結論
ブリッジインターナショナルグループは、大企業の法人営業を外部から支え、営業改革の相談や社員研修まで引き受ける会社だ。筆者の結論は「やや割高」である。豊富な現金と長年の顧客関係には価値があるが、人の時間を売って稼ぐ事業そのものが、AIエージェントの普及で変わろうとしている。
その変化は、もはや遠い将来の仮説だけではない。2026年には主要な外資系IT顧客3社で契約終了・規模縮小が起き、年間約6.2億円の売上減少要因となった。会社は通期営業利益予想を従来の約9.8億~10.9億円から1.64億円へ引き下げた。営業担当者を正社員として抱える事業では、売上が突然消えても人件費が残り、利益が急速に失われる。
もっとも、この会社を単なる衰退企業と断じるのも早い。2025年末には約26億円の純現金があり、2026年にはAI開発会社EraXを買収した。営業支援の既存顧客へAI導入を提案できることは、競合にないとは言えなくても確かな営業上の利点である。ただし、新しいAI事業が既存の人月収入の減少を埋めるには、買収代金に見合う利益を繰り返し生む必要がある。
10年後の中立像では、売上高は約67億円、営業利益は約4.8億円にとどまる。これは企業向け営業支援そのものが消えるという予測ではない。人が担う仕事が減り、残った仕事をAIを使う少人数の組織で処理する方向への変化である。5つの筋書きを資本コストで割り戻した現在価値は約40.1億円となり、基準時価総額約47.8億円を約16%下回る。現金が厚いことだけで、長期間の収益力低下を打ち消すのは難しい。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場では、この会社の価値は「大企業が営業を外注し続けるか」ではなく、「外注先へ払う金額のうち、何割が人間の労働に対して支払われ続けるか」で決まる。顧客の営業活動そのものは消えない。しかし、調査、記録、連絡、案件整理がAIに移れば、同じ顧客を維持しても、以前と同じ人数を配置する必要はなくなる。長期の収入を確実に読める会社とは言い難い。
営業支援で培った顧客関係は、買収したAI技術を販売する際に役立つ。すでに取引がある大企業へ、営業手順を知った状態でAI導入を提案できるからだ。ただし、AIによる生産性向上が顧客への値下げとして渡るのか、自社の利益として残るのかはまだ定まっていない。人月契約を減らした分以上の継続収益を作れることが確認できて初めて、事業の質が変わったと判断できる。
オーナー利益を考える際、過去の純利益をそのまま自由現金と同一視すべきではない。社員の教育、採用後の待機費用、顧客に合わせた業務設計、研修内容の更新には毎年資金が要る。固定資産が軽いことは利点だが、需要が急減した際の固定人件費は経済的には重い負債に近い。2026年の利益減少は、その性質をはっきり示した。
財務の厚さは評価する。現金があるため、事業縮小を急いで進めずにすみ、買収した技術を既存事業に組み込む時間も確保できる。それでも、現金を利益率の低い買収や維持費に使い続ければ、株主の取り分は減っていく。経営者に問われるのは、売上を以前の水準に戻すことより、少人数で高い付加価値を生む事業へ資本を移せるかどうかである。
現時点では、価格に十分な安全域があるとは言えない。中立の10年後の企業価値は現在の時価総額に近いが、それまでの配当を含めても、資本コストを考えれば現在価値は下回る。豊富な現金を持つ会社であっても、将来の利益を過大評価して買えば長期の利回りは低くなる。今後は利益回復の大きさだけでなく、その利益がAI時代にも繰り返し得られるものかを確かめたい。
何で稼ぐ会社か
主力はインサイドセールスアウトソーシング事業である。顧客企業に代わり、見込み客の発掘、商談の準備、案件の育成を担う。電話をかけるだけではなく、数か月にわたる接触履歴を管理し、商談が熟した段階で顧客企業の営業担当者へ引き継ぐ。収入は配置する人員と契約規模に左右され、2025年の売上は約46.3億円だった。
顧客には世界的なIT企業や国内の大企業が多い。上位10社で主力事業の売上の約6割を占めるため、一度採用されれば長く取引が続く反面、大口顧客の方針変更には弱い。2026年の契約縮小は、この事業の二面性を示した。月額で収入が入ることと、顧客が将来も人員を必要とすることは別問題である。
プロセス・テクノロジー事業は、営業改革のコンサルティングやSalesforceなどの業務システム導入を担う。2025年の報告売上約15.5億円には、同年に売却したトータルサポートの売上が含まれる。売却した事業を除く継続部分の売上は約8億円である。人が設計し、設定し、導入する仕事が中心で、現時点では規制対応を独占する基幹システムや独自データベースを所有して利用料を徴収する構造ではない。
研修事業はアイ・ラーニングを中心に、企業の新入社員研修、IT研修、営業研修、管理職研修などを提供する。2025年の売上は約23.8億円で、年間3テーマ以上の研修を受ける企業は147社だった。新人研修の売上が全体のおよそ半分を占めるため、顧客企業の採用人数と春の研修需要に左右される。公開型の知識習得研修では、AIによる自主学習との競争が始まっている。
2026年に買収したEraXは、企業向けAIソリューションを個別に開発する会社である。買収前の直近12か月の参考売上は約1.47億円で、30社を超える顧客を持つとされる。AI導入支援という新しい収入源になるが、現在確認できる経済性は個別案件の開発・導入に近い。顧客が自ら利用するAIエージェントの普及から、同社が継続的な利用料を取れるとまでは確認できない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、法人営業の現場に入り込んだ経験と顧客関係である。大企業の営業活動では商品知識、商談履歴、社内の決裁手順を理解するまでに時間がかかる。会社が示す上位顧客の平均取引年数は約9年であり、継続性の高さは実績として認められる。顧客が社内で新たな営業部隊を立ち上げるより、同社へ任せた方が早い局面は今後もある。
しかし、この強みは価格を自由に上げられる堀とは違う。2026年には主要顧客の契約が短期間に縮小し、正社員の待機費用が利益を圧迫した。会社自身も、収入が継続することへの過信から人員配置を柔軟に変えられなかったと説明している。顧客との取引年数が長いことは事実だが、契約数量まで守られるわけではなかった。
過去の資本効率は良好だった。2016年から2025年に売上は約25億円から約86億円へ伸び、自己資本利益率も多くの年で二桁を保った。ただし、2026年の利益予想を踏まえると、過去のROEを将来の増分投資利回りとみなすことはできない。新たな人材採用や買収に投じる資金が、今後も資本コストを超えるとは限らない。
財務は明確な長所である。2025年末の自己資本約46.9億円に対し、純現金は約25.8億円あり、資金調達に追われて安値で事業を処分する必要は小さい。一方で、現金はすべて自由に配れるわけではない。AI会社の買収代金、株主還元、正社員の人件費、賃借オフィスの支払約束を考慮する必要がある。財務の厚さは再建の時間を買うが、顧客が仕事を戻してくれる保証にはならない。
強い堀に必要な、低い解約率の継続的な数値、規制による切替障壁、共同利用基盤としての不可欠性、継続的な値上げ実績、他社が再現できない独自データのうち、複数を十分な形で確認できない。営業活動の履歴には価値があるものの、その記録の正本は顧客企業側のCRMに残る場合がある。したがって、長期の堀は弱いと判定する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
法人営業の外注需要には、企業の営業人材不足という確かな追い風がある。営業担当者が新規顧客の発掘から契約まで一人で抱える従来型の営業は効率が悪く、工程を分ける考え方は今後も残るだろう。しかし、営業活動を分業することと、その分業された仕事を多数の人間が行うことは同じではない。AIエージェントは見込み客の調査、連絡文案の作成、案件の優先順位付け、CRMの更新を自動化し、人の配置数を減らしうる。
市場の比較では定義の違いに注意が要る。矢野経済研究所の国内BPO市場は2024年度に約5兆786億円という広い市場であり、同社の2025年の営業アウトソーシング売上約46億円は、その約0.09%に相当する。しかし、この市場には人事、経理、コールセンターなども含まれ、同社のインサイドセールス市場における厳密なシェアではない。同一範囲の市場規模と競合各社の売上がそろう公開統計は確認できなかった。
営業支援では、セレブリックス、SALES ROBOTICS、BALESなどの専門会社が競合し、より広いBPOではトランス・コスモスやベルシステム24が競争相手となる。市場全体が拡大しても、各社の顧客が人員を削減すれば委託人数は減る。現時点で競合各社のインサイドセールスに限定した比較可能なシェアは公表されておらず、10年後のシェア上昇を前提にしない。むしろ、既存顧客からの受託席数をどれだけ守れるかが重要である。
国内の企業向け研修市場は2025年度に約6,075億円と推計される。同社の研修売上約24億円は広義の市場の約0.39%に相当する。競合のインソースをはじめ、企業向け研修を提供する会社は多いが、各社で公開研修、個別研修、動画教材、IT教育の範囲が異なる。新入社員研修だけの公正なシェア比較は難しい。研修需要は残っても、知識を説明するだけの講座はAIとの競争で単価が抑えられる。
営業改革のシステム市場も成長余地は大きい。国内SFA製品市場の2024年規模は約617億円という推計があるが、同社のシステム導入・コンサル売上はソフトウェア製品の利用料ではないため、両者の比率を市場シェアとは呼べない。テラスカイ、NTTデータ、アクセンチュアなど、CRMの設計・導入を担う企業との競争が続く。SalesforceがAIエージェント機能を強めれば、従来の設定・操作支援の工数は減る一方、複雑な業務統合の相談は残る可能性がある。
筆者は、各市場の名目金額が物価とともに増えても、同社が販売する人月や研修の実質数量は縮むとみる。競合に奪われるだけではなく、顧客自身が少ない人員で同じ成果を出せるようになるからだ。2026年に生じた大口契約縮小と公開研修の需要減少は、この長期変化を考える出発点になる。
資本政策と M&A
経営は2024年に示した2026年の売上高110億円、営業利益12億円という中期計画を、2026年3月時点で売上82億~91億円、営業利益9.8億~10.8億円へ修正した。この時点の目標には営業利益率12%、ROE16%以上が掲げられていた。しかし、同年8月にはさらに売上73.38億円、営業利益1.64億円へ下方修正した。短期間で事業計画の前提が大きく変わったため、将来の成長計画をそのまま株主価値に算入することはできない。
株主還元方針は配当性向50%以上と累進配当である。2023年に配当を始め、2025年には増配し、自社株取得も行っている。2026年は利益予想の大幅減額にもかかわらず、年約3億円の配当を維持する見通しで、予想配当性向は約300%となる。2026年10月には上限約2.11億円の自己株取得枠も設定した。実行の有無と取得済み株数は、今後の開示で確認する必要がある。
買収の評価は厳しく行いたい。2025年にトータルサポートを売却し、2026年にはEraXを6.5億円で買収した。買収前のEraXの参考営業利益は約0.29億円であり、買収価格は直近の単年度利益に比べて小さくない。取得純資産との差額から相当額ののれんが発生すると見込まれるため、今後の利益が計画に届かなければ減損が必要になる。
一方、テラスカイとの資本業務提携は、Salesforce周辺の技術力を補う選択である。自社だけで技術を抱え込まない点は合理的だが、協業の成功を独占的な競争優位とみなすことはできない。今後の資本配分では、人員増や買収による売上規模よりも、買収後の営業キャッシュフローと株主に戻る現金を優先して評価する。10年間の還元は、業績に応じて増減させ、赤字が続く筋書きでは配当の縮小や停止も想定する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
法人営業は、AIがすべて代替できるほど単純な仕事ではない。大企業向けの高額なIT製品では、顧客の組織を理解し、課題を掘り起こし、複数の意思決定者と関係を築く必要がある。顧客に代わって商談を育てる仕事の需要は今後も残る。むしろ、営業人材が不足する日本では、専門的な営業支援の価値が高まる可能性がある。
同社には長期取引の顧客が多数存在する。上位顧客の平均取引期間は約9年であり、これまで蓄積した営業手順や業務知識を使って新しいサービスを提案できる。2026年の契約縮小は大きかったが、原因は一部の外資系IT企業による投資方針の変更と、社内の営業体制の失敗である。会社は営業組織を立て直し、待機人員の再配置と外注の活用を進めている。顧客集中を緩和しながら収益性を回復する余地はある。
EraXの買収は転換点となりうる。顧客の営業工程を知る会社が、その工程を自動化するAIも提供すれば、従来の外注契約とは異なる利益の取り方が生まれる。2026年下期にはEraXの売上約2億円を見込んでおり、買収直後から一定の売上が確認できる。テラスカイとの連携も加わり、技術の不足を補う手段がある。
2025年末の純現金約26億円は、株主にとって大きな保険である。資金繰りに余裕があるため、急な人員整理で顧客関係を傷つけずに組織を立て直せる。配当と自社株取得を続ければ、利益が完全に回復しなくても長期の株主還元は厚くなる。営業支援の需要が想定以上に残り、研修の高付加価値化が進めば、営業利益を過去の高水準以上に引き上げられる。
慎重な見方
この会社の主力は、顧客が使う人数に比例して収入を得る事業である。顧客がAIエージェントを導入し、従来10人で行った仕事を少人数でこなせるようになれば、外注先にも人員削減を求める。営業活動がなくなる必要はない。必要な人月が減るだけで、売上と利益の両方が縮む。
2026年に起きた出来事は、その危険が現実的であることを示す。主要な外資系IT企業3社の契約終了・縮小で、年間約6.2億円の減収要因が発生した。営業の大型案件を優先した結果、既存顧客への営業活動も手薄になった。しかも、固定人件費をすぐに減らせなかったため、売上減少が利益に大きく響いた。長年続く顧客関係は、契約数量を維持する権利ではない。
研修事業にも別の危険がある。知識を教えるだけの公開研修は、AIを使う個人学習に置き換わりやすい。新人研修は残るとしても、顧客企業が採用人数を減らせば参加者は減少する。研修の繁忙期に合わせて人員や教材を準備する構造では、需要が想定を下回った際に固定費が余る。2026年には、その両方が利益を圧迫した。
EraXも万能の解決策ではない。買収したのは独占的なAI基盤ではなく、現時点では個別開発と導入支援を主とする小規模企業である。技術が進歩すれば、AI導入作業そのものが容易になり、支援単価が下がる可能性がある。買収価格を回収できなければのれんの減損も生じる。現金が豊富でも、株主還元と買収で流出すれば、将来の資産価値の床は現在の純現金ほど高くならない。
どちらに重みを置いたか
現時点では慎重な見方がやや優勢である。決定的なのは、2026年に大型顧客の契約縮小と固定人件費の問題が実際に起きたことだ。ただし、AI代替による数量縮小は中立の売上予測にすでに織り込んでおり、確率でも同じ影響を二重に引かない。上側の確率26%に対し、下側を40%とした追加の理由は、顧客集中、営業体制の立て直し、買収後の利益回収という会社固有の実行リスクである。豊富な現金と長期顧客の価値は認めるが、それだけで10年先の収益回復を保証するものではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,496 円52 億円(+ 還元の換算額還元の合計 570 円20 億円)。 今の値に割り戻すと 1,144 円40 億円、今との差 −15.8%、 期待の年率 +5.1%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,938 円138 億円 | 1,113 円39 億円 | +271.6% | +16.7% | 404 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,701 円95 億円 | 856 円30 億円 | +161.7% | +12.0% | 640 円22 億円 |
| 中立 | 34% | 1,459 円51 億円 | 628 円22 億円 | +53.6% | +5.3% | 710 円25 億円 |
| やや悲観 | 26% | 514 円18 億円 | 342 円12 億円 | −37.0% | −5.5% | 223 円8 億円 |
| 悲観 | 14% | 469 円16 億円 | 171 円6 億円 | −52.9% | −8.2% | 90 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,496 円52 億円 | 570 円20 億円 | +52.0% | +5.1% | 2,066 円72 億円 |
今の株価時価総額 1,359 円48 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 既存顧客を守り、AIとの協業で高付加価値化 利益 9 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,938 円138 億円
大手顧客の契約見直しは2026年を底として一巡する。金融機関や国内IT企業などへの新規営業が成果を上げ、外資系IT企業への依存は低下する。既存の営業支援では、見込み客の調査や記録作業をAIに任せ、人間は商談の設計と顧客との対話に集中する。契約人数は2025年よりやや少なくなるが、顧客企業は成果を評価して契約単価の上昇を受け入れる。
研修では、知識を伝える講座から、営業力や管理職の判断力を高める演習へ重点を移す。アイ・ラーニングの大企業顧客基盤を活用し、年間複数テーマの受講が定着する。EraXは顧客企業の営業工程を熟知した導入支援会社として収益性を改善する。ただし、AI製品の独占的な利用料収入は確認できないため、既存の取引企業数が増えることまでは見込まない。
人員配置の集中管理が機能し、大型契約の突然の縮小にも外注比率や配置転換で対処できる。固定費を抑えながら、営業アウトソーシングと研修の採算を高める。買収は既存顧客への販売機会が見える案件に絞り、事業利益が回復した分を配当と自社株取得にも回す。10年後には、規模を無理に追わず高付加価値案件で稼ぐ会社へ転換する。
- インサイドセールスアウトソーシング:数量 532(年間の営業支援従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.11(営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 59 億円・営業利益 9 億円。実質人数0.95倍、単価1.340倍。国内大口顧客の獲得と配置効率の改善が必要。
- プロセス・テクノロジー継続事業:数量 31.0(コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.33(従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。従事人数0.97倍。高度な設計・統合案件の比率上昇で単価1.31倍。
- 企業向け研修:数量 142(年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社)× 価格 0.22(同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社)→ 売上 31 億円・営業利益 4 億円。年間複数テーマ受講企業0.97倍。高付加価値研修へ移り単価1.33倍。
- EraXのAIソリューション開発:数量 30.0(年間取引企業数・社)× 価格 0.07(取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。顧客数は増やさず、案件単価だけ1.33倍。独立した継続課金基盤は加算しない。
- 売却済みトータルサポートの比較用寄与:数量 0.0(連結対象期間における売却事業の事業単位数)× 価格 7.57(売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2025年に売却したため寄与なし。
倍率:資本コストk=7.25%、AI人月型の長期名目成長率g=0%。したがって正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.793倍であり、楽観側の式の上限をそのまま採用する。人月事業に強い堀があると仮定して倍率を上乗せしない。2035年に事業外として蓄積した現金16億円について、税後受取利息相当1.4%を純利益から控除し、還元実績に基づく戻り方1.0で現金を加えると、(9.07−16×0.014)×13.793+16=約138.01億円となる。自己資本は46.9億円+10年累計純利益約63.07億円−累計還元39億円=70.97億円。企業全体の買収費用のうちEraXの取得対価は現金と取得資産の交換であり、自己資本を別途減らさない。
確率:2026年の主要顧客の縮小から立ち直り、営業支援・研修の顧客基盤をほぼ維持しつつ価格を物価並みに改定する必要がある。AIの個別開発と人の営業支援を組み合わせた収益改善が進む余地はあるが、既存事業の実質数量を増やす客観的な証拠は乏しいため8%にとどめる。
やや楽観 18% 顧客離れを止め、利益率が緩やかに回復 利益 6 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,701 円95 億円
2026年の大幅減益後、営業支援事業は徐々に採算を取り戻す。外資系IT企業への依存を下げ、国内金融機関やその他の大企業へ営業先を広げる。ただし、既存顧客でも調査、案件の優先順位付け、活動記録を自動化するため、2025年と同じ従事人数には戻らない。残る人材がより複雑な案件を担当することで、契約単価は物価上昇に近い伸びを維持する。
プロセス・テクノロジー事業は、単純なSalesforce設定から業務設計やAI導入の支援へ仕事を移す。研修事業は新人研修を核に、営業・管理職・AI活用研修の複数テーマを同じ顧客へ販売する。しかし、汎用的な知識を教える講座は縮小し、成長は単価の改善が主になる。新しいサービスへの移行には継続的な人材育成費も必要である。
EraXは小規模ながら黒字事業として残り、既存の営業支援顧客への導入提案でも役立つ。経営は大型買収を控え、支出の多くを顧客獲得と社員の技能転換に充てる。配当と自社株取得は維持できるが、過去の二桁成長を取り戻すわけではない。2035年の姿は、売上の大幅拡大よりも人員を抑えた利益回復を実現した会社である。
- インサイドセールスアウトソーシング:数量 448(年間の営業支援従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.11(営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 49 億円・営業利益 6 億円。実質人数0.80倍、単価1.33倍。配置最適化が利益率を支える。
- プロセス・テクノロジー継続事業:数量 28.0(コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.33(従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。実質人数0.875倍、単価1.335倍。高度案件への移行が進む。
- 企業向け研修:数量 125(年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社)× 価格 0.21(同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社)→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。複数テーマ受講企業0.85倍、単価1.28倍。新人研修以外が下支え。
- EraXのAIソリューション開発:数量 28.0(年間取引企業数・社)× 価格 0.06(取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。顧客数0.93倍、単価1.28倍。開発工数に依存する収益を維持。
- 売却済みトータルサポートの比較用寄与:数量 0.0(連結対象期間における売却事業の事業単位数)× 価格 7.57(売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
倍率:k=7.25%、g_long=0%なので正当化PERの上限は13.793倍。2035年の事業外現金12億円の税後受取利息相当を純利益から控除し、現金の戻り方1.0を適用する。(6.16−12×0.014)×13.793+12=約94.65億円。2026年から2035年の純利益を0.9、2.0、3.3、4.3、4.8、5.2、5.5、5.8、6.0、6.16億円とした累計は43.96億円で、46.9+43.96−30=60.86億円の自己資本につながる。
確率:契約縮小の初期対応は遅れたが、既存顧客の営業強化、待機社員の再配置、採用の抑制には合理性がある。全事業で実質数量の減少を避けることは難しいものの、利益率の大半を取り戻す筋は一定の現実味があるため18%とする。
中立 34% AIで人月が減り、事業規模は緩やかに縮小 利益 3 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,459 円51 億円
インサイドセールスという営業手法は定着するが、それを担う人員は減る。大企業は見込み客の調査、営業メールの作成、活動記録の更新をAIエージェントに移し、外部の営業支援会社には複雑な判断と対人折衝を委託する。同社は既存顧客の一部を維持するものの、契約規模の縮小を避けられない。残る人材の業務は高度化するが、数量の減少を補うほど自由な値上げはできない。
営業改革コンサルティングとシステム導入でも、単純な設定や資料作成は自動化される。顧客企業にとって外部支援が必要なのは、部門間の調整、データの整理、責任を伴う意思決定などになる。仕事そのものは続くが、従来より少人数で済む。EraXの技術を社内で活用する効果はあるものの、同じ技術を競合や顧客も使えるため、独占的な収益源には育たない。
研修は新人教育と実践演習を中心に残るが、公開型の知識講座は縮小する。売上規模が小さくなる過程で、固定人件費と本社費の削減には時間がかかる。経営は不採算案件から撤退し、社員数を適正化することで一定の営業利益を確保する。配当と自社株取得は利益に合わせて行うが、現在の利益水準への完全回復は実現しない。
この筋書きの本質は、顧客が離れずとも売上は減りうるという点にある。営業支援の市場が名目で拡大しても、人間が担当する部分への支出は増えない。企業としては存続し、現金も保有するが、過去の高いROEを取り戻すことは難しい。
- インサイドセールスアウトソーシング:数量 375(年間の営業支援従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.11(営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。実質人数0.67倍、価格1.27倍。名目市場が伸びても顧客の必要人月は減少。
- プロセス・テクノロジー継続事業:数量 22.0(コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.29(従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。実質人数0.69倍、価格1.17倍。高度業務は残るが設定工数が減少。
- 企業向け研修:数量 103(年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社)× 価格 0.20(同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社)→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。複数テーマ受講企業0.70倍、価格1.22倍。公開研修の縮小が重荷。
- EraXのAIソリューション開発:数量 22.0(年間取引企業数・社)× 価格 0.06(取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。取引企業数0.73倍、価格1.22倍。個別AI開発の価格競争が進む。
- 売却済みトータルサポートの比較用寄与:数量 0.0(連結対象期間における売却事業の事業単位数)× 価格 7.57(売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
倍率:AI人月型のg_long=0%、k=7.25%から正当化PER=1÷0.0725=13.793倍。2035年のROEは3.24÷54.84=約5.9%でkを下回るため、PERは1÷kが上限であり、成長による超過価値を加算しない。事業外現金8億円を分離し、(3.24−8×0.014)×13.793+8=約51.14億円。2026~2035年の純利益を0.9、2.0、3.0、3.4、3.6、3.6、3.5、3.4、3.3、3.24億円とした累計は29.94億円である。自己資本は46.9+29.94−22=54.84億円となり、過去の高ROEを将来の成長率へ機械的に延長していない。
確率:2026年の顧客縮小が示す人月需要の弱さを起点とし、各継続事業の10年間の実質数量を約0.67~0.73倍にする。顧客関係そのものは残るため全面崩壊ではなく、単価は一定程度上昇する。現時点で最も無理のない中心像として34%とする。
やや悲観 26% 契約規模の縮小が続き、低収益企業になる 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 514 円18 億円
AIエージェントが営業支援の標準的な道具となり、見込み客への連絡や案件情報の整理は顧客企業が自ら行う。営業支援を外部委託する企業は残るが、同じ契約を更新する際に配置人数を減らし、価格にも厳しい条件を求める。同社は優良な顧客を一部保つものの、2025年と比べた人員規模は大きく縮む。残った仕事の単価も物価ほどには上げられない。
プロセス・テクノロジー事業では、AIによって単純な開発・設定業務が短期間で済むようになる。顧客は大手のSI会社やプラットフォーム提供者へ直接相談する機会を増やし、中小規模の個別案件は価格競争にさらされる。研修事業では新人研修への集中が続くが、採用人数の変動とオンライン学習の普及で売上が細る。固定講師を抱える費用が採算を圧迫する。
EraXは技術者集団として存続するものの、買収した技術の希少性が薄れ、利益率は低下する。経営は社員数を減らし、不採算案件を断ることで赤字転落を回避する。しかし、本社機能や管理部門の費用は売上と同じ速度では減らない。過去の高収益企業という性格を失い、わずかな利益を配当と内部留保に振り分ける会社になる。
- インサイドセールスアウトソーシング:数量 340(年間の営業支援従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.09(営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。実質人数0.61倍、単価1.12倍。固定人件費の調整が不十分。
- プロセス・テクノロジー継続事業:数量 19.0(コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.25(従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。実質人数0.59倍、単価1.02倍。外部SIの価格競争に巻き込まれる。
- 企業向け研修:数量 97.0(年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社)× 価格 0.17(同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社)→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。複数テーマ受講企業0.66倍、単価1.04倍。教材・講師費の固定性が残る。
- EraXのAIソリューション開発:数量 18.0(年間取引企業数・社)× 価格 0.06(取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。取引企業数0.60倍、単価1.15倍。収益化は進まず買収時の期待に届かない。
- 売却済みトータルサポートの比較用寄与:数量 0.0(連結対象期間における売却事業の事業単位数)× 価格 7.57(売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
倍率:2035年のROEは1.07÷50.97=約2.1%で、資本コスト7.25%を大きく下回る。長期名目成長率0%の正当化PERは13.793倍が上限であり、事業の純利益から余剰現金3億円の税後利息相当を除くと、稼ぐ力と余剰現金の合計は(1.07−3×0.014)×13.793+3=約17.18億円となる。一方、純現金と売却可能資産の税後回収価値は18億円と見積もるため、両者の大きい方である18億円を採用する。これは現在の自己資本46.9億円にPBR約0.3838を掛けた価値に相当する。2035年の自己資本50.97億円に床のPBRを掛けていない。2026~2035年の純利益累計16.07億円と還元累計12億円から、自己資本は46.9+16.07−12=50.97億円となる。終価の余剰現金3億円は18億円の資産価値に含まれ、別途加算しない。
確率:下に寄せる理由:2026年には主要3社の契約終了・縮小だけで年間約6.2億円の減収要因が生じ、既存顧客への販売活動の不振も重なった。固定人件費の調整が遅れた事実から、売上減少以上に利益が落ちる可能性を重く見る。AIによる通常の工数縮小とは別に、顧客集中と人員配置の実行リスクを反映して26%とする。
悲観 14% 営業の人月モデルが崩れ、資産回収が価値の中心 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 469 円16 億円
大企業の営業活動では、見込み客の選別、連絡、履歴更新、案件の育成まで、AIエージェントが標準的に扱うようになる。顧客は外注先へ配置する人数を以前の半分程度に減らし、委託先の業務範囲も絞る。同社は一部の高度な対人支援を続けるが、それだけでは以前の固定人件費と管理費を賄えない。契約価格の引き上げにも限界があり、主力事業の採算は悪化する。
システム導入では、Salesforceなどの製品提供者と大手SI会社がAIの設定・運用まで一体化する。小規模な開発会社が担っていた作業の多くは、顧客企業の内部で済む。研修では知識習得がAIに移り、残った新入社員研修や実地演習を価格競争の中で受注する。研修需要そのものが消えるわけではないが、以前の収益力は維持できない。
EraXも顧客を失い、買収時に見込んだ成長が実現しない。個別開発の価格低下に加えて、人件費と保守費用が残り、のれんの減損が必要になる。経営は不採算事業の縮小と固定費削減を進め、資金流出を抑えようとする。しかし、配当と買戻しに使った資金や買収の失敗で、現在の純現金すべてが株主の手元に残ることはない。
企業は存続しても、資本コストを満たす利益を生まない状態が定着する。成長企業としての評価は失われ、売れる資産と残存顧客から回収できる価値が株主価値の中心になる。この筋書きでは過去の利益水準や将来の回復期待に倍率を付けず、保守的な資産価値を重視する。
- インサイドセールスアウトソーシング:数量 280(年間の営業支援従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.09(営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。実質人数0.50倍、単価1.09倍。固定人件費と待機要員により部門赤字。
- プロセス・テクノロジー継続事業:数量 17.0(コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年)× 価格 0.21(従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。実質人数0.53倍、単価0.83倍。競争で名目単価まで下落。
- 企業向け研修:数量 88.0(年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社)× 価格 0.16(同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社)→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。複数テーマ受講企業0.60倍、単価ほぼ横ばい。低収益化。
- EraXのAIソリューション開発:数量 20.0(年間取引企業数・社)× 価格 0.06(取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。取引企業数0.67倍、単価1.17倍でも固定費を回収できない。
- 売却済みトータルサポートの比較用寄与:数量 0.0(連結対象期間における売却事業の事業単位数)× 価格 7.57(売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済み。
倍率:赤字が続き、将来の自己資本を額面どおり回収できないため、現在の自己資本46.9億円を資産評価の起点とする。0.35×46.9=16.42億円であり、15億円と見積もる純現金・売却可能資産の税後回収価値を上回る。将来の自己資本31.65億円に床のPBRを掛けていない。2026~2035年の減損前累計純利益を約マイナス3億円、EraX取得に関連するのれん等の減損を約6.25億円と想定するため、減損後の累計純利益は約マイナス9.25億円となる。配当・自社株取得累計6億円を差し引き、46.9−9.25−6=31.65億円の自己資本となる。利益率が低く現金が減るため、当初の純現金25.8億円をそのまま10年後の床に据え置かない。
確率:下に寄せる理由:主力事業では2026年に契約の突然の縮小と待機人員の発生を経験した。顧客企業がAIエージェントを内製化し、残る案件も価格競争にさらされる複合的な失敗は十分にありうる。財務の厚さにより倒産に近い状態となる確率は抑えるが、構造的な低収益化を14%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
インサイドセールスアウトソーシング
企業の見込み客発掘、商談育成、営業プロセス運営を正社員中心で受託する主力事業。AIエージェント代替の型は人月・工数型であり、人数を減らす顧客の判断が売上数量に直結する。
| 数量年間の営業支援従事正社員相当人数・人年 | 価格営業支援従事正社員1人当たりの年間売上相当額・億円/人年 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 560 | 0.08 | 46 | 6 |
| 10 年後 中立 | 375 | 0.11 | 39 | 3 |
取り方:2025年有価証券報告書のインサイドセールスアウトソーシング部門の正社員560人を実質数量の代理指標とし、同年の事業売上46.30億円を割って年間約827万円/人とした。これは開示された顧客向け請求単価ではなく、管理業務を含む正社員1人当たりの売上生産性である。臨時従業員91人の寄与も売上側に含むため、実際の請求工数単価とは異なる。2026年には主力3社の契約縮小で年間約6.2億円の減収要因が生じた。2025年の560人から中立375人へ、実質数量を0.67倍にする。単価は0.08268億円から0.105億円へ1.27倍であり、物価1.34倍に届かない。国内BPO市場約5兆786億円に対する売上比率は約0.09%だが、インサイドセールスだけの市場シェアではない。
プロセス・テクノロジー継続事業
営業改革コンサルティング、CRM・SFAの開発、導入、運用支援。売却済みのトータルサポートを除いた継続事業であり、AIエージェント代替の型はコンサルティング・SI受託の人月型である。
| 数量コンサルティング・システム導入従事正社員相当人数・人年 | 価格従事正社員1人当たり年間売上相当額・億円/人年 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 32.0 | 0.25 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 0.29 | 6 | 1 |
取り方:会社の2026年3月開示の成長可能性資料では、2025年のプロセス・テクノロジー事業売上15.52億円のうち、売却済みトータルサポートを除いた売上は7.95億円、利益は0.76億円とされる。2025年有報にある同部門の従業員32人を代理数量として割り、約2,484万円/人年とする。外注原価とソフトウェア開発収入を含むため、外販する人月単価そのものではない。2035年中立は従事人数22人で数量0.69倍、売上生産性は1.17倍。国内SFA製品市場617億円などは製品販売の市場なので、このサービス売上と直接割ってシェアを計算しない。
企業向け研修
アイ・ラーニングを中心とする新入社員研修、IT・営業・管理職研修。AIエージェント代替の型は研修の人月・工数型であり、公開型の知識習得研修はAIによる自主学習との競争が強い。
| 数量年間3テーマ以上の研修を受ける企業数・社 | 価格同指標1社当たりの研修事業年間売上換算額・億円/社 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 147 | 0.16 | 24 | 3 |
| 10 年後 中立 | 103 | 0.20 | 20 | 2 |
取り方:会社の2026年3月開示資料で、2025年の年間3テーマ以上受講企業数が147社と確認できる。この実数を代表数量とし、研修事業全体の売上23.81億円を割って約1,620万円/社とする。年間3テーマ未満の顧客も売上に含まれるので、これは実際の1社への平均請求額ではなく、継続顧客基盤当たり売上の代理指標である。2026年8月時点で新人研修顧客は110社と説明されているが、147社とは定義と時点が異なるため混同しない。国内企業向け研修市場6,075億円に対する同社売上の比率は約0.39%。中立では継続企業基盤103社、価格1.22倍とする。
EraXのAIソリューション開発
2026年6月に買収したEraXによる、企業向けのAI導入と個別ソリューション開発。AIを提供する側だが、現時点では個別開発・導入工数の対価が中心であり、利用者データを独占する記録の正本型ではない。
| 数量年間取引企業数・社 | 価格取引企業1社当たり年間売上換算額・億円/社 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02(買収前の12か月参考) | 30.0 | 0.05 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 0.06 | 1 | 0 |
取り方:2026年5月の株式取得開示にある買収対象会社の参考売上1.47085億円、営業利益0.289億円を丸めた。顧客は30社超とされるため、保守的に30社を母数とし、売上を割った約490万円/社を単価の代理指標にした。実数は30社を上回るため、実際の平均単価はこれを下回りうる。この売上は2025年の連結決算には含まれず、他の2025年セグメントと合算すると約1.47億円だけ過大になる。AI製品の継続ライセンス売上を区分した金額開示は確認できないため、楽観でも取引企業数を30社超の既存代理数量から増やさない。
売却済みトータルサポートの比較用寄与
2025年10月に連結対象から除外された事業。過去の連結売上から継続事業を切り離すための比較用であり、2035年には全筋書きで売上も利益もゼロとする。
| 数量連結対象期間における売却事業の事業単位数 | 価格売却事業の当期連結寄与額・億円/事業単位 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 7.57 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 7.57 | 0 | 0 |
取り方:2025年の報告セグメント売上15.52億円から、売却事業を除いた会社開示の比較売上7.95億円を引いて7.57億円とした。利益0.16億円も報告セグメント利益0.92億円と売却事業除外後の比較利益0.76億円の差分である。持株会社化と配賦変更の影響を含む比較用差分であり、売却子会社の単独決算の営業利益と一致するとは限らない。売却済みのため10年後の数量は0とし、継続企業の成長率には使わない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による受託人月の減少
インサイドセールス、CRM導入、研修、個別AI開発はいずれも、人の工数に対して顧客が支払う部分が大きい。AIエージェントが調査、記録、メール作成、資料作成、設定作業を直接行えば、顧客は以前と同じ人数を必要としない。顧客関係を維持しても売上が減ることが最大の長期リスクである。中立では各継続事業の実質数量を0.55~0.75倍の範囲に収め、2035年以降の名目成長もゼロとして評価した。
大口顧客への集中と契約の突然の縮小
主力事業の上位10社が売上の約6割を占める。2026年には主要な外資系IT顧客3社の契約終了・縮小によって、年間約6.2億円の売上減少要因が生じた。営業支援の人員を正社員として抱えるため、契約が失われても費用はすぐには消えない。継続率の高さを理由に将来の契約人数まで保証されると考えるのは危険である。
固定人件費と利益率の急変
会社は2026年の減益について、案件終了後の待機社員と、必要な時に配置を変えられなかった組織運営を原因に挙げている。限界利益率が高い事業は、売上が増えれば利益を伸ばす一方、契約が縮小したときには利益の落ち方も大きい。リソースマネジメントの新組織や業務委託の活用が、次の契約縮小時に実際に機能するかを見極める必要がある。
EraX買収の投資回収とのれん減損
EraXの買収対価は約6.5億円で、買収前の参考年間営業利益約0.29億円に対して高い金額である。取得純資産との差から相当額ののれんが見込まれる。個別開発案件の利益率が低下したり、技術の陳腐化で受注が減ったりすれば、買収資金の回収が遅れ、減損の可能性が生じる。既存顧客への販売ができることと、買収価格に見合う株主利益が残ることは分けて考える。
研修需要の減少と季節偏重
アイ・ラーニングの新人研修は春に需要が集中する。顧客企業の採用人数が減れば、用意した講師や運営設備に余剰が生じやすい。さらに、公開型の知識習得研修はAIによる自主学習に置き換わりうる。研修のテーマを高度化できても、物価上昇と講師費用の増加をすべて価格に転嫁できるとは限らない。
配当維持による現金流出
会社は配当性向50%以上と累進配当を掲げるが、2026年の予想純利益が約0.9億円まで落ち込む中でも、年間約3億円の配当を予定している。利益を超える配当を続ければ、純現金は減少する。自社株取得や追加買収も重なった場合、事業の再構築に使える資金が限られる。配当の額だけでなく、営業キャッシュフローで賄えているかを確認する必要がある。
固定の賃借費用と新リース会計基準
同社は賃借オフィスを利用し、賃料などの固定費を負担する。2027年4月以降に開始する年度から強制適用される新リース会計基準では、これまで貸借対照表に十分表れなかった使用権資産とリース負債が計上される。会計上の純負債が変わっても、経済的な家賃負担が新たに発生するわけではない。しかし、受託人数が減ると固定の賃借費用が利益を圧迫する性質は変わらない。
今後の分かれ目
- 2027年以降、主力の営業支援事業で契約人数が安定し、外資系IT以外の大口案件が増えたら
- 顧客集中のリスクが実際に下がったと判断し、やや楽観の確率を引き上げる。売上の回復だけでなく、待機人員を増やさず利益を回復できたかを同時に確認する。
- AI導入によって必要人員が減っても、成果連動型の契約額と粗利益が維持されたら
- 人月型から成果型へ収益構造が変わった証拠となる。対象売上の範囲と契約額を確認し、その部分の数量縮小率、価格前提、g_longを上方修正する。
- EraXが買収後も継続的に増益し、のれん償却・減損負担を含めて投資回収が進んだら
- 買収の資本配分を再評価する。ただし、売上が伸びただけでは不十分であり、既存事業から移した売上を除いた外部顧客利益と営業キャッシュフローを確認する。
- インサイドセールスの受託人数が減り続け、単価上昇でも売上を維持できなければ
- 中立よりもやや悲観に近いと判断する。社員数の縮小速度が遅ければ利益率も追加で下げる。
- 研修事業の複数テーマ受講企業数と1社当たり売上がともに増えたら
- AIによる知識研修代替を、高付加価値研修の拡販で補える可能性が高まる。研修事業の数量と単価を分けて上方修正する。
- 累進配当を維持するために純現金が継続的に減り、追加買収でも利益が増えなければ
- 余剰現金と資本配分の評価を下げる。配当額そのものは還元に算入しつつ、終価の現金と資産回収の床を引き下げる。
- Salesforceなどの業務基盤側でAIエージェントによる設定・運用の自動化が進み、同社の導入支援工数が減ったら
- プロセス・テクノロジー事業の数量前提を下方修正する。独自データや継続課金の証拠がない限り、記録の正本型へ変更しない。
見ておくもの
- インサイドセールスアウトソーシング事業の売上、稼働人員、1人当たり売上の推移
- 主要顧客上位10社と11~20社の売上増減、外資系IT企業への依存比率
- 突然の契約終了後に発生する待機社員数、稼働率、業務委託費率
- 2026年下方修正後の営業利益率と、2027年以降の営業キャッシュフロー
- AIエージェントを活用した成果報酬契約の売上額、契約継続率、粗利益
- EraXの外部顧客向け売上、のれん負担後の営業利益、買収投資の回収状況
- 研修事業の年間3テーマ以上受講企業数、新人研修顧客数、顧客当たり売上
- 純現金残高、累進配当の継続可否、自社株取得の実行額、追加M&Aの買収価格
倍率と資本コストの決め方
最初に2025年のセグメント売上を、実際に開示された従業員数と研修顧客数、買収対象の顧客数を使って数量と単価へ分解した。売却済みトータルサポートを除き、EraXの買収前業績は2025年の連結実績に含めない。中立の実質数量をAI人月型の指定範囲0.55~0.75倍に収め、物価による単価上昇とは分離した。倍率は現在や過去の株価・同業PERから決めず、資本コスト7.25%と長期名目成長率0%から求めた正当化PER13.79倍を用いた。純現金は買収費用、株主還元、運転資金を考慮して事業用と余剰に分け、10年後の余剰現金は各筋書きに明示した。やや悲観の稼ぐ力と余剰現金の合計は約17.18億円、純現金と売却可能資産の税後回収価値は18億円であるため、上限となる18億円を時価総額に採用した。この際、PBR0.3838の分母には現在の自己資本46.9億円を使い、将来の自己資本50.97億円には掛けていない。悲観も現在の自己資本をPBRの起点とし、売却可能資産の税後回収額との検算を行った。2027年以降の新リース会計で貸借対照表の表示が変わっても、家賃を営業費用として負担する経済実態は変えない。5つの確率は合計100%であり、割引率7.25%、10年後の時価総額と期間中の還元を使った確率加重現在価値は約40.11億円となる。基準時価総額47.769億円との差は約マイナス16.0%で、「やや割高」という結論と整合する。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。共通の無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%から、4要素の合計マイナス0.25ポイントを反映して7.25%。2026年に業績は大幅に悪化するものの、純現金が厚く、現時点で財務存続に疑義が生じる状態ではないためdistressの上乗せはしない。顧客集中、AI代替、M&Aの実行リスクは数量・利益率と確率に反映する。