円である。配当と優待を維持しながら負債を減らせるものの、利益が膨らむまでには時間を要する。
- 認可保育(買収前のキッズガーデン系):数量 5,100(在籍児童数(人、期末数量の代理))× 価格 0.03(児童1人当たり年間受入額(億円、名目))→ 売上 161 億円・営業利益 19 億円。児童数は約0.97倍、受入単価は約1.34倍。物価の影響は単価だけに含む。
- 取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護:数量 5,450(買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用))× 価格 0.03(買収先の年間売上÷児童数(億円、名目))→ 売上 169 億円・営業利益 15 億円。買収先の児童数はほぼ維持し、受入単価は物価上昇よりやや遅れる。
- 高価格帯の幼児教育・学童:数量 7.0(代表的なプレップスクール施設換算(校))× 価格 3.30(代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。7校相当を維持・拡張するが、名目単価の上昇は一般物価を下回る。
- 国内国際教育・留学支援:数量 5.0(グローバルスクール換算拠点(校))× 価格 1.20(1校換算当たりの国際教育年間売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。国内の国際教育が5拠点相当になり、留学手配等の情報部分はAI代替を受ける。
- 産後ケアホテル Villa Mom:数量 8,500(販売室泊数(室・泊))× 価格 0.00(一室一泊当たり売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。17室換算2施設、年間約8,500室泊。価格上昇は人件費上昇を十分には上回らない。
- 建築デザイン・業務受託:数量 3.0(年間受託案件数(件、推定))× 価格 0.30(1案件当たりの売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型のAIエージェント代替として受託件数を0.75倍、単価を約1.30倍とする。
- 外部向け給食・人材・療育・保育支援:数量 120(グループ外の年間取引施設数(施設、推定))× 価格 0.07(外部施設1件当たりの年間受取額(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。外部120施設を仮定。主に現場の給食・人材支援で、事務SaaS部分の代替リスクを織り込む。
- 未取得の海外保育・教育会社:数量 0.0(取得した海外運営拠点の換算数(拠点))× 価格 5.00(海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。海外M&Aが未契約のため、会社の2031年目標があっても中立の売上には計上しない。
倍率:資本コストk=9.0%、10年より先の名目成長g=1.5%、堀の残る割合0.5を使う。ROE=11.7÷93.5=12.51%、RONIC=9.0%+0.5×(12.51%−9.0%)=10.76%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=11.474倍の上限そのものを使い、2036年純利益11.7億円に適用する。中立の10年間の純利益累計68億円、株主還元累計36億円から期末自己資本=61.5+68−36=93.5億円となる。営業利益23.094億円には本社費・のれん償却を含む。金融収支約マイナス5億円と税等を経た純利益11.7億円であり、借入元本を利益倍率からもう一度控除しない。
確率:物理的な保育需要の継続と既存施設の充足率改善を認め、海外買収の契約が未成立のためその売上を除く中心値。下に寄せる理由:巨額の変動金利借入、のれん、財務制限条項により金融面の失敗が非対称に大きい。
やや悲観 28% 園児減少と借入金利が利益を圧迫 利益 5 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,334 円43 億円
全国の保育利用児童が減る速度が想定を上回り、一部の都市部でも園児獲得の競争が厳しくなる。既存のキッズガーデンは4,800人、WITH系は5,000人程度に縮む。稼働率が下がっても園長や保育士の最低配置、家賃はすぐには減らない。公定価格の改定が人件費の上昇に遅れることで、収益力の改善は限定的になる。買収による本部機能の合理化も計画の半分程度しか進まない。
プレミアム教育は6校相当で伸び悩み、国際教育も利益率が低下する。産後ケアホテルは17室換算の1施設を中心に運営し、年間5,000室泊にとどまるため営業利益を出せない。建築デザインはAIエージェント代替により受託件数が既存の約6割へ縮小し、給食管理ソフトも画面操作の自動化で契約価格を抑えられる。海外M&Aは買収条件が合わず見送る。
2036年の営業利益は約13億円まで回復するが、借換金利と既存の金融費用が利益を食う。株主への還元は段階的に圧縮され、10年後の純利益は約4.5億円にとどまる。事業は存続するものの、資本コストを下回るROEでは新たな買収が株主価値を増やすとは言い難い。
- 認可保育(買収前のキッズガーデン系):数量 4,800(在籍児童数(人、期末数量の代理))× 価格 0.03(児童1人当たり年間受入額(億円、名目))→ 売上 144 億円・営業利益 12 億円。園児数が減り、固定費が残ることで採算が悪化する。
- 取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護:数量 5,000(買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用))× 価格 0.03(買収先の年間売上÷児童数(億円、名目))→ 売上 145 億円・営業利益 12 億円。買収先の定員充足率が低下し、統合効果は限定的になる。
- 高価格帯の幼児教育・学童:数量 6.0(代表的なプレップスクール施設換算(校))× 価格 3.00(代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。高級教育の拠点は増えず、単価の上昇も物価を下回る。
- 国内国際教育・留学支援:数量 4.0(グローバルスクール換算拠点(校))× 価格 1.05(1校換算当たりの国際教育年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。国際教育は一部のみ黒字化し、留学相談ではAI代替が進む。
- 産後ケアホテル Villa Mom:数量 5,000(販売室泊数(室・泊))× 価格 0.00(一室一泊当たり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。1施設中心の営業にとどまり、固定費を賄うのが精いっぱいとなる。
- 建築デザイン・業務受託:数量 2.4(年間受託案件数(件、推定))× 価格 0.29(1案件当たりの売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により人月業務の数量は現在の0.6倍まで減る。
- 外部向け給食・人材・療育・保育支援:数量 60.0(グループ外の年間取引施設数(施設、推定))× 価格 0.05(外部施設1件当たりの年間受取額(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。給食・現場支援の外部契約は少なく、管理ソフト部分は価格が下がる。
- 未取得の海外保育・教育会社:数量 0.0(取得した海外運営拠点の換算数(拠点))× 価格 5.00(海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。海外買収を見送る。
倍率:ROE=4.5÷77.5=5.81%で資本コスト9%を下回る。追加成長に価値を認めず、事業の純利益÷kに相当するPER上限11.11倍より低い9.5倍を用いる。10年後時価総額42.75億円は稼ぐ力の上限50億円以下であり、確認困難な資産価値に基づく保守的な床1億円も下回らない。期末自己資本は現在61.5億円に10年間の純利益累計40億円を加え、還元24億円を引いた77.5億円。
確率:少子化、公定価格と賃金のずれ、借換利率の上昇が同時に利益を圧迫する蓋然性がある。事業は残ってもROEが資本コストを下回るリスクに厚めの確率を割く。
悲観 18% 買収が裏目に出て収益の堀を失う 利益 0 億円 · PER 6.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 75 円2 億円
少子化と競争によって不採算園の退園・閉鎖が相次ぎ、キッズガーデン系は4,000人、WITH系は4,100人まで減る。補助制度が人件費上昇に追いつかず、施設を維持する固定費が重荷となる。高級プレップスクールも需要が細り、国際教育と産後ケアホテルは一部を撤退する。海外買収の利益は一切実現せず、給食システムや設計・管理業務の外部売上もAIエージェント代替によって大幅に縮む。
本部の統合や店舗閉鎖で費用を削っても、2036年の営業利益は5億円に届かない。変動金利借入の借換えを巡って金融機関との協議が長期化し、配当と優待は早期に停止する。のれんの一部が減損となる期間があり、累計利益も抑えられる。買収で増えた帳簿の純資産は換金できる現金の裏付けに乏しく、清算すれば借入金と優先債務が株主に先立つ。
この筋書きは直ちに破綻するのではなく、追加の施設投資をほぼ止め、既存の保育園だけを低い収益率で続ける場合である。10年後には小さいが正の純利益が残るものの、投資資本に十分な利回りを与えない。資産の売却額に保証はなく、既存株主が回収できる価値は極めて小さい。
- 認可保育(買収前のキッズガーデン系):数量 4,000(在籍児童数(人、期末数量の代理))× 価格 0.03(児童1人当たり年間受入額(億円、名目))→ 売上 108 億円・営業利益 9 億円。園児数が大幅減となり、閉園や人員整理後にも低い利益率しか残らない。
- 取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護:数量 4,100(買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用))× 価格 0.03(買収先の年間売上÷児童数(億円、名目))→ 売上 105 億円・営業利益 6 億円。買収先の立地優位が弱まり、統合後の稼働率が低下する。
- 高価格帯の幼児教育・学童:数量 4.0(代表的なプレップスクール施設換算(校))× 価格 2.70(代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。高級教育の店舗整理が進み、値上げも定着しない。
- 国内国際教育・留学支援:数量 2.0(グローバルスクール換算拠点(校))× 価格 0.90(1校換算当たりの国際教育年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。国際教育の拠点縮小と留学支援のAI代替で赤字となる。
- 産後ケアホテル Villa Mom:数量 1,800(販売室泊数(室・泊))× 価格 0.00(一室一泊当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。高い固定費を稼働室泊で回収できず、事業を縮小する。
- 建築デザイン・業務受託:数量 2.2(年間受託案件数(件、推定))× 価格 0.25(1案件当たりの売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替によって受託数量と実質単価がともに低下する。
- 外部向け給食・人材・療育・保育支援:数量 10.0(グループ外の年間取引施設数(施設、推定))× 価格 0.04(外部施設1件当たりの年間受取額(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。外部顧客の獲得が進まず、管理業務のAI代替も強まる。
- 未取得の海外保育・教育会社:数量 0.0(取得した海外運営拠点の換算数(拠点))× 価格 5.00(海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。海外買収は成立しない。
倍率:ROE=0.4÷64.5=0.62%で資本コスト9%を大きく下回る。成長投資を評価せず、利益による価値の上限PER11.11倍を十分に下回る6倍とする。2036年の小さい純利益0.4億円による時価総額は2.4億円で、稼ぐ力の上限4.44億円以下であり、売れる資産を厳しく見た床1億円以上となる。10年間の累計純利益12億円には減損等の負担を含む低い収益力を仮定し、途中還元9億円を差し引くため、自己資本の道筋は61.5+12−9=64.5億円。過去の市場PBRは参照しない。
確率:買収シナジーが生まれず、一部のれんの減損・園の撤退・財務制限条項への接近が重なる複合シナリオ。金利と人件費の固定的負担が大きく、一度悪化すると立て直しに時間がかかる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
認可保育(買収前のキッズガーデン系)
保育園の在籍児童から公定価格と保護者負担による収入を得る。2026年6月の児童数を期末の数量近似に使う。
| 数量在籍児童数(人、期末数量の代理) | 価格児童1人当たり年間受入額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,285 | 0.02 | 125 | 12 |
| 10 年後 中立 | 5,100 | 0.03 | 161 | 19 |
取り方:2026年3月期会社開示の認可保育売上124.67967億円を、2026年6月に開示された買収前グループの児童5,285人で割った代理単価235.9万円。児童数は厳密な2026年3月末の認可園のみの人数ではなく、事業区分と時点がずれるため実測単価とはしない。営業利益12億円は区分別の確定実績でなく、総額3.7億円に整合する推定。公定価格は自動CPI連動でない。
取得したWITH・アンジェリカ等の園と介護
2026年5月の買収で加わった100施設。保育と一部介護・支援を含む一体的な売上として扱う。
| 数量買収先の在籍児童数(人、介護等を含む売上の割り算用) | 価格買収先の年間売上÷児童数(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.02 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5,450 | 0.03 | 169 | 15 |
取り方:2026年3月期は取得前なので連結売上・営業利益ともゼロ。会社公表の取得先2025年10月期売上131.62億円と2026年6月末児童5,571人から、年間約236.3万円/人の混合単価を作った。介護・支援売上も割り算に含むため保育料そのものではない。初年度に両社の売上を重複算入しない。将来の給食等の内部取引はここへ含め、新規支援区分では外部売上だけを計上する。
高価格帯の幼児教育・学童
プレップスクールと学童、体験活動、スイミングの教育サービス。
| 数量代表的なプレップスクール施設換算(校) | 価格代表施設1校換算当たりの関連年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.0 | 2.81 | 17 | 2 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 3.30 | 23 | 3 |
取り方:2026年3月期のプレミアム教育売上16.87910億円を、会社施設一覧のプレップスクール約6校で割る。学童・スイミング等も分子に含むので、6施設が全売上を実際に生んだという意味ではなく、営業拠点換算の平均単価。区分営業利益は管理費配賦情報がないため2億円と仮定。
国内国際教育・留学支援
グローバルスクールと留学相談を行う。海外M&Aの取得事業とは別に把握する。
| 数量グローバルスクール換算拠点(校) | 価格1校換算当たりの国際教育年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 0.90 | 3 | −1 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 1.20 | 6 | 0 |
取り方:2026年3月期の国際教育売上2.69225億円を国内のグローバルスクール3校換算で割る。留学支援収入も入るため厳密な学校ごとの売上高ではない。立ち上げ負担を考慮して区分営業損失を約0.5億円とする分析上の推計。情報提供・留学手配の事務部分にはAIエージェント代替がある。
産後ケアホテル Villa Mom
2026年6月に開業した17室の産後ケアホテル。実際の販売単位は宿泊した室泊数。
| 数量販売室泊数(室・泊) | 価格一室一泊当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.00 | 0 | −2 |
| 10 年後 中立 | 8,500 | 0.00 | 9 | 0 |
取り方:2026年3月期には未開業なので室泊数と売上はゼロ。公式宿泊プランの6泊529,320円を6で割り、一室一泊88,220円=0.0008822億円を出発単価とする。客室の種類や食事・追加サービスによる変動を含まない目安。2026年3月期の開業準備損失は区分開示がなく約1.5億円と仮定する。将来の室泊数は17室×365日×施設数×稼働率で推定。
建築デザイン・業務受託
園舎等の建築デザイン、調査・事務、受託型の専門サービス。
| 数量年間受託案件数(件、推定) | 価格1案件当たりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.0 | 0.23 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 0.30 | 1 | 0 |
取り方:2026年3月期の会社開示ファミリーサポート売上0.92089億円を、実件数が非開示のため年間4案件と仮置きし、1件0.23022億円と逆算した推定。建設現場と許認可対応は残るが、提案書・設計補助・調査等の人月要素はAIエージェント代替の型。中立では件数4→3(0.75倍)、単価は0.2302→0.30(物価上昇率以下)とする。
外部向け給食・人材・療育・保育支援
買収先の給食管理・現場人材・療育のノウハウを外部施設に売る。グループ内取引は除く。
| 数量グループ外の年間取引施設数(施設、推定) | 価格外部施設1件当たりの年間受取額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 0.07 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.07 | 8 | 1 |
取り方:2026年3月期時点の外部向け独立売上・施設数は区分開示がなく、連結対象にも入っていないためゼロを置く。2036年中立の120施設・年間700万円は会社予想でなく分析者の契約数と価格の仮定。全国約4万施設の0.3%が外部顧客となる計算で、内製の管理業務を二重に売上へ加えない。外部売上の大半は現場給食・人材支援、画面操作中心のソフト部分はAIで数量0.7〜0.9・価格1.00〜1.15倍という厳しい型を使い、単価は混合推定。
未取得の海外保育・教育会社
アジアの保育・教育関連企業の取得を計画するが、具体的な買収契約はまだない。
| 数量取得した海外運営拠点の換算数(拠点) | 価格海外運営拠点1つ当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 5.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 5.00 | 0 | 0 |
取り方:2031年に海外売上比率30%を掲げるが、2026年10月時点で対象会社・買収価額・件数の契約は未確認。出発点の数量ゼロで、単価5億円は海外に取得する保育運営施設・企業を1拠点換算した仮定。中立ではゼロ、楽観側だけ具体的な買収成立を条件に計上し、現地の管理費と資金調達利息を全社損益に反映する。
リスクと懸念
変動金利の大型借換えと財務制限条項
買収に伴う167.65億円の短期・変動金利借入は、金利が再設定されるたびに営業利益の取り分を狭める。純資産の維持と経常黒字に関する制限条項があり、借換えが難航すれば成長投資より返済を優先することになる。現預金を除いた純金融負債だけを見て金利負担を相殺せず、借入総額と受取利息を別々に監視する。
少子化、公定価格と人件費のすれ違い
全国の保育所利用児童は既に減少しており、地域によって定員割れが増える。認可保育は行政の単価設定に従うため、保育士の賃上げや法定配置基準が重くなっても、ただちに料金を上げられない。給付制度が物価に遅れれば、園児数の減少と利益率悪化が重なり、買収後の規模の利益を相殺する。
のれん117億円と買収の投資利回り
WITH買収後ののれんは自己資本を上回り、実体のある資産の売却価値とは異なる。買収先の前期営業利益と取得対価の単純な比較は約5.4%で、必要な株主利回りを十分に示していない。統合費用、施設修繕、金融費用を負担した後で利益が残らなければ、のれんの減損と借入条項の悪化が同時に発生しうる。
産後ケアホテルの稼働率とリース固定費
17室の産後ケアホテルは一泊当たりの収入が大きい一方、助産師・保育士の常駐や建物の費用が先に発生する。1施設5億〜8億円規模の新設投資が必要で、稼働率が少し下がるだけで投下資本利益率が下がる。園や介護施設の賃貸借も固定支払が残るため、家賃を営業費用に含めた収益を評価した上で、リース負債を重ねて二重控除しない。
AIエージェント代替と周辺サービスの単価低下
保育士が子どもを見守る現場の仕事や産後ケアの対人サービスは、AIが直接代替しにくい。反対に、建築デザインの資料作成・調査、研修や留学相談の情報業務、給食管理ソフトの画面操作、事務型の人材紹介・管理はAIエージェント代替にさらされる。受託設計の中立数量を縮め、業務ソフトの利用単価を厳しく見る。記録の正本といえる低解約率などの証拠は未確認である。
利益を上回る配当と優待の維持
2027年3月期の計画配当性向は153.2%で、利益を超える支払いが続けば借金返済が遅れる。デジタル優待は保有条件を満たす株主に年3万円相当を約束するが、実費と対象人数の合計はまだ分からない。今後の増配、自社株取得、借入削減を同時に実施できるかは営業現金収入に依存する。優待の額面をそのまま全株主の利益とはみなさない。
海外M&Aの買値・統合・希薄化
2031年3月期に海外売上比率30%を目指す中期計画は、アジアでの企業取得を重要な前提とする。しかし対象会社の収益、許認可、取得価格、資金調達条件は未確定である。高値で取得して借入を増やしたり、株式を発行して既存株主の取り分を薄めたりすれば、会社全体の売上が増えても1株当たり価値は減りうる。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の大型借入を複数年の条件に借換え、純金融負債も減らせたら
- 財務不安の確率を引き下げる。借換年限、変動金利のスプレッド、条項の余裕を同時に点検し、楽観側へ重みを移す。
- 2028年3月期の営業利益15億円、純利益7億円の予想を通常費用込みで達成したら
- WITHが通年寄与した利益水準を確認できるため、中立の営業利益率と買収の再投資利回りを再評価する。
- 認可保育の児童数が1万人台を保ち、既存園の充足率が改善し続けたら
- 全国需要が減っても同社がシェアを守っていると判断する。人員配置と政府給付の動きも合わせて数量・利益率を上方修正する。
- 公定価格改定が保育士賃金上昇に2年以上遅れ、定員割れ園が増えたら
- 中立の受入単価と利益率を下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。固定家賃の園をどこまで閉鎖できるかを見る。
- 産後ケアホテルの実績が年間8千室泊相当と十分な営業現金を生んだら
- 次施設の投下資本回収を確かめたうえで産後ケアの数量を引き上げる。売上だけでなく人件費と建築費を含める。
- 給食システムや事務型支援の外部顧客が増えても契約単価が下がったら
- AIエージェント代替が進んだ兆候とみなし、ソフト・工数業務の数量と単価を下げる。現場配送・介護の業績とは分ける。
- 海外企業の買収が正式決定し、買値と取得後の利益、調達条件が開示されたら
- 契約で裏づけられた分だけ海外事業を中立に移す。増資の有無と旧株主の取り分も確認する。
見ておくもの
- 2027年3月期からのWITHグループ12か月連結後の営業利益、のれん償却額、営業キャッシュフロー
- 167.65億円の取得資金借入の借換年限、変動金利スプレッド、財務制限条項の余裕
- 買収前園5,285人・WITH系5,571人を分けた在籍児童数、定員充足率と園別採算
- 認可保育の公定価格改定、国・自治体の処遇改善補助金と保育士賃上げ率
- 産後ケアホテルの稼働室泊、平均宿泊単価、修繕・新設投資と運営現金収支
- 年間配当・デジタル優待の実費、株数増減、増資と自社株買いの実行額
- 海外買収の契約成立件数・取得額・買収先営業利益・統合費用、AI代替される受託業務の外販単価
倍率と資本コストの決め方
2026年3月期の確定売上を領域別に分け、翌期の買収先売上は二重に足さず、2036年の児童数・校数・室泊・外部施設契約数と名目単価を掛け合わせた。認可保育の数量は実質人数、価格は公定価格・物価上昇の影響であり、全国市場の名目規模を数量に流用しない。既存の人月型設計は中立数量を0.75倍とし、AI代替をもう一度資本コストに足さない。
倍率は今の株価・過去の市場PERから逆算せず、k9%、長期名目成長1.5%、10年後のROEと超過収益力の半減から求めた。ROEがkを下回る下側は稼ぐ力の上限と確認できる売れる資産の床の間に置いた。特に2026年6月末ののれん117億円を帳簿自己資本の換金価値として残さず、借入198億円と現金52億円を別々に把握した。現時点の市場時価総額は約85.87億円だが、この水準に一致させるために数量、倍率、確率を調整していない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%+株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%へ、循環・値決め・買収後の純金融負債・現場業務の寿命を合計したquality+1.5%を加える。大型買収の成否は筋書きと確率に置き、追加の恣意的な上乗せは行わない。