結論
京進は、京都・関西を地盤に学習塾、日本語学校、保育園と介護施設を営む会社だ。売上の半分は保育・介護で、3 分の 1 が学習塾、残りが語学である。筆者の結論は「割安」。利益の質は薄いが、今の値段には先行きの改善がほとんど織り込まれていないと見る。
2026 年 2 月期は決算期の変更で 9 か月の変則だった。12 か月で見ると売上は 270 億円ほど、営業利益は 6 億円台で、利益率は 2% 台にとどまる。会社は今期、売上 284 億円、営業利益 7.9 億円を見込む。
稼ぎ頭は学習塾だ。売上は 3 割台でも、セグメント利益の大半を出す。不採算校の統合が効き、利益は伸びている。保育・介護は、介護事業者の買収と高い稼働で、利益が戻り始めた。
弱みは借金と薄い自己資本だ。自己資本比率は 18%、利息の負担が営業利益の 3 割近くを食う。賃借料は年 22 億円と、売上の 8% が固定費である。
会社は 2035 年に売上 400 億円、利益率 10% を掲げる。筆者は、そこには届かないが、利益は今の 1.5 倍から 2 倍に増えると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「利益の薄い事業で、借金を抱えたまま、10 年先に払える価値が残るか」を問う。この会社の答えは、条件付きで「残る」だ。
学習塾は、統合で利益が出る体質になった。介護・保育は、制度に支えられた収入で、人が集まる限り需要は消えない。この 2 つの部分に、筆者は価値を見る。
懸念は、借金と薄い利益率が同時にあることだ。利益が少し下がると、利息の負担が一気に重くなる。賃借料も固定の約束として、売上の 8% を占める。
資本の使い方は、守りと攻めが混じる。配当は利益の 3 割で控えめ、買収は小さく、のれんの減損も出ている。
筆者は、利益が今の 1.5 倍に増えれば、今の値段は安いと見る。ただ、その前提は、学習塾の統合と介護の稼働が続くことだ。
長く持ちたい事業というより、数字が少し良くなるだけで価値が動く、安全域のある銘柄だ。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つある。学習塾は、個別指導の「スクール・ワン」と、集団・個別の「TOPΣ」などで、関西から首都圏まで広がる。期中平均で 2.4 万人が通い、売上は 12 か月で 96 億円ほどになる。
語学関連は、日本語学校が中心で、留学生を受け入れる。平均 7,700 人が在籍する。ただ、中国からの新規の学生が政策で細り、利益は前期に 7 割減った。
保育・介護は、保育園「HOPPA」と介護施設、学童、リハビリ型のフィットネスだ。利用者は平均 4,200 人。2025 年 10 月に兵庫・尼崎の介護事業者リンクハートを約 5 億円で買い、サービス付き高齢者向け住宅など 6 施設が加わった。
従業員は連結で 2,195 人、臨時雇用は平均 5,203 人と多く、人に頼る労働集約の事業だ。
校舎や園の賃借料は年 22 億円。土地は自社で 27 億円分を持つ。
決算期は 2025 年に 5 月から 2 月に変わり、前期は 9 か月だった。比べるときは 12 か月に直す必要がある。
学習塾の売上の地域は、校舎名からみて京都・滋賀・大阪など関西が中心で、首都圏にも校舎がある。
優良さと弱いところ
優良さは「並」と見る。強みは、学習塾の地力と、介護・保育という公的な制度に支えられた安定収入だ。弱みは、薄い利益率と重い財務である。
学習塾は、校舎を統合して利益率を戻した。売上は微減でも利益が 6% 伸びたのは、その成果だ。会社は 2035 年の目標を、学習塾の利益率 22% とする。今は 12% ほどなので、遠い目標である。
保育・介護は、利益率が 3% 前後と薄い。ただ稼働率が高く、買収した施設も収益に寄与し始めた。人材の確保が最大の制約になる。
語学は、利益がほぼ出ていない。学生の国籍を広げる試みは始まったが、政策の影響を受けやすい事業だ。
財務は不安が残る。有利子負債が重く、営業利益は支払利息の 2.7 倍にとどまる。ただし現預金は 43 億円あり、返済が詰まる局面ではない。
筆頭株主の TCK ホールディングスが 36% 台を持つ(第三者の集計)。経営は安定するが、少数株主の利益は大株主の意向に左右される。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
京進の領域は 3 つで、需要の形がまるで違う。
学習塾は、子どもの数が減り、少子化の中で通塾率が上がる成熟市場だ。京都・関西と首都圏の都市部は、地方より子どもの減りが緩やかである。ただ生成 AI が解説と学習計画を安く出し、補習と個別の学習は置き換わる。数量も授業料も押される。
保育・介護は、制度が値段を決める。保育は公定価格で単価が決まり、子どもの減りで数量は細る。介護は高齢化で利用者が増え、介護報酬の改定が値上げの幅を決める。賃金の上昇を報酬に転嫁できるかが分かれ目だ。
日本語学校は、留学生の数が政策に左右される。2024 年から認定制度が始まり、既存校は 2029 年 3 月末までに認定を取る必要がある。基準を満たせない学校は淘汰され、残る学校には追い風になる。
3 つに共通するのは人手不足だ。賃金は物価で上がり、人を集められない校舎や施設は広げられない。
競合は、学習塾は大手の個別指導と地場の塾、介護は地域の中小の事業者で、規模の利益が働きにくい。
筆者は、学習塾の統合と介護の積み上げで、この会社の利益の質は少しずつ良くなると見る。ただ、人手不足と賃金の上昇は 3 つの事業すべてに効き、利益率の改善は小幅にとどまる。
資本政策と M&A
配当は連結配当性向 30% を目標とし、年間配当の下限を設ける。2026 年 2 月期の期末配当は総額 3.9 億円。還元は利益の 3 割で、増配の余地は利益次第だ。
自己株の取得は「適切に実施」とするが、実績は見えない。2026 年 10 月には、従業員向けの株式インセンティブの信託を自己株式の処分で設ける。
有利子負債は重い。長期借入は 2026 年 2 月期に 3.8 億円増え、リース債務も増えた。支払利息は年 1.8 億円で、金利上昇の影響を受ける。
M&A は、リンクハートの買収が代表例だ。「学びを核に人の一生を支援する」方針で、介護・語学へ重点投資し、ROE を上げると言う。買収ののれんの減損は、事業等のリスクに挙がる。
会社は PBR 1 倍の早期超えを掲げる。大株主が 3 分の 1 超を持つため、TOB や統合の可能性は無視できないが、価値の評価には使わない。
賃借料は子会社を含めて年 22 億円。新リース会計基準で 2028 年 2 月期から負債が増えて見える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
学習塾の統合が実を結び、2035 年に利益率 15% 台まで戻る。不採算校を畳んで生徒を集めた効果が出ており、前期のセグメント利益は 6% 伸びた。
保育・介護は、リンクハートの買収で積み上がった施設が稼働し、高齢化で利用者が増える。介護報酬の改定で賃金の上昇を転嫁できれば、利益率は 5% 台に乗る。
日本語学校は、認定制度で淘汰が進み、国籍を広げた学校が学生を集める。
会社の 2035 年の目標は、売上 400 億円、利益率 10%。そこまで届かなくても、売上 430 億円、利益率 6% に乗れば、利益は今の 3 倍になる。
借金は利益で返せる。利息が減れば、純利益はさらに伸びる。
今の時価総額は、利益が今のまま止まる前提に近い。計画が少し進むだけで、価値は大きく動く。
学習塾と保育・介護の両方で、会社の想定する 2035 年のポートフォリオ転換が進むほど、利益の質は上がる。
前期は営業利益が 6.6% 増え、経常利益は 4 割増えた。足元の流れは、まだ利益が小さい分、伸びやすい。
慎重な見方
利益率は 12 年のあいだ 3% 台にとどまり、10% の目標は夢物語だ。学習塾は生成 AI で補習が置き換わり、数量と授業料が押される。
保育は子どもの減りで細り、介護は人手不足で施設を広げられない。賃金の上昇を介護報酬の改定が追いつかなければ、利益は消える。
日本語学校は、政策の変更で一気に学生が減る。前期の利益はすでに 7 割減った。
借金が重く、営業利益は支払利息の 2.7 倍しかない。賃借料が売上の 8% あり、売上が落ちても減らない固定費になる。
決算期の変更で 9 か月になった前期の数字は読みにくく、「改善」は構造的なものか、不採算校を畳んだ一時の効果かがわからない。
買収の減損が出れば、薄い自己資本が削られ、財務がさらに苦しくなる。
介護の報酬改定は賃金の上昇に遅れる年が多く、人手不足の局面では薄い利益が先に消える。
前期の純利益は 63% 減った。営業利益が増えても、減損と税金で株主の手元に残る利益は小さい。
どちらに重みを置いたか
学習塾の統合と介護の稼働という、足元の改善は本物と見て評価した。借金と薄い利益率の弱みは確率に反映し、やや悲観と悲観で 40% を置いた。楽観は、会社の目標の 6 割ほどの利益率に届く筋書きで 6% にとどめた。慎重な見方は強いが、今の時価総額は利益の改善をほとんど織り込まない水準にあり、強気の見方に分がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 757 円58 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 124 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 417 円32 億円、今との差 +49.6%、 期待の年率 +12.2%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,965 円228 億円 | 286 円22 億円 | +1,065.2% | +27.8% | 195 円15 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,591 円122 億円 | 195 円15 億円 | +540.4% | +20.4% | 286 円22 億円 |
| 中立 | 38% | 705 円54 億円 | 143 円11 億円 | +204.2% | +11.8% | 322 円25 億円 |
| やや悲観 | 28% | 157 円12 億円 | 65 円5 億円 | −20.3% | −2.2% | 62 円5 億円 |
| 悲観 | 12% | 101 円8 億円 | 26 円2 億円 | −54.3% | −7.5% | 15 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 757 円58 億円 | 124 円10 億円 | +215.8% | +12.2% | 881 円68 億円 |
今の株価時価総額 279 円21 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 学習塾と介護が揃って伸び、利益率 6% 台に届く 利益 15 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 2,965 円228 億円
学習塾は不採算校の統合を進め、生徒数は 5% の減りにとどまる。授業料は物価並みに上がり、利益率は 16% に戻る。
保育・介護は、買収した施設が稼働し、高齢化で利用者が増える。介護報酬の改定で賃金の上昇を転嫁し、利益率は 5% 台に乗る。
日本語学校は、認定制度で淘汰が進み、国籍を広げた学校が学生を 3 割増やす。
会社の目標の 10% には届かないが、売上は 430 億円、営業利益率は 6% に乗る。借金は利益で返せ、利息が減る。
配当は性向 30% の方針どおり増え、自己資本は 90 億円ほどに積み上がる。
- 学習塾(個別指導・集団指導):数量 23,049(期中平均の在籍生徒数(人))× 価格 0.01(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 122 億円・営業利益 19 億円。学習塾 数量 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 16.0%
- 語学関連(日本語学校):数量 10,007(期中平均の在籍学生数(人))× 価格 0.01(学生 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 74 億円・営業利益 6 億円。語学関連 数量 1.30 倍・価格 1.30 倍、利益率 8.0%
- 保育・介護:数量 5,249(期中平均の利用者数(人))× 価格 0.04(利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 235 億円・営業利益 13 億円。保育・介護 数量 1.25 倍・価格 1.30 倍、利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.83 倍、時価総額 218 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:学習塾が 15% 台、保育・介護が 5% 台の利益率に届く筋書き。会社の 10% の目標には届かず、実績との差を見て 6% にとどめた。
やや楽観 16% 統合の効果と介護の稼働で利益率 4% 台まで上がる 利益 9 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 1,591 円122 億円
学習塾は、生徒数が人口の減りと AI の影響で 1 割強減る。授業料は物価をやや下回る。統合の効果で利益率は 14% に上がる。
保育・介護は利用者が 2 割弱増える。介護は報酬改定で値上げを通し、保育は子どもの減りで伸び悩む。利益率は 4% 台。
日本語学校は、学生が 1 割強増えるが、中国の影響で利益率は薄い。
全体の営業利益率は 4% 台に乗り、会社の目標には届かない。
借金は少しずつ返せ、財務は今より軽くなる。自己資本は 74 億円ほどに増える。
日本語学校は認定制度のもとで、学生の国籍を広げた学校が残る。保育は、都市部の園の稼働が高く、数量の減りは緩やかだ。
- 学習塾(個別指導・集団指導):数量 21,351(期中平均の在籍生徒数(人))× 価格 0.01(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 111 億円・営業利益 16 億円。学習塾 数量 0.88 倍・価格 1.32 倍、利益率 14.0%
- 語学関連(日本語学校):数量 8,853(期中平均の在籍学生数(人))× 価格 0.01(学生 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。語学関連 数量 1.15 倍・価格 1.28 倍、利益率 4.0%
- 保育・介護:数量 4,955(期中平均の利用者数(人))× 価格 0.04(利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 218 億円・営業利益 10 億円。保育・介護 数量 1.18 倍・価格 1.28 倍、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.49 倍、時価総額 117 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:統合と稼働の効果が続き、利益率が 4% 台に上がる筋書き。足元の改善が本物と見て 16% に置いた。
中立 38% 学習塾の改善が続き、全体の利益率は 3% 近くまで 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 705 円54 億円
学習塾は、生徒数が 10 年で 2 割弱減る。少子化と AI による補習の置き換えが押す。授業料は物価に届かず 1.30 倍。統合した校舎の利益率は 12% 台を保つ。
保育・介護は、介護の利用者が増え、保育の減りを補って 1 割強増える。報酬改定の値上げは物価に届かず 1.25 倍。利益率は 3% 台。
日本語学校は、学生が少し増える。利益率は 2% 程度で、政策の影響が残る。
全体の営業利益率は 3% 近く。会社の目標の 10% には届かないが、今の 2.4% からは上がる。
配当は性向 30% の方針どおり。自己資本は 64 億円ほどで、ROE は 8% 近い。
- 学習塾(個別指導・集団指導):数量 19,895(期中平均の在籍生徒数(人))× 価格 0.01(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 102 億円・営業利益 13 億円。学習塾 数量 0.82 倍・価格 1.30 倍、利益率 12.5%
- 語学関連(日本語学校):数量 8,083(期中平均の在籍学生数(人))× 価格 0.01(学生 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。語学関連 数量 1.05 倍・価格 1.25 倍、利益率 2.0%
- 保育・介護:数量 4,703(期中平均の利用者数(人))× 価格 0.04(利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 202 億円・営業利益 7 億円。保育・介護 数量 1.12 倍・価格 1.25 倍、利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:学習塾の利益率が保たれ、介護が小さく伸びる標準の姿。AI の影響は数量と価格に入れたので、確率では重ねない。
やや悲観 28% AI と人手不足で利益が消え、薄い黒字にとどまる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 157 円12 億円
学習塾は、AI が補習を置き換え、生徒数が 3 割強減る。授業料は物価に届かず 1.22 倍。
保育・介護は、人手不足で施設を広げられず、賃金の上昇を報酬改定が追いつかない。利益率は 3% を切る。
日本語学校は、政策の影響で学生が減り、利益が出ない。
営業利益は 2 億円ほどに薄くなり、支払利息を引くと純利益はほぼゼロ。
配当は下限の水準に下がる。株主の取り分は、土地などの資産と、残る事業の稼ぎで決まる。
決算期の変更や買収ののれんなど、利益が読みにくい要素も残る。借り換えの金利が上がり、純利益をさらに押し下げる。
- 学習塾(個別指導・集団指導):数量 16,498(期中平均の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 79 億円・営業利益 7 億円。学習塾 数量 0.68 倍・価格 1.22 倍、利益率 9.0%
- 語学関連(日本語学校):数量 7,313(期中平均の在籍学生数(人))× 価格 0.01(学生 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。語学関連 数量 0.95 倍・価格 1.15 倍、利益率 0.0%
- 保育・介護:数量 4,199(期中平均の利用者数(人))× 価格 0.04(利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 166 億円・営業利益 5 億円。保育・介護 数量 1.00 倍・価格 1.15 倍、利益率 2.8%
倍率:純利益はほぼゼロで稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 39 億円に PBR 0.31 倍。土地などの売れる資産(床 8 億円)に稼ぎを足した水準で、中立の PBR より低く置いた。
確率:AI が補習を置き換え、介護は賃金上昇を転嫁しきれず、営業利益が薄くなる筋書き。借金が重く、金利の影響も受けるため 28% に置いた。
悲観 12% 塾が縮み、語学は政策で落ち、赤字が続く 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 101 円8 億円
構造的に負ける。AI の個別学習が受験の標準になり、学習塾の生徒数は半分に減る。授業料は 1.10 倍にとどまる。
日本語学校は、政策の変更で学生が 3 割減り、赤字になる。介護は人手不足で施設の稼働が落ちる。
営業赤字が続き、利息を払うと純損失は年 3 億円台になる。買収ののれんの減損も出て、自己資本は 22 億円まで減る。
配当は下限の水準にとどまる。株主の取り分は、土地などの資産の価値で測る。
借り換えの金利が上がる中で、支払利息が営業利益を超える年が続き、財務の余裕が削られる。
学習塾の校舎は統合しても、固定の賃借料が残る。介護の施設も同じで、稼働が落ちると赤字が早い。
- 学習塾(個別指導・集団指導):数量 12,131(期中平均の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 3 億円。学習塾 数量 0.50 倍・価格 1.10 倍、利益率 6.0%
- 語学関連(日本語学校):数量 5,389(期中平均の在籍学生数(人))× 価格 0.01(学生 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。語学関連 数量 0.70 倍・価格 1.05 倍、利益率 -1.0%
- 保育・介護:数量 3,989(期中平均の利用者数(人))× 価格 0.04(利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目))→ 売上 151 億円・営業利益 4 億円。保育・介護 数量 0.95 倍・価格 1.10 倍、利益率 2.5%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値が付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 39 億円に PBR 0.2 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。学習塾が縮み、語学が政策で落ち、買収の減損が出る。12% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
学習塾(個別指導・集団指導)
スクール・ワン、TOPΣ などの校舎で小中高生を指導する。売上の 34%、利益の大半を稼ぐ。
| 数量期中平均の在籍生徒数(人) | 価格生徒 1 人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/02 | 24,262 | 0.00 | 96 | 12 |
| 10 年後 中立 | 19,895 | 0.01 | 102 | 13 |
取り方:9 か月の売上 77.1 億円・平均 24,262 人(有報)。12 か月では売上 96 億円ほど(会社予想の年の 34%)。1 人あたり年 39 万円ほど。セグメント利益は 9 か月で 13.3 億円、春の費用を引いて 12 億円と推定。
語学関連(日本語学校)
日本語学校で留学生を受け入れる。売上の 15%。
| 数量期中平均の在籍学生数(人) | 価格学生 1 人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/02 | 7,698 | 0.01 | 44 | 1 |
| 10 年後 中立 | 8,083 | 0.01 | 57 | 1 |
取り方:9 か月の売上 33.3 億円・平均 7,698 人(有報)。12 か月では売上 44 億円ほど。9 か月のセグメント利益は 0.25 億円で、年 0.5 億円と推定。
保育・介護
保育園 HOPPA、介護施設、学童、リハビリ型のフィットネス。売上の 51%。
| 数量期中平均の利用者数(人) | 価格利用者 1 人あたり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/02 | 4,199 | 0.03 | 145 | 4 |
| 10 年後 中立 | 4,703 | 0.04 | 202 | 7 |
取り方:9 か月の売上 92.4 億円・平均 4,199 人(有報)。リンクハートが入った会社予想の年で 145 億円ほど。9 か月のセグメント利益は 3.0 億円で、年 4.3 億円と推定。
リスクと懸念
AI による学習塾の代替
生成 AI が解説と学習計画を安く出し、補習と個別の学習が置き換わる。人の時間で売る型で、数量と授業料の両方が押される。学習塾は売上の 3 分の 1 だが、利益の大半を稼ぐ。
重い借金と薄い利益
営業利益は支払利息の 2.7 倍で、自己資本比率は 18%。利益が少し下がると、利息の負担が一気に重くなる。金利は上がる前提で、借り換えの費用も増える。
日本語学校の政策リスク
留学生の受け入れは政策に左右される。中国の新規の学生が減り、前期の利益は 7 割減った。認定制度への対応費用もかかる。
介護・保育の人手と報酬
介護は報酬改定、保育は公定価格で値段が決まる。賃金の上昇を転嫁できなければ、利益率 3% 前後の薄い利益が消える。人材の確保も最大の制約だ。
買収ののれんと減損
リンクハートなど買収したのれんと、不採算校・施設の固定資産が減損の恐れになる。前期の減損は 2.3 億円で、自己資本の薄さと重なって響く。
固定の賃借料
賃借料は年 22 億円で、売上の 8%。売上が落ちても減らない固定の約束だ。新リース会計基準で負債が増えて見え、財務の指標が悪化する。
今後の分かれ目
- 今期の営業利益が会社の見込み(7.9 億円)を上回ったら
- 統合の効果と介護の稼働が出ているとみて、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 学習塾のセグメント利益率が 12% を割ったら
- AI や競合の影響が出ているとみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 介護報酬の改定で賃金の上昇を転嫁できたら
- 保育・介護の利益率の置き方を上げる。
- 日本語学校の認定が取れず、学生が急に減ったら
- 語学の数量を下げ、全体の利益率を下方修正する。
- TOB や大株主の動きが出たら
- 買い手が現れる可能性が出るが、価値の評価は変えず、確率だけ見直す。
見ておくもの
- 学習塾の期中平均生徒数とセグメント利益率
- 保育・介護の稼働率と利益率
- 支払利息と有利子負債
- 2027 年 4 月に出る中期経営計画の数字
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。中立は ROE が資本コスト k 8.5% をやや下回り、正当化 PER の上限は 1÷k = 12.1 倍。介護の需要は強いが学習塾は AI の影響を受けるので g は名目 3% 前後にとどめ、利益の質(借金が重く薄い)を見て上限の 8 割の 9.6 倍に置いた。今の株価・過去の倍率は使っていない。新リース会計基準の影響は、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)にそろえて置いた。決算期変更の 9 か月は 12 か月に直した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→14.83 倍・やや楽観 PER 10.5→13.49 倍・中立 PER 9.6→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.75% = 8.25%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 8.50%。